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■15/04/26(日) □ バンクーバー散歩
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久しぶりに家族行事だわよと奥様の声掛けでバンクーバーへ。ADの友人のバンクーバー名店のシェフが新たに出したというメインストリートのフレンチレストランで、出てきたシュレデッドポークのサンドイッチが実にうまかった。フレンチのソースに味噌を加えてあるような気がする。うまい。俺の飯運の悪さとカナダ人の外食要求レベルの低さが合わさって洋食でうまいものに出会うことが俺はほとんどないので、これだけで気分が盛り上がる。ケーキもコーヒーもうまい。さすがとしか言いようがない。
そこから博物館に行くMのプランだったのだが、天気がいいから公園へ行こうと提案しキャンビーストリートからクイーンエリザベスパークへ行く。萌がMのお腹にいた頃に来てからだから 15 年ぶりだと思う。なつかしい。昔の砕石場を庭園にしたそれは美しい公園で、春の温かい中ここをのんびりと回ると幸福感がある。いい日であった。
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■15/05/03(日) □ ヒップホップダンス発表会
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萌が半年ほど前から習っているヒップホップダンス発表会を見に行く。ヒップホップだけじゃなくタップダンスなど様々なダンスが一同に会しており、振り付けもよく考えられていて思ったよりもずっと面白かった。
しかし見ていれば自然とわかるのだが子供のダンスなので、振り付け指導の講師の熱意と才能で演技のクオリティはおよそ決まってしまう。アメコミコスチュームを着た「ヒーロー」とかヘルメットの労働者を模した「ワーカーズ」など各組テーマに沿ってコスチュームと振り付けに凝っており楽しかったのだが、萌のグループはテーマが「スウェットパンツ」だという。このためにお揃いのスウェットを買わされたのだが、演技はスウェットパンツを履いたティーンが踊るというだけだった。スウェットパンツにいったいどういうテーマ性を持たせられるのかと…(ため息)。
まあ振り付けはどうあれ、萌自身の踊りはこれまで見たことがなかったので(家では本人が照れて見せてくれなかった)、ウホホまじでヒップホップだすごいと声が出てしまった。うまいではないか。本人もやる前は緊張していたけど演技後は達成感があった様子。よかったよかった。
しかし練習は見学禁止で、今日も写真ビデオは撮影禁止。映像をほしければ公式 DVD や写真アルバムを買えというシステムになっている。このカナダの子供の楽しみを人質にしたビジネスモデルには本当にうんざりさせられる。こんなモンキービジネスに関わらず日本の田舎でのんびり高校生をやっていた俺は、その点だけは幸せだった。
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■15/05/12(火) □ 日本エレクトロニクスの弱点
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ばば様を病院に送り近くの駐車場で待機中。膝の上にはなぜか昨日買った奥様のタブレットがあるし、ここには Wifi もあるのでツイートしたり読み物したりして退屈をしのげる。まったくカナダはパブリック WiFi が多くてありがたい。
タブレットの機種は台湾 ASUS の高級品 T300 Chi といい、美しく高性能である。しかしやや重くバランスが悪い。タブレット部とキーボードがマグネットでガシッと接続する形態になっておりその堅牢さが売りなのだが、しかしその特殊な機構ゆえに角度の自由度が低く、膝の上に置くと斜め上からスクリーンを見る角度になる。しかも手を載せていないとキーボードが浮いてしまいそうなくらいバランスが悪い。また合体しただけではキーボードが接続されずキーボードスイッチを別途入れる必要がある。各種スイッチも異常に小さく押しにくい。USB は全部マイクロなのでマウス等使うにはアダプタが必要となる。月に一度キーボードと本体をワイヤでつないで充電しなければならないのも欠点。全体として、見た目はいいがえらい使いにくいなコレという感想になる。
