2015/07/30

信州夏やさい

長野の実家に滞在中。外 国からの客(俺一家)が来てるというので、母の友人知人が毎朝どさどさと朝採り野菜を届けてくれる。信州の夏きゅうりとナスはもうどう食っても世界一うま い。兄貴は釣りたての魚とイカを届けてくれた。刻みきゅうりと和えて食べるイカさしも世界一うまい。毎日食い過ぎております。

しかし驚きは長野駅ですよ。史上初めてJRから私鉄長野電鉄までエスカレータがつながったことに帰国時まず感動したんだけど、駅ビルがシックで美麗で機能 的に大変身していた。しかも沖縄に続いてここにも俺がかつて働いていたサマンサモスモスが! 俺が倉庫で配送してた頃は全国20店舗ほどだったのに、こんな全国津々浦々にあるとは。知らぬ間に一大ファッション企業に成長していたのでしょうか。

2015/07/09

日記「旧友ノスタルジー」

「カナダの郵便配達トラック」「まれ脱落」「なでしこオランダ戦」「娘らの冒険」

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■15/06/15(月) □ カナダの郵便配達トラック
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 Mとバイク2回め。前回と同コースのバリエーションだったが、曇った日があれば川の方へも連れて行こう。去年一人で見つけた道がたくさんある。

 帰りに野球場の日陰にメールトラックを発見。うちに郵便を届けてくれるメールウーマンは、ここに停めて当地区を歩き配達してるんだ。カナダの郵便配達はみんな健脚だわ。これはとてもカナダっぽくていい風景だなとMに立ってもらって1枚。

 【女子W杯】カナダーオランダ:今大会カナダ不調の原因はホスト国であることによる攻め急ぎ・守り急ぎなのは明らかなのだが、今日も気合いが入りすぎている。先制点は取れたが追加点が取れないので攻め続けているうちに、自らリズムを崩し追いつかれる。さいわいドローでも1位は確定で、ベスト 16 でいきなり日本と当たることはなくなったが、このチームが日本との準決勝まで上がってこれるかどうか。



 夕方MKと子供らがチェリーを採りに来た。ふー。カナダとはいえ真夏の午後は暑い。ワールドカップの季節が毎年一番暑いんだよな。

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■15/06/17(水) □ 「まれ」脱落
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 【まれ】恋に動揺したまれが鍋やらジョッキやらコップやらを何度も何度も床に落とすあたりで、ついに見るのをやめた。俺は当面なでしこサッカーに専念しよう。俺の鮫ちゃんは試合中同じミスは繰り返さない。

 あの飛び交う鍋や液体を見ていて思うのだが、たおさんの振りとお釣りの大きな動きには端正さが足りない。だから見ていて見苦しい。彼女は体育大学で舞踏をやっているというが、俺たちが目にする実際の動きは速筋だけを使いダンパーが効いておらず、投げっぱなしの投てき競技者のようだ。サッカーをやればトラップでボールが跳ねてラインを割っていくだろう。元治さんのように表現によって研ぎ澄まされた身体には見えない。

 師匠や陶子さんを見たくて稀や圭太の登場部分の音声をオフにしてまで見てきたけれど、もういいわ。クドカンのようにバカが自らの細胞分裂で多彩なバカを生み出してくれると楽しいが、普通の才人が筆先で作ったバカはただの視野狭窄でつまらない。俺はただイラついてしまう。さよなら師匠、さよなら陶子さん。

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■15/06/18(木) □ 旧友ノスタルジー
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 FB に、1980 年代後半いつもバンドのビデオを撮ってくれてた IW が登場した。

Tomo:IW ってビデオを撮ってくれてた IW なの? ハロー元気?
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IW:そうですその IW です。御無沙汰しています。僕は元気です。相変わらず音楽関係のビデオ作って生活しています。
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Tomo:そうかそうなのか。私はいろいろあってカナダに住んでるんだよ。ときおり音楽ビデオを眺めてる時なんかに、君のメガネの奥のギョロ目を思い出すことがあるよ。

