気合いを入れて服装をキメた萌と共に、シティの公園で撮影会をやる。カメラマニア目線で見るとなかなかフォトジェニックな公園なのだが、ポートレートというのは難しいものだと思った。萌はファッションモデルのように真顔でポーズを決め写りたいとイメージするわけだが、すると「不自然に無表情な少女」となり、どうしてもぎこちない。
そういうキメキメ写真はどうもやはりよくなく、よかったのは上の市役所前ショットくらい。小さな町のカッコいい市役所です。
そしてそれ以外の一瞬を切り取った普通の写真では、ちゃんといい表情が撮れていた。下は決めポーズの一瞬あと。やはり人というのは何かを集中して見たり、無心にふっと息を抜いた表情がいいな。俺は昔から人のそういう写真を撮りたいと努力しているのだが、カメラの性能は上がっても腕はなかなか上がらない。
モデルポーズというのは自意識のかたまりとなり表情を作ってるわけで、俺が撮りたい表情の正反対である。そういうのは俺にはうまく撮れないよと、後で写真を見ながら萌にも話した。しかし萌は年頃として、かわいくイノセントに写りたくはないんだよな。そこは日本の中学生とは違う。
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町を撮り歩きながら萌と話したのだが、カメラを持っていると「なにか美しいものはないか」と目がサーチモードに切り替わる。景色の鮮やかさや物のかたちの面白さを感じる感度にすごいブーストがかかる。脳内にはすごい写真が瞬間的にイメージされるがそれはほぼ妄想なので、イメージ通りの色と形でフレームに収めることが難しい。
あとカメラ的には、絞り開放だと安いレンズが甘いので絞って全部を撮ったのだが、シャープすぎた。なにもかもコッチコチにエッジーに写っているし、クローズアップショットでは背景ボケも足りない。レンズはシャープだが写真としては美しくないのである。カメラは難しく、たのしい。◆
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