ASUS は社のフラッグシップとしてこの Chi(漢字で「気」)に精魂つぎ込んでるようで、たしかに台湾製らしからぬ高級感がありよくできている。しかしどうしてこうも明らかな欠点だらけなのかという感じ。日本製ならばこんなあからさまな欠点は残すはずもないし、キーボードやスイッチ類の操作感は2倍よくできるだろう。
現代日本エレクトロニクス最大の弱点は外国で売ってないことだよ。以前はたしかに台湾韓国製と価格面で勝負にならなかったが、消費者はこの程度でも見た目が良ければ $800 出してくれるのだ。この値段ならば日本だって同等以上のものを当然作れるだろう。いやきっとすでにあるだろう。それをなぜ輸出できないのだろうと思う。
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しかし Windows 8 はひどいな。操作法をネットで検索して調べないと開いたアプリを閉じる方法さえわからない。Win7 までは普通にできたことが、高度なチューンを施し改造しないとできなくなっている(Start ボタンがないというのは本当にひどいので、まず最初に改造した)。コンピュータはどんどん不便になってゆくと誇張でも比喩でもなく実感として感じる。Apple と Google がスマホ発祥の非論理的インターフェイスを推し進めているのだが、Microsoft も追随してるのである。
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■15/05/22(金) □ 突然中古 PC に移行
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Mのタブレットをいじったあとでは自分の PC の 1.6Ghz + 1GB RAM が死ぬほど遅いので、実用速度にするためもう 1GB くらいメモリーを買おうと中古 PC 屋のサイトを開いたら、
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$199 HP 6005 Pro AMD Phenom x2 3.0GHz Win7 Pro 64
【4GB】 DDR3 Dimm 160GB SATA HDD DVDRW Burner
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なんてのが最初に出てきてアップグレードがバカバカしくなった。これを買い移行します。計算速度2倍メモリーサイズ4倍やで。すごい。
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16:38 システム移行中、日記を書けるところまで復活。まだ操作感に慣れず、キビキビしすぎて神経質に感じる。軽自動車レベルだったのがスポーツカーになった感じ。
前の PC のハードドライブを新 PC に移植するぞと箱を開けてみてびっくり。見たことないパーツだらけや。なんだ CPU に載ってるこの工場みたいな配管は。そして移植しようにももう IDE なんてコネクタがない。どんだけ世代の古い PC を使ってきてたのか俺は(笑)。
まあ考えてみれば 10 年落ち? くらいの前のマシンですら DVD は SATA だった。IDE がないとなると SATA を買い足さねばとまた出かけて 15 ドルで買ってきた。これでよし。快適です。なんでもっと前にこれをやらなかったのかシリーズである。
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■15/05/23(土) □ 二度目のヒップホップ
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二度目の萌ヒップホップダンス発表会に行ってきた。今回はクラシックバレエ組との合同コンペで、俺はバレエというものを初めて目の前で見たのだが、見習い中のスチューデントでも繊細な動きの美しさにおーと胸が動く。これの鍛え抜かれたプロを見たら、そりゃ感動するだろうね。
最後にスローなエレクトロポップにバレエの技術で軽やかに舞うグループが出てきたのだが、これがまるで Perfume だった。奥様に耳打ちするとそうねという。あのつま先までコントロールされたリリカルな動きって、バレエ的だったのか。この組が本日ベストだったな(写真はイメージです)。
