2006/06/30

日記「サッカー日本代表であることの絶望」

「ドーハ以来初めての苦汁」「貧乏クジ」「ブラジル戦-9年間の夢」ほか。
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■06/06/16(金) □ 魅惑のコートジボワール2戦目
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 ジムナスティックス:今日は最終日なのだが、N先生が新しいダンスを導入している。この先生は本当に素晴らしい。萌を本格競技体操の道に進めたいとは思わないが、楽しみとしてN先生のクラスを続けていくことはできないのだろうかとスケジュールを聞いてみたのだが、とりあえずサマーコースは受け持っていないそうだ。残念。

 しかし毎週 1.5 時間キッチリ喋っている付添いのこの喋くりオババはなんなのだろう。ただただ喋くり続けて子供の体操は全く見ず(だからどの子がオババの子なのか1年経っても分からない)、長時間姉さんを待たねばならない気の毒な妹は完全に放置し、その子がおしっこしたいと話しかけても「Costcoでおむつが$2も安い」といった喋りに夢中で返事もしない。人が話しかけたら返事くらいしろ阿呆ババ。買い物と喋くりをするために主婦をやっているとしか思えない。世界中どこでも、こういう下らないペアレントはいるのだろうなあ。

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 帰って Netherlands vs. Ivory Coast を見ると、アイボリーコーストが早々に2点も失ってしまった。FKはすごかったので仕方がないとして、2点目はまたもやオフサイドトラップ崩れ。ニステロイを見ていたDFはニステロイをきっちりオフサイドにしていたのだが、逆サイドにDFが1人残っていたのである。アイボリーコーストの国民はもうオフサイドルールを一生呪うであろう。気の毒。まあしかし能力を出せず惨敗した日本よりは負けても能力を見せている分マシなのであって、今日もとにかく華麗な点を取ってほしい。今日もDFがダッチ攻撃陣をドリブルで突破してます(笑)。

 出た、スーパーゴール! オーウェンが98年に見せたようなすごいストライクをドログバの相方が決めた! これは負けてもどころか、追いつけるだけの攻撃力は十分にある。ダッチももちろん黙ってやられているわけではなく、文句なく楽しい攻め合いが続く。

 結局ダッチが守り切る。アルゼンチンに続きさすがに伝統国という感じでDFは最後まで崩れなかった。コートジボワール残念。しかしこの国の選手はどうしてこんなにも揃いも揃ってうまいのだろう。ダッチとやってもボール扱いのうまさやわらかさがパスの正確さ、繋がりが際立っている。不思議だ(※)。これまでのところコートジボワールのサッカーが、一番美しいと感じる。

(※)あとで欧州系の「国立サッカー学院」があり、皆がそこの出身なのだと判明。なるほどねー。

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 代表ニュースは、怪我で満身創痍の中村がまた(ドイツ入り後二度目)熱を出したとの知らせ。1戦目の何もできなさは、開幕前からすでに体調がベストではなかったのではないかという気もする。豪戦で勝っていたならば1戦休ませ体調回復に努めることもできるのだが(今の中村ならば、誰が入ってもおそらく彼よりマシだし)、だがしかし「発熱入院寸前でも先発は不動」のジーコだからなあ.....。去年はあれほど機能した 4-4-2 もうまく回っていないらしく、ムードはよくないらしい。うーむ。

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■06/06/17(土) □ ドーハ以来初めての苦汁
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 萌に起こされ Portugal vs. Iran を見る。イランはポルトガルに普通に押されているが、きちんと実力は発揮している感じ。イランのいいプレイにはいつもマハダビキアが絡んでいる。97年にジョホールバルで戦ったときには中田とマハダビキアの実力は五分で、その後中田がイタリーでブレイクして知名度で大差をつけたが、今は逆転されている。

 しかしそれを思い返していて気づいたが、豪州戦の負けは、日本サッカーにとって93年ドーハ以来初めての、実に13年ぶりの絶対負けてはいけないゲームでの負けだったのだ。ショックを受けるのも当然なり。

 あれから日本はずっと右肩上がりで、中田の出現とジョホールバルによりそれは大きく実を結び、やがて 2002 年トルコ戦で苦い現実を味あわされ、アテネオリンピックで世界に通用する才能がどんどん生まれてくるという意味での右肩上がりは終わったことが分かり、現在に至るわけである。この10年のピークを迎えた現代表世代の4年間を、ジーコでかくも無意味に使ってしまった日本サッカーは、これからどうなってしまうのだろう。

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 20分過ぎからポルトガルの圧力が下がりイランの攻撃シーンも増えてきた。韓国もそうだがイランもドリブルでボールをキープできるのが大きい。日本は何よりもボールをキープできなかったのが最大の敗因なのである。中盤の圧力に苦しんだ中田と中村が簡単にボールを離してしまいすぎて、チーム全体が攻撃に上がる時間がなかったのだ。

 後半もハードマークとドリブルでポルトガルを苦しめるイラン、さすがに強い。ポルトガルが勤勉なアジアにちょっと弱いのだともいえるが。そういえば日本はトルシエ時代にはダーティタックルを奨励されていたよなあ。今の日本はそれはまったくやっていないわけである。タックルをできるMFは稲本だけで。

 ポルトガルの攻め手もなくこれはドローかなと思ったところでデコのミドルが決まる。その後PKで2-0。今大会はボールのせいなのか、ミドルが勝負を決する試合が実に多い。ハードマークに弱いという意味で日本に近いポルトガルなのだが、デコやロナウドという大駒が勝負を決めるのであった。

