2015/02/23

【ゲーム日記】Forza4 の結論~そして Forza3 へ

 =======================
■15/01/25(月) □ Forza4:カナダと日本の山道の違い
 =======================

 レーシングシム Forza Motorsport 4 を本格開始した。日本の名作「グランツーリスモ」を超えたと評判のやつである。

 Forza4 はアンダーステアが非常に強いシミュレーションとなっており、コーナーでアホみたいにコースアウトするので当初はなにか設定を間違えてるのかといろいろ調べたくらいだが、要はオーバースピードに厳しい物理モデルなのだとわかってきた。コーナーのクリッピングポイントにつくまでブレーキングを残すイメージでしっかり減速しないと、減速が足りずコースアウトする。スローインファストアウト命なドライビングシムなのだ。

 これが身につくとかつてやり込んだ Playstation「グランツーリスモ2(GT2)」に近いレベルで走れるようにはなった。が、しかし Forza にはコースがつまらないというレースゲームとして致命的な欠点がある。俺の愛する峠道が1つしかない、タウンコースやナイトランがない失望は Xbox 購入時に書いたが(※)、全コース走ってみて改めて、よくこれだけつまらんコースばかり集めたなと思う。ネットを見渡しても誰もそう言ってないのが不思議だ。
(※)『GT は日本の峠道的な外輪にトラクションをかけてドリフトさせ曲がる中速コーナーの気持ちよさを表現していたのだが、アメリカの車ゲーマーたちはそこに気づいてなかったらしい』(「Xbox 360 導入! 」

 Forza4 のレースコースのなにが不満かというとまず、

①先が見えないフラットなコースばかり集めすぎ


常にこういう感じ。右に曲がってるのはわかるが角度は見えない。

 Forza の大半を占める欧米の高速フラット型サーキットは元飛行場など何もない場所に作った人工的なコースなので、平坦すぎて遠くが見えず、俺の非 HD TV では 100m 先がどっちに曲がってるかすら定かではないときがしばしばある。ミニマップとブレーキングポイントを示す路面マーカーだけが頼りの当てどない旅なのだ。アメリカはラグナセカ以外のほぼ全コースがこれだし、欧州もシルバーストーン、ホッケンハイムなどがそう。このゲームでのミスの大半はブレーキの遅れ・不足によるもので、長い直線のあと鋭角ターンという欧米人好みの配置も相まって、あっと気づいた時にはもうコースアウトしてるというストレスの高い走りを強いられる。失敗しても巻き戻し機能でミス前からやり直せるが、ストレスは受けるのである。次に、

②コーナーの難度を無駄に上げすぎ


高速ベンド。どれだけ減速すべきかは路面のマーカー以外に
測りようがない。出口はわざときつくしてある。


 このゲームオリジナルの架空コースであるベルナーアルプス、カミノなどを走ると、ゆるい高速カーブばかりの構成がカナダの山岳ハイウェイと同じだと気づく。リアルのこういうカナダ山道高速カーブは制限速度で走れば問題ないが、ちょっと飛ばすと予想外に強い横Gがアウト側ガードレールへと車を誘いけっこう怖い。タイヤが地面を蹴り発生するコーナリングフォースが遠心力に負けてしまうのだ。曲がることは容易だが速度調整が難しいわけ。俺は旅行でこういう道を走っても全然走りを楽しめないのだが、Forza の物理モデルはそれを忠実に再現しており、進入スピードやラインを誤った俺の車がアウト側ガードレールに突っ込んでいくのだから気分がよろしくない。地形に制限のないゲームでもこういう道を作るのだから、北米人はこういうハーフアクセルでGをじっとこらえる感じのカーブが好きなんだろう。

 そしてこの写真のコーナーのように、出口をわざときつくしたりする。こんな道が現実にあったら事故多発なわけで、レースでも当然クラッシュ多発ポイントとなり走りにくくて仕方がない。欧州の有名コースもそうした進入速度を入り口に合わせると奥がきつくて苦しくなるコーナーが多い。彼らは難度の高いコースを攻略するのが好きなのかもしれない。Forza オリジナルコースはどこもこうしてコーナーの奥をきつく設計しているので、リバースだと安全で走りやすくドリフトし放題の楽しいコースとなる俺はそっちをいつも走りたいよ。

Forza のスローイン・パワーアウトというドライビング理念はカメラが置かれた位置にも現れていて、ラリー/グランツーリスモ的にコーナー入口から慣性を使いリアを流していっても、リプレイを見た時にそこにカメラがない。カメラはコーナー出口の慣性ドリフトが収まるあたりにある。コーナーをスローで抜け出口でパワースライドしていくアメリカ流の走りにカメラ位置も調整されているわけ。おかげで俺が華麗な慣性ドリフトを決めても、すごく遠くで車がドリフトしてる迫力のないリプレイ映像になるのである(笑)。



 こうした特徴がある Forza に対し、グランツーリスモのコースは日本の山道や鈴鹿サーキットと同じように、R が視覚的に予測しやすい中速コーナーをメインに構成されている。コーナー入口のターンインでタイヤに瞬間的に強い荷重をかけて大きく方向転換し、路面を蹴りコーナーの出口へ車を向ける力(トラクション)を得ながら曲がれるのでコントロールの幅が広く、進入ミス→即クラッシュのリスクも低い。いってみれば日本の峠で峠野郎やライダーたちが気合いを入れて技を見せ合う「ギャラリーコーナー」的なカーブが多い。


の GT2 グリンデルワルドなんかが典型、めっちゃ走りやすいコースでどうしたらタイムを削れるか、ライン、
ドリフト量、立ち上がり加速を考えていく楽しさがある。Forza はコースアウトしないスピードコントロールが
最重要

 つまり GT は難度が低いカーブをいかに速く駆け抜けるかというチャレンジを多用しており、車やバイクで日本の峠を安全に攻める楽しさを完璧に再現した偉大なゲームだったのだ。が、カーシミュレータというゲームモデルを完全に模倣されながらも、そこの楽しみはばっさりスルーされたのだから海外クルマファンには GT のコースの面白さは支持されていなかったらしい。

 コーナーの難度を上げた結果として Forza は、荷重コントロールによる方向転換よりも速度調整が最重要で、コーナー目測よりも路面マーカーのほうが情報として肝要で、あのマーカーに速度と方向を合わせるゲームになっている。走るコースがスポーツ性を狭めてしまっている。俺がコースアウトの心配なしに無心にアタックに燃えられるのは鈴鹿、筑波、ラグナセカと石畳のアマルフィくらいかな。これらのコースは荷重コントロールが効く低中速コーナーでできており、速度調整ではなくいかに速く抜けるかに燃えられるのだ。

 Forza 唯一の峠である富士見峠も意外や走りにくい。アンダーステアが出てガードレールにゴンゴンぶつかってしまう。2車線使っても車では幅が狭すぎるのだろうか。

 =======================
■15/01/27(水) □ お金を稼ぎ使う楽しみがない
 =======================

 【Forza4】メインの「ワールドツアー」モードでは敵車のレベルを上げられずいつまで経っても遅いので、レギュレーションよりも1~2ランク下の車でレースに参加することにした。このハンデで競り合いが生まれ楽しくなってきた。5位くらいで競れるとちぎって勝つよりもよっぽど楽しい。

 しかしそうしてわざわざ遅い車を作り手加減して競り合いを演出するより、稼いだ資金でいい車を買いレギュレーションぎりぎりまでチューンアップして速い CPU ライバルに打ち勝つほうが、車をいじる甲斐もあるし達成感も高いに決まっている。ゲーム製作者というのはなぜこういう自明なことを実現してくれないんだろう。

