2014/07/01

日記「ザックの旅の終わり(コロンビア戦)」

「攻められない日本(ギリシャ戦)」「損なわれていた自信」「進撃の巨人!」「大久保卓球インタビュー」

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■14/06/19(木) □ 攻められない日本(ギリシャ戦)
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       大迫
岡崎   本田  大久保
  長谷部  山口
長友 今野    吉田  内田
      川島

 【ギリシャ戦】香川を下げ大久保が先発。しかし岡崎が左なのか。やったことあるのだろうか(クラブではしばらくやってたとのこと)。

大久保最初のプレイでいきなり2人突破し山口のミドルへつなぐ。うまい! いきなり最高! リプレイを見ても敵 SB の足の間をボールが通ったのかどうか見えないくらい速い。すごいよほんとこの男は。スペインに行く前の若い頃から変わらぬこのキレよ。4年前と違いこの才能をちゃんと攻撃に使えることのうれしさよ。

 今日は日本が前で多人数プレスし普通にプレイできている。コートジボワール戦はやはり相手の勢いに圧倒されたメンタル的なものだったのかな。パスワークも後方では遅いのでブーイングされがちだが中盤に入るとポンポンとつながる。しかし本田が今日もトラップが足につかず、ボールを落ち着かせパスを出す頃には速攻のチャンスが消えている。ここが直れば点は問題なく取れそう。

 ギリシャの中盤ドリブルによるカウンターは日本よりはるかに速く、象牙に比べると止められないような重さはないがそれでもシュートまで持っていかれる。コネという選手が素晴らしい。内田がいい読みで何度もインターセプトを決める。大久保が長身サマラスとガチガチやり合っている。

 左にボールがあるときは大久保がトップ下に来る。素晴らしいタッチと反転力でギリシャ DF の目の前でさらし、交わして攻撃につなぐ。大久保で攻撃のスピードを上げるのは最高だ。あとはフィニッシュに持っていくだけ。本田が浮かせて大迫が打つ、オフサイド。今の本田がやれる攻撃参加は、ミランでも代表でもこの DF 頭越しのロブしかない。

 18分、攻撃を開始した内田に山口がきれいなサイドチェンジを通し、内田のくさびを大久保が大迫に打たせる。左足でやや弱い。しかしこれはいい攻撃だった。いい感じになってまいりました。

 大迫がループを打つ。惜しい。狙いはよかった。ギリシャ左からきれいなカウンター、シュートまではいかず。しかし日本の守備網は欧州レベルのドリブラーには一発で破られてしまい弱いなあと思う。山口と長谷部でもさほどのフィルターとなっていない。山口はボックス際でも一発で抜かれてシュートを打たれた。うーん。日本選手はアジリティがあるはずなのに、ドリブルで逆を取られるとなぜこう無力なのか。長い距離を運べる外国人ドリブラーがJリーグに少ないからだろうか。ならばギリシャの中盤くらいの選手を取れば、Jリーグではガンガンに活躍する+日本選手が中盤守備を覚えていいんじゃないだろうか。

 29分、相手ボックス前で大久保が引き出し回し、最後交わしてファウルで止められる。本田 FK を GK が弾く。ギリシャ怪我人で中断。



 大久保最高だな。ボールを引き出しファウルを取り、これぞアタッカーという仕事をしまくってくれる。この日本最高の攻撃選手をあそこで最大限に活かすことが過去4年2大会、いやジーコの頃にはすでに呼ばれてたのだから8年前ドイツから3大会、日本のやるべきことだったんだよ。大迫もいい。あとは本田か岡崎の爆発があれば試合は決まる。



 山口からボックス内大迫にスルーパス、完璧なポストから本田がフリーでもらうがシュートに持って行けず! マークがついてる大久保に渡し弾かれた。がー! 英アナが「グレイトボール!」と叫んだあの落としを生かせんとは……。あれを打てんならあの位置にいる意味がないだろう。後方でつないでいるときは本田の遅さも気にならんが、トップ下に入って来られるとイライラする。ミランサポが持つイラツキである。

 ややゲームが停滞してきた。―――と思ったらギリシャ主将がイエロー2枚目で退場。よしよししっかり攻めて勝とう。ギリシャ、カウンターからいいシュート、川島好守。山口から大迫にまたいいくさび、折り返しがつながらず。山口の長いパス力は実は素晴らしいな。実際本田が万全ならば、このチームの攻撃力は歴代最強なのは間違いない。しかし長友に流すパスをためすぎてクロスのタイミングが遅れたり、トラップを1mも浮かしてしまったり、味方の逆に出してタッチを割ったりと、本田の判断と技術ミスによって日本の好機は静かに消えていく。

 【前半終了】。うーむ。日本は支配はできてもシュート数が大差ない。シュートを打たれると危ない度は実は日本のほうが高いので、日本は相手の倍は打ちたいのだが打てない。やはりシステム的にここぞといういい位置でボールをもらえる本田が遅くタッチが多く、攻撃を遅らせているのが明らかなブレーキである。相手は1人少ないのだから守備力を下げてもいい。本田に代え香川か清武を投入してほしい。

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 【後半】長谷部→遠藤……またプレイが遅くなる。ギリシャが引いていて攻めあぐねる日本。ギリシャのでかい SB に岡崎がぶっ飛ばされる。レフは相手に退場を出したのでファウルを取ってくれなくなってきた。しかし平気な顔をして立ち上がるところが香川と違う(笑)。

 大久保が FK を取る。遠藤 FK は壁。本田が右サイドで持ちオーバーラップした内田に送るが、ヒールでポーンと流せそうなのに渾身の反転でやっとボールを出す。あんなに渾身の力を込め体をひねらないと逆方向5m にボールを出せないとは……なんだかもうひどい筋肉痛か腰痛を抱えてるんじゃないだろうかと思う本田の動きである。本田が守備力のあるボランチならばまだわかる。しかし攻撃の中心が身体的な問題でブレーキになるというのは、チームとして無理がありすぎるだろう。ザックは本田に何を期待してるんだろう。



 10分、大迫に代わり香川。岡崎がトップ。香川はこの相手を振り回せなかったら、今後もう出番を考えられないよ。ギリシャの CK を何本か防ぐ。川島好セーブ。ヘッドを合わせられたのは1本だけで、日本の守備陣はセットプレーをよく守っている。

 大久保がサマラスを後ろから引っ掛ける。大久保は攻守でこの大男と戦い続けていて本当に気と体が強いと思うが、カードをもらわないでもらいたい。お前が攻撃の軸なのだ。

 20分カウンターから香川が華麗に相手を交わし(「ラブリィターン!」)長駆ドリブル。長友に渡しクロス、本田に合わず。惜しかった。FK。ここでMが帰宅し、「この日本サポーターのおおおおって手はなに?」と笑う。気だよ、キ。本田 FK は壁。長友はクロスを飛ばさず香川と地上で絡んでほしい。

 24分奥へ侵入した内田に香川が浮き球を通し、折り返しを大久保! 外した! ああ! この試合最大のチャンスであった。あれを外すか大久保…。香川と大久保が絡めばチャンスはできる。しかし完全に崩しただけにこれは痛い。

 遠藤のコントロールミスでボールを失いかけるが香川すぐさまドリブルでカバーしファウルを取る。「それらしくなってきたぞ」と褒める英アナ。本田遠藤は遅いが香川はキレている。

 25分、遠藤のスローなパスから大久保がぴゅっと加速しアウトサイドで本田へ、本田初のシュートも壁。しかし前半からつくづく思うが、このチームは本田の位置にいる者がリズムを作りシュートを打つようになっているんだな。その本田に敵を交わす敏捷性も、敵を崩す意外性もないのが今大会日本の足かせなのである。

 攻撃陣が全員前に上がり遠藤がペースを握ってるので、スロー極まりない攻撃となる。それをMが罵倒する。「なんで止まるのよ、日本はボールを持ってるのになんで勝負しないのよ!」。それなんだ日本の問題は。日本代表の問題はいつの時代も勝負できるドリブラーがいないことで……あ、いるではないか。出せザック、出してくれハマのメッシ斎藤を!



 「もう完全にオール日本攻撃タイムだが、ダイレクトパスはまったく出ない」と日本の消極性に批判的な英アナ。つまりコントロールできればチャンスになるボールを FW に当てろと言っている。大久保が出せといつも言っているパスである。それが出せず、ふわりとしたクロスばかりの日本。長友のクロス崩れに内田が飛び込み打つも枠外。ぐぐぐ。

 31分、大久保がボックス前でボールを受け、無回転ミドルシュート、弾かれる。いいシュートだった。ショートコーナーからまた長友クロス。長友のクロスは高すぎる。持ち込め。突っ込め。ミドルを打て。しかし長友にもピーク時のキレはないな、この大会。調整失敗なのか怪我か。1人交わして遠くから効果のないクロスを上げるだけ。

 走って裏で受けた内田が1人交わして折り返すも遠藤コントロールできず。あれを打ちに行ったのが香川だったらなあ。

 35分、香川が流して内田が折り返すも中に狙いが合わず。あそこに飛び込めよという表情。「なんなの日本、勝負に行ってるのはあの1人(内田)だけじゃない」とMが怒りまくっている。そう、なぜ仕掛けないんだ。自信がないのか。奪われてカウンターされても相手にロッベンがいるわけじゃなし、なぜ仕掛けられないのか。選手たちもそうだが、ザックは柿谷と斎藤にボールを持たせ突入させることがなぜできないのだろうか。斎藤なんか他の有用な中盤選手を置いてわざわざ連れて行った、個人勝負専用選手ではないか。ここで投入せずどこで使うというのか。

 40分、吉田麻也が上がりパワープレーとなる。しかしクロスやアーリークロスやロブを入れても当然跳ね返される。

 ロスタイム、本田がドリブルで持ち上がるラストパスが外れる。遠藤が延々と回しては放り込みスコアレスドロー。ブーイングが降り注ぐ。



 前半大久保がトップ下に入ってきていた時間は可能性を感じられた。大久保のドリブルはキレがあり相手はファウルでしか止められない。あれがザックにとっての不調本田ケアだったのだろうか。

 しかし後半ギリシャがこもると MF が後方にいる意味がないので本田が上がってこざるを得ず、本田と遠藤が遅いパス回しの停車駅になってしまっていた。本田は今ボールを敵のマークを交わしてシュートを打つとか決定的なパスを送るという仕事ができない。ボールを止め出すだけでも他の選手より時間がかかる。キープレイヤーとしてマークされてるので選択肢(プレイ方向)を限定され、その予測を外すキレがない。テストマッチからこの方、相手が予測できなかった本田のプレイは象牙戦のあのシュート1本だけだろう。

 バイタルでボールに触る司令塔のプレイスピードがこれでは、パス回しでキープはできても崩せるはずがない。本田の位置に香川を入れサイドに斎藤を入れたら、より多くのチャンスを作れただろう。

 本田をけなしているわけではない。もともとアイデアが豊富だったりプレイ選択眼が高いわけではない本田が、さらに不調であそこにいることにより失われる決定機の数よりも、本田のキープ力と決定力のゲインが上回ると最後まで信じた監督の責任であり、そのザックを信任したのが日本なのだから仕方がないなと思う気持ちもある。本田が2試合でシュート2本しか打てないなんて、誰かが予言できたわけではないしね。

 しかしザックは本田を下げるオプションを複数用意しておくべきだった。そこは悔しい。3戦目は本田を使わないでほしい。ベンチに残ったMFたちの攻撃力が今の本田よりも低いとは考えられない。そんな選手が代表に呼ばれているはずがないのである。

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■14/06/20(金) □ 損なわれていた自信
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 ギリシャ戦の戦評を読む。FIFA が選んだ MOM が最後にあれほど気を吐いた内田ではなく決定機を1回も作れなかった本田だったというのが、いかに日本のポテンシャルを信じていないかを示している。悔しい。

 本田のプレイスピードの遅さをはっきり指摘したのは前ミラン監督のセードルフだけだった。さすがというか、そうと思っていても本田を半レギュラーとしてしっかり使ってくれていたことをありがたく思う。いい人だったんだな。セードルフがそれだけ温情を持って半年待ってくれても本田のボールタッチは戻らなかったのだ。代表の残り1戦で戻るはずもない。ザックがそれでもなお本田を外さないのは、象牙戦のような一発の可能性、FK が枠に行く可能性、プレス守備の圧力の高さ、コーナーキック守備時の高さあたりだろうか。組織攻撃の脚を引っ張る本田を使うのに値するほどのこととは、どうしても思えないのだが。



 後半のチーム全体の仕掛けの弱さは、やはりカウンターを恐れてのことだったと選手たちは言っている。大会が終わるまで口には出さないだろうが、コスタリカ、ザンビア戦で『強いところがインテンスに来たら俺たちはボコボコ点を取られる』と身にしみたのだろう。フレンドリーだとそれでも攻められるから前線のタレントがなんとかできるが、本番だと1対1の失敗の恐怖に打ち克てず攻められない。それも攻撃不調の要因の1つなのだと思う。

 つまり人数をかけて攻め、失敗すると1対1で危機に陥るというチームの設計がアンバランスだったということだろう。それがこのチームの現状だったのだと2試合を終えて思う。だけどもう1試合ある。チャレンジをやりきってほしい。バランスは悪いが、まだ戦える。ザックが決断してさえくれればね。

 本田の位置にファーストタッチで止めてつなげられ守備も頑張れる選手がいれば、前半ギリシャがどんなに堅守だろうとパスのスピードと種類と角度を変えながらつなぎシュートを何本も打てたと思う。

 さらに相手が強く日本のコンディションがいまいちだとプレスがハマらないというのもコスタリカ、ザンビア、象牙戦で思い知らされ、その場合の対処法は本田のデキと関係なく見つかってないのかもしれない。だとしたら少し下がって、調子のいい大久保ら前方にカウンターを託すしかないのかもしれない。

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■14/06/22(日) □ 進撃の巨人!
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 バンクーバーに住む ESL 女子に言われて Netflix に「進撃の巨人」があると気がついた。で萌と見たのだが、ち血が! というか巨神兵みたいなヤツに人が! ひょええと俺は超ショックを受ける。しかし萌14歳は「面白いじゃない次見ようよ次」と笑っている。どうなってんだ現代日本と今どきのティーン!

 俺はもう肩が凝っちゃってお腹痛いのだが、気に入った萌がすぐに②へ。ひょえええとうとう壁が! なんで巨人はみんな笑ったオッサンなんだ! と俺がおののくと、その方がクリーピー(気持ち悪い)だからいいのだと萌が喜ぶ。クリーピーすぎるだろ! それにあのデカイのはなんなんだあれ! 謎が謎を呼ぶ。

 初回に続き戦慄シーンばかりだが、キャラ設定はやっぱり昔ながらの熱血マンガ/ジャパニーズ RPG だな。主人公がバカ熱血すぎて思い入れしにくく、それを補佐するサイドキャラのほうが魅力的なところが FF7 っぽくて懐かしい。ミカサ素敵と親子してうっとりしております。

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■14/06/23(月) □ 大久保卓球インタビュー
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 明日コロンビア戦。練習では山口蛍、青山、大久保、本田、香川、柿谷が主力組だった模様。清武が守備力ないらしいので、本田以外トップ下は実際人材がいないのかもしれない。うーん。

大久保「とにかく、(ボールを)まずは中に入れること。そうやって中を締めさせてからサイド(に展開する)。一度中に入れることによって必ずサイドが空きますから。リスクを負わなければチャンスも何も生まれないから。それが今までやれなかったからうまくいかなかった。みんな、やるべきことはわかってると思いますよ。みんな、ここ(日本代表)まで来てる選手だから。あとは試合でどう出すか、どう実行に移すかだけです」

「(「香川選手は?」と聞かれて)真司はもう大丈夫! 昨日も卓球でちゃんと勝たせてやったから(笑)。アイツ、負けず嫌いだから、卓球で負けてもすぐ落ち込むんですよ。だから、勝たせて、「ヨッシャ―!」って気持ちよくさせて、気持ちを上げときました(笑)。そこらへんは、おれは空気読みますよ。明日は大事な試合だからね。アイツは乗ったらすごいですから。一点取ったら、すぐ乗るから。明日はやりますよ、アイツは」
大久保嘉人「絶対に覆してやるって気持ちが強い」サッカーキング


 大久保卓球インタビューが出た。大久保最高だな。大久保と香川たちがアイデアと技術を尽くしてコロンビアを苦しめてくれたら、それでいいのだという明るい気持ちになってきた。夏休みの空みたいな気持ちになってきた。

 去年代表が不調になった頃に大久保と憲剛を呼んで、こういう体育会ノリと非ポエムな戦術論を取り入れてくれていたらなあと思う。代表はもっと対応できることの幅が増していただろうと。

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■14/06/24(火) □ ザックの旅の終わり
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      大久保
 香川   本田  岡崎
   長谷部  青山
長友 今野 吉田 内田
      川島
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 【コロンビア戦】序盤は青山のパスミスが目立つ。パス能力を買われているはずなのにええっというミスを連発してくれる。これがW杯の重圧なのか。初の国際公式戦がこんな究極の試合なんだもんな。3発目でやっと狙った FW の胸に飛び、このポストから日本の FK につながる。頑張ってくれ。本田 FK は壁。