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 イタリー対 USA は、隣の英国オバサンが来ていて盛り上がってるMSさんのところで見たのだが、トッティ不在のイタリーは手詰まりな状況で、豪戦の日本に劣らずヘボいカルチョだった。

 しかしこの英国オバサンがおかしくて、ファウルで痛がるイタリア人を全部フェイクだフェイクだと笑い飛ばしている。どうも英国人というのはファウルは痛くないと信じているらしい(笑)。そういう風土がハードなプレミアリーグを型作っているのね。

こんな笑える映像もあり:「シミレーションの練習をするイタリアチーム(島田佳代子)

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 明日のクロアチア戦を思うと、加地の復帰以外は何のプラス要因もなく(加治も復帰初戦で 100% は望めないし)、聞こえてくるのは「ここまできたら勝つしかない」といった決意表明のみ。勝つしかないと思ってるのは双方同じであり、クロアチアが初戦を見てうちをあなどってくれているらしいのがありがたいが、正直言って気が重い。頭痛がしてくる。誰かこのモヤモヤを晴らしてはくれまいか。

 ただひとつ、岡田前監督の、「なめてかかるだろうから、つないでくる。1人で打開できる選手もいないし、チャンスはある」というコメントだけが、今日見つけた希望の綱だ。

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■06/06/18(日) □ クロアチア戦-返す返すも豪州戦が
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 今日もこないだと同じ、寝不足で試合を迎える。カナダ解説陣の予想は、日本1-2クロアチア。ピッチは快晴。加地、頑張ってくれ。

 クロアチア国歌、ものすごい歌声。そういえばドイツにはクロアチア移民が多いのだ。日本にとってはアウェイになっている。まあこれは相手がカサにかかってきてくれたほうが日本も攻めやすいのでよし。

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試合開始、日本は強いプレスからゲームを開始した。試合が始まってしまえば、強い相手にボロクソにやられるという悪夢的展開への恐れは消えていく。日本が普通でさえあればどことやっても、たとえブラジル相手でもボールを持てるのだ。

 中村のドリブルからFK。CKへ。中村の怪我が心配だったが動けているし、相手は中村をつぶしにはきていない。返す刀でクロアチアがシュートまで持っていく。落ち着いてキャッチ。やはり中盤をパスで持ってくるので、プレスにかかりやすく戦いやすい相手である。

 ロングスローでクロ押し込む。落ち着いて跳ね返すがセカンドボールを拾われる展開が続く。日本は中村からの対角線パスでで大きく展開しようとする。日本は意外にもクロよりも長い時間ボールを持てているが、技術がイマイチでシュートまではなかなかいけず。しかし中村がつぶされていないのはなによりだ。逆に中田・福西などが相手に激しく当たってボールを奪っている。8分プレスからショートカウンターからの大チャンス、しかし相手の戻りも機敏で完全に守られてしまった。しかし日本は良い。

 17分:加地が抜けてセンタリング! 小笠原が飛び込むがDFに抑えられる。惜しい! 初めてのビッグチャンスであった。やはり加地は素晴らしい。駒野はタイミングよく抜け出し使われるタイプでクロスがガックシだったが、加地は意図を込めたクロスを入れている。走りながら中が見えているのだ。

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 21分:高いバウンスのボールを宮本がFWと競って後逸し後ろからのタックルでPK。うーん、1点くらいは取られても今日の調子なら取り返せるが、完全に日本がペースを握って何もないところからの唐突な失点なので、ただただもったいない。―――が川口が止めるー! 川口恐るべし。川口はヘマさえしなければ神だ。1試合で1度くらいはたいていヘマをするのだが、止めてくれるショット数でそれをはるかに上回る。

 このクロアチアははっきりいって弱い。ああいう高いルーズボールをどんどん使ってこられると豪戦同様苦しいが、それ以外では日本が今日のようにしっかりしたデキであれば問題ではない。―――と思ったら28分、クラニチャルのミドルがバーを叩く。きゃー弱いとかいってすいませんでしたクロアチアさん、シュートを打たないで。そこから日本のカウンター、しかし時間がかかり相手が揃ってしまった。日本は速いとよくいうがそれは小兵ゆえの初速の高さのことだけであって、長い距離での走り合いでは全然速くはない。豪戦でも今日もカウンターでシュートまでは持っていく走力はないのだから、カウンター狙いでボールを無為に失うことだけは避けてもらいたい。

 日本もミドルを狙い始める。小笠原のいいミドル。クロアチアが簡単なパスを数本つないでからのスルーでシュート! 華麗である。日本はつないでつないでコツコツ積み上げないとシュートを打てないが、クロアチアは個人の力量が高く縦パス1本反転1発でこうしてきっちりシュートを打てるところが強みだ。FWの力だけではなく、中盤もDFもしっかりと強い。今のところDFがきちんと対応しているので川口を脅かすほどのシュートは来ていないが。

 32分:ヤナギが倒されFK。壁に当たりGK。中村は序盤以降はやや消え気味である。やはり病み上がり怪我ありで動きが少なく、ボールが集まらないのだろう。

 35分:中村のフェイントから中田のミドル! 素晴らしいショットだったがGK好守。やはり中村のファンタジーは、いったん発動すると敵にも味方にも魔法をかけてくれる。意表を突かれた相手の動きが止まり、大きなチャンスが生まれる。彼のコンディションゆえそれがなかなか出ないから苦しんでいるのだ。