 それに2~3レースごとに新しい車がボコボコもらえるのも、レースでお金を稼ぐモチベーションを削ぐ。フェラーリやポルシェまでもらっちゃったよ。RPG で中ボスに勝つごとに新しい強力武器が手に入るようなもので、そのうちもらえるかもしれんと思っていればどんな車も買う気がせんではないか。俺はゲーム開始から5台くらいしか車を買ってないよ。お金を稼ぎ使う楽しみがない。こういう部分は RPG 風に頑張りたいのだ。

 フェラーリその他 S クラス以上の車はパワーがありすぎてからきしグリップせんので、すべて実戦には使われることがないままガレージで眠っている。ガレージにはムスタングばかり5台もあるような気がする。バカバカしい。邪魔なので売れば、それらプレゼントカーでしか出られないレースがきて困るようになっている。1台 GT3 カーを売ってしまってゲームが進行不能になり、その車の買戻しに一億取られた。その車種が必要なのだということすらネットで調べない限り不明なので、これはバグである。

 かようにこの Forza4 メインの「ワールドツアー」まわりのゲーム性は低い。Forza4 はネットで友だちと対戦するためのゲームなのかもしれないな。お金を使う楽しみも、オンラインでのステッカー購入などにあるらしいし。

 =======================
■15/01/31(土) □ Forza4 の結論~そして Forza3 へ
 =======================

 Forza4 「ワールドツアー」は6シーズンめ「プロフェッショナル」レベルを終え、クラスより遅い車では勝てなくなってきた。そろそろ同一クラスの車で出ようかな…というところでちょっと調べて、今後まだ4シーズンもあるのだと判明しやる気が失せた。気がつけばここまで最低で 50 レース以上これをやってるわけで、もういいか。

 そこから残り4シーズンはお雇い CPU 運転手に走らせ「ワールドツアー」終了。これでなにか真のワールドツアー的なものがアンロックされるのかと思ったら、レベルが「アマチュア」に戻るだけだった。もうこれ以上やることがない。結論を書いてやめよう。

 【結論】ネットではグランツーリスモを超えたともっぱらの評判の Forza4 なのだが、俺が得た楽しみでは 15 年前の GT2 の足元にも及ばない。絵はもちろん素晴らしいし車の挙動は互角以上だと思うが、走りたいコースと出場したいレースがここにはないのだった。

 もう一度言うが、GT は車やバイクで日本の峠を安全に攻める楽しさを完璧に再現した偉大なゲームだった。日本の峠とグランツーリスモが恋しい。Xbox を買ったことは後悔してないが、PS3 と GT5 を買っとくべきだったかなという気持ちにやはりさせられる。

母さん、僕のあのTZR250、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷を攻めたり箱根を攻めたりして、
谷底へ落ちそうにもなったあのTZRですよ。
母さん、あれは好きな二輪でしたよ。
僕は転んだときずいぶん痛かった。
だけど、谷底へ落ちなくてよかったですよ。





 で、うちには Forza3 もあって試しにこれをやってみたら、Forza4 よりこっちのほうがはるかに挙動がダイレクトでコントロール性が高い。タイヤがグリップする。アンダーステアが出ない。コースアウトしない。気持ちいい! あれー!?

 何が違うんだろう。「Forza3 はタイヤは粘るがすぱっと大きく滑りコントロールしにくい」という評が一般的なのだが、ムスタング・シェルビーなんていうクソマッスルカーのノーマルタイヤでさえちゃんとコントロールできてしまう。ノーマルタイヤのまま苦手のスペイン・カミーノでなんとコースアウトゼロで勝利。ムジェロで2位。苦手のカタローニャでも3位。このへんのサーキットは Forza4 では苦手で走るのも嫌だったのだが、俺が苦手なんじゃなくて Forza4 のタイヤがこのへんのサーキットを苦手としてるんだ



 検証のため同じ富士見街道 A コースを同じ車で走ってみる。やはり Forza3 はアンダーステアが Forza4 よりもはるかに少なく走りやすい。富士見を走って初めて気持ちいいと思った。

【登り】インテグラ Type-R (2000) ノーマルタイヤ
Forza3         2'30   
Forza4         2'35   

【下り】マツダロードスター スポーツタイヤ
Forza3         2'22   
Forza4         2'30   

 やはり。5秒以上違う。やっぱりこれはタイヤだな。Forza Motorsport 4はタイヤのグリップがおかしい



 いろいろ調べると Forza4 は 3 から大幅にグリップを落とし、ピレリの市販タイヤの挙動に非常に近いものになってるそうだ。Forza3 のサイトをやってた人によれば、
Forza3の感覚でForza4のデモ版をプレイする と、妙にアンダーステアが出てしまい、外へ外へ押しやられてしまう。Forza3では突っ込んでも、ぐんぐん頭をねじ込んで曲がってくれたが、同じ調子で操作をすると、ライン上をキープできない状態だ。

Forza3のタイヤ周りの挙動が正しくなかったかというとそういうわけでもないように思う。どちらかというとForza3は、非常に柔らかいコンパウンドのレース向けのタイヤを履いているような挙動という感じだったように思う。その挙動自体は破たんしているわけではなく、Forza4で装備されるタイヤの質がより硬めで一般的な市販タイヤに近いものに変わった。つまり単にタイヤの性能に対する方向性が変わったとみるべきだろう。(「Forza Motorsport 4 デモ版フライングレビュー」

 だそうである。なるほど。硬いタイヤになったのか。それで俺はアンダーステアに苦しんでいたんだ。わかったぞ。俺のドライビングスタイルはラリー式突っ込み重視・慣性ドリフト誘発型で、ブレーキングでフロントのアウト側に荷重をかけてリアを流し気味にコーナーに入っていくのだが、滑り出しが早い4のグリップモデルではリアよりアウトフロントが先に流れてアンダーステアになり、アウトにだらーんと流れてしまうのだ。やっとわかった。3はオーバースピードでもトラックにタイヤが残っている間は荷重がかかるから曲がれるしリカバリーもできるわけである。

3はミスに寛容なのではなく、物理的に突っ込み重視に寛容なのだ。Forza4 はきっちり減速するスローインファストアウトでしか走れず、3は突っ込んでもコントロールできるということである。

 4はレーシングタイヤを履いても3のノーマルタイヤよりトラクションが弱い。これが車のリアリスティックな挙動で、Forza3/GT2 はゲーム的だと制作側は言いたいのだろう。しかし俺が実際にバイクで走りこんだ富士見街道(箱根椿ライン)を当時の感覚通りに走り、3ではイメージ通りに気持ちよく曲がれ4ではアウト側ガードレールから逃れられないのだから、4は計算上は正しくても実際に起きていることはリアルではない。あの道をかつてできるだけ速く走ろうとした者にとっては3の走行感覚のほうがリアルなのである。Forza の開発者が俺ほど椿ラインを走ったとは思えないしな。

 もちろん Forza3 でも修正が必要なほど突っ込みで無理をするとコーナリングラインがガタガタに崩れ失速し後続に抜かれるが、コースアウトして巻き戻してやり直し何事もなかったことにするよりは、失敗からリカバリーしたほうがレースは面白い。ケビンシュワンツである。

 富士見街道のフルコースではインプレッサに乗り、5台くらいの団子状態で最初から最後まで巻き戻しなしでドッグバトルを楽しめてしまった。4ではどんだけブレーキを踏んでもアンダーが消せずきついターンでは全部クラッシュしてたので、これはもう別のゲームである。七曲り部分ではレース中なのに入り口から出口まで完璧なフルカウンターのドリフトで曲がるという、これまで一度も成功したなかったアレにも見事成功。できるんじゃん! なんなんだよ Forza4!

