2010/10/17

日記「カルカソンヌ中毒」

「ボードゲーム探し」「シャキーンの猛烈な高品質」「草原ルールの悩み」ほか。

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■10/10/04(月) □ ボードゲーム探し
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 一般の店には売っていない希少なドイツゲームを探しにMKが言っていたコキットラムのゲームストアに行ってみると、ほしかった「チケットトゥライド」が店頭ウィンドウにずばり置いてある。興奮してプライスを尋ねるとしかし $59.99。ネット価格の倍近い。うーん、無理か。他にもカタン、プエルトリコなどすべての有名なドイツゲームがあったが、どれも値段は同じであった。がっくし。

 しかしこういう店はカナダで初めて見たな。数百のボードゲームやジグソーに加え、ボードRPG用のフィギュアや戦車、塗料が売っている。強烈な懐かしいフィーリングに包まれ、「お父さんが小さい頃に入ってたプラモデル屋みたいだよこれは」と萌にいう。カナダにはプラモデルがほぼ存在しないのだが、「小さく精緻なものを作りたい」という僅少なボーイ需要はこういうところで満たされているのだろう。日本のプラモデルとはバラエティも価格も比較にならないけれど。逆にでかく頑強なものを作りたいというオトコ需要はカナダじゃ膨大なので、ハードウェアストアが巨大になり廉価なわけである。

 あとでネットで調べると、「カルカソンヌ」というゲームが安くて人気が高い。これを探してみよう。

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■10/10/05(火) □ カルカソンヌを入手
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 BRのