「駒野、お前のために」「北米キッズカルチャー」「夏服を着た女たち」ほか。
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■10/07/02(金) □ ドゥンガ怒りすぎ
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【ブラジル・オランダ】ロッベンをハンドルできないブラジルが、後半フラストレーションで自壊していった。監督ドゥンガの仕事はチームを落ち着かせ反攻することにあるのに、ファウルが取られるたびにチームで一番大仰に怒りを表しているのだから、チームがまともに戦えるわけがない。それにこのチームはやっぱ地味で、ベンチも含めスターが少なすぎた。
しかしグループリーグ時カメルーンは絶不調だったしロッベンは怪我でいなかったのだから、ほんとこのWCの日本には神風が吹いていたとしか言いようがない。ロッベンがいたら、長友と大久保が退場になっていたであろう。
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■10/07/03(土) □ 駒野、お前のために
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【ドイツ・アルゼンチン】最初の猛ラッシュでアルゼンチンのミスを呼びドイツが簡単に先制し、その後も攻められてはカウンターで、とうとう信じがたい大差をつけてしまう。相手がここまで強くなると個人の才覚だけで攻め守るアルゼンチンには手に負えなくなるようだ。
ドイツはほんとに高性能フットボールマシーンである。全員がよく走り走ったところにボールが通り、見事な機能性の塊となって突き進む。サッカーファンは天才のきらめきがすべてを変えるみたいな奇跡を見たいと願っており(それこそ股抜きスルーの一発でド劣勢をひっくり返したマラドーナのように)、WCでだけえげつなく無駄に点をたくさん取るクローゼのような選手がフル活動するマシーンが敵をなぎ倒していくシーンはそんなに見たくはないのだが、このチームを止められるチームはもう南アにはいないだろう。
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【パラグアイ・スペイン】バルデスが走る。打つ。駒野、お前のためにと叫びながら(夢想)。日本中がお前を応援しているぞ。パラグアイはほんとに頑張っている。いい試合です。
バルデスの交代時、監督が「よく頑張った。駒野も健闘に喜んでおるぞ」と耳打ちし、奴はニヤリと笑いました。パラグアイが素晴らしいプレスサッカーでスペインを苦しめ、実に面白いゲームだった。パラグアイは日本とやったときはしょぼいチームだったが、まあうちとやったことでいろいろと学んだのであろう。素晴らしかった。日本はこんなにいいチームと互角にやったのである。気分よし。まあパラグアイにとっては似た戦術の日本より、がんがん攻めてくるスペインの方がプレスをかけボールを絡めとり戦いやすかったのだろうが。
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■10/07/05(月) □ 北米キッズカルチャー
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久しぶりに晴れ気温がようやく20度を超える。気持ちいいので萌を誘い自転車でハイドクリーク沿いを走る。萌が昨日グランマのバスルームを掃除しお小遣いをもらったので、帰路そのお金でアカウントが切れていた Webkinz を買わせてやる。これでこの夏休み、インドア用の楽しみは足りるだろう。
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「子供を食い物にし、貧困国の国家予算並みの金をロクでもない子供向けポップガラクタの消費に使わせている北米カルチャー」というドキュメンタリーをMが借りてきて、俺と萌もチラ見していると、萌がハマっているディズニーチャンネルの、あまりにも馬鹿なので俺が見るのを禁じた「スイートライフ」というショーがどんぴしゃで紹介されていて笑ってしまった。たかがコメディとはいえこうした子供向けショーは、「自己中でキツく子供らしさを否定する」という、大人が望まぬ子供性向のモデルとなっていると。その通りである。
萌はここ1~2年くらい典型的カナダ小学高学年ガールへと変化しており、こうした番組ばかり見て TV Japan などまったく見なくなっている。NHK 中心の TVJ には10歳の子供が面白い番組などほとんどないというのもあるが、最初は気に入っていた「シャキーン」すら見なくなってしまったのにはがっかりしている。上記ショーでも解析されていたがカナダ(北米)の子供は、カラフルなものが画面上をダイナミックに動き「わーわー」「ぎゃーぎゃー」と早口で丁々発止をやるという高刺激番組を浴びるがごとく消費しており、それに比べ日本の番組はテンポがスローで静かすぎるのだろう。
まあそんなくだらんものを見てはいても萌の優しく明るい性格に変わりはないのだが、早くもっといいものが分かるようになってもらいたいものである。音楽も最近は小学生向けポップ一辺倒だしなあ。ため息。
ちなみに Webkinz もこのドキュメンタリーでポップガラクタ消費財に挙げられており、今日それを買った萌と買わせた俺は叱られました。
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■10/07/07(水) □ 夏服を着た女たち
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【オランダ・ウルグアイ】このカードが決まった時点ではどちらかというと万年優勝候補のオランダ贔屓だったのだが、試合が始まるとオランダのサッカーがつまらないのでウルグアイに気持ちが傾く。オランダのうまい巨人たちが思いつめたような顔で高圧サッカーをやるのはなんか、しばらく前の愛されないドイツ代表みたいである。ブラジル戦同様ロッベンの被ファウルでこつこつ陣地を削っていくのも、相手が格下なのでつまらん感じがする。ロッベンは絶好調ならば抜けるのだろうが、抜けないから引っ掛けられ転んでるのだろう。全員が必死でカバーニとフォルランを走らせるウルグアイのほうが思い入れできる。
後半ダッチの猛攻が来て、スナイデル、ロッベンと立て続けにゴール。あそこまで連続アタックが来るとどこのDFもたまらんだろう。この時間帯のダッチは強かった。ウルグアイの猛プレスをゴリゴリと交わし前に進み、3点取ってもまだ点を取りかねない勢いだった。
しかしその後のウルグアイもこれまたすごかった。こんなもう完敗という状況でも、守備も反撃力もぜんぜん落ちないあの根性はなんでしょうか。恐れ入る。韓国にいったん押し込まれたりハンドがあったりでいいイメージはなかったのだが、このチームもほんとに素晴らしいチームだったな。
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今日はついに真夏日となり、31度を超えた。萌は久々にMとSFUへ。カフェのTVでスペイン・ドイツ戦が放送され、得点シーンでものすごい大騒ぎになったと興奮して電話してきた。カナダじゃスペインがそれほど人気なのか。独製フットボールマシーンが起動せず、つまらない試合だったのだが。
猛暑の中ふうふう言いながら買い出しに行くと、ほとんど水着という格好をしたガールズが町を歩き買い物をしている。眼福をありがとう君たちはほんとに素敵だとお礼を言いたくなって困る、夏服を着た女たち。
今日は俺の誕生日、お祝いに何でも食べたいものを買ってきてやると妻子に言われ、よくよく考えてうちが普段全く行かないマクドナルドからビッグマックを買ってきてもらった。しかし日本のビッグマックと違いカナダのはバサバサなのである。がっくし。昔ジョニーロットンが「日本のビッグマックはなんでこんなにうまいんだ?」とインタビューで喋っていたが、これがその違いか。KFCも日本とカナダじゃ味つけも油も大違いだしなあ。カナダのケンタッキーは油と塩化ナトリウムがきつすぎて、うちの家族は誰も2本完食できないのです。
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■10/07/10(土) □ テントでお泊りパーティ
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ついに夏が来たので、夏待ちで延期していた萌のバースデイパーティを挙行する。キッズ7人を招き庭に張った3つのテントでスリープオーバーという超エキサイティングなイベントで、俺はもうここ3日、掃除と準備にかかりきりだった。朝は曇っていたが雲も切れ、気温も順調に上がってきた。水合戦用ウォーターバルーンを萌と作成しつつ、キッズの来訪を待つ。
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そしてウォーターファイトからパーティの幕開き。こういうことが心から好きなMK青年を呼んどいたので大盛り上がりの大水合戦となった。子供らが戦っている間に俺とMはバーベキューとサラダ類を準備し、テントの回りでディナーとマシュマロ焼き。パジャマに着替えて屋内に入りゲームその他。ボンバーマンは実に偉大なゲームで、初めてやったガールズでもすぐにルールがわかりバトルし盛り上がれる。
そしてケーキを食べプレゼントをもらいあとはフリーとここまでは絶好調だったのだが、このあたりから誰と誰がどのテントなのか、誰と誰は仲が悪く嫌がっているといった予定外の問題が生じてくる。萌と個々の子は当然仲がいいわけだが、ゲスト同士は必ずしもそうではないわけだ。
望みのテントに入れず泣き出すものも数名現れ、友達を全員呼んでのスリープオーバーは萌の夢だったわけだが、本人もいろいろ仲介に苦労し泣いていた。結局2名は屋内で眠り、5名がテントで眠るという玉虫色の妥協で決着した模様。そういうガールズ政治は複雑すぎて私にはわからず(男子は1名だけだったので専用テントで問題なし)、もうお母さんに任せました。彼女は先生なので、やっぱり人を叱り動かす手際が違う。俺は子供らを叱りつけていると頭の中で「トカトントン」と聞こえてきてしまい、すっと語気が抜けてしまう。カナダの子供は主張が激しいので、そういう弱腰じゃ全然動いてくれないのである。
ま、いったんテントに入ってしまえばあとはもう、どのテントもお喋りで大盛り上がりであった。うるさくて眠れん。
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■10/07/11(日) □ さよならWC2010
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萌たちテント組は2時まで庭に張ったテントでゲラゲラと高笑いを続けて寝ず、7時からまた大騒ぎを始めた。Mも俺もぐったりである。お迎えを11時としたのが間違いだった、早く迎えに来てくれキッズのペアレンツ衆(泣)。
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【WC決勝】ダッチは全員カード1枚分のフィジカルな当たりをあらかじめ戦力として勘定に入れたような泥臭い試合に持ち込み、力を尽くし手応えのある面白いゲームにしてくれた。スペインを応援してた人々はあのファウル攻撃に腹を立てただろうが、あれはファイトである。退場になったDFハイティンハなんか見た目からしてK1ファイターのような悪役顔だったが、本当にギリギリのところで守っていて感動させられた。独のようにタックルもせずスペインに自由にやらせるより、ファイトしてくれたほうが中立ファンにはずっと楽しいのである。ただ、大久保並みに守備をしていたカイトにもっと攻撃させてやりたかったな。
Mが親友であるノバスコシアのダッチ一家に電話すると息子さんが出て、「俺たちはいつもこうなんだ。もう慣れっこだよ」と吐き捨てるように言ってたそうです(笑)。ともあれ終わった。さよならWC2010。観戦お疲れ様でした。
2010/07/12
2010/07/05
日記「自分が出るワールドカップ(パラグアイ戦)」
「マラドーナ殿様」「憲剛システム時間不足」ほか。
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■10/06/27(日) □ マラドーナ殿様
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【イングランド・ドイツ】英オールスター即席チーム VS 独製高性能フットボールマシンという感じ。1人1人の名声とポテンシャルでは英が上回っても、油の回りで大差が付いている。こんなに油が回らないチームを作るカペッロに10億払ってるのかと、ひと事ながら腹が立つ。いや世界中のサッカーファンがイングランドのこの黄金世代のサッカーを楽しみにしていたのだから、純粋にひと事ではないよな。失われた楽しみを返してくれカペッロ。
2点取られたところでバカバカしくなって見るのをやめて魚の世話を始めると、セットプレイからDFが1点取る。あれだけスターがいながら点を取るのはDFのヘッドかと思い世話を続けていると、イングランドに火がついていて攻めまくり、ランパードがループでゴール、しかしリプレイではボール3個分も入ってるのに、誤審だらけのこのWCの白眉となりそうな誤審で取り消される。いくらなんでもこれほどの大きな誤審が、四半世紀前ならともかく現代のスポーツで見逃されるのはおかしいだろう。どちらにも見えるような際どい判断は主審に委ねるというのは当たり前のセンスだが、そういう範疇には収まらぬ馬鹿ばかしい誤審だった。
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続く【アルゼンチン・メキシコ】も誤審で勝負の趨勢が決まってしまい、がっくりであった。アルゼンチンは文句なく強いが、メキシコも本当にみんなうまい。こういうのを見ると、日本の力が出るようになったとはいってもこの辺とは階級が違うと感じざるを得ない。破綻なく端正にパスをつなぐダッチやイングランド相手にならいい試合ができるが、こういううまくて走る国には今でもボコボコにされそうな気がする。中南米こわし。パラグアイこわし。
マラドーナの横に有能そうな海千山千風コーチが2人寄り添い、「殿、ここはDFラインを2mほど下げてはどうかと」と囁き、マラドーナがバカ殿風に「ん? ああ、よきにはからえ」と答えているシーンがカメラで捉えられていた。素晴らしいカメラワークというか、マラドーナ専用カメラがあるんだよな、当然。最高。最後までずっと見ていたいチームだ。
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今日オランダと背中に大書されたお父さんにおめでとうと声をかけ、「僕は日本人なんだよ」と続けると、「お前たちは明日だろ? グッドラック」とうれしいことをいってくれた。ここがグループリーグとは違う。ノックアウトラウンドになれば、他国の人々でもその出番を知っていてくれるのである。
いよいよ明日。パラグアイがウルグアイ程度だったら完璧に勝負になるが、もっと強かったらどうしようとハラハラしてしまう。どうも南米勤勉チームには押し込まれるイメージが......。中盤のプレスに負けてポゼッションが落ちると疲労してキツイなあとか、ハラハラしとります。
パラグアイに勝てるという根拠を読んでから寝たいのだけれど(カナダでの放送は明日早朝)、Twitterなどをサーチしてみてもこれといったつぶやきは見つからず。まあ仕方がない、寝ます。
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■10/06/29(火) □ 憲剛システム時間不足
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【日本・パラグアイ】朝6時、スタメン発表。4試合連続同一、サプライズはなし。まあ「ここでサプライズをやるとトルシエになる」という話もあるしな。
日本を常に格下に見るカナダCBCは、今回も当然パラグアイ優勢というムードで伝えている。ここまで3試合中2試合で予想を外しているのだよ君たちは。カメルーン戦はまあ俺も相手が悪すぎたというマグレ要素が強いと認めるが、デンマーク戦は完勝だったではないか。
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【試合開始】最初のタッチでいきなり大久保が打つ。よし。いいぞ。プレスで押し込まれるイメージがあったのだが、パラグアイは割合キープ力が低く日本のプレスの方が効いている。やっぱり相手はアルゼンチンではないのだ。これまで通りに戦えば勝てる。本田のトップでのボールの受け方がうまくなっており、大久保と2人で攻撃への足がかりになっている。
15分、パラグアイの保持時間が長いが向こうも技術がないので危険な攻撃にはならず、デッドなゲームが続く。日本はボールを持てばどんどん前へ進んでいるので、デッドなのは後ろでばかり回し仕掛けてこない(仕掛けるためのパス精度が足りない)パラグアイのせいである。
20分、ゴール前のゴチャゴチャからスルーを流し込まれ、川島が止める。ふー。あれくらいはまだ大丈夫。力で崩されたわけではない。続いて松井のミドルがクロスバー直撃。よし。向こうは事故だがこっちは攻めている。これは日本の方が強い。
27分、パラグアイも攻めてきた。CK時にわざと3人が団子になり密集を作ったりして、くんずほぐれずからフィジカルで押し込むといった事故をやはり狙っている。セコイ感じである。ボールを奪い返しキープせねばそのセコさを打ち破れない。頑張れ。このボールキープできなさはやっぱり相手の老練なプレスに今のところ絡め取られてるんだろうが、ボールを持てば日本は上がっているので、選手はさほど怖さを感じてないのだとは思うが。
35分、本田がボールを引き出しFKを取る。本田の1トッププレイは素晴らしいレベルになっている。走っている場所もキープする強さも文句ない。すごい成長だな。いいプレイをしてもPKエリアははるか前方なのでシュートには持ち込めないが、それは1トップシステム自体の問題だ。FKはファーへ走った闘莉王へわずかに届かず。しかしよいプレーだった。
38分、闘莉王が慎重に様子を見つつも攻撃に上がっている。パラグアイの攻撃は怖くはないのだ。松井のドリブルから本田のシュート、枠を切る! あれを入れてたらワールドクラスだったな。
前半終了。イタリーが攻め切れなかったチームゆえ守備が堅いのは分かっていたが、別にプレスがハードなわけでもなく、攻撃力は想像以上にない。退屈なゲームだがペースを落としているのはボールを持ってる相手の方で、ガンガン打ち合う自信はないのだろう。競り合いからこぼれ球をフィジカルで押し込むといった得点が狙いだろうが、今の日本はジーコ時代と違ってブロック・アタック・カバーがソリッドに作動し、事故に非常に強い。
日本は持ったら後ろ髪引かれずに攻め切る意識が高く、そしてゴールの近くまでは行けないがフィニッシュまではかなりの率で行けている。これは行ける。勝てる。間違いない。顔がにやけてくる。気分が盛り上がり日本のワールドカップ狂マザーに電話。精神安定剤を飲んで見てるそうです(笑)。これは勝てるよ、心配ない。
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【後半】48分、阿部がカットからドリブルで上がるが、いいところまで行ったところでアイデアが浮かばずつぶされる。阿部ってほんとに攻撃では消極的な選手である。直後にパラグアイが1・2でPA内に入り込むも、シュートは打てず。あそこで神のような足技がない国で助かった。ようやくサッカーらしくなってきた。
52分、双方ちょっとペースが落ちたかな。日本の脚がちょっと止まってきた感がある。松井や駒野のドリブルで前に運ぼうと努力するが、簡単に止められてしまう。松井のクライフターンでハーフチャンスが生まれ長友のシュート。長友が攻撃に上がれるくらい双方ペースの遅い、ゆるいゲームになってきた。90分で勝負をかけるなら早めのサブ投入だろうが、岡田監督はやらんだろうなー。
55分、カウンターを食らい左からフリーのベニテスに打たれ中澤がブロック。あれはいかん。駒野は攻撃ではるか前方に上がっていた。何をやってるんだ。57分またもカウンターで駒野が裏を取られる。うーむ。おかしい。日本の脚が止まってるのだろうか。しかしこれだけ右サイドを破られても駒野はまだ上がって空振り気味のシュートを打っている。駒野は走力があるのでいいところでボールを受けやすく、アジアカップでもまるでプレーメーカーのようにたくさんボールに触っていたが、肝心のクロスが下手なのであまりいい攻撃につながることはないんだよな。むしろ彼は後ろをがっちり守り、長友を前に上げてもらいたい。なにかちぐはぐな感じがする。デンマーク戦のように、こういうモヤモヤな時間にセットプレイで点を取ってくれると助かるのだが。
67分、完全に膠着。両者何も起こせない状態となってしまった。日パラのサポーターも座ってしまっている。負けているわけではないがこれはトルコ戦と同じだ。なにかを変えなければ負ける。サブを入れてくれ。―――岡崎が入る。走れオカザキ! 本田のスルーを岡崎が打ちブロックされる。お前はそうしてコツコツ裏を狙うしかない。
80分、ついに憲剛投入!! 遅いよ監督。阿部に替えて。するとアンカーをやめ前を増やすのか。入るとすぐに前線で激しくボールを追う憲剛。AMFだ。よし!