IW は俺たちのバンド(当時はジータ)を、メガネの奥で目をギョロギョロさせながら前のめりに褒めてくれるいいヤツだったよ。私は自分が気に入ってたけど誰もことさらに褒めてくれなかったコートを、IW が褒めてくれたことまで覚えてる(笑)。

大学を出て最初のバンド(アブスト)をなくした頃、IW たち美大の連中と知り合い、新しいバンドも発進した。あの頃の自分の人生がふわーっと広がり浮かび上がっていくみたいな感覚のハッピーな記憶の中に、IW のメガネのギョロ目があるんだ。
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IW:ジータは本当に恰好良かったです。はじめていちご爆弾を聞いた時の衝撃は未だに鮮明です。音源が無いのが残念なくらいです。アブストも先日 youtube でパレスチナを聞き直したらやっぱり名曲ですね。坂田さんの家に遊びに言った時にギターのイントロを弾いてくれたことを覚えています。もちろん、コートの件も覚えています (笑

僕が何とかギリギリ音楽映像の世界で生活出来ているのも、あの頃、ジャカタジールやジータ、タイドプール、連協を撮影させて貰って「映像の感覚」を作っていったおかげだと思っています。


本当に懐かしい、井の頭に弟と猫と住んでいたあの頃。当時のバンドは IW だけじゃなく後に有名になったカメラマンがたくさん写真を撮ってくれたんだけど、カナダに持ってきていない。俺の東京時代のアルバムすらうちにはない。当時好きだった子の写真がたくさん入っていて、嫌いになったわけじゃないのにその子の写真を剥がすのもなんだか忍びないので、全部置いてきてしまった。

 今思えば自分のいい写真だけ選んで剥がしてカナダに持って来ればよかったのだが、なぜそうしなかったのだろう。ノーアイデアなのです。昔の自分ってバカすぎて理解しがたいことがある。



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■15/06/23(火) □ なでしこオランダ戦
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【女子W杯】そろそろBCプレイスへ出発。事前情報では大野がセカンドトップとして大儀見と組むらしい。FWの近くからボールを供給しないとシュートはできんと痛感してるので、ボールを運べる大野に期待大。川澄ちゃんも出るというのでドリブルなでしこジャパンである。長身ダッチをかき回してくれ。

試合前に晩飯を食べようとスタジアムの周りを巡ったのだが、どこの店に行っても「今日試合だね」と声をかけられ「ヤース絶対勝つ!」と俺と娘は大声で答えた。イエスのティーン版 Yaas はこういうバカ気分に合う。スターバックスの店員は日本語で話しかけ、娘の名前をひらがなで書いてくれたよ。俺は道端で日本の小旗を売るどこの国から来てるのか不明なオッサンに、「半値にしてくれ」と交渉して「ノーノーミスター」と断られました。ああお祭りだなあ、ワールドカップ。

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【女子W杯】なでしこオランダ戦日本のデキはよかったが、もっともっと攻めを研ぎ澄まさないと、最後の敵は USA なんだぞという感じの試合 (試合感想は別記事に) 。場内はオレンジ4日本3それ以外3くらいでオレンジ軍団のほうが多かった。日本応援は女性が多くオランダ応援はおっさんが多かったな。真後ろのオレンジおっさんたちと俺たちは笑顔を交換してました。

 帰りの電車の中で萌が、「お父さんとサッカーを見るとすごく楽しい。…ありがとう」という。まあ萌がいなかったら私もスタジアムには来なかったので、感謝してるよ、ありがとう。BC プレイスに来る日は喧嘩する要素がない日だ。去年の夏の「進撃の巨人」ブームが去ったあとは親子共通の話題が不足しケンカも多かったのだが、なでしこのおかげでうまくやれている。

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■15/06/25(木) □ 娘らの冒険
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 萌がこないだビデオ大賞でもらった賞金などを入れる自分の銀行口座とキャッシュカードを作ってもらったのだが、それを使いさっそく無許可で友だちとバンクーバーへ行ってしまった。いきなり初日から乱用かよ(笑)。昼間なので別に危険があったとは思わないが、学校の近くで遊んでるだろうと親は思ってるのに黙って遠出(片道小 1 時間)は論外だと叱る。親の許可なんて誰も得ていないと彼女は不服顔。カナダの親は放任主義が多いんだよな。