 9 分長谷部の完璧な縦パスを大久保が止めてきれいにターンし打つもクリア。惜しい! 後方から受けた本田が今大会初めてマーカーを振り払い前を向くことに成功し大久保へ、大久保が1人交わしてミドルも枠外。悪くない悪くない。大久保は本当にうまい。英アナも大久保がタッチするたびにラブリィを連発している。相手の逆を取り脚を出せない間合いでターンできてしまう。代表でこれができる日本選手は中田以降彼しか知らない。香川も柿谷も技術的にはできそうなのだが、強い相手にはできないでいるのは一生懸命すぎるからだろうか。

 青山またパスミス、うーん…。攻撃を加速させるために速くつなごうとしては失敗している。落ち着いてほしい。しかし青山だけでなく長谷部今野らチーム全体が縦に速く打ち込んでおり、それが効いて日本のペースになってきた。縦ポンじゃなく狙いのある低いボールなら大久保岡崎がちゃんとポストできるし、たとえ相手がカットしてもコントロールはできないので、前に行けている日本がまたこぼれ玉を拾い波状攻撃できるわけである。なるほど、これが大久保の言っていた前に当てろ状態か。もちろん相手ラインも下げられる。いいぞ。

 15 分:香川、本田、大久保が短くつないで内田のミドルまでつなげる。長谷部もミドル。相手の薄いカウンター攻撃は効率よく断ち切り、香川青山の1-2で香川がボックスに持ち込む。縦に速くと元からのショートパスがミックスされこれは本格的に良くなってきた。―――と思ったら敵カウンターを今野が引っ掛け PK。 タイミング的にはボールに行ってるので誤審かと思ったら、なんと今野がボールに触れていなかった。あんな完璧なタイミングで飛び込んで目測を誤るところが、自他共認める今野の不調ということなんだろうか。だいたい今のは滑らなくても相手はシュートを打てなかったではないか。ダブルのミスである。うーん。

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 仕方ない、まず追いつこう。今野はドリブルで高く上がり、攻撃でいいところを見せている。岡崎倒され本田 FK。これは枠に行かないと笑われる完璧な位置。また壁。コロンビアのカウンターにまた今野が飛び込む。今度はボールに行っていた。ふー。しかしナーバスになって飛び込めないという最悪の事態ではない模様。

 26 分:大久保がヘッドでうまく落としたボールを香川切り込み1人交わしてシュート、弱い。ショートコーナーから長谷部がヒールでつないだボールを香川が打つもミートせず。しかし悪くない悪くない。本田香川が1-2をやってた頃よりはるかにスピードがある。どれか一つでも入れば日本絶賛といういい流れである。日本に押し込まれながら PK でぽこっと点を取ったことで「コロンビアの快進撃は続く!」とか言われてるんだからね。やはりゴールが全ての印象を変えてしまう魔法なんだよ。

 本田が右に流れ香川がセンターで攻撃を指揮する時間が続く。このコロンビア2軍はプレイがゆるく、負けなければいいくらいに思ってるのだろう。その間に追いつかねばならない。30 分、かなり鋭いカウンターを食らうも相手のダイブで事なきを得る。本田の右ウィングはミラン同様役に立たない DF 頭越しロブで終始する。

 コーナーからボックス左前で FK。これは角度も悪いので本田もう蹴るのやめてくれもったいないと思うが、ついに壁を越え枠の近く1m に行った。惜しい。次は枠に行きそうである(笑)。コロンビアはほんとにゆるい。追いつきたい!

 36 分:岡崎が落としたヘッドを内田が上げて大久保オーバーヘッド、外れる。かなり無謀だったがこの英アナは大久保のアグレッシブさを好ましく思ってるようで、「そんなに外れたわけではないよね!」とポジティブ

 40 分: 青山がようやくいい個人技で持ち上がり大久保に通し、2人交わした大久保が香川に渡しシュート、ブロックされコーナー。これでいい。あの2人の技術に賭けるしかない。

 その次のプレイで大久保がパスミスでカットされると英アナは、「これがこの試合で初めての彼のミスだ」と指摘し、「彼はこのチームにはサプライズ招集だったようだけど、いい働きをしているね」と、サプライズなこと自体が意外だというコメント。そうなんだ、大久保は日本の宝なんだが、あとちょっとで日本は積み残して船を出すところだったんだ。

 42 分:コロンビアに崩されラテラルなボールを左で打たれるも枠から外れる。これは助かった。大久保から岡崎へのフィード、岡崎がつぶされる。長友突破もクロスはカット、大久保が俺の前にグラウンダーで流せと怒る。

 45 分、青山がフリーになり打てと思うも打つ決断が遅くブロック。また右に流れていた本田が左足でボックスに低いクロスを送ると、岡崎がどうやったのかわからないヘッドでゴール! なにがどうなったんだ! スローで見てようやく、低いクロスに DF の陰から岡崎が頭を突き出し、GK に見えないところから叩き込んだのだとわかる。すごすぎるぞ岡崎と大拍手!

 日本はいい攻撃をしている。しかも岡崎の神業で追いつけた。ギリシャはリードしているらしい。あとは勝てばいいのである。勝てる。この相手に勝てないわけがない。

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 【後半】ロドリゲス IN。うあー来た。「視聴者で初めてロドリゲスを見るという方は、お楽しみいただけるだろう」と英アナ。

 5 分、ロドリゲスがドリブルで中に持ち込み、横移動しながらシュート、ブロック。ああいう森島っぽいカニ走りシュートを香川も身につけてほしい。コロンビアが人数をかけて攻めてきた。もう2点取って試合を決めてこいと送り出されてるのだろう。

 FK からロドリゲスが素晴らしいボールを送るもコロンビア選手に合わず、助かった。ロドリゲスはボールタッチと身のこなしが優雅で、静止からしゅっとフルスピードになる移行が滑らか極まりない。香川もボールタッチはいいはずだがスピードアップする瞬間がわかってしまうから DF を抜けないのかもしれない。

 後方からのパスを本田がコントロールし、右へ行くと見せかけて左にボールを出し1人抜いた。そのコントロールが大きくて奪われたが、今年俺が見た初めての本田の意表を突くプレイであった。ようやく反転力が戻ってきてるらしい。

 10 分、ゴール前でもらったロドリゲスが3人を引きつけフリーの FW に流し、打たせてゴール。2-1。うちのエースたちにもあれをやってほしいのだが。まあ仕方がない、追いつこう。

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 後半 13 分、大久保がまた「ラブリィ」と言われるタッチで敵 DF を右サイドに引きつけキープする。味方まで大久保が何をするかを見ているという感じ。絡んでくればいいのだが。このボールを長谷部がボックスに流し込み香川がうまく止めて打つも枠外。香川は最後の一振りだけが合わない。目の前のチャンスのゲートが閉まる前に打ち抜かねばという焦りが技術をブラしているのかもしれない。

 日本のチャンスはこのように、全速で飛び込み完璧にトラップし DF にブロックされる前に完璧にミートし強く振り抜いてようやくゴールという、難易度の高いピンポイントなものにどうしてもなってしまう。ロドリゲスが3人を引きつけ味方をフリーにしたように、あそこで余裕で打てる間を作れるかどうかがワールドクラスと日本の違いなのだろう。選手としても、チームとしても。

 直後香川が長友にややタイミング悪く出し、それでも敵を抜いた長友のクロスに大久保のヘッド、ミートせず! ああ! しかしこのチームは本田も香川も左を上がる長友に出すのが遅く、長友がスピードを落とすのでクロスのタイミングが遅く相手がブロックが待ち構えてしまう。ああいう技術や判断の狂いが、上げるのも合わせるのも難しくしている。

 17 分:岡崎が肘打ちで倒される。あああれは痛い。いかに頑丈な岡崎でも鼻は鍛えられん。「腕を当てているだろう、フェアに言って痛かったに違いない」

 青山→山口。青山はやはり交代。仕方がない。いいプレイも最後にいくつかは見せられたが、J リーグだけでもいい選手は育つのだという説得力を持つレベルには達していなかった。大久保もそうだが、このチームに呼ばれるのが遅すぎた巡りの悪さもある。ザンビア戦で遠藤の代わりに青山が出ていたら、もっと強敵にフィットしていたかもしれない。

 この岡崎の痛みで得たマイボールを、日本はなんとしても生かさなければならない。香川が倒され相手にイエロー、このイエローは岡崎の分も入ってるんだからな。叩き込め本田。枠に行ったがコースが甘く GK 止める。うーん。

 20 分:内田が岡崎との1-2で抜け低いクロスを大久保に合わせるが枠の上! 大久保おおお! 内田のアイデアと岡崎の献身が作ったこれは、日本の最大のチャンスだった。「入っていたらなんというゴールだったことだろう!」………大久保は駄目なのかもしれん。もう柿谷に賭けるべきかもしれん。

 岡崎→柿谷。シュートが決まらぬ大久保が外れるかと思ったが、肘打ちを食らった岡崎だった。頼む。香川のミドルは弱く弾かれる。本田が初めてドリブルで突破にかかるもスピードもコースも悪くカット。今日はここ5戦で本田のベスト、実力の半分くらいは出ており1・2戦のように脚を引っ張っているとまでは感じないが、なんせ世界8位をW杯で相手にしてるわけなので本田 1/2 じゃ蚊帳の外という状況。好機を作るような仕事は香川がやっている。山口も1-2でボックスに駆け込むなど攻撃に参加する。今野まで攻撃に上がっている。カウンターも喰らいはじめる。

 30 分、ハーフでボールを奪った香川がドリブルでカウンターに走る。しかし柿谷の裏にボールを送れず目の前の本田に渡し潰される。この「香川と本田のホットライン」が判断を狂わせるから柿谷はこのチームで一向に点を取れないんだなと思うシーンであった。香川がドリブルで勝負、シュート打てず。

 固めたコロンビア守備陣を内からも外からも破れず、カウンターを食らってはやり直す。香川がこれまでに見たことないほど果敢にドリブル勝負を仕掛けるが、止まった状態で勝負をかけても相手も南米一流で抜くのは難しい。あと日本にできることはドリブラー斎藤を投入することだけだ。俺は斎藤よりも長い距離を運べるカウンター要員としてのドリブラー原口を高く買っているのだが、連れてきたんだから斎藤を使ってほしい。石にかじりついても点を取ってほしい。

 本田がトラップの悪さを見事に狙われ悪い場所で奪われ、一気のカウンターからマルティネス切り返し一発で内田を無力化し、ゴール。3-1。別にコロンビアが手がつけられないほど強いわけではない。日本が浮足立っており、カウンターで攻撃側有利な態勢で1対1を作られてしまうことが問題なのだ。大久保や香川のボールコントロール能力をああいうシーンで使えれば、日本も点を取れるだろう。しかし日本の攻撃は常に後手に回っているので、相手守備陣が落ち着いて待ち構え遅く意外性のないパス回しに無理なく対応しており、結局 FW が個人で超難しいコンボを決めないと点が取れないチームになってしまっている。チーム全体の攻撃が遅く力がないのだ。

 長谷部のスルーから香川がシュート、ミートせず。駄目か。香川は星を持っていないようだ。香川が敵を抜けずシュートがミートしないのは、初動から最後まで敵の注意を100%そらさず、一瞬の間もなく筋肉が張り詰めたプレイの生真面目さゆえかな。  同じことはシュートの瞬間の大久保にも言える。ロドリゲスの優雅さを見ているとそう思う。力が抜けている。中田の若い頃があんなだった。緩急で敵の裏を取れたのだ。

 40 分:香川→清武。いや斎藤だろう。清武を使うならずっと前に本田に代えてだろう。なんだこの交代は。ザックはとうとう最後まで采配の意味もわからなければ効果も出ない監督だった。はあ。

 43 分:初めて柿谷が走れるグラウンダーが出るも DF に引っかかり、コースが変わって柿谷はシュートまで持って行けず。コロンビアが前に出てくれる時間だったらその能力を見せられただろうけども、裏にスペースがない。

 内田が上がっていてフリーだった裏のロドリゲスにボールが通り、華麗なダンスでループを決められる。4-1。「彼は天才だ!」。たしかにこれまで日本が戦った中で、彼は最もエレガントで美しいプレイヤーだよ。

 なぜサイドなのか不明な清武から本田に出て、また取られるかと思ったら本田は前を向き抜け出し、しかしスルーが柿谷に通らず。このやること半分成功くらいが今日の本田で、それが今大会ベリーベストの彼であった。最後に柿谷がドリブル突破できれいに真ん中を割りシュートを打つも GK に近すぎ止められ試合終了。



 ふう。日本はあれを決めたら神という難しい決定機しか作れず、それを決められたのは岡崎だけだった。あんなところに頭を突き出せる男をワールドカップに連れていけたのは誇らしい。岡崎への肘打ちからの流れで得た好機を、俺たちはなんとしても得点に結びつけたかった。

 大久保は40分くらいのパスミスで「これは彼の初めてのミスだ」と英アナがコメントするほど技量が際立っていた。この男をワールドカップに連れていき、ゴール前で勝負させることができたのは誇らしい。シュート以外は完璧だった。どれか1つだけでも押し込んでほしかった。

 香川は何度弾き返されても泣かずにチャレンジしていた。ロドリゲスみたいにカウンターで単騎相手DFと対峙したら同じように手玉に取るだけの技量は持っていたかもしれないが、この大一番で待ち受ける相手守備陣を突き崩すには星を持っていなかった。どれか1つでも取らせてやりたかった。

 本田も今日は実力の半分くらいまで力が戻っていた。FKの照準が徐々に枠内に合っていくのはスリリングだった。山口先発じゃなかったこと、青山が初の究極レベルの試合に入っていけなかったこと、皆の足が止まったのに斎藤をとうとう使わずじまいだったこと以外は、やれることをやった俺たちだった。




試合終了後、急いで萌の中学卒業式に向かう。みんなプロムっぽく着飾って、最後にダンスもあって盛り上がった。

 いつも話をするコロンビア移民一家がおられたので、「いやーコロンビア強い。ほんと強い。ロドリゲス・グレイトとしか言いようがない」と頭を下げると、イエーイと喜んでおられましたよ。私たちはかなしいが、あなた方が幸せであれて本当によかった :-)。



 俺は群衆から離れ、コロンビア戦のことをぼーっと考えていた。終わってしまった。今回も見たかった日本代表は見られなかった。4年前ベスト16岡田監督バンザイみたいになったときには、もっと前から守備を整備しておけば、大久保らウィングも点を取りに行くチームが作れたんじゃないかと思い岡田監督を褒める気になれなかった。しかし最後は2バックになってカウンターを食らいまくる今回のチームも、イメージとは違ったな。

 コロンビア戦前半は「縦に強く速く行けば FW がなんとかする」という大久保的な具体論と、これまでやってきた香川本田のショートパスの夢が両方生きていて素晴らしかったと思う。内田も攻守バランスに関し持論を持ってるのが言葉から伺えたし、時間をかけ全てをすり合わせができていたらなあと思う。まあ本田遠藤と大久保のサッカー観は真逆ですり合わせられなかったかもしれないが。

 はあ。終わってしまった。中田、俊輔、小野、憲剛ら天才ゲームメーカーのパスが強豪国の隙をクレバーに切り裂き、玉田、大久保、柿谷らスピードと技巧を持ったアタッカーに通すという俺の夢の日本代表は、今回も見ることができず終わってしまった。5回もワールドカップに出たのに一度も夢はかなわない。このチームに憲剛が入るのがおそらく、過去5回で最大のチャンスだったと思う。さよなら、ザックジャパン。

2014/06/27

日記「まさかのコートジボワール戦」

「日本代表のスピード感」「教師組合スト問題」「スクールアルバム」「無力な父の日」

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■14/06/08(日) □ 日本代表のスピード感
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ザンビア戦大久保:「後半は真司と『近くでやろう。近くでやったら相手はついてこれないから』と言ってやったら、リズムができた」

大久保は一瞬の速さが日本の命とつよく信じている。しかもその速さをどう使うかに具体案がある。「自分たちのサッカー」みたいなポエムなイメージではなく、こうすれば相手は物理的にこうだから俺たちはこう行ける…とロジカルに語っている。これは代表とは違う速い攻撃サッカーを成功させている川崎で培ったのだろう。J リーグから代表へのフィードバックが今ようやく起きている。本番まであと6日。遅かったけれども、手遅れではなかった。



 結局ザックは大久保起用以外は何も変えずこのまま行くらしいが、俺と同じく本田主体の代表を評価していないツイッターの戦術家スケゴー氏のツイートが激しく面白い。

スケゴー@sukego_fut
縦への展開やプレッシング志向の強いザッケローニは、バックパスやポジションチェンジを嫌っている。それをあえてやろうと主張しているのが本田、遠藤らである。双方の主張は、メインコンセプトの部分で真逆に近く、どちらかが大幅な譲歩をしなければ成り立たない。
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日本代表における監督と選手の意見対立はディテールではなくメインコンセプトの部分にある。そして選手側の意見は、あくまでも本田など一部の選手たちのものであり、選手全員の総意ではなかったと報道されていた。
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一番の問題は、遠藤自身がボールを大事にして足元へパスを出すことが、チームの勝利にとって最善と判断しているのではないかということです。チームの勝利のために監督の指示を無視する。遠藤ならやりかねないと思います。