闘莉王が憲剛にいいクサビを出し、左の長友に流しクロスというきれいな攻撃がさっそく出る。これだ。前に元気な奴がいると攻撃力が蘇る。あと8分、攻め切れるか延長か。クロスに飛び込んだ勇気ある大久保が痛むも立ち上がる。
憲剛がヘッドでまたPKエリアの大久保に送る。フォーメーションが変わり大久保はこの時間攻撃に専念しているのかもしれない。いいぞ。87分憲剛ドリブル突破、キレている! これは憲剛が試合を決めて、「実はこれまでプロフェッサー岡田が秘密兵器を隠していたのだ」みたいな結果オーライ低能報道になると見た。しかし時間がない。岡田監督はいつも打つ手が遅い。
そして時間はやはり足りず延長へ。最後は相手の脚が止まっていた。もう1人攻撃手を使える。森本を使いケリをつけるのだ。ここでストライカーに勝負させなくてどうするのだ。
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【延長】冒頭から大久保がクレバーなプレイでボールを運び、憲剛がミドル、コーナーを取る。実にいい速攻。森本を見たいが大久保もまだキレキレで下げるのはもったいない。難しい。岡崎のヘッドがミートせず枠を外れる。しかしいいぞ、サブが活気を生んでいる。カウンターからバルデスがキープ、シュートにはならず。サンタクルスに替わりカルドーソ。エースを下げたと思ったらベンフィカのFWとは、地味なチームだがやはりWCは豪華である。
7分、スルーをバルデスがうまくコントロールしスライディングシュート、川島がブロック。川島は試合を重ねるにつれどんどん落ち着き、今日は当たっているし完全に冷静だ。オランダ戦のあれがあったし、ここまでの3試合どこか挙動に危なっかしい雰囲気があったのだが、壁を乗り越えたのだろう。DFも落ち着いて常にシュートコースを切っており、この素晴らしい日本守備陣が点を取られる気がしない。俺の一番古いサッカー観戦記憶にあるWC90のアルゼンチンや94のイタリーを思い出させてくれる。攻撃されることが楽しいぜ。長友が張り切っていた割に相手FWとの1対1がほとんどなく目立たないのは、この組織守備ゆえだろう。
ロングボールとフィジカルでポゼッションを取られ、せっかくフレッシュな憲剛がボールを触れない時間がじりじりと続く。どうにか奪って憲剛にボールを持たせてくれと願うも、何も起こらず延長前半終了。玉田が用意される。ボールに触れば天才だが年に一度くらいしか枠に行くシュートを打てない玉田よりは、ここまでゼロトップで何も起こせていないのだから、シュートが本職の森本をPKエリアで勝負させてほしかった。岡崎を左、本田を右に置けば森本をトップに置けるではないか。
【延長後半】ときおりボールを持っても、日本は相手のプレスと疲れからかほとんどつなげなくなっている。4分、ようやくゴールキックから憲剛→長友→玉田→岡崎でハーフチャンスができる。長友はPKエリア付近で倒れる動きがあまりに軽く顔演技が際立ち、CBCのアナウンサーにさえファウルだと信じてもらえずにいる。もっとこらえてから転ばないと説得力がない。しかしやはり憲剛が持てば攻撃のスイッチが入る。ああして速い攻撃をすれば相手もしんどいはずなのだが、ピッチ全体ほぼ全員の脚が止まった膠着状態では、ボールも人も十分に動かずつなげないのかな。
11分、本田ポスト→玉田がかっさらいラン→こぼれ球が岡崎→玉田にスルー→憲剛に折り返して通らず。くー。惜しい。サブ組はまだこうして脚力は残っているのだが、精度と頻度が......。そしてそれが最後のアタックであった。
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ふー。仕方がない。よく1点も取られず頑張った。もう1回やれば憲剛をもっと早く投入しきっと勝てるけど、でもトルコ戦みたいなやり残し感はない。負けたのはお前のせいではない、泣くな駒野。
この試合だけじゃなく4試合で持てるものは出し尽くし、出せなかったもの(大久保玉田の華麗なドリブルシュートとかとんとん)はたぶんポケットの中にもなかったのだというやり尽くし感が強く、思ったほど敗戦にはがっくりきていない。しかしここで先に進めれば次で憲剛をフル出場させることができたのにと思うと、強烈な悔しさが湧いてくる。憲剛が入りあれほど躍動した攻撃陣を見れば、あれをチームがもっとフレッシュな状態でぶつけていたらどうだったのだろうと思わずにいられない。3点のマージンがあったデンマーク戦後半で憲剛森本らの攻撃テストは十分に可能だったのに、試されないまま終わってしまった。ここで負けてもあきらめはつくけれど、内田や森本や稲本や今野を見たかった。
「日本が守備的すぎて退屈だった」みたいな世界や日本の論調を見るとしかし、違うだろと悔しく思う。長時間ボールを持てたパラグアイにアイデアと技術と勇気が足りず仕掛けてこないから膠着し退屈な試合になったわけで、日本はボールを持ったら奪われるかフィニッシュするまで必ず攻めていたではないか(まあ奪われちゃだめなんだけど)。勇気が足りなかったとオシムも(むろん好意から)述べているけれど、このチームはアジアカップでのオシムジャパンよりずっと攻撃的だったよ。4戦を通してサブを十分に活用しなかった岡田監督はコンサバティブだったけれど、ピッチの選手はみんな本当に攻めていた。
岡田監督は最後の4週間だけ水際立った仕事をし、この守備陣を作り完璧な心身のコンディションと戦闘態勢を整えたのは偉業としか言いようがないが、観念に縛られ2年半をトータリィ無駄にしネガティブな気持ちをサッカーファンに与え続け、WCでサブを使えるところまでチーム戦術を練り上げられなかったことには今でも納得がいかない。予選通過後にこの守備を作り攻撃を積み上げていけば、パラグアイに負けることはなかっただろう。
これより強い日本代表も今後きっと生まれてくると思うが、初戦の相手が絶不調で、最強国のエースが怪我で不在、2番手のチームは年寄りで脚力なし、そしてベスト16でパラグアイのように弱い相手に当たるなんて、こんな神風吹きまくりのWCは今後なかなかないだろうと思う。パラグアイがベスト16で日本ほど弱い相手に当たるにも数十年かかったわけだしな。はあ。
まあだがしかし、上に進むことよりも俺たち日本人サッカーファンは、とにかく日本の総力を合理的に振り絞る戦いが見たかったわけであり、それは果たされたのだ。お疲れ様でした。楽しかった。
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■10/06/30(水) □ 自分が出るワールドカップ
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1日経って、いろんな人が日本代表のWCを総括してくれている。リアルタイムではわからなかったことが見えてきて、ネット時代はありがたいとしみじみと思う。紙メディア時代は競馬でどれほど素晴らしいレースがあっても、その感動を翌日文章で味わえるのは高橋源一郎の新聞コラムくらいだったもんな。
戦術解説はいつも納得の後藤さん。カナダの放送でもこういう解説がリアルタイムで出てくるとうれしいのだが。
俺の気持ちはこれらの人たちに近い。このパラグアイから点が取れないのだから、たとえPK戦で勝っても次にはもっと何もできないと思うと、負けてもどよーんという気持ちにはならなかったのである。むろん最後のPKまで勝ちを祈っていたが。そしてエルゲラさんとは違い俺は、遠藤の代わりに憲剛が入るチームをぜひ見てみたかったが。
試合中は見ている方も実にいろいろなことを考える。俺はそれをノートに書き留め、同時に見ている友人にテキストで送り、Twitter に貼りつけつつ見ているわけである。代表チームのサッカーが楽しいのはそれが完全に自分のチームであって、出ているメンバーもサブのメンバーもほぼみな知っていることにある。ここで誰を出してくれよ、そいつじゃないだろう、あいつを連れてきていたらな、日本には誰みたいな選手がいない、このフォーメーションじゃ駄目だといくらでも考えが進む。これはCLなどを見ていても出てこない、WCに自国代表を送り込めた国民だけの楽しみなのである。この大会はまことに、自分が出るワールドカップだった。楽しかった。
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■10/06/27(日) □ マラドーナ殿様
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【イングランド・ドイツ】英オールスター即席チーム VS 独製高性能フットボールマシンという感じ。1人1人の名声とポテンシャルでは英が上回っても、油の回りで大差が付いている。こんなに油が回らないチームを作るカペッロに10億払ってるのかと、ひと事ながら腹が立つ。いや世界中のサッカーファンがイングランドのこの黄金世代のサッカーを楽しみにしていたのだから、純粋にひと事ではないよな。失われた楽しみを返してくれカペッロ。
2点取られたところでバカバカしくなって見るのをやめて魚の世話を始めると、セットプレイからDFが1点取る。あれだけスターがいながら点を取るのはDFのヘッドかと思い世話を続けていると、イングランドに火がついていて攻めまくり、ランパードがループでゴール、しかしリプレイではボール3個分も入ってるのに、誤審だらけのこのWCの白眉となりそうな誤審で取り消される。いくらなんでもこれほどの大きな誤審が、四半世紀前ならともかく現代のスポーツで見逃されるのはおかしいだろう。どちらにも見えるような際どい判断は主審に委ねるというのは当たり前のセンスだが、そういう範疇には収まらぬ馬鹿ばかしい誤審だった。
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続く【アルゼンチン・メキシコ】も誤審で勝負の趨勢が決まってしまい、がっくりであった。アルゼンチンは文句なく強いが、メキシコも本当にみんなうまい。こういうのを見ると、日本の力が出るようになったとはいってもこの辺とは階級が違うと感じざるを得ない。破綻なく端正にパスをつなぐダッチやイングランド相手にならいい試合ができるが、こういううまくて走る国には今でもボコボコにされそうな気がする。中南米こわし。パラグアイこわし。
マラドーナの横に有能そうな海千山千風コーチが2人寄り添い、「殿、ここはDFラインを2mほど下げてはどうかと」と囁き、マラドーナがバカ殿風に「ん? ああ、よきにはからえ」と答えているシーンがカメラで捉えられていた。素晴らしいカメラワークというか、マラドーナ専用カメラがあるんだよな、当然。最高。最後までずっと見ていたいチームだ。
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今日オランダと背中に大書されたお父さんにおめでとうと声をかけ、「僕は日本人なんだよ」と続けると、「お前たちは明日だろ? グッドラック」とうれしいことをいってくれた。ここがグループリーグとは違う。ノックアウトラウンドになれば、他国の人々でもその出番を知っていてくれるのである。
いよいよ明日。パラグアイがウルグアイ程度だったら完璧に勝負になるが、もっと強かったらどうしようとハラハラしてしまう。どうも南米勤勉チームには押し込まれるイメージが......。中盤のプレスに負けてポゼッションが落ちると疲労してキツイなあとか、ハラハラしとります。
パラグアイに勝てるという根拠を読んでから寝たいのだけれど(カナダでの放送は明日早朝)、Twitterなどをサーチしてみてもこれといったつぶやきは見つからず。まあ仕方がない、寝ます。
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■10/06/29(火) □ 憲剛システム時間不足
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【日本・パラグアイ】朝6時、スタメン発表。4試合連続同一、サプライズはなし。まあ「ここでサプライズをやるとトルシエになる」という話もあるしな。
日本を常に格下に見るカナダCBCは、今回も当然パラグアイ優勢というムードで伝えている。ここまで3試合中2試合で予想を外しているのだよ君たちは。カメルーン戦はまあ俺も相手が悪すぎたというマグレ要素が強いと認めるが、デンマーク戦は完勝だったではないか。
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【試合開始】最初のタッチでいきなり大久保が打つ。よし。いいぞ。プレスで押し込まれるイメージがあったのだが、パラグアイは割合キープ力が低く日本のプレスの方が効いている。やっぱり相手はアルゼンチンではないのだ。これまで通りに戦えば勝てる。本田のトップでのボールの受け方がうまくなっており、大久保と2人で攻撃への足がかりになっている。
15分、パラグアイの保持時間が長いが向こうも技術がないので危険な攻撃にはならず、デッドなゲームが続く。日本はボールを持てばどんどん前へ進んでいるので、デッドなのは後ろでばかり回し仕掛けてこない(仕掛けるためのパス精度が足りない)パラグアイのせいである。
20分、ゴール前のゴチャゴチャからスルーを流し込まれ、川島が止める。ふー。あれくらいはまだ大丈夫。力で崩されたわけではない。続いて松井のミドルがクロスバー直撃。よし。向こうは事故だがこっちは攻めている。これは日本の方が強い。
27分、パラグアイも攻めてきた。CK時にわざと3人が団子になり密集を作ったりして、くんずほぐれずからフィジカルで押し込むといった事故をやはり狙っている。セコイ感じである。ボールを奪い返しキープせねばそのセコさを打ち破れない。頑張れ。このボールキープできなさはやっぱり相手の老練なプレスに今のところ絡め取られてるんだろうが、ボールを持てば日本は上がっているので、選手はさほど怖さを感じてないのだとは思うが。
35分、本田がボールを引き出しFKを取る。本田の1トッププレイは素晴らしいレベルになっている。走っている場所もキープする強さも文句ない。すごい成長だな。いいプレイをしてもPKエリアははるか前方なのでシュートには持ち込めないが、それは1トップシステム自体の問題だ。FKはファーへ走った闘莉王へわずかに届かず。しかしよいプレーだった。
38分、闘莉王が慎重に様子を見つつも攻撃に上がっている。パラグアイの攻撃は怖くはないのだ。松井のドリブルから本田のシュート、枠を切る! あれを入れてたらワールドクラスだったな。
前半終了。イタリーが攻め切れなかったチームゆえ守備が堅いのは分かっていたが、別にプレスがハードなわけでもなく、攻撃力は想像以上にない。退屈なゲームだがペースを落としているのはボールを持ってる相手の方で、ガンガン打ち合う自信はないのだろう。競り合いからこぼれ球をフィジカルで押し込むといった得点が狙いだろうが、今の日本はジーコ時代と違ってブロック・アタック・カバーがソリッドに作動し、事故に非常に強い。
日本は持ったら後ろ髪引かれずに攻め切る意識が高く、そしてゴールの近くまでは行けないがフィニッシュまではかなりの率で行けている。これは行ける。勝てる。間違いない。顔がにやけてくる。気分が盛り上がり日本のワールドカップ狂マザーに電話。精神安定剤を飲んで見てるそうです(笑)。これは勝てるよ、心配ない。
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【後半】48分、阿部がカットからドリブルで上がるが、いいところまで行ったところでアイデアが浮かばずつぶされる。阿部ってほんとに攻撃では消極的な選手である。直後にパラグアイが1・2でPA内に入り込むも、シュートは打てず。あそこで神のような足技がない国で助かった。ようやくサッカーらしくなってきた。
52分、双方ちょっとペースが落ちたかな。日本の脚がちょっと止まってきた感がある。松井や駒野のドリブルで前に運ぼうと努力するが、簡単に止められてしまう。松井のクライフターンでハーフチャンスが生まれ長友のシュート。長友が攻撃に上がれるくらい双方ペースの遅い、ゆるいゲームになってきた。90分で勝負をかけるなら早めのサブ投入だろうが、岡田監督はやらんだろうなー。
55分、カウンターを食らい左からフリーのベニテスに打たれ中澤がブロック。あれはいかん。駒野は攻撃ではるか前方に上がっていた。何をやってるんだ。57分またもカウンターで駒野が裏を取られる。うーむ。おかしい。日本の脚が止まってるのだろうか。しかしこれだけ右サイドを破られても駒野はまだ上がって空振り気味のシュートを打っている。駒野は走力があるのでいいところでボールを受けやすく、アジアカップでもまるでプレーメーカーのようにたくさんボールに触っていたが、肝心のクロスが下手なのであまりいい攻撃につながることはないんだよな。むしろ彼は後ろをがっちり守り、長友を前に上げてもらいたい。なにかちぐはぐな感じがする。デンマーク戦のように、こういうモヤモヤな時間にセットプレイで点を取ってくれると助かるのだが。
67分、完全に膠着。両者何も起こせない状態となってしまった。日パラのサポーターも座ってしまっている。負けているわけではないがこれはトルコ戦と同じだ。なにかを変えなければ負ける。サブを入れてくれ。―――岡崎が入る。走れオカザキ! 本田のスルーを岡崎が打ちブロックされる。お前はそうしてコツコツ裏を狙うしかない。
80分、ついに憲剛投入!! 遅いよ監督。阿部に替えて。するとアンカーをやめ前を増やすのか。入るとすぐに前線で激しくボールを追う憲剛。AMFだ。よし!
闘莉王が憲剛にいいクサビを出し、左の長友に流しクロスというきれいな攻撃がさっそく出る。これだ。前に元気な奴がいると攻撃力が蘇る。あと8分、攻め切れるか延長か。クロスに飛び込んだ勇気ある大久保が痛むも立ち上がる。
憲剛がヘッドでまたPKエリアの大久保に送る。フォーメーションが変わり大久保はこの時間攻撃に専念しているのかもしれない。いいぞ。87分憲剛ドリブル突破、キレている! これは憲剛が試合を決めて、「実はこれまでプロフェッサー岡田が秘密兵器を隠していたのだ」みたいな結果オーライ低能報道になると見た。しかし時間がない。岡田監督はいつも打つ手が遅い。
そして時間はやはり足りず延長へ。最後は相手の脚が止まっていた。もう1人攻撃手を使える。森本を使いケリをつけるのだ。ここでストライカーに勝負させなくてどうするのだ。
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【延長】冒頭から大久保がクレバーなプレイでボールを運び、憲剛がミドル、コーナーを取る。実にいい速攻。森本を見たいが大久保もまだキレキレで下げるのはもったいない。難しい。岡崎のヘッドがミートせず枠を外れる。しかしいいぞ、サブが活気を生んでいる。カウンターからバルデスがキープ、シュートにはならず。サンタクルスに替わりカルドーソ。エースを下げたと思ったらベンフィカのFWとは、地味なチームだがやはりWCは豪華である。
7分、スルーをバルデスがうまくコントロールしスライディングシュート、川島がブロック。川島は試合を重ねるにつれどんどん落ち着き、今日は当たっているし完全に冷静だ。オランダ戦のあれがあったし、ここまでの3試合どこか挙動に危なっかしい雰囲気があったのだが、壁を乗り越えたのだろう。DFも落ち着いて常にシュートコースを切っており、この素晴らしい日本守備陣が点を取られる気がしない。俺の一番古いサッカー観戦記憶にあるWC90のアルゼンチンや94のイタリーを思い出させてくれる。攻撃されることが楽しいぜ。長友が張り切っていた割に相手FWとの1対1がほとんどなく目立たないのは、この組織守備ゆえだろう。
ロングボールとフィジカルでポゼッションを取られ、せっかくフレッシュな憲剛がボールを触れない時間がじりじりと続く。どうにか奪って憲剛にボールを持たせてくれと願うも、何も起こらず延長前半終了。玉田が用意される。ボールに触れば天才だが年に一度くらいしか枠に行くシュートを打てない玉田よりは、ここまでゼロトップで何も起こせていないのだから、シュートが本職の森本をPKエリアで勝負させてほしかった。岡崎を左、本田を右に置けば森本をトップに置けるではないか。
【延長後半】ときおりボールを持っても、日本は相手のプレスと疲れからかほとんどつなげなくなっている。4分、ようやくゴールキックから憲剛→長友→玉田→岡崎でハーフチャンスができる。長友はPKエリア付近で倒れる動きがあまりに軽く顔演技が際立ち、CBCのアナウンサーにさえファウルだと信じてもらえずにいる。もっとこらえてから転ばないと説得力がない。しかしやはり憲剛が持てば攻撃のスイッチが入る。ああして速い攻撃をすれば相手もしんどいはずなのだが、ピッチ全体ほぼ全員の脚が止まった膠着状態では、ボールも人も十分に動かずつなげないのかな。
11分、本田ポスト→玉田がかっさらいラン→こぼれ球が岡崎→玉田にスルー→憲剛に折り返して通らず。くー。惜しい。サブ組はまだこうして脚力は残っているのだが、精度と頻度が......。そしてそれが最後のアタックであった。
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ふー。仕方がない。よく1点も取られず頑張った。もう1回やれば憲剛をもっと早く投入しきっと勝てるけど、でもトルコ戦みたいなやり残し感はない。負けたのはお前のせいではない、泣くな駒野。
この試合だけじゃなく4試合で持てるものは出し尽くし、出せなかったもの(大久保玉田の華麗なドリブルシュートとかとんとん)はたぶんポケットの中にもなかったのだというやり尽くし感が強く、思ったほど敗戦にはがっくりきていない。しかしここで先に進めれば次で憲剛をフル出場させることができたのにと思うと、強烈な悔しさが湧いてくる。憲剛が入りあれほど躍動した攻撃陣を見れば、あれをチームがもっとフレッシュな状態でぶつけていたらどうだったのだろうと思わずにいられない。3点のマージンがあったデンマーク戦後半で憲剛森本らの攻撃テストは十分に可能だったのに、試されないまま終わってしまった。ここで負けてもあきらめはつくけれど、内田や森本や稲本や今野を見たかった。
「日本が守備的すぎて退屈だった」みたいな世界や日本の論調を見るとしかし、違うだろと悔しく思う。長時間ボールを持てたパラグアイにアイデアと技術と勇気が足りず仕掛けてこないから膠着し退屈な試合になったわけで、日本はボールを持ったら奪われるかフィニッシュするまで必ず攻めていたではないか(まあ奪われちゃだめなんだけど)。勇気が足りなかったとオシムも(むろん好意から)述べているけれど、このチームはアジアカップでのオシムジャパンよりずっと攻撃的だったよ。4戦を通してサブを十分に活用しなかった岡田監督はコンサバティブだったけれど、ピッチの選手はみんな本当に攻めていた。
岡田監督は最後の4週間だけ水際立った仕事をし、この守備陣を作り完璧な心身のコンディションと戦闘態勢を整えたのは偉業としか言いようがないが、観念に縛られ2年半をトータリィ無駄にしネガティブな気持ちをサッカーファンに与え続け、WCでサブを使えるところまでチーム戦術を練り上げられなかったことには今でも納得がいかない。予選通過後にこの守備を作り攻撃を積み上げていけば、パラグアイに負けることはなかっただろう。
これより強い日本代表も今後きっと生まれてくると思うが、初戦の相手が絶不調で、最強国のエースが怪我で不在、2番手のチームは年寄りで脚力なし、そしてベスト16でパラグアイのように弱い相手に当たるなんて、こんな神風吹きまくりのWCは今後なかなかないだろうと思う。パラグアイがベスト16で日本ほど弱い相手に当たるにも数十年かかったわけだしな。はあ。
まあだがしかし、上に進むことよりも俺たち日本人サッカーファンは、とにかく日本の総力を合理的に振り絞る戦いが見たかったわけであり、それは果たされたのだ。お疲れ様でした。楽しかった。
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■10/06/30(水) □ 自分が出るワールドカップ
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1日経って、いろんな人が日本代表のWCを総括してくれている。リアルタイムではわからなかったことが見えてきて、ネット時代はありがたいとしみじみと思う。紙メディア時代は競馬でどれほど素晴らしいレースがあっても、その感動を翌日文章で味わえるのは高橋源一郎の新聞コラムくらいだったもんな。
特筆すべきは、パラグアイというハードな相手と戦った日本代表が、激しいぶつかり合いにも一歩も引かず、逃げることなく対等に闘い続けたことだ。グループステージのカMーン戦では、うまく90分をマネージメントして無駄な動きをしない戦い方で勝点3をゲット。オランダ戦でも、先制ゴールを決められた後、攻めに行きながらも守りもきちんとケアして、失点を1にとどめるクレバーな戦いを繰り広げた。そして、世界のサッカー界の中でもハードなプレーで知られるパラグアイとも互角の「どつき合い」を演じたのだ。
(「日本代表のサッカーはアンチフットボールなのか?」後藤健生)
しかしW杯における日本は、ある程度パスがぶれても、ボールの受け手が「よっこらどっこいしょ」とボールを持ち直し、そこからまた攻撃の起点を作ることもできた。目指していた精巧さは落ちたかもしれない。せわしなさはまだ見受けられる。それでもようやく日本にも“サッカーの間合い”が生まれつつあるんじゃないかと思った。
(「日本に生まれつつある“サッカーの間合い”」中田徹)
戦術解説はいつも納得の後藤さん。カナダの放送でもこういう解説がリアルタイムで出てくるとうれしいのだが。
できた中華料理も一応の体裁を整えていたが、守備面だけだった。アンカーに阿部を入れたのはいいが、攻撃に関してはフリーハンド。この戦術においてはシステマティックなカウンターが重要な武器だと思うのだが、結局それを練習する閑がなく、本田の素敵個人技に全てをゆだねることになってしまった。それでもなんとかしていた本田はすごいのだが。(「4年に1度見る夢」picture of player)
PK戦で次に進めないことが決まった直後、本当に悔しさを感じなかった。勝てるチャンスもあったのにチャンスを逃してしまったと感じていたけれど、それでも悔しさは感じなかった。なんだか、このチームの限界が垣間見えていた気がして。長友など選手が出場停止になって勝ち進んだ場合、別の選手が出てきて穴を埋めてくれるとは思いますが、それはあくまでスクランブル状態でチームの幅と言える総合力ではないのではないかと感じてしまう。(「サッカーのある幸せ」エルゲラ)
俺の気持ちはこれらの人たちに近い。このパラグアイから点が取れないのだから、たとえPK戦で勝っても次にはもっと何もできないと思うと、負けてもどよーんという気持ちにはならなかったのである。むろん最後のPKまで勝ちを祈っていたが。そしてエルゲラさんとは違い俺は、遠藤の代わりに憲剛が入るチームをぜひ見てみたかったが。
試合中は見ている方も実にいろいろなことを考える。俺はそれをノートに書き留め、同時に見ている友人にテキストで送り、Twitter に貼りつけつつ見ているわけである。代表チームのサッカーが楽しいのはそれが完全に自分のチームであって、出ているメンバーもサブのメンバーもほぼみな知っていることにある。ここで誰を出してくれよ、そいつじゃないだろう、あいつを連れてきていたらな、日本には誰みたいな選手がいない、このフォーメーションじゃ駄目だといくらでも考えが進む。これはCLなどを見ていても出てこない、WCに自国代表を送り込めた国民だけの楽しみなのである。この大会はまことに、自分が出るワールドカップだった。楽しかった。
2010/06/28
日記「日本が手に入れたもの(デンマーク戦)」
「北朝鮮の不思議」「カナダの教組」「あとは俺たちに任せておけ」ほか。
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■10/06/21(月) □ 北朝鮮の不思議
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【ポルトガル・北朝鮮】北朝鮮はブラジル戦よりもさらによく戦っている。月給数百円という選手がポルトガルとフェアに戦い、ドタバタとフェイントを繰り返す不調ロナウドからきれいにボールを奪うのを見ると感動してしまう。今はアフリカのチームも高給スター揃いになり、「食べるものもロクロクないだろうにサッカーはこんなにうまいのか」みたいなWC素朴感動はなくなっているわけだが、北朝鮮だけはまだその状況が続いてるわけだからな。プロリーグもお金も有名コーチももちろん海外経験もなくても、こんなにいいサッカーができるという北朝鮮の不思議。
