「憧れのロンドン急行」「陶磁器3万点の森」
■6月6日 憧れのロンドン急行
Mはロンドンでやりたいことが山ほどあるそうだ。俺はとにかくロンドンはどこの地名も聞き覚えがあるので笑っている。今サッカーのフラムとチェルシースタジアムの真ん中あたりに泊まってるのか、地下鉄の終点はウィンブルドンなのね、ロックの殿堂ハマースミス・オデオンがすぐ近くだなどなど。ポップ文化頂点の町だよね🙂
しかし【イングランドはインフラがやたらと壊れている】。初日のピカデリー線熱波運休にはじまり、何度も列車移動をしたがすべての駅で改札機がいくつか壊れていた。稼働中の改札機で入ったり、改札員がQRコードスキャンや目視確認などで客が乗り降りしている。なんでそんな壊れるの? メンテ悪いの?
そして今日入ったロンドンの宿では、エレベータが壊れていた。もう修理は頼んであるというが、同宿の客によれば1週間以上壊れたままらしい。「5階ね」と言われてトホホとラゲッジを運んだが、英国は1階がGround Floorで、5階とはつまり6階なのである。死ぬ。毎日の帰宿が憂鬱になるレベルの段数である。 pic.x.com/zbSvFnIDYf
■6月6日 驚愕のV&A博物館
ロンドン観光初日はアパートからバスで10分のヴィクトリア&アルバート博物館。「イングランドが世界の半分を所有してた(M談)」大英帝国ピークのビクトリア女王時代に、女王の夫アルバートが作ったそう。ものすごい物量の美術品と宝物がランダムに並んでいる。めちゃくちゃ面白い。
収蔵品は東西南北、英国欧州はさらに時代ごとに分けられているのだが、宗教美術がとにかく無限にある。どこの英国都市で観光をしても、キリスト教というもののとめどなさに驚く。どうしてここまで民の情熱が注がれるのだろう。日本は寺はすごいが、仏教美術と庶民はほぼ無関係ではないか。
逆に日本では、浮世絵や工芸品など大衆向けの美術は欧州より普及が早く江戸時代。 英国で美術工芸品が一般に普及するのは、それよりだいぶ後だそうだ。 これら莫大な宗教美術を見ていると、美は長いことキリスト教に占有されていたのではないかとすら感じる。
…まあ庶民も教会に行けば、宗教美術を楽しめたのか。ステンドグラスなんかまさにそうだ。そりゃそうか。所有しなくても見られたのだから、そこは日本より恵まれてたか。
地階の彫像回廊がすばらしい。この大理石像の美しさ、きめ細やかさを、手で触れられる距離で見られるのは贅沢な体験だ。テラコッタ(素焼きの陶土像)の母子像はMが絶賛していた。なんともいえぬ愛情の像だ。
絵画もたっぷりとある。ターナーの本物を間近で見れて感動したり、システィーナ礼拝堂ラファエロ天井画の原画に圧倒されたり、
名を知らぬ作家のかわいらしい佳作を発見してときめいたり。 pic.x.com/99w2OjjOW7アジア、中東、ヨーロッパ。チャイナの工芸細工、メソポタミアの彫板。とにかく、どう回ったらくまなく回れるのかも分からないくらいの広さと重層的な構造で、宝物が詰め込まれている。美術も宝物も限りない。これが無料なんだからロンドンはすごいな、王都の王立博物館だからね。
中庭のカフェで休憩。2時間以上見てまだ2階の途中で、4階まであるらしい。これは終わらない。幸いにも休むところはいくらでもある作りだが、キリがない。
現代のポップカルチャーや演劇美術フロアもある。The Smiths のライブが£4はすごい。すでに4時間見たが、これは絶対今日中に見終わらないな。V&Aってルーブルと同レベルの規模なんじゃないの、1日で終わらないという意味でとGEMINIに聞く。『ルーブル 約3万8,000点、V&A約6万点、見られるモノの数だけで言えばルーブルを遥かに凌ぐ密度です』。やっぱりねえ。あちらは名品ばかりで、こちらは日本の雑誌切抜きなど有象無象もあるとはいえ。 pic.x.com/w0mvGDYnr2
今日はここまでかとあきらめ2階から降りてきて、巨大なものたちがある入口近くの隠しフロアを発見した。なにこれー! ヤバい、古代ローマの巨大石柱(トラヤヌスの記念柱)の二分割レプリカ! ヒャー! ここは世界中の有名彫像のカタを取った石膏像の館だった。4時間歩いてもこのフロアが目に入らなかったという規模と迷路感!