 39分、クロ小味の利いた組み立てからシュート、川口が止める。クロアチアが続けて何度か攻め込む。双方足が止まり気味になってきた。最後に加地の突破があって前半終了。

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 8年前のクロアチア戦とほとんど同じ展開で、8年前はこれでスーケルにやられたわけである。相手の戻りが意外に早くて(相手の最終ラインがあまり上がってこないともいえる、暑くて飛ばせないのか)、日本は豪戦の反省か無理に攻め急がずつないでいるせいもあり、つなぐことに異存はないのだがとにかくシュートに持っていけない。相手PKエリア前で手詰まり状態。そこでさっきのような中村のファンタジーが炸裂すれば大きな展開があるわけだが.....。現時点でデキはいいが、このままじゃ1点ポコンと取られて負ける可能性のほうが高い。どうしたものか。この2試合高原もヤナギも横に開いてしかボールを触ることができないので、巻を入れてPKボックスに駐在させ戦わせてほしい。彼自身はシュートを打てずとも、競って相手DFをつぶしこぼれ球を作るだけでいい。

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 後半、クロアチアが押し上げてくるか、相手の監督の指示が気になるところ。ドリブルで上がってくる選手を入ったばかりの稲本がいきなりファウルで倒す。PKボックスには前半より多くのクロ選手、だが中田が率先してアタックしクロの攻撃を跳ね返す。

 50分:クロアチアのクロスを稲本がカット。通っていたら危なかった。やはり福西より稲本の方が、守備力は普段から欧州で鍛えられている感じがある。

 51分:加地の1・2からヤナギ、しかしシュートをはずす! ぐわーーー!日本のFWは点で合わせるゴールしかできないから自力で点は取れなくても仕方がないと諦めてはいるが、ていねいに作ってもらった点を合わせ損ねおった。これは重要さからいってもヘボ度合いからいっても、ヤナギ@シュート失敗人生最大、そして日本サッカー史上でも最大級のシュートミスであろう。ジーコの絶望と鈴木さんの呆然とした表情がリプレイされる。ああ....。いやしかしほんと、加地様が日本を救う。要は自信の問題だよなあ。加地は自分のボール扱いとスピードに自信を持っているが、ヤナギも高原も自信をなくしている。昔カズがはずしてもはずしても次のチャンスにはためらうことなくシュートを打っていて、その精神的なタフさに感心したことがあったのだが、ヤナギと高原にはそれは望めない。力がないことは仕方がないことなのだから、とにかく早く元気な選手に替えてやってほしい。

 54分:日本の誇るMFによる華麗なパス交換での崩しから、またもカウンターでクラニチャルのシュート! ぷふー! 中田がほぼ振り切られていた。危ない。しかし稲本も加わり日本のMFの技巧対クロアチアのカウンター&シュート力の戦いとなっており、試合としてはかなり面白い。

 59分、一進一退でややペースの落ちた展開。―――あ、玉田! 待っていたぜ。頼む。高原に替えて巻も入れて相手DFへの圧力をかけてほしいが、しかし中村も交替させたいところで.....しかしジーコは交替カードを有効に使う人ではないので期待薄か....。

 65分:玉田が1・2を狙うも読まれてカット。玉田は非常に精力的にプレイに絡んでいる。これだけでも交替FWを入れる価値はある。

 67分、高原アレックスでCKを取る。この中村のキックもいいところへ飛んでいない。彼のためにも日本のためにも残念だが、これは中村のWCではなかったということで、FKはもう別の選手に任せるべきだろう。アレックスが突破を仕掛けてさらにFK。角度はない。もうここは中村ではなく小笠原が蹴れ。蹴ったが弱い。

 小笠原も頑張ってはいるが、やはりパッサーが増えても受け手が捕まえられスペースは埋められているので、何かを起こすのは難しいと豪州戦に続き思う 。マークを振り切るために両FWはサイドに開くわけだが、相手DFは上がってこないし日本の攻撃も遅いので、真ん中にもサイドにも相手は十分にいてシュートまでいけない。真ん中で頑張れる巻がほしい。昔の鈴木の役割だ。

 71分、CKからのカウンターを止めるためにアレックスがイエローをもらう。今日のアレックスは非常によくやっている。これまで俺が見た中で彼のベストゲームといえる。1対1ではたとえ失敗しても仕掛けるという気配で相手を威圧しており、Jリーグで MVP を取ったシーズンのようだ。

 74分:稲本ミドル、枠を超える。相手の足は止まっている。あーしかし時間が。クロアチアはドローでも大きな希望は残るが、日本はほぼ一巻の終わりなのだ。巻を入れてくれ。

 77分:中村のワンタッチから玉田がオフサイドを破って左を走る、が足が滑り一瞬遅れシュートを打てず高原へ流し、カットされる(コメントでシュートミスだったと判明)。あー。しかしあれしかない。玉田の速さを生かすしかない。ジーコはフラストレーションに雄たけびを上げている。

 79分カウンターで破られ、折り返してシュートまで持っていかれる。シュートを打った選手には中田がついていた。中田が見せている執着心はすごいものがある。

 あと10分。ふー。攻め手がない。攻めては失いカウンターを受けるの繰り返しで時間がつぶれていく。相手は中盤で奪いシュートまで持っていくので、日本は休めずカウンターもできず、実に苦しい。中田も疲れている。あー。