 よその家は子供がどこで何をしていてもOKなのかもしれんが、うちは違う。奥様は俺より厳しい。娘とその友だちが小学生くらいまでは、何か問題行動を起こしたらよその子供でも別け隔てなく叱ることができたが、中高になるともう各家庭のポリシーがてんでバラバラなのでうかつなことは言えなくなる。

俺なんか外国人なんでなおさらその辺のノーム(水準的価値観)がわからない。まあわかったってそれに従う気もないけど、いろいろ気を使いますわ。外国人はつらいよ。俺がいたんじゃ自由にゃできぬ。わかっちゃいるんだムスメさん。いつかお前の喜ぶような、えらいオヤジになりたくて。



BC はひと夏に数度あるヒートウェーブが来ており、今日は 30 度明日は 33 度との予報。2 階は暑いので階下から冷え冷えのエアを扇風機で送り、階段上で 2 台目扇風機がリビング方向に折り返す黄金のクロス作戦でうちはしのいでいる。これで室温が二度くらい違うと思う。

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 無許可遠出の罰として帰った萌の iPod を取り上げたのだが、気が付くといつもの風呂 iPod 動画の代わりにラップトップを風呂場に持ち込み、DVD で映画を見ながら風呂に入っていた。さすがにバスタブまでは持ち込まずカウンターに置いていたけど、湿気で壊れるって。だいたい罰になってないだろそれじゃ。子供は考えられんことをするな(笑)。

2015/07/05

【女子ワールドカップ】決勝:さようならチャンピオンたち



【女子W杯】決勝前夜、明日のためにムスメが日の丸プラカードを作っております。何枚作るんだよ!w(観戦はスタジアム横のパブリックビューイングの予定)

娘は友だちに「なんで日本のサッカーにそんなに入れ込んでるのよ」と不思議がられてるんだそうだ。「スキルがあるしエレガントだしキュートだし…」と彼女は理由を挙げるんだけど、しかとは答えられないらしい。キュートというところが重要なんじゃないかな、鮫ちゃんのあの走り方とか。試合前後の大野の天真爛漫さとか。そういうところも日本らしいのだ。



【女子W杯】決勝:よし。決勝スタジアム真横のパブリックビューイング会場へ出発。






帰宅。いやー、なでしこはえらい。よく崩壊しなかった。いや守備陣はさすがに2失点でうろたえ3点目4点目は崩壊に近い失点だったけど、それでもチーム全体はよく完全崩壊しなかった。落ち着きつつこれまでの試合の倍もハードに戦ってくれた。So proud of なでしこジャパン。

1点目2点目はまさかのグラウンダーで、空中戦を警戒してるところに足元を狙ってくるとは USA 恐るべしである。PK エリアにボールと人足を送り事故を起こすというのがなでしこに限らず日本攻略のセオリーで、男子が豪にやられたりしたので当然警戒してたろうが、足元とは。

あまりにも早い2失点に娘は号泣。3点4点と嗚咽が高まり周りの人々が心配するのでこれは見ていたパブリックビューイングから退場せねばならんかと覚悟したが、「攻撃陣は落ち着いてる! 点は絶対取れる!」と声をかけ続けていると大儀見が決めてくれた。これで娘が復活。「追いつけるよね!」。イエス!