チョンテセのポストのうまさは驚異的で、ポルトガル相手だと体格が同等なのでスポスポ止めて散らすことができる。ほんと奴が日本人だったらと思うが、しかしそうだったら北朝鮮のこの小気味よく感動的なサッカーはここで見れなかったのだよな。だから彼は正しい選択をしたのだ。彼は海外移籍を目指し英語・ポルトガル語を習っているらしいが、北朝鮮籍の選手が欧州でプレイすることはできるのだろうか。ストライカーとしての能力的には高原全盛期に並び、それを海外でいかんなく発揮できそうな精神的タフさを強く感じる。
テセだけではなく北朝鮮全体が世界の驚きである。こんなにいいチームだったとは、アジア予選西ブロックの国々以外誰も知らなかっただろう(日本のネットも報道はゼロだったし)。雨で滑りやすそうなのにボディバランスがよく、チーム全体がボールカットがうまく(読みと寄せと勇敢さ)、奪ったあとのつなぎが的確で早く、連携がシンプルで共通意識が高いので攻撃がきちんとシュートまで行く。岡田監督が目指していて崩壊したショートパスサッカーは、こんな感じだったんじゃないのかな。
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後半北朝鮮の脚が止まり、立て続けにDFが裏を取られ大量失点。このチームはそのスプリント能力ほど持久力はないのだろう。前半にすべての力を注ぎすぎたのか。日本もオランダに前半から五分の戦いに持ち込めば、こうして後半崩壊したのかもしれない。岡田監督が敵の倍走るというプランを捨て、ブロックで守り余力を攻撃に使うという合理的な戦術に落ち着いてくれて助かったと思いながら、悲しき北朝鮮の後半を俺は見ていた。
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■10/06/25(水) □ カナダの教組
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明日は萌の学校今年最後の全校集会で、萌のクラスは何かクラス発表をやるのかと尋ねると、こないだの集会でやったよと言われた。―――だったらやるって知らせてくれよ、担任はそういうことを絶対に連絡してくれないんだからさと言うと、「私だってその日まで知らなかったもん!」と萌も声を荒げる。そうだったのか。
この担任はだいたい、週に1度以上は欠勤している。この連絡の悪さ、生徒への周知の悪さも欠勤がらみかもしれない。今年は3回ほどあったクラス発表をついに一度も見ることなく終わってしまった。これじゃ親として悲しすぎる。
この教育も勤務も連絡すらもまともにできない担任が来年も学校に残るのか、萌の受け持ちとなる可能性はあるのかとMが校長に尋ねに行くと、校長はこの担任の不出来を「認識している、来年はより深く目を配る」というフラットな態度しか見せなかったという。つまり来年も彼は残るのだ。
Mによれば、日本でもそうなのだろうがカナダも教員ユニオンが強く、教師の雇用は絶対的にプロテクトされているのだとのこと。駄目な教師は次々とたらい回しにされるが、なにか過失でもなければクビはないらしい。子供たちやペアレンツの充実したスクールライフよりも、教師の雇用のほうが大事なわけである。生徒よりも自分の私生活の方が大事だとバレバレな教師も多いしな。この校長も明らかに知性と教育とヒューマンリレーション能力は低いが、そういうユニオンシステムの中でタフさと鉄面皮でのし上がってきたんだろう。
Mは転校の可能性を真剣に探っている。馬鹿な教師のせいで子供が悲しい思いをさせられるというのは、耐えがたいことだ。
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■10/06/24(木) □ 日本が手に入れたもの
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【日本・デンマーク】スタメン発表、完全に同じ。テストできないまま本番に突入している以上、力尽き敗退するまで岡田監督は何も変えられないんだろうな。オランダ戦に続きその部分に興醒めの気持ちはあるが、試合がプラン通りに進み、サブが多く見られることを期待しよう。
序盤意外なほどデンマークにボールを回される。何も起こらないのでスタジアムに小さなブーイングが起きる。これはオランダ戦と同じ展開ではあるが、相対的な力量差の小ささからもっと日本が持てるだろうと思っていたが。サイドのチェックが甘くクロスも簡単に入れられてしまうし、あまりいい感じではない出だしだ。遠藤に遅延で無駄カード。
大久保のフィードに松井が飛び込みタッチ、惜しい。よしよし、こうしてスイッチを入れていこうぜ。―――松井のスルーに長谷部がシュート。惜しい! 長谷部が飛び出すというのは初めてで、チームの連動性の高まりを感じる。よしよし。しかしまたもサイドを破られノーマークでシュートを打たれる。駒野はなにをやってるんだ? 位置がおかしいだろう。この守備がおかしいのだけが気がかりである。マークがはずれすぎる。なにが問題なのか素人にはリアルタイムではわからない(※)。
ホンダ決めたFKゴラッソ! キーパーの指先1cm、完璧。2戦目はあまり感心しなかったホンダだったが、奴にはこれがあった。これで日本の動きがさらに良くなる。どんどん行こう。
遠藤がFK。FKはいいけど、すぐ蹴らないとまた遅延イエローが怖い。―――えんどお! 完璧。俊輔は必要ありませんの2発目。ドイツで出番が来なかった憂さを晴らしたようないい笑顔だ。
ボールを持てばほぼ確実にフィニッシュまで持ち込めるという流れで、守備の不安定さ以外は想像した通りの試合となり前半終了。イージーなゲームではあるので、カードとつまらん失点にだけ注意してもらいたい。それと疲れた選手を休ませてくれ。もう同じメンバーを引っ張る必要はない。岡崎か、あるいはみんなが見たい憲剛か。
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しかしメンバー交代はしないコンサバ岡田。PKエリアにベントナーとトマソンが常駐し、ロングボールが放り込まれるパワープレイが続く。やはりこう来るか。これはなかなか苦しく、ボールをキープする以外対処法はない。前が頑張れ。カウンターから本田がヒールで大久保に流すなど、攻撃は華麗なものが続くが、こういう速攻では守備陣の負荷は減らないので、前でていねいにつなぎできるだけ長時間キープしてもらいたいところ。
65分、本田からPA角絶好の位置でもらい大久保のシュート、弱い。大久保はなぜあそこから加速しDFを交わし、強いシュートを打たないのだろう。助走を取らず中途半端に打つのでまったく威力がなく、この3試合で何度も好機を無駄にしている。大久保はパスを出さず自分で打つエゴイストだと批判する人がオシムはじめ多いが、アタッカーなのに強いシュートを打てないことの方がよほど問題である。デンマークのDFを振りきり数m前方にボールを持ち出し打つことが彼にできないはずがないのに、その動きが瞬時に閃かないのだろうか。このマインド的な違いが、欧州に定着するパクチュヨンら韓国FWと、行っては試合に出れず帰ってくる大久保の違いなのかもしれないと思えてくる。
70分、日本がポゼッション態勢に入りかけるもロングパスで失う。相手は前がかりのラッシュで脚も止まってスペースはたっぷりあり、ここはキープして時間を削ることだけが肝心なのに。直後にまた猛攻を食らう。相手がシュートを空振りしたりしてくれて助かっているが、これではこの先パラグアイには勝てんぞ。3点もマージンがあるのにフレッシュな脚を出さない岡田監督にも全くイライラする。
75分、あ、やっと岡崎か。遅い。交代をここまで引っ張る理由がわからない。サブを出して悪くなる要素などこの試合は1つもないではないか。誰を出しても負荷が軽減できるのに。
80分、ペナルティ。これはサブを入れ前でのキープを命じない岡田監督の過失だろう。守備陣にただ我慢を願うだけの45分に起きた、つまらん事故失点である。クリーンな完封勝ちをスマートに取る力がチームにはあるのに。本田なんかへろへろではないか。ベンチの選手は悔しいことだろう。試合後のコメントで監督がいくらサブ選手の真摯なサポートを褒めたたえても、そんなものは偽善だポーズだと、俺がサブ選手なら思うだろう。
最後は岡崎、よし。ホンダのきれいなトリックから岡崎が決める。本田はあんなファンタジスタなことができるのか。ヘロヘロでも。この試合で本田はWCのスターとなったな。もう2点くらい取れそうなシーンがあって、試合終了。よし。
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3点の巨大な安全マージンがあってもサブメンバーを活用しない監督の采配には本当にイライラさせられる。会見によればあのパワープレイ放置は、「バランスを崩したくない」という最も単純でくだらん理由であった。点を取られたんだからバランスは崩れたではないか。1点もやれない状況だったら命取りだったのだ。チームはどんどん自信をつけ成長している。監督も自信を持った采配をふるってほしい。
そのフラストレーションはさておきしかし、この試合は日本ができるはずなのにできなかったことが全部できたという初めてのWC試合であった。フリーキックも、技巧も組織的なパスワークも根性の守備も、すべてが素晴らしかった。韓国が02年に手にした自信を、日本もこの試合でようやく手に入れたと思う。ものすごくうれしい。
次はパラグアイ。プレスをかけてくる南米のチームは日本は苦手であり、デンマーク戦より相当に苦戦するだろうが、チームの強さとしてはおそらく02年のトルコあたりと同等だろう。あの虚しさを晴らす戦いをもう一丁望みたい。日本代表はアフリカに、過去のWCで掴みそこねたものを取りに行っているのだ。その意味で監督が日本人であることはいいことだった。
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スポナビで宇都宮さんが、「日本国内で多くの人々と喜びを分かち合えるみなさんがうらやましい」と書いていた。まったくだ。よほどのサッカー好きでなければこの試合を誰も見ていなかっただろうカナダで、日本の偉業を知らない静かな町を萌を迎えに走る。4年前ブラジル戦後に俺をコケにした、サッカー好きのジャマイカお母さんが転校でいなくなったのが惜しいぜ(笑)。
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■10/06/26(土) □ あとは俺たちに任せておけ
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【韓国・ウルグアイ】パクチュヨンのFKがポスト。日本が南米チームを苦手としているので、韓国がウルグアイ相手にどこまで戦えるかが目安になると注目しているのだが、今のところごく普通の中堅同士の戦いで、特に戦いにくいということもない―――うわ、敵FWをフリーにして失点。何をやっているんだ。ちょっと考えられないようなマークミス。ここまで来てこんな馬鹿失点を韓国がするとは思わなかった。
気を取り直し攻守に走る韓国。日本のよさが出まくったデンマーク戦を見たあとでは、韓国の攻撃は速攻に傾き過ぎで日本よりもやや単調だなと思う。もともと守備的なウルグアイは要所を締めれば問題なく試合を進められる。敵のプレスが強いわけじゃないので、遅攻からパクチュヨンのファンタジーを活かせばいいのに。パクチソンが完全に速攻型の選手なので、狭いところの技巧を生かしたいチュヨンとの組み合わせは実はあまりよくないのかもしれない。
55:45 くらいで韓国が攻めては跳ね返される展開が続き前半終了。ウルグアイに関しては、やっぱ南米3番手以降はおそるるに足らずという印象。むろん日本がこのレベルの南米チームに勝つのは簡単ではないだろうが、このチーム相手に守るのは難しくはない。
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【後半】クロスをチュヨンが股の下をスルーし味方に通すも打てず。彼はほんとにファンタジスタだ。速くて走れ敵と競り合える俊輔という感じ。韓国が圧力を上げ完全に押し上げて、運動量で上回りセカンドボールを拾い、スピードと技巧を生かし攻める。いいサッカーである。ウルグアイはフォルラン1人を残し防戦一方となる。これほどワンサイドな時間を作れるとは、韓国恐るべし。あ、イドングクが入る。懐かしい顔である。高原らと同世代ではないか。
67分、セットプレイから押し込み同点。これは勝つな。これで上がらざるを得なくなったウルグアイと、壮絶なカウンター合戦が始まる。パクチソンのカウンターのうまさは素晴らしい。猛烈なスピードで走りながら、前を走る味方の前方に角度もスピードも完璧なパスを出せる。全盛期の中田のようだ。あれがあるから韓国はカウンターができるのだ(あとで戦評を読むと、マンUではあれほどいいプレイはしていないとのこと)。
攻め勝つのだと気合を入れ直したウルグアイが6:4で押す展開、コーナーのこぼれ球からスアレスが見事なカールを叩き込み試合終了。うーむ。あれがアヤックスのエースか。しかしDFの凡ミスとスアレスの美技以外は、完全に互角だったなあ。
―――ま、あとは俺たちに任せておけ韓国(ニヤリ)。武藤さんも Twitter で、「(韓国は)試合中はついつい応援してしまうが、結果負けるとザマア見ろとなる」と俺と同じ感想だった。ウルグアイがこの程度なら、パラグアイもこの程度だろう。そう根拠のない自信が湧いてくる試合だった。
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■10/06/21(月) □ 北朝鮮の不思議
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【ポルトガル・北朝鮮】北朝鮮はブラジル戦よりもさらによく戦っている。月給数百円という選手がポルトガルとフェアに戦い、ドタバタとフェイントを繰り返す不調ロナウドからきれいにボールを奪うのを見ると感動してしまう。今はアフリカのチームも高給スター揃いになり、「食べるものもロクロクないだろうにサッカーはこんなにうまいのか」みたいなWC素朴感動はなくなっているわけだが、北朝鮮だけはまだその状況が続いてるわけだからな。プロリーグもお金も有名コーチももちろん海外経験もなくても、こんなにいいサッカーができるという北朝鮮の不思議。
チョンテセのポストのうまさは驚異的で、ポルトガル相手だと体格が同等なのでスポスポ止めて散らすことができる。ほんと奴が日本人だったらと思うが、しかしそうだったら北朝鮮のこの小気味よく感動的なサッカーはここで見れなかったのだよな。だから彼は正しい選択をしたのだ。彼は海外移籍を目指し英語・ポルトガル語を習っているらしいが、北朝鮮籍の選手が欧州でプレイすることはできるのだろうか。ストライカーとしての能力的には高原全盛期に並び、それを海外でいかんなく発揮できそうな精神的タフさを強く感じる。
テセだけではなく北朝鮮全体が世界の驚きである。こんなにいいチームだったとは、アジア予選西ブロックの国々以外誰も知らなかっただろう(日本のネットも報道はゼロだったし)。雨で滑りやすそうなのにボディバランスがよく、チーム全体がボールカットがうまく(読みと寄せと勇敢さ)、奪ったあとのつなぎが的確で早く、連携がシンプルで共通意識が高いので攻撃がきちんとシュートまで行く。岡田監督が目指していて崩壊したショートパスサッカーは、こんな感じだったんじゃないのかな。
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後半北朝鮮の脚が止まり、立て続けにDFが裏を取られ大量失点。このチームはそのスプリント能力ほど持久力はないのだろう。前半にすべての力を注ぎすぎたのか。日本もオランダに前半から五分の戦いに持ち込めば、こうして後半崩壊したのかもしれない。岡田監督が敵の倍走るというプランを捨て、ブロックで守り余力を攻撃に使うという合理的な戦術に落ち着いてくれて助かったと思いながら、悲しき北朝鮮の後半を俺は見ていた。
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■10/06/25(水) □ カナダの教組
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明日は萌の学校今年最後の全校集会で、萌のクラスは何かクラス発表をやるのかと尋ねると、こないだの集会でやったよと言われた。―――だったらやるって知らせてくれよ、担任はそういうことを絶対に連絡してくれないんだからさと言うと、「私だってその日まで知らなかったもん!」と萌も声を荒げる。そうだったのか。
この担任はだいたい、週に1度以上は欠勤している。この連絡の悪さ、生徒への周知の悪さも欠勤がらみかもしれない。今年は3回ほどあったクラス発表をついに一度も見ることなく終わってしまった。これじゃ親として悲しすぎる。
この教育も勤務も連絡すらもまともにできない担任が来年も学校に残るのか、萌の受け持ちとなる可能性はあるのかとMが校長に尋ねに行くと、校長はこの担任の不出来を「認識している、来年はより深く目を配る」というフラットな態度しか見せなかったという。つまり来年も彼は残るのだ。
Mによれば、日本でもそうなのだろうがカナダも教員ユニオンが強く、教師の雇用は絶対的にプロテクトされているのだとのこと。駄目な教師は次々とたらい回しにされるが、なにか過失でもなければクビはないらしい。子供たちやペアレンツの充実したスクールライフよりも、教師の雇用のほうが大事なわけである。生徒よりも自分の私生活の方が大事だとバレバレな教師も多いしな。この校長も明らかに知性と教育とヒューマンリレーション能力は低いが、そういうユニオンシステムの中でタフさと鉄面皮でのし上がってきたんだろう。
Mは転校の可能性を真剣に探っている。馬鹿な教師のせいで子供が悲しい思いをさせられるというのは、耐えがたいことだ。
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■10/06/24(木) □ 日本が手に入れたもの
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【日本・デンマーク】スタメン発表、完全に同じ。テストできないまま本番に突入している以上、力尽き敗退するまで岡田監督は何も変えられないんだろうな。オランダ戦に続きその部分に興醒めの気持ちはあるが、試合がプラン通りに進み、サブが多く見られることを期待しよう。
序盤意外なほどデンマークにボールを回される。何も起こらないのでスタジアムに小さなブーイングが起きる。これはオランダ戦と同じ展開ではあるが、相対的な力量差の小ささからもっと日本が持てるだろうと思っていたが。サイドのチェックが甘くクロスも簡単に入れられてしまうし、あまりいい感じではない出だしだ。遠藤に遅延で無駄カード。
大久保のフィードに松井が飛び込みタッチ、惜しい。よしよし、こうしてスイッチを入れていこうぜ。―――松井のスルーに長谷部がシュート。惜しい! 長谷部が飛び出すというのは初めてで、チームの連動性の高まりを感じる。よしよし。しかしまたもサイドを破られノーマークでシュートを打たれる。駒野はなにをやってるんだ? 位置がおかしいだろう。この守備がおかしいのだけが気がかりである。マークがはずれすぎる。なにが問題なのか素人にはリアルタイムではわからない(※)。
(※)あとの会見で、日デ双方がフォーメーションを変えたことによるマークずれが序盤解消できず、フォーメーションを戻しさらに選手たちが話し合い修正したのだと判明。間に合ってよかった。
ホンダ決めたFKゴラッソ! キーパーの指先1cm、完璧。2戦目はあまり感心しなかったホンダだったが、奴にはこれがあった。これで日本の動きがさらに良くなる。どんどん行こう。
遠藤がFK。FKはいいけど、すぐ蹴らないとまた遅延イエローが怖い。―――えんどお! 完璧。俊輔は必要ありませんの2発目。ドイツで出番が来なかった憂さを晴らしたようないい笑顔だ。
ボールを持てばほぼ確実にフィニッシュまで持ち込めるという流れで、守備の不安定さ以外は想像した通りの試合となり前半終了。イージーなゲームではあるので、カードとつまらん失点にだけ注意してもらいたい。それと疲れた選手を休ませてくれ。もう同じメンバーを引っ張る必要はない。岡崎か、あるいはみんなが見たい憲剛か。
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しかしメンバー交代はしないコンサバ岡田。PKエリアにベントナーとトマソンが常駐し、ロングボールが放り込まれるパワープレイが続く。やはりこう来るか。これはなかなか苦しく、ボールをキープする以外対処法はない。前が頑張れ。カウンターから本田がヒールで大久保に流すなど、攻撃は華麗なものが続くが、こういう速攻では守備陣の負荷は減らないので、前でていねいにつなぎできるだけ長時間キープしてもらいたいところ。
65分、本田からPA角絶好の位置でもらい大久保のシュート、弱い。大久保はなぜあそこから加速しDFを交わし、強いシュートを打たないのだろう。助走を取らず中途半端に打つのでまったく威力がなく、この3試合で何度も好機を無駄にしている。大久保はパスを出さず自分で打つエゴイストだと批判する人がオシムはじめ多いが、アタッカーなのに強いシュートを打てないことの方がよほど問題である。デンマークのDFを振りきり数m前方にボールを持ち出し打つことが彼にできないはずがないのに、その動きが瞬時に閃かないのだろうか。このマインド的な違いが、欧州に定着するパクチュヨンら韓国FWと、行っては試合に出れず帰ってくる大久保の違いなのかもしれないと思えてくる。
70分、日本がポゼッション態勢に入りかけるもロングパスで失う。相手は前がかりのラッシュで脚も止まってスペースはたっぷりあり、ここはキープして時間を削ることだけが肝心なのに。直後にまた猛攻を食らう。相手がシュートを空振りしたりしてくれて助かっているが、これではこの先パラグアイには勝てんぞ。3点もマージンがあるのにフレッシュな脚を出さない岡田監督にも全くイライラする。
75分、あ、やっと岡崎か。遅い。交代をここまで引っ張る理由がわからない。サブを出して悪くなる要素などこの試合は1つもないではないか。誰を出しても負荷が軽減できるのに。
80分、ペナルティ。これはサブを入れ前でのキープを命じない岡田監督の過失だろう。守備陣にただ我慢を願うだけの45分に起きた、つまらん事故失点である。クリーンな完封勝ちをスマートに取る力がチームにはあるのに。本田なんかへろへろではないか。ベンチの選手は悔しいことだろう。試合後のコメントで監督がいくらサブ選手の真摯なサポートを褒めたたえても、そんなものは偽善だポーズだと、俺がサブ選手なら思うだろう。
最後は岡崎、よし。ホンダのきれいなトリックから岡崎が決める。本田はあんなファンタジスタなことができるのか。ヘロヘロでも。この試合で本田はWCのスターとなったな。もう2点くらい取れそうなシーンがあって、試合終了。よし。
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3点の巨大な安全マージンがあってもサブメンバーを活用しない監督の采配には本当にイライラさせられる。会見によればあのパワープレイ放置は、「バランスを崩したくない」という最も単純でくだらん理由であった。点を取られたんだからバランスは崩れたではないか。1点もやれない状況だったら命取りだったのだ。チームはどんどん自信をつけ成長している。監督も自信を持った采配をふるってほしい。
そのフラストレーションはさておきしかし、この試合は日本ができるはずなのにできなかったことが全部できたという初めてのWC試合であった。フリーキックも、技巧も組織的なパスワークも根性の守備も、すべてが素晴らしかった。韓国が02年に手にした自信を、日本もこの試合でようやく手に入れたと思う。ものすごくうれしい。
次はパラグアイ。プレスをかけてくる南米のチームは日本は苦手であり、デンマーク戦より相当に苦戦するだろうが、チームの強さとしてはおそらく02年のトルコあたりと同等だろう。あの虚しさを晴らす戦いをもう一丁望みたい。日本代表はアフリカに、過去のWCで掴みそこねたものを取りに行っているのだ。その意味で監督が日本人であることはいいことだった。
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スポナビで宇都宮さんが、「日本国内で多くの人々と喜びを分かち合えるみなさんがうらやましい」と書いていた。まったくだ。よほどのサッカー好きでなければこの試合を誰も見ていなかっただろうカナダで、日本の偉業を知らない静かな町を萌を迎えに走る。4年前ブラジル戦後に俺をコケにした、サッカー好きのジャマイカお母さんが転校でいなくなったのが惜しいぜ(笑)。
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■10/06/26(土) □ あとは俺たちに任せておけ
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【韓国・ウルグアイ】パクチュヨンのFKがポスト。日本が南米チームを苦手としているので、韓国がウルグアイ相手にどこまで戦えるかが目安になると注目しているのだが、今のところごく普通の中堅同士の戦いで、特に戦いにくいということもない―――うわ、敵FWをフリーにして失点。何をやっているんだ。ちょっと考えられないようなマークミス。ここまで来てこんな馬鹿失点を韓国がするとは思わなかった。
気を取り直し攻守に走る韓国。日本のよさが出まくったデンマーク戦を見たあとでは、韓国の攻撃は速攻に傾き過ぎで日本よりもやや単調だなと思う。もともと守備的なウルグアイは要所を締めれば問題なく試合を進められる。敵のプレスが強いわけじゃないので、遅攻からパクチュヨンのファンタジーを活かせばいいのに。パクチソンが完全に速攻型の選手なので、狭いところの技巧を生かしたいチュヨンとの組み合わせは実はあまりよくないのかもしれない。
55:45 くらいで韓国が攻めては跳ね返される展開が続き前半終了。ウルグアイに関しては、やっぱ南米3番手以降はおそるるに足らずという印象。むろん日本がこのレベルの南米チームに勝つのは簡単ではないだろうが、このチーム相手に守るのは難しくはない。
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【後半】クロスをチュヨンが股の下をスルーし味方に通すも打てず。彼はほんとにファンタジスタだ。速くて走れ敵と競り合える俊輔という感じ。韓国が圧力を上げ完全に押し上げて、運動量で上回りセカンドボールを拾い、スピードと技巧を生かし攻める。いいサッカーである。ウルグアイはフォルラン1人を残し防戦一方となる。これほどワンサイドな時間を作れるとは、韓国恐るべし。あ、イドングクが入る。懐かしい顔である。高原らと同世代ではないか。
67分、セットプレイから押し込み同点。これは勝つな。これで上がらざるを得なくなったウルグアイと、壮絶なカウンター合戦が始まる。パクチソンのカウンターのうまさは素晴らしい。猛烈なスピードで走りながら、前を走る味方の前方に角度もスピードも完璧なパスを出せる。全盛期の中田のようだ。あれがあるから韓国はカウンターができるのだ(あとで戦評を読むと、マンUではあれほどいいプレイはしていないとのこと)。
攻め勝つのだと気合を入れ直したウルグアイが6:4で押す展開、コーナーのこぼれ球からスアレスが見事なカールを叩き込み試合終了。うーむ。あれがアヤックスのエースか。しかしDFの凡ミスとスアレスの美技以外は、完全に互角だったなあ。
―――ま、あとは俺たちに任せておけ韓国(ニヤリ)。武藤さんも Twitter で、「(韓国は)試合中はついつい応援してしまうが、結果負けるとザマア見ろとなる」と俺と同じ感想だった。ウルグアイがこの程度なら、パラグアイもこの程度だろう。そう根拠のない自信が湧いてくる試合だった。
2010/06/23
日記「ニッポン幸福フットボール」
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■10/06/15(火) □ 1日経って冷静に
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【ブラジル・北朝鮮】北朝鮮はよくやってるなあ。守備陣に落ち着きがあり、ボールの奪い方は日本よりも能動的で美しい。パスコースを読んで敏捷性を生かして奪い、相手が取り返しに来る瞬間逆を取って前へ進んでいく。日本のサッカーよりも速さと意外性がある。もちろん決定機までは作れないが、チョンテセはしっかりポストで働いている。後半彼に決定機が訪れますように。