 84分、高原に替え大黒。シュートに一度でも持っていければ可能性はあるが、これでは10分遅い。ここまで両者疲れてしまえば、大黒がシュートを打つシーンなんて作れない。シュートが打てないのはFWだけの問題ではないのである。

 87分、セカンドボールを拾えず押し込まれる。苦しい。日本つないで加地の折り返し、誰もいず、こぼれ球をアレックスが突破して折り返し、だが誰も飛び込んでおらずクリア! あー.....。CKを中澤が折り返し大黒、シュートを打てず。

 それが最後のチャンスで、日本は最後のピンチを何本かDFが必死に防ぎ、期待のドリブラー玉田がレフェリーにボールを奪われたりして(脱力)、試合終了。クロアチア選手がアレックスの吊った脚を押してくれている。双方よく戦った。が双方決め手なし。日本もがっくりだが、クロアチアも「スーケルがいたなら」と思っているに決まっている。

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 クロアチアとドローというのは開幕前のベストプランだったわけで、返す返すも豪州戦が、としか言いようがない。

 はあ。仕方がない。豪州戦は監督がジーコじゃなかったら勝てただろうが得点は実際マグレだったし、この試合は誰が監督でもたぶん、引いた相手を崩すには日本選手の技術とひらめきと判断力が足りなかった(※)。稲本の投入はよかったし、ポストをできていない高原を見切って巻を入れたらどうだったか、それくらいしか戦術的なバリエーションはつけられなかっただろう。日本の力は「欧州中堅に負けない」というあたりで4年前から足踏みをしているというのを表す、順当な結果であった。欧州中堅の力がついたことには贅沢をいう筋合いはないので、返す返すも豪州戦がとしか言いようがない。やはり日本だけが永久に右肩上がりで50年後にWCを優勝するなんて、なかなかそううまくはいかない。

(※)後から考えれば、相手が戻ってしまえばどうやっても崩せないのであって、相手が戻る前に高い位置でボールを奪って攻められるよう、守備ラインを上げ中盤をコンパクトにしプレスをかけるという組織を作っておくべきだった=ジーコには作れなかったということ。

 日本の目標はグループ突破じゃなくてベスト8だったのだから、全力で行って欧州中堅クロアチアを倒せなかったという結果は、実力をはかるという意味では明瞭な結果だった。運と戦略があれば 2nd に進む力はあったが、欧州トップを下してベスト8に進む力はなかったのである。これがジーコ日本の実力(マイナス久保マイナス万全な中村)という実感なり。

 まあ、もう1試合楽しめる。今日のように思い切りやってくれれば楽しい試合になる。もう豪州戦みたいな、力をまるで出せず負けということはありえない。もう一度豪州とやったら、今度はタックルを交わしてきちんとパスを回し勝てるだろう。

 とにかく巻を見たい。PKボックス内から出ず相手DFと競れという指示を与えて送り出したい。ヤナギは当然大黒にスイッチする。大黒は小兵すぎてDFからボールを隠せないという弱点を感じるので本当は玉田の方がいいのだが、玉田は与えられたチャンスを生かせなかったのだから出番を譲るしかない。

 中村の体調が突如上がってくるならばともかく、そうでないなら小野にもう一度チャンスをやりたい。そして稲本と中田コでゴール前を堅め、中田を小野と並べて、中田に守備をやらせず存分に攻めさせたい。これが中田時代のおそらくは終わりなのだ。もうあんなに走って戻らなくていいから、最後にブラジルから点を取ってくれ。中田秀寿、頼む。

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France vs. South Korea
 韓国がまったく物怖じせずにフランスとがっぷり組んで戦っているのだが、PKエリアのこぼれ球をアンリがうまくコントロールしてシュートを決め早々に1点入る。韓国が勝ったりすると悔しさが募るが、日本とはまったく違うドリブル&走力勝負というアプローチでアジアの道を探る韓国には、可能性を見せてほしい。

 後半はフランスの体力が落ち、韓国が優勢に攻めたて、ついに追いついた。見事。10m のパスを速く確実に通すために選手がさぼらず動き、パスを受けたら勝負してまたこぼれ球を拾い、ついにフランスを崩してしまったのである。日本はメキシコと韓国のボールへの執着心を見習わなければならない。

 フランスはアンリへの縦パス1本ですぱーっというきれいなイメージしかなく、そこをケアされると韓国のマーク力を上回る他の攻め手が湧いてこなかった。ジダンにもキープ力はあったがドリブル突破やキラーパスは出ず。というかアンリはジダンが鬼キープすると、飛び出すタイミングが掴めず前へすぱーっと走れないんじゃないだろうか。2人のサッカーのイメージは全然合わないのかもしれない。

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■06/06/19(月) □ 貧乏クジ
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 今日も今日とてアジアのサウジが惨敗中。この調子では次のWCでアジア枠が....と心寒し。たしかに現状の4あれば競争は事実上ゼロで、日韓イランサウジが毎度出られるので超ぬるいし、そのうち3カ国がいいところなしなのだから1枠くらいは減らされても文句の言いようがないのだが、0.5 を持つ豪が入るのだから最低でも 3.5 にはしていただきたい。ここ10年くらい日本にも歯が立たないサウジがさくっと落ち、日韓イラン豪のうち1つがプレイオフに行くというのがフェアな競争だと思う。