 これを読んでようやく、俺が代表を見るたびに「遅いし FW が絡まなくてつまらん」と感じていた理由と、それをザックが放置している理由がわかった。遠藤と本田が後方でゆっくり回すのが日本代表の「ポゼッションサッカー」の本質であり、ザックはもっと速くしたいが本田と遠藤が乗ってこないのだ。

 この違いはコスタリカ戦で俺にもよく見えて、大久保青山らがやる縦に速いサッカーはパスが強く速く、技術の高いアタッカーのボールタッチが増えカズや森島がいた頃の代表みたいな躍動感がある。これならどこを相手にしても決定機が作れると思ったが、FW がほしいところに出す攻撃的なパスが増える分ポゼッションは下がり、相手が強かったのでカウンターを喰らうことも増えラクではなかった。

 後半遠藤が本田と遅いサッカーにすると中盤でキープでき、チームは明らかにラクになった。そこから相手が止まったので点も取れたのだが、しかしW杯で強い相手が元気なときにあれで点が取れるのかは、やってみなければわからない。わかっているのは後方で回す時間が増え、勝負するパスがなくなり、チームで一番うまい柿谷や大久保がボールに触る頻度が減るということだ。これを攻撃的サッカーとは言えんだろう。

 しかしまあ本番は4年間やってきた遅延型で行くのだろうな。大久保が入ったのはスピード型へのシフトをザックが求めたからだと思うが、テストマッチ3試合では時間が足りないだろう。



実はザックジャパン、あまりガンガンとディフェンスラインに高い位置からプレスをかけられることに慣れていない。いわば、ザックジャパンは、ザックジャパンのようなチームと対戦した経験が少なく、それがアウェーでの低パフォーマンスの一つの要因になっていると思うのだ。
清水英斗 「ザックジャパン停滞の七不思議(後編) セルビア、ベラルーシ戦③」


 もうひとつの不安は守備で、強い相手にプレス合戦で勝てなかった時の弱さはコスタリカ、ザンビア戦でも直っていなかった。つまり日本代表は守備のいい山口が入った以外は去年の不調時とあまり変わってないわけで、プレスがハマれば戦えるが、相手の強度が日本のプレスを上回る時間にはやられてしまうというチームなんである。長谷部が万全ならともかくそうではないのでこのW杯、やってみないとわからない。コスタリカ、ザンビア戦のように点が取れたらよし、取れなければ負ける

 スケゴー氏はこのチームの戦術は矛盾しているのでザックが手の内を隠しているのだとし、

スケゴー@sukego_fut
川島、内田、吉田、今野、長友、長谷部、遠藤、岡崎、本田、香川、柿谷の4-2-3-1。このスタメンとフォーメーションで試合に望む可能性は皆無だ。
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選手は監督の言うことを聞かない。監督は選手に合わせようとしない。前大会ではぶっつけ本番の戦術が採用されており、なおかつ結果を残している。
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ザッケローニは選手に合わせてなどいない。合わせるなら合わせるなりに現在とは違うサッカーをしているはずである。ザンビア戦を見ても「バランス」が取れていないのは明らかだ。
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本番で干すに一票。後腐れないようにW杯後の退任も決まってるわけだし。


 と非公開練習で本田抜きの縦に速いサッカーを組み直していると見ているらしい。今の本田を外しても攻撃力に影響はない(というか誰を入れても攻撃力は上がる)と俺も思うが、もうテストマッチも終わっており定食一筋4年間のザックだから、望みは薄い。ザックというのはなにしろフレンドリーであれこれ試してこなかった人なので、本田抜きでセンターの守備がどうなるか見当がつかないのだ。

 というわけでいろいろ考えてみたが、初戦に向けての結論は定食メンバーの走力がコートジボワールの連携完成度を上回ることを祈るのみ。そんなにエキサイティングな試合にはならんだろうが、コートジボワールの力も落ちているだろうし、1点で抑えられればたぶん2点取って勝てるだろう。

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■14/06/11(水) □ 教師組合スト問題
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BC 政府との交渉が決裂し、BC 教師組合が全面ストライキ可決。これが実施されると来週から小中高残り1週間余全面閉鎖という異常事態になる。3年生にとっては卒業デイトリップ、卒業式、ダンスパーティ等最後の行事が全部キャンセル。いくらなんでも…なんとかしてくれというのが生徒と親の気持ち。

 ストライキは初めてではないし「課外活動はなし」といったプチストライキは毎年のようにやってるのだが、事態は年々悪化している。ストの争点は給与、クラス定員、その他予算全般で BC 政府払えよとは基本思うが、しかし教師はもともと高給なので世間はみなうーむと思ってるところはある。まあ日本だったら教師が頑張り身を2やってしまうところ、カナダの教師は厳密に1しかやらず2人ちゃんと雇えと要求するわけである。

 すべては教育のため生徒のためというなら BC 教師たちよ。夏休みになってから政府と戦ってくれ。あ、でも長期休暇中は教師には給料が出てないのか。いやしかし信念があるなら自腹でも出てって戦えよ! 俺ならそうする! ブレずに自分のエデュケーションを貫けよ!…はあ。

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いくらなんでもなんだこのBC大規模教師ストはと、同じく教師であるうちの奥さんに詳しくしかしW杯もあるんで手短に教えてくれと5分で説明を受けた。①政府は教師が賃上げを要求していると強調しているが、【メインの論点はクラスサイズ】である。

②BC教育システムはマンツーマン指導型メソッドなのに生徒数が多すぎ破綻している。(移民で言葉にハンデがあるESLの子もスペシャルケアが必要な子も騒ぐ問題児もいるので、日本のような多数の子供が黙って授業を聞く方式はできない)

③BC教組は政府が『クラスサイズを小さくするという公約』を守ってないと訴追し勝訴したが、政府は無視している。④ストをすると俺のようなわかってない親の反感を買うだけでなにも生み出さないが、教組ができるのは結局ストだけ。――ということだそうです。無理解ですいませんでした。

⑤なんでそんなにBC政府は教育費をカットするのかと聞くと、『そうする方針の経済重視保守党BCリベラルに人々が投票するから。BCリベラルが欲しいのは金と石油パイプラインだけ』と明解。ため息。

 BC(に限らんだろうが)教組に問題があるのは、有能な教師も無能/怠惰な教師も等しく守られることで、このことが親の反感を買いやすい。やる気あるのかという無能教師も8年だか働くと高給と生涯安定が約束される。病気で働けない教師が籍だけは抜かないので新任教師を雇えずずーっと代理教師が働いているなんて学校もある。萌の小4の担任がそうだった。はあ。

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■14/06/13(金) □ スクールアルバム
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萌の学校は予定通りストライキに突入し、昨日がサドンデス終業日となりすべての期末行事がキャンセルされショボーンとしながら帰ってきたのだが、スクールアルバムだけは間に合って配布された。$40も払わされるハードカバー豪華本。

 高いよソフトカバーにしろよと毎年思うのだが、子供にとってはこのスクールアルバムに自分の写真が載ることが超重要らしい。過去2年は自分の写真が少なくがっくり来ていたのだが、3年生は優遇されるので今年は多くのページにフィーチャーされ喜んでいた。

 しかし今度はどの写真も自分の写真写りが悪いとギャーギャーいう。自己イメージではセルフィーで撮る真顔 or 微笑顔がベストで、その顔で写りたかったんだろう。いや普段そんな顔してないじゃん。大口開けて笑ったり変な顔したり、つまりこのアルバムの楽しそうな顔が友達が知っている萌じゃん(笑)。



 今日は先延ばしにしていた萌のバースデイパーティとなり、SRも早めに来てくれ萌と3人で用意をする。夕方階下にガールズがたくさん来て、俺のギターとアンプを下に持って行ってグジャジャジャジャとかき鳴らし、なんかグランジな歌を歌っていた。炭酸で酔ってんのか(笑)。もう親は場所と食べ物だけ用意してやって、こうして放っておくのがベストなパーティだな。よかったよかった。

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 【ワールドカップ開幕】スペインがオランダにボコボコにされてしまった。バカみたいに見事なファンペルシーのヘッド、ロッベンの馬のように速いカウンター。まあ今年は日本にも柿谷や大久保がいるからね。ああいう縦ポンもやれるよと思ったが、3点、4点、5点と入り呆然とする。

 こうしてカウンターに崩壊したスペインを見ると、カウンター防御が大の苦手な日本は脚がすくむな。ドログバたちにいい縦パスを出させてはいけないわけだが、どこまでプレスがはまるのか。日本はプレスがはまればいいサッカーができるが、ハマらないとザンビアにも苦戦する。そしてハマるかハマらないかがかなりランダムな感じなのだ。要は相手次第なのである。さすがに本番はザックが研究してきちんとハメるだろうと予測されているが。

 とりあえず明日のコートジボワール戦は、ザンビア戦みたいな立ち上がりからのフルコートプレス空振りはやめてほしいな。あれがハマらないとカウンターで悲惨なことになりそうな気がする。日本の立ち上がりが悪いのはいつものことなので、その時間は失点しないことだけ気をつけて、相手がどれだけ動けるのかを見極めつつ、いつも通りに後半勝負に出てほしい。

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■14/06/14(土) □ まさかのコートジボワール戦
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 守備力を上げるために今野を SB にし長友を前に出すのではないかという観測が流れている。では俺も希望スタメン。サイドの守備力と縦への攻撃力は間違いなく上がる。真ん中が香川だと守備がどうなるかわからない。

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【希望スタメン】
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      大迫
長友   香川  大久保
   山口  青山
今野 吉田 森重 内田
      西川
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【実際のスタメン】
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      大迫
香川  本田   岡崎
   長谷部  山口
長友 吉田 森重 内田
     川島
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 スタメンは、やはりザック定食であった。へえ。まあ仕方がない。長谷部も内田も間に合ったのだからよしとしよう。長谷部がフルタイム持つとは思えないので、前半はじっくりいき後半から青山 or 遠藤、大久保 or 柿谷で緩急つけて攻めてほしい。思ったより強ければ遠藤でペースを落とし、縦に攻めていけそうなら青山ならロジカルだろう。



 日本はじっくり慎重に試合を開始する。香川が中に入って最初のアタックでいきなりパスミスしボールをロストし、あっという間に裏を突かれシュートまで持って行かれた。象牙選手2対日本 DF3だと危うい。ゴール周辺でキープされると、フィジカルが違いすぎてシュートを打つまではボールを奪えない。なんとか遠くから打たせなければならない。

 本田のキレはやはりまだ戻っておらず、後ろ向きでボールを渡されても前を向くのが遅く、攻撃に勢いを与えられない。香川は動きが硬い。パスは遅くつながらずドリブルで交わせず、日本の攻めにいいところはなし。慎重に立ち上がったはいいが、全体に硬くエネルギーがない。早くもブーイングが上がる。

 15分、長友が「そろそろ行くか」と大物感あふれる仕掛けを開始し――相手にボールを引っ掛けられてもスローインで陣地前進できれば OK と余裕しゃくしゃく――、彼のドリブル突破で取ったスローインを渡された本田が前触れもなくいきなり決めた。万全ではなくてもワンステップであんなモンスターショットを打てるのがすごいな本田としか言いようがない。しかしチーム全体としてはここまで全然いいサッカーができてないので、点を取っても俺はふうと息をつくのみ。声も出なかった。まあこれで初戦自滅崩壊コースだけはなくなった、助かったというところ。

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 これで象牙がちょい荒れ、日本も硬さが取れてファウルとプレスで前進する。今度はちゃんと組み立てきれいに崩して内田のシュート、弾かれる。よし。これは行ける。ザンビアより弱い。

 大迫のパスミスからカウンターを喰らい吉田がイエローで止める。香川大迫にどうも軽い横パスのミスが多い。相当前方のパスミスでも相手の突進は馬のように速く重く、ゴール前までどうやっても止められないので、攻めのくさび以外はごくセーフティにいってもらいたい。

 30分経過、香川がプレスで簡単にミスを誘発され、山口と長谷部がカバーに奔走する。香川はテストマッチ中ずっと思ってたが、ピーキング失敗(準備とテストマッチで負荷かけすぎ?)だろう。1戦目のキプロス戦がいちばんよかった。この試合ではプレスをかけられただけで接触もないのに悪い体勢でボールを放し奪われるという弱さ。マン U だったらハーフタイムで間違いなく下げられるデキである。

 本田の前進を止められ、カウンターで深く持ち込まれ岡崎がバイタルエリアで止める。岡崎があんなところまで戻っているしんどさよ。本田は前進力がやや戻ってるのはわかるが、正面からドスッと象牙守備ブロックに突っ込んでいくのでボールを失った瞬間すさまじいカウンターが来る。個人能力が違いすぎてディレイもかけられない。これは厳しい。サイドに散らしてほしい。

 40分、真ん中で香川の外足ターンからもらった本田が真ん中をゴリゴリ割り持ち上がり打つ。ヤヤ・トゥーレと同じく、万全でなくても出ていれば脅威になるというクラスの選手なんだなあと感じる。やっと香川が攻撃で乗ってきたかなという気配。

しかし香川は厳しくマークされ全く前進できない。体でボールをスクリーンしてもファウルで潰されてしまうので、早く離すことが最優先になりプレイがブレている。後方に出すかパスミスになるかの繰り返し。

中央では本田がすり足ドリブルで前進したり、大迫への縦パスをトライするが、跳ね返されカウンターを喰らい必死で止めるの繰り返しで、最後はブロックを固めて守り前半終了。日本は数人を経由しちまちまと前進するのに、相手は1人で来れてしまう。力の違いは非常に大きい。本田は一度単独突破に成功しているが、それ以上の数失敗しカウンターも招いているわけで後方の疲弊は大きいだろう。うーむ。

【前半感想】長友の大物感はすごい。表情もプレイのスケールもさすがとしか言いようがない。長谷部の率いる守備の頑張りが素晴らしい。本田はあそこにいて1ステップで打ち込めるだからやはりすごい。しかしピッチのせいか相手のプレッシャーか香川大迫あたりに軽いパスミスが多すぎる。組み立てのアイデアも実行も拙く、現時点では単に守備で頑張るいつものジャパンである。

 いつもの日本と変わりないと世界は思っているだろうと思ったらやはり、「日本はこう言われるのはもううんざりしてるだろうが、『組織立っていてハードワークする』だね(苦笑)」とカナダ TV。その通りで、まだこの4年で磨いたアタッキングパワーが出てるとはとても言えない。なによりみんな下手すぎる。パスをつなぐのが自分たちといいながら何だこの下手さはとため息が出る。相手は速くバシッとつないでるのに。

 ともあれ本領が出てないのにリードしてるのはありがたい。とにかく後半修正してほしい。とりあえず香川をなんとかせんと。香川→長友、長友→今野という攻撃的守備案が間違いなく効くだろう。

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 【後半】しかしそこはザックで交代はなし。ふう。これはザックが無為に負けるパターンや…。香川が裏抜けし初のシュート。その後しばらく前方に人数を集め日本の攻撃の時間が続く。長谷部、山口のシュートが外れる。

 遠藤イン。よし落ち着かせてくれ。たのむ。長谷部ここまでお疲れ! 岡崎がファウルを取り初の FK。本田狙わず放り込む。あそこで無理に狙わないあたり、本田はかなり慎重な様子である。

 日本のプレイエリアが前半より上がり、英アナが「後半は日本がコンフォタブルに見える」。たしかに。10分、本田がドリブルで1人交わす! がその後のパスが腰が抜けるほどヘボで、5m 先の敵に引っかかってしまった。本田はいいプレイととんでもなくヘボいプレイが交錯してるな。しかし香川は5割がヘボく5割が普通なんだから、今誰かと代えなくてはならない。

 今度はヤヤトゥーレの突破! 山口が見事に交わされ吉田が引っ掛ける! PK かと日本中が思ったが流される。ふー。今大会2つの PK が軽すぎて批判されたのがここで効いたのかも。やはり素晴らしいなこの選手。

 ―――うわあああドログバ様キタ! 早く日本なんとかして! なにかを! なにかをしてくれ! このままではやられる! 香川を下げ長友を上げてサイドバックを入れてくれ。こんなに守備に振り回されてるのに左 SB 本職の酒井高徳は出られないのか。なんのために連れてきたんだよ。ファーストプランで駄目だとなったときに修正できないのがザック最大の弱点である。

 ドログバ入って最初のプレイで本田のアタックを振り払いガガッと運びヒールでアシスト。さすが。ドログバを森重がハードにマークするも、右からフリーのクロスが入り他の FW が決めて同点。間に合わなかった。ゴールはドログバじゃなかったが、ボックス内に敵が多数入ってこれすぎる。この流れではいつまでも守りきれるはずがない。

 すぐさま次のプレイで同じクロスで2点目。ああ。「これは GK が取れただろう、ここまでは川島はよくやっていたが」。しかし2本とも同じ奴のクロスだからな。素晴らしいクロスを入れさせたのが問題なのである。DF と川島にミスが出るのはいつものことなのだ。なにも対策できないうちに試合は決まってしまった。日本の攻撃に脅威とキープ力がなさすぎ、敵は前方にどんどん人を送ってこれるのである。

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 内田のクロス、本田が空振り。大迫→大久保……遅い……もうゲームが死んでしまっている。どちらも足が動いていない。象牙が後ろで回し大久保は無為にプレスに走ることしかできない。あれほど見たかった大久保が出てるのに、彼がシュートを打てるシーンなんかくるわけがないという悲しさ。

