2012/12/26

日記「吹雪のレスリング」

「新ゲーム・ハチエンダ研究」「クリスマスinブルー」「ハチエンダ開眼」

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■12/12/15(土) □ 新ゲーム・ハチエンダ研究
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今日はボードゲームサイト Yucata で、昔から覚えたかった『ハチエンダ』のルール学習をやっていた。見た目地味だが、陣取り系ボードゲームの秀作としてジョーコさんらが絶賛してるのである。例によってボードゲームのルールブックというのはわかりにくいのだが、不明点を根気よくつぶしつつ1人2役を2回やってだいたいわかった。

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【開墾】山や岩地を開墾し自分の土地にする(土地タイル×2が決算時に得点)
【収益】
 ①土地から市場まで家畜タイルをつなぐとその都度お金(タイル数x1ペソ)
 ②土地に収穫マーカーを置くと、1回限りお金が入る
【決算(ハーフタイムとフルタイムの2回)得点】
 ①土地タイル×2点
 ②到達した市場数で累進得点、最大11=66点!
 ③ハチエンダ(農小屋)設置、置いた土地または動物グループのタイル数×1点
 ④貯水池購入、池に接するタイル数×1点

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 整理するとやるべきことは以上である。動物グループで市場をぐるりと巻いていくと増えた動物タイル1つにつき+1ペソとどんどん加速度的にお金が入って楽しいが、それを得点にするのが考えどころという感じのゲームなんだな。

 考えどころはあちこちにあり面白いが、思ったほど陣取り合戦感も農場牧畜感もないゲームだな。家畜をお金で買ってそれを市場につなげるとお金が増えるので、家畜を育ててる感はまるでなく株投資みたいな感覚。みたいなというか株だよなこれは。まあそれはそれで面白い。対人でやったら同 Yucata のローゼンケーニッヒやオレゴンよりずっと面白そう。

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■12/12/16(日) □ クリスマスinブルー
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 萌を連れてクリスマスショッピング。いつからか萌がプレゼントをあげる側にまわっており、彼女が親戚全員と担任と音楽顧問にプレゼントを買ってあげたいというので、あちこち探しまわりえらい時間がかかった。誰もが目を吊り上げ準備に走る日々。

 しかし音楽教師に買ってあげたギターピックなど小さなものならいいけれど、萌がMKやLDに買ってやるとなるといくら使っていいのかわからない。子供が大人に買うプレゼントの相場なんて日本人にはわからんのである。このへんはMに判断を任せるしかないな。クリスマスというのは毎年毎年難しい。

 クリスマスには使うお金の尺度が跳ね上がり、「気持ちよくあげること」がなによりも大事なこととなり、必要度や実用性の優先度が下がる。実際Mは毎年親戚各ファミリーへの「プレゼント」という名目で1軒につき数十ドルをアフリカ基金に送ってるし、郵便配達夫やゴミ回収トラックの運転手にもビールをあげ、果ては新聞を毎週地面に投げ捨てていく馬鹿新聞屋にすらギフトカードをあげている。このエクストリームなまでの博愛こそがクリスマス精神なのだろう。セルフィッシュな俺はこれにどうも乗っていけず、毎年この躁的シーズンに気が重いのである。毎度毎度ずぶ濡れの新聞を届けるあいつになにかくれてやるのだけは、どうしても解せん(笑)。

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 Yucata でハチエンダ対戦を試しにやってみるといきなりトップ 50 クラスの人と当たり、この人が中盤までに領地を 18 個つなげてしまった。どうやって草原タイルを取ってるのか見えないので不明だが、たぶん手番ではひたすら土地カードを引きまくり、草原が出たら拾い伸ばしてるんだろう。これだけで相手には土地数+ハチエンダで 72 点?くらい入るはずで、俺が接続市場数などでいくら頑張っても勝てるわけがない。せっかく面白いゲームなのだが、こういう明らかな最強戦術があるというのは残念である。戦術に広がりがない。