そして2点をきれいに取られ試合を決定されたものの、北朝鮮はなんとテセのポストから完璧な突破で1点を取ってみせた。えらい。テセはその後さらに何本も、ゴールまで届くはずもない距離からロングを打つ。持っていれば狩り取られる、味方を待つ時間もないストライカーの悲愴なロングシュートである。ゴールには届かないが、お前を応援する人々の胸にはその気持が届いているよ。えらい。カナダのTVは北朝鮮の努力を絶賛している。たしかに日本・カメルーンよりもはるかにいい試合でありました。カメルーン戦の日本よりも、この北朝鮮のほうが強いだろう。
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日本の新聞マスコミは本田と岡田監督に対する賛辞で満ちているが、俺も攻撃力の低さに失望したカメルーン戦後1日経って、冷静になると希望が湧いてきた。岡田監督はここ1年馬鹿な過ちをしてきたが、ギリギリ手遅れにはならなかった。カメルーン戦は「守備重視路線転向初公式戦」だったのであり、守備にはまだ余裕があったのだから、あの守備組織をベースにオランダ戦でラインを上下し攻める時間を作り、攻撃陣を前に出しサポートするようチームが連動すれば攻撃力は確実に上げられる。たとえオランダには負けても経験を積み、サブ選手の力も活用しつつデンマーク戦に向かえば十分に戦えるだろう。相手はレゴしかないだろうともう、呑んでかかって。
だいたい調子を取り戻しさえすれば、日本はデンマークとなら普通に勝負になるはずである。監督も時期も違うがアウェイでチェコにだってスイスにだって勝っている。デンマークと同じく欧州王者だったギリシャにも完勝している。それらの勝利がすべて監督や特定選手のおかげだったわけではないだろう。勝ったのは、技巧と知恵を凝らしてボールをつなぐという、日本のサッカー地力の結果だったはずである。
中田や久保はいないし、俊輔も黄金世代ももう頼りにできないが、大久保や本田がいる。パスサッカー得意という持ち味に変わりはないのだ。デンマーク戦はもちろん、オランダにだって存分に抵抗できても不思議はないのである。
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■10/06/17(木) □ アルゼンチン・韓国
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【アルゼンチン・韓国】うう。このアルゼンチンのパススピードの速さはなんだ。韓国は開始から5分以上ボールに触れない。これは韓国との実力差云々というよりも、アルゼンチンだけが異次元にいるという感じ。パスとランがスペインの 1.5 倍速いのだから、これはアルゼンチンのペースが落ちるまではどこの国でもどうしようもないのではと思う。日本が98年にやったアルゼンチンとは別物だ。日本がやったときは夏だったので、バティストゥータとかのろのろやってたからな。
そしてなんと自殺点で失点。ちょっと普通では考えられないような角度の自殺点で、韓国は落ち着いているようでもアルゼンチンの速さに幻惑されていたのだろうか。常時気を張っているためときおり思考停止が訪れ、その隙に点が入ってしまうという感じか。4年前日本がブラジルにやられた後半に似ている。
しかし韓国MFが素晴らしいミドルで逆襲。枠には行かなかったが、得点は決して不可能ではないぞと勇気付けるナイスなストライクだった。韓国が前半ボコボコにされながら後半ホンミョンボのミドルで追い上げた、94WC のドイツ戦を思い出すな。やられてもヘコタレないところが日本と違う。
しかし韓国はスピード、フィジカル、技術ともアルゼンチンにとってちょうど頃合いの練習相手であるようで、メッシ、テベスを中心に華麗な美技が次々に炸裂している。このやられ放題は韓国のスタイル自体がスマートなサッカーに変わっているせいもありそうで、もっとガツガツファウル気味に止めていくのが持ち味のはずである。最近の韓国はこうなんだろうか。
―――うわ! 一矢報いた(笑)! ミスをかっさらってゴール。よし。ハーフタイム、マラドーナがゴリラみたいにチームを鼓舞して吠えながら歩いている(笑)。
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【後半】―――どわー、韓国がカウンター炸裂で3対4から完璧な決定機を作り、シュートがわずかに外れる。うーん、すごい。完全に崩していた。ああいう高速大カウンターが日本にはできないんだよなあ。カウンターサッカーはよく批判されるが、こういうチェルシー的に全速で走りながらドリブルしパスをつなぐというのは簡単なことではないのである。ショートパスサッカーより高い個人能力が求められると思う。今の日本にはできない。中田と稲本の全盛期にできたかどうかというところだ。
韓国は強い。02、06年もその強さに疑いはないと思ったが(02年も成績は誤審ゆえの2階級アップだったが、強かったのは事実)、ホームアドバンテージも夏の暑さもない中でのこの試合を見れば、もはや疑念の余地はないよな。02年以降の日本と韓国のこの違いは自信とマインドセットにあるんだろうか。「ヒディングみたいな勝負師監督を使うとあとには何も残らない」なんて日本の通はよく言うが、その後の海外で活躍する選手の多さ、06、10年の韓国チームの強さを見れば、負け惜しみとしか言いようがない。サッカーでは自信も実力のうちなのだろう。
しかし終盤はメッシ劇場となり、韓国の脚も止まり反撃できなくなり4-1で終了。一矢報いただけに終わった。しかしこうしたすべての努力が、韓国サッカーの財産となっていくだろう。アルゼンチンより弱い相手には負けないぞというまた1つの自信として。
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■10/06/19(土) □ ニッポン幸福フットボール
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【オランダ・日本】ああ、スタメンが変わってない。全員同じだ。こういうところが岡田監督は頑固で小心者だなあと思う。フレッシュなメンバーによるより能動的な展開を期待した気持ちが少し下がる。
序盤、やっぱおとといのアルゼンチンに比べたらオランダにさほど驚異のパスワークはないが、かなり強いプレスをかけても乱れそうで乱れないところはさすがである。
10分、松井のドリブルで時間を作り、速いショートパスを数本つないで長友のシュートまで行く。これは初戦にはなかったきれいで速いパス回しで、試合を通じてこれができれば十分攻められるが、保持率はなかなか上がらない。松井はカメルーン戦が自信になっているようで、DFの目前で大胆にボールを運んでいる。
18分、日本はボールが取れないが、ダッチのペースも上がらずカメルーン戦に続きスローなゲームになる。「日本はダッチとどう戦ったらいいかわかっており、実にうまくやっている」とアナ。俺もそう思う。パスをカットしたりタックルでボールを狩るという目に見えるハードワークはないが、パスコースを限定し、少しでもパスやトラップがブレたら奪うという高効率連動性で、エネルギーを浪費することなく相手の攻撃を無効化している。このカナダCBCの英国人(?)アナは本当によくサッカーを分かっていて好ましい。
ヴァンペルシーが何度も腕で中澤を突き飛ばす。あれはカードだろう。アナも同意見。序盤接触で駒野が顔を蹴られたし、オランダは密集地帯で脚を蹴り上げ競り合いでは腕を多用し、じれたらラフな試合を展開しそうな気配がある。レフがのあのへんをきっちり取ってほしい。
27分、ダッチが一向にペースを上げてこない。けっこう暑いのかもしれない。大久保が個人技でサイドを突破し一瞬観衆が湧くが次につながる前に潰される。あの大久保の力をもっと決定的なシーンで使いたいのだが。遠藤の厳しい表情が映る。彼の調子は上がっているようで、今日は攻撃によく絡んでいる。
37分、松井のカットから駒野が駆け上がり、先に到着した本田遠藤が攻めあぐねて後から到着した松井のショット。弱い。一番先に触った本田が、ダッチ守備が揃う前にトライすべきだった。あそこがやはり本職FWじゃない彼の弱みで、狭く時間がないところでは勝負できない。しかし日本が人数をかけ攻め始め、ややオープンになりようやく双方の攻め合いが始まる。残り5分、ラインを上げて日本が攻める。本田が持ち上がるがここでも右に突破できない弱点が出て横に流し大久保に渡らず。前半終了。
悪くない。イイといっても過言ではない。完全同一メンバーにはやや失望したが、守備重視路線転向メンバー2試合固定でたしかに連携が育ち、流動的に攻撃にいけるようになっている。「日本がプレスで非常に頑張っており、コンパクトさを保ってスペースを与えないことで、ダッチらしい美しいフットボールを見事にキャンセルしている」と元カナダ監督のレナドゥージがハーフタイム解説。アルゼンチンはスペースがなくても美しいフットボールをやってしまうのだが、ダッチはそこまですごくはないということは言える。
怖いのはフィジカルに来られることだ。ダッチが後半どれだけフィジカル勝負に来るか、それに耐えて反撃できるか。こういうバチバチとした当たりのある試合で、やはり俊輔が出るというのは考えられないな。岡田監督が「戦える選手、戦えない選手」という言わずもがなの発言をしてファンの気を害したが(「お前がその23人を選んだろう」と誰もが突っ込まずにおれない)、こういう当たりのある中で前に進んでいけるかどうかということを言いたかったんだろう。腕を使う相手が多いゆえ、顎を骨折したばかりの憲剛も使いにくいかもしれない。
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【後半】チームが落ち着く前にダッチの攻撃。ヴァンペルシーらがロングボールで裏を取る動きも始まった。引くな、頑張れ。「闘莉王が日本のバックで大きな役割を果たしている」とアナ。
ダッチが圧力を上げ日本はしばらく自陣に押し込まれ、ついにスナイデルのミドルが決まる。さほど危険なシーンは許してなかったのだが、徐々にクリアの飛距離が縮まりマークが間に合わなくなりフリーで打たせてしまった。インターナショナルレベルのGKならば弾くべきだったろうとアナ。あれはジャブラニのせいもあるんだろうか。ま、この相手にはどんな形であれ1点取られるのは仕方がない。引くな、頑張れ。
直後に大久保のドリブルシュート、よし。いいぞ。ああして最高級の敵が目一杯つぶしに来ても、大久保はドリブルで前を向きシュートまで持ち込む力がある。これまで日本がWCに送った最上のアタッカーである。しかしいかんせんこのポジションでは起動開始が後ろすぎ、打ってもゴールまで距離がありすぎる。もっと前で勝負を仕掛けたい。頼むぞ遠藤たち。フットボール目利きを言葉の端々から感じさせるこのCBCアナは日本を、「more than capable(有能以上)」と評している。つまり「なかなかヤルなというだけには留まらないチーム」であるということだ。フェアである。
続いて遠藤が上がりまた大久保シュート。弱い。日本のショートパス攻勢が続く。コーナーで闘莉王が上がる。弾かれる。FKから阿部のヘッド。弱い。ダッチを焦らせるほど決定的なシーンは作れないが、落ち着いて非常に日本らしいクレバーなパスサッカーが続く。―――これだよ。そうだよ。98年からこの方ずっと、俺はこれをWCで見たかったのだ。ニッポン幸福フットボール。いいぞ。すごくいい。
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―――え、ここで俊輔が入るとアナが。どこに? 松井か。そうか、このチームで松井の位置はフリーマンだもんな。しかしゆるゆるだったカメルーン戦では松井と俊輔を替えてもOKだと俺も思ったが、この試合で使えるんだろうか。こうしたタフな試合で中村が活躍したことなど、怪我を抜きにしても見たことがないのである。
68分、一進一退双方決め手がない展開の中、大久保→駒野ときれいに崩し、ゴール前の本田につながりかける。惜しい。ダッチの脚が止まり圧力がばったり減ったせいもあり、日本のプレスとショートパスが決まる。この圧力低下を見ての俊輔起用だろうが、これが吉と出れば岡田監督は俺たち素人が思うよりも冴えているわけだけれど、しかし。センターサークル付近でゆっくりとボールを転がしゲームをつくろうとする俊輔は、まるで1人真夏のアジアカップに出ているかのようだ。これはWCで、今は負けてるんだぞ。
本田も今日はまったく前に持っていけずリズムを作れないので、フレッシュな脚に交代させてもらいたい。憲剛を出してくれ。俊輔が使えるなら憲剛はなおさら問題ないだろう―――と思っていると大久保→岡崎、長谷部→玉田。憲剛ではなく玉田か。まあよし、玉田行け!
77分、俊輔がまたもやセンターサークルでボールを持ち、ゆっくり運んでいる間にかっさらわれカウンターを受ける。これはもう体調はともかく、この試合に必要な思考&プレースピードがまるでないではないか。俺たちアンチ俊輔がイメージする通りのバッド俊輔がそこにいる。今大会中にカンが戻るのかわからないが、それを確かめるために試合に出す余裕などないわけで、今後出番はないまま終わるだろう。日本が生んだ最大級の才能が結局WCで何もできずに終わるのは悲しいことだが。
81分、ついに闘莉王が上がる。彼はこの2試合DFとして最高の働きをしている。ダッチを相手にヘッドで一切負けていない。これで点まで取ったらスーパーマンである。84分、チーム全体前がかりで中澤が裏を取られ完璧なカウンターを食らうもGKが防ぐ。続けてセンターでボールを取られもう一度大カウンター、セーブ。あとで確認すると、潰されボールを取られたのはまた俊輔だった(ため息)。完全にカモにされている。中盤センターに彼がいて、よく失点せず済んだものである。打ったのがロッベンでなくアフェライで助かった。
88分、岡崎が闘莉王から流されたボールに食らいつき打つもネット。カメルーン戦に続き、あれが枠に行けば奴はほんとに日本のエースになれるのだが。反応し難しい姿勢でミートするのはえらい、それが枠に行けば一流、入ればスーパーなのだがというところで試合終了。
日本はまだあのニッポン幸福フットボール時間帯を数えるほどの時間しか作れないのだから、点が取れる可能性は低かった。しかし最高だった。これまで見た日本のWC試合で最高だった。そしてこのチームはまだよくなる。もう1試合、ドローを取れば2試合進化を続けられるのである。
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カメルーン戦を見るとデンマークは強いという感じは全くしないが、キレキレのカメルーンが1点しか取れなかったのだから、日本にとっても得点はそう簡単ではないかもしれない。
しかしそこを「ニッポン幸福フットボール」が崩すというシーンが見られれば、俺が15年間見つめてきた日本代表サッカーへの思いが報われる。02年を含めてもWCではこれまで表現できなかった日本サッカーのインテリジェンスと力を、今日のチームは見せてくれたのだ。名波が、中田が、そしてドイツで藻屑と消えた黄金世代が表現しきれなかった日本らしいサッカーが、短時間ではあるがついにできた。それは世界を驚かすというほどシャイニーで立派なものではないけれど、日本は実は身の程をわきまえているのでそれでいいのである。99年のワールドユースで感じたものに似た、快い満足感の得られたオランダ戦であった。デンマーク戦が楽しみで仕方がない。
■10/06/15(火) □ 1日経って冷静に
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【ブラジル・北朝鮮】北朝鮮はよくやってるなあ。守備陣に落ち着きがあり、ボールの奪い方は日本よりも能動的で美しい。パスコースを読んで敏捷性を生かして奪い、相手が取り返しに来る瞬間逆を取って前へ進んでいく。日本のサッカーよりも速さと意外性がある。もちろん決定機までは作れないが、チョンテセはしっかりポストで働いている。後半彼に決定機が訪れますように。
そして2点をきれいに取られ試合を決定されたものの、北朝鮮はなんとテセのポストから完璧な突破で1点を取ってみせた。えらい。テセはその後さらに何本も、ゴールまで届くはずもない距離からロングを打つ。持っていれば狩り取られる、味方を待つ時間もないストライカーの悲愴なロングシュートである。ゴールには届かないが、お前を応援する人々の胸にはその気持が届いているよ。えらい。カナダのTVは北朝鮮の努力を絶賛している。たしかに日本・カメルーンよりもはるかにいい試合でありました。カメルーン戦の日本よりも、この北朝鮮のほうが強いだろう。
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日本の新聞マスコミは本田と岡田監督に対する賛辞で満ちているが、俺も攻撃力の低さに失望したカメルーン戦後1日経って、冷静になると希望が湧いてきた。岡田監督はここ1年馬鹿な過ちをしてきたが、ギリギリ手遅れにはならなかった。カメルーン戦は「守備重視路線転向初公式戦」だったのであり、守備にはまだ余裕があったのだから、あの守備組織をベースにオランダ戦でラインを上下し攻める時間を作り、攻撃陣を前に出しサポートするようチームが連動すれば攻撃力は確実に上げられる。たとえオランダには負けても経験を積み、サブ選手の力も活用しつつデンマーク戦に向かえば十分に戦えるだろう。相手はレゴしかないだろうともう、呑んでかかって。
だいたい調子を取り戻しさえすれば、日本はデンマークとなら普通に勝負になるはずである。監督も時期も違うがアウェイでチェコにだってスイスにだって勝っている。デンマークと同じく欧州王者だったギリシャにも完勝している。それらの勝利がすべて監督や特定選手のおかげだったわけではないだろう。勝ったのは、技巧と知恵を凝らしてボールをつなぐという、日本のサッカー地力の結果だったはずである。
中田や久保はいないし、俊輔も黄金世代ももう頼りにできないが、大久保や本田がいる。パスサッカー得意という持ち味に変わりはないのだ。デンマーク戦はもちろん、オランダにだって存分に抵抗できても不思議はないのである。
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■10/06/17(木) □ アルゼンチン・韓国
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【アルゼンチン・韓国】うう。このアルゼンチンのパススピードの速さはなんだ。韓国は開始から5分以上ボールに触れない。これは韓国との実力差云々というよりも、アルゼンチンだけが異次元にいるという感じ。パスとランがスペインの 1.5 倍速いのだから、これはアルゼンチンのペースが落ちるまではどこの国でもどうしようもないのではと思う。日本が98年にやったアルゼンチンとは別物だ。日本がやったときは夏だったので、バティストゥータとかのろのろやってたからな。
そしてなんと自殺点で失点。ちょっと普通では考えられないような角度の自殺点で、韓国は落ち着いているようでもアルゼンチンの速さに幻惑されていたのだろうか。常時気を張っているためときおり思考停止が訪れ、その隙に点が入ってしまうという感じか。4年前日本がブラジルにやられた後半に似ている。
しかし韓国MFが素晴らしいミドルで逆襲。枠には行かなかったが、得点は決して不可能ではないぞと勇気付けるナイスなストライクだった。韓国が前半ボコボコにされながら後半ホンミョンボのミドルで追い上げた、94WC のドイツ戦を思い出すな。やられてもヘコタレないところが日本と違う。
しかし韓国はスピード、フィジカル、技術ともアルゼンチンにとってちょうど頃合いの練習相手であるようで、メッシ、テベスを中心に華麗な美技が次々に炸裂している。このやられ放題は韓国のスタイル自体がスマートなサッカーに変わっているせいもありそうで、もっとガツガツファウル気味に止めていくのが持ち味のはずである。最近の韓国はこうなんだろうか。
―――うわ! 一矢報いた(笑)! ミスをかっさらってゴール。よし。ハーフタイム、マラドーナがゴリラみたいにチームを鼓舞して吠えながら歩いている(笑)。
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【後半】―――どわー、韓国がカウンター炸裂で3対4から完璧な決定機を作り、シュートがわずかに外れる。うーん、すごい。完全に崩していた。ああいう高速大カウンターが日本にはできないんだよなあ。カウンターサッカーはよく批判されるが、こういうチェルシー的に全速で走りながらドリブルしパスをつなぐというのは簡単なことではないのである。ショートパスサッカーより高い個人能力が求められると思う。今の日本にはできない。中田と稲本の全盛期にできたかどうかというところだ。
韓国は強い。02、06年もその強さに疑いはないと思ったが(02年も成績は誤審ゆえの2階級アップだったが、強かったのは事実)、ホームアドバンテージも夏の暑さもない中でのこの試合を見れば、もはや疑念の余地はないよな。02年以降の日本と韓国のこの違いは自信とマインドセットにあるんだろうか。「ヒディングみたいな勝負師監督を使うとあとには何も残らない」なんて日本の通はよく言うが、その後の海外で活躍する選手の多さ、06、10年の韓国チームの強さを見れば、負け惜しみとしか言いようがない。サッカーでは自信も実力のうちなのだろう。
しかし終盤はメッシ劇場となり、韓国の脚も止まり反撃できなくなり4-1で終了。一矢報いただけに終わった。しかしこうしたすべての努力が、韓国サッカーの財産となっていくだろう。アルゼンチンより弱い相手には負けないぞというまた1つの自信として。
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■10/06/19(土) □ ニッポン幸福フットボール
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【オランダ・日本】ああ、スタメンが変わってない。全員同じだ。こういうところが岡田監督は頑固で小心者だなあと思う。フレッシュなメンバーによるより能動的な展開を期待した気持ちが少し下がる。
序盤、やっぱおとといのアルゼンチンに比べたらオランダにさほど驚異のパスワークはないが、かなり強いプレスをかけても乱れそうで乱れないところはさすがである。
10分、松井のドリブルで時間を作り、速いショートパスを数本つないで長友のシュートまで行く。これは初戦にはなかったきれいで速いパス回しで、試合を通じてこれができれば十分攻められるが、保持率はなかなか上がらない。松井はカメルーン戦が自信になっているようで、DFの目前で大胆にボールを運んでいる。
18分、日本はボールが取れないが、ダッチのペースも上がらずカメルーン戦に続きスローなゲームになる。「日本はダッチとどう戦ったらいいかわかっており、実にうまくやっている」とアナ。俺もそう思う。パスをカットしたりタックルでボールを狩るという目に見えるハードワークはないが、パスコースを限定し、少しでもパスやトラップがブレたら奪うという高効率連動性で、エネルギーを浪費することなく相手の攻撃を無効化している。このカナダCBCの英国人(?)アナは本当によくサッカーを分かっていて好ましい。
ヴァンペルシーが何度も腕で中澤を突き飛ばす。あれはカードだろう。アナも同意見。序盤接触で駒野が顔を蹴られたし、オランダは密集地帯で脚を蹴り上げ競り合いでは腕を多用し、じれたらラフな試合を展開しそうな気配がある。レフがのあのへんをきっちり取ってほしい。
27分、ダッチが一向にペースを上げてこない。けっこう暑いのかもしれない。大久保が個人技でサイドを突破し一瞬観衆が湧くが次につながる前に潰される。あの大久保の力をもっと決定的なシーンで使いたいのだが。遠藤の厳しい表情が映る。彼の調子は上がっているようで、今日は攻撃によく絡んでいる。
37分、松井のカットから駒野が駆け上がり、先に到着した本田遠藤が攻めあぐねて後から到着した松井のショット。弱い。一番先に触った本田が、ダッチ守備が揃う前にトライすべきだった。あそこがやはり本職FWじゃない彼の弱みで、狭く時間がないところでは勝負できない。しかし日本が人数をかけ攻め始め、ややオープンになりようやく双方の攻め合いが始まる。残り5分、ラインを上げて日本が攻める。本田が持ち上がるがここでも右に突破できない弱点が出て横に流し大久保に渡らず。前半終了。
悪くない。イイといっても過言ではない。完全同一メンバーにはやや失望したが、守備重視路線転向メンバー2試合固定でたしかに連携が育ち、流動的に攻撃にいけるようになっている。「日本がプレスで非常に頑張っており、コンパクトさを保ってスペースを与えないことで、ダッチらしい美しいフットボールを見事にキャンセルしている」と元カナダ監督のレナドゥージがハーフタイム解説。アルゼンチンはスペースがなくても美しいフットボールをやってしまうのだが、ダッチはそこまですごくはないということは言える。
怖いのはフィジカルに来られることだ。ダッチが後半どれだけフィジカル勝負に来るか、それに耐えて反撃できるか。こういうバチバチとした当たりのある試合で、やはり俊輔が出るというのは考えられないな。岡田監督が「戦える選手、戦えない選手」という言わずもがなの発言をしてファンの気を害したが(「お前がその23人を選んだろう」と誰もが突っ込まずにおれない)、こういう当たりのある中で前に進んでいけるかどうかということを言いたかったんだろう。腕を使う相手が多いゆえ、顎を骨折したばかりの憲剛も使いにくいかもしれない。
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【後半】チームが落ち着く前にダッチの攻撃。ヴァンペルシーらがロングボールで裏を取る動きも始まった。引くな、頑張れ。「闘莉王が日本のバックで大きな役割を果たしている」とアナ。
ダッチが圧力を上げ日本はしばらく自陣に押し込まれ、ついにスナイデルのミドルが決まる。さほど危険なシーンは許してなかったのだが、徐々にクリアの飛距離が縮まりマークが間に合わなくなりフリーで打たせてしまった。インターナショナルレベルのGKならば弾くべきだったろうとアナ。あれはジャブラニのせいもあるんだろうか。ま、この相手にはどんな形であれ1点取られるのは仕方がない。引くな、頑張れ。
直後に大久保のドリブルシュート、よし。いいぞ。ああして最高級の敵が目一杯つぶしに来ても、大久保はドリブルで前を向きシュートまで持ち込む力がある。これまで日本がWCに送った最上のアタッカーである。しかしいかんせんこのポジションでは起動開始が後ろすぎ、打ってもゴールまで距離がありすぎる。もっと前で勝負を仕掛けたい。頼むぞ遠藤たち。フットボール目利きを言葉の端々から感じさせるこのCBCアナは日本を、「more than capable(有能以上)」と評している。つまり「なかなかヤルなというだけには留まらないチーム」であるということだ。フェアである。
続いて遠藤が上がりまた大久保シュート。弱い。日本のショートパス攻勢が続く。コーナーで闘莉王が上がる。弾かれる。FKから阿部のヘッド。弱い。ダッチを焦らせるほど決定的なシーンは作れないが、落ち着いて非常に日本らしいクレバーなパスサッカーが続く。―――これだよ。そうだよ。98年からこの方ずっと、俺はこれをWCで見たかったのだ。ニッポン幸福フットボール。いいぞ。すごくいい。
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―――え、ここで俊輔が入るとアナが。どこに? 松井か。そうか、このチームで松井の位置はフリーマンだもんな。しかしゆるゆるだったカメルーン戦では松井と俊輔を替えてもOKだと俺も思ったが、この試合で使えるんだろうか。こうしたタフな試合で中村が活躍したことなど、怪我を抜きにしても見たことがないのである。
68分、一進一退双方決め手がない展開の中、大久保→駒野ときれいに崩し、ゴール前の本田につながりかける。惜しい。ダッチの脚が止まり圧力がばったり減ったせいもあり、日本のプレスとショートパスが決まる。この圧力低下を見ての俊輔起用だろうが、これが吉と出れば岡田監督は俺たち素人が思うよりも冴えているわけだけれど、しかし。センターサークル付近でゆっくりとボールを転がしゲームをつくろうとする俊輔は、まるで1人真夏のアジアカップに出ているかのようだ。これはWCで、今は負けてるんだぞ。
本田も今日はまったく前に持っていけずリズムを作れないので、フレッシュな脚に交代させてもらいたい。憲剛を出してくれ。俊輔が使えるなら憲剛はなおさら問題ないだろう―――と思っていると大久保→岡崎、長谷部→玉田。憲剛ではなく玉田か。まあよし、玉田行け!