そして澤登場! ――ちょっと高揚と失望のあまり俺も娘も昼から何も食ってないのでここでなんか食ってきます。結論を予告しておくと、後半は私たちが待望したなでしこそのものだった、序盤のトンデモ4失点がなければ超いい試合だったということで。



そうめん食べてます。そうめんジャパン。おつゆがしょっぱいのはムスメとなでしこの悔し涙か。娘はまだ落ち込んでいてそうめんを食べてくれない。頼むから食べてくれ。



で話は戻りますが娘はゆかたにフェイスペイントが好評で、行く先ざきで写真を撮りまくられたのね。30回くらい撮られたと思う。で撮る人がたいてい屈託ないアメリカ人なんですわ。バンクーバーのパブリックビューイング会場の過半数がアメリカ人で、残りが日本カナダその他という感じ。

その過半数サポによる U-S-A! U-S-A! 大合唱が試合前からやはり半端ではない。予期はしてたけど現場で聞くとここまで音量でかくて唐突でしつこくてウザいかと、W杯はお祭りだからと鷹揚に構えていた俺でもうんざりする。カナダ人のお客さんたちは呆れたわねと俺たちに目配せし、小声で(日本を応援してるわよ!)と言ってくれた。サンキュー、サンキューソーマッチ。それが延々と途切れず続き、4-0となってもまだやってるんだからどんだけなのかと思った。これはつまり応援ではないナニカなんだよな。ある種の自己催眠状態なんじゃないかと思う。

で USA サポはそういう人々であり子供も多いので、日本ゴールの近くにボールが行くだけで特にチャンスじゃなくても耳をつんざくとんでもない声を上げるわけ。誇張なしでキーンと耳が痛く肉体的なつらさを感じる。スタジアムを埋めてるのも同じ USA 声で、それがなでしこの耳を襲う。

あの耳をつんざく USA 声を体感すると、そりゃ DF はイージーにクリアできるボールも慌ててしまうよなと実感する。まだビデオを見てないが、1点目2点目は相手の策にやられたけど3点目4点目はそれもあったんじゃないかと思う。ゴール後の歓声はほんと耳が痛かった。

(翌日やっぱりなと思う記事を発見)宮間『(決勝は)これまで通りに入りましたが、これまで通りではなかったです。緊張ではないと思います。その理由はスタジアムの空気。完全アウェーの試合をたくさん経験してきた中でも、一番大きな歓声だったと思います。まったく声が聞こえなかったので、そこのちぐはぐ感はありました。米国の人ははっきりと「U・S・A」と言いますよね。歓声というより自分たちの声が通らないことが一番痛かったかなと思います。』(宮間あや「やれることは全部やれた」スポーツナビ)

ああやっぱりなあ U-S-A!音声の圧力。パブリックビューイングであの圧迫音声に俺たちはたじろぎながら、目と鼻の先のピッチにいる彼女らに思いを馳せていた。

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そして大儀見が1点返し澤の登場。盛り上がる PV 日本サポ。岩清水を引っ込めるとはすごい決断だ佐々木監督と唸ってしまった。CB は誰がと思えばなんと阪口。これにも驚いたけど阪口は対人も弱くなく、そして阪口の CB 位置からのフィードの正確さが見事に攻撃に効いていた。

そこからは阪口のフィードと大儀見のポスト、澤と宇津木の早めでスライディングまで行くハードな守備、前に出た鮫ちゃんと宮間のアーリークロスと、これまで見た中で最も攻撃的ななでしこをたっぷりと楽しむことができた。2点目が入った時の会場の盛り上がりはすさまじかった。

4-2 となれば、あと1点返せばうろたえるのは USA の方である。しかしここで1点追加されたのが痛かった。これで追いつける可能性が消えた。しかし娘ももう泣いてはいなかった。いいサッカーだよねと声を掛け合う。これが見たかった日本のサッカーだよね。素晴らしいよ。



試合が終わり会場を後にする。…なにか食べようか。食べたくないか…。いやあの4点がなければいい試合だったよね…。あそこから2点返すというのはすごいことだよ。

俺はあれこれ話しかけるのだが、彼女はまた涙にくれていた。さようならワールドカップ。さようならチャンピオンたち。



2015/07/02

日記「女子ワールドカップ開幕」

「トランジスタラジオ」「オルタナティブなティーンロック」「日本-スイス」「にっぽんこころ旅」「高校表彰式」「Mの PhD 授与式」

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■15/05/25(月) □ トランジスタラジオ
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ドラマ【忌野清志郎 トランジスタラジオ】とてもよかった。高校に栗原キヨシ先輩がいたらスリリングだろうなあ。なかなか顔を合わせる機会のない別のクラスのかわいい子に恋をするようにときめくだろうね。高校時代にうまいなあと憧れを抱いた先輩バンドへの思いなんかも甦るナイスタッチ。