内田が飛び出しシュート、オフサイド。内田は見事にここに合わせてくれ、この試合日本のベストプレイヤーである。全員があれくらいやれるはずだったのに、なんでこんなに皆が下手だったのか。雨のせいかコンディショニング失敗なのか。

 香川→柿谷、遅い。大久保が入っても柿谷が入っても意味がないような崩壊したゲームになるとは思わなかった。カウンターでの本田のパスも英アナに「ひどいパス」と言われるくらいヒドイ。ザックはこの本田香川でも勝てると見積もり、本田はいくつかのいいプレイと1点で恩は返したが、調子の悪い選手を複数出して勝てるほど日本は強くないというコンフェデの再確認としか言いようがない。調子に関係なく定番プレイヤーだけを使い続ける、それでいいのかザック定食ジャパンの総決算といえる試合だった。本当の日本はこんなじゃないのにと思いながら負けるのは本当にめげる。



 今日の敗因をMに聞かれ「コンディショニング失敗と、調子が悪い主力プレイヤー重視の監督のせいだと思う」と答えると、「それって前のブラジル人監督と同じじゃないの」という。「そうなんだが、外国人監督はなぜかこうなるのだ。どうしてなのかわからない」。ジーコの試合みたいだったなほんと。コンディショニングと戦略に失敗して豪戦みたいになっちゃ駄目だと日本は学んだけれど、ザックが学んだわけではなかった。

長友『僕たちも前からハメていこうとしていたんですけど、奪いどころがなかったのが正直なところです』

 つまりはザンビア戦と同じ、プレスがハマらないと苦戦するという試合になってしまったということか。なにも手当せず試合に向かったザックの無策をつくづく感じる。はあ。

 自分たちのサッカーをしたい、ブレたくないと選手はいつも言うけれど、嫌でも相手の力関係がブレさせてくるんだよね。プレスで頑張り奪いつなげて攻め切れるときはいい試合ができる。できないときは惨敗するのをこれまで繰り返しをしてきたわけで、今日はコンディションや調子を含めてからきしできなかったということだ。どこが悪かったのかを考え修正しないと。

 わからないのはパスでつなぐことが命綱の香川が、相手が強いとどうしてこれほどパスミスしキープできなくなってしまうのか。たしかにマークはきつかったけれど、バイエルンとやってもあんなにミスは連発しなかったではないか。相手の圧力なのか選手間の距離なのか。そこをザックは直せないのか。それがチャンピオンズリーグよりも賭けるものが重い、ワールドカップの怖さなのか。

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■14/06/15(日) □ 無力な父の日
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 今日もW杯は楽しく続いているが、日本の凡極まる試合を見たあとではなにを見ても「持てる力を普通に発揮できていいなあ、勝っても負けても」と感じてしまい、まともに見れない。世界は変わってしまった。

 今日は父の日でもあり、俺が落ち込んでるもんでMと萌が「ゴジラを見に行きましょう! ラーメン食べたら? ドーナツは? なにかほしいものはないの? ご飯作らなくていいわよ。皿も洗っといたわ」ともう、えらい世話を焼いてくれた。うう、あじがどう。この恩はギリシャ戦で返す。


 いやはや。自分でもバカなのかと思うんだけど、ここひと月このチームのことばかり考えていたんだよ。寝ても覚めても。好きだからとかそういうんじゃなくて、こうすればもっとよくなるかもって。俺が考えても仕方ないんだけど、やっぱり自分たちの「代表」なんだよね。いいものを世界に出したかったんだ。いやはや。


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 サッカー識者の見立てを総合すると、

①コンディション+初戦緊張+雨の重馬場で全体に動きが悪く位置が低くなりプレスがかからず
②かからないもので無駄走りが増えさらに消耗し
③もともと弱点だった香川の裏を徹底して狙われクロス名人をそこに配置され
④好クロス連発で沈んだ

 という流れだったのだとわかる。③のところがあーなるほどであった。香川が駄目だ、早く代えてくれとは感じていたが、相手はシステム的にも香川をつぶす作戦を徹底していたのか。香川は自身の不調も相まって徹底的に無力化されていた。こちらの監督はその対処法がなかったということだ。なるほどなー。

 ①の初戦緊張もやはりあったよな。見てる方もミスしてくれるなミスしてくれるなとそればかり考えていた。大久保みたいなミスしても前にという男が崩壊前にきてくれたら違っていたかもしれない。本田は前にという気持ちはあったが、技術と体力が伴わなかった。

 俺みたいなファンは、試合後こうしていろいろ人の話を聞きああそうかそういうことかと徐々に謎が解けてくる。選手たちはここがキツイとかいろいろと感じてるだろうが、目前の事の対処に追われ、修正など容易ではないだろう。やはりザック監督、リアルタイムで問題を解決できるのはあなただけなんだよ。

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 夜もう一度コートジボワール戦を見直した。見てる際中は最初からこれはアカンと感じていたのだが、結果を知って冷静に見るとまあ完敗だが惨敗という程でもないかと感じる。重馬場でもまったく落ちない象牙選手たちのスピードと技術が素晴らしいので「日本動けない! 下手! ナニコレ!」と見ていた俺がパニックになり惨敗と感じたのだろう。それくらい相手は個人が速く強くうまく、その圧力と雨の重馬場で日本は技術が乱れスピードが落ち、きつかった。押されて後手に回りすべてのエリアで人員配置が薄く、そして味方との距離が開くと日本は攻守とも自動的に下手になってしまう。

 これはアフリカンのような1対1無双なフィジカルを持たないのだから仕方がない。香川なんか典型的にそういうプレイヤーで、猛マークに遭いとことん無力化されヘボプレイを連発していたが、それはマークされた彼を近くでサポートできなかったチーム・采配・システムのせいでもある。

 そんな中でも内田長友は最後まで走りコンビネーションを試みていたし、どこに出しても恥ずかしくないほどうまい。内田には特にどんな状況でも回りと合わせ最善のことをやれる平常心を強く感じた。そしてそのレベルの力量にメンバーの皆があるわけで、ザックがシステムの欠陥さえ手当すれば希望は十分にある。うむ。

  日本は欧州 B クラスに伝統的に強いので、ギリシャには普通に勝てるだろう。そこでシステムをチューンし、コロンビアに立ち向かうしかない。うむ。大丈夫だ。

2014/06/09

日記「本田の不調より惜しむもの」

「ミニゲーム会」「香川が躍動するキプロス戦」「最後のブラスバンド」「本田控えめコスタリカ戦」「大谷ノブ彦レコメンド」「本田の不調より惜しむもの(ザンビア戦)」

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■14/05/24(土) □ 姪とミニゲーム会
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 【CL 決勝】レアル MF モドリッチが中盤で追いついたボールをダイレクトにアウトサイドキックで前にバシッと送ることで、アトレティコのプレスのタイミングを何度も完璧に無効にしていた。ダイレクトではあり得ないタイミングと角度とスピードでパスが出てくるので、アトレティコ守備者が反応できないのだ。サッカーにはまだこんな見たことのない技があるのかとワクワクした。技術と崩しのバリエーション&それに対する男たちの魂の守りの博覧会のような試合でした。

 俺にはバルセロナよりもレアルマドリードのサッカーのほうが面白い。バルサはよく足であんなに延々パスをつなげられるなとは思うが、彼ら超絶技術プレイヤーたちにとっては想定内の距離と速さのパスを繰り返してるわけで(その距離と角度を永久に作り続けられるところがすごい)、バスケットボールやホッケーに似ている。つまり手でやれば俺もできるかも(笑)という感じのサッカーではある。足でしか出せないレアルのパススピードと距離と意表をつく角度、そしてその先に走るアタッカーたちの極限スピードとコントロール技術には、サッカーでしか見られない美しさがあるといつも思う

 日本代表はどちらかというとバルサっぽいんだよな。まあクリロナやベイルみたいなウィンガーは日本にはいないのだが、誰も予期しない場所に長く強いグラウンダーパスが出て「――あ! 長友が走っている!」というレアルのようなスリルを感じてみたい。しかし中村憲剛を選ばなかった時点でそれは、失われたパスなのだ。

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 うちに泊まっていた姪SFとボードゲーム会【こねこミキサー】。ミキサーに投げ込まれた猫たちの中から自分の猫だけ助けろという、まったく笑えない小学生的アメリカンジョークから生まれたアメリカンゲーム。米加ゲーマーは直接攻撃が大好物なのだが、「これを喰らえ!」「ぎゃー!」という遊びで「ラブレター」以上の時間や思考能力を費やす意味がはたしてありや。まあそれだから今「ラブレター」がヒットしてるんだろうが、これ以後もこういう直接攻撃ゲームは米加からキリなく出てくるんだろう。

続いて【レボリューション】。12の選択肢をついたての陰でシークレットに競り、勝ち取った権利で町の9つの施設を専有していく競り&地域専有ゲーム。これは面白かった。競りゲームというのは初めてに近いのだが、「ここは誰も狙ってないので1金で取れるはずヒヒヒ」と考えるのは楽しい。

 欠点は序盤で誰かが薄く広く賭け、それがたまたま他者とバッティングせずコインより強い武力と脅迫トークンが大量に取れてしまうと、以後そいつが武力と脅迫を使ってたいがいの競りに勝ててしまい容易に独走してしまうこと。今回MKにそれが起きてしまいゲームがしらけかけたのだが、彼のベイビーがいいタイミングで泣いてくれてゲームから抜けざるを得なくなり、そのおかげで残った3人は素晴らしい接戦を最後まで楽しめた。こうした安易拡大再生産独走を止める方法がゲーム内にないのが明らかに欠点である。ここをベースに詰めれば傑作ゲームになっただろうにと思う。

 しかし最近家ではクイックで満足感の高いボーナンザ2人戦ホームルール(畑3枚、手番で最大3枚置き)ばかりやってたが、こうして何かを構築していく中量級ゲームはやはり達成感があってよろしいなあと思った。こないだ数年ぶりにやったチケライ Euro も楽しかったしな。できればやはり農業建築拡大再生産系がやりたいのだが、グレンモアはさすがに飽きた。なにかまた買いたいのだが、俺が知るかぎりミドル級で文句なく面白い農業ゲームってないんだよなあ。

  SFとはボーナンザ3人戦もやったのだが、 直接攻撃のアメゲーが好きなSFは俺やMと違って交渉が辛くて辛くて、「えーこれでもトレードしてくれないのかよ!」と悲鳴が上がるおもしろゲームとなった :-)。それでも彼女が勝ったという。

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 せっかくSFが2泊もしてくれたのに俺も萌もあまり遊べなかったのだが、送っていく途中ボドゲのことや萌の音楽のことをたくさん話した。萌の聞くオルタナティブロックがうるさくてつまらんのだよとこぼすと、ポップを聴かれるよりいいじゃないと言われた。そりゃまあそうだがね。SF21歳は反抗期がまったくないまま大人になった、珍しいくらい話しやすい子である。

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■14/05/27(火) □ 香川が躍動するキプロス戦
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 【キプロス戦】期待は高まったが結局いつものスタメンでスタート。本田はアタランタ戦と同レベルで、アタッカーとして戦力にはまったくなっていない。香川柿谷長友は周りより2テンポくらい遅い本田がボールを収め次のアクションを起こすのを待ち、リハビリを手伝っているという感じの試合になっていた。技術で敵を交わせないので相手に体重をかけ動きを止めボールをキープしようとし、チームで一番多くファウルを取られている。足を引っ張ってる感がすごい。

 香川が素晴らしい。シーズン中も体は十分キレてたけれど、代表だとプレイのリズムが合うのでえらいことになっている。マン U の不調に抑えつけられてきたギプスが取れたみたいな躍動感。脚にボールがついているのでボールを見ず周りを見渡しながらキープできる。シュートもワールドクラス。香川のW杯になりそう。というかそうならないと厳しいだろう。

 チーム全体としてはボール回しもスムーズで、内田がしっかりプレイできているのがありがたかった。しかし長友が別格の強力さで香川も調子いいため例によって攻撃は左からばかりとなり、いい加減飽きる。何回ぶち抜いてクロスを入れてもそうそうヘッドでは勝てないのだから、長友がもっと工夫するのとともに右からの攻めもちゃんとやってもらいたい。ボールが左にばかり行くので岡崎と柿谷はなにもできず、ボールタッチも少ないゲームであった。



 俺が本田香川よりも期待する大久保は後半短い時間 FW で入ったが、たちまちイニシアチブを取り個人技とコンビネーションの両輪で攻撃を作っていた。最後に本田のプレイ選択が良くなったのにも寄与していた。うまくて判断が早ければやはり誰とでも合うのだろう。中田がローマで即活躍したように。

 代表ではチームがほしいところで必ずボールをくれるので、後半の本田は判断に冴えが出てリハビリ効果が感じられたが、ここから回復してもミランで怪我をする前あたりの状態に戻るだけだろう。ミラン本田は単直に言って下手なのだ。周りと合わないとかポジションだとかコンディションがという話ではなく、プレイで何も生み出せないから失望の声が飛んでいたのである。

 「セリエAの下位でもスタメンは難しい」とまでミラン OB のコスタクルタに酷評されていたが、それは言い過ぎにしても相手 DF が本田のプレイ方向を限定すると切り返してその逆を取れない。ドリブルはプレスから逃げる方向にしかできない。パスはつなぎか DF 越しのロブ。シュートは枠に行かないと、要はやってることは最近の日本代表と同じなのだが、ビッグクラブのアタッカーとしてはブーイングものの凡庸さなのである。バイタルで持ってもつなぎとキープしかできない AMF なのだから、お前が10番言うなとミランサポが苛立つのも無理はない。

 去年のコンフェデ・イタリー戦ではもっといいプレイも出ていたので、去年から今年にかけて技術、反転力に影響を及ぼすなにかが体に起きたのかもしれない。そして4月の足首の怪我でコンディションがさらに底を打ち、現在はそこからの回復中なわけだろう。体調は回復しても技術と反転力が戻るかどうか。戻らなければ来季もミランというのは考えにくく、W杯後には移籍の話も出るだろう。

 4年前、岡田監督は俊輔が回復しない場合のオプションを用意しぎりぎり間に合ったが、ザックは用意せず来てしまった。試してほしい代替策は数あれど、時間も人員も足りない。結局なんで4年間あったのに憲剛と大久保を使った強力なオプションを用意しておかなかったか、なぜ予備メンバーを連れて来なかったかというザックの無策さへのため息に尽きる。

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■14/05/29(木) □ 最後のブラスバンド
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 萌の中学ブラバン・合唱部最後の演奏会があったのだが、萌はどちらもやる気をなくしルーティンでやってるのが見て取れた。無理もないよな。音楽指導力に難がある顧問の下、つまらん選曲とアレンジの音楽を3年間やり続けたのだから。やめないだけでも偉かった。いい演奏をして盛り上がることがないし、萌が家で吹いているのを聞けばかなりうまくなってるのだが、自分がうまくなっても全体のクオリティが上がるわけでもない(去年までは全体のチューニングすら合わなかった)。子供の合唱と楽器への熱意を水で薄め続けるような3年間の部活であった。このエクスペリエンスのあとで高校では、クラリネットも合唱も続けないだろうと思う。

 萌はもともと楽器よりも歌が好きでハモるのが得意なのだが、合唱部では3年間一度も二部合唱すらやらずじまいだった。合唱部なのにエレキバンドがついて、半数がマイクで歌い残り半数が口パク(歌ってるが聞こえない)という馬鹿げた形態だったのである。これでワンディレクションとかやって歌などうまくなるわけがない。萌は最後の1年は裏方でギターだけ弾いていた。今日はファレルウィリアムス「ハッピー」という現大ヒット曲もやったのだが、合唱ガールズの歌唱に覇気がなく盛り上がらず。


3年生が起立して聴衆にサヨナラの一礼
最後にビギナーバンド・上級バンド・合唱部が初めての大合奏で「スモークオンザウォーター」をフィナーレとして演奏したのだが、こんな大盛り上がりのシチュエーションでも演奏アレンジと歌唱がしょぼすぎてスパークしなかった。最後はあの鬼盛り上がる「G Bb C~~~~Bb G!」エンディングさえやらないんだから腰が抜けたよ。顧問のミスターB。



 ミスターBはいい人だが音楽がわかっていない。元々ジャズバンドマンだそうだが、管楽器も歌もわかっていない。俺だってブラバンも合唱部も経験はないが、どこが悪いのかはわかるし、ドラム・ベース・ギター・キーボードならばどうすればよくなるかアドバイスもできる。歌もいい声を出してくれたら褒めて伸ばしてやることはできる。ミスターBはそのどれもができんのである。

 こんな音しか作れなくて学校から文句を言われない――というかミスターBに指導能力がないことがわかる上司が多分いない――のだから、カナダの音楽教育のレベルは低い。日本の音楽教師・顧問は音大出身のクラシック系がやっているが、BC には音大はないらしく、ゆえにミスターBのような人がこの職につけるのだろう。

 今年半年だけ開催された演劇部は子供らがうんざりするほど顧問の指導がうるさかったそうだが、結果は素晴らしかった。部活は顧問ですべてが決まる。カナダは音楽よりも演劇のほうがレベルが高いのかもしれない。カナダからいいロックバンドは一向に出てこないしな。まあスポーツでもなんでも本気でやりたい子は学外でレッスンを取るべきという文化なんだけど、それにしても残念な3年間の部活の終わりだった。