77分、俊輔がまたもやセンターサークルでボールを持ち、ゆっくり運んでいる間にかっさらわれカウンターを受ける。これはもう体調はともかく、この試合に必要な思考&プレースピードがまるでないではないか。俺たちアンチ俊輔がイメージする通りのバッド俊輔がそこにいる。今大会中にカンが戻るのかわからないが、それを確かめるために試合に出す余裕などないわけで、今後出番はないまま終わるだろう。日本が生んだ最大級の才能が結局WCで何もできずに終わるのは悲しいことだが。
81分、ついに闘莉王が上がる。彼はこの2試合DFとして最高の働きをしている。ダッチを相手にヘッドで一切負けていない。これで点まで取ったらスーパーマンである。84分、チーム全体前がかりで中澤が裏を取られ完璧なカウンターを食らうもGKが防ぐ。続けてセンターでボールを取られもう一度大カウンター、セーブ。あとで確認すると、潰されボールを取られたのはまた俊輔だった(ため息)。完全にカモにされている。中盤センターに彼がいて、よく失点せず済んだものである。打ったのがロッベンでなくアフェライで助かった。
88分、岡崎が闘莉王から流されたボールに食らいつき打つもネット。カメルーン戦に続き、あれが枠に行けば奴はほんとに日本のエースになれるのだが。反応し難しい姿勢でミートするのはえらい、それが枠に行けば一流、入ればスーパーなのだがというところで試合終了。
日本はまだあのニッポン幸福フットボール時間帯を数えるほどの時間しか作れないのだから、点が取れる可能性は低かった。しかし最高だった。これまで見た日本のWC試合で最高だった。そしてこのチームはまだよくなる。もう1試合、ドローを取れば2試合進化を続けられるのである。
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カメルーン戦を見るとデンマークは強いという感じは全くしないが、キレキレのカメルーンが1点しか取れなかったのだから、日本にとっても得点はそう簡単ではないかもしれない。
しかしそこを「ニッポン幸福フットボール」が崩すというシーンが見られれば、俺が15年間見つめてきた日本代表サッカーへの思いが報われる。02年を含めてもWCではこれまで表現できなかった日本サッカーのインテリジェンスと力を、今日のチームは見せてくれたのだ。名波が、中田が、そしてドイツで藻屑と消えた黄金世代が表現しきれなかった日本らしいサッカーが、短時間ではあるがついにできた。それは世界を驚かすというほどシャイニーで立派なものではないけれど、日本は実は身の程をわきまえているのでそれでいいのである。99年のワールドユースで感じたものに似た、快い満足感の得られたオランダ戦であった。デンマーク戦が楽しみで仕方がない。
2010/06/20
父の日カード
今日は父の日で、萌が朝パンケーキを焼き、カードをくれました。このカードのまんまサッカーばかり見てる毎日です。昨日のオランダ戦はよかった。初めてWCで見る、ニッポン幸福フットボールでした。
2010/06/16
日記「守備重視路線転向初戦?」
「至難のローラーブレード」「格上韓国」ほか。
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■10/06/09(水) □ 本田の1トップ?
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コートジボワール戦にも負けた日本代表は、最後に非公式の練習試合を組んで本田の1トップを試したそうだ。WC本番4日前に新フォーメーションを探っているなんてもう、情けなくてげんなりしてくる。たとえこれがピタリと決まってチームの持てる力が万全に出たとしても、積み上げられたげんなりは限度を超えている。今後もし奇跡が起きてチームが勝てたとしても、もう日本サッカーファンは岡田監督の顔も見たくないという状態になるだろう。日本に来れなくなってしまったジーコと同じだわ。
ジーコといえば対照的にトルシエは日本で今引っ張りだこなのか、大会直前にトルシエの談話があちこちに掲載されまくっている。
と、やっぱトルシエは日本サッカーをよくわかってるなあと思う。だからといってトルシエに戻してほしいとは誰も思わないわけだが(笑)。彼には合理的だが夢が足りず、ジーコ監督は夢ばかり言って何も作れず、オシムは夢などないといって必要以上に低いところから日本サッカーをビルドしようとし、岡田監督はマリノスでも代表でも誇大妄想的な夢を語りつつ、最後は守り倒すサッカーになっている。
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■10/06/11(金) □ 至難のローラーブレード
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WC開幕。南ア・メキシコ、ウルグアイ・不調フランスと開幕カードがどちらもドローで、静かに開幕した。俺は萌を連れてあちこち用足しに走り回っていた。本日は結婚記念日15回目である。Mが好きなものを作ってやろう。
WCについてこんなに気持ちが盛り上がってないのは、日本の準備状況があまりにも悪いからだろうな。ジーコのときも監督には期待はしてなかったけれど、コンフェデ杯のときのように合宿で噛み合えば優秀な選手の力は出るだろうとは思っていたのである。今回は噛み合う力もないままなのであります。明日の韓国戦の方が実は期待している。ギリシャを破るだろうなと。
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萌のバースデイプレゼントのローラーブレードを買ってきた。俺も自分用のを買う。試してみると思ったよりもはるかに恐ろしい。昔ガラガラと滑ってた工作精度の悪いローラースケートと違って、今どきのは氷上のアイススケートと同等にするする滑るのである。じっと立ってることも難しいほどよく滑る。こんなに難しいとは思わなかった。ホイールの径も材質も昔とは段違いだもんなあ。これは自分でやってみてよかった。萌にだけこれをやらせ、ああでもないこうでもないと脇から指示したところでうまくなるはずがないのである。
萌が近所キッズと遊ぶ間、俺がまず1人で練習をする。アスファルトだとちょうどいい滑り具合になるが、思ったよりも足の運びや推進力を得るためのキックが難しい。人が町中ですいすい走ってるのを見て憧れていたのだが、自分がやるとドタバタになり、バランスも崩しがちなのである。15分ほどやると一通り滑れるようになったが、考えていた長距離なんて無理だなあと思う。想像以上に進むので漕いでいても疲れないのだが、前後左右のバランスは想像以上に難しい。
次に俺がスケートを脱いで補助に回り萌にも滑らせるが、彼女は怖がってほとんど楽しめなかった。学校でやるときは板張りの体育館だから転んでも痛くないが、アスファルトで転んだらすごく痛いと思うと、怖くてお父さんから手を離せないという。そうかー。たしかにプロテクターはフル装備でも、これは怖いよな。うーん。ま、気長にやっていこう。
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■10/06/12(土) □ 格上韓国
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早起きして韓国戦を録画観戦。こうして自信満々で初戦に臨め、他国人の俺までもが期待できるような韓国がうらやましい。パクチソンに日本選手が劣るとは思えないのだが―――プレイスタイルからしてパクに中田のような技巧や美しさはない―――、キムヨナ・浅田さんの関係同様差がついてしまっている。純粋にスポーツ的な差ではなく、マネジメントの違いが大きいと思う。
セットプレーから簡単に先制。その後もアジリティで中盤を優位に支配する韓国。なんだこのギリシャの弱さは。こんな弱い相手をクジで引くのも含め、まったく時代はコリアだな。
うわ、パクチソンからピッチを斜めに切り裂くものすごいパスが出た。FWがシュートまで持ち込むもGKにブロックされたが、パクにあんなパス能力があるとは知らなかった。素晴らしい。
そして後半、相手のミスをかっさらってパクがDFのタックルをと軽々と交わし追加点。うーん、もうこの辺の欧州セカンドクラスとは格が違うゴールであった。ギリシャが弱いのは間違いないが、韓国もチーム全員に自信がみなぎって強い。日本が2連敗するのも道理で、パクを筆頭にプレミアで何人も活躍している(らしいが、日本のマスコミはまったく報道しないのである)韓国は、監督が有名人でなくても十分に強いのである。
美しくも華麗でもない、見ていて楽しい選手はいない韓国だが、だがしっかりと落ち着いた格上のサッカーで楽勝であった。うらやましい。日本だってギリシャならば過去に楽勝してるからなあ。
日本もシドニーオリンピックや 2002WC、例年のコンフェデレーションズカップではどことやってもこういう「俺たちの方がうまい」という自信をみなぎらせていたのだが、その後はフレンドリーで散発的にいいところを見せるだけだ。どこで道を誤ったのでしょうか。
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■10/06/13(日) □ 豪粉砕される
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今日は過去4年間日本とつばぜり合いを繰り広げてきたオーストラリアがドイツに粉砕されています。これはドイツの出来が最高なんだろうな。そういえばドイツは他の強豪と違いWC序盤にまごつくことがなく、いつもアジアの国が1次リーグで粉砕されている。序盤から負けるまで最高潮を保てるチーム気質なのだろう。
ケイヒルが相手を削って退場。4年前俊輔を削りまくる彼ら豪を見て、弱い日本のエースだから削れるんだろう、ロナウジーニョが相手でも削れるのかよとそのダーティさに憤ったのだが、どこが相手でもやることはあまり変わりないようである。
というわけで明日カメルーン戦。日本は、選手のコンディションはどうやら上がってきているらしい。コンディショニングは日本協会直属の岡田監督得意の分野なはずなので、せめて体調だけは初戦にピークを持ってきてほしいものである。4年前はそれさえもできなかったのから。
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■10/06/14(月) □ 守備重視路線転向初戦?
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【カメルーン・日本】ついにこの日がきた。ほんとに 4141 の面子だ。本田がFWとは。彼に期待していいものかどうか。
試合開始。とりあえずドログバみたいのはいないようでそれだけでも助かる。本田も下がってボールに触っているので、実質ゼロトップだ。気温は不明だがやはり涼しいのか、皆動きはいい。中盤の人数で上回るので後方は常時人数が足りているが、これで前に持っていく算段が.....。
11分、序盤妙に松井のサイドにばかりボールが届けられているが、これといった仕事はできず。大久保を使ってもらいたい。しかしカメルーンも調子がよほど悪いようで、日本が落ち着いてポゼッションできるようになってきた。
長谷部のクロスで本田にボールがこぼれる。あそこで本田にマークがついてないとは、これはカメルーンやばい。というかこのカメルーンから点が取れないと日本がやばい。現時点で火の入ってないカメルーンはギリシャより弱い。これに勝てんと日本はもう駄目なり。
「日本ゴールにボールが近づくたびに、DFはみなパニックを起こしボールをゴールからできるだけ遠ざけようとしている」とカナダTV解説がいう。たしかにカメルーンがこんな調子なんだから、日本DFはアタフタとクリアせずキープし、攻撃を組み立てるべきだろう。日本は別に引き篭っているわけではなく、自陣をバランスよく埋め、仕掛けてきたら寄せるだけで相手がミスしてくれるのである。しかし効率よく奪ってはいるが取るのが後方で、前には本田と松井しかいないのでカウンターもできない。
25分、日本もカメルーンの弱さに気がついてプレス開始点を前に持ってきた。これでやっと攻撃でき、本田のクロスまでしばらく攻撃が続く。しかし大久保はどうしたんだ。まるでボールに触ってないぞ。いま日本のメンバーで一番攻撃力があるのは奴のはずなのに(※)。日本は右から本田・松井がのんびりとキープしてのクロスばかりを繰り返している。アーリークロスで乱れを誘うという前日談話があったのでチームの方針なのだろうが、裏に抜けたり中に切り込んでいくというチャレンジがないので全然面白くない。
これほどプレスをかけてこない相手にならば後半俊輔だって使えるんではないかと思うようなゆるい試合が続く。松井は十分に力を発揮しているが、前に突破しなくてもいいフリーマンというこの職種で短時間なら怪我持ちの俊輔にだってできるだろうし、俊輔ならばもっとチームを動かせる。俺は俊輔のスローなサッカーが嫌いなのだが、こうしてスローなサッカーをする(というか相手がやらせてくれる)なら俊輔の方が優れている。
川島今日2度目のキャッチミスで着地に失敗し腰を強打。この辺が国際経験のなさか。ハラハラ。「このWCで最も低調(ローキー)な試合となっている」とカナダ解説。その通り。日本はまあこんなもんだろうがカメルーンがひどい。この相手に勝てないとほんとにまずい。
37分、カメルーンが初のシュート。これが双方初シュートだ。なんちゅうデッドなゲームか。返す攻撃で松井のクロス、これがファーにいた本田にこぼれ初シュート、ゴール。つまらん試合だがまあ先に失点しなくてよかったと思っていると、キッチンのラジオで得点経過を聞いたMが「ゴールじゃない、なんで叫んでないの!」とリビングに飛び込んできた。うーん、まあ入ったけど、別に日本がよくて点を取ったわけじゃないしなあ。
失点してもまだカメルーンには火が入らない。そのままハーフ。こうしてカメルーンは眠ったまま終わるのだろうか。ハーフタイムのダイジェストも作りようがないような試合である。まあ相手の調子がいいよりは悪いほうがいいけど(笑)、キリンカップに来た海外Bチームという感じの相手に日本もこの程度かよと思わざるを得ない。
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【後半】大久保が初めて1対1を仕掛けFKを取る。直後に今度は崩されて長友阿部がエトーに抜かれ折り返しを打たれ、ようやく双方サッカーらしくなってきた。エトーは右に張り実直に組み立て役をやっている。彼がゴール前にいないのはありがたいが、長友が抑え切れるか。しかしこの試合、審判はファウル取り過ぎだな。それも試合のつまらなさを助長している。
58分、大久保がサイドを変えDF横まで守りに行っていた。長友が上がるシーンも出てきた。少し人数をかけ攻めようとしているのか。しかし攻めるならば大久保の守備負担を減らさないと。大久保の位置が低すぎてDF裏へいけないのは、Football Manager 2008 を使ったこないだの分析で思ったとおりである。
日本はとにかくFWを入れてもっと縦への推進力を高めてほしいが、岡田監督はこうしてゲームがゆるいまま動かず終わってほしいことだろう。実際こりゃ「世界を驚かす」という監督のモットーを甚だ裏切った、世界が思う通りの退屈な日本サッカーだよなあ。こないだカペッロに「強烈な個性が著しく不足している」とコケにされた日本サッカーだ。ピッチには大久保も遠藤も闘莉王もいるのに。ベンチには憲剛も稲本も玉田もいるのに。フリーロールを与えられた右前方の2人以外は誰が誰だかわからないような、無個性なサッカーしか俺たちは表現できないのかという失望は深い。
残り20分で岡崎イン、松井アウト。松井はこのゆるいカメルーンだから効いたが、普通のWC出場国ならば止められてしまうんじゃないだろうか。うまいけど強力なクロスを持たないのであまり危険はない。ちょうど対面のカメルーン左SB、一番ボールを持ち目立っているが持たせておけば安全なエコトと同格だろう(こいつは FM 2008 でうちのトッテナムにいて、使えないので俺が首にしたのである)。
岡崎がイエローを取る。さすがにFWで松井より前に走りシュートを打ってくれそうな気配がある。しかし「去年のアジア最優秀選手」遠藤のFKはまるで狙ったところに飛ばず。彼はまだ最好調ではないのだろうか。残り10分、大久保に替え矢野。岡崎も矢野も守備に走る。
長谷部のミドル、GKが弾いたところを岡崎が打つもポストにヒット。惜しい。あれが入っていればオフサイドでも自信になったろうが。残り6分、カメルーンがプレッシャーをかける。ミドルがポストに当たる。ふー。だんだんと危機感が出てきました。長谷部に替わり稲本が入る、ボールを狩ってくれ。
カメルーンの波状攻撃からクロスをヒール、川島が止める! ―――ふー。よし。終了。ふー。日本のチーム状態にはなにも奇跡が起きなかったが、カメルーンが奇跡的に弱かったという試合であった。助かった。ギリシャをくじで引いた韓国をうらやましいと思ったが、日本の方がさらにラッキーだったのである。カメルーンは90イタリーWCで俺をWCに目覚めさせてくれた国なので、彼らがこれほど覇気のない試合をするのは残念なことなのだが(※)、壊滅状態から復帰中の日本にとってはほんとに助かった。
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4年待ってこれかという低調サッカーはドイツ初戦と同じだが、あのときはつまらん試合をしてその上大差負けだったので、とにかく助かった。WCなんだからどんな形でも勝ってくれてよかったとは正直思う。絶対負けてはならない過緊張のゲームをコントロールして3ポイントを取ったという、そのことは尊い。
しかし、次の(負けてもプランは変わらない)オランダ戦で攻撃のビルドアップを試み飛躍のきっかけが掴めればともかく、現状の攻撃でデンマークから点が取れるとはとても思えない。大久保や玉田がゴールを向いて勝負を仕掛け、本田遠藤らが後ろからこぼれ球を狙うといった形を作れなければ、残り2試合を戦う意味がない。
希望は全員がブロックとなって疲弊せず効率よく守れたことで、守備陣には余裕があった。だからこそ攻撃により力を割いてほしかったわけだが。
本田がこの大一番でごく普通にプレイできたことも大きい。やはり 2002 年の中田に近い存在である。02年に「世界を驚かす」をやったのは稲本で、今日のカナダ解説者もそのことを覚えていたが、あのとき普通にワールドクラスだった中田と今日の本田は同等の存在感だった。
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日本時間の朝になってサポティスタを見たら、コメント欄は岡田監督礼賛に満ちていた。おいおい。これが昨秋オランダ戦直後の「守備重視路線転向初戦」みたいなゲームで、ここから本番まで数カ月で攻撃をビルドアップしていくという段階の試合だったら期待が持てるが、もう本番なのである。
試合後のインタビューで岡田監督は実に細かくスカウティングし、大久保の守備専念などで対応をしていたのだとわかる。そういう相手へのきめ細かな対応で勝ち点を拾うというサッカーはせず、自分のサッカーを貫くと2年半監督は言い続けWC予選後チームを一切変えなかったわけだが、結局最後に苦しくなり変えたわけだ。彼の札幌&マリノスでの仕事と同じである。
岡田監督と日本協会がベスト4だの自分のサッカーだのに囚われなければ、これだけ守りつつもっと攻撃にも力を注げるチームを、WC2週間前~本番中なんて馬鹿げた期間ではなくじっくり時間をかけて作れたはずだろう。もし作れなかったら作れる人を探すべきだったのだし。このド不調カメルーンに勝ったくらいで、監督を褒めていいわけがないのだ。
日本の人材をもってしてこんな攻撃力のないチームしか作れないのなら、それはジーコと同等の大失敗である。この1勝でとにかく自信を掴み、残る2戦で攻撃力を積み上げてもらいたい。ジーコに大会中の立て直しはできなかったが、岡田監督にはそれをやるための職業知識はあるはずだ。
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■10/06/09(水) □ 本田の1トップ?