 と思いつつネットでハチエンダの評を読んでいてわかった。単に相手が伸ばす領地を切ればよかったんだ。自分が土地タイルを1枚先に起き伸ばすのを妨害するだけで、相手の収入もハチエンダ得点も減らすことができる。―――あ・なるほど、その妨害と競争が自然とインタラクションを生む仕組みになっているんだ。2人戦だとチケライなど他の地形ありゲーム同様からみが足りんだろうなと思ったが、敵の領地拡大と市場への接続(最大 66 点と非常にでかい)を妨害することが、人数に関わらず熱いインタラクションを生むようになっているんだ。あーこれはいいゲームだ。もう一度最初からやり直したい。

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■12/12/17(月) □ ハチエンダ開眼
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 昨日の対人戦はまったく戦術的にわかってなかったので、1人2役でハチエンダ研究をやり直す。領地を 11 まで伸ばすことに成功した赤を、細切れながら市場を多く抑えた黄が追う展開。しかし後追い妨害プレイはやはり効率が悪く、最終的に市場優位も崩されて黄が大差負け。しかしこれは相当に面白いな。

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 実戦2戦目は 900 人中 28 位の上級者。序盤上級者はほとんどブラインドドローで地形カードを揃えているっぽい。必要な地形カードがオープンに出ないので俺は地形をうまく広げられず、市場の先回りを優先してしまう。これは俺がストーンエイジでいい文明カードが出ると飛びついちゃうのと同じで(笑)、目前のチャンスにいつもグラリと動いてしまい後で苦しむのだ。このため領地が増えず地形だけで前半 17 点差。

 まとまった領地が1箇所しか作れず、すると家畜をあちこちの市場に連れて行っても収入が少なく、後半はだんだんキャッシュフローが苦しく、チマチマ収穫を行ったりして最後はカツカツと点を刻むも、214/174 の負け。んー参りました。しかし上級者を相手にそれなりに考えて戦えるんだから、やはりいいゲームだな。もうちょっと自由にプレイしたかったが―具体的には大領地をもう1つどこかに作りたかった―、相手がそうはさせてくれなかったわけである。面白い。これからストーンエイジと並行で楽しんでいこう。

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■12/12/19(水) □ 吹雪のレスリング
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 萌のレスリング部初の公式戦なのだが、雪になってしまった。キャンセルを願うもそうはならず、まあ後から気温が上がり雨になるという予報を頼りに出かけると、フレイジャー橋上空あたりからえらいこっちゃの猛吹雪で。道はもう隣を走る車からスラッシーがどぼどぼと延々こちらに降り注ぐほどの量のみぞれ堆積状態となってしまった。うわー。

 進んでいるうちはアクセル3分増しという感じで大丈夫なのだが、上り坂で止まってしまうとこれはもうヤバイ。陸橋上りで交通が止まってしまい、発進時数秒空転し冷や汗をかく。会場のパーキングに入るコーナーももし停止していたらやばかっただろう。車から降りるともう歩くのも難しいようなズルズルなわけで、これは FF だといかんともしがたいだろうな。とにかくタイヤに溝があってよかった。このまま降り続くとマジ帰れないのだが、雨に変わるとの予報。好転を祈ろう。

 場内はどこも寒い。観客席が一番寒いので廊下で毛布にくるまって、これからトーナメント開始まで 2 時間半待ちである。萌は友だちと場内を駆け回り盛り上がっている。

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レオタードを着てる子は本気度が違う

フトコロの深さでタックルを切る

相手の健闘をたたえ合う美しい二人
1時 15 分ようやく試合開始。試合が始まるとやはり面白い。よくこんなハードなバトルを女子もやるなあとおののいていると萌の出番が。相手は、うわ、レオタードを着て明らかに気合いが入った本気レスリングガールだ。