 家に帰ると萌は部屋にこもり、アークティック・モンキーズを大声で歌う。お母さんゆずりで声が強く、英国風味をうまく捉えておりいい声だと思う。自分でハーモニーを作り加えており、そのハモリが入ったほうが実際元歌よりカッコいい(ハモリがないからアークティック・モンキーズの歌が俺にはイマイチなのだとこれで気がついた・笑)。自分の子供だというのは抜きにして、彼女に歌の才能があるのは自明である。

 俺はドアをノックし、こんなやり甲斐のないブラバンをやめなくてえらかったというということと、萌には歌の才能があるということだけは伝えておいた。お疲れ様でした。

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■14/06/02(月) □ 本田控えめコスタリカ戦
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     川島
内田、森重、吉田、今野
   青山、山口、
大久保、本田(C)、香川
     大迫

 本田キャプテンかー。うーん。右に入った大久保が景気付けのファーストシュート。しかし守備の連携を崩され危ないシュートを打たれる。左 SB に入った今野の動きがおかしいのだろうか。

 大久保のキレあるドリブルで右サイドからどんどん組み立てられる。やっぱりスゴイすなあ、入ったばかりのチームで、4年ぶりのインターナショナルマッチでこの自信と周りを動かす意志力。ここは俺に任せてあそこに走れと意思を示しているから周りが感じて動く。いいぞいいぞ。大迫にちゃんとフィードも入る。決めろ大迫。

 しかし前半プレスが効かず相手にキープされる時間が続く。守備で青山、今野あたりが距離感を掴めてないのかな。ファウルが多い。青山は敵ボールホルダーに個人でアタックに行ってもいなされており、守備は彼の強みではないらしい。本田は現時点でプレス要員でありいいも悪いもないが、今はこのチームの中心ではないのはたしか。大迫シュート、ポスト。オフサイドか。惜しい。出したのは青山か。いいね。

 香川から大久保! 止められる。よしよし。攻撃は丁寧にバリエーションを試しているという感じ。右からも組み立てられるので、常に香川本田から始まっていたこれまでとは段違いにバリエーションが多い。うわ、簡単に先制点を決められた。マークを離したのは誰? ああ今野かー……うーん。やはり自ら認める通りああいう詰めときゃいいところで一瞬遅れるのが不調なのか。今野の左クロスはよかった。自信を取り戻してくれ。

 前半終了。内田あたりもコンディション的にまだ個人技で相手をはがせないのが厳しい。大迫のポストはめっちゃ力強い。それぞれのいいところは出ているが相手もさすがという展開で、試合として面白い。

 香川はキプロス戦のほうがよかったな。初戦のリバウンドがあるんだろう。監督が思うほど試合カンはなくしてないと本人も言ってるのでここはむしろ休ませ他の選手のマッチトレーニングに使えばいいのに、ちゃんと話はできてるのだろうか。

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 【後半】遠藤が入りいつものようにボール回しが遅くなり(笑)、その分ポゼッションが上がり、ゆっくり組み立ていつものように回して前の人数を徐々に増やし、いつものように最後に入ってきた選手(遠藤)がゴールで同点。しかし痛し痒しだよなあ。大久保・青山のリズムで速く攻めるとどんな敵でもこじ開けシュートを打てそうだが、当然ポゼッション率は下がるので攻め返される。本田・遠藤のリズムでゆっくり攻めると後方でボールを持てて楽だが相手のゴールが遠い。この遅さで果たして本番の相手を崩せるのか。まあ相手が攻め疲れ引いてくれたら取れるだろうが、日本の守備力でそれまで試合の決着を引き伸ばすことができるだろうか。

 誰か(あとで山口と判明!)の素晴らしいダイレクトくさびパスを柿谷が落とし、香川が持ち上がってから足元1-2をコントロールし切って逆転ゴール。見事。スペイン語放送は香川のゴールを「ビーナスゴール」と言っていた(多分)。今のはまあコスタリカがゆるかったかが、あれくらいのスピード感で3~4タッチで簡単に決めるのがやはり美しい。

 岡崎がつぶれて柿谷が巧技で流し込む。3-1、完璧。前半の硬質なスピード感のほうが爽快感は高いけれど、後半のやや遅めのリズム感からひゅっというのがやっぱり日本の強みなんだろうか。とにかくここからさらにコンディションと連携が上がっていくわけだから楽しみにしよう。

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 本田はやはりドリブルで目前の相手をわずかに引っ張りだすこともできないので、現時点ではW杯に出るチームのトップ下というレベルではない。しかしもう今からじゃ実際オルタナティブ案がない。

 しかし今日の試合では調子の上がらぬ本田が後方でつなぎに専念してる分、前線の他の選手たちにスペースと攻撃イニシアチブが与えられていた。モビリティの高い大久保、香川、柿谷・岡崎のアイデアと機動力が生き、そこは悪くないなと思った。本田が点を取りたくて前に出てくると他の選手と重なるし、不調時本田の手クセとなっている確率の低い1-2で攻撃機会が失われる。

 ザックがこれくらいの調子+@でも本田をはずさないのであれば、今日くらいのプレイエリアで前線の選手たちの下支えをしてくれたらいいなと思う。他の攻撃選手のプレイスペースとアイデアを侵食するから俺はたとえ本調子でも本田がトップ下の試合はつまらんのだが、控えていてくれるなら調子が悪くても気にならない。「個ではなく組織が日本の持ち味」と最近言い始めたというのが現れたような今日の本田の控えめなプレイだった。

 ミランサポが口笛を鳴らすくらいのパフォーマンスが、たとえ回復しても今の本田の現状だろう。しかしこの試合のような下支え役を彼がやってくれれば、日本には組織プレイにおいてミランよりもクオリティの高いアタッカーたちがいるーーと書いててうれしくなってきた :-)。

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■14/06/05(木) □ 大谷ノブ彦レコメンド
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 ツイッターで面白いと評判を聞いた podcast「大谷ノブ彦キキマス!」をよく聴いてるんだけど、彼が音楽を紹介する「レコメンド」が素晴らしい。ロックからポップスまで偏りなく、いいものはイイのココロ。紹介された曲を Youtube で探し聞いている。

 大谷ノブ彦のレコメンドする曲は俺へのヒット率5割くらいなんだが、しかしその情熱はいつも気持ちいい。Youtube で曲は見つからなかったのだが、『LAUGH! LAUGH! LAUGH!/槇原敬之』の紹介は素晴らしかった。バカッターをしたり人を傷つけたり、そういうくだらない悪意にふらっと気持ちが傾いていくのに負けてはいけないのだ、そのためにも笑うのだと彼は語る。

 「ミッシェルガンエレファントが売れた時は日本がイギリスみたいな国になるのかとうれしかった」と語っていたけれど、『くそったれの世界/The Birthday』なんて曲が昼間の AM ラジオで流れるんだから、日本はカナダよりもずっとロックステートだよ。

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 萌の部屋から「天国への階段」が聞こえてきた。おお。俺の娘 Zep 化計画は一度車の中で試み無視され中断中なのだが、サブリミナルには働いていたのか。そしてこの曲のギターを教えてくれという。お安いご用だが、あれは世界中の全ギタリストが習うので人前で弾くとバカにされるという難点が…(笑)。

 とりあえず最初の1フレーズを教えると、ボンタンタンタン……ボンタンタンタン……と何度も弾いていた。

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■14/06/06(金) □ 本田の不調より惜しむもの(ザンビア戦)
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【ザンビア戦】
   西川
内田、今野、吉田、長友
 山口、遠藤(c)、
岡崎、本田、香川
   柿谷

 日本はいつも立ち上がりが悪いのでこの試合は意識的に猛プレスをかけ先制点を取りに行ったのだが、ザンビアは想像以上に選手たちが速くうまくスマートで、選手間に適度な距離を取りきゅっと動いてコースを作り、日本のプレスを交わしあわてず正確に素早いパスを回し軽快に攻めてくる。日本の意図はまったくはまらず交わされてしまい、逆に日本の攻撃時は本田や香川のワンタッチリターンを狙われつなげず劣勢となる。アフリカで予選落ちしていながらこんなにいいチームだったのか。世界は広い、こりゃイカンという懐かしいW杯フィーリングが押し寄せる。

 先制点は内田の背中越しに頭で押し込まれた。あんなゴールを決められるのだからまさにW杯レベル。GK は先発が伝えられただけでツイッターが盛り上がった期待の第2GK 西川なのだが、あれを止めたら本番でスタメンもあったんだがなあ。ああいう感じの触れなかったのかなと疑問を感じる失点が川島も多いので西川に期待したのだが、西川でも変わりはなかった。しかしキックは評判通り流麗なので、西川のほうが日本好みではある。

 振り回されてるのはコンディションもありそうで、日本は最初から動きが悪い。コンフェデのメキシコ戦のような疲れを感じさせる動きで、止まった状態で各駅停車のパスをつなぐからすぐに詰められてしまう。日本がこんなに下手でモビリティがないわけがないので疲れだろう。香川なんか使われすぎコンディションが下降気味なのではないかと心配である。内田も落ちている。フィジカルコーチがちゃんと管理してるんだろうが、疲れている選手は休ませてサブに経験を与えてほしかった。特に山口が怪我をしたら今の日本は崩壊するからな。しかしどれほどパフォーマンスが落ちても定番スタメンを使い続けたザックの4年間であった。

 本田は相変わらずトラップが悪くボールが脚につかず中盤のつなぎしかできないが(カウンターでは岡崎が代わってドリブルでボールを運んでいる)、本番ではミランで試合に出てた頃のレベルには戻りそう。攻めに貢献しているわけではないが、中盤下がり目の労働者として働いている。オシムが言ってた水を運ぶ選手である。下がり目なら遠藤でいいじゃんという気もするが、守備のプレス力(体の圧力)と90分の走力が遠藤より高い本田が中盤で走り回るのは合理性はある。



 そして後半入った大久保がやはりゲームを変えた。大久保がトップ下から大迫にすごいスピードの縦パスを当て、大迫もコントロールに成功したがシュートまでは至らず。しかし「川崎だ!」「あれがフロンターレだ!」とツイッターが騒然とするほどの衝撃的パススピード。これだよ。

 大久保は《スピード×技術×身体の強さ×意志の強さ》あたりで測られる「モノが違う感」日本一で、かつての中田並みであり、香川本田を上回る。このモノが違う感が味方にも相手にも作用し、彼が動くと味方も敵も動かざるを得ないのだ。このゲームを動かすマジックを備えた本物のアタッカーをゴール前で使えなかったのが4年前の日本の後悔だった。今回はバイタルエリアで使えることが本当にうれしい。

 ワールドクラスになれるはずだった本田がアジアカップ後ロシアで怪我をし力が落ちたことは残念だが、俺はもともと本田を中心とした横パス&1-2攻撃が日本のベストだとは思っていないので、今現在の代表での本田の不調はさほど残念に思っていない。本田香川遠藤が短くつなぐと人数が上がれるから日本は攻撃力が高いのであって、本田がスペシャルだからなわけではない。もちろん本田のキープ力と決定力は高いが、コスタリカ戦で遠藤がスコッと軽く決めたように、あの位置まで上がっていれば代表クラスのアタッカーならみな十分な得点力はあるだろう。本田の不調は本田自身の決定的プレイは減少させても、その分この3戦のように他の選手が生きるので新聞が言うような攻撃力低下にはならないだろう。そこが組織で戦う日本代表の美点で、とりあえず走れる限り本田は役に立つ。

 本田の不調よりもはるかに惜しいのは、もう泣けてくるほど惜しいのは、練り上げられることもなく日本代表から失われた、憲剛が操る攻撃スピードだ。今こうして大久保がやっているように、憲剛が思考スピードと技巧でチームを縦横に動かし、ひらめきの限りを尽くし世界と戦うのを日本のサッカーファンは見たかったのだ。日本最高のゲームメーカーを戦力化できず力の落ちた本田のみで行くと決めたザックの無策さは、俊輔がボロボロだったのに遠藤を1試合も使わなかった 2006 年W杯のジーコのそれに等しい。そんなのどう考えてもおかしいだろう。

 試合は逆転し追いつかれ、そして最後の1分で入った青山がファーストタッチで大久保に送り、大久保が代表史上に残るほどの美しい空中トラップ&ボレーシュートを叩き込んだ。どうだこれがJ のタレントだよ。青山は「憲剛くんのプレイを参考にして」と広島の佐藤寿人に言われパスを磨いた選手なのだそうだ。―――憲剛(泣)!

2014/05/23

日記「鉄道写真修業」

「ツイッターは難しい」「娘が嫁いだ朝のように」「ティーン旅行記」「大久保と憲剛」「W杯代表発表」「娘ハードロック化計画」「謙虚な本田が好ましい」

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■14/05/01(木) □ ツイッターは難しい
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 ツイッターでジェンダー系の主張が強い人にブロックされてしまった。ブロックされた日の彼女の発言から見て、「ナウシカの胸が年齢不相応に大きいと妻に指摘された、知らんて(笑)」と俺が軽口を叩いたところがロリコン肯定派と認定されたらしい。ポリティカリーコレクトなツイーターは気難しい。あの方が毎日大量に流していたフェミニズム RT はダウナー(気がふさぐ)だったので、アンフォロー自体はいいのだけども。

 俺は女性人権論者の意見には賛同するが、毎日その説教を読みたくはない。ツイッター上の正しい主張は、主張を聞くべき側よりもすでにそれに賛同している側に重点的に届くという難しさがある。

 ブロックされたのは俺が知る限りこれで二度目で、この人はまあいいんだけど朝ドラ関連のあるシャープな人にそうされたのはショックであった。アンフォローは発言に興味がなくなったということで致し方ないが、ブロックはお前のような愚物に自分のつぶやきを読まれるのも嫌だということだからなあ。「ごちそうさん」の杏さんの役に魅力を感じられないと俺が書いたからだろうか。それ以外に思い当たるフシがない。書かなきゃ誰も気分を害さないことをどうしても書いてしまうところがつぶやきたるところで、ツイッターは難しい。

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■14/05/03(土) □ 娘が嫁いだ朝のように
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 今日から萌はモントリオール・ケベックシティへ修学旅行。昨夜は荷造りが間に合わず夜遅くなり、こうなるのが嫌だから先週から荷造りしろしろと言い続けただろうと俺が叱り萌が泣き、阿鼻叫喚であった。やれやれ。

 写真をたくさん撮ってこい、お母さんに電話しろと空港で萌を降ろし、娘が長期留守となって落ち込んだMと帰る。

 カメラは俺の Pen E-PM1 を持たせる予定だったのだが、電池管理とレンズ操作が面倒だなと直前に考え直し、ポケットに入り扱いが簡単丈夫で USB 充電できるという強みがある防水コンデジ の TG-630 を持っていかせた。子供は友達と盛り上がるために行くのであって、写真を撮るのがメイン目的じゃないんだしな。

 Mは娘が嫁いだ朝レベルのダウナーで、寂しさをゼルダのザコ敵に叩きつけている。俺はそこまでじゃないが、「ああ萌がいないからこれ買っても食べきれないな」とスーパーで買い出しをセーブしている。子供が家を出た老夫婦寂しいなあ侘しいなあと思った(寂笑)。

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■14/05/05(月) □ ティーン旅行記
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修学旅行のケベックホテルの PC を借りて、萌がメールをくれた。これはちょっとは親の恩に報いろと学校側が義務化してるのだが(笑)、PC 割り当てのわずかな時間で2ページも書いてきた。しかも生き生きして旅行記としてすごく面白い。

「モントリオール最高! いやほんとは最初のホテル周辺は最低に退屈な景色でなにこれって思ったんだけど、翌日行った旧市街からはもうラブ最高! 完全にヨーロッパ!」

 みたいな調子でぶっ飛ばしている。さすがテキストチャット世代で、書くネタさえあれば光速のコミュニケーション能力だなー。

 萌の作文はいつもうまいのだけども、借りてきたスタイルを縦横無尽に使いこなす技術志向がちょっとなアレだなと俺はいつも思っていた。しかし赤毛のアンのごとき言葉の奔流となったこのメールには胸を打たれた。やっぱ役者もバンドも人前でやらんと本領が出ないように、ライターも旅をしないとね。

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■14/05/09(金) □ 大久保と憲剛
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 【川崎-鹿島】今年初めて川崎戦を見れた。やはり大久保はモノが違うな。身体の強さ速さ、判断の速さと敵を制する意思の強さ、ボールを止め運ぶうまさとシュート力。J リーグに置いてマルキーニョスと双璧のミッドサイズ万能型である。大久保が海外と代表でその力に見合う正当なチャンスを与えられていないのはまことに謎だ。

 川崎がパスでじっくりじっくりと崩し、小林がマークを引き剥がす見事なトラップから追加点、2-1。鹿島も立派に戦っており、無駄球がまったくない大変に面白い試合である。ACL も戦っている川崎が疲れるかと心配したが鹿島の脚も順調に止まっており、川崎のパス回しがいまは上回っている。



 大久保は実際超連戦で明らかに疲れており、後半左サイドボックス内でボールを受け、可能性が低い位置からあっさり打ってしまうシーンがあった。試合はリードしてるんだし普通の状況ならばこのシーンで大久保には交代を入れる頃合いだが、代表発表前最後の試合。ここで点を取らせて大久保を代表に送りたいというチームの思いがひしひしと感じられる大久保や川崎のためにではなく、日本のために。

 あ本山だ! なつかしいなあ。もう30も大きく超えているが、トップ下に入るとしゅぱーっと突破を試み攻撃を活性化する。スタミナ面がわからないが、スピードとスキルはまだ全然やれるじゃん。―――おおお大久保、来た! 完全に脚が止まりもうここまでかという空気が漂っていても、カウンターからフリーでボールを受けると迷わず突き進み、冷静に GK を操り逆を取り流し込む。これだけ疲れていてもこうして点が取れるということですよこの男。ザック監督!

