2010/07/30

日記「カナダの小学メンタリティ」

「ペットショップで寂しい思い」「サプライズ結婚パーティ」「キッズのしつけ」ほか。

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■10/07/14(水) □ ペットショップで寂しい思い
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 BRを送ったあと買い物に行こうとすると、萌がスーパーの横にあるペットショップに行きたいという。ティガーを失った悲しみをペットで補いたいが、ほとんど動かぬうちのイモリじゃなあと俺もぼんやり思っていたので行ってみる。

 しかしショップに入ると、猫を見るだけでもうどうにも悲しくなってしまう。仕方がないので俺は猫エリアから目を背け、ハムスターや鳥だけを見ていた。萌はドワーフハムスターが欲しいーとうめき声を上げる。しかしうちは皆ダストアレルギー性で、羽根や毛のある屋内ペットは難しい。珍しい野外猫だったティガーは、だからこそ理想的だったのだ。

 魚を見に行くと、前にはいなかった「エサ用ミノウ(小魚)$0.18」というのがいる。アカヒレとは違う薄赤がなかなかよい。金魚は2度トライして全滅したが、ミノウならばアカヒレの近親なので元気に暮らしてくれるだろうと、安い取引で申し訳ないと店員に謝りつつ5匹ゲット。$1.01。

 水合わせをし合流させてみると、アカヒレとは色だけではなく体型もぜんぜん違う。泳ぎも下手だしボディバランスも悪く、底砂や石のコケを延々と突っついて食べてるし、フンは長く垂れ下がっている。こりゃ金魚だな。アカヒレ近親というよりも金魚の近親だろう。まあ餌への反応はアカヒレにさほど劣らないので、金魚ほど弱くはないだろうと期待できるけど。


上方2匹が1cmの稚魚。
手前が赤メダカ的不詳魚4cm。
 そしてすでに十分大きく育っていた稚魚1cmx2匹(推定年齢6ヶ月)も隔離ネットからメイン水槽に合流させる。しばらく成魚4cmに追いかけられまずいかなと心配するも、親魚のほうがチェック後興味をなくすと無事なじみました。アカヒレは成魚同士ですごい喧嘩をすることがあるので心配してたのだが、大きいものが小さいものをいじめるといった性向はないようだ。

 小さくてもきれいな魚の形をした稚魚、ミノウの赤、まるまる太ったアカヒレの黒と、水槽を覗き込む楽しみが増している。

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 オグリキャップが亡くなったのか。あれほど感動させてくれた馬は他にいなかった。あの最後の有馬記念ほどの感動は、他のどんなスポーツでも味わったことがないかもしれない。

 高橋源一郎の Twit が見つかった。『オグリキャップが亡くなったそうです。ラストランの有馬記念からもう 20 年。日本競馬史上もっとも人気のあった馬でした。有馬記念での奇跡的な激走の後の競馬場の異様な雰囲気はよく覚えています。馬が勝つところを見て、あんなに人間が泣くのを見たのは最初で最後です。さようなら、オグリキャップ。』

 引退後北海道の牧場にオグリキャップを訪ね、お前には本当に世話になったよと柵越しに蹄に触ったのであった。お前のレースが見れるなら明日を楽しみに生きていけると思ったときもあった。さようなら、オグリキャップ。

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■10/07/18(日) □ サプライズ結婚パーティ
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 うちから先月引っ越したMK青年が、ハウスウォーミングパーティをやるから一族みんな来てくれとなにか妙にはしゃいでるのでさてはと思っていると、やはりパーティ中に公式立会人が来て突然の結婚発表&その場で手続きという段取りになっていた。こういう発表の仕方をして、サプラーイズとかいってるところが全くいつまで経ってもガキであると大人は全員どよーんとしていたが(※)、萌たちキッズは大喜びであった。まあともかく本人たちは幸せの絶頂であります。
(※)MKの父と弟は、「お前なんだよこの発表は、言ってくれれば俺はもっと立派なお祝いをしてやりたかったのによォ」とかなり怒っていた(汗)。