ダビデってこんなデカかったのか! ピエタ美しい! しかしミケランジェロなんて人類の至宝中の至宝を、よく石膏でカタなんて取らせてくれたよね。昔の人は無茶をするというか、それが英国の威光というものなのか。
19世紀には教育目的の複製文化というものがあり、世界中の名作の石膏型を取ることが許されていたのだそう。今は保護観点から当然禁止されている。
これを見たところで、本日はもう5時間見てさすがにもう無理となり帰宿をきめた。いやーすごかった。無料の博物館で土曜にも普通に観覧できるのは、あまりにも広く多彩でお客が分散してるからだなと気がついた。参りました大英帝国。
晩飯はMが好きな英国高級スーパーマークス&スペンサーのデリで買ってきたチキン。外食は高いので、この旅はずっと自炊している。テイクアウトの味はカナダと同じ。外でうまいものが食える国でもないので、満足である。
イギリスにいると聴こえてくる英語が全部ブリティッシュ英語なんで、やっぱり耳に心地いい。もう2週間いるので俺もブリティッシュ発音になってるような気がしているが、気のせいだろう。しかしカナダから見れば外国なのに俺の言葉もちゃんと通じていてうれしい。英語話せてよかったなと思う🙂
■6月7日 V&A2日め:陶磁器3万点の森

V&Aに隣接する自然博物館をさくっと回る。ここは子供向け教育施設でクジラの骨と建物以外見るものはなく、やはりV&Aに戻り、有名なレストランで食事をし、V&A day2・見逃し編を挙行しようとなった。
昨日見落とした「イングランド」部門には膨大な量の貴族の調度品や宝物があった。王族の部屋や家具調度になど俺はさほど興味を感じないが、Mはじっくりと時間をかけ見ていた。バース同様英国文学好き歴史好きには面白いのかもしれない。
3階以降はあまり客もおらず、展示テーマも本当にMISC(雑多)となっている。ウォークマンやXboxなどが飾られたモダン工業品のフロアもあった。建物も宮殿づくりだよねこれは。
俺のカメラロールの西武ポスターの次には、地階の彫像の回廊に飾られていないのか不思議なほど見事な大理石の彫像が写っていた。
日本美術の影響という一角には、なるほどジャポニズムという白人女性にしか見えない芸者が三味線を弾く油絵があった。このカメラロールのランダムさが、カオスなV&Aの上層階エクスペリエンスを現している。学芸的にはどんどん雑になってくるがw、所蔵品はどこまでも面白い。
そして最後の4階最深部まで極めるともうそこはお客がまったくおらず、無限に続く陶磁器コレクションが眠っていた。
なんという埋蔵量。4ホールほどにわたり置かれたキャビネットに、無数の陶磁器が収められている。「世界最大規模かつ最も包括的な陶磁器コレクション。世界のあらゆる時代・地域の陶磁器約7万点以上を収蔵し、3万点展示(GEMINI)」だそう。すごい。スペクタキュラーな芸術品は昨日見た1階に集まっていたが、重箱の奥の奥にもこんな宝が詰まっていたかという感じである。V&Aの展示品6万のおよそ半分が、このフロアにあるのだ。 pic.x.com/OEdWuQS9QR
王室だけでなく富裕層がこぞって集めた世界中の陶器がここに寄贈され、英国の製陶業の手本となる王立コレクションとして公開したのだそうだ。らく焼きの名品やそれに影響されたモダンらく焼き、現代陶器アートも面白かった。 pic.x.com/wLOwJ0XHmd
V&Aはもともと “Museum of Manufactures(製造博物館)” として始まり、「英国の産業とデザインのレベルを上げること」を目的とした、職人・デザイナー・労働者が学ぶための博物館だったんだそうだ。1階は古い宝物を集めた大衆向けの博物館だが、「中世鋳鉄製の門コレクション」などどこに需要があるのかよく分からぬMISCなものが上層階に無限にあるのは、そういうわけだったのである。門扉職人が見に来て学ぶという。
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【帰宿】さすがにV&Aは2日で見尽くしたと早めに切り上げ、スーパーで買い出しして帰宿。イギリスはコーヒーすら4ポンド=800円と高くて出先で飲めないので、宿に帰ると自分で淹れてガブガブ飲んでいる。ミルクはどこへ行ってもかわいいユニオンジャック印を買う。
イギリスは水道水がマズイ。田舎の親戚の一軒家でもそう思ったが、ロンドンのホテルだと水にカルシウム分が強くかなりヒドイ。コーヒーならまあ飲めるが、水は飲む気がしない。欧州でドリンクウォーターが売れるのも分かる。たまにはうまい水を飲みたいという気持ちになる。うちも買った。
イギリスのコンセントは230Vと電圧が日米の倍なので、ヤカンのお湯が体感2分くらいで瞬時に沸き、すぐにコーヒーが飲める。電圧が高いのでコンセントプラグは3本目の脚が安全ピンとなる超イカツイ形状となっており、カナダから持ってきたラップトップやUSBを使うには巨大なアダプターが必要となる。
これは戦後復興でできた仕様だそうで、調べているうちにイギリスもそんなに爆撃されたの? と疑問が湧きGEMINIに尋ねると、1940〜41年の数ヶ月にわたる空襲Blitzでロンドンの1/3、100万棟以上が損壊したのだという。そうだったのか。日本人は「我が国は灰燼の中から立ち上がった」ナラティブが強すぎるので、戦勝国イギリスも爆撃されていたなんて知らないよね。
そこまで爆撃されたロンドンになんで古い建物が残っているのとさらに問いを重ねると、石造りの住居は爆風や火災で内部が壊滅しても、外壁構造は残るのだそうだ。だから外観は残し、内部と壊れた部分だけを作り直せるのだという。なるほど…。旅をするといろいろ疑問が湧き、今はAIパイセンがなんでもすかさず教えてくれる。旅とAI学習は楽しい。◆


























友人のロンドン旅行の写真を見せてもらったことがありますが、同じロンドンとは思えないほど写真が素晴らしい‼️
返信削除美術品は写す人によって芸術度がここまで高くなるんですね😳
読んでいただけありがとうございます。見事な美術品を正面から撮ったV&A写真も無数にあるんですが、あとから見て「こういう写真は専門家が撮ったものにかなわない、つまらん」と自分で思うんです。美術を見ている妻Mや自分がいた美術館の風景を撮った写真のほうが、雰囲気を残せてイイんですよね。
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