 大久保さらに2点目! W杯の延長戦で、双方ヘロヘロの中大久保がこういう仕事をするのが目に浮かぶではないか。過酷状況下でも一瞬の加速と読みで相手を手球に取れるのはアシストした憲剛も同様で、この2人のベテランは極限状態でも集中力の高さで素晴らしい働きができることをこの試合証明している。この2人の才能を日本は連れて行かないんですかブラジルに。ザック監督!

 インタビュアーに「代表でもあんなアシストが見たい」と言われ、憲剛はニヤリと相好を崩す。選んでくれたらもちろんやれるさと思ってるんだろうなあ :-)。本田より憲剛のほうが調子がいいのは明らかである。それも大幅に。

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■14/05/10(土) □ 修学旅行写真
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 萌が帰宅する。短い旅だったなあ。まあ修学旅行は短い中にイベントが詰め込まれているから思い出は深いだろうが。ハイになってたあの手紙や電話でのキーが高い声を聞いてたときはこちらも盛り上がったが、帰るとやはりいつものダルそうなティーンであった。

写真は500枚撮ってきた。やっぱコンパクトカメラっていいな。どこでも取り出し瞬間を躊躇なく捉えられる。だから枚数を撮りまくれる。失敗しても構わない。いいのがあればうれしい。うちのは防水なので雨の中でも全然大丈夫。楽しそうだよ修学旅行。 だいたい5枚に1枚がセルフィー(自画撮り)なんだから、一眼なんか持ってたら足手まといで大変だったろう。

 この修学旅行写真をパラパラ眺めていると、この利便性で画質があともう一歩よければなあとと思う。フォーカスも手ブレも問題なく撮れているのだが、1/2.3 1200 万画素はほんとバカバカしいほど細部が潰れている。レンズはちゃんと解像してるのに画素のところで潰れているわけだから、画素数をこの半分にしとけばよかろうに、なんでそうしないんだろうカメラメーカーは。

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■14/05/11(日) □ W杯代表発表
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 「本田トップ下も前半で交代・ミラン首脳が不満」と聞いてアタランタ戦タッチ集を見ると、いい位置でボールをもらってもすぐに詰められ持ち上がることも前に出すこともできず、後ろに戻すかプレイを切られるかの繰り返し。ボールコントロールが遅く判断にひらめきがなく、前にボールを進めることができない。

 周りが本田のイメージで動いてないのはあるだろうが、しかしミランの選手ならば自らボールを持ち動いて敵を翻弄し、コースを作って攻撃につなぐのを期待されているだろう。これまで見たミランの数試合では右ハーフだったので苦手ポジションをやるハンデを感じたけれども、真ん中でもこんなもんだったのか。これは文句を言われるのも当然である。プレイスピードが遅すぎる。

 06年W杯直前にボルトンの中田を見て、ドリブルで自分がボールを持って動けずつなぎのパスしか通せない中田はもう普通の一流MFでしかないなと寂しく感じたのだが、今のミランの本田は当時の中田と同じだな。

 今日W杯代表が発表になるが、憲剛が呼ばれずコンフェデ杯同様本田のコンディションと心中コースならば、日本のW杯は望みなしだと思う。



 【代表メンバー発表】はライブで見れた。「多くのメンバーはアジア杯から一緒にやっている」とザックの前置きにあったように(――その時点でワクワク感は消えた――)、予定外は大久保1人だけ。つまりこれまでと同じサッカーをやっていくということだろう。怪我人が回復してコンディションが上がり、調子の悪い選手が復調するのを待つことが最重要な大会準備となるわけである。準備というより神頼みという感がある。

 ザックが大久保をついに呼んだのが、本田が期待したレベルに戻らない場合を想定してのことと思いたい。希望はそれだけだ。ため息。あれほどキレキレの憲剛を代表で見れずに終わるのかと、俺はめちゃくちゃ落ち込んでいる。

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■14/05/19(月) □ 娘ハードロック化計画
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 最近萌が車の中でかけるオルタネイティヴロックに飽き飽きしているのだが、どこかで耳にした「カシミール」に興味を持ったらしいのでこれ幸いと Zep を5~6曲みつくろって iPod に入れようとしたら、自分で Youtube で聞くからいいと言われた。「それにいらないのまで入れられるから」。バレている。

 萌中3がいま聴いてるノイズ多めの米英加ロックは、オルタネイティヴ(代替的)ロックとはよく言ったもので、いいコードやメロディやカッコいい楽器演奏といった旧来ロックのおいしがり部分は切り捨て、強度つまみだけをぐいっと上げた作りになっている。なぜそうしているのかは俺にはわからない。そこは世代の違いとしか言いようがない

 俺にとってはおいしいところが少なく物足りない音なのだが、音楽においてインテンシティ成分が最重要な年頃なんだろう。好きな Perfume の音も強度が高いしな。そういうキツイ音を聞きながら iPod で友達とテキストしたり宿題するというのが、彼女の音楽消費スタイル。

 今日は転送拒否に遭ったが Zep を入れてやれば、強度的には彼女の耳にも響くと思う。強度がほしいならハードロックを聴いてくれ。「カシミール」の他に今日選んだ曲は「ブラックドッグ」「ロックンロール」「アキレス・ラストスタンド」など。あと強度を上げるためパープル「バーン」とクリムゾン「21世紀の精神異常者」も選んどいた(笑)。パープルなんて中学以来初めて聴いた気がするがやっぱカッコ良かった。

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■14/05/19(月) □ 謙虚な本田が好ましい
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 本田の今日のインタビューが良かった。コンディションはいいのだそうだ。しかし「やはり個では個にトライしてきても、たった4年間では通用しない…そこで競争する必要がないのかなっていう風に思うようになってきました」と言っている。

 去年本田は「全員が個の力を上げないとW杯で勝てない」と観念的なことを言っていたが(――だってそこを上げるのが一番難しいから日本は得意の組織で戦ってるのではないか――)、ミランでホラ個の力で勝負してこいとボールを渡されて、「そこで何かを起こすことが、できなくてつぶされての 4 か月半です」と自分の力を謙虚に認識していた。

 ワールドレベルでは個の力だけでは難しいと彼が身にしみて感じたというのは、これは好ましいことである。香川はマン U 加入後のコンフェデではすでに懐深くボールをキープし、『相手を抜けないが、取られることは絶対にない』プレイを選択して動き効いていた。本田は逆に今の『取られることはないが、攻撃スピードが落ちる』プレイから脱却する方法を模索すればいいのだ。

 もとから本田や香川がバロテッリのレベルになってくれとは誰も思っていない。ただ日本代表がグループとしてならば、イタリー代表を倒す可能性があるわけである。自分の力を認識した本田は代表で前以上に周りを活かすというか、周りの力に頼る MF になってくれるかもしれないと、これを読んで思った。

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■14/05/20(火) □ 鉄道写真修業
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 【鉄道写真】ばば様を駅でドロップし、いつも素通りする貨物列車ターミナルの陸橋たもとに車を止め、買い出しの前に鉄道を撮ってみた。しかし鉄道写真って撮り方がわからない(笑)。レールのこのR(曲がり具合)なんかステキですよね。それは俺にもわかるので撮ってみる。

 陸橋は金網があって列車自体はうまく撮れなかった。しかし徒歩で上がってみて初めて知ったのだが、駅構内にたくさんのカナディアンギース(でかく凶暴なガチョウ)が住んでいる。水もない砂利場になぜ? 中学校庭にはカモメが大量に住んでるんだよな。鳥住謎(※貨車からこぼれた穀物を食べに来ているに決まっているではないですか! by タマコー氏)。

 こうして撮ってみると俺は列車自体より「トレインのある風景」を撮りたくなるので、意外と望遠側は使わないな。最長で 60mm 程度。150mm なんか必要なかったかなあとこの頃感じる。80mm くらいまでなら低速シャッタースピード時にブレに悩むこともなかったろうしなあと思う(俺の E-PM1 は 150mm だとブレやすい)。まあ望遠でのブレと狭い画角に悩むとは使ってみるまでわからなかったのだから仕方ないのだが。



自分で撮った線路写真を眺めていて、線路付近を切り抜いてみたらRが際立ちズシっと迫力が出た。―――そうか。わかったぞ。俺は線路がいいと思ってこの写真を撮ったのだから、グッとズームし線路を強調する構図を考えればよかったのだ。62mm の 130% 増し、80mm あたりで。それを現場でイメージできないのがビギナーで、小さなモニターではうまく切り取れないのがミラーレスなわけだが。

 LD 家周辺路地散歩時のぱっとしない写真も、「40mm じゃ撮りたいものに近すぎる」と感じながら撮っていたわけだが、標準 14~19mm とは撮るものを探す目を切り替えるべきなんだろうな。標準レンズ的な目で見た景色の広がりを望遠で撮ろうとするとただ画角が狭く、写したいものが全部収まらない写真ができる。その景色の中から主題を切り抜いて写せばいいのだ。それがズームレンズの使い方なんだ。このコンバートが頭のなかですっとできるよう考えていこう。

 あとから切り抜きとはいえこの1枚が撮れたのはうれしい。よく見るとはるか彼方で工事をしてる人足もちゃんと写っている。レンズの解像はバッチリだったんだな。やはりこのレンズは力がある。

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 移動車内で萌ハードロック化作戦決行。

「ブラックドッグ」無反応
「バーン」無反応
「21世紀の精神異常者」無反応

 血も凍る沈黙、まさにスターレス・アンド・バイブルブラック。親が聞かせる音楽は全部耳からこぼれ落ちるバイパスが通ってるのかもしれない。

2014/05/15

【カメラ日記】望遠でブレない設定探し



薪を売る民家。裏庭に重機が置かれている。

前後吹き抜けの自動車工場、向こうに見える
ラーメン屋にはいつか行ってみねばなるまい。

交差点で見たカッコいい自転車女子。顔が
隠れて残念だが、よその人なのに顔をはっきり
写してしまっては申し訳ないのでそれもよし。
今日は車をオイル交換に持って行き、待つ間あたりを散歩して写真を撮った。MZ40-150mm を買って以来望遠側の手ブレ(手ブレ補正の弱さ)に悩んでいたのだが、望遠にしたときによく使う 1/160s が特にブレやすいので、その明るさでは 1/180s になるようにカメラを設定したのである。これで適当にバシバシ撮りテスト。

 結果として、やはりブレがほとんど出ない。40 枚撮ってブレは1枚しかなかった。望遠側も安定している。やっぱ俺のカメラ+このレンズでは 1/160s だとなにか共振が起こり(1/〔40 の倍数〕秒が不安定な感じ)、それがブレの原因なのだと思われる。

 共振が出にくい設定が見つかり、これでようやく手ブレに気を使わずにガンガンと撮れるようになって、気軽にまわりを見渡し撮り歩く。好きなモノクロもひと月ぶりにオン。建物ぐらいしか撮るものはないが。自動車工場を抜けて見える向こうの風景とか、望遠レンズで撮って面白いものが俺にも見えるようになってきたかな。ガレージの向こうのあのラーメン屋は実は通りの反対側なのでかなり遠いのだが、望遠レンズ効果ですぐそこにあるように見えて面白い。

 もうこれで手ブレテストは必要ない。家にいる間は SIGMA 19mm に戻し、MZ40-150mm は外出時に楽しもう。



 W杯代表に憲剛が選ばれず、俺は落ち込んでいる。今の本田香川がやる1-2ばかりの遅いパスサッカーはつまらないのだ。高速ショートパスでプレスを交わす力は世界一流レベルにあると思うが、交わしているだけで FW がシュートに持ち込めるボールが一向に出てこないのだから。

2014/05/04

日記「中学演劇シンデレラ」

「信号待ちカメラマン」「日本語音読問題」「手ぶれは連写するしかない」「気軽に外食したい」

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■14/04/14(月) □ 信号待ちカメラマン
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信号待ちの目に飛び込んでくるカナダの春

クルミを見つけ割る場所を探すカラス

近くの草花の質感はやはりSIGMA単焦点に
負けるが、これはいいデキ。背景ボケは上回る
手持ちのマイクロフォーサーズレンズが標準 MZ14-42mm、SIGMA 19mm、MZ40-150mm の3つとなり、出かけるときにどのレンズをつけるか悩ましい。これまではずっと 19mm をつけっぱなしだったが、車の中から外を見たくらいの距離感のものを撮るには換算 38mm ではやはり短い。SIGMA の写りにはいつも惚れ惚れさせられるが、どれほどきれいに撮れていても広角レンズでは、目で見た大きさは写真から感じ取れないわけである

 望遠レンズの喜びは目で見てきれいだなと思ったものを、見たままの迫力で PC モニター上に再現できることだ。標準 MZ の望遠端換算 84mm では目で見るよりもやや小さくしか撮れないが、40-150mm の 70mm(換算 140mm)くらいになるとビジュアルセンセーションをモニター上に再現できる。車の窓から見てきれいだなと思った木の緑を撮ると、葉っぱの一枚一枚まで解像している。気持ちいい。こういう写真を撮れるので、退屈な家族送迎時の信号待ちが楽しくなった。春なので毎日色が違う、信号脇の緑たち。



 しかし散歩時に路地で見つけた桜のきれいな交差点の景色を撮ろうとしたら、ワイド端 40mm では全然画角が足りず木の一部しか撮れなかった。山を背景にした家を撮ると家しか写らない。湖面に写る木陰を写すと木そのものが写らない。どれも「どこの何であるのか」という情報がごそっと抜け落ちて、意図不明でジェネリックな写真になってしまうのである。一般的にきれいな桜。一般的な民家などなど。かようにレンズの大は小を兼ねないので、やっぱり短いレンズも持って歩かないとならんか。うーん。

 というわけで 14-90(換算 28-160)mm くらいのもう少し小ぶりなレンズがあれば完璧に便利なのだが、オリンパスもパナもそういうレンズは作ってないので、なにか光学的に難しいレンジなんだろうな。オリンパスの 14-150mm ならば同サイズでワイドをカバーするが、値段がなんと4倍の600ドル級で、望遠側は 40-150mm よりも弱いそうなのだ。望遠レンズって作るのがよほど難しいのだろう。

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 朝ドラ【花子とアン】は、面白いが端々が気になって仕方がない。あの校長だって、国に帰りなさいというときにあんな「ゴオォォォォホオォォォオム!」なんていくら昔の偏屈校長でも言わぬと思う。ああいう芝居をつけられ、外国人役者陣はこれが日本のドラマかと呆れてるだろうなと余計な心配をしてしまう。

 うちの娘が日本のドラマを見ないのはああいう不自然な演技やベタな展開があるからで、米カ人は前思春期にはそういう作為的でワザワザでトカトントンなものをよくも悪くも受け付けなくなる。映画「ロストイントランスレーション」の主人公が最初日本に超違和感を示すのもそういうところ。

 まあ映画「ロストイン~」はそういう「日本」に主人公が折り合っていくところが実にリアルでイイんだけど。朝ドラはお年寄りなどがわかりやすくするために特にそういうベタな傾向が強いらしいが、「カーネーション」「あまちゃん」がわかりにくいと批判されたわけでもなかろうにと思う。

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■14/04/22(火) □ 日本語音読問題
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 学校帰りに萌が俺の背がアジア人としては高いとか友達と話した云々と久しぶりに日本語で機嫌よく話し、するといつもの英語口調とあまりにトーンが違い幼く感じられ、俺のほうが居心地が悪かった(笑)。小学生以降日本語は進歩してないんだもんな。生意気盛りな自分のメンタリティにマッチした喋り方ができないから萌は日本語を(より一層)使わないのかもしれないと気がついた。

 萌のいまの英語口調は虚勢不遜成分が多すぎてまったく好かんが(みんなあんな口調で喋ってるんだろうから、カナダ中学性はある意味幼い)、歳相応の日本語が話せるようにはしてやらんとなあと思う。その参考になればと日英とも若々しくもマイルドな喋り方をするバイリンガルニュースを聞かせていたのだが(※)、やっぱ普段日本語を話す友達がいないと身につくわけもない。
(※)この番組に登場する日本育ちのバイリンガル女子はみな、カナダのティーンと比べとにかく声が澄んでいてきれいなのだ。たとえ学校はインターナショナルスクールでも、低い威圧的な女声がまったく好まれない日本の社会に住んでいるからだと思う。

 バイリンガルニュースを使った日本語リスニングと語彙学習はちゃんと成果が上がっていたのだが、日本語学習で口を動かす練習にはやはり音読しかないのだろう。しかし教科書などいまさら読む気はしないし、面白い本は学習者の語彙力ではまともに読めないというジレンマがある。なんかないかなー、会話主体でふさわしいテキストが。