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コートジボワール戦にも負けた日本代表は、最後に非公式の練習試合を組んで本田の1トップを試したそうだ。WC本番4日前に新フォーメーションを探っているなんてもう、情けなくてげんなりしてくる。たとえこれがピタリと決まってチームの持てる力が万全に出たとしても、積み上げられたげんなりは限度を超えている。今後もし奇跡が起きてチームが勝てたとしても、もう日本サッカーファンは岡田監督の顔も見たくないという状態になるだろう。日本に来れなくなってしまったジーコと同じだわ。
ジーコといえば対照的にトルシエは日本で今引っ張りだこなのか、大会直前にトルシエの談話があちこちに掲載されまくっている。
「岡田監督の頭は混乱している。スペインやブラジルのようにプレーしたいと考えている」
「中村は美しい選手で、試合を決める力もあるが、(試合中は)彼のことを保護する必要がある。中村はレアル・マドリーやバルセロナでは問題なくプレーできるだろう。才能豊かな選手たちのサポートがあるからね。でも、エスパニョールではノーだ」「(中堅クラブで活躍するには)守備の能力が必要で、中村にはそれがない。チームのボール支配率が60から70%あれば中村は偉大だが、昨日の試合は違った」と語り、格上との対戦が待つW杯での活躍は難しいとした。
と、やっぱトルシエは日本サッカーをよくわかってるなあと思う。だからといってトルシエに戻してほしいとは誰も思わないわけだが(笑)。彼には合理的だが夢が足りず、ジーコ監督は夢ばかり言って何も作れず、オシムは夢などないといって必要以上に低いところから日本サッカーをビルドしようとし、岡田監督はマリノスでも代表でも誇大妄想的な夢を語りつつ、最後は守り倒すサッカーになっている。
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■10/06/11(金) □ 至難のローラーブレード
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WC開幕。南ア・メキシコ、ウルグアイ・不調フランスと開幕カードがどちらもドローで、静かに開幕した。俺は萌を連れてあちこち用足しに走り回っていた。本日は結婚記念日15回目である。Mが好きなものを作ってやろう。
WCについてこんなに気持ちが盛り上がってないのは、日本の準備状況があまりにも悪いからだろうな。ジーコのときも監督には期待はしてなかったけれど、コンフェデ杯のときのように合宿で噛み合えば優秀な選手の力は出るだろうとは思っていたのである。今回は噛み合う力もないままなのであります。明日の韓国戦の方が実は期待している。ギリシャを破るだろうなと。
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萌のバースデイプレゼントのローラーブレードを買ってきた。俺も自分用のを買う。試してみると思ったよりもはるかに恐ろしい。昔ガラガラと滑ってた工作精度の悪いローラースケートと違って、今どきのは氷上のアイススケートと同等にするする滑るのである。じっと立ってることも難しいほどよく滑る。こんなに難しいとは思わなかった。ホイールの径も材質も昔とは段違いだもんなあ。これは自分でやってみてよかった。萌にだけこれをやらせ、ああでもないこうでもないと脇から指示したところでうまくなるはずがないのである。
萌が近所キッズと遊ぶ間、俺がまず1人で練習をする。アスファルトだとちょうどいい滑り具合になるが、思ったよりも足の運びや推進力を得るためのキックが難しい。人が町中ですいすい走ってるのを見て憧れていたのだが、自分がやるとドタバタになり、バランスも崩しがちなのである。15分ほどやると一通り滑れるようになったが、考えていた長距離なんて無理だなあと思う。想像以上に進むので漕いでいても疲れないのだが、前後左右のバランスは想像以上に難しい。
次に俺がスケートを脱いで補助に回り萌にも滑らせるが、彼女は怖がってほとんど楽しめなかった。学校でやるときは板張りの体育館だから転んでも痛くないが、アスファルトで転んだらすごく痛いと思うと、怖くてお父さんから手を離せないという。そうかー。たしかにプロテクターはフル装備でも、これは怖いよな。うーん。ま、気長にやっていこう。
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■10/06/12(土) □ 格上韓国
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早起きして韓国戦を録画観戦。こうして自信満々で初戦に臨め、他国人の俺までもが期待できるような韓国がうらやましい。パクチソンに日本選手が劣るとは思えないのだが―――プレイスタイルからしてパクに中田のような技巧や美しさはない―――、キムヨナ・浅田さんの関係同様差がついてしまっている。純粋にスポーツ的な差ではなく、マネジメントの違いが大きいと思う。
セットプレーから簡単に先制。その後もアジリティで中盤を優位に支配する韓国。なんだこのギリシャの弱さは。こんな弱い相手をクジで引くのも含め、まったく時代はコリアだな。
うわ、パクチソンからピッチを斜めに切り裂くものすごいパスが出た。FWがシュートまで持ち込むもGKにブロックされたが、パクにあんなパス能力があるとは知らなかった。素晴らしい。
そして後半、相手のミスをかっさらってパクがDFのタックルをと軽々と交わし追加点。うーん、もうこの辺の欧州セカンドクラスとは格が違うゴールであった。ギリシャが弱いのは間違いないが、韓国もチーム全員に自信がみなぎって強い。日本が2連敗するのも道理で、パクを筆頭にプレミアで何人も活躍している(らしいが、日本のマスコミはまったく報道しないのである)韓国は、監督が有名人でなくても十分に強いのである。
美しくも華麗でもない、見ていて楽しい選手はいない韓国だが、だがしっかりと落ち着いた格上のサッカーで楽勝であった。うらやましい。日本だってギリシャならば過去に楽勝してるからなあ。
日本もシドニーオリンピックや 2002WC、例年のコンフェデレーションズカップではどことやってもこういう「俺たちの方がうまい」という自信をみなぎらせていたのだが、その後はフレンドリーで散発的にいいところを見せるだけだ。どこで道を誤ったのでしょうか。
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■10/06/13(日) □ 豪粉砕される
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今日は過去4年間日本とつばぜり合いを繰り広げてきたオーストラリアがドイツに粉砕されています。これはドイツの出来が最高なんだろうな。そういえばドイツは他の強豪と違いWC序盤にまごつくことがなく、いつもアジアの国が1次リーグで粉砕されている。序盤から負けるまで最高潮を保てるチーム気質なのだろう。
ケイヒルが相手を削って退場。4年前俊輔を削りまくる彼ら豪を見て、弱い日本のエースだから削れるんだろう、ロナウジーニョが相手でも削れるのかよとそのダーティさに憤ったのだが、どこが相手でもやることはあまり変わりないようである。
というわけで明日カメルーン戦。日本は、選手のコンディションはどうやら上がってきているらしい。コンディショニングは日本協会直属の岡田監督得意の分野なはずなので、せめて体調だけは初戦にピークを持ってきてほしいものである。4年前はそれさえもできなかったのから。
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■10/06/14(月) □ 守備重視路線転向初戦?
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【カメルーン・日本】ついにこの日がきた。ほんとに 4141 の面子だ。本田がFWとは。彼に期待していいものかどうか。
試合開始。とりあえずドログバみたいのはいないようでそれだけでも助かる。本田も下がってボールに触っているので、実質ゼロトップだ。気温は不明だがやはり涼しいのか、皆動きはいい。中盤の人数で上回るので後方は常時人数が足りているが、これで前に持っていく算段が.....。
11分、序盤妙に松井のサイドにばかりボールが届けられているが、これといった仕事はできず。大久保を使ってもらいたい。しかしカメルーンも調子がよほど悪いようで、日本が落ち着いてポゼッションできるようになってきた。
長谷部のクロスで本田にボールがこぼれる。あそこで本田にマークがついてないとは、これはカメルーンやばい。というかこのカメルーンから点が取れないと日本がやばい。現時点で火の入ってないカメルーンはギリシャより弱い。これに勝てんと日本はもう駄目なり。
「日本ゴールにボールが近づくたびに、DFはみなパニックを起こしボールをゴールからできるだけ遠ざけようとしている」とカナダTV解説がいう。たしかにカメルーンがこんな調子なんだから、日本DFはアタフタとクリアせずキープし、攻撃を組み立てるべきだろう。日本は別に引き篭っているわけではなく、自陣をバランスよく埋め、仕掛けてきたら寄せるだけで相手がミスしてくれるのである。しかし効率よく奪ってはいるが取るのが後方で、前には本田と松井しかいないのでカウンターもできない。
25分、日本もカメルーンの弱さに気がついてプレス開始点を前に持ってきた。これでやっと攻撃でき、本田のクロスまでしばらく攻撃が続く。しかし大久保はどうしたんだ。まるでボールに触ってないぞ。いま日本のメンバーで一番攻撃力があるのは奴のはずなのに(※)。日本は右から本田・松井がのんびりとキープしてのクロスばかりを繰り返している。アーリークロスで乱れを誘うという前日談話があったのでチームの方針なのだろうが、裏に抜けたり中に切り込んでいくというチャレンジがないので全然面白くない。
(※)あとで選手のコメントを読むと大久保が攻撃できなかったのは、カメルーンの左サイドが弱いから徹底して突き、強力な右サイドは長友と大久保でがっちり守るというプランだったとのこと。守備がメインタスクでは大久保も前に飛び出す余力はなかったわけだ。
これほどプレスをかけてこない相手にならば後半俊輔だって使えるんではないかと思うようなゆるい試合が続く。松井は十分に力を発揮しているが、前に突破しなくてもいいフリーマンというこの職種で短時間なら怪我持ちの俊輔にだってできるだろうし、俊輔ならばもっとチームを動かせる。俺は俊輔のスローなサッカーが嫌いなのだが、こうしてスローなサッカーをする(というか相手がやらせてくれる)なら俊輔の方が優れている。
川島今日2度目のキャッチミスで着地に失敗し腰を強打。この辺が国際経験のなさか。ハラハラ。「このWCで最も低調(ローキー)な試合となっている」とカナダ解説。その通り。日本はまあこんなもんだろうがカメルーンがひどい。この相手に勝てないとほんとにまずい。
37分、カメルーンが初のシュート。これが双方初シュートだ。なんちゅうデッドなゲームか。返す攻撃で松井のクロス、これがファーにいた本田にこぼれ初シュート、ゴール。つまらん試合だがまあ先に失点しなくてよかったと思っていると、キッチンのラジオで得点経過を聞いたMが「ゴールじゃない、なんで叫んでないの!」とリビングに飛び込んできた。うーん、まあ入ったけど、別に日本がよくて点を取ったわけじゃないしなあ。
失点してもまだカメルーンには火が入らない。そのままハーフ。こうしてカメルーンは眠ったまま終わるのだろうか。ハーフタイムのダイジェストも作りようがないような試合である。まあ相手の調子がいいよりは悪いほうがいいけど(笑)、キリンカップに来た海外Bチームという感じの相手に日本もこの程度かよと思わざるを得ない。
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【後半】大久保が初めて1対1を仕掛けFKを取る。直後に今度は崩されて長友阿部がエトーに抜かれ折り返しを打たれ、ようやく双方サッカーらしくなってきた。エトーは右に張り実直に組み立て役をやっている。彼がゴール前にいないのはありがたいが、長友が抑え切れるか。しかしこの試合、審判はファウル取り過ぎだな。それも試合のつまらなさを助長している。
58分、大久保がサイドを変えDF横まで守りに行っていた。長友が上がるシーンも出てきた。少し人数をかけ攻めようとしているのか。しかし攻めるならば大久保の守備負担を減らさないと。大久保の位置が低すぎてDF裏へいけないのは、Football Manager 2008 を使ったこないだの分析で思ったとおりである。
日本はとにかくFWを入れてもっと縦への推進力を高めてほしいが、岡田監督はこうしてゲームがゆるいまま動かず終わってほしいことだろう。実際こりゃ「世界を驚かす」という監督のモットーを甚だ裏切った、世界が思う通りの退屈な日本サッカーだよなあ。こないだカペッロに「強烈な個性が著しく不足している」とコケにされた日本サッカーだ。ピッチには大久保も遠藤も闘莉王もいるのに。ベンチには憲剛も稲本も玉田もいるのに。フリーロールを与えられた右前方の2人以外は誰が誰だかわからないような、無個性なサッカーしか俺たちは表現できないのかという失望は深い。
残り20分で岡崎イン、松井アウト。松井はこのゆるいカメルーンだから効いたが、普通のWC出場国ならば止められてしまうんじゃないだろうか。うまいけど強力なクロスを持たないのであまり危険はない。ちょうど対面のカメルーン左SB、一番ボールを持ち目立っているが持たせておけば安全なエコトと同格だろう(こいつは FM 2008 でうちのトッテナムにいて、使えないので俺が首にしたのである)。
岡崎がイエローを取る。さすがにFWで松井より前に走りシュートを打ってくれそうな気配がある。しかし「去年のアジア最優秀選手」遠藤のFKはまるで狙ったところに飛ばず。彼はまだ最好調ではないのだろうか。残り10分、大久保に替え矢野。岡崎も矢野も守備に走る。
長谷部のミドル、GKが弾いたところを岡崎が打つもポストにヒット。惜しい。あれが入っていればオフサイドでも自信になったろうが。残り6分、カメルーンがプレッシャーをかける。ミドルがポストに当たる。ふー。だんだんと危機感が出てきました。長谷部に替わり稲本が入る、ボールを狩ってくれ。
カメルーンの波状攻撃からクロスをヒール、川島が止める! ―――ふー。よし。終了。ふー。日本のチーム状態にはなにも奇跡が起きなかったが、カメルーンが奇跡的に弱かったという試合であった。助かった。ギリシャをくじで引いた韓国をうらやましいと思ったが、日本の方がさらにラッキーだったのである。カメルーンは90イタリーWCで俺をWCに目覚めさせてくれた国なので、彼らがこれほど覇気のない試合をするのは残念なことなのだが(※)、壊滅状態から復帰中の日本にとってはほんとに助かった。
(※)こっちはうまく高地対策できたが、カメルーンは失敗したんじゃないかと稲本がコメントしていた。そうかもしれないな、あの試合っぷりでは。
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4年待ってこれかという低調サッカーはドイツ初戦と同じだが、あのときはつまらん試合をしてその上大差負けだったので、とにかく助かった。WCなんだからどんな形でも勝ってくれてよかったとは正直思う。絶対負けてはならない過緊張のゲームをコントロールして3ポイントを取ったという、そのことは尊い。
しかし、次の(負けてもプランは変わらない)オランダ戦で攻撃のビルドアップを試み飛躍のきっかけが掴めればともかく、現状の攻撃でデンマークから点が取れるとはとても思えない。大久保や玉田がゴールを向いて勝負を仕掛け、本田遠藤らが後ろからこぼれ球を狙うといった形を作れなければ、残り2試合を戦う意味がない。
希望は全員がブロックとなって疲弊せず効率よく守れたことで、守備陣には余裕があった。だからこそ攻撃により力を割いてほしかったわけだが。
本田がこの大一番でごく普通にプレイできたことも大きい。やはり 2002 年の中田に近い存在である。02年に「世界を驚かす」をやったのは稲本で、今日のカナダ解説者もそのことを覚えていたが、あのとき普通にワールドクラスだった中田と今日の本田は同等の存在感だった。
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日本時間の朝になってサポティスタを見たら、コメント欄は岡田監督礼賛に満ちていた。おいおい。これが昨秋オランダ戦直後の「守備重視路線転向初戦」みたいなゲームで、ここから本番まで数カ月で攻撃をビルドアップしていくという段階の試合だったら期待が持てるが、もう本番なのである。
試合後のインタビューで岡田監督は実に細かくスカウティングし、大久保の守備専念などで対応をしていたのだとわかる。そういう相手へのきめ細かな対応で勝ち点を拾うというサッカーはせず、自分のサッカーを貫くと2年半監督は言い続けWC予選後チームを一切変えなかったわけだが、結局最後に苦しくなり変えたわけだ。彼の札幌&マリノスでの仕事と同じである。
岡田監督と日本協会がベスト4だの自分のサッカーだのに囚われなければ、これだけ守りつつもっと攻撃にも力を注げるチームを、WC2週間前~本番中なんて馬鹿げた期間ではなくじっくり時間をかけて作れたはずだろう。もし作れなかったら作れる人を探すべきだったのだし。このド不調カメルーンに勝ったくらいで、監督を褒めていいわけがないのだ。
日本の人材をもってしてこんな攻撃力のないチームしか作れないのなら、それはジーコと同等の大失敗である。この1勝でとにかく自信を掴み、残る2戦で攻撃力を積み上げてもらいたい。ジーコに大会中の立て直しはできなかったが、岡田監督にはそれをやるための職業知識はあるはずだ。
2010/06/07
日記「4132 にトライしてほしかった」
「盛り下がりのダンスパーティ」「日本語学校の子供たち」ほか。
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■10/05/30(日) □ 4132 にトライしてほしかった
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日本代表イングランド戦ダイジェストが Youtube に上がるのを朝から待ち、午後になって見られた。とりあえず勝てんが簡単にはやられないという程度の、いつものコンフェデ杯くらいの感じには戻った模様。まともに動けない俊輔を外せば、これくらいはできるてなところか。
その映像を見ていて、あとは俊輔をスタメンに戻さないでくれれば、もう今回はこれでいいかという諦念が湧いてくる。頑張って力及ばずという、まあトヨタカップでの浦和やガンバくらいの試合になるだろう。それが日本サッカーか。半人前の俊輔の奇跡のビッグプレーをただ待つだけの270分を今年も繰り返されるのだけはほんと勘弁してもらいたいが―――そうなったらほんと、成田に行って岡田監督に卵をぶつけたくなる―――、こうして健康な選手が普通に頑張れればもういいかと。
コンディションの悪い選手がバタバタと力を浪費し粉砕された06年の屈辱を晴らすような、日本のサッカー人材を活用した合理的な戦いをしてもらいたいとそれだけを岡田監督に期待していたのだが、今となってはそれも高望みとしか感じられない。サッカーにおいて合理的に行き合理的な結果を出すということは、そんなに簡単なことではないのだろうか。それとも岡田監督が意外にも合理的な人物ではなかったのか。彼が特におかしくなったのは予選突破後だよな。90分プレスをかけ続けるとか4位を目指すとか、無茶なことばかり言って格下としてのチーム作りをしないできたツケが、ここで破綻を招いている。
----------------------
いろんなレビューを読むとチーム状態が去年に戻ったというより、DF前にアンカーを置くシステムの構築に着手し効果が出たということであるようだ。これまで3年やってきて、残り準備試合2戦でやっと格下仕様に定まったのかとため息が出る。戦術をこうして大きく変えるならメンバー選びだって変わるだろうと思うが、とにかく試してないのだから誰の方が役に立つだろうと議論推測できる余地すらない。まあとにかく、今となっては岡田監督にできる「合理的」なことはアンカーを置き守備力を上げる、コンディションのいい選手を起用するという2点だけなので、それが実行されそうなのだけはほっとするが。
俺も Football Manager 2008 トッテナムでDFが一流FWをどうしても止められないので、同じアンカーを置いた 4132 システムを作り使っている。これでチェルシーとリバプールを破りFAカップを取ったので、アンカーの効能はよくわかる。敵MFからFWにいいボールが入る率(入射角)を減らし、1対1のシーンを削減することができる。またアンカーがいれば守備負担が減るSBが位置を上げられるので、ボール回しに加わることができるのも大きい。MFの3人が敵プレスに苦しくなったら、プレスが薄い後方サイドのエリアでアンカーとSBがボールを回し落ち着かせることができるのだ(そこで技術のある内田が生きるのに、彼がよかったときになぜこのシステムを試さなかったのか。ああ加地がいてくれたら!)。
しかし 4141 では攻撃が難しい。トッテナムではMF3枚に攻守ともしっかり仕事をする万能タイプを並べ、トップ下からボックス内にスルーを送り込み、足の速いFWが敵よりも先に触り勝負するというのを主な攻撃方法にしていたのだが、4141 ではFWが1枚なのでどこにスルーを出しても捕まってしまう。ウィング2枚(大久保と本田?)もウィンガーではないし位置が低いので、DFの裏でボールを受けることは不可能だろう。というわけでシュートへ持ち込むパターンが見えてこない。守って散発的に反撃しシュートは打てずの繰り返しになるのが自然の流れであり、何かが起きるとすれば大久保と本田のハプニング的なビッグプレーからだけだろうと思う。1試合で数回あるかどうか。
憲剛、長谷部、遠藤を並べた 4132 で強豪と戦い、憲剛と遠藤がどれだけ俊足FWにボールを通せるかを見てみたかった。2人とも守備は弱いが、そこを突破されても長友、加地がカバーできる。90分で2点未満に抑えられるかどうかはギリギリだと思うが、4141 大久保本田のビッグプレーよりは、4132 憲剛遠藤のひらめきのほうが頻度は高いと FM 2008 監督の俺は考える。4132 にトライしてほしかった。手遅れになる前に。
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■10/06/02(水) □ 萌の年齢が二桁に
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萌の誕生日。今年はパーティを家でやりたいとの希望から、準備が整わず今日は寿司を食いに行くだけとなる。
誕生日なのにまだプレゼントは買いにいけてないし(昨日在庫はチェックしておいたが)、ケーキなども用意していないので気が咎め、学校のスナックとランチに普段入れないチョコレート1片、ビーフジャーキー、クラッカーを入れてやる。うちはお母さんが厳格なので普段学校にジャンクフードは持っていけないのだが、たったこれだけのエクストラが入るだけで萌は本当に喜んでくれる。もう10歳、いつまでこんな小さなことで喜んでくれるだろうか。
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日本代表へのコメント?「本気のか、それとも社交辞令でいいのか?」
カペッロが、「アフリカの時代なんて来ない、ましてアジアの国々がW杯で世界を驚かすなんてあり得ない」というインタビューを読みショックを受けた。現状でそんなことは誰だって分かっているが、公言しないのが常識というものであり、未来への希望まで摘み取るような発言は人種差別と紙一重だろう。ローマ時代に自分のチームにいた中田の評価まで低める発言をしているのだから、まことにげんなりさせられる記事である。カペッロがこんな人だとは知らなかった。昨日イングランドを破っておいてほしかった。
しかしこういう日本サッカーサゲサゲ記事を連発している日刊ゲンダイを筆頭とするニッポンスポーツマスコミ(韓国もまったく同じ)に言いたいのは、日本の代表チームやサッカー選手や岡田監督よりも、マスコミはさらに程度が低いということだ。ベスト4を目指すと言ってしまった岡田監督よりも、世界の有名監督大選手に「岡田監督のベスト4発言をどう思いますか」「日本の選手/サッカーをどう評価しますか」といった愚問を繰り返す日本マスコミのほうがよほど恥ずかしいし、こういう記者は日本人の知性に対する外国人の印象を間違いなく低めている。相手の知ったこっちゃないことを聞く人間は馬鹿でしかないのである。
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■10/06/04(金) □ 盛り下がりのダンスパーティ
=======================
【スクールダンスパーティ】年度末恒例の萌のスクールダンス。しかし今年は俺の知る限り一番盛り下がっており、もはや来年はないかもと思うほどのしょぼさであった。とにかく音楽が悪すぎる。
選曲が悪いのはいつものことだが、今年はサウンドシステムが例年にも増して最悪で、音が全然小さい。いつもはパーキングやプレイグラウンドにまでズンズンと音が聞こえてき、その音量だけは皆の気持ちをウキウキとお祭り気分にさせていたのだが、今年は家庭用ステレオと大差ないくらいの音量しかない上に音がバリバリに歪んでおり、何がかかっているのかすらわからない。こんな音でダンスパーティと言われても......と、子供も父兄もみなぼんやりとダンスフロアを眺めている。
かかっていた曲はしばらくじーっと聴いていてやっと「クロコダイルロック(エルトン・ジョン)」などだとわかったが、あんな単調な8ビートで踊れるわけがない。今年の「テーマ」は「70's」なのだそうだが、だったら 70's ディスコにすればいいのに、なんでこう何も考えず時代だけ合わせた事務的な選曲をするのだろう。小学生だってこんなんじゃ単調すぎて踊りようがないのである。こんな8ビートはお尻をフリフリする以外合わせて踊ることなどできないわけで、当時だってこんなんで踊ってる人はドナルドダックの着ぐるみを着たエルトン・ジョン本人しかいなかったのだ。そのイモさゆえエルトン・ジョンは日本でまるきり売れなかったのであり、子供とはいえ現代人がこんなもので踊れるわけがない。結果として踊ってるのは3歳くらいの幼児とそのお母さんたちだけであった。
毎年毎年ここにやってくるDJはほんとロクな音楽をかけたことがない。彼らがディスコに行ったことがあるのかどうかすら疑わしい。1校数百人の年に一度の楽しみを台なしにして、心に痛みは感じないのだろうかと不思議だ。こんなDJを雇うPTAもPTAで、「ダンスパーティくじ」の景品寄付金集めなんつーくだらないものに最大の力を注ぐ愚劣さはなんなのかと思う。その努力を音楽に使ってくださいよ。ダンスフロアーに華やかな光、僕をそっと包むよなハーモニーで踊りたかった。