 これは相手が悪いと思ったが、意外や背の高い萌はタックルを切りやすいらしく、相手を3度もつぶしグラウンドで背後を取る。すげええええ! しかし亀の子状態の相手をひっくり返してポイントを取る技術はビギナーの萌にはなく、4回目にして亀の子から上を取られ抑え込まれ背中をつけてしまい逆転負け。あー惜しい。しかしこんなに強かったのか。驚いた。えらい。試合後相手と談笑するのも美しかったぜ青春。あとで聞くと3ポイント取りながら抑え込みで4ポイント取られての大逆転負けで、泣きそうだったのだが我慢したのだそうだ。えらい。えらいよ。

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 2戦目はスキルとアジリティで上回る同級生を相手に果敢に首投げに挑戦し、すっぽ抜けてマットに落ちそのまま抱え込まれて負け。くやしそうだったがよく頑張った、マジ強さに驚いたよと、帰りに久々にKFCなぞを買って帰る。あとでビデオを見たお母さんもオーマイゴすごいわと萌をビッグハグでした。

 しかし子供でも格闘技が強い子って風格があるな。萌たちビギナーとは違い、年上で上級の子は立ち会い間合いが悠然としている。誰がどう来ても柳に風で有利な体勢を奪っている。かっこいいよね。

2012/12/14

日記「クリスマスコンサートの音楽性」

「ハードなレスリング」「スクールクラスの Facebook」「ヘボなカナダの大衆音楽環境」

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■12/12/05(水) □ ハードなレスリング
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 【萌の学校のレスリング部活】を初めて見に行ってみると、こんなハードな取っ組み合いをしてるのかとびっくりした。まさしく取っ組み合いでヘッドロックなんかがバリバリに出、まあケンカにしか見えない。受け身を習ってるから痛くはないのだというが、ひやりとするような角度で体がマットに叩きつけられている。

 萌は俺が見ている間一度も勝てず悔しそうだったが、俺がジャッジだったら2試合は萌に技ありで旗を上げていたので、そう悲観することはないとあとで説明しておいた。このへん子供スポーツはなんでもそうで、コーチが全員をちゃんと見るのは不可能なんだよな。

 しかし萌のフォームの悪さくらいはすぐに分かるのだが、それをどう直したらよくなるのかは俺にはわからない。格闘技は見るのは好きだがやったことがないから、うかつなことは言えない。まあとりあえず組む前に手をボクシングのごとくグーにしてファイティングポーズを取るのは、なんとなく気合いが入った気持ちはわかるが不利だろうと助言する。相手を掴むことから始まる競技なので、掌底を相手に向け構えるのが合理的だ。

 萌がこんな取っ組み合いで強くなるとは思えんのだが、負けてもスキルがつくことが楽しいのかなあ。これは自分が格闘技をやったことがないのでよくわからない。ハイドクリークの空手教室が当初の型重視の寸止め空手のままだったら(若い先生に変わってから筋トレと組手中心になった)、あれを続けていくのが一番良かったのだと今でも思っている。あるいは太極拳とかね。萌の体はなめらかで優雅な動きのほうに向いていると思うんだよな。

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■12/12/06(木) □ スクールクラスの Facebook
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 教育用途で提供されるクラス限定 Facebook 的なものが学校に導入され、萌がいまメシも食わず家の PC から自分のプロフィールを更新し、友達とチャットしながら宿題をやっている。年齢的に FB などホンモノ SNS には加入できないのだが、実際萌はこの家にいながらにしてリアルタイムで友達とつながってる状態、これがやりたかったんだよな。これを安全にクラス限定でやれるとは、なんといいアイデアだろう。


生顔アップ写真はガキっぽいからやめろとの
親の指示で、こういうアート風写真がメインに
詳しい仕組みはわからないが、担任がクラスアカウントを作り全員が登録するらしい。家に常時接続がない家はさすがに今時ないのだろう。担任も当然オンラインにおり、ゆるく目を配っている。Facebook に代表されるネットを使ったいじめの恐怖譚は全米の親を震え上がらせているわけで、これはそうしたものへの予防措置と準備として理想的だな。もしこれが担任のアイデアなのだったら、あんたはエライと褒めてさしあげたい。