 屋上の彼女は近年稀に見るキュートさで、声や喋り方や表情がたまらない。あんな子が高校にいたら、人生どれだけ余分に恥をかいたかわからないくらいだと思った。二人の空に静かに流れる「トランジスタラジオ」のピアノがきれいだった。泣けてきそうなメロディ。

 萌の友達は皆嫌いなクラスをサボったりしてるそうで、彼女はサボったことがないのでそんなことしていいのかしらと言う。

「う~授業をサボって、日の当たる場所に私もいたことがあるよ」
「タバコも吸った?」
「吸った…かもしれない。でも私をイクザンプル(参考例)にしなくていいから」

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■15/05/31(日) □ オルタナティブなティーンロック
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 萌は俺の中高時に比べあまりロックを聞かないのだが、iTunes/iPod 内に美麗なロックコレクションを作るということに趣味的にハマっていて、家中の CD を取り込んではカバー写真を探し「アルバム」を作っている。取り込んでもあまり聞いてないと思うが、「ミックって声が嫌い。『アンジー』だけはいい」と言ってた(笑)。

 友だちと出かけるとおこづかいで CD を買ってきては壁にピンでジャケットを貼り付け、音は iPod に入れて聞いている。で車の中で俺にも自分の CD を聞かせるのだが、彼女が好きな現代ロックがその…ピンとこなくて…なんとも反応のしようがなく気まずい。すまん。

 お気に入りの中で最も有名なアークティック・モンキーズも、初期のルースターズみたいなやつ( I Bet You Look Good~や Fluorescent Adolescent)は悪くないねと思うが、萌が選んで俺に聞かせる曲はザラザラ尖ってうるさいんである。


Arctic Monkeys - Brianstorm (2007)

 グルーブしない性急なリズム、硬い音色と硬い演奏、単調で執拗なリフとメロディ、コードの乏しさ、全曲ボーカルにかかるエフェクト、1秒に5回も切り替わる絵。俺が聞きたい音も見たいものもこの曲にはない。が、この音が萌たち現代英米加ティーンの態度にそのまま呼応しているのはよくわかる。大きな音を立ててドアを閉めたり、雨の日に傘を差すことを拒む理由なき反抗のティーン精神とこれらの音が、共鳴し合っている。

 じっさい萌は意識してはいないだろうが、これだけ俺に響かない音楽ばかりを聞かせるところを見れば、俺というエスタブリッシュメントに対する反抗として、俺が好む音楽へのオルタナティブ(つまり全然違うもの)を無意識にチョイスしてるのだろうな。オアシスやスミスじゃなくアクモンなのは音のオルタナティブ性からじゃないかと思う。やれやれ(笑)。

 しかしアークティック・モンキーズやカナダのマザーマザーは従来の音から乖離してはいるが、たとえば日本のゲスの極み乙女や女王蜂のように新しいとか先鋭的だとは思わないな。俺はゲスや女王蜂を好んで聴くわけではないが、聞けばおおすごいなと思う。その感覚は萌の聞く音楽にはない。一般にヒットしてる(カナダ女子W杯の開会式に出てきた)ティーガン&サラなんて聞くと、古っ! 80 年代 MTV! って感じる(笑)。


Tegan and Sara - Closer


 そして俺はやっぱり自分でやるならこういう音を出したい。80 年代の「最新型ロックロール」は古びない。


C.M.C.(2004 Edition) / ザ・ルースターズ

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■15/06/06(土) □ 女子W杯開幕
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【女子W杯】カナダ代表プレビュー番組を見る。「ホームで、これが多分私の最後のワールドカップなのよ。準備はソーマッチできてるわ」「これはもうスペシャルなんて超えたものね。イッツ・ビヨンド・スペシャル」と、まなじりを決したカナダ代表選手たちの顔が映る。もう泣けてきそう。神様お願い、カナダにいいW杯を。実力を発揮し切っても勝てるとは思えないが、後悔のないワールドカップを。

