2005/05/26

2005 年日本滞在記3「小布施の寺と温泉と」

「湯田中とモンキーパーク」「帰国前夜の物思い」ほか。
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■ 05/05/11(水) X 小布施の寺と温泉と
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 昨日は日本での TODO 消化日初日で、善光寺と裾花川散歩が気持ちよかった。Mの旧友のバーも訪問する。



今日は小布施の寺と温泉。日本はまったく美しいなと思う春の日々。あの寺と温泉はいつなんどき行っても満たされる。温泉で萌は最初人前で裸になることを恥ずかしがったそうなのだが、PMとHKが後から加わってからは景色のいい露天風呂を満喫したとのこと。

 帰りにID家に寄る。萌はHKと気が合うのか、子供部屋にこもって2人でせっせとバリケードを築いていた。タイで生まれ埼玉で幼少期を過ごしたKはタイ語が少し分かり、標準語アクセントの日本語を喋るのだが、小布施で生まれ育ったHKはタイ語は皆無で、北信田舎地区のアクセントがあるのがおかしい。聞けばKがHKのアクセントを田舎くせえとからかい喧嘩することがあるのだと。

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 日本に残していたキャンプ用品その他で送れそうなものを今日考えたのだが、どれも高い郵便で送るよりもカナダで買う方が安いという結論しか出ず、断念。もしまた日本に住むことがあったらあの道具たちを活用し、そしてカナダに戻るときに今度こそは割安な引越し便で送ってやろう。それまで道具たちの寿命が持てばだが。

日本に住むことについてMは、こういった小さいうちに住めば萌が完璧に日本の子になってしまうので抵抗があるという。それはその通りで、日本にきてから俺も意識して萌が忘れないようにと英語を喋っているが、彼女はMにしか英語を話さない。英語の方が得意なPMにも日本語で話している。英語力が落ちているとは感じないが(※)、ここにいるとおばあちゃんもびっくりの日本語の自由闊達さに比べて、差が広がっていく一方だ。

(※)逆に日本にいる間にどういうわけか英語の発音が完璧なカナダ発音になってきた。休暇中はお母さんとずっと一緒なのがやっぱり効くのだろうか。「日本の人が話す英語のアクセントに気づくからじゃないか」とMはいう。確かに萌は俺の英語アクセントにも最近うるさい。

 「あのさ、今回斑尾戸隠以外遠出をしなくて、本当に悪かった。なんかやっぱ行くなら友達のいる東京だという思いがあって、それでいながら友達に会っても共通の話題がなく、子供のこと以外何を話していいのか分からんのだよ。それで自分がひどく退屈な人間になった気がして、こっちに来て以来ずっと落ちこんでるんだ」とMに話した。Mには俺のそういう気持ちは意外だったようで驚き、退屈だなんてことはないわよと慰める。「『かつては音楽や政治を熱く語った俺なのに、近頃じゃ話すことといえばベイビーのうんちのことだけだ』って歌もあるじゃない。みんなそうなのよ」。まあ夫婦だから俺たちにはいつも話題があるけどさ。

 Mは日本にいるときの自分の全般的なダウナーさについて話す。やはりアイデンティティの問題だと思うと自己分析していた。やっぱり言葉と文化の両面で常に置き去りにされ、いつもみたいにリードできないことに気疲れがあるのだと思われる。

 そんなわけで二人とも、日本にいるということにある種複雑な感情があるわけである。萌はもちろん、なんのわだかまりもなく毎日ハッピーなのだが。そしてそれがいちばんであります。

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 マリノスのACL中国遠征を見たのだが、こんなのは見たことがないというほどヒドイ相手の時間稼ぎ(※)を10分以上も見せられたのも悔しいが、マリノスの選手たちが1対1でことごとく負けていたのが実に悔しかった。久保ら主力が怪我上がりだったこともあるのだろうが、皆Jのトップレベルなのにと悔しいのである。Jリーグには爆発力と競い合う心を鍛える何かが欠けてるんじゃないかと思う。

(※)怪我のフリでそれぞれ延々3分くらい止まり、さらにボールボーイがマリノスにボールを渡さないなどというすごいシーンもあった ^_^;。ロスタイムは当然実際のロスより短く7分。