 写真による SNS インスタグラムの方も萌は快調で、俺が毎日見て批評するせいもあってアップロードする写真と説明コメントの質が高く、フォロワーがどんどん増えている。俺のツイッターのフォロワー数を参照し、お父さんを抜くのは時間の問題ねとほくそ笑んでいる。インスタグラムやクラス FB という方法で表現によって人気を博すのは、萌にはプラスなことだろう。

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■12/12/08(土) □ ヘボなカナダの大衆音楽環境
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 ジョンの命日なのでちょっと萌の部屋にギターを持って入っていき「イマジン」を歌ってきた。萌には小さいときからビートルズや ELO をさんざ聞かせてロック耳キッズに育てたのだが、中学になるとビートルズはおろかギターや生ドラムの入った音楽はほとんど聞かなくなってしまった。別にそういう音を避けてるわけじゃなかろうが、学校の友だちが聞いてる売れセンポップにはものが振動するアコースティック音がほとんど入ってないのである。こういう音ばかり聞いていて鋭敏な耳が育つわけがない。


 カナダは子育て環境はいいが(というか子供がめちゃ優遇される国だが)、音楽環境はヘボである。はっとするようなメロディやコードなんて TV やラジオからまったく聞こえてこない。日本語 TV(ほぼ NHK)からは今日も、「山崎まさよし/太陽の約束」や「くるり/Remember Me」が流れてくるというのに。

 大人が聞いてる音楽も大差なく低調で、俺はカナダのラジオ局には絶望してカーラジオなんて一切聞いてない。「クラシックロック」局ですらビートルズやゼップのアルバム曲はかからないんだからね。現代のカナダ一般人が聞いているのは、ビートルズやパンクやニューウェイブといった音楽潮流がまるでなかったかのような先進性のない凡庸な音楽だ。スティービーワンダーや S&G のようなアメリカのトラッド音楽ですら、小沢健二やスガシカオのように継承されてはいない。いい音やメロディやコードに鈍感な音楽が作られ流行り、それを浴びて育った世代がまた鈍感な音楽を作っているのだろう。このカナダの音楽状況の味気なさは、音楽好きな日系人は皆感じていると思う。

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■12/12/12(水) □ クリスマスコンサートの音楽性
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 萌中学【クリスマスコンサート】。吹奏楽部はもともと顧問にブラバンを指導する音楽的ベースがないので(人柄は最高)チューニングすら合わないバンドなのだが、今回は戦没者追悼記念日からわずか1月で6曲も詰め込んだので、明らかに未完成だった。全員が自分のパートをどうにか覚え、一応通しで弾けるようになったくらいの段階だった。アンサンブルもなにもない自信なげな音の6曲で、萌に感想を聞かれても、うーん未完成だったねとしか答えられない。

 合唱部は40人中最前列10名がマイクで歌い曲ごとにローテーションするというバカな形態なので、子供らは歌うというよりも自分の声をモニターから聞くために(そうしないと他の子の声しか聞こえず自分の音程が取れないので)がなり上げてしまう。がなると音は当然外れるので、全員デカ声音痴で聞き苦しくなる。合唱じゃなく大声コンテストである。

 萌は後列で地声で歌ってるときはクールな表情で歌に入り込みグルーブしまことにかっこよかったのだが、最前列に来るとやはり大声を出そうと力みが入ってしまいイマイチだった。

 要はどちらの顧問も音楽的素養がないんだよな。吹奏楽顧問はジャズピアニストで管弦楽は楽器の調音法も指導できない。合唱部顧問は指揮が下手なので子供らは曲のテンポも取れない。マイクを使うせいで子供らの歌が下手になっていることもわかっていない。何年やっても二部合唱すらやらないんだからこれはまったく児戯である。双方ともボランティアでやってるので文句をいうこともできず、どうしようもないのだが。