【カナダ-中国】しかしその気合いが空回り、猛然と突っかけてボールを奪っては雑なプレイでロストするの繰り返し。狭いところでのボール扱いは小兵な分中国に分があり、カナダはオープンスペースでのスピードに乗った競り合いに持ち込みたいのだが中国が出てこないという状態。去年の秋日本にやられたときとあまり変わりなく、中盤が弱い。

 エース・シンクレアが二列目に下がりボールに触ると落ち着き、彼女がキープする間に他が上がりチャンスになるが他が拙く攻撃が続かないのも去年と同様。彼女と同クラスの力を持った選手がもう数人いればなあ。15 歳で代表に入り、2003 年W杯ですごいロングシュートを決めスターになるも膝を痛めて引退し TV 解説をやってるカララングはまだ 28 歳だった。川澄ちゃんより若い。彼女が健在でシンクレアと並び立っていてくれたら、近年のカナダサッカーの成績はだいぶ変わっていただろう。

結局ボックス内の軽いファウルで PK をもらえたのでカナダは助かったが、相手が引いていて負ける要素はなかったとはいえ攻撃がなんとも単調であった。前途多難である。

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■15/06/07(日) □ 日本-スイス
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Mが朝のうちに散歩に行こうと言い、暑いし歩くのはダルいよと自転車に誘うと珍しく乗ってきたので、俺のいつものハイドクリーク山岳コースへ連れて行く。

 うちから3分で森に入り、そこから 10 分のゆるい登りでこの丘の上に着く。ここまで来ると民家は木に隠れて見えないので、手軽に登山イクツーリング気分が味わえる。こんなところがあったのねとMも喜んでいる。小1時間の爽快な初夏のランであった。最後は脚に疲れを感じたけども。

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 【日本-スイス】前半は落ち着いて的確な攻めで新進スイスを攻略し上々だったのだが、後半は守勢一方だった。帰りの電車の奥様から電話。「どう思った? 後半はスイスが攻めっぱなしだったじゃない。ちょっと日本ガッカリじゃない?」。うーん、すいません。1点があったもんで攻める意思が弱かったよね。敵の10番があれだけ暴れてたわりに失点する予感はそんなになかったけど、もう1点はほしかった。

 やっぱり初戦は難しいな。前半相手が明らかに硬くなっており、日本は格上らしい進め方でラッキーな先取点も取れたんだけど、そこから敵の逆襲をいなすこともカウンターで相手を脅かすこともできず、どっちつかずのまま終わってしまったなあ。カナダともども今大会は苦戦が続くかもしれない。

 日本 vs スイス戦で妻と子が座ってた席の真後ろに、前の試合を終えたカメルーンチームが来て視察してたのだそうだ。なにっ!それで話しかけなかったのかよ! すごいゴールだったですね大会のニュースターですねっていえばよかったじゃん。何のためにフランス語習ってるんだムスメよ!

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■15/06/10(水) □ にっぽんこころ旅
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 1990 年代廃墟警備員時代のことを書いたブログ記事「追憶の調布関東村」に、すてきなコメントが今朝書き込まれていた。

『1970年代、小学生だった私は九州にある似たような米軍の住居を目的もなくよく探検していました。それはちょうど関東村と同じようなものでした。

フェンスの向こうには主人を失い朽ち始めたものの、外国に行ったことのない小学生には十分すぎるほどのエキゾチックな風景が広がっていました。あのような場所、風景は、戦後のある限られた一時期だけに出現したものだったんだとサカタさんの文章を読みながらその偶然性をかみしめています。

もうその場所は公園や学校になり、わずかな木々と特徴のある道路の配置と湾曲ぐあいだけが、当時を知るものだけに記憶を呼び戻す痕跡となっています。

 ―わあ。「にっぽん縦断こころ旅」の手紙みたいだ。すてきだ。とーちゃこ!