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 昨日の試合について、ジーコの仕事の経緯を知らない海外メディアの一部は、「才能のない選手たちに当たってしまい、ジーコが気の毒だ」と評しているのだそうだ。ジーコのフラストレーションと絶望の表情がよく画面に出ていたからなー。「ジーコがいい仕事をして日本は強くなった」と知りもせずにいってる海外メディアも多いし、やっぱサッカー僻地のことなんてこの程度の偏見で見られているのである。指導実績のないスーパースター監督を雇うのは、あらゆる意味で貧乏クジであった。よければ監督のせいと思われ、悪ければ選手のせいだということになってしまう。

 まあ、うちは何を言われても文句は言えない。結果がすべての世界である。連続して好成績を残さなければ、実力としてカウントはされないのだと身にしみて思う。

 それに、たとえば韓国もWCではずっとずっと負け続けてきて、近くは8年前に1-3、0-4で凄惨な目に遭ったわけだしな。WCに出ていれば、こういう経験はいつかやってくるものなのだろう。日本の場合は黄金世代のピークだったのに4年間を無駄にしたという、単なる敗戦以上のつらさもあるわけだけど。

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■06/06/21(水) □ カナダの自転車事情
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 萌が朝自転車で軽く転び、やっぱり危ないからきちんとしたサイズにアップグレードしてやろうと自転車屋に行ったのだが、カナダの自転車は日本と構成が全然違う。子供バイクにはほとんどハンドブレーキがついてないことにも驚いたが(コントロールの難しいペダルブレーキだけ)、大人バイクは左・前、右・後ろと、ハンドブレーキが日本と反対についている。俺の自転車はそうなってないのだが今日チェックしたバイクは全部そうだった。なぜ? これだとモーターサイクルと逆になるので、超違和感がある。

 Mが萌のために目をつけていたバイクは20インチホイール&大型フレームで、20インチはともかくフレームとハンドルが無駄に大きくて、重い上に手も足も伸びきった状態になってしまう。これじゃハンドルを切れないのでコントロールできず、何かあればたちまち転ぶ。ところが自転車屋のおばちゃんは、「これが正しいサイズよ、ハンドルをサドル方向に調整すれば大丈夫」などというのだった。本当に自転車に詳しいのかこのオバサンはと疑ってしまう。ハンドルを手前に引いても、切ったときの外腕の遠さには変わりはない。乗り物としてデザインが悪いのである。

 それは問答無用だが、他にちょうどいいものもなし。16インチだと現在の萌にぴったりすぎて来年には小さくなってしまい(だいたい今の12インチを買ったときに有無を言わせず14インチにしとけばあと1夏くらい乗れたのだが説得できなかったのであった)、悩ましい。子供が握れる軽さ=工作精度のブレーキがついた子供バイクは1台もなかったし、カナダは自転車の品質低し。やっぱスポーツとしてしか自転車が使われておらず、実用車=オバチャリが普及していない国は駄目なり。

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 明日はブラジル戦。最後の練習はシュート練習だけというのは、ジーコはやはりコーチではなくテクニカルアドバイザーだったのだなあとしみじみ思う。98年にジーコをそうして使ったブラジルは物事が分かっており、川淵会長は自由サッカー幻想に包まれていたのであった。会長やマスジマさんら「自由と信頼が日本代表の最高の力を引き出すかもしれない」と夢を語っていた人々は、豪戦後完璧に沈黙してしまった。彼らにはどう語ることもできない結果が出てしまったということである。

 ベンゲルも中田を前に出すことを推奨している。中村が組み立て中田を縦に送り出しシュートを打たせろと。FWは「強く高い選手」と巻の使用をサジェストしている。まあ外から見ていれば、誰でも同じことを感じるということに過ぎないが。

 このベンゲルの記事であっと思ったのは、プロが初めて公に「中田のピーク」を語っていることである。これはこの記事が最初だろう。もちろん中田のマーケット価格の暴落を見れば現場の評価は明らかなのだが、それでも中田は現在長いスランプと噛み合わせの悪さの中にあり、自分に合ったチームに行ければまた華麗な仕事をしてくれるかもしれないというかすかな期待は俺にはあったのだ。が、やっぱりプロから見てもそうかとため息が出る。

 最後に、本当に最後にジーコさん、中田に攻めさせてやってください。お願いします。2点差で勝ちたいなんて贅沢は言わない。この中田時代黄金世代のトロフィーとして、記憶の棚に飾れる1発を見たいのである。

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■06/06/22(木) □ ブラジル戦-9年間の夢
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 11:36 あ、日本は巻、玉田! やっ・た。これで思いきり戦える。中田は今回もボランチで、AMFは小野ではなく中村のままだが。ブラジルはロビーニョとジュニーニョが入ってきた。FWの高さがなくなりMFは前2戦より守備力が下がっている。付け入る隙はある。

 入場。アレックスがブラジル選手とさかんに歓談しているのが目立つ。彼もWCでブラジルと戦うんだから誇らしいだろう。いいゲームをする自信も当然あろうし。2点差をつけろとは言わないが、勝ちたい。勝つのは不可能ではない。

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静かな立ち上がり。まずは日本がボールをまわし、玉田が裏を取りかける。惜しい。中田が奪いカウンターからまた玉田、折り返しをカットされる。玉田のスピードは効いている。非常にいい立ち上がり。