 音大で教育を受けたレベルの音楽教師が指導する日本と違うのは仕方がないとはいえ、たとえば隣のK中学の合唱部を愛したKDさんによれば、あっちはクイーンの歌をやったりしてものすごく盛り上がるそうなのだ。もちろんマイクなど使わず、生徒によるピアノ伴奏のみで。顧問が音楽をわかった人なんだろう。そっちに行かせたかった。くくく。

 カナダでは子供が受けられる指導の質が、日本よりもはるかに指導者により左右される。日本よりばらつきが大きいというか、何ごとに関してもそれ相応になっていく日本のほうが、お国柄でばらつきが小さいのだろうなあ。

2012/12/07

日記「ストーンエイジは数学的か」

「娘の機嫌がいい週末」「Wii 家族」「直感に胸高鳴らし」

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■12/11/25(日) □ 娘の機嫌がいい週末
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晴れたので例年より半月早くクリスマスライト装着。萌の機嫌がいい週末。この頃の萌の明るさ前向きさは、担任がいうように「無邪気でひょうきん」というアイデンティティが確立されたのに加え、10 月から始めた初の部活、放課後レスリングに打ち込んでることによるフィジカルな充実感もあるんじゃないかなと思う。ほんとえらい熱中していて学校から帰ってくると疲れでぐったりしてるが、力が湧いてくるとシャドーレスリングを開始し、俺を引っ張っていってベッドに投げ飛ばすのだ。俺はいま肩が痛いのでいままともに戦えないのだが、容赦なくぶっ飛ばす。

 萌は運動音痴なのでシャドーをやってるのを見ていてもフォームがぎこちないなと感じるが、それでも自分に大人を投げ飛ばせるほどのフィジカルな強さとスキルが備わってきているということがうれしいのだろう。

 どうせ格闘をやるなら柔道のほうが美しいなあと俺は思ってはいるのだが、まあ学校で友達と一緒にできるということが楽しみのうちなのだろうな。スポーツとしては同種だろう。それに世界王者はずっと日本人だしね。

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■12/11/28(水) □ ストーンエイジは数学的か
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 【Yucata ストーンエイジ】1ゲームに何日もかけるスローな人が卓につかぬよう、このサイトで俺は常に「高速対戦 wanted」と2人戦のみ募集をかけてるのだが、そのせいかいつも3千人中5位とかのとんでもなく強い相手が来てしまう。当然手も足も出ないのだが、ボードゲームでうまい人とあたるというのはなかなかすごい体験だ。ええっなんでそこに打つのという体験は初めてオンラインでカルカソンヌをやったときにもあったが、こうして新しいゲームを覚え強い人と当たるたびに味わうのだろう。

 しかし毎日達人に負け続けると、このゲームはやはり BoardGameGeek で一部批判されていたように「数学的」なのかなーと感じる。ミープル1個、村の一仕事、資材1個にどれだけの価値があり(さらに敵がそれを取ったら何点入るかも推測でき)、それをどのカードがいくらのときに使うのがメリット最大なのか、数学的にそのへんがクイックに判断できないと上級者との勝ち負けは難しいゲームなのかもしれない。相手はそれをわかるから、3金4金の高価な文明カードを(俺にとって)意外なタイミングで買えるのだろう。BoardGameGeek に批判投稿をした人は、「そういうゲームだから数学無双の私の夫には選択肢の価値が自明で、イントレスティングではない内容になっているわ」と書いていた。まあそういう人は対人ボードゲームがそもそも社交的アクティビティとして向いてないんじゃないかと思うが。

 ダイスがあるので、たとえ数学的には分が悪くても資材採掘場にどーんと賭けて 6+6+6.... を出せば打開できる局面もありそこが面白いのだけども、そういう賭けの1つや2つが決まったくらいでは上級者との差は詰められないよな。

 そうは言っても俺には面白いので対戦するたびに教訓を学び、夜ごとハマっているのである。今日の相手も86位の超格上美人ドイツ女性(想像)、この辺のレベルの人に俺のような数学的才能が皆無なやつが勝てないまでもいい勝負を楽しめたら、本当にいいゲームだと思う。