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■ 05/05/13(金) X Pocket PC 見つからず
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 M萌は佐久へ。新幹線片道 20 分で2人でなんと \4700。日本の公共サービス物価はむちゃくちゃだと思う。

 俺はどうしても欲しい Pocket PC を探してるのだが、長野では店の選択肢が実に狭い。ラオックスがなくなり探索のしようがない。まいったなとまたあのアニメフィギュア店に行き、カナダの子供たちへのプレゼントを探す。

 あと1時間、何をしていようか困ってフラフラしていると、小さな中古 PC 屋でなんとMKに頼まれていた世界最小ハンドヘルド PC が奇跡的に見つかってしまった。タッチパネルなのが Pocket PC にも似てステキな以外はこんなものが実用になるのかどうか疑わしいが(Linux なんか入るのか?)、とにかく依頼通りに購入。俺の PocketPC は見つからないまま時間切れ。ため息。M萌を拾って駅前で印度カレーを食べて帰ってきた。美味、だが流行ってなさそうで気の毒。

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■ 05/05/14(土) X 着物デー
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 週末悪天候の予報だったのだが、今日もいつものように晴れ時々曇り。実のところローカルケーブルの須坂市ウェザーチャンネルは滞在中延々と「曇り&24℃」といってたのだが、20℃を超えたのは1日だけだったのである。こんなにはずれるウェザーチャンネルは見たことがない。さすがの田舎ケーブル。



 今日は着物デーで萌とAIちゃんはお雛様そのもののように、琴の前に座って写真を撮った。AIちゃんが風邪でかなり調子が悪く、明日の湯田中S家訪問は俺たちだけになるかも。

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■ 05/05/15(日) X 湯田中とモンキーパーク
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 朝またもや地震。これで一月に4度目である。こうして地震のエネルギーが少しずつ抜けているのならいいのだが。

 今日は湯田中S家(サカタ母実家)とおばあちゃんの墓参りとモンキーパーク、AIちゃん一家はやはり風邪で欠席。S家ではKZがおらずおばちゃんとSKだけだったのだが、SKが相変わらず面白い。萌の日英バイリンガルに感心して、「これって、あたしたちが普通の言葉と敬語を意識せず使い分けられるようなものなのかしらね」とうまい分析をしていて、S家は深い思索は駄目だが直感は優れた血統だなあと思った。萌にもその血が流れている。おばちゃんとSKは萌が母さんの子供の頃にそっくりだと言っていた。

 墓参りのあとおばちゃんに連れられて 30 年振りにO旅館に行くと、30 年前に亡くなったおじいちゃんそっくりの人が出てきて仰天した。25 年下の弟なんだそうだ。そんな人がいるとは知らなかったので、幽霊を見たようなうれしい驚きだった。

地獄谷モンキーパークは、「近道」を行ったのだがどえらい山の中で駐車料金を取られ(ここでも日本観光地ぼったくり発生)、そこからモンキーパークまでは延々と登りで、反対側の駐車場から行ったほうが気分がいいなと思う。

冬場ほど温泉に入ってる猿の数は多くなかったが、萌はうわあという顔をして眺めていた。一度人間が近くに来すぎていると感じた猿がしゃーっと萌を威嚇する。萌は怖がり「どうしてあのサルは怒ったの?」と聞くので、別にそんなに近くは行ってなかったけど、あの猿はたぶんボッシーな奴でさ、近くに来られるのが嫌だったんだと思うよ。仕方がないよという。

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 これで今回の日本での行事はすべて終わり。明日は荷造り荷出しで忙しい。日本にいることに俺と萌は飽きてはいないが、さすがにここまで来ると家に帰るときが待ち遠しくなってくる。

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■ 05/05/16(月) X 帰国前夜の物思い
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 郵便を2つ出し、全用事終了。あとはビデオを返したり掃除をするだけで、心配はない。よし。OKO家でゆっくりさせてもらおう。

 「自分が退屈な人間だとトモが落ち込んでいる」という夫婦間の微妙な会話をMがOKO・MKさんにペラペラと話してしまい(苦笑)、みんな同じですよ、今は子供を育てることに皆いっぱいいっぱいで仕方ないですよと、OKOもMKさんも俺を慰めてくれるのであった。いやまったくすいません。