中央、私の横がうれしげな新郎。
ご成婚おめでとう
 お相手は中国深セン出身の温和な娘さんで、雑誌「ノンノ」を愛読するという日本の女子大生みたいなお方だ。俺は日本でも「ノンノ」を読むお嬢さんなど、80年代の大学のクラスでしか見たことがない。なにかと愚かな甥ですが、楽しくやってくだされ。俺がカナダに来たときマイクはまだひょろひょろした中学生だったが、恰幅がよくなっちゃったし、えらい年月が経ったものである。

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■10/07/19(月) □ カナダ人の夏の旅とは
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 うちの前で隣家のMTと久しぶりに顔を合わせたので、「ティガーの件を萌に伝え、しばらくみんなで泣いたよ」と話すと、「実際君らのほうがうちよりずっとティガーと仲よかったからなあ、わかるよ」と同情してくれた。まあほんと、その通りなんです。

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 清水国明のバイクツーリング番組東北編があった。いいなあ、日本の夏とバイク。山は麗しく、里は優しい。細くくねった道を移りゆく景色を楽しみつつとろとろと移動し、いいカーブがあったら全速に加速してその曲がり具合をおいしく味わい、どこにでも人が住み商店があるから疲れたら適当に止まってイカ焼きなどを買い、道端で食べる。最高だ。

 うちの近所3軒がこの夏こぞって、こないだうちも行きどうということもなく帰ってきたオカナガン湖に長期滞在していることを知り、あんなところがそこまで定番の旅先なのかと驚いたのだが、ああした殺風景な中をがーっと高速長距離移動し目的地で長期滞在するという旅は、ツーリングというよりエンデューロ、つまり耐久レースである。

 ああいう耐久レース的な旅はつまらんとMに話すと、カナダ人は日常・家・仕事・雑踏・ひと気から完全に切り離される旅を好むのだとのこと。そりゃなるほどねとは思うが、あそこまで延々と距離を稼がなくても日常なんて切り離せるだろう。やっぱりよくわからないのです。

 だいたい夏なのにみんな暑さを求めて内陸オカナガンに行くというのも妙な感覚なのだが、まあBCは涼を求めて旅するには高原気候すぎるんだよな。快適すぎて、避暑に行く必要がないのだ。

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■10/07/24(木) □ 昔夢に見たようなライト
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夢のキャンピングランタン
Energizer Weather Ready
 ハードウェアストアを久々にぶらついて、素晴らしいLEDライトを見つけてしまった。単3x4本で100時間! しかもランタンにもなり(45時間)、小さな豆球の常夜灯まで備わっている。夜になって試してみるとライト部は昔の単1x4本の防災ライトレベルの明るさがあり、ランタンにすればテント内で十分に本が読める照度がある。単3でこれはほんとに驚異的な明るさだ。

 停電の夜があっても、これが2つほどあれば家族全員ラクラクと読書やボードゲームで過ごせる。明るく電池が超長持ちというこれは、キャンプをしていたまさに昔に夢見たライトである。ついに技術はここまで来たかと感慨深い。

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■10/07/23(金) □ カナダの小学メンタリティ
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 スリープオーバー(お泊り)のAL家から帰りまだ興奮が残る萌が、日本語をまったく喋らず、俺への態度もぞんざいなのでカチンときて、「萌はもうまったくカナダの幼稚な小学生だな」と俺が言ってしまい、これで萌がアップセットしてしまった。萌にしてみれば友達と同じように振舞うと父親が嫌がるのだからかなわんことだろうと反省し、すまん私が悪かったとあとで謝った。

 萌のこの態度の何が嫌なのかと考えてみれば、結局「ハナモンタナ(ディズニーのティーン向け愚劣コメディ)」等のコピーになってるからなんだよな。「OH YEAH!!?? HOW ABOUT.....(そうかよ、じゃあこれはどうだ)!!」と早口で切り返し相手を言い負かすことがクールだという、このノースアメリカン幼稚性にどっぷりはまっているわけである。まことに不愉快ではあるがしかし、繰り返しになるが萌は友達と同じようにしてるだけなわけで、いちいち俺がトゲトゲしていてはやっていけない。