Tomosaka2            211
美人ドイツ女性        215

 あああああ~。初ラウンドで木を取り、次のラウンドで相手の木をブロックしたことで序盤有利に進みずっと優勢を保ち詰めを迎えたのだが、最後に俺が取ろうとした小屋カードを全部ブロックされ文明カードも全部抑えられ、それで4点逆転され負けた。俺が1枚でも文明カードを取っておけば快勝だったのに、まさかこのターンで4金文明カードは取らんだろう俺の予測を超えた相手の読み勝ちである。序盤俺にいいサイコロ目といいカードが巡ってのリード構築だったので、あんな上手い人にあんなに肉薄できることはもう二度とない気がする(泣)。

 しかしやっぱりこれは数学的でカリカリのゲーマーズゲームだけれど、数学弱くても楽しく戦えるな。「①このラウンドで木採掘部隊に全部の道具を持たせ木数を最大化し②次のラウンドでシャーマン2が出たら4金でも取り③それで+20となり逆転できる」みたいな直感的思いつきを考え込んでいくとほんと面白い。このようにほぼすべての思考がシンプルな三段論法程度でいけるのである。そこが素晴らしい。

 たとえ相手と比較すればうまく行ってないゲームでも、このように手番手番で自分が考え実行することには「いい手を思いついたぜ」という高い納得感がある。相手の達人は俺の打ち手を見てトンマなことをと思ってるかもしれんが(笑)、知ったこっちゃない。カルカソンヌ同様俺はこうしてネット対戦でいつまでも遊んでいくだろう。



 それはともかく、ゲームを趣味とせぬ一般人はここまで考え込んでくれないかなあとも思う。当家ファミリーゲームとしてクリスマスに購入しようと思っていたのだが、いったん保留したほうがいいかもしれない。M萌が文明カードボーナス5種×何点なんて計算してくれるとは思えないし、俺はオンラインでこうしてやってるからスキル差もどんどんついてしまう。これはこれでオンライン対戦用に遊んでいくのが吉かもしれない。

 この人員配置による収穫と買い物の明解な面白さを、文明カード×なになに数という数値でフィニッシュするのではなくもっとビジュアルな、たとえば村や庭づくりに昇華したものが「アグリコラ」ならば家族向けゲームとして最高なのだが、残念ながらあれはストーンエイジよりはるかに数学的にめんどくさいし(※)、テンポが悪すぎる。ルール量も比べ物にならない。実際ストーンエイジはこの思考度のゲームとしては例外的なほどルールが簡単で、文明ボーナスの種類以外は子供でも1ラウンドで手順を理解できるだろう。
(※)基本的にそのラウンドで得られるものを最大化する方法を三段論法ほどで考えていけるストーンエイジに対し、「アグリコラ」ではたとえば「3ターン後のラウンド終了時に食べ物が4必要で、パンを作るには①麦と②畑と③種まき④暖炉アクションをやらねばならず、暖炉には⑤粘土が必要で、これができてもパンは2しかできないので⑥釣りでもう2つ食料を取りラウンド終了、よし間に合うこれで行こう」とここまで先々を計算しないと現ターンの行動が決まらない。直感的にはほとんどなにも行うことができない。
◆ちなみに上記「数学無双の夫」はストーンエイジは嫌いで「アグリコラ」が大好きなんだって。単純にこれくらい演算負荷がかかってないと空焚きしちゃうエンジンなんだろう。

 なんかないものかな、このやりくりと買い物競争の面白さを点ではなくものづくりに昇華し、箱庭感に到達したような完璧なゲームが。取った資材やカードを使いグレンモアみたいに、自分だけの機能性ある小集落を作れたらステキなことだろう。

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■12/12/01(土) □ Wii 家族
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 最近萌の機嫌が素晴らしい。先週の土曜あたりからずっとそうなのだが、俺に学校のことを話してくれるしアンドロイドフォンで遊ぶし、2人だけの日本語学習も嫌がらずにしっかりとやる。まるで日本にいたときのように日本語で話してくれる。今日なんか学校で習ってるのだとギターまで俺のところで弾いてみせた。そのコードだったらこう弾いたほうがいいよ。そのコードが弾けるなら萌の好きなあの歌もギターで弾けるじゃん。ギターとコンピュータについてなら、教えてやれることはまだまだたくさんある。