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 晩飯後、明日発つよと店に行って皆に挨拶しようとすると、兄貴がおう来たかとずずーいと俺たちを子供たちのいる住居のところまで案内し、腰を落ち着けて話を始めた。主に子供たちの教育の話などをしたのだが、内容はともあれ兄貴は俺たちと話をしたかったんだなあと痛感した。もう時間がないから荷造りしないとと店を出ながら、もっと早くに兄貴と話す機会を作るべきだったとMともども後悔した。

 母さんと家へ歩きながら、とにかく萌には最高のバケーションだったよと話す。そうねえ、子供は本当に子供が好きだからねえ。萌は明日嫌いな飛行機に乗ることが分かっていて、あーあとぼやいていた。

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 俺は日本でTVをまったく見なかった。Jリーグと競馬を見た程度。単にいつTVをつけてもくだらん番組ばかりだったからだが、今はカナダでも TV Japan(NHK 国際)を見れるので、日本語映像に飢餓感を感じないせいもあるのかな。TVについては NHK 国際で見れる程度のことで十分というか、それ以上は馬鹿タレントに対する不快感の方が勝ってしまい何も楽しめない感じ。

 ひと月の日本滞在をまとめるならば、

● 物価が高くお金がどんどんと消えていく
B しかし買い物が楽しい
● 子供がいる場所でのタバコの煙にはまいる
B が、食べ物はなんでもうまい(ファミリーレストランを除く)
● 交通の流れの悪さと危なさで疲れる(最初から車移動のために作られたカナダの道と、歩いてできた日本の道の違い)
B が、山道を走るとたまらなく楽しい

 といったところ。美しい春の野山を眺めて車でゆっくり走る楽しさや山菜のおいしさはカナダでは得られないもので、暮らしが楽な方に住んでこうして訪問もできるのだから、俺たちは恵まれているのだろう―――という程度のつまらない感想しか思いつかないとは、ああなんて俺は感受性のニブい奴なんだと思うが仕方がない。

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■ 05/05/17(火) X 成田も煙だらけ
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◆12:01 新幹線車中。玄関を出る前から、「おばあちゃん悲しいなあ」「泣いちゃう?」「泣いちゃうかも。一緒に行きたいなあ、萌ちゃんのポケットに入れないかなあ」「でも、おばあちゃん大きいから、入れないよ」と名残惜しさを母さんと萌が語り合っており、駅で大泣きになるかと心配したのだが無事笑って別れられた。今回一緒に行事をすることはなかったが 30 日間たっぷりと孫娘と遊べたわけで、おばあちゃんも満ち足りた気持ちなのだろう。実際孫たちがしょっちゅうやってくるおかげで、おばあちゃんは昔よりすごく幸せそうに見える。


 あさOKOが別れを言いにやってきたので、兄貴を頼むよと言う。OKOはビデオや写真のことで黙っていろいろと面倒を見てくれた。あいつが肉場で包丁を握ってるのを昨日見て、なんだお前ちゃんと包丁を使えんのかといいつつニターリと笑ってしまったな。

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 成田でチェックイン後飯を食おうとすると、空港のレストランでさえ禁煙ではないことを知りぶったまげた。空港が全面禁煙でも、これでは意味がないではないか。

 ◆19:30、大幅に遅れて出発。来るときもそうだったが、成田の滑走路はめちゃくちゃ混んでいる。目の前を何台もの飛行機が着陸し離陸するのを眺めてからの出発となった。

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 着陸2時間前にライトがついて朝食となり、今回は首尾よく寝てくれた萌も起きる。スクリーンに出た地図を見て旅の大半が終わっていることを知り、もうこんなに飛んだのとすごく喜んでいる。4時間ほどきちっと寝たので疲れはさほどないらしく、そこから着陸までまったく問題なく過ごしてくれた。よしよし。滞在中飛行機にまた乗ることのおそれを何度も口にしていたが、疲れとタービュランスがなければなんともないのであった。はー、お疲れ様でした。

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