 しかもシーズンプレイでは最初から CPU 敵車がちゃんと速く(4の Hard と Normal の間くらい)、やたらにラフに当ててくるインプレッサなど個性的なやつもおり、こいつら同じ面子とシーズンを戦い抜くのが超楽しい。敵車も速いのでパーツを買って自分の車を速くしたくなる。ちゃんとグリップしてコントロールできるタイヤ、強くて競り合え腹が立つほど面白い敵、車をチューンアップしたくなる楽しいシーズンモードと、3は4にないものだらけである。なんてこった。Rally di Positano という箱根と同等の長さのターマックラリーイベントも楽しかった。これも4にはない。なんてこった。

 Forza3 のグリップならこれまで苦手、つまらんと感じたコースも楽しく走れてしまう。フラットで先が見えないコースはグリップしても大差ないが、高難度コーナーは狙い通りのところに荷重をかけ車体をコントロールし攻めていけるようになった。気持ちイー! それでも GT2 に比べたら面白いコース数はぜんぜん足りないが、Forza3 は GT2 より敵車が速く賢いという大きなメリットがある。

 よし。Forza4 はもういらない。なんであんなものが3の上位互換として受け入れられたのか俺には理解できん。Forza3 のほうが全然いいじゃん。これをゼロからやり直そう。やっ・た :-)。


 富士見峠は、俺が弟OKOとバイクで死ぬほど走った湯河原~箱根の椿ラインと箱根旧道七曲りの合成である。頂上にたどり着き、カナダの俺のTVにあの大観山電波塔が映った時はなつかしさに震えたな。OKOに見せたら泣くだろう。

 もうあの大観山に登ってはいけないけれど、Forza3 があるからいつでも走りにいける。それがうれしい Xbox。

2015/02/21

カナダのカレッジバンド・コンテスト



地元カレッジのバンドコンテストを見てきた。いやー面白かった。カナダでバンドやってる奴はどちらかというとナード(おたく)な感じが多い。こいつなんか半袖チェックシャツでほんとナードだなと思ったら、歌い出したらパンクだった。なんでだよ(笑)。




こいつらはラップバンド。カッコも踊りも歌のリズム感もあまり垢抜けない。まあバンクーバーよりちょい田舎だしこんなもんかなと思ったら、歌い出したらラップ版「天国への階段」だった。なんでだよ(笑)。「彼女は見た yeah! 階段ミタ Yo!」って感じ。




こちらは女子2名の素朴なデュオ、女の子のハーモニーは洋の東西を問わずよろしいですなあ。オリジナルは「ホビットの歌」というもので、谷山浩子みたいな内容だったのかな。



こいつは声が滅茶苦茶渋くてFMのDJみたい。「次の曲は…もしドラゴンが塩の塊を呑んでしまったらどうなるかってね。イメージをふくらませて。僕のパレットにはない感じの色がほしくてね」とか言ってもう、シブいぞお前なに言ってるんだ! ていう(拍手)。そしてドアーズみたいに低音でシブくシブく歌っていた。ギターが奇天烈なフレーズを弾いてて面白かった。



こいつが出た瞬間ギターの構えを見て、「初めてちゃんとギターが弾ける奴が出てきた」と思った。それまでは見た瞬間「こいつは弾けない」ってわかるくらいな連中ばかりだった。いい腕でブラックサバスをバリっとこなして俺の優勝候補。



で最後にナルシスティックに胸を見せたがる奴がボーカルのポップなロックンロールバンドが出て、これが結局2位をゲット。まあ悪くはなかったけどナルシス君はなあ。

で優勝は――ラップ版「天国への階段」バンド。なんでだよ審査員(笑)。



総評として、カナダのバンドマンは下手でも音が超でかいのがいい。日本だったら恥ずかしげに小さな音でやるか、人前でやるのを尻込みしそうな技量のやつらがすごい爆音で堂々と弾きまくってるのが素晴らしい。最後のバンドのドラムなんかオカズを入れると明らかにリズムがずれるんだけど、そのオカズに尋常ではない気合いが入っていてカッコいいわけ。それで娘がしびれていた。ああして堂々と弾いてるうちにうまくなるよきっと。娘にもそう言い聞かせました。

 バンド合戦を見てロック気分が高揚した娘が帰りの車でベイビーメタルをかけたんだけど、最後に女の子が「ヘドバンギャーッ!!」と叫ぶのがおかしくて、家につき車を止めてからゲラゲラ笑った。ヘドバンってヘビメタで頭振るhead-bangingでしょ? みんな若くてロッキンバカですばらしい。ヘドバンギャーッ(笑)。◆

2015/02/09

日記「クエスト式 RPG の限界」

「アマラーのポッドキャスト」「ここがアマラーのピークか」「人助けがしたい俺」「3D 風景の単調さ」

 =======================
■15/01/16(金) □ アマラーのポッドキャスト
 =======================

 移動中に聞くポッドキャストを探していて思いつき、現在絶賛プレイ中の「キングダムズオブアマラー:レコニング」を検索したら、感じのいいコアなゲーマー3人組が RPG について語り合う英語番組 Gamejunkが見つかった。ゲーム業界で働く人たちらしく、ゲームとして何が新しく何が美点なのかをフェアに語っており好もしい(彼らはカナダ人だと後日判明。「子供の頃カナディアンタイヤマネーでゲームを買った」と会話に出てきてわかった(笑)。道理での物腰やわらかさ)。「意外や驚くほどハマった」という語り出し。

 長所として語られたのは、
  • 近接攻撃と遠隔攻撃を使い分けることで広がるバトルの戦略性
  • システムの快適さ、ユーザーフレンドリーさ
  • 探索とバトルが過不足なくミックスされたバランスのよさ
  • 単なるお使いではなく物語性のあるサブクエスト

 というあたり。興味深かったのはメインストーリーに関しての言及で、

「ストーリーは弱いけど、ゲームが面白ければ実際それはどうでもいいね僕は」
「ね。名のある作家を起用してるから期待はしたけど、台詞が多すぎて聞いてられないな。台詞は全部スキップしてクリアしたけど、それでも面白かったよ」
「だね」
「俺は死んで生まれ変わり悪と戦い勝った――それしか知らないけどゲームプレイ上失ったものはないと思う」
「だね」


 というあたりになるほどなあと思う。台詞は声優がうまくて聞いてて気持ちがいい。しかし旅を始めて2週間経った今でも、「俺は死んで生まれ変わり悪と戦い」までしかストーリーはわからない。今後もそこに「勝った」しか加わらないらしい(笑)。しかし話は薄いがゲームは面白くて俺は走り回っている。

「こういうクエストをベースにしたゲームってさ、特に惹かれる物語があるわけじゃなくても、目前にタスクがあればそれをやっつけるだけで十分なモチベーションなんだよね」と語られていたが、これがこの現代米 RPG をやってて俺が感じている面白さの核心だなと思った。なにも新しくはないのだが十分に楽しい。プレイ感はスポーツゲームに近い。毎シーズン新しい選手を数人取るだけで5シーズン百試合もやってしまうサッカーゲームのような没頭感が、戦って経験値と宝をゲットしキャラを強くしていくだけのクエスト式 RPG にはある。

 日本の RPG のようにさまざまな土地の風物やダンジョンやミニゲームを楽しみ変化に飛んだ体験をしたいのはやまやまなのだが、バトルとキャラ強化だけを作り込むだけでもこれほど RPG というのは面白いんだな。ファミコンのウィザードリィ時代からコンピュータ RPG 遊びの本質は変わってないのだ。