 5分、ブラジルが攻撃を開始する。ロナウジーニョのスルーから坪井を交わしてロナウドのショット、川口が弾く。現時点で必死さが違うので、日本がペースを握り続ける。

 ロビーニョのショット、川口が止める。ブラジルは個人技一発でシュートが打てるため、PKボックス前あたりで簡単に打ってくれるのがありがたい。小笠原と巻が現時点で1対1の力量差でボールを保持できずにいる。やっぱりどんな相手でもプレイに絡みまくる中田はすごいのである。

 中村中田の組み立てからこぼれた球を稲本がミドル、浮く。ついでブラジルが華麗につないでロビーニョ! 川口が弾く。とにかくPKボックスの中には入れないことだ、外からのショットはほとんど川口が止められる。

 加地が抜け出し小笠原のボールを呼び込んでクロス、合わない。ボールを奪ってロナウジーニョがカウンターをかけるが、日本はラインを上げているので落ち着いて対処。巻が右に走りボールを引き出し小笠原に返してクロス、飛び込んだのは玉田で高さが足りず。反対だったら良かった。

 ロナウドがシュート、川口止める。これは弱かったがコースが最高だったので、よく止めた。えらい。しかしロナウドがリハビリ中で本当に助かる。あの距離から強いショットだったら止めようがない。

 22分、ジュニーニョのシュート、だんだんと枠内に強いシュートが飛んできている。中村・加地・オガサ・加地とつないで折り返し、DFがコーナーへ逃げる。これがこれまでで最高のチャンスであった。こうして3本4本とつなげばブラジルも崩れる。これをやりたいのだ。縦パスぽーんから巻の初シュート。よし。得点の可能性はゼロでも、体を張ってゴール方向へ打つだけ高原ヤナギより有効だ。皆が守備に帰る時間が作れる。

 ロナウジーニョの華麗なトリックプレーをつぶしてカウンター、玉田のパスミスでつぶれたが惜しかった。パスがつながればビッグチャンスだったので、スタジアムがため息に包まれる。しかしブラジルがこうして軽いプレーをしていてくれるのはありがたい。ロナウジーニョのヒールキックを見て、アナウンサーは「出るか、WC史上に残るビッグプレイ!」なんて興奮しているが、密集したPKボックス内でヒールで浮かせてシュートなんてのを許すほど日本は崩されてはいないのだ。だがしかし日本は、もっとつながないと。

 おおおお玉田! 中田→玉田→稲本→アレックス→玉田でゴール! 完璧、完璧だ。これを見せるために日本はWCにやってきたのである。やってくれた\(;_;)/。

 すぐさまブラジルの猛反撃があるかと思ったが日本が皆ゴールで乗っており、ペースを渡さない。皆落ち着いているし、玉田も巻も体が軽い。よし。このままハーフまでは、あまりことを荒立てずにそーっといきたい気持ち。

 巻がオフサイドライン突破を常に狙っているのが、他のFWと違って頼もしい。FWがその場所で頑張ることで相手のDFラインを下げられるし、万が一突破できればサッカーでは何が起こるか分からないのである。

 う、ハーフ直前ロナウドのヘッドで追いつかれる。しっかりボックスを固めていたが、右サイドにもう1人上がってきたのをロナウジーニョが見逃さす振って、折り返しをロナウドに押し込まれた。ゴール後ずっとそーっと行けていたのだが、1つだけ対応を誤った。ロナウドは全然切れがないのにやっぱりWCでは点を取ってしまう。やれやれ。ここでハーフ。リードを保って行きたかったが仕方がない。

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 う、裏は1-1。クロアチアもう1点頼む。いつものことながら格上好みのカナダ解説陣は、ブラジルが完全に支配していると言い日本の健闘をたたえる言葉はないが、日本がブラジルを相手に引かず攻め合っているのだからシュートまで持っていかれるのは覚悟のうえであって、アトランタのときのように手も足も出ないとは感じない。ここまでは最後の右サイド対応遅れ以外は完全に日本のプラン通りのゲームをやっており、この後も点は取れる。失点を抑えるのは、それはもう甚だしく難しいだろうが。

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 後半:ブラジルは日本陣内で回して回して仕留めるチャンスを狙っている。そうはさせないぜ。あれ中田が前目にいるか? カウンターで前に走っていた。

 ロナ・ロナの華麗な1・2でシュート、完璧にやられたがロナウドがはずしてくれた。あれをはずすとはロナウド、相当に悪い。決勝トーナメントではサブではないかと思われる。まあロビーニョも皆が期待するほどの決定力はなく、今日ははずし続けているけれど。

 やはり中田が2列目に入っている。ということは中村が中田の後ろでボランチ? 単なるポジションチェンジだろうか。活動量のある中田が前に行くのは俺の願いどおりなのだが、中村が後ろではえらいことである。

 うわ! ジュニーニョのロングショットが川口の頭上をぶち抜く! 35m?これは川口止めてほしかったが、すごいのを止めながら取れそうなのを取れないのが昔から川口の特徴ともいえる。オランダの真正面のFKをコートジボワールのGKが触れなかったのと同じで、あの速さでまっすぐくるボールはGKには見えないのかもしれない。

 これで1-2、ブラジルが一気呵成に追加点を取りに来ている。浮き足立たつな日本、ボールをキープするのだ。2点差で勝つという希望ははなから抱いてはいなかったが、まだ点を取って勝つことは可能だ。

 中田コが入る。今日も結局何もできていない中村に替えるのかと思ったら小笠原。これは悪手だ。小笠原は序盤以降は攻守に絡んでいるのだから。これで中村が最後まで出ることは確実になった。中村だってこんなプレイしかできないならば、替えられたほうが助かるだろうと思う。正式に前に出た中田がさっそくミドルシュート、だが弱い。