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■15/06/11(木) □ 高校表彰式
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 カナダのワールドカップでカナダが戦ってる夕べに萌の学校が親参加の行事を入れてきやがって参席中。早く終わらせてくれ。ちなみに後ろの席の父兄がイタリア系大家族で、「ワールドカップ、ワールドカップ」いうとります。わかる。わかるぞ! 俺にはイタリア語がわかる!

 行事は生徒の学業スポーツアート実績の表彰式で、まあ小学校時のリコグニションアセンブリー(頑張ったことを認めてあげましょうの会)と同じで、違いはより大仰で時間が長いこと。そして小学校時は「ハードワーク」「思いやり」といった抽象的な美徳を表彰されたのだが、高校はより具体的で成績オール A とか学年首席とかスポーツ大会での優秀成績となっている。

萌は友だちに作ってもらった美しいサマードレスで参加。しかし単に一般の学業優秀オール A をもらっただけだったので、他のさまざまな賞をもらった子をうらやんでいた。こないだの仏語ビデオアート大賞のほうが萌にとってははるかに特別なことなわけだがそこに言及なしで、彼女はがっかりしていた。おそらく賞を取ったことを、関わった仏語担任が学校に通知してないのだと思う。

 カナダの教師はそういう、自分の職掌から外れたことにはおそろしく気の利かないところがある。というかちょっと気を利かせて生徒の学校エクスペリエンスを最大化するというのは、教師の職務ではないのだ。日本の教師はサービス業で、カナダの教師は違うのである。


 「鬱問題を抱えながら頑張っている」子が紹介されスタンディングオベーションが起きたのだが、あとから「お父さんとマムだけが立たなかった」と萌に指摘された。すまん。スタンディングオベーションが起きたということに感動してスタンディングオベーションできるのがティーン感性だな。大人はいろいろ考えちゃう。あの子は鬱であることを公にしてもらいたいのだろうかとか考えてしまうのだ。

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 【カナダ-ニュージーランド】試合がとうに終わってから帰宅。ビデオで後半を見るとカナダは初戦と同じだった。ホームなんだから早くボールを奪わなきゃ、ホストなんだから早く点を取らなきゃとチーム全体が終始浮き足立っている。そのせいでいいプレイがまったく出ずスコアレスドロー。

 このカナダに比べると、落ち着いて立ち上がりスイスをいなして何度もチャンスを作っていた日本の初戦は、少なくとも前半は実にW杯王者らしかったな。後半スイスの圧力を押し返せなかったのはマジ悔しかったが、そこは明日修正してくれることを期待。

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■15/06/12(金) □ Mの PhD 授与式
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本日はMの PhD 授与式(大学全体の卒業式だった)とカメルーン戦。あの大仰な博士様衣装を着たMはかわいかった。写真をたくさん撮りたかったのだが位置的に難しく、結局公式カメラマンがたくさん写真を撮っておいてくれたので助かったが、萌の機嫌が悪くて家族写真は一枚しか取れなかった。萌と二人になったときに、せっかくお母さんの晴れの舞台なのにあんなフテてちゃかわいそうだろうとたしなめる。

 しかしこの公式カメラマンはキャノンの APS-C で撮ってたのだが、写真を見て俺の PEN のほうが標準ズームも望遠も絵がいいのでびっくりした(上2枚がキャノン、左が俺の PEN)。APS-C はいいレンズを追加購入しないとレンズが弱すぎるというのはこのことか。そしてやっぱ M4/3 って安いレンズでもこんなにいいのか。えらい。この写真は俺が下手でフォーカスが別な人に行ってしまったのだが、うれしそうないい顔が撮れた。

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そして【女子W杯・カメルーン戦】別記事に書いたが前半は最高、後半押されると得点機が作れないのに悩むという状態。FWの近くでボールを持ち、敵を交わしFWに渡しシュートを打たせる方法を考えてほしい。ドリブルをしてほしい。岩渕は使えないのだろうか。