 最後に「このダサすぎる名前を聞いたら普通誰もやらないと思うけど、レビューで褒められてるのを信じてやってよかったよ。スカイリムが好きならこれはハマるよね。スカイリムよりこっちのほうが僕は好きだな」「俺も」とスカイリムと比較されていた(※)。アマラーとオブリビオンの合わせ技で、スカイリムがどういうゲームなのかはほぼ想像つく気がする。俺はスカイリムをやる必要はないな。わずか20ドルで現代最高峰と言われる RPG が体験できるのにやらなくていいのかと義務感に近いものを感じてるのだが、スカイリムの映像に惹かれない上に前作オブリビオンがひどかったので、やらなくていいのであればほっとする。ゲームを遊べる時間は限られている。

(※)別の回で彼らは、「バットマン・アーカムシティ、ゼルダ・スカイウォードソード、アンチャーテッドといった普通の人がやる優れたゲームを差し置いて、ゲーマーしかやらないスカイリムがゲームオブザイヤーになったのはいかがなものか」と評していた。本回でアマラーの快適さを絶賛していたが、スカイリムはその点において「オブリビオンよりはマシだがフラストレーティングなゲーム」らしい。



「片付いたわね、マイダーリン」
あちこち回ってソケットのある刀を見つけ宝石を入れて強化し、とある洞窟をセクシーなライバルキャラ、エリンシアーと探索中。しかしよくできてるな。ダンジョンを NPC が同伴するのはこれまでもあったが、エリンシアーは雑魚敵を全部倒すと「片付いたわね」といい声で一言言ってくれる。これがうれしい(笑)。

 そして歩きながらなんにもないところで「へんね。ドワーフがいる洞窟がこんなに片付いてるなんて…」と彼女の独り言が聞こえてくる。こういうところがどきっとする。非常にナチュラルで、RPG 体験として新しい。このゲームはもともとオンラインマルチプレイヤー MMO のプラットフォームとなるよう設計されたそうで、音声付きの MMO ならばなりきった女性プレイヤーの声でこういう体験ができるんだろうな。それはゾクゾクすることだろう。

 最後の部屋でボス敵と壮絶なバトル。相手はめちゃ硬いが遅いので、コツコツ削っていけばいつかは勝てる。こういうコントロールできるバトルは非常に楽しいと思っていたら、10分にも及ぶ戦闘中一瞬ポーションを飲むのが遅れて死んだ。あー。ミスった。しかし楽しい  :-)。

 =======================
■15/01/20(火) □ ここがアマラーのピークか
 =======================

 【アマラー】今日は NPC 5 名ほどがいるグループ探索クエスト The Road Patrol に参加したのだが、これが最高に楽しかった。別にチームにコミュニケーション AI が組み込まれているわけじゃないのだが、ただ行くぞーおーとみんなにくっついて行って敵が出たら倒し、手がかりをチェックしていくだけでもワクワクするほど楽しい。CoD 等の軍隊所属ゲームにはこの楽しさがあるんだろう。オンライン協力ゲームなら究極だろうな。人を撃つのは嫌だが。

 このクエスト The Road Patrol はサブクエストの上位にあたる中クエスト的長いイベントで、やってることは端的に言えば NPC 数人とフィールドをうろうろしダンジョンに行っただけなのだが、台詞と演出で「強いモンスターが町の近くまで出てきている。ダンジョンを襲いその元を断つ。町のために命をかけろ!」という男たちの気概を感じることができた。こういうところの脚本がうまい。メンバーが犠牲になると立ち止まって供養したい気持ちになるくらいチーム感を感じる。日本の RPG はこういうときにお墓を作れるよう設計すべきである。以後通るたびにお墓に花を供えることができるとかね。そういうい細かいところができてこそ JRPG だろう。



 しかし先週のエリンシアーとのデート探索と今日の団体クエストである種のクライマックス感を感じるとともに、このへんがピークかなという気もしてきてしまった。2週間以上やりこれまでの来し方を考え行く先を思い、これよりも楽しいことが待っているような予感がしてこない。こういうときおりある変わったクエストが楽しいだけで、その他はリピート感が強くなってきた。

 イーサという森の精的な種族に認めてもらい自分の「運命」の謎をたどるみたいなのがメインストーリーなのだが、この話が意味不明な上に一向に進まんのである。いまだに旅の目的もわからず(自分の運命を知りたいなんてのは目的にならん)、誰に会えこれに会えとたらい回しにされている。ストーリーが意味不明とは英語ポッドキャスト Gamejunk の人々も言っており、日本語版 FF7 のセフィロスとクラウドの自分語りが「こいつら何言ってんのかわからん…」状態だったのと同じようにわからんのだと思う。


「これが永久に続くのかね」と、これをキャプチャした人も
同様の単調さを感じてるらしい(笑)
そしてなにより、2週間いてこの世界の景色に飽きてきた。どこへ行ってもファンタジックできれいだが、高低差がなく見通しが効かない森の単調さは変わり映えしない。もっと高く登り遠くの息を呑むような光景が見たいというオブリビオン・スカイリム欲は、旅が進んでも一向に満たされない。

 またダンジョンも建物も城も全部内装パーツが使い回しで地形にも特徴がないので、前に入ったことがある場所かどうかすらわからない。すでに開けた宝箱があって初めてああ前に来たことがあるわと気づくジェネリック(一般的)さなのだ。迷路や仕掛けがまったくないこれら環境構造物はそれが売りのゲームではないとはいえ芸がなさすぎ、プログラムにより大量自動生成されたオブジェクトしかこの世界にはないのだとプレイヤーは気づいてしまう。

 2週間で大陸半分(ゲームの 1/4 くらい?)を踏査したところで、バトルにはまったく飽きてないのだがこれらストーリーと環境のリピート感が厳しく感じてきてしまった。まあ長い RPG に飽きはつき物で、DQ も FF もゼルダも中断しては再開し終わらせてるのだが、予想以上にそれが早くきた感がある。

 =======================
■15/01/21(水) □ 人助けがしたい俺
 =======================

【アマラー】晩飯後ついに大陸東側のこれまでまったく未踏のエリアに踏み込む。ここで初めて樹木が途切れ、BC 北部のようなドライで開けた土地になった。おお。やっと景色が変わった。空があり遠くが見える。殺風景だが。

 この地方の町の入口近くで、モンスターに襲われ村が壊滅したという難民たちのキャンプに出会う。彼らは新たな安住の地を求めている。そして難民が町外れにいるのは不穏だと町の人たちが遠回しに嫌がっていることがわかる。このへんはリアリスティックだなあ。自然とこの難民たちを助けて、どこかモンスターの少ないエリアに町を作ってやりたいと思わせる。

 しかし残念なことにこの難民キャンプは単独サブクエストで、スパイを退治してくれというクエストを1つやってあげただけで後には何も続かなかった。彼らの悲しい境遇になんの変化も訪れない。助けてくれというなら喜んで働くのだが、誰も何も言ってこない。

 ああこれを準メインストーリーに格上げしてほしかった。あのめんどくさいメインストーリーを全部削除し、ドラクエのようにこの難民たちのために新たな村を作ってやるというような具体的な人生の目標ができたら、よほど夢が広がり楽しかったことだろう。俺がこれまで訪れた無人の地域を選び、難民たち数十人を率いて危険地域を抜け旅するとか考えるだけで面白い。道中の危険や、土地選びや町づくりへの関わりなど、それだけでゲームになるではないか。