 日本が長いボールキープを生かせず奪われたところで、カウンターからロナウジーニョが素晴らしいロングスルーを左サイドバックに通しきれいにゴール。1-3。仕方がない、だが日本はまだ点を取れる。あきらめるな。高原が巻に代わる。うーん、巻は力がはるかに上の相手DFに翻弄されても、愚直に戦い続けていたので替えてほしくなかった。

 ブラジルが回して回してシュートを打ちまくる。アナウンサーは「次はロビーニョがゴールする番でしょうか、かわいそうな日本」などといっている。負けるな、ボールをキープして押し返せばまだ点は取れる。と思ったら高原は入って最初のプレイで怪我をしてしまった。高原と中村にとっては、まったく思い出したくもないWCとなってしまった。大黒イン。

 そこから後はまったくボールを奪い返せなくなる。もうこのへんはさすが世界最強チームとしか言いようがない。辛抱して守り、ボールを持ったら蹴り出さずに地道につなぐ、日本はそれ以外にどうしようもない。

 73分、ブラジルが延々とつなぎ、日本は奪ったら抵抗を試みるがつなげず奪い返されるということが続き、終戦ムードに場内が静かになってきてしまった。大黒が必死にボールを追っているが、ブラジルのパス練習のようになってしまい手も足も出ない状態。全員がせーので大黒くらい追えればボールを奪えるだろうが、日本はボールを回されすぎて足が止まってきている。もともと組織をコンパクトにしてボールを奪うことを必死に練習してきたトルシエ時代を否定して、選手のその場その場の判断で「自由」にやらせろというのがジーコの4年間なので、こうして相手が自分たちよりもはるかにキープ力が上でミスをしてくれないと、何もできないのは道理。せめて中村を遠藤に替えたいのだが、高原の怪我で交替の3人は使ってしまった。

 中村は結局3試合で、ほとんど何もできなかった。稲本や中田コら控えの選手がよかっただけに、体調が戻るまで中村を早めに交替させるなりしてほしかった。結局選手のコンディションよりも格を重んじるジーコ先発は、高原・ヤナギ・中村と全滅だったと言える(泣)。ジーコは無言でピッチを見つめている。

 完璧にゴール隅にコントロールされたロナウドのミドル、1-4。ぐー彼のリハビリまでも日本が順調に進めてしまった。

 残り10分、GKのサブまで入れてリラックスしているブラジル陣内に大黒の頑張りで何度か攻め込めたが、現実的なチャンスまでは作れず。終わった。

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 はあ。お疲れ様でした。チーム内の選手の判断の揃い方、パスを回し隙を伺いシュートチャンスを作るという意思の統一感、そして決断力と実行能力、すべてにおいてブラジルは雲の上であった。つまり超絶にうまいチームが組織として動いているわけで、そこそこうまい程度のチームが個々の判断で頑張っても、どうにもならなかった。前半はそこを日本の必死さでカバーできたが、これだけの差はやはり隠しきれるものではない。頑張りが通じる相手ではないのである。

 豪に負けたことに比べれば今日の敗戦はショックではないが、力の差でねじふせられた2~4点めは悔しかった。中田は試合後泣いていたそうだが、言葉や精神力では追いつけない違いを嫌というほど見せ付けられ、一度は欧州頂点を垣間見た人であるだけに悔しかったことだろう。

 俺たちは皆中田とともにこの9年間、同じ夢を見てきたのである。その夢はついに結実することはなかったのだけれど、楽しかった。いやWCの戦績という形では結実しなかったが、たとえば今日のブラジル相手の美しい1点やパス回しといった局面局面では、夢が現実となっていた。それを快い記憶として喜びたい。次のWCにはどんなメンバーが挑み、俺はどんな気持ちでそれを迎えるのだろうか。今はイメージできない。

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 ジーコは4年間日本サッカーについてネガティブなことはまったく言わず、そこがトルシエと正反対で川淵会長(やマスジマさんら「自由」サッカー信奉者)に惚れられたところなのだが、豪戦後は日本にはプロフェッショナリズムと技術が不足し、自分には改善できなかったということを盛んに言っている。今日のコメントも同じ。トルシエは在任中は無茶苦茶を言っていたが、ヘボい采配でトルコ戦を負けたあとは、ジーコよりも静かに負けを受け入れていたよなあと思い出す。

 ジーコと川淵会長を除く日本サッカーファンはこの4年間ずっと、

「中田中村小野のワールドクラス3人を揃えて世界に立ち向かえるのはおそらく今度が最後。組織をカリカリにチューンしても個人の力が足りず負けるのは8年前からの経験で慣れているが、組織力の不足で負けるのは甚だしい悔いが残るだろう。ジーコだけに任せていたらそうなるのは必定と思えて仕方がない(05/06/08 感慨薄いWC予選突破)」

 と感じていたわけで、個人の力は上がったはずなのに組織力と采配力が落ちたゆえ惨敗したとしか思えない。ジーコ日本のマックス値はチームのすべてが噛み合った「コンフェデのブラジル戦」ということは分かっており、だがそのとき噛み合った理由はジーコ自身にも分からないので強さはまるで持続しておらず(※)、「とにかく本番で『あれ』が出ますように」と皆が祈り続けたのであった。結局コンフェデ以降1年間で、「あれ」はドイツ戦の1回しか出なかったわけである。今日の前半は「あれ」に近いものが出たが、相手はコンフェデ時よりも本番は当然強く、日本は中村のコンディション不良を筆頭に弱くなっていた。はあ。

