「屋根登り」「オンラインビデオストアお試し」「バンド評伝の必要性」
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■12/01/10(火) X 屋根登り
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ひどいコケ。こすればすぐ取れるが、
登るのが大変
久しぶりの晴れ日、午後MKを呼んで2人で屋根に登り、コケ取りと雨樋の落ち葉除去をする。俺は屋根に登ったのは初めてだ。高さは怖くないけれど、もし滑ったりバランスを崩したりしたら…と思うとやはりヒヤヒヤであった。まあそれが高所恐怖というのか。とにかくコケがひどかったのだが、これは特に屋根材を害すものではないとのこと。とはいえこんなものがボーボーと生えていていいことなど何もないので、一生懸命落とす。
MKと俺はほんとに仕事で気が合う。俺が「こっちのほうが安全だからはしごの位置を変えよう」とか「コケを落とすのはほうきじゃなくてスノーシャベルを使ったほうが効率的だな」とかいうたびに、MKは「ワオ、10年やっててそんなこと考えたこともなかったよ」と大げさに喜び、物事がトントンとテンポよく進む。
俺は何も改善案を考え抜いて言ってるわけじゃなく、「これをやるならフツーこうするだろう」程度のことを言ってるだけなのだが、それがカナダ人から見るとえらくイノベーティブらしい。Mも俺が生活の中でなにか小さな工夫をすると感心する。お前らカナダ人はなんでそんなに工夫をしないのかと、こっちはそれがわからない。ノーアイデアなのです。
終わったあと助かったぜと礼を言うと、もっと頻繁に呼んでくれ、こんなにコケが生えてるとは思わなかったよとMKは言う。「いや俺もそう思うんだけどさ、Mは最近お前にものを頼むのを遠慮するんだよ。前はお前は俺と同様一家の『叱られ役・命令される役』だったんだけど、うちを出て結婚したら『ナイスに扱う側』に移ったらしい」と説明すると、それは奴もよくわかっていた(笑)。
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■12/01/11(水) X オンラインビデオストアお試し
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カナダではレンタルビデオがビジネスとして壊滅中で、うちの町のビデオ屋も早晩店じまいだというので、Netflix というネットのオンライン映画サービスをテストせよと命じられた。で1ヶ月フリーで試せるので見てみると、映画のラインアップがえらい少ない。ちょうど町のビデオ屋くらいしか本数がないし、「ハリーポッター」やら「トイストーリー」などの定番がまるでない。こんな品揃えが悪いオンラインサービスは類を見ない。
聞けば映画会社はケーブルTV会社のオンデマンド(ペイパービュー)で見てもらったほうがはるかに儲かるので、Netflix に使用権を与えるのを渋ってるのだそうだ。なるほどねえ。この品揃えでは、映画好きは満足できないんじゃないのかな。
ともあれ見てみると、普通にブラウザで快適に見れる。日本のアニメが結構充実してるのでざっと見てみたら、女剣士が戦いを繰り広げどんどん服が脱げていくとか(「クイーンズブレイド・流浪の戦士」)、血だらけの美少女が兵士を切り殺していくとか(「Blood+」)、想像したよりもはるかにどぎつい。これはとても親子一緒に楽しく見れません。日本のアニメってこういう感じなのかー。まあしかしこれは普通のTVでやってるアニメじゃなくて、オタクの皆さんが見てるアニメなんだろうな。
いろいろと試し見して、なにか萌と見るものがないか探してみよう。すべて音声が英語吹き替えなのが(日本語学習にならないので)残念だが、フリーですべて試聴できるというのはありがたい。
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■12/01/12(木) X 追憶の少女マンガ
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萌と見る最初のアニメは「桜蘭高校ホスト部」に決定。面白い。80年代の一条ゆかり「有閑倶楽部」みたいな超お金持ち高校に入ってきたビンボー新入生、メガネを取ったら美少年(少女)という昔ながらの少女マンガの王道に、現代的なスピードギャグが散りばめられている。サイコー。
セリフの英訳も吹き替えの声優も文句ないデキだし、いろいろと出てくる説明文字類はていねいに英語化されており、そして「センパイ」「BBちゃん」という言葉は日本語がそのまま使われている。つまりある程度の日本学園知識を持ち、こういう純少女マンガを愛好して見ている英語女子層が、相当に厚くあるということである。SFやファンタジーっぽいアニメの人気は知っていたけれど、こんなに日本的な少女マンガもちゃんと見られてるのだとは初めて知った。
萌はマンガ教養が不足している11歳カナダ女子なので鑑賞中ポーズし、「センパイって upper grader ね」「これはこのセンパイたちがハルヒを守らなきゃって気になったということだね」などと解説をしながら見ていたら、「わかってるよ続けてよ」とウザがられた。
こういうのを見ると、「マーガレット」や「ぶーけ」をガールフレンズたちと回し読みし、くらもちふさこ、松苗あけみ、耕野裕子、岩館真理子、坂田靖子らを読んでいた高校~大学頃の日々が甦り、なんだか俺自身も胸が熱くなってくる。萌にもこれら80年代の作家を読ませたくて日本に帰るたびに探してるのだが、今の古本屋にはそのあたりの世代のものはまったくないのが残念。
(破壊的ボスキャラ鎧塚女史の登場シーン。この悪意のこもった線の天才性よ(笑)
しかしネットで見るこうしたアニメや、カナダの本屋の「MANGA」棚で見るいまどきの少女マンガは、俺が好きだった作家たちに比べると絵が単調だな。カッコイイ男の子、かわいい女の子しか描けない感じ。松苗あけみや耕野裕子は本当に絵がうまかったと思う。耕野裕子が描いたこの大御所でめんどくさい少女マンガ家ヨロイヅカ女史なんて、一目見たら「うわたまらん人が来た!」とわかる。「モテキ」ではこれに匹敵するインパクトを楽しめたけれど。
耕野裕子さんとは、アマチュアバンドの実情取材として一晩語り明かしたことがある。ライブに来てもらったこともある。連載マンガの表紙に宣伝を書いてもらったこともある。果ては手描きマンガ葉書までもらったんだから、ここまで幸運なファンもそういないだろう :-)。
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■12/01/14(土) X バンド評伝の必要性
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当時のビラ(制作者は現「共犯新聞」主筆)
昔のバンドメンバーたちが、ネット上で当時の自分たちについてめっちゃシャープな評伝を書いていた。『誰も評論してくれないから、自分たちで評論してるのかオレたち』だって(笑)。
たしかに当事者とファンにしか分からない内容なので自分たちで評論するしかないのだが、しかし全てのバンドは評伝を書くに値するんだろうな。皆が暮らし考え苦しみ育ちアイデアを寄せ合い歌をつくっていく。「皆が」というところが肝心かつそこがバンドの面白いところで、そこが関わった多人数による記憶と評伝に値するのだ。どんなに優れたソロ・ミュージシャンでも、アイデアの面白さにかけてはかつてその人がやっていたたバンドにかなわない。ジョンレノンしかり、忌野清志郎しかり。アイデアとはそういうものだから。
あの学生バンド時代というのは、それぞれが生活の中でいろんなことを吸収していって、集まって音を作るというクリエイティブなことを4年もかけてゆっくりとやっていけたんだから、思えば幸福な時間であった。それ以後のバンドも真剣にやって、いい音も出せたと思うけど、あんなに無駄な時間をかけていくことはやっぱりできなかった。友達と一緒に、馬鹿げたことや素晴らしいことの数々を莫大な時間をかけて通り抜けていくことが、子供にとってもバンドマンにとっても「学校」なんだろう。
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