 やっぱり人助けがしたいんだよな。サブクエストは基本全部人助けだから、かわいい女性に「サンキューソーマッチ!」と言われいい気分になれる。メインクエストにはそういう達成感がなく、抽象的なたらい回しだから燃えないのだ。



メインクエストのエイリンは例によってなんとかに会いに行けと俺をお使いに出すのみ。ったく郵便屋じゃないんだぜ俺はと思いつつも言われた方へ歩いていると、これまでとは違う乾燥地帯の景色に心がやや弾む。―――あ! 海だ。崖の上に出て海が見えた。これは感動した。初めて高いところにいる快感を感じた。これだ。地図を見る。エラテル平原(Plains of Erathell)の北の果てだ。やっ・た。景色に感動するまでに3週間かかったよ。これくらいの景色をいつも見せてくれ旅をしている感動を味あわせてくれるなら、お使いも我慢するんだけど俺。

 よし。まあもう少し頑張ろう。最後まではやらないんじゃないかなという気がしてきたが、しかしとりあえず新大陸を見るまでは頑張ろう。すごい景色をまた見れるだろう。これからは余分なクエストは受けず、ストーリーだけどんどん進めていこう。

 =======================
■15/01/24(土) □ クエスト式 RPG の限界
 =======================

 昨日夜と今朝アマラーを進め、強制クエスト(1つ終わると次が始まり終わりがない準メインストーリー)の仕事を進めてみたが、これが入り組んだ話になってきた。どうやら当事者2名のどちらかが嘘をついてるらしい。それを知るために別なところで別な者の話を聞いてこいとお使いの連鎖が始まり、うんざりしてきた。

 このシナリオは有名なファンタジー作家が書いてるんだそうだが、まとめて本で読めば「どちらかが嘘をついてるな」と面白いと感じると思う。声優演技も相変わらずうまい。しかし遠い道を行きつまらないダンジョンで雑魚を蹴散らし話を聞いてまた戻って一段落とやるのは、本を読むより大幅に労力がかかる。コントローラを操作して本のページを1枚めくっているようなバカバカしさを感じてしまう。

 クエストのテキストではなく、その行動に固有の楽しみを持たせるべきなのだ。依頼主の長い話を聞き、ダンジョンで用を足して依頼主にレポートバックしてまた話を聞いて終わるのではなく、入っていくダンジョンそのものに特有の構造と冒険性を持たせ、そこの探索自体を面白くすべきなのだ。それがゼルダを筆頭とする JRPG だ。そういう自動生成できないものを作るのは大変だから、イマジネーションと鉛筆と声優の好演だけで量産できるクエスト依頼主の「話」に意味を重く持たせてあるわけである。それがこうした米型クエスト式ゲームなのだ。このゲームを始めた時に、日本の RPG のほうがクリエイティブと感じるが何が違うんだろうと考えていたが、やっとわかった。

 これはMと萌が見てる SF ドラマ(スタートレック、ドクターフー等)に似ている。英語のああいう TV SF はほとんど会話劇なので、ちゃんと毎週見て背景を理解し大量の言葉を理解してはじめて面白さや感動が生まれる。映像としては SF 的なセットの中で熱い会話が延々と続くだけなので、俺のような一見さんには全然面白くない。意味すらわからない。こうして会話ダイアログで作られるクエスト式米 RPG も、冒険少なめで言葉が多めというまったく同じ構造を持っている。多くの人物の長い語りを脳内でつないでストーリーを理解するのは非常に困難である。

 このゲームのシステム上の弱さは(特に前半の)景色の単調さだが、ゲームプレイ上の弱さは物語がこういう会話の中にしかないところだろう。そこにクエスト式 RPG の限界を感じる。――よし。アマラーは一旦中止、ここまでにしよう。他のゲームを遊んで、そしてまたやりたくなったら戻ろう。

【キングダムズオブアマラー前半の感想】★★★★★ ★★
◎バトルが最高、古今無双の楽しさ
◎キャラ育てと操作性全般がオブリビオンよりはるかに明解
○魅力的な人間キャラたちとその喋りが気持ちいい
×特に前半の景色やダンジョンが単調
×世界がジェネリックで探索すべきものが少ない
×冒険の核心は結局のところ単なる文章

 というわけで長所部分はほんとうに素晴らしいので、キャラを鍛えることとバトルの楽しさでポッドキャスト Gamejunk ガイズのようにストーリーなしで一気に最後まで進める人も当然いるだろうし、俺のように一時脱落する人もいるだろう。スカイリムもそれは同じようで、何百時間もやる人もいれば脱落する人も多いらしい。Gamejunk ガイズは全員スカイリムから脱落している。未踏の新大陸フォルテンマーはぜひ見たいしバトルはいまだに楽しいから俺はまた戻ると思うが、3週間楽しんで今はここまで(※)。

 次は「バットマン アーカムシティ」だな。今感じている高低差不足のフラストレーションを間違いなく満たしてくれる。
(※)◇このブログ記事を書くために久々に起動してプレイしたクエストで、高低差激しく景色も地形ダイナミズムも素晴らしく、敵は強いわその分いい武器屋があるわで最高にエキサイティングな地方を発見し(Galafor, Rathir)、モチベーションがバババと充填されすでにバトル旅を再開しております。やっぱり景色がいいと RPG の旅は続く :-)。
◇この地方を見る前に単調で飽きたと批判して悪かったけど、3週間やって見つからなかったわけだからね。もっと前にクエストでここに誘導し、プレイヤーの目を喜ばせ気分と装備をリフレッシュさせてくれたらよかったのだ。ツンデレのエイリンシアに言われるままにメインクエストを追っていたんだけど、そっちのグランドキャニオン地方は殺風景だったしいい武器も売ってなかった。オープンワールドであるがゆえに、たまたまつまらない地方ばかり先に見てしまったわけである。こういうゲームデザイン上の問題も起きるわけだな、クエスト式オープンワールド RPG。
 =======================
■15/01/25(日) □ 3D 風景の単調さ
 =======================

 アマラーに続き、アクションアドベンチャー「バットマン・アーカムシティ」を開始。これは笑ってしまうほど素晴らしい。ゼルダ級に面白い。アマラーで得られなかった高いところへ登るデザイヤーと仕掛けを解く楽しみが、思う存分満たされております。



アマラーの風景の単調さはあのゲームの欠点というか、Xbox 360 の 3D 風景描画という点で最高峰と思われるオブリビオン、スカイリム、Forza 4 も似たようなものなので、3D レンダリング風景の特徴かなとも思う。現実的な自然の美しさは十分に再現できているが、風景デザイン自体におおというものを感じない。「グランドキャニオンの奇岩」を CG で見てるくらいなレベルの景色しか見れないという印象を受ける。


(いま見ても素晴らしいと思う、Playstation 時代 FF9 の町)

 これまでやったゲームの風景で最も眼福だったのは FF9 なのだが、あれは手描きアニメのような静止画書き割りだからこそ、人間が美しくデザインできたのかなという気もする。人の手が隅々まで入った小さな箱庭の美しさであって、マンガとアニメのデフォルメ技術の蓄積が生きているのかもしれない。俺の目はデフォルメされた人為的創造性を求めていて、現代ゲームの 3D レンダリングの風景は数学的に精密だからこそ、俺の目に迫ってくるものがないのかもしれない。

 バットマンのアーカムシティの廃虚風景は素晴らしい。3D レンダリングでも人工物はすごいものが作れるんだなと思う。クリーンなものよりもノイズのほうが創造的なものを描きやすいのかもしれない。

 日本人が作ると 3D RPG 風景はどうなるのか見てみたいが、FF13 は面白くなさそうなんだよなあ。ゼノブレイドがアニメ的でよかったな。まあいつか日本の RPG をまたプレイする機会もくるだろう。