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■14/04/23(水) □ 手ぶれは連写するしかない
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 俺の E-PM1+MZ40-150mm の望遠側はやはりブレやすいのだが、ネットで学んだコツ、

>     撮影の瞬間は息を止める
>     シャッターは押してすぐ離すのではなく、撮影がちゃんと完了するまで押したままにしておく
>     自分の持ち方を見なおす

 というこの【シャッターを押し切り戻さない】のが大事なのだとわかってきた。俺は知らず知らずにチョンと押してカメラを揺らしていたのである。シャッターを押す指でカメラ本体を抑え安定させるのだ。これでヒット率が大幅に上がった。

150mm 近辺はこれでも 1/200s ないとブレやすい。シャッタースピード優先で 1/200s にしてしまう手もあるが、それよりは連写で対処したほうが賢明なようである。秒間3枚撮れば1枚はヒットするし、必然的にシャッターを押したままになるので安定する。後から残す写真を選ぶのは手間だが、その分シャッターチャンス的にも単発より圧倒的に有利になる。いい瞬間が撮れやすいのだ。

 道の向かいであいあい傘のご夫婦を連写したこれはフォーカスもボケも完璧で嬉しくなる。こういう街写真が撮りたかったのだ。

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■14/04/29(火) □ 気軽に外食したい
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 郵便受けに入っていたファミリーレストランのチラシを見てここに行ったことないなと思い、というかカナダでファミレスって行ったことがないなと改めて思う。セブンイレブンと同じでファミレスというのは味の分からぬ貧乏人が行くところという扱いになってるので、いい年をした大人は行けないのだ。

 でいつもMにちゃんとした店に連れて行かれるが、そういう店はメニュー品数が限られてるので食いたいと強く思うものがたいてい見つからず、味はわざわざ言うほどのこともなく(どんな店にも5つ星をつけるカナダ人に比べたら、日本人の外食評価っぷりはみんな鬼である)、値段とチップは高い。というわけで俺はあまり外食をしたくならない。

 チップという仕組み自体が非合理的で、支払い総額×標準15%なので、高い店で団体が来たら1テーブル50ドルだってときにはもらえるだろう。注文を取り皿を持ってくるだけで。そして%なので安い店と高い店では同じ仕事でもらえるチップが異なる。これは労働条件として理不尽なことで、だから安い店ではウェイトレスの態度が悪くなりやすい。店員の愛想がいいなんてのはカナダじゃ当たり前のことなので(いい国だ)、はなから愛想よくをデフォルトにし、店が従業員にチップ分を支払うべきなのだ。

 逆に言えば西洋の飲食業は、ウェイトレスに支払うべき給料からチップ分を差し引いて支払っているわけである。バカバカしい。こんなんだから成功したレストランはオーナーが早くに引退して船を買い外遊に出かけ、定期的に味が変わるのである。

 ウェイトレスは感じがいいが味がめちゃくちゃまずかったり、空腹なのに異様に長く待たされた場合が難しい。不快でチップなど払う気がしない。しかしウェイトレスのせいではないのにダメージを食らうのは彼女となってしまう。まったくあらゆる角度からオーナーが守られた理不尽なシステムである。



 日本でそうしていたように、もっと気軽に飯を食いに行きたい。メニューを見れば○○セットいくらと事前にわかり、ウェイトレスに媚を売られチップ満額のプレッシャーをかけられることもなく、そしてお札1枚程度の定食でもちゃんとうまい日本の定食屋は世界最強だ。

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■14/04/30(水) □ 中学演劇シンデレラ
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萌の中学演劇、「シンデレラ(改)」を見てきた。想像の10倍よかった。萌の演技も演劇全体も素晴らしい。練習後萌が愚痴を言うほど演劇パッションを持ち指導が細かく長いという先生のおかげだろう、どの子も表情から指の先まで文句のつけようのない演技であった。

 キッズが受け持つ音響や照明の具合も完璧。「ハッシュタグ セルフィー(#自画撮り)」やら「YOLO(You Only Live Once→一度きりの人生だから楽しまなきゃ損)」といったティーンラングエッジが盛り込まれた脚本も適度にストーリーを端折っていて楽しい。ブラバンでは日本とカナダは高校生と小学生くらいのレベルの違いがあるが、演劇ではカナダ圧勝だな。



 人種がフルミックスなのもよかった。プリンスはスケートの高橋に似たアジア系少年だったが、彼はバレエをやってるそうで身のこなしや演技まで高橋みたいで完全にスタアであった。どうせかわいいホワイトがメインなんでしょお高いんでしょと俺自身が偏見を持っていたのだが、全然違ったすいません。そういう(バレエをやってて芝居がうまい)子がバカどもに冷やかされたりしないところが、多様性あるカナダの偉いところである。

 幕間にぴょんと出てきて「まあなんてことでしょう、かわいそうなシンデレラ! この子にいったい幸せな日々なんてやってくるのかしら? そんなことあなたたちも知らないわよね!」と客を煽り笑わせるストーリーテラーもアジアンガールで、この子がまた声の抑揚や表情に魅力ありまくりのハマリ役であった。この子の声の魅力を見出しこの役を与えた先生は眼力がある。

 シンデレラのママ母は異様に声がガラガラで太い子で、よくあんな意地悪ババアみたいな声が出るなスゴイ声帯模写力だと感服してたらあとで男子だと判明した。男だったのかよ! ならばそれはそれでおばさん仕草がすごい。こうしたぱっと見には目立たない生徒たちが、ステージに立ち動き喋ると耳目を集めずにおかない魅力を放つ。そういう演劇的マジックがステージ上で展開していた。まったく素晴らしいキャスティングとしか言いようがない。




背の高さが際立つムスメ。(Sigma 19mm)
萌は意地悪な義理のシスター1で、バカ殿系化粧をして不愉快極まる高笑いでシンデレラをいじめ抜いており、実にスバラシかった。そういえばあの動きを家でやってたなと思うさまざまな仕草をストーリーの中で見て、なるほどこういう場面の練習をしてたのかと今頃合点がいく。流れの中では家で見てるときの10倍良かったよ。俺もMも芝居なんてやったことがないが、萌に演技の才能があるとはね。

 コメディだったので俺はゲラゲラ笑いながら見てたのだが、笑うツボが他の人たちとちょっとずつズレてたらしく、萌やその友だちに聞こえていてステージ裏で「あれ萌のダッドでしょ」と笑われてたらしい。いいよそんなの。俺のウケ方のほうが他の人たちよりどこかセンスが優れていたよきっと :-)。

2014/04/20

日記「赤毛のアンの年頃」

「ゼルダ達成感」「日本テーマボドゲ会」「野鳥撮影家になりたい」「桜舞い散る」「MZ40-150 黒購入」「望遠手ブレ問題」

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■14/03/29(土) □ ゼルダ達成感
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 今日もMと【ゼルダ・スカイウォードソード】をやる。「場の時間を昔の超機械文明時に戻す」ことでトリックを解くなど世界観的にはどうなのかと思う展開だが、適せん提供される新ツールを使って大がかりなパズルを解いていくのが素晴らしく楽しい。いまはエアブロアーを使いダンジョン攻略中。

 Mは「キリがいいからセーブしてやめよう」といっても「いやだ」といって先に進むという常軌を逸したハマり方をしてるのだが、さっきSH姉への電話でそのワケを話していた。

 「いま論文書きに詰まって自分が無力で無能だという気分から逃れられないんだけど、ゼルダをやってる間は完全に没頭して何もかも忘れられるのよ! そして謎を解くたびにアンビリーバブルな達成感が走り、なんて自分は頭がいいんだと感動するわけ! これが論文書きでは得られないのよ!」―――そうだったのか(笑)。

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 ツイッターで一部話題になっていた【地球イチバン/トリニダード・トバゴ】のスチールドラム市民たちを見た。スチールドラムすごい。踊りながら叩く女子高生たちがかっこ良すぎる。あのお祭りの何千人大合奏の音の中にいたら、気持ちよくて気を失いそうだな。

 このスチールパン楽団たちがすごいのは、譜面に書けそうにない譜割りがハチャメチャなリフを、呼吸だけで全員がズガガガガガと合わせてしまうところだ。こんなすごい音楽はちょっと聞いたことがないな。うわは! カッコイー! すげー!

 今まで生で見て一番「音」がすごくて見てて笑ってしまったのだが80年代キングクリムゾンなんだが、トリニダード・トバゴのスチールパン楽団たちは全バンドそんな感じ。音を聞いてるだけで笑ってしまう。想像を超えたメロディ、想像を超えたリズムとグルーブ。ファンタスティック。

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■14/03/30(日) □ 赤毛のアンの年頃
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【花子とアン】が始まった。このわたくしもつい昨年行ったばかりの PEI 島がオープニングでガン押しであった。「赤毛のアン」ってこんなに大昔の話なんだけど、アンを無邪気で素晴らしい存在として手放しにほめ描いているわけでなく、ごく客観的に見てるので読むと驚くんだよな。その客観性と澄んだまなざしは現代人と変わりないのだ。カナダの夏目漱石である。

 「赤毛のアン」は実はカナダではそれほど……というかほとんど読まれていなくて、それはアンの感性がヒットすべき年代(小学校高学年~?)くらいには、どの子供らもダーク・シニカルなものがクールなんだという一様な感性になってしまうからだと思う。読むものが幼児ものからハリーポッターを経てサイバーパンクなダーク SF に飛んじゃうのだ。

 10~15歳くらいの女子は少女マンガ・少女文学に没頭するのが自然だと俺は感じるが、現代カナダにはそれに相当するものがないので、萌は日本のマンガ的なのほほんとした思春期は経ずして北米ティーンカルチャーに突入してしまった。我と押しが強く攻撃性の高い者たちが頂点におりイノセンスやオタクが対極にある学校で、小5くらいから「ポピュラー(人気のある)ガールズが……」とスクール政治の動向を気にするようになる。

 Mがむかし「萌にカナダのひどいティーンエイジライフを経験させたくない」と言っており、何言ってるんだと俺にはピンとこなかったのだが、彼女が言ってたのはこうした幼いままではいられず背伸びを競うティーン文化のことだったんだろう。予想外だったのは萌がオタク側より押しが強い側に同調してしまったことである。

 やがて成長すれば(子供の頃のように)オールラウンドにさまざまな価値観を取り込めるようになると思うが、今のカナダ中学年代には赤毛のアンのように一人イノセントであることは難しいというか、誰もそれを望んでもいないようなのである。

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■14/04/06(日) □ 日本テーマボドゲ会
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 【ボードゲーム会】本日は日本テーマの回となり、「花火」「キングオブ東京」「Tsuro(通路)」「タケノコ」をプレイした。ちょうど今「花火」と「タケノコ」のデザイナー・ボザ氏が日本各地のボードゲーム屋行脚をしてるらしいよと、ボザさんの日本愛を紹介しながらプレイ。

【ボザ:花火】自分のカードを見てはならず、ヒントを与え合って行う7並べ。断片情報を貯め込み推論するゲームは苦手だし大抵は面白いと感じないのでどうかなと思ったが、やってみたら全然そういうゲームではなかった。

 ある時点で誰がどのカードを置くべきかは《本人以外には》明白なので、たとえば「君のこれとこれは2である(わかるねニヤリ)」といえば、「ああそのどっちを置いても大丈夫なのね」と即ヒントが伝わる。その都度タイミングよくヒントを与える→行動をするという繰り返しで5色の列が完成していく。つまり情報を貯め積み上げることが遊びなのではなく、他プレイヤーがすぐ使えるヒントをいかに工夫して編み出すかということがこのゲームの遊びになっているのだ。これはクリエイティブである。頭の使い方がディクシットに似ている。★★★★。

【キングオブ東京拡張】「キングオブトーキョー」の最大の長所はあっという間に勝負がつき笑って終われるところだと思うので、拡張でゲームが複雑化したのは進化とは感じず。★★☆


江戸屏風絵風のシンプルゲーム「通路」

かわいい「タケノコ」
【Tsuro(通路)】タイルを置いて自分のコマが通る道をつなぎ、盤から落ちないようにうまく誘導していきつつ敵を追い落とすという、見た瞬間やることがわかる良ゲーム。各自狙いを持ち工夫してそれが外れることもおおアリという展開で、戦術や上手になるという要素は皆無だがクイックで非常に楽しかった。★★★。



 そして本日のメインが【ボザ:タケノコ】とにかく見た目が最高にかわいいゲームで、目的カードを取りそれに合致するようタケノコを育てパンダに食べさせ達成していくというチケライ的なゲームの進め方もわかりやすい。

 どのタイルに水が行ってるか、どこにタケノコができるのか、1ターンにやれる行動の種類というあたりがやや曖昧なほかはルールも簡単で欠点もない良ゲームだったが、やや長かった。ゲーム時間にゲーム性がやや及ばない物足りなさがある。そこもチケライに似ている。★★★。

 俺が物足りなく感じる理由ははっきりしていて、タケノコを育てるために水を引いたり農夫を送ったり相当の努力をしてるのに、出来上がったタケノコは別に誰のものでもない(誰でも取れる)という共産主義的(笑)なところである。前の努力が後の豊かさを呼ぶという、拡大再生産的な部分がないのだ。だから後半になりゲームが盛り上がるということもなく、最後まで淡々と続くのである。

 チケライの欠点――完璧なゲームだがやがて飽きる理由――も同じくこの拡大再生産性のなさなのであり、1時間を超えるゲームは初期の努力でゲーム内容が加速してくれないと、熱意を維持するのが厳しくなると思う。


 というわけで日本テーマゲーム会はどれも面白く、大成功であった。

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■14/04/09(水) □ 野鳥撮影家になりたい
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 庭で今年最初のタンポポ駆除をやっていると、Mが育てた「ハミングバードがくる」というスグリの花にほんとにハミングバードが来た。わわわ! とカメラを持って出るが、近くに行けば逃げてしまうので俺の短いレンズでは写真は無理で、動画だけ撮影。

やーほんとに来るんだなあハミングバード。ブーンと蜂のような羽音がする、猛烈な高回転はばたき。だからハミング(ブーンという唸り音)バードなんだ、だからハチドリなんだと改めて思う。チェルシー・エトー(サッカー)のような直線的な動きが超カッコいい。色も美しい。

 これは写真を撮りたい。遠くからそーっとクリアーにハミングバードを捉えたい。長いズームレンズがますます欲しくなってきた。野鳥撮影だ。あの黒い覆いに隠れてレンズだけ突き出してやればいいのかな(笑)。昨日はまるで興味のない鉄道撮影をしてハアハアと興奮してる夢を見たし、カメラが俺の趣味を勝手に拡張していくようだよ。

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今日フロントヤードで働く萌とMを標準ズームで撮った写真がよかった。42mm ではやや足りずクロップして 80mm 相当にして鑑賞する。SIGMA 単焦点のほうがずっとシャープだが、やっぱ遠くを撮れる望遠レンズはいい。いつでも使える 75mm 以上がほしい。ほしいぞオリンパスの廉価ズーム、M.Zuiko MZ40-150 ED R。

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■14/04/10(木) □ 桜舞い散る
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図書館の桜はもう散ったかなと見に行くと、まだ半分ほど枝に残っていた。桜舞い散る舗道が美しい。

 ハチドリを撮るために MZ40-150R を買うことに決め、探しに行く。しかし白ボディ用のシルバーはどこにも売っていない。がっくし。もう町を流していても、80mm 以上あればあれが撮れるこれが撮れると目が望遠になってしまっているのに。


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■14/04/12(土) □ MZ40-150 黒購入
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 オンラインサイトであちこちの量販店の在庫を調べたが、シルバーの在庫はどこにもない。シルバーの存在は LD の店員が知らなかったくらいで、カナダには輸入されてないのかもしれない。モールにある新型の黒はそれなりにカッコいいので、これでいこうと決定。

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40mm(標準ズームの上限と同等)

150mm、新ズーム上限
M.Zuiko 40-150mm ED R 買ってきた。シャープ! しかし近くのものが撮れない! ブレる! 難しい!