去年卒業したガールズが大勢着飾って、もうほとんどティーンエイジャーとなりまばゆいばかりの美しさで来訪していたのだが、彼女たちもこれじゃなんだかねと呆れた顔で、早々に退散していった。悲しい光景であった。
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■10/06/06(日) □ 日本語学校の子供たち
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【日本語学校発表会】萌と一時同クラスだった、車を運転してる大人ガールEMちゃん17歳が卒業生の1人だった。あんなに大きくなるまで日本語学校といういささか幼稚なものに通い続け終了するとは、よほど素直で前向きな子なのだろう。
日本語学校の廊下で毎週俺たち父兄にきちんと挨拶していく中1くらいの女の子にも、どこか少し感動させられるものがある。普段カナダの小学校じゃ子供が父兄に挨拶するなんてことはなく、完全に視野から除外されているからなあ(付き合いのない人に対して徹底的に無関心なのは父兄も同じ)。ああいう一般的なカナダキッズ態度と、まったく知らない人なのに「こんにちは」と頭を下げていくあの子とでは、えらい違いなのである。萌もああいう日本的素朴さをなくさないティーンになってもらいたい。
萌KT・HNの発表は「子供の日について」というもので、内容はどうということはなかったが、人前でしゃべることが苦手な緊張しいの萌も頑張ってしっかりとやり遂げ、よくやったと褒めてあげました。
----------------------
その後KT・HNを久々に家に呼ぶ。あの2人は日本語のほうが語彙も話法も豊富に持っているはずのに、もう萌とはもちろん、兄弟間でも英語しか喋らないので驚く。
その会話を聞いていて、これは彼らが知っている日本語のソフトさが、兄弟友達と遊ぶときのメンタリティとはマッチしないのだろうなとわかってきた。萌も彼らも「お前さあ、ナントカだよな」「俺の番だろ、あっち行けよ」といったトーンで喋りたいのだろう。日本語でそこまで言うには親密さとトゲトゲした気持ちとの微妙なバランス取りがいるわけだが、英語だとまるで普通にこう言えてしまうという便利さがウケているのだと思われます。つまり極めてテクニカルな現象なのだ。
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■10/05/30(日) □ 4132 にトライしてほしかった
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日本代表イングランド戦ダイジェストが Youtube に上がるのを朝から待ち、午後になって見られた。とりあえず勝てんが簡単にはやられないという程度の、いつものコンフェデ杯くらいの感じには戻った模様。まともに動けない俊輔を外せば、これくらいはできるてなところか。
その映像を見ていて、あとは俊輔をスタメンに戻さないでくれれば、もう今回はこれでいいかという諦念が湧いてくる。頑張って力及ばずという、まあトヨタカップでの浦和やガンバくらいの試合になるだろう。それが日本サッカーか。半人前の俊輔の奇跡のビッグプレーをただ待つだけの270分を今年も繰り返されるのだけはほんと勘弁してもらいたいが―――そうなったらほんと、成田に行って岡田監督に卵をぶつけたくなる―――、こうして健康な選手が普通に頑張れればもういいかと。
コンディションの悪い選手がバタバタと力を浪費し粉砕された06年の屈辱を晴らすような、日本のサッカー人材を活用した合理的な戦いをしてもらいたいとそれだけを岡田監督に期待していたのだが、今となってはそれも高望みとしか感じられない。サッカーにおいて合理的に行き合理的な結果を出すということは、そんなに簡単なことではないのだろうか。それとも岡田監督が意外にも合理的な人物ではなかったのか。彼が特におかしくなったのは予選突破後だよな。90分プレスをかけ続けるとか4位を目指すとか、無茶なことばかり言って格下としてのチーム作りをしないできたツケが、ここで破綻を招いている。
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いろんなレビューを読むとチーム状態が去年に戻ったというより、DF前にアンカーを置くシステムの構築に着手し効果が出たということであるようだ。これまで3年やってきて、残り準備試合2戦でやっと格下仕様に定まったのかとため息が出る。戦術をこうして大きく変えるならメンバー選びだって変わるだろうと思うが、とにかく試してないのだから誰の方が役に立つだろうと議論推測できる余地すらない。まあとにかく、今となっては岡田監督にできる「合理的」なことはアンカーを置き守備力を上げる、コンディションのいい選手を起用するという2点だけなので、それが実行されそうなのだけはほっとするが。
俺も Football Manager 2008 トッテナムでDFが一流FWをどうしても止められないので、同じアンカーを置いた 4132 システムを作り使っている。これでチェルシーとリバプールを破りFAカップを取ったので、アンカーの効能はよくわかる。敵MFからFWにいいボールが入る率(入射角)を減らし、1対1のシーンを削減することができる。またアンカーがいれば守備負担が減るSBが位置を上げられるので、ボール回しに加わることができるのも大きい。MFの3人が敵プレスに苦しくなったら、プレスが薄い後方サイドのエリアでアンカーとSBがボールを回し落ち着かせることができるのだ(そこで技術のある内田が生きるのに、彼がよかったときになぜこのシステムを試さなかったのか。ああ加地がいてくれたら!)。
しかし 4141 では攻撃が難しい。トッテナムではMF3枚に攻守ともしっかり仕事をする万能タイプを並べ、トップ下からボックス内にスルーを送り込み、足の速いFWが敵よりも先に触り勝負するというのを主な攻撃方法にしていたのだが、4141 ではFWが1枚なのでどこにスルーを出しても捕まってしまう。ウィング2枚(大久保と本田?)もウィンガーではないし位置が低いので、DFの裏でボールを受けることは不可能だろう。というわけでシュートへ持ち込むパターンが見えてこない。守って散発的に反撃しシュートは打てずの繰り返しになるのが自然の流れであり、何かが起きるとすれば大久保と本田のハプニング的なビッグプレーからだけだろうと思う。1試合で数回あるかどうか。
憲剛、長谷部、遠藤を並べた 4132 で強豪と戦い、憲剛と遠藤がどれだけ俊足FWにボールを通せるかを見てみたかった。2人とも守備は弱いが、そこを突破されても長友、加地がカバーできる。90分で2点未満に抑えられるかどうかはギリギリだと思うが、4141 大久保本田のビッグプレーよりは、4132 憲剛遠藤のひらめきのほうが頻度は高いと FM 2008 監督の俺は考える。4132 にトライしてほしかった。手遅れになる前に。
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■10/06/02(水) □ 萌の年齢が二桁に
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萌の誕生日。今年はパーティを家でやりたいとの希望から、準備が整わず今日は寿司を食いに行くだけとなる。
誕生日なのにまだプレゼントは買いにいけてないし(昨日在庫はチェックしておいたが)、ケーキなども用意していないので気が咎め、学校のスナックとランチに普段入れないチョコレート1片、ビーフジャーキー、クラッカーを入れてやる。うちはお母さんが厳格なので普段学校にジャンクフードは持っていけないのだが、たったこれだけのエクストラが入るだけで萌は本当に喜んでくれる。もう10歳、いつまでこんな小さなことで喜んでくれるだろうか。
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日本代表へのコメント?「本気のか、それとも社交辞令でいいのか?」
カペッロが、「アフリカの時代なんて来ない、ましてアジアの国々がW杯で世界を驚かすなんてあり得ない」というインタビューを読みショックを受けた。現状でそんなことは誰だって分かっているが、公言しないのが常識というものであり、未来への希望まで摘み取るような発言は人種差別と紙一重だろう。ローマ時代に自分のチームにいた中田の評価まで低める発言をしているのだから、まことにげんなりさせられる記事である。カペッロがこんな人だとは知らなかった。昨日イングランドを破っておいてほしかった。
しかしこういう日本サッカーサゲサゲ記事を連発している日刊ゲンダイを筆頭とするニッポンスポーツマスコミ(韓国もまったく同じ)に言いたいのは、日本の代表チームやサッカー選手や岡田監督よりも、マスコミはさらに程度が低いということだ。ベスト4を目指すと言ってしまった岡田監督よりも、世界の有名監督大選手に「岡田監督のベスト4発言をどう思いますか」「日本の選手/サッカーをどう評価しますか」といった愚問を繰り返す日本マスコミのほうがよほど恥ずかしいし、こういう記者は日本人の知性に対する外国人の印象を間違いなく低めている。相手の知ったこっちゃないことを聞く人間は馬鹿でしかないのである。
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■10/06/04(金) □ 盛り下がりのダンスパーティ
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【スクールダンスパーティ】年度末恒例の萌のスクールダンス。しかし今年は俺の知る限り一番盛り下がっており、もはや来年はないかもと思うほどのしょぼさであった。とにかく音楽が悪すぎる。
選曲が悪いのはいつものことだが、今年はサウンドシステムが例年にも増して最悪で、音が全然小さい。いつもはパーキングやプレイグラウンドにまでズンズンと音が聞こえてき、その音量だけは皆の気持ちをウキウキとお祭り気分にさせていたのだが、今年は家庭用ステレオと大差ないくらいの音量しかない上に音がバリバリに歪んでおり、何がかかっているのかすらわからない。こんな音でダンスパーティと言われても......と、子供も父兄もみなぼんやりとダンスフロアを眺めている。
かかっていた曲はしばらくじーっと聴いていてやっと「クロコダイルロック(エルトン・ジョン)」などだとわかったが、あんな単調な8ビートで踊れるわけがない。今年の「テーマ」は「70's」なのだそうだが、だったら 70's ディスコにすればいいのに、なんでこう何も考えず時代だけ合わせた事務的な選曲をするのだろう。小学生だってこんなんじゃ単調すぎて踊りようがないのである。こんな8ビートはお尻をフリフリする以外合わせて踊ることなどできないわけで、当時だってこんなんで踊ってる人はドナルドダックの着ぐるみを着たエルトン・ジョン本人しかいなかったのだ。そのイモさゆえエルトン・ジョンは日本でまるきり売れなかったのであり、子供とはいえ現代人がこんなもので踊れるわけがない。結果として踊ってるのは3歳くらいの幼児とそのお母さんたちだけであった。
毎年毎年ここにやってくるDJはほんとロクな音楽をかけたことがない。彼らがディスコに行ったことがあるのかどうかすら疑わしい。1校数百人の年に一度の楽しみを台なしにして、心に痛みは感じないのだろうかと不思議だ。こんなDJを雇うPTAもPTAで、「ダンスパーティくじ」の景品寄付金集めなんつーくだらないものに最大の力を注ぐ愚劣さはなんなのかと思う。その努力を音楽に使ってくださいよ。ダンスフロアーに華やかな光、僕をそっと包むよなハーモニーで踊りたかった。
去年卒業したガールズが大勢着飾って、もうほとんどティーンエイジャーとなりまばゆいばかりの美しさで来訪していたのだが、彼女たちもこれじゃなんだかねと呆れた顔で、早々に退散していった。悲しい光景であった。
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■10/06/06(日) □ 日本語学校の子供たち
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【日本語学校発表会】萌と一時同クラスだった、車を運転してる大人ガールEMちゃん17歳が卒業生の1人だった。あんなに大きくなるまで日本語学校といういささか幼稚なものに通い続け終了するとは、よほど素直で前向きな子なのだろう。
日本語学校の廊下で毎週俺たち父兄にきちんと挨拶していく中1くらいの女の子にも、どこか少し感動させられるものがある。普段カナダの小学校じゃ子供が父兄に挨拶するなんてことはなく、完全に視野から除外されているからなあ(付き合いのない人に対して徹底的に無関心なのは父兄も同じ)。ああいう一般的なカナダキッズ態度と、まったく知らない人なのに「こんにちは」と頭を下げていくあの子とでは、えらい違いなのである。萌もああいう日本的素朴さをなくさないティーンになってもらいたい。
萌KT・HNの発表は「子供の日について」というもので、内容はどうということはなかったが、人前でしゃべることが苦手な緊張しいの萌も頑張ってしっかりとやり遂げ、よくやったと褒めてあげました。
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その後KT・HNを久々に家に呼ぶ。あの2人は日本語のほうが語彙も話法も豊富に持っているはずのに、もう萌とはもちろん、兄弟間でも英語しか喋らないので驚く。
その会話を聞いていて、これは彼らが知っている日本語のソフトさが、兄弟友達と遊ぶときのメンタリティとはマッチしないのだろうなとわかってきた。萌も彼らも「お前さあ、ナントカだよな」「俺の番だろ、あっち行けよ」といったトーンで喋りたいのだろう。日本語でそこまで言うには親密さとトゲトゲした気持ちとの微妙なバランス取りがいるわけだが、英語だとまるで普通にこう言えてしまうという便利さがウケているのだと思われます。つまり極めてテクニカルな現象なのだ。
2010/05/27
日記「田舎の大都会ケロウナ」
「ジェットサーフィン!」「英式レストラン」ほか。
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■10/05/22(土) □ 田舎の大都会ケロウナ
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一族合同旅行で、BC内陸部ケロウナへ。昼食をとったホープのレストランが混んでいて長時間足止めを食い、6時間ほどでホテル着。やっぱ遠いわ。
コカハラハイウェイ最高地点付近 (1244 m?) では気温がぐっと3度あたりまで下がり、なんとこの季節に雪が舞い恐ろしかった。えらい急勾配でオーバーヒートでエンコしているらしき車が何台もあり、無理もないと思う。うちのエリオ2Lも苦しげだったが、こないだクーラントを交換しといてよかった。休憩所も町もなく急峻な上りと下りが何百 km ものあいだ続くコカハラ→ケロウナは、過酷なハイウェイである。
ケロウナという町は去年行ったカムループスと似て、長く果てしない山岳ドライブの末に、突如大都市が現れる。巨大な湖に沿ってメトロバンクーバー(バンクーバー経済圏)とまったく変わらない商業施設群がどわーっと展開しているのだ。その町の規模の大きさはカムループス以上で、こんなところにこんなに人が住み栄えていることが信じられない。日本で言うなら黒部峡谷とかに巨大な商業都市があるという感じ。いったいどうやってこれほどの物資を運んだんだ、あの過酷ハイウェイをトラックで運んだのか? と想像すると気が遠くなるような話だ。
ホテルはそういう商業施設帯の只中にあり、カーディーラーの隣で宿泊となった。はるばる山岳を抜け旅をしてホテルの窓から見えるのは車ばかりというのも奇妙な事態だが、まあそういうことを言うと招待してくれた(社員旅行に親戚が合流している)ADたちに申し訳ないので、感想は胸にしまい込む。だいたいBC北部はどこへ行ってもドライで殺風景で、景色がいいホテルに当たったとしても見えるのはハゲ山ですしね。
ホテルの小さなプールで萌・SFと泳ぎ、初日は終わる。ハワイ以来久々にSFと一緒にいられて、萌はうれしそうだ。
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■10/05/23(日) □ ジェットサーフィン!
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朝、アグリツーリズムの養蜂農家へ。蜂を見る前にいろいろと説明がある。うちの一族は好奇心に満ちた面々が揃っているので、あらゆる細部に対し質問が重ねられ、説明役のおばさんも興に乗り延々と30分以上も話は続き、俺や萌はげんなりであった。蜂を見ること自体は楽しいが、そんなに蜂のことが知りたければ俺は本を読むよという感じ。
昼は湖近くのウォーターフロントでランチを取る。やはり水があるとリゾート気分が湧いてくる。この湖にはオゴポゴというネッシーさんがいるそうです。うひゃー。
昨夜ネット(※)で調べたところケロウナはなんとBC第3の都市で、しかし地域人口は18万ほどだそうだ。たった18万でこんなに商業施設があるのかよと驚くが、オカナガン湖とアグリツーリズムで観光都市として人気があるそうで、それがこれほどの商業的繁栄を生んでいるらしい。ウィキによれば「カナダ人が老後に一番住みたい町にも選ばれている」とのことで、このへんのカナダ人の住感覚は俺にはわからんところである。他地域からの隔絶っぷりといい、水のまずさといいドライな植生といい、どこがいいのかよくわからない。
こんな辺鄙なところにこれほどの物資を運んで都市を作るというのは妙な感じがすると俺が感想を言うと、水(湖)とワインその他の大農産業があるんだから町が大きくなるのは道理だ、食べ物などこの谷からバンクーバー方面にどんどん輸出されているではないかとMはいう。そうか、農業か。あまりに人工的な都会で牧歌的な雰囲気が皆無だからそうとは感じないが、ここはちゃんと生産的産業があるんだな。こういう人工的な町というとラスベガスがすぐ想起されるが、あれとは別か。
それにしてもここはひどいホテルで、設備はきれいなのだが、すべてのカップと食器類が使い捨てのペーパー&プラスチックになっている。ここに泊まっているだけで、俺たちが普段の生活では出さないような大量のゴミがどんどんと生まれていき苦痛なのである。ホテルが支給するフリーミールはセルフサービスの卵とベーコンなのだが、冷凍スクランブルエッグを解凍すらしていない。皿に取り電子レンジで温めてくれとは書いてあるが、1分温めても芯はまだ冷たかった。いくらなんでも普通は自然解凍くらいしておくだろう。それくらいのことにすら気づかず、ただ立って同僚とくっ喋っているレストラン係は若い白人ガールで、きついベッドメイクは全部愛想のいいアジア人だというのも腹立たしい。
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ランチ後酒呑みのADたちは今回の社員旅行のメイン行事であるワイナリー巡りへと出発する。俺たちはそれはパスしたので午後はフリーで、休みたいというMを残し俺は萌とSFを連れ、「カナダ最大のインドアプール」という施設へ行った。これが確かにすごかった。波のプール、流れるプール、3つのスピードが違うウォータースライドその他が完備されており、驚いたのはジェットサーフィンという見たこともない遊具まである。
「フローライダー」と名付けられたこの遊びは一目瞭然の素晴らしいアイデアで、斜面の下からジェット水流が噴射し、マットを使ってそれに乗るというアイデア賞もの。聞いてみると立って乗るにはウェイバー(「怪我をしても訴訟しません」という誓約書)を書かなければならないが、腹ばいなら子供でもOKだというので、3人揃ってトライした。
まず一番勇敢なSF18歳が行き、2~3度ジェットで吹き上げられて横(の水流がないところ)に外れ、彼女にしては意外にあっさりとあきらめて終わる。こりゃ見た目よりも難しいらしい。
これは怖がりの萌には無理だなと思ったのだが、最近なにごとにも自主独立挑戦マインドを抱いている萌10歳はやると決意しているようで、こわばった顔でジェット水流に突入する。一度目のトライはマットをぶっ飛ばされ水に入ることもできず、2度目でイン。しかしやはりほとんどコントロールできず、2度ほどひゅーと吹き上げられたところで横に外れ、そこでさっと立ち上がり終了。やはり怖くてショックを受けたようで、そのまま早足ですたすたと出ていってしまった。いやしかし挑戦しただけでもエライよ。
そして俺の番。実際にボードを持って台上に立ってみると、ジェット水流がインテンスで緊張する。しかしまあこんなものはソリと同じはずである、エイヤと突入。すると思ったよりもボードをストレートに保つことが難しく、一度目はSF・萌同様すぐ横に外れてしまう。そこで説明書きにあったように足を後方に伸ばし舵として使ってみると、ボードと水流の関係が安定し見事にサーフィン状態になった。おお、気持いい。体をひねると左右に動けるし、ボードのフロントを持ち上げると水を受けてふわーっとスロープ上を登っていく。うひー面白い。
しばらくコントロールを楽しんで終了すると、萌とSFがすごかったグレイトと拍手をしてくれた。はは、よしよし。やっぱ俺はバイクと自転車歴が長いから、こういうバランスものは得意中の得意なんだぜ。
その後もウォータースライドを滑りまくる萌とSFをホットタブで待っていると、ここの若い奴らはみんな屈強なイレズミ短髪オトコだなと気づく。きっと乗っている車は、普通車を蹴散らしコカハラを傍若無人に登っていくピックアップトラックなんだろう。「日本では田舎の人は素朴でいい人というイメージがあるが、アメリカでは粗暴なレッドネックというイメージがある」とあるアメリカ人が言っていたが、たしかにカナダも同じだな。
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ケロウナ滞在2泊3日、せっかく Wifi 環境があっても利用したのはプール情報の入手とケロウナの人口その他を調べただけだった。こういう安いネットブックはあまりにもキーボードが悪すぎて、まともにタイプできないのである。で、出発前についインストールしてしまった Football Manager 2008 ばかり俺はやっていた。再開すると案の定ハマってしまうゲームである。帰ったら 2010 版デモも試してみよう。
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■10/05/24(月) □ 英式レストラン
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もうこの町ですることも特になく(Mがヤギ農場に行きたかったのだが、遠すぎたので断念した)、チェックアウトしてそのまま帰宅。道中メリットでランチブレークとなる。
カナダの田舎は英式ソーセージ&ボテト系レストランばっかりで、英国人BRとその娘Mは大喜びしているのだが―――「子供の頃は日曜にこういうレストランに行ってたわよね」と盛り上がってた―――、俺は3日でもうパンとポテトと肉にはうんざりしており、なんにも食べたくない。萌も子供メニューにパンケーキがあるので大喜びだが、単価が低いからか大人はそれを注文できないと言われる。ああ、コメが食いたい。
結局ポークシュニッツェル(とんかつ)が見つかり、これは十分にうまかったが、まあ自分で作ったほうが当然うまいし、カナダのレストランはオトコ向けに2人前が皿に盛られて出てくるので、絶対に食べきれない。無駄なことだ。
メリットは小さなかわいい町だ。やっぱ田舎にはホープやこのくらいの町があるのが自然でいいよな。
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◆17:45 帰宅、ホープで渋滞にはまり、下道に降りてのんびりと帰ってきた。アカヒレは2日半絶食だったわけだが、そんなことはまったく気づいてないのではないかというほどにみな絶好調だった。餌をやっても普段より空腹だという様子すらない。イモリたちももちろん元気で、餌をくれと首を持ち上げている。よしよし。
スポーツニュースを開くと、日本代表がまたも韓国に完敗している。監督記者会見では韓国記者がもう日本については質問もせず、WCに向かう韓国チームの状態についてだけ質疑応答するという、もう完全に格下状態であった。この期に及んでもまだ不調の俊輔と遠藤を出してボコボコにされたそうで、日本代表がここまで弱くなったのは過去15年で初めてではないかという状況であと3週間を切っている。
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■10/05/22(土) □ 田舎の大都会ケロウナ
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一族合同旅行で、BC内陸部ケロウナへ。昼食をとったホープのレストランが混んでいて長時間足止めを食い、6時間ほどでホテル着。やっぱ遠いわ。
コカハラハイウェイ最高地点付近 (1244 m?) では気温がぐっと3度あたりまで下がり、なんとこの季節に雪が舞い恐ろしかった。えらい急勾配でオーバーヒートでエンコしているらしき車が何台もあり、無理もないと思う。うちのエリオ2Lも苦しげだったが、こないだクーラントを交換しといてよかった。休憩所も町もなく急峻な上りと下りが何百 km ものあいだ続くコカハラ→ケロウナは、過酷なハイウェイである。
ケロウナという町は去年行ったカムループスと似て、長く果てしない山岳ドライブの末に、突如大都市が現れる。巨大な湖に沿ってメトロバンクーバー(バンクーバー経済圏)とまったく変わらない商業施設群がどわーっと展開しているのだ。その町の規模の大きさはカムループス以上で、こんなところにこんなに人が住み栄えていることが信じられない。日本で言うなら黒部峡谷とかに巨大な商業都市があるという感じ。いったいどうやってこれほどの物資を運んだんだ、あの過酷ハイウェイをトラックで運んだのか? と想像すると気が遠くなるような話だ。
ホテルはそういう商業施設帯の只中にあり、カーディーラーの隣で宿泊となった。はるばる山岳を抜け旅をしてホテルの窓から見えるのは車ばかりというのも奇妙な事態だが、まあそういうことを言うと招待してくれた(社員旅行に親戚が合流している)ADたちに申し訳ないので、感想は胸にしまい込む。だいたいBC北部はどこへ行ってもドライで殺風景で、景色がいいホテルに当たったとしても見えるのはハゲ山ですしね。
ホテルの小さなプールで萌・SFと泳ぎ、初日は終わる。ハワイ以来久々にSFと一緒にいられて、萌はうれしそうだ。
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■10/05/23(日) □ ジェットサーフィン!