2015/02/04

周回遅れの次世代機 Xbox 360

「姪と次世代ゲーム話」「日米ゲーム観の違い」「初めてのオープンワールド・オブリビオン」「アマラーに移行」「日米 RPG の違い」

 =======================
■14/12/28(日) □ 姪と次世代ゲーム話
 =======================

 M奥様がいまゼルダ・トワイライトプリンセスを猛然と進めており、これが終わったらもううちは Wii でやるべきゲームはなくなる。そこで次世代機として PS3 に移行するロードマップが敷かれているのだが(奥様がゲームをやってくれると俺がうれしいので)、ゼルダ好きのMが楽しめるゲームが現代ゲームプラットフォームにあるのかどうかがわからない。BV家ボーイズその他がやってるのを見たことのある次世代機ゲームは、銃で撃ちまくるヤツばかりなのだ。そんなものに興味はまるで感じない。

 今日うちに泊まってる姪 SF はボードゲームも好きだがハードコアな PC ゲーマーでもあるので、彼女のラップトップでおすすめゲームをいろいろと見せてもらった。Steam というバーチャルなコンソールが動いており、その上でゲームが動く。ラップトップにターボゲーマーとかいう感じのそれらしい名前がついてたのでゲーム用の高スペックマシンなんだろう。


ボーダーランズ2
見せてくれたのはスカイリム、トランジスター、ジャーニー、ボーダーランズ2など。いやー今どきのゲームはやっぱすごい絵だな。スカイリムの CG 世界は想像の範囲内だったが、ボーダーランズ2という FPS ゲームのアニメ内で銃を撃ちまくる絵には驚いた。ポリゴンにアニメ絵のテクスチャが貼ってあるのかな。それが操作に反応してリアルタイムで動くとは。こんな映像表現ができるようになってるのか今は。すごい。いずれは本当のアニメ映画の中で遊べるようにもなるんだろうなと思わされる。


トランジスター
「トランジスター」というゲームのビジュアルは FF7 のような見下ろし型 3D で、魔晄都市ミッドガルを思い起こさせるサイバーな風景の中をキャラが走り戦う。「FF7 みたいって言われてるわ」と SF もいうので、実際影響を受けてるんだろう。

 しかしかつての FF7 にはこういう背景絵が 3D 静止画書き割りで、1つの建物につき十数枚分しかなかったわけだが、この現代ゲームは背景まで全部リアルタイム 3D レンダリングなのでぐりぐり動き、そしてそれがどこまでも永遠に続く。スカイリムも含めどれも風景がいいとは特に思わないが、それがどこまでも続くことがすごいと思う。描かれた場所しかなかった20世紀のゲームと、場所が無限に生成される現代ゲーム。ほんと現代のゲームってデータ量命だよな、この背景絵を誰が描いてるのかと一瞬考えて、いや地形・建物・人物の自動生成エンジンがすでにあるんだろうと思い至った。エンジンが莫大な一般 3D 風景を作り、それに人間が手を加えアレンジしてるんだろう。

 「うちはゼルダみたいな剣と冒険が好みなのでどのゲームもやりたいとは思わないが、こんなものが見れて驚いた。すごいね」と評すると彼女も喜んでくれた。しかし「ゼルダはゼルダで、ああいうゲームは他にないわね」とのこと。ゼルダのバトル部分を満たすゲームはあっても、パズル部分はゼルダならではだという。やっぱりそうか。まあそんなに簡単に代替品ができちゃ任天堂が困るよね。とりあえず現時点で最も人気が高い RPG というスカイリムをおすすめされる。絵を見る限りは寒そうで殺風景でそそられないのだが、この現代最先端と言われる、広大な世界のどこへでも歩いていけるオープンワールド RPG は、俺も一度自分で見てみたい。

 =======================
■14/12/30(火) □ 日米ゲーム観の違い
 =======================

 次世代機(PS3、Xbox)ゲームを本格的に調べてみると、ゼルダ、ファイナルファンタジー、ドラクエみたいなゲームというのは北米では絶滅してるんだなと実感する。中古で売りに出てるゲームコンソールには例外なく戦場撃ちまくりゲームが入っているが、スカイリム以外 RPG らしきものは見当たらない。

 ゼルダほどのパズル満載は無理でも 、FF、DQ のような謎解きと育成がほどよくミックスされた RPG ならMにもやってもらえると思うのだが、しかし現代北米ゲーマーは中世ファンタジーみたいなものには胸踊らないのだというのはヒットゲームのチャートを見るとよく分かる。RPG もスタートレックみたいな SF や近未来廃墟ものとなっているのだ。つまり銃である。銃はつまらない。

 アドベンチャー系も全部ダークというか犯罪系(グランドセフトオート、セインツロウなど)で、町を車で暴走し敵ギャング団を撃って冒険が展開するという感じ。つまり銃がらみ。結局ハリウッドのアクション映画がゲームになっているんだな。米ゲーマーはハリウッド映画の中に没入したいのか。俺はそういう願望は全然なくて、ただゲームでだけ可能な楽しいことをやりたいのだが。



 FF だけはまだ手に入るけど中世じゃなくどこかあさっての未来にいる感じで、男は全員ホスト顔で、女は口半開きのぽよぽよになってしまった今の FF は萌の友達には悪いジョークだと思われてるそうである。PS3/Xbox で出てる FF13 の英語圏評価は低い。俺もあのルックスと中二世界観にはそそられない。

 英語ゲームサイトで日本の RPG の評を読むと、「ストーリーは JRPG らしく例によって一本道(linear)だ」と揶揄されている。目標を達成し次の村へ行けるのではなくオープンワールドで自由に世界を股にかけ、サブクエストだけをやっていても楽しいような作りが主流になってるということなんだろうな。なるほどね。ゲームの東西文化差は映画よりも大きそう。それを見てみたいのである。

 =======================
■15/01/03(土) □ 周回遅れの次世代機 Xbox 360
 =======================

 当家の Wii 後継機(世間からは周回遅れ)導入計画は定まった。中古 XBox 360 でいく。カナダでは PS3 よりも Xbox のほうがゲームの選択肢が大幅に広い。というわけで、

    ----------------------
Fable II                            ゼルダ風な絵のRPG
Kingdoms of Amalur: Reckoning    スカイリム後に出たフリーワールドRPG
Elder Scrolls IV: Oblivion            スカイリムの前の大ヒットRPG
Sleeping Dogs                    香港の町を冒険するフリーワールドアクション
Batman Arkham City                ゲームオブザイヤーのアクション
Civilization Revolution            有名なシミュレーションゲーム、いわゆるCIV
The Beatles: Rock Band            ギター付き!
    ----------------------

 とよさそうなゲームがどっさり入った中古品を見つけ、無事交渉成立した。相手の家まで引き取りに行き「こんないいゲームが山盛りでぼかァうれしすぎて」と相手の手を握りガシガシ振ると、相手の旦那さんもうれしそうに「僕ら夫婦はゲーム産業で働いてるんだよ。妻はカプコンでね」とおっしゃる。

「ぼかあ日本人ですよカプコン知ってますオフコース」
「で僕は君に売った中に入ってる香港警察 Sleeping Dogs というゲームを作ったんだ」
「え! そんなあなたのベイビーを売り飛ばしていいんですか!」
「まだたくさんあるからいいんだ :-)」


 と、いい人に巡り会え、今うちにあるんですよ Xbox 360 120GB。

 でまず萌が友達のゲームボーイズに「あんたたちの好きなマシンガン馬鹿打ちゲーをあたしもやったわよ!」と言って盛り上がるためだけに戦争ゲーム Call of Duty をトライ。絵はたしかにすごい。