PEN にMZ40-150mmをつけてたのだが、試合中は観戦に熱中していて全然写真を撮れなかった。この17番は最高だったよ。カメルーンも勝ち進んでほしい。

【女子W杯】イングランド戦:勝利に値するとかしないとか

【女子W杯】イギリス戦、これほど苦しい試合になるとは予想外だった。俺はスイスを破ってギアが入ったカナダが準決勝に進み、今日のイングランドのようなラン&プッシュの試合で日本を苦しめるだろうと思っていた。そのカナダの致命的ミスで労せずして勝ったイングランドはカナダより弱いと思っていた。これほど強いとは予想外だった。

 なでしこの後方選手には余裕でボールを持たせ、中盤(阪口と宇津木)に入ってくるときちっと閉めて奪うという英のプレス作戦は見事にハマっていた。押されている時間も負ける気はせずいずれは勝つだろうと思ってたのだが(――日本のクレバー極まる DF は危ないシュートを打たせず、チームには脚力と澤ら交代カードが残っていて、さらに最後は岩渕に渡せば点が入るのは時間の問題だったので――)、フィジカル優位なチームにプレスされると抜け出せず攻撃機会がなくなるのはスイスカメルーン戦と同じで、ここは勝てるだろうが決勝はどうすんだよ、USA だぞとそればかり考えていた。

じっさいスイス戦も、会場で見ていたカメ戦もオランダ戦も俺は、「この程度のプレスを交わせなくてどうする、決勝は USA だぞ」とずっと7月5日のことを考えていたんだよな。4年の蓄積でプレスされてもショートパスでスイスイ交わして進むという夢を描いていたんだけど、それができるのは対オーストラリアレベルまでだったようです。

サッカー識者によれば、阪口と宇津木自身の動きもおそらくはトーナメントの疲れで落ちているが、ここまで二人のバランスがあまりにいいので変えられないらしい。澤を出せと外野は思うんだけどね。結局日本は耐えて耐えて選手たちの才能一閃に懸けるしかないみたい。4年前と同じだ。まあ仕方ないね。楽なW杯王者への道などないのである。しかしここまでで最強の英に中盤を封殺される苦戦をして、学んだものも決勝で生きるかもしれない



 試合後娘が某英語 SNS で、「日本は運だけで勝った」と言うヘイター(なぜかみんなアメリカ人)と論戦していた。運て LOL(笑)と言ってあげろ。英は日本対策も戦術も完璧で、日本の長所を消し見事な戦いだったがあと一歩及ばなかった。日本は得意を封殺されデキは悪かったが、それでも最後は脚ガタガタの英が止められぬ川澄のすばらしいクロスが出たんだよ。あれは DF が触らなかったら大儀見が入れてたので DF は責められない。今大会の川澄ちゃんは突破にチャレンジできそうなタイミングでも行かないので、身体のキレ的には絶好調ではないと思う。しかしウォームアップのシュート練習時から溜めのある独特の蹴り方で、見ていて快感を感じるくらいキックの質はすばらしい。

 英語話者は deserved to win(勝利に値した)か否かとやたら問いがちなんだけど、それは印象だからね。ゴールでしか勝敗が決まらないスポーツで君は、印象点でどうこう言うのー? 肝心なのはゴールなんだから、語りたいなら deserved to score か否かと問えばいい。そう言えば deserve という印象言葉で勝負の是非を語るズレに気づくだろう。印象言葉でチームの健闘を称えるのはいいが、けなすのは馬鹿げている。英は完璧に力を出しきり戦術を遂行し、なでしこはあれだけ不利な試合でも1点多く入れた。Of course both teams deserved to win.カナダ解説は「イングランドほど悲劇的な敗退が似合う国はない」と形容していたよ。

 娘の論点でグッドポイントだったのは、イングランドだってカナダに大きな幸運で勝ったのに、なぜ日本だけを攻めるのだというやつ。Well said。ホスト国カナダの敗退のほうがイングランドより悲劇的だったんだぜ。わかってるのかい世界よ。



 なでしこをディスられ憤懣やるかたない娘とカナダデイの花火を見に行く。負けてあちらは当然悔しかっただろうが、日本のプレイがよくなくて私らも悔しかったよね。決勝はプレスを華麗に交わしもっといいサッカーをやれますように。神様おねがいします。◆