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朝、アグリツーリズムの養蜂農家へ。蜂を見る前にいろいろと説明がある。うちの一族は好奇心に満ちた面々が揃っているので、あらゆる細部に対し質問が重ねられ、説明役のおばさんも興に乗り延々と30分以上も話は続き、俺や萌はげんなりであった。蜂を見ること自体は楽しいが、そんなに蜂のことが知りたければ俺は本を読むよという感じ。
昼は湖近くのウォーターフロントでランチを取る。やはり水があるとリゾート気分が湧いてくる。この湖にはオゴポゴというネッシーさんがいるそうです。うひゃー。
昨夜ネット(※)で調べたところケロウナはなんとBC第3の都市で、しかし地域人口は18万ほどだそうだ。たった18万でこんなに商業施設があるのかよと驚くが、オカナガン湖とアグリツーリズムで観光都市として人気があるそうで、それがこれほどの商業的繁栄を生んでいるらしい。ウィキによれば「カナダ人が老後に一番住みたい町にも選ばれている」とのことで、このへんのカナダ人の住感覚は俺にはわからんところである。他地域からの隔絶っぷりといい、水のまずさといいドライな植生といい、どこがいいのかよくわからない。
(※)こないだ出て行ったMKが「8年間お世話になりました」とお礼の印にラップトップを置いていったので、今回から旅先 Wifi 環境完備。
こんな辺鄙なところにこれほどの物資を運んで都市を作るというのは妙な感じがすると俺が感想を言うと、水(湖)とワインその他の大農産業があるんだから町が大きくなるのは道理だ、食べ物などこの谷からバンクーバー方面にどんどん輸出されているではないかとMはいう。そうか、農業か。あまりに人工的な都会で牧歌的な雰囲気が皆無だからそうとは感じないが、ここはちゃんと生産的産業があるんだな。こういう人工的な町というとラスベガスがすぐ想起されるが、あれとは別か。
それにしてもここはひどいホテルで、設備はきれいなのだが、すべてのカップと食器類が使い捨てのペーパー&プラスチックになっている。ここに泊まっているだけで、俺たちが普段の生活では出さないような大量のゴミがどんどんと生まれていき苦痛なのである。ホテルが支給するフリーミールはセルフサービスの卵とベーコンなのだが、冷凍スクランブルエッグを解凍すらしていない。皿に取り電子レンジで温めてくれとは書いてあるが、1分温めても芯はまだ冷たかった。いくらなんでも普通は自然解凍くらいしておくだろう。それくらいのことにすら気づかず、ただ立って同僚とくっ喋っているレストラン係は若い白人ガールで、きついベッドメイクは全部愛想のいいアジア人だというのも腹立たしい。
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ランチ後酒呑みのADたちは今回の社員旅行のメイン行事であるワイナリー巡りへと出発する。俺たちはそれはパスしたので午後はフリーで、休みたいというMを残し俺は萌とSFを連れ、「カナダ最大のインドアプール」という施設へ行った。これが確かにすごかった。波のプール、流れるプール、3つのスピードが違うウォータースライドその他が完備されており、驚いたのはジェットサーフィンという見たこともない遊具まである。
「フローライダー」と名付けられたこの遊びは一目瞭然の素晴らしいアイデアで、斜面の下からジェット水流が噴射し、マットを使ってそれに乗るというアイデア賞もの。聞いてみると立って乗るにはウェイバー(「怪我をしても訴訟しません」という誓約書)を書かなければならないが、腹ばいなら子供でもOKだというので、3人揃ってトライした。
まず一番勇敢なSF18歳が行き、2~3度ジェットで吹き上げられて横(の水流がないところ)に外れ、彼女にしては意外にあっさりとあきらめて終わる。こりゃ見た目よりも難しいらしい。
これは怖がりの萌には無理だなと思ったのだが、最近なにごとにも自主独立挑戦マインドを抱いている萌10歳はやると決意しているようで、こわばった顔でジェット水流に突入する。一度目のトライはマットをぶっ飛ばされ水に入ることもできず、2度目でイン。しかしやはりほとんどコントロールできず、2度ほどひゅーと吹き上げられたところで横に外れ、そこでさっと立ち上がり終了。やはり怖くてショックを受けたようで、そのまま早足ですたすたと出ていってしまった。いやしかし挑戦しただけでもエライよ。
そして俺の番。実際にボードを持って台上に立ってみると、ジェット水流がインテンスで緊張する。しかしまあこんなものはソリと同じはずである、エイヤと突入。すると思ったよりもボードをストレートに保つことが難しく、一度目はSF・萌同様すぐ横に外れてしまう。そこで説明書きにあったように足を後方に伸ばし舵として使ってみると、ボードと水流の関係が安定し見事にサーフィン状態になった。おお、気持いい。体をひねると左右に動けるし、ボードのフロントを持ち上げると水を受けてふわーっとスロープ上を登っていく。うひー面白い。
しばらくコントロールを楽しんで終了すると、萌とSFがすごかったグレイトと拍手をしてくれた。はは、よしよし。やっぱ俺はバイクと自転車歴が長いから、こういうバランスものは得意中の得意なんだぜ。
その後もウォータースライドを滑りまくる萌とSFをホットタブで待っていると、ここの若い奴らはみんな屈強なイレズミ短髪オトコだなと気づく。きっと乗っている車は、普通車を蹴散らしコカハラを傍若無人に登っていくピックアップトラックなんだろう。「日本では田舎の人は素朴でいい人というイメージがあるが、アメリカでは粗暴なレッドネックというイメージがある」とあるアメリカ人が言っていたが、たしかにカナダも同じだな。
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ケロウナ滞在2泊3日、せっかく Wifi 環境があっても利用したのはプール情報の入手とケロウナの人口その他を調べただけだった。こういう安いネットブックはあまりにもキーボードが悪すぎて、まともにタイプできないのである。で、出発前についインストールしてしまった Football Manager 2008 ばかり俺はやっていた。再開すると案の定ハマってしまうゲームである。帰ったら 2010 版デモも試してみよう。
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■10/05/24(月) □ 英式レストラン
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もうこの町ですることも特になく(Mがヤギ農場に行きたかったのだが、遠すぎたので断念した)、チェックアウトしてそのまま帰宅。道中メリットでランチブレークとなる。
カナダの田舎は英式ソーセージ&ボテト系レストランばっかりで、英国人BRとその娘Mは大喜びしているのだが―――「子供の頃は日曜にこういうレストランに行ってたわよね」と盛り上がってた―――、俺は3日でもうパンとポテトと肉にはうんざりしており、なんにも食べたくない。萌も子供メニューにパンケーキがあるので大喜びだが、単価が低いからか大人はそれを注文できないと言われる。ああ、コメが食いたい。
結局ポークシュニッツェル(とんかつ)が見つかり、これは十分にうまかったが、まあ自分で作ったほうが当然うまいし、カナダのレストランはオトコ向けに2人前が皿に盛られて出てくるので、絶対に食べきれない。無駄なことだ。
メリットは小さなかわいい町だ。やっぱ田舎にはホープやこのくらいの町があるのが自然でいいよな。
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◆17:45 帰宅、ホープで渋滞にはまり、下道に降りてのんびりと帰ってきた。アカヒレは2日半絶食だったわけだが、そんなことはまったく気づいてないのではないかというほどにみな絶好調だった。餌をやっても普段より空腹だという様子すらない。イモリたちももちろん元気で、餌をくれと首を持ち上げている。よしよし。
スポーツニュースを開くと、日本代表がまたも韓国に完敗している。監督記者会見では韓国記者がもう日本については質問もせず、WCに向かう韓国チームの状態についてだけ質疑応答するという、もう完全に格下状態であった。この期に及んでもまだ不調の俊輔と遠藤を出してボコボコにされたそうで、日本代表がここまで弱くなったのは過去15年で初めてではないかという状況であと3週間を切っている。
2010/05/25
日記「ファーマーズマーケット」
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■10/05/09(日) □ ファーマーズマーケット
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地元オーガニック農家がテントで出店しているファーマーズマーケットへ行く。地元でオーガニックなんだから理想的で、Mはこういうイベントが大好きなのだが、「地産地消」の野菜を買うために消費者が使うガソリンはスーパーで野菜を買うよりも大幅に増えるわけで、やや矛盾を感じざるをえない。しかしまあ「持続可能性」という意味ではあまり意義深いものではないと思うが、イベントとしては楽しいし、野菜はスーパーで買うものに比べたらもう話にならないほどうまい。

rosabiancaナス。煮るとトロトロ&
シャキシャキです。 実際こういう野菜を食べると、普通のスーパーやオーガニックストアで売ってるものは、あれはなんだ、どんだけ古いんだと腹が立ってくる。ナスなんか農家が育てる品種からして間違ってるだろう。今日買ったものは rosabianca というらしい皮に白い筋が入ったもので、スーパーじゃ見たことがないがキメが細かくしっとりして非常においしい。これに比べたら一般で売ってるデカナスは単なるスポンジである。馬鹿ばかしい。
オーガニックストアも市場での回転が悪いせいだろうが、普通のスーパーの野菜よりも張りがない野菜が多いしなあ。高いんだから一般スーパーよりも新鮮でうまいものを食べさせてほしいのである。そういう流通がしっかり確立してくれないと経済的にも食材バラエティ的にも主夫はつらいのだ。
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【日本代表発表】発表前からサッカー界全体がすごく盛り下がっていたが、雲の切れ間はとうとう現れなかった。ここ3年「また固定定食メンバーかよ」と言われ続けたメンバーがそのまま選ばれ、それ以外は国民の期待をよそに全員落選というわけである。
固定定食メンバーの怪我が治りコンディションが上がればオーストラリアとドロー程度までは行けるわけだが、それじゃ本番では全然足りんわけだし、コンディションが上がらない可能性だって大ありである。俊輔なんかあとひと月で怪我は治るかもしれないが、もう1年前から力落ちは明らかだったんだから、スコットランドで活躍していたレベルに戻ることはあり得ないだろう。夢も希望もないな。
岡田就任時に玉田、大久保、田中達也が揃ったときには興奮したが、結局そういう日本的技巧派小兵を揃えてもたいしたことはできないのだと証明しながら、選手たちをとことん消耗させ尽くした3年間であった。夢も希望もないな。
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■10/05/18(火) □ めざせ!ロック・ギタリスト
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NHKで毎週「チャレンジ!ホビーめざせ!ロック・ギタリスト」というのをやっていて、講師の野村ヨッちゃんが俺と同世代なのか、「ロング・トレイン・ランニン」「デトロイト・ロック・シティ」「ホテル・カリフォルニア」と、ヤングギターにタブ譜が載っていたようななつかしいコピー曲を毎週持ってきてくれる。
で今週はとうとうチャーの「スモーキー」まで持ってきた。初心者の芸人にこんな超絶テク曲が弾けるわけはないのだが―――というかこれをちゃんと弾けるギタリストは世の中にそういないし、講師だって弾けていない―――、ギターを使ったお遊びとしては見ていて楽しい。毎週実演を示す講師ヨッちゃんはうまくはないが、あの明るさとギター博識と、カッティングで見せる意外なリズム感の良さが好感度アップであった。
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なつかしくなって Youtube で「スモーキー」を探すと、さすが日本ギター史上最強の名曲でいろんな演奏が見つかる。デビュー30年コンサートでの演奏というやつについてる英語コメントが面白くて、「げげ、いったいこれは誰だ」「なんてこった、なんで俺はこんな(すごい)奴を知らずにいたんだ」といった世界のギターマニアの驚くさまが書き込まれている。この人たちは日本のギターマニアより30年遅れておるぞ。
チャーの出現から30年経ってもあんな天才は出てきていないが、最近日本の音楽番組を見てるとくだらんバンドでもみんな演奏が妙にうまくて、なんというかこれはサッカー等のスポーツのごとく、1国のバンド人口の技術レベルが全体的に上がっているということなのかなとぼんやり思う。しかしどうしてそういう現象が起きるのかはまるで想像できん。楽器は安く教材も手頃になってるだろうが、それと腕前はまた別だからな。
■10/05/09(日) □ ファーマーズマーケット
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地元オーガニック農家がテントで出店しているファーマーズマーケットへ行く。地元でオーガニックなんだから理想的で、Mはこういうイベントが大好きなのだが、「地産地消」の野菜を買うために消費者が使うガソリンはスーパーで野菜を買うよりも大幅に増えるわけで、やや矛盾を感じざるをえない。しかしまあ「持続可能性」という意味ではあまり意義深いものではないと思うが、イベントとしては楽しいし、野菜はスーパーで買うものに比べたらもう話にならないほどうまい。

rosabiancaナス。煮るとトロトロ&
シャキシャキです。
オーガニックストアも市場での回転が悪いせいだろうが、普通のスーパーの野菜よりも張りがない野菜が多いしなあ。高いんだから一般スーパーよりも新鮮でうまいものを食べさせてほしいのである。そういう流通がしっかり確立してくれないと経済的にも食材バラエティ的にも主夫はつらいのだ。
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【日本代表発表】発表前からサッカー界全体がすごく盛り下がっていたが、雲の切れ間はとうとう現れなかった。ここ3年「また固定定食メンバーかよ」と言われ続けたメンバーがそのまま選ばれ、それ以外は国民の期待をよそに全員落選というわけである。
固定定食メンバーの怪我が治りコンディションが上がればオーストラリアとドロー程度までは行けるわけだが、それじゃ本番では全然足りんわけだし、コンディションが上がらない可能性だって大ありである。俊輔なんかあとひと月で怪我は治るかもしれないが、もう1年前から力落ちは明らかだったんだから、スコットランドで活躍していたレベルに戻ることはあり得ないだろう。夢も希望もないな。
岡田就任時に玉田、大久保、田中達也が揃ったときには興奮したが、結局そういう日本的技巧派小兵を揃えてもたいしたことはできないのだと証明しながら、選手たちをとことん消耗させ尽くした3年間であった。夢も希望もないな。
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■10/05/18(火) □ めざせ!ロック・ギタリスト
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NHKで毎週「チャレンジ!ホビーめざせ!ロック・ギタリスト」というのをやっていて、講師の野村ヨッちゃんが俺と同世代なのか、「ロング・トレイン・ランニン」「デトロイト・ロック・シティ」「ホテル・カリフォルニア」と、ヤングギターにタブ譜が載っていたようななつかしいコピー曲を毎週持ってきてくれる。
で今週はとうとうチャーの「スモーキー」まで持ってきた。初心者の芸人にこんな超絶テク曲が弾けるわけはないのだが―――というかこれをちゃんと弾けるギタリストは世の中にそういないし、講師だって弾けていない―――、ギターを使ったお遊びとしては見ていて楽しい。毎週実演を示す講師ヨッちゃんはうまくはないが、あの明るさとギター博識と、カッティングで見せる意外なリズム感の良さが好感度アップであった。
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なつかしくなって Youtube で「スモーキー」を探すと、さすが日本ギター史上最強の名曲でいろんな演奏が見つかる。デビュー30年コンサートでの演奏というやつについてる英語コメントが面白くて、「げげ、いったいこれは誰だ」「なんてこった、なんで俺はこんな(すごい)奴を知らずにいたんだ」といった世界のギターマニアの驚くさまが書き込まれている。この人たちは日本のギターマニアより30年遅れておるぞ。
チャーの出現から30年経ってもあんな天才は出てきていないが、最近日本の音楽番組を見てるとくだらんバンドでもみんな演奏が妙にうまくて、なんというかこれはサッカー等のスポーツのごとく、1国のバンド人口の技術レベルが全体的に上がっているということなのかなとぼんやり思う。しかしどうしてそういう現象が起きるのかはまるで想像できん。楽器は安く教材も手頃になってるだろうが、それと腕前はまた別だからな。
2010/05/06
日記「目にはまだ透明のカメレヨン」
「幸せな借家」「シャキーン・ザ・ライブ」ほか。
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■10/04/25(日) □ 幸せな借家
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うちでの8年の居候を終え先週引っ越したMKのところを初訪問。中華スーパーから徒歩3分、コキットラム駅まで10分という至便なところにある借家なのだが、裏は小川の遊歩道になっている。コキットラムにこんなところがあったのかと驚くようなナイスさであった。
俺がハリファックスでMと暮らし始めたのは32歳の時だから29のMKと年齢的には大差ないが、俺は日本を離れカナダに来るという不安で気はヘロヘロで、胸がときめくなんてことはまるでなかったなと思い出す。んでハリファックスは何もなく、仕事もない貧乏所帯には未来の展望もなく、その後バンクーバーに移りMが仕事を得るまではえらいダークな所帯だったのだ。それに比べたらMKは何もかも順調で、幸せそうである。よかったよかった。
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■10/04/29(木) □ 牛乳ボトルシェルター
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金魚がいなくなってしまったうちの水槽だが、元気なアカヒレを見ていると、こいつらは金魚よりも群れに社会性があってやっぱり面白いなと感じる。アカヒレは神経質で隠れ家がないと落ち着かないのだが、大きなシェルターを入れると隠れてしまいこれはつまらない。
そこで適度に中が見える半透明のシェルターを牛乳ボトルで作ってやると、これがなかなかうまくいった。最近攻撃性が出ている痩せオス1人を旧たまり場エリアに残し、4匹がシェルター内に落ち着いてくれ、フロントからその活動がよく見える。神経質なアカヒレをこれほどじっくり眺められることはなかなかなく、これは魚の落ち着きと観賞性を両立させるヒットアイデアであった。ケンカの抑制にもなるし。
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■10/05/03(月) □ 「シャキーン・ザ・ライブ」
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NHK「シャキーン」でこないだ放送があった素晴らしい「シャキーン・ザ・ライブ」バンドの、アンコールが今日あった。最近萌は「シャキーン」には興味を失っているが(若年向け番組が減り水戸黄門などのオヤジ番組が増えた、TV Japan 全体に興味を失っている)、ギタリストやベーシストが木に変装したこのライブは実に素晴らしかったので大笑いしながら見たのである。
「知るや君」
「シャキーン」はサキタハヂメという人の曲が全くもってみなイイし、横で踊ってる子供2名が素晴らしすぎる。俺はヒップホップに代表される「ダンサー」というものはすべてくだらんと思っているのだが、パフュームやこの「シャキーン」子供ダンサーたちの動きの可憐さには胸がドキドキする。名曲「知るや君」をやってくれーと萌と声を上げるが、歌う人が別だからかこれはやらなかった。残念。あれをライブで見てみたいなあ。
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■10/05/04(火) □ 目にはまだ透明のカメレヨン
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NHKで【オレスカバンド】のライブがあった。数年前ちらと見かけたときにはスカパラのコピーバンドかなと思い、去年「グッバイスクールデイズ」を聞いてこれはただならぬバンド力(アレンジ&演奏力)だと思っていたのだが、このライブではもうノックアウトされました。
ボーカルの子は力強く飾らない歌声ももちろんいいし、驚いたことにリズムギターが無茶苦茶うまい。俺がこれまで見た女性ギタリストで断トツにうまい、ルースターズ大江を思い起こさせるスカのカッティングである。ベースもしっかりしたリズムを出す上にボーカルとは対照的な美声でバリバリに歌える(あとでリードボーカルも取っていた)。ドラムもうまいし、音圧が高いブラスが3本も入ってる上に全員元気にコーラスできるので、リズムはブンブンにドライブする。ライブを1本見るともう、これほど多様な魅力を備えたバンドだったとはと恐れ入るしかない。楽しい。アメリカの音楽フェスで大受けだというが当たり前だ。こんな楽しいバンドはどこにもないだろう。どうしてこうもいいガールズバンドがゴロゴロ出てくるのかニッポン。
......というか、彼女らが出てきたのは不思議ではないな。ブリティッシュスカを取り込んだルースターズがあり、スカパラがそのテーストをポップに受け継ぎ客煽り芸能として発展させ、それを見て育ったガールズがここにいるわけだ。日本伝統の吹奏楽部も当然ここにつながっている。音楽をやってなかったら大阪の市場かなんかで元気に働いていそうな普通の女の子たちが音を手に入れて、世界中を友達にしてやろうみたいな勢いで弾けているのは感動的だ。彼女らは、信じてる待っている系 Jpop の対極にいる。待ってらんないからもう自転車をこいで会いに行くよと言っているのである。ビューティフル。
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■10/04/25(日) □ 幸せな借家
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うちでの8年の居候を終え先週引っ越したMKのところを初訪問。中華スーパーから徒歩3分、コキットラム駅まで10分という至便なところにある借家なのだが、裏は小川の遊歩道になっている。コキットラムにこんなところがあったのかと驚くようなナイスさであった。
俺がハリファックスでMと暮らし始めたのは32歳の時だから29のMKと年齢的には大差ないが、俺は日本を離れカナダに来るという不安で気はヘロヘロで、胸がときめくなんてことはまるでなかったなと思い出す。んでハリファックスは何もなく、仕事もない貧乏所帯には未来の展望もなく、その後バンクーバーに移りMが仕事を得るまではえらいダークな所帯だったのだ。それに比べたらMKは何もかも順調で、幸せそうである。よかったよかった。
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■10/04/29(木) □ 牛乳ボトルシェルター
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金魚がいなくなってしまったうちの水槽だが、元気なアカヒレを見ていると、こいつらは金魚よりも群れに社会性があってやっぱり面白いなと感じる。アカヒレは神経質で隠れ家がないと落ち着かないのだが、大きなシェルターを入れると隠れてしまいこれはつまらない。
そこで適度に中が見える半透明のシェルターを牛乳ボトルで作ってやると、これがなかなかうまくいった。最近攻撃性が出ている痩せオス1人を旧たまり場エリアに残し、4匹がシェルター内に落ち着いてくれ、フロントからその活動がよく見える。神経質なアカヒレをこれほどじっくり眺められることはなかなかなく、これは魚の落ち着きと観賞性を両立させるヒットアイデアであった。ケンカの抑制にもなるし。
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■10/05/03(月) □ 「シャキーン・ザ・ライブ」
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NHK「シャキーン」でこないだ放送があった素晴らしい「シャキーン・ザ・ライブ」バンドの、アンコールが今日あった。最近萌は「シャキーン」には興味を失っているが(若年向け番組が減り水戸黄門などのオヤジ番組が増えた、TV Japan 全体に興味を失っている)、ギタリストやベーシストが木に変装したこのライブは実に素晴らしかったので大笑いしながら見たのである。
「知るや君」
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■10/05/04(火) □ 目にはまだ透明のカメレヨン
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NHKで【オレスカバンド】のライブがあった。数年前ちらと見かけたときにはスカパラのコピーバンドかなと思い、去年「グッバイスクールデイズ」を聞いてこれはただならぬバンド力(アレンジ&演奏力)だと思っていたのだが、このライブではもうノックアウトされました。
ボーカルの子は力強く飾らない歌声ももちろんいいし、驚いたことにリズムギターが無茶苦茶うまい。俺がこれまで見た女性ギタリストで断トツにうまい、ルースターズ大江を思い起こさせるスカのカッティングである。ベースもしっかりしたリズムを出す上にボーカルとは対照的な美声でバリバリに歌える(あとでリードボーカルも取っていた)。ドラムもうまいし、音圧が高いブラスが3本も入ってる上に全員元気にコーラスできるので、リズムはブンブンにドライブする。ライブを1本見るともう、これほど多様な魅力を備えたバンドだったとはと恐れ入るしかない。楽しい。アメリカの音楽フェスで大受けだというが当たり前だ。こんな楽しいバンドはどこにもないだろう。どうしてこうもいいガールズバンドがゴロゴロ出てくるのかニッポン。
......というか、彼女らが出てきたのは不思議ではないな。ブリティッシュスカを取り込んだルースターズがあり、スカパラがそのテーストをポップに受け継ぎ客煽り芸能として発展させ、それを見て育ったガールズがここにいるわけだ。日本伝統の吹奏楽部も当然ここにつながっている。音楽をやってなかったら大阪の市場かなんかで元気に働いていそうな普通の女の子たちが音を手に入れて、世界中を友達にしてやろうみたいな勢いで弾けているのは感動的だ。彼女らは、信じてる待っている系 Jpop の対極にいる。待ってらんないからもう自転車をこいで会いに行くよと言っているのである。ビューティフル。
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