 しかし自分の娘がマシンガンで人を打ってるとやっぱゲームとはいえ悲しくなっちゃうので、「もうやめでぐで!」とマシンガンの前に身を投げ出して戦争を止め、一緒にやろうと選んでおいた RPG「キングダムズオブアマラー:レコニング」というゲームをトライ。まったく洋ゲーってタイトルすらそそらないな。なんでこんなに長く、レコニング(報い?)なんて英米人でも普通知らないような単語を使うんだ。


長大な剣をぶんぶん振り回す「アマラー」
これは大ヒット作「スカイリム」の影響下にある最新 RPG なのだが、敵をズバズバ刀で斬りダンジョンの外を目指すという、何をすればいいかが明確でとっつきやすい。操作性も素晴らしい。洋ゲーらしくメニューの見方はよくわからないのだが、敵を倒すと経験値とお金と武器防具がどんどん手に入る。Playstation で萌とやった FF7/9 やドラクエから5年以上ぶりの RPG 経験値獲得だ。やった。これが RPG だよねと感動するねと萌と手を取り合う。この楽しみだけはゼルダになかったからね。これは遊べるな、間違いなく。



 洋ゲーらしいといえば Xbox 自体もそうで、コントローラは PS や Wii に比べどのボタンも感触が悪いしプラスチッキー。ホーム画面のメニュー類もまったく非論理的な並び方をしており、変えたい設定(自動サインインとネット接続の確認スキップ)がどこにあるのかさっぱりわからない。旅行中レンタカーで借りたフォード車のダッシュボード UI が悪すぎて、エアコン温度を変えるボタンを最後まで見つけられなかったことを思い出す。温度といえば排気の熱さが PC 以上で、その電源ノイズも PC 並み。まあ内部は実際俺のデスクトップより数倍速い PC なんだろう。

 このへんの品質の低さはある程度覚悟して、ほとんどのゲームで PS3 を上回ると言われる Xbox の画質と、とにかくついてくるゲームディスクの球数で決めたのだ。付属ゲームがなんと 50 本! 俺がこれまでのゲーム人生で買ったゲーム総数よりも多いかもしれない。どのディスクも痛みが少ないので、前のオーナーが仕事柄デモ用にもらったゲームがほとんどなんだろう。ありがたやありがたや。カナダに住んでると Xbox はやはりコストパフォーマンス最強だな。

=======================
■15/01/04(日) □ 初めてのオープンワールド・オブリビオン
 =======================

 各種 Xbox ゲームお試しの日曜日、現代最も人気がある RPG「スカイリム」の前作にあたる「オブリビオン」をやってみる。これまで人生でほとんど遊んだことのない様々な洋ゲーをこんなに一気に体験できて、本当にありがとう俺に安く売ってくれたカプコン奥さんの旦那さん。


スーファミレベルの画質のダンジョン
オブリビオンはいきなり映画のただ中にどんと押し出されたみたいな幕開けで、何をしてもいいという初めての完全オープン RPG なので緊張してそろりそろりと歩く。――がしかし操作性が異常に悪い(笑)! なんだこれ。壁にぶつからず歩くことすら難しい。後ろから襲われたらそっちに振り向くために左右レバーで複雑な操作をせねばならず、ネズミを倒すのさえ一苦労である。ヒドイなこりゃ。

 スーファミ時代の洋ゲーがそのままリバイバルしたみたいな操作性の悪さに耐え切れずいったん中止。パンチや剣の振り方の不自然さや、背景の上にキャラが浮いて前を向いたまま前後左右に移動するグラフィックなど、すべてが25年前のスーファミ品質だな。このゲームのレビューで操作性や絵の悪さに文句を言ってるのは見た記憶がないのだが、何一つ直感的に動かない。8年前の Xbox/PS3 ゲーマーはこれを我慢したの? 驚いたな。これに比べると移動だの向きを変えるだのと遠くを見るだのといったことは考えるまでもなくできるゼルダはじめ日本ゲームはよくできてるわ。


このオープンワールドにはおおと声が出る
とりあえずスタートの監獄から出て空くらいは見たいので再開。2時間ゆっくりかけて操作法を覚えながら最初の牢獄を脱出。外に出ると夜だったので、待つコマンドで4時間待ち昼間の景色を見る。おおなるほど。風景のグラフィックは Wii ゼルダより若干いい程度だが、たしかに猛烈に広い。その広さが非常に心地いい。

 そこから最初の村まで歩く。ここで村人が通り過ぎざま向こうから挨拶してくるという気持ちいい体験をする。うを、これか。これは体験したことがない。道で会った人への返答を間違えて好感度を下げられ、途中にあった宿屋で食べ物を物色していると女将に泥棒だと大声を出される。ちょっとしたミスで思わぬことが起きる。

 マップとコンパスの見方もようやくわかってきて村を間違えていたことが判明してロードし直し、スタート地点から反対側の村へ向かう。特に道はないので藪を抜けゆるい斜面は登り、崖は迂回し川を泳ぎ、地形上通ることが可能なところを地図と目測で探しながら非常に長い道を進む。モンスターはほとんど出てこないが、この移動が楽しい。行けるところを探し自分で方向を決め長い行程を歩くこと自体が楽しい。これは新しい。これがオープンワールドゲームか。GPS を使い Google マップを見ながら目的地に向かっているような楽しさがある。

 しかし得られるものがだいたい想像ついてくると、この強烈なコントロール性と視認性の悪さを乗り越えてやる価値があるのかとやはり疑問に思わざるをえない。3時間やってもメニューの使い方はわからなかったし、後ろからネズミに襲われると反転に手間取り攻撃できず延々とかじられるのはオプションをいじっても改善できなかった。この直感でキャラを動かせないもどかしさは、ほんと勘弁してもらいたい前時代フィーリングである。操作性はスーファミ以降にやったゲームで最低だと思う。戦いはつまらんしアイテムを取っても使い道がわからないしで、道中に建物があってももう何も調べずに通過している。面倒に関わり合いたくない、ただ歩きたいという感覚。これも RPG 体験として新しいというか初めてのことだな。

 やっぱり日本のゲームは使いやすいわ。ドラクエのメニューの見やすさはは偉大だった。アメリカカナダ人は不便を気づかないところがある。気づかないから使いにくいものを作ってしまう。―――そういう強烈な徒労感を感じながら最初の村にたどり着き馬をもらい、この馬もどう操作しても茂みにぶさっと突き刺さってしまい移動できないのでここで終了。

 【結論】オブリビオンは古すぎる。やめよう。ゲーム内容を評価する以前の問題で挫折。なんでこのゲームが絶賛されるのか、さっぱりわからない。

 =======================
■15/01/05(月) □ アマラーに移行
 =======================

 オブリビオンは没と決め、きのこが生えたファンタジー世界のアクション RPG「キングダムズオブアマラー:レコニング」に移行。

 最初のダンジョンで強い敵に囲まれやられてしまい、重装備に変えた。二度目もダメ。しかし面白い。このゲームのバトルはゼルダを超えるどころか、俺がこれまでやったことのあるどんな格闘ゲームよりも面白い。自キャラはスピードがあるので踏み込んで斬る斬る斬る、相手が態勢を立て直したら横っ飛びで逃げ間合いを取る(体力がやばかったらそのとき薬!)が基本なのだが、これをなにも考えず自然にやれる。キャラが自分の体のように直感で動く。これだよ剣撃ものの楽しさは。