 加えて Wii を 2 階に上げようと奥様が突然決め、するとみんなでネット映画を見れるし Wii リゾートをやれるしで、うちに初めて Wii が来たときのように萌がはしゃぎ一家揃ってスポーツ団欒となっている。素晴らしい。

 今夜は最後に Wii リゾートの卓球で俺のスマッシュを萌が打ち返して勝利し、最高の幕切れでした。

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■12/12/05(水) □ 直感に胸高鳴らし
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 久々に【ストーンエイジ】。今日も超格上(56 位)が相手。数学的すぎて格上には勝てないゲームかもなーとファミリーゲームとしての迷いをブログに書いてる際中なのだが、相手が文明に行ったターンで人を増やし木を抑え次のターンで高価な文明カードを2枚奪うという賭けが見事にうまくいった。これで序盤リードを奪う。この俺の直感的にリスクに胸高鳴らす打ち方でいい勝負をできたらすごいゲームなのだがなー。

 終盤、リードを継続中。俺自身うまくやれており、相当に有利だ。このあと相手が大きく伸ばせるのは道具点以外ないので、それを俺が抑えていけば勝てる。熱くなる。

 最後に初手で木を取りフィニッシュに入ろうと思ったら先の先を取られ木をブロックされた。さすがだ。このターンで木を取れなかったことで、小屋を2枚取られ25点詰められる。うーむ。文明カードもブロックされた。うーさすがだ。この1ラウンドで一気に俺のアドバンテージが消えた。残りリードは10点。

 最終ラウンド、1-7 が出た! 初手でこれを抑える。この一手が相手に痛恨で、アウチと言ってきた。相手は金が必要なので金も抑える。これは勝った。210/148 で結果を待つ。1ラウンドで 60 点は取れるはずがない。―――210/176 やっ・た\(^-^)/!

 【最近心がけている指針的なもの(2人戦)】
◆序盤は村と資源重視、先手のときは木を相手に渡さない。
◆相手が(定石である)初手村仕事をサボりいいカードを取りに行ったら、村仕事2回よりもむしろ木を取り次ラウンドのチャンスに備える。

 このゲームの勝因は、相手が(定石である)初手村仕事をスキップしカードを取りに行ったら、村仕事2回ではなく木を取るという方針がうまく行ったのだと思う。村をスキップされるとどうしても畑+道具づくりなど村×2したくなるが(なかなかそのチャンスはないからね)、相手がリスクを取って川でポイントを上げたターンでこちらはガラ空きの山に向かい、資材を蓄え次ターン以降の賭けに備えるのだ。そうなのだよ!

 いやー面白い。家で買うかはまだ決められないが、ストーンエイジ最高です。

(注:格下・同格にあっさり負けたつまらん試合についての憤怒の日記はここではすべて省略)

2012/12/03

日記「クマにフェンスをぶち破られた」

「本物がほしいストーンエイジ」

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■12/11/21(水) □ クマにフェンスをぶち破られた
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木っ端微塵ですわ

裏の家のフェンスもこの通り
うわークマにフェンスをぶち破られたー。ショック。下の薄板部分はまあ修復はできるのだが、上の格子状のところを落とされたのが痛い。どうやって直したらいいのかと途方に暮れる。

 隣家MT家の楓の枝までバキバキと何本も折られている。なにやってるんだこのクマは、理解できん。クマは川でサーモン食えよ。今はサーモン採れまくりの時期じゃないか。ゴミを漁るなよ。