(※)このWCから振り返ればあのコンフェデ時は単に、中村をはじめ全員の調子がよかったというだけのことだったのかもしれない。みんな暑くても走っていたし。

 「おばあちゃんがガックリしてるだろうから電話しよう」と、萌と日本に電話したのだが、明日から志賀高原でフォークダンスの合宿だとかで、ババさまは俺よりずっと元気だった。はあ、それはよかった (^_^;;)。

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■06/06/23(金) □ サッカー日本代表であることの絶望
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 韓国がスイスと戦っている。前半は見れなかったのだが、やや押され気味で0-1というところか。アジアのために勝ってほしいような、前回に続き取り残されるつらさを感じるような複雑な気持ちだが、アジアサッカー絶頂期であった4年前から、日本は自由自由と夢を語って地に落ちたわけで、普通にプロの監督に率いられたコリアはどう伸びたのか(あるいは低下を防いだのか)、そこを見たいのである。現Jリーグの選手が2人、前J選手が2人頑張ってるんだから、それも応援したいし(Jリーグ選手がベスト16を戦っているのに一言も言及しない、日本のマスコミの知的好奇心の欠落には恐れ入る)。

 後半、韓国は点を取り返そうと前がかりになり、カウンターで危ないシーンを何度も迎えている。スイスの守りが堅いらしく攻めては何も起こせない。全体に前の試合のようなキビキビ感と躍動感を感じない、このままではまずいなというところでまたもアンジョンファンとソルギヒョンを投入。彼ら切り札を後から入れることに価値があるという監督の考えなんだろうか。

 何も決定的なことをできないでいるうちにまたもカウンターを受け、今度はオフサイドの誤審で1点を失ってしまった。はあ。コリアは1戦2戦はよかったのに、どうしてこの試合は勢いがないんだろう。謎だ。相手が実直にプレスをかけてくる守備的チームだと鏡合わせで手が合わないのかな。この辺も知りたいところである(※)。

(※)翌日の中田徹コラムで、韓国チームは準備期間に移動が多く、全体にコンディションが悪くて、先発メンバーがことごとく不発だったとの指摘あり。やりくりで2試合は対応できたが、3試合目にして疲れも限度にきたというところだっただろうか。まことWCは難しい。

 これで、やはりベスト4はマグレだった、ヒディンクの手腕であったというあたりに世界の認識が落ち着いてしまうのだろうな。日韓揃って評価はゼロ査定に戻ってしまった。コリアは普通にプロ監督を雇った分アウェイでの初の1勝を得、日本はそれをしなかったゆえにアウェイでは勝ち点1に留まったことになる。

 学校へ萌を連れて行くと、ジャマイカ出身のSH母さんが「昨日見たわよー」と笑いかけてきた。「あー (^ー^;;)。しかしほら、うちが先に点取ったでしょ、ビューティフルなやつを」「信じられなかったわよね。だけどその後はまるでチャンスがなかったじゃない」「まことにそうです」「あたしなんか再放送も見ちゃったわよ」「僕をからかうために?」「違うわよ、トモがかわいそうだと思ったわよ」「ありがたいです。まあ4年後は、カナダもジャマイカも予選を通って戦いましょう」。

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 日本代表はコンディショニングに失敗したと大住さんや後藤健生らが断言している(※)。ドイツ戦後練習を休んだFW2人と中村の発熱以外にはそういう情報は流れてきていないのだが、シュート練習何百発とか終始オーバーワーク気味だったのは明らかで、そのあたりが試合にも響いたのだろうか。豪代表選手も試合後「勝負はフィットネスの差」と指摘していたし。まあ今となってはそれも川淵ジーコ体制のありとあらゆる失敗のうちのたった1つに過ぎないが、それが今回の日本のデキのひどさを解く大きな鍵かもしれないので、どうであったのか真実を知りたい。ジーコは就任初期にコンディショニングで大きな失敗をしていたし、「調子よりも格」という強い信念を持つことは中村を3試合出したことでも明らかである。

(※)日程の作り方(国内のキャンプに客を入れて張り切らせたこと、ドイツ戦を入れたことでチームがいやがおうにも盛り上がって戦いすぎ結果的にそこがピークになってしまったこと)、シュート練習のやりすぎなど、協会とジーコとコーチ陣の失敗であるといっている。

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 ネット上どこへ行っても日本代表評論を見かける日々だが、サッカーを分かってないオヤジな人々は―――というかオヤジ型感性の人というのはサッカーを語らせると一発で分かってしまう―――、野球はイチローで世界一になったがサッカーはうんぬんだとか、「中田はイチローになれなかった」うんぬんと、実にまことに低脳なことを言っていて、コメントを読むことが苦痛だ。アフリカ貧困国から信じられないほど素晴らしいサッカーをするチームが出てくるように汲めども尽きぬ底の深さがある世界の頂点と、野球のミニ大会(フルメンバーの総力戦ではないのだからコンフェデと同等だろう)とを比べて何事かを語ろうとする感性は、オヤジとしか形容しようがない。

 まあどうでもいいのだが日本代表選手を批判する人々は、自分もサッカーの下手な日本人であることを棚に上げて文句をつけているようにしか感じられない。サッカー日本代表であることの絶望に立ち上がれなかった中田の気持ちは、彼らには決して分からないだろう。

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