 レンズのサイズは予想よりも大きかった。他のレンズは指先でホールドする感じだが、これは手の平にがっしりと持つ感じ。さすがにおしゃれな女子用カメラ PEN という外観ではなくなり、なにか気合が入ったカメラを持ってるなという感じになる。ちょうどモールでフェアをやっていて撮りながら歩いたのだが、人混みの中でこのレンズを使うのはちょっと気が引ける。

 そして手ブレと手ブレ起因のピンぼけを量産してしまった。実際使ってみると換算 300mm はコンデジでいう10倍相当で、庭の小鳥は撮れるがフィールドの野鳥は無理くらいの距離感。そんなに超望遠なわけでもないのだが、とにかくブレる。これまでは小さく軽く焦点の短いレンズを使ってたので手ブレは十分補正されてたのだが、俺の手はこんなに震え、俺のカメラは手ブレ補正がこんなに弱かったのか。サイズと距離が倍以上となって弱点が露呈したわけである。がっくり。

 まあ昼間屋外ならば望遠端 150mm も大丈夫。ピシっと止まればフォーカスも解像も完璧で、ブレてないコマはカリカリだ。75mm あたりまでは標準ズームより大幅にシャープである。もしかすると解像感は単焦点 SIGMA 19mm をもしのぐかもしれない。草木の質感なんかは SIGMA を超えている。距離が長いので背景がボケて、SIGMA よりも立体感がある。素晴らしい。

 しかしこれは難しいな。慣れが必要だ。慣れて手ブレが制御できたら、撮れるものが広がるのは間違いないが。

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ケルト音楽の夕べにまたお呼ばれしてきた。2コードのジグと呼ばれるリフをバイオリン、マンドリン、ピアノ、バンジョーなどでひたすら繰り返す。どれも知らん曲だが、2コードなのでコードを拾えばすぐに弾けリズムにのめり込んでいける。

俺はギターでコードをガツガツと弾く。2コードだと飽きるが、たまに3コードめが入ると俄然ロックっぽくなって燃える。俺の横のフルート GY も同型らしく3コードめになると俺と共にがっと熱量が上がり、そういう曲が終わると「we sound good!」とうなづきあった(笑)。インディアンハンドドラムを叩いてる女の人が俺のギターが気に入ったのか、ずっとこっち見てニコニコしていた。


すげえ知的な音楽家たち(Sig19mm)
しかしこういうケルト音楽をやる人はみんな風貌が知的である。ロッカーのような脳天気な輩とは人種が違う。全員スティーブ・ジョブズと言っても過言ではない。

 俺は今でもギターを弾けば実にいいリズムを弾けうまいなと思うが、やはり久々だとずれる。こういうところが現役バンドマンとは違う。ラッセル氏と E/AM7/BM7 のブルースを1曲やり大盛り上がりしたのだが、裏でセブンスの音を入れていたらけっこうズレた。気づかれたら恥ずかしかった(汗)。

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■14/04/13(日) □ 望遠手ブレ問題
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92mm

40mm開放、1/50s
朝の光を浴びて輝く枝が美しい。こういうものはこれまで MZ14-42mm や SIGMA 19mm では撮ってもモニター上に再現はできなかったのだが(撮ったものが小さすぎ、被写界深度も深すぎて見たとおりには写らない)、新レンズ 40-150mm では大きくくっきりボケボケで撮れる。これまではこういう写真が撮れなかったんだよな。

 屋内ではシャッタースピードは出ないが静物ならばなんでも美しく撮れる。何を撮っても背景前景がかすかにボケるので、SIGMA 単焦点 19mm をもしのぐ質感立体感が出る。すばらしいなこのチープなレンズ。



 レンズ自体の性能は万全で、こうして 100mm くらいまではどんな条件でも手ブレは出ないのだが、それ以上がやはり難しい。1日中望遠域の手ブレテストをしていたが、150mm で遠距離を狙うとなかなかピタリと止まらない。俺の手自体が震えているので、それを止めるべく持ち方やシャッターの押し方などもちゃんと勉強してみたのだが。換算 300m での手ブレ限界(補正機構なしでもブレずに撮れる下限)とされる 1/320s ではほぼ止まるが、1段下の 1/160s では成功率が 2/3 程度に下がり、2段下の 1/80s 以下ではほぼ全敗となる。

 オリンパス PEN の手ブレ補正(IS)は2~3段の効果があると言われ、つまり理論上は2段下(半速の半速) 1/80s でも撮れるはずだが、1段 1/160s がぎりぎりなのだ。これは俺の E-PM1 の IS が弱いと考えるしかない。このカメラの IS は一度修理調整してるので、再度調整に出してもこれ以上 IS の性能が高まる見込みはない。やれやれ。まあ仕方がない。

 さまざまなターゲットでテストすると、家の庭くらいの距離でコントラストのはっきりしたものなら 1/80s でも止まるが、遠くなりコントラストとシャッタースピードが落ちるごとに厳しくなっていく。つまり 150mm でどんな条件でも撮れるのは 1/200s あたりまでと諦めよう。距離が家の庭くらいなら多少ブレても気づかないが、手元でほんの 0.1mm の振れが 50m 向こうでは数十センチのブレになるわけで、完璧に止まらないと実用にはならないのだ。

 まあ昼間なら曇っていても 1/200s を超えるので、150mm が使えないというわけではない。望遠端を使うときは光を気にして、暗くて厳しそうなら連写してその中からいいコマを選べば確実にキープできるだろう。はやくきてくれ、ハチドリよ。

2014/04/05

【カメラ日記】オリンパスのシャープネス過剰を落とす




上3枚は比較のため、おおげさに
ソフトフィルターをかけてます。
昨夜、昼間撮った桜の写真を見ていてなんか花弁が硬くカサカサに撮れてしまってるなと感じ写真エディターでソフトフィルターをかけると、ふわっとした柔らかい、春っぽいオボロな光が甦った。記憶の中ではこんなふうに見えてるんだよな。

 このオボロ桜効果にヒントを得て、「ちゃんと撮れているけれど別に面白くはなかった」という俺にとてもありがちな写真にどんどんソフトフィルターをかけてみると―――おお! すると普通の冬枯れの森がファンタジックで RPG の森っぽくなった(笑)。これだ(笑)。

 なんかゴチャゴチャっと汚く撮れてしまったのでボツにしていたサギがいる畑も、ソフトフィルターをかけると格段に見やすくなる。Less シャープなのに見たいものが more くっきりと見えてくるこの不思議な感覚はなんだと考えて、これはノイズが減ったのだと気づく。Jpeg のノイズではなく、写ってるものが多すぎてうるさいという意味でのノイズが減る感じ。オーディオ的な

 そうか。写真はシャープならいいというものではないんだ。そうか。ソフトフィルターはフォーカスが合いレンズが解像しているのに情報が減り目にやさしい写真になり、それが気持ちいいのだろう。そうか。つまりカメラの撮影時設定のシャープネスを落とせばいいのではないだろうか。俺のオリンパス PEN E-PM1 はもともと標準でシャープネスが強すぎ-1 が推奨されてるのはネットで知ってたのだが、シャープなものを落とすことはないだろうと1年間標準で使っていたのである。



 翌日近所の木や花を撮りまくり、シャープネス-1で落ち着いた。細かいものがゴチャゴチャゴチャっと写っているわずらわし感が減る。なるほどー。楽しい :-)。柳の枝はふわっと柔らかく、左の茂みはわさわさと葉っぱ感がゆたかにあり、いい写りだと思う(レンズは MZ14-42mm)。これでいこう。

 あとで気がついたが、俺が自分で作り超気に入ってるモノクロポートレート用設定がシャープネス-1 で、モノクロの標準が -1なので-2相当になっている(Picasa 等で Sharpness-Soft と表示される)。つまり俺は細かい情報を捨てた淡い絵が好きなんだな。◆

2014/04/01

日記「北米アングリー音楽」

「宙也のアレルギー復活」「やっといつものゼルダらしく」「任天堂のゲーム道」「40-150mm が欲しくなってきた」

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■14/03/15(土) □ 宙也のアレルギー復活
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 ツイッターで関西のロックファンが「今日アレルギーを見てきた」とつぶやき、アレルギー(80年代ニューウェーブバンド)が再結成しライブをやってることを知った。げげ! ―――ああ、オリジナルメンバーは宙也とドラムのあーちゃんだけか。仕方がないな、ベースの U 子は死んじゃったし、ギターの小野ちゃんはスターリン後に引退したままなんだろう。残念。


(東京フラストレーション from "EL DORADO" LP '84)

 小野ちゃんのギターが刻むリズムにドラムの荒木が畳み掛け U 子のメロディアスなベースがうねうねと絡む中、奇天烈で美しいメロディと不思議な言葉を圧倒的な力で歌う宙也は東京一のスターだった。ブレイク前の Boowy より人気があった。解散ライブには布袋やどんとが来ていた。

 と書いたら、宙也から「I'm alive」と一言だけのメッセージが届いた。スターすぎるぜその態度(笑)。俺が東海道ツアーに同行したあのバンドのギターだと、ラママで一緒に演奏もした奴だと気づいているのかいないのか。わからない。名前なんて覚えてないか。とにかくあの頃のバンドで今もただ一人フロントでやっている彼のことを知れてうれしかったのである。

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■14/03/17(月) □ やっといつものゼルダらしく
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 萌が留守でMと【ゼルダ・スカイウォードソード】をやったのだが、なかなか思い通りに動かせず道に迷いザコ敵にやられ、ゲームに対し腹が立って仕方がない。そのせいで例のゼルダ喧嘩(アクションゲームプレイ時のパニック夫婦ゲンカ)が最初の森で、まだダンジョンにすら入ってないのに生じてしまう。


このマップでは段差の高さがわからないので、
たとえば②から⑪に行こうとしても
どこから登れるのかがわからない。
フラストレーションの大きな種として、森の地形が複雑な上に方向関連の操作に無理があるせいで、すぐに方向を見失い道に迷うというのがある。このゼルダはミニマップを常時表示できないので進行方向をすぐ見失い、ボタンを押して出す2Dマップじゃ3Dのこんな入り組んだ地形など読み取れないのだ。

 3D ゲームはなんでもそうだが、プレイヤーが地形を現実のように自然に把握し続けることは不可能なので、最低限方角だけは常時視覚でわかるような目印がほしい。遠くの山とかね。前作トワプリではこういう複雑3D 地形は1箇所しかなかったのだが、その場所はもうゲーム全体をやめたくなるくらい手間取った。このゲームは最初の森からそうなってる上にミニマップもないので、この先思いやられる。



 しかし長い迷いの森を抜け最初の建物 (ダンジョン) に辿り着くと、やっといつものゼルダらしい謎解きが始まった。これだよこれこれ。ここをどうやって突破するんだと考えて解く楽しさ。これをもっと気持ちよく楽しませて欲しい。ここまで4時間ほどはフラストレーションばっかりだったよ。

 メルは前作トワイライトプリンセスの 2/3 を未プレイなのでそっちもやるよう推奨してるのだが、この新作スカイウォードソードだけをやりたがる。多分まだ誰も知らない謎をみなで知恵を合わせ苦労しつつ解いていくのが最高に楽しく、誰かが解いたものをなぞるのはさほどでもないんだろうな。

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■14/03/21(金) □ 任天堂のゲーム道
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 【ゼルダ SS】2つ目のエリア、火山を順調に攻略中。爆弾を使い敵を倒し道を作って進んでいく。絵とコントロールに不満は多いが、仕掛けが前作を上回る多彩さで楽しい…というかMが超ハマっている。セーブして寝ろと言っても寝ない(笑)。

 序盤に一番気に入った「仕掛け」に「ビートル」がある。カブトムシを飛ばして上空からリンクが行けないエリアをあちこち見て回れるのだ。これは気持ちいいし、これのおかげで解ける謎も多い。こういうツールや仕掛けがゼルダの面白さだよなあ。

 Wii ですら性能が時代遅れでやがて飽きられたのにそれとほぼ互換の Wii U まで出し外してしまった任天堂は、今はこうしたゲーム上のアイデアと品質でしか勝負できないのだろう。そしてゲームの時代はそうした細部の品質アップよりも、ソーシャルと高画質を求めているのだろう。

 しかし Sony と MS を画質面で追ってもできるものは同じなわけだから(PS3 と Xbox は要は最先端 PC ゲームが廉価なコンソールでやれるマシンなだけで、両者にいうほどの独自性はない)、性能を上げてもあまり意味はないような気もする。セガのようにハードから撤退してしまうと寂しいが、まだまだ故障せず稼働している世界中の Wii にゲームを供給し続けてほしい。とりあえずこのゼルダの絵柄はどう考えてもハズレの要因なので、もっといい絵にしてほしい。

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 アメリカのアクション映画って大嫌いなのだが、「ワールドウォー Z」というのを見てしまった。開始5分でもうブラピで家族愛でブラピ家族が世界の中心すぎて、悪いけどげんなりした。ゾンビシーンは壮絶だったが、どんなパニック映画も近年世界が見た本当のパニックにはまるで及ばないなとも思った。

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■14/03/22(土) □ 北米アングリー音楽
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 春休み萌は自室にこもり、「ダークでアングリーな音楽を聞きたいムード」だとかでゴゴーと轟音がするダークでグランジな音楽をいろいろと探し聞いている。メルは「これが北米の代表的ダーク&アングリーソングよとニルヴァーナ「Smells Like Teen Sprit」を聞かせる。あの曲は米雑誌で「史上ナンバー1名曲」に選ばれたのだが、俺はこのバンドをちゃんと聞いたことがない。この曲1曲聞いたら OK、もうわかったという感じ。

 俺が現代米カのグランジなロックに興味を持てないのは、出してる音がいいメロディ・コード・演奏に対するアンチ現象だからで、割れたギターとリズムとダウナーな声がつまらないのだ。パンクだってうるさかったしヴェルベットだってダウナーだったが、メロディとコードと演奏は最高にクリエイティブだったのだよ。

 ちょうど昨日ブラッドピットの映画にげんなりしたのだが、彼の姿が俺の中でグランジ音楽と重なる。自分と守るべきものオンリーで、勇気はあるが他者が視界に入っておらず硬質でユーモアのないヒーロー・ブラピというものが、グランジの否定メンタリティと表裏一体であるような気がする。パンクにはユーモアがある。クラッシュの愛嬌と、ジョニーロットンの高笑い。

 グランジロックはブラピが部屋の壁を蹴っているような音を立てている。ハリウッド映画に毎度出てくる「怒れるアメリカ人」の、アンガーコントロール音である。俺はそんなものを見たくはなく、小津映画か寅さんを見たい。

 北米ティーンのこういうダウナーな I don't care メンタリティってどこからくるのかな。萌の暮らしは見たところ全面的にオールライトで、「ダークになる理由がないではないか」とMに聞くと、別に理由があるわけではないという。「もっと形而上的な、自分とは人生とはナニカとか、そういうものであの年頃はグルグルになるのよ」。うーむ。日本のギター中学生だった俺にはよくわからん。



 萌は結局これが一番と、アークティック・モンキーズに落ち着いた。友達はみんなをこの英国らしいバンドを好きなんだそうだ。おおこれはいいね。パンク・ニューウェーブ、スミス、オアシスからここへとつながっているのがわかる。


(Choo Choo)

 あと、前にも書いたがニュージーランドの衝撃の17歳ロードはいい。「テニスコートに降りて行って、イエーとかそういう感じで会話を楽しみましょう」という若く乾いた空虚さには、シンパシーを感じられるのである。

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■14/03/26(水) □ 40-150mm が欲しくなってきた
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 ツイッターで写真を発表している有芝殿下がライカの F1.2 43mm レンズで撮った夜の路地写真がきれいに写っていて羨ましい。相手に不快感を与えず遠くからいい感じに撮れている。こんな超高級レンズは無理だが、45mm F1.8 でも同じ写真は撮れそう。しかしカメラ本体よりも高い資金(俺の PEN E-PM1 は展示品で超安かったのだ)を出すならやはりズームがほしい。いくら明るくても単焦点では不便すぎてなあ……。今ある SIGMA 19mm の写りに文句はないが、遠くを撮りたいときにはやはり、役立ってはくれないのだ。

 いま手に入る一番安いズーム、オリンパス 40-150mm の作例を見てみると、標準 MZ と同等のクオリティと見える。つまり条件がよければ文句なくシャープ。標準レンズでは撮れない距離のものが当然撮れており、そして焦点距離が長いので背景がよくボケている。このメリットは考えたことがなかった。

 さすがに屋内で使うことはないだろうが、40mm ならば F4 なので標準ズームの望遠端 42mm/F5.6 よりもシャッタースピードが速い。夜景でも使えないことはないのである。

 これを手に入れたら屋外/昼間は 40-150mm つけっぱなし、夜は SIGMA にしとけばなんでも撮れる気がするな。一番安かったセール時に買っておけばよかった。今度あのセールプライスでまた出たら、買ってしまおう。

2014/03/28

【カメラ日記】アートな IKEA



今日コキットラムの IKEA に行くと、地下駐車場のコンクリートのヒビにポップなスウェーディッシュイエロー(?)の樹脂が流し込んであった。広い駐車場の一面に、コーヒー牛乳がこぼれて流れているような感じになっている。やることがいちいちおしゃれですなあ。

入り口の高いところに作りつくられた棚。IKEA の展示ってアートだよなー。アートスクール出身者を雇ってるんじゃないかな。あるいは IKEA 的家具展示メソッドという学問がすでに確立されていたりするかもしれない。 あそこのルーム展示は美しく快適そうで誰しもそこで暮らすことを夢みるが、あんな部屋に住んでるやつは見たことがない。そういう部屋をつくる学問。

IKEA 内で写真をあれこれ撮ろうと思ってついていったのだが、買い物目的があるMが早足で移動しすぎ写真を撮るヒマがなかった。帰りがけにいつもハイウェイから見る巨大建築を撮影。ハイウェイを見下ろす位置にこれが建っていて、サーキットか競馬場のメインスタンドのように見えカッコいい。なんなのかといつも不思議に思っていたのだが、運送会社らしい。

最近横長モニターで見た時に視界いっぱいに写真が広がり気持ちがいい 2:3 比率(上の2枚)を頻用してるのだが、マイクロフォーサーズは本来 3:4 なのでそっちが正しいという意見もわかるような気もする。屋外は横広がりで 2:3、屋内は奥行きを出すため縦が長い 3:4 がいいのかもしれない。◆