 うちは向かいが借家になってるのだが、そこの住人が土着じゃないからやっぱ無責任で、ゴミの管理が悪い。ゴミに鍵かけてないと罰金という規則を無視してるのでその家のゴミが数週前から何度も何度もクマにひっくり返されていて、ついに近隣にもとばっちりが来たという感じ。MTも同意見である。ちなみにカナダじゃこの程度では、熊が出て危のうござりますと役所に言っても気をつけよと言われるだけらしい。怪我人が出てからでは遅いのだが。

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 とりあえず仕方がないので釘とノコギリを買ってきて、角材を切っては足し切って足して、落とされた上部格子部分を武骨に頑丈にフェンスに固定する。これをもう一度壊すにはクマの方にも相当な決意と破壊スキルが必要である。別にうちの庭に食い物があるわけじゃなし、通り抜けるためだけにそこまではせんだろう。こうして DIY 仕事で成果が上がると気分がいい。

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■12/11/23(金) □ 本物がほしいストーンエイジ
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1日1ゲームは必ずやっているストーンエイジオンライン。夜の2人戦で人を 10 人まで増やす作戦をやってみた。こうしていろんな戦法が試せるところが楽しい。きっちりプラン通りに進め 250 点を超えた時点で勝ちは確信したが、点差は案外少なかった。もっと大差で勝ってると思っていた。

 ボードゲームにおいてどっちがどの程度勝ってるのかわからないというのは好きではない。最後は積み上げたボーナスで決まるにせよ、どの程度の点差なのかは皆が把握してるくらいがちょうどいいと思う。負けてる方は大量点を狙ったギャンブルに出られるし、勝ってる方はゲームをクローズに持っていける。



 それにしてもよくできたゲームだ。俺はMKが持ってくる TRPG/アメゲー系のゲームでダイスを振ることにはスゴロク程度の盛り上がりしか感じないのだが、ストーンエイジではダイスに気合いを込め楽しんでいる。やっぱ TRPG 式のゆるい数値のやり取りでは、大きな目を出して敵にダメージを与えたいなどと俺は真剣に考えられない。

 TRPG バトルのスタート位置はランダムだし、キャラが持つ HP その他だってよくわからず、さらに 20 面ダイスみたいなものでダメージ量が決まるんだから乱数が多すぎる。どのダイスを使うかも自分の選択ではないわけだし。ウォーゲームのように「ここで3コマを集中して1ターンで敵ユニットをきっちりと破壊する」といった風にざっくり大胆かつ緻密に考え決断し、その結果が白黒はっきりつくほうが面白く感じる。

 その点がストーンエイジではよくできていて、「ここでどうしても金が2個必要だから、リスクが高いがサイコロを3個投入しよう」と目標がストレートに設定できる。だからギャンブルとしてサイコロ振りに盛り上がれるのだ。望み以下の目が出た場合にサイの目に足せる「道具」という概念もよくできていて、サイコロに関する楽しさはカタンと同等で、フラストレーションは 1/10 もないんじゃないかと思う。ほんとよくできている。

ストーンエイジの写真を見ると実物が欲しくなる。この個人ボードにはあまり機能的な意味はないが、資材の実物をこうしてボード上に積むのは気持ちいいことだろう。機能で言えば小屋カードをきれいに下の枠に並べても意味はないので(枚数だけわかればいい)、5種類の文明ボーナスを分類して置ける5つの枠だったらよかったと思う。そうするとまあどの種類をどれくらい集めているか敵におよそわかってしまうが、上記の理由でそこは隠し情報じゃないほうがいいとも思うしな。この個人ボードが文明ボーナスの得点ボードだったらよかった。

 あるいは小屋カードを取ったらこのタイルの代わりに木の小屋をもらえ、個人ボード上で自分のミニ集落をビジュアルにデザインできたらかわいいだろうな。アグリコラのメインボードは単なるマスなのでかわいさと視認性でストーンエイジに大きく劣るが(そこがアグリコラのゲーム性も示している)、牧場となる個人ボードは SA よりかわいいのだ。

 ボードゲームの写真を眺めているとそんなこんなを想像して楽しい。タイミング的に今買ったら「なんでクリスマスを待たないのだ」と怒られるが、ほしくなってしまっているのである。