 ゼルダは背後の敵は見えないが、このゲームはカメラワークがよくできていて自分の前後左右どこに敵がいるかは常にわかる。位置がわかるので振り向きざまに背後の敵に跳び込んで切り込めるのだ。返す刀で左右の敵を斬る。もう時代劇の三船敏郎をカメラで追いつつ自分が操作してる状態。気持ちいー。こんなバトルはやったことがない。ゼルダより10年、オブリビオンより25年くらい進化している。

 しかし多数の敵に囲まれたらいくらスピードがあってもやられてしまう。そこでばーっと大きく走り洞窟の別のエリアまで逃げて待ち受け、追い付いてきた雑魚を 1 つ倒しては逃げまた倒しては逃げと戦い方を考えて補うことができる。人間様の知恵で戦力差を補うことができる。倒さないでそのまま洞窟から逃げることも可能。こんなことができる(敵が戦闘開始位置を離れ追いかけてきて、自分はどこまでも逃げることができる)ゲームは初めてだ。この自由度は素晴らしい。

 敵から見えない物陰で待ち伏せばっと飛び出し切り倒していくと、子供の時イトコの家にあった「騎兵隊ゲーム」というボードゲームで相手の打つ大砲が当たらない物陰から部隊を進めるのがゾクゾクするほど楽しかったことを思い出す。そういう敵から見えないところに身を潜めて戦うという根源的な喜びを味あわせてくれる。RPG でこんな遊びができるとは思わなかった。洋ゲーすごいと初めて思いました。

 勝てないと装備を固め戦い方を考え、より強い武器を手に入れることを夢見てダンジョンを探索することになる。まさに楽しい RPG、しかも剣撃アクション型ならではの RPG。謎解きは何もないが、このバトルと装備関係の楽しさで楽しんでいける。素晴らしい。よし、Xbox ではこれをまず遊んでいこう。

 =======================
■15/01/08(木) □ 日米 RPG の違い
 =======================

 「アマラー」をコツコツ進めている。あーバトルが楽しい。今臨時の相棒アガースとダンジョンに入ってるのだが、アガースが時間を稼いでいる間に俺は物陰に隠れ、敵をおびき寄せ1匹ずつ倒していく。その間アガース自身はダー! アー! と大声をあげ勝手に敵と延々戦ってくれている(笑)。彼自身は敵を倒せないし殺されもしないようだが、数匹引き付けてくれてるのでチームワークはちゃんとできている。

 そして雑魚を全部片付けた俺が、アガースと戦っている最後の敵を遠くから弓矢でポンと倒す。―――たのしー! 位置やタイミングや武器選択の戦略性がシームレスでバトルに入ってくる。かつてハマったタクティクス系のゲームをリアルタイムアクションでやっているような喜びがある。素晴らしい。



 「アマラー」にはゼルダやドラクエと違い謎解きなどまったくない。現時点ではストーリーもほとんどない。クエストといわれる複数の同時進行形ミニ指示(「○○と会え、○○を取ってこい」系、たいてい強敵とのバトルが最後にある)の達成がこういう米 RPG の進行エンジンとなっている。メインのストーリーもクエストの1つに過ぎないので、保留して延々と他のサブクエストをやっていても問題ない。そうして自分が進みたいペースで遊んでいられるのがクエストドリブン型といわれる、現在主流の RPG システムなわけだ。

 今いる序盤の地域から、その気になれば弱いままで大陸の反対側や別の大陸にも行けるのだろう。この世界のどの地域もロックされていないという意味での「オープンワールド」は、まあ別段どうということもない。究極のオープンワールド「オブリビオン」では広大な何もない野山を歩きながら、遠くの景色を眺め「いつかあの都へ俺は行くのだ」と思いを馳せることがたしかに気分よかったが、今行こうとは思わなかった。広いことがただ気持ちいい。機が熟せば行くのだから、見えさえすればオープンになっていなくてもいい(※)。

(※)現時点で感じるアマラーの唯一の欠点はこの風景の見通しの悪さで、平坦な森の中にある村々の周辺で活動しているので、きれいはきれいなのだが地形に高低差や広がりがなく単調なのだ。地形も覚えられないしオブリビオンのような風景遠望の楽しみや旅感がない。ダンジョンもビジュアル的に特筆すべきものはない。それ以外はぶっちぎりでオブリビオンより楽しいのだが。あと TV 解像度ではフォントが読めない。


 アマラーは昔ながらのよくできた RPG だと思う。森を進み敵を倒し、その落とす宝でいいものがあれば装備し、ダンジョンが見つかれば潜り込み敵を倒し宝箱を開けてさらにいい装備を手に入れ進んでいく。やることはそれだけで十分に面白い。ウィザードリィやドラクエのレベル上げの楽しさがここにつながっている。ストーリーや仕掛けに見るべきところはなくても、手を抜かずに作られた RPG というものがどうにも面白いのだろう。

 つまり現代米 RPG の特徴であるクエスト式にもオープンワールドにも俺はさほどのアドバンテージは感じず、いろんな新機軸システムやミニゲームを考え出し投入してくる日本の RPG のほうがゲームシステム上はクリエイティブだと感じる。がしかしアマラーは演出が圧倒的にうまい。

ある橋にクエストを依頼するきれいな女の子がいたのでかわいいなあとぽーっとしつつ話していると敵が乱入してきたのだが、すると驚いたことに彼女も一緒になって戦うのだ。き、君は戦えるのかい可愛い子ちゃん! そしてこんな例外っぽい場面にもちゃんと「なんなのよこの化け物たちは!」と女の子の声がちゃんと遠くから聞こえてくる。これにはうおーとしびれてしまった。その圧倒的な可愛い子ちゃん感じゃなくて、ちゃんと存在している人物感に。

 さらに村の中まで魔物をおびき寄せれば、村のソルジャーたちがわらわらと出てきてター! と総出で戦い追っ払ってくれるのである。すごい。村の衆がそんなに強いなら俺が戦うこともないじゃないですかい。こういう例外的バトルも起きうる手抜きのないリアリティ構築と、そこに声を加えるという演出のうまさにさすがにハリウッドの国の最新ゲームだと感服せざるを得ない。JRPG はこういう例外的場面を演出過剰の CG ムービーでやってしまうからダメ出しされたわけである。

 シナリオは本職のファンタジー作家が書いてるそうで台詞が非常にいい。メインストーリーはまだ断片的すぎて五里霧中だが(そこはよくない)、小さなサブクエストのストーリーがなかなかいい。戦場に出て戻らぬ夫を探してほしいだとか、村の流行病いの治療薬を洞窟から取ってきてほしいとか、悪いやつを倒しに行くと、実は依頼主のほうが嘘をついていたとわかるなど。


俺を惑わすセクシー美女、敵か味方か定かでない
そして日本アニメの英語吹き替え版などを見ても思うのだが、英語圏はやっぱり喋りの文化なので声優がみな実にいい。ただうまいだけでなく、声と喋り方に魅力がある。女性キャラが英国訛りでキツイことを俺キャラに言ってくれちゃうとおー気持ちイーと感じてしまう。クシャナ殿下萌えみたいな。それにこういうセクシーなものを見ていたいという気持ちを隠さないところがアメリカの男は正直だ(笑)。

 アマラーにはアメリカの豊かなリソースがどーんと注ぎ込まれている。その質量が日本のゲームを圧倒していると感じる。近年の日本の大作ゲームは Wii のゼルダ2作「トワイライトプリンセス」「スカイウォードソード」しか俺は知らないのだが、とりあえずあの日本的なゆるくウフフな演出は北米一般男子に対し訴求力がなさそうだなあと、この全編ハリウッド的演出のゲームを見て思うのであった。