 萌には生まれ育った日本の子っぽい優しさは完全に備わっており、俺やMの指示に「はい」と答えるときの素直さには俺は軽い感動すら覚える。「Yeah」と「はい」とではやはり何かが違うのだ。「Yeah」は能動的で、OKわかったという気持ちと嫌だなあという反抗が両方含まれている。「はい」はよりフラットな、物事の道理にただ従うというナチュラルな美しさがある。言われたからやるのではなく、やるのが当たり前だからやるのだというナチュラルさ。まあこれが「はーい」だと、「Yeah」と同じになるけれど。

 萌からこれが失われることはないだろうから、俺としてはカンに触るところは注意する程度で適当に受け流していくしかないだろう。

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■10/07/24(土) □ ホワイトロック訪問
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 昨日の俺と萌のケンカを心配したMが、共同読書&日本メンタリティ養成用に萌がハマっている「ハリーポッター」日本語版をリッチモンドの日本書店で買い、ついでに日本食を買い込んでホワイトロックに行きBV家で誘って食べると突如宣言する。ハリーポッター本なぞいらんしBVのところに日本食など持って行っても喜ばれるわけもなし、豊富にアイデアが湧いてくるがハズレが多い FIFA のブラッター会長みたいなうちのお母さんである。

 ハリーポッター本なんかほんと必要ないので、日本書店にあった本の中から俺が子供のときに好きだった「ファーブル昆虫記(ルビ付き)」を購入しておく。萌は全然興味なさそうだが、あれは面白い本なので読めば楽しめるだろう。ファーブル(フランス人だった)はカナダじゃ誰も知らないとMがいうので驚いた。こういうものを全国民が知るほどに取り込んだ昔の日本人の知識欲はすごいよな、ほんと。

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 ホワイトロックは、BV家近辺は何の特徴もない金持ちハウスが立ち並ぶエリアなのだが(どの家も巨大で新しく、New Westminster のように見て美しい家などはない)、水辺は建っている家の作りからして平屋のリゾート風になっており、水着の人々がそぞろ歩き、ハワイとか湘南みたいで気持ちが浮き立ってくる。しかし水辺に出てみるとBCはどこも同じく遠浅の海藻ビーチで、泳げるような海ではない。みんな水着を着て肌を焼いてるだけなのかな。


カニを踏まぬよう気をつけて歩こう
 それでもお湯のように暖かな水の中を歩けば、カニがわらわらと逃げ惑い、潮がスーっと驚くほどの速さで流れていて気持ちがいい。15分ほど海中散歩を楽しんでいると、あれ岸が遠くなってないかと気づく。―――あ、潮が満ちているんだと大慌てで浅瀬を探り岸へ戻る。けっこう焦った。まあ最悪でもおしりが水に浸かるくらいのことではあるが、やっぱ海は気をつけないと怖いな。

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■10/07/28(水) □ キッズのしつけ
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BCの盛夏はこの日までだったかも
 ウォーターパークへ萌とAL姉弟を連れて行く。覚悟はしていたが姉弟が俺の言うことを聞いてくれず疲れる。MCなんかピクニックシートで休みつつ写真を撮っている俺に向かってガンガン水鉄砲を撃ってくる。荷物があるしカメラも持ってるんだやめろと大声で言ってもわからない。悪気はないのだが、興奮していると人に言われていることの意味が分からないようである。彼はもう7歳なのだが、まだ言語中枢と行動中枢が密接につながってないという感じなのかな。

 で帰って夕方萌が下のプレイルームでSPと遊んでいると、隣家の孫たちも加わってきた。みなまだ小さいので念のため俺も降りていって萌と共にケアをする。世の中はMC同様モノがわかってない子が多く、その扱いはまったく大変である。「人の話を聞け、人の顔を叩くな」レベルのことを大声で言わないとすぐケンカが始まり、泣く子が続出する。これがカナダ中産階級のスタンダードなのかもしれないが、こういう子らの親はちゃんと言葉を尽くして子供らに働きかけているんだろうかと疑問だ。ふー。

 今はダブルカルチャー問題でやや悩んでいるが、萌には小さい時からこんなベーシックなしつけで苦労したことがないので、やっぱ俺たちは恵まれた親なのだと痛感します。

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