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しかし前回は郊外タウンの牧歌的大会だったのだが今回は生き馬の目を抜く都会バンクーバーで、その筋では有名だという地元ダンススクールからヒップホップ組に大挙参加者があり、レベルは違うわ向こうはホームで大歓声を浴びこっちはアウェイでシーンとしてるわで、萌たちは完全に圧倒され気の毒であった。「彼らはすごいわよね。うちなんか全然ダメ」とぼやいている。いやまあでも頑張ったよ。前回よりうまくなってたし。まあ週一のレッスンじゃあれは無理だから、彼らはプロになるために毎日シリアスにやってるんじゃないかな。上手な子は3~4ものグループで踊りまくっていたからね。
萌に言っても慰めにはならんのでそれ以上は言わなかったが、奴らはすごいけど先生がよければ萌たちだって簡単にもっとよくなるよ。ダメなのは先生であって、君らの責任ではない。
それに彼らはたしかにめちゃくちゃうまくて見事だったのだが、ヒップホップってみんなパフォーマンス中に怒った顔してるのが俺にはどうも違和感であった。親に習わせてもらいまめに送迎してもらって楽しくやってるんだから怒った顔なんてまったくの演技であり(まあ演芸なんだから演技が悪いとは言わないが)、なんか恵まれすぎてるぜと思ったな。若者がこうして恵まれすぎてるから、シルクドゥソレイユみたいのは出てきてもいいロックバンドは出てこないんだよな、カナダって。昔から、親戚の子供らを見ながら俺はそう感じている。
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■15/05/30(土) □ 美しき感傷の「風立ちぬ」
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ジブリ【風立ちぬ】を見た。「マッサン」のテーマとして俺が受け取りツイッターでつぶやいた「君なしには不可能だった(I couldn't have done it without you)」という言葉が、そのまま英語字幕に出てきた。これもまた愛と感謝の物語だった。美しい映画だった。泣けた。
たけひ氏
印象的だったのは、過ぎし日の日本の風景の美しさで、宮崎アニメ的な誇張もあるのだが1カット1カットが夢のようだ。戦前の息苦しさも押さえつつ、それでもひとつの時代を映像の力で肯定的に再現するという試みはまさに映像作家しかできない偉業だなと思った。
りかぞう氏
なぜ私は「風立ちぬ」を見に行ったのかな。何か「行かなきゃ」っていう気持ちが働いたから、としか言いようが無い。そしてとても良かった。エンドロールの間、どう説明していいかわからないけど、ものすごい泣いた。エンドロールが終わっても涙が止まらなくて、恥ずかしくてトイレに駆け込んだ。
2013 年にスクラップしておいたいくつかの「風立ちぬ」ツイートを今見ている。いつもツイートを見てる人たちの風立ちぬ感想をあまさず読みたくなる。だけどそんなことはツイッターの機能的に無理で、風と共に去りぬっちゃってるんだよね。
◇
昨日 N スペ『高度成長 何が奇跡だったのか』を見ていて、戦前からの技術がつながり興産により日本が敗戦から立ち上がっていくさまをドラマチックに感じやはりある種の感動があったのだけど、そういうベース知識がない外国人には「風立ちぬ」で伝わらないものがあるのかもしれんなあと思った。
というのは「風立ちぬ」は夜遅くに見始めたのだが、Mと萌が寝落ちしてしまったんである(笑)。ジローが三菱に入るとか飛行機試験で日本製のダメさが露呈するといった描写があるたびに、「こ、これがあのゼロ戦に…そしてやがて自動車産業に…)という感慨に俺だけが盛り上がっていた。
軽井沢の万平ホテルでの恋とかもやっぱり、ちゃんと読んではいなくても一般常識として大正の避暑地の恋文学を知っており、それが美しい映像になってるから俺の感動トリガーは多めに引かれちゃう。「これうちもジョンとヨーコも行った軽井沢だよ!」と画面を止めM萌に力説してしまった。
「風立ちぬ」はそうした日本のノスタルジーと感傷とを宮崎監督が思い切り恥ずかしげもなく美しく詰め込み、愛することと風に飛んだものを見事に捕まえること以外に何も持たない少女と風に飛ぶ夢を追い続ける男の恋も熱く描いてくれ、最高によかった。「千と千尋」以降で一番よかったです。
「風立ちぬ」には宮﨑駿アニメ自体へのノスタルジーと感傷もたっぷりと含まれていたな。人々の動きや表情、風景情景、空とイタリアへの憧れ、イタリア映画っぽい音楽、ジブリっぽい音楽。もうこれからはそんなに見れなくなるのでしょうが、あなたなしにはなにもかも不可能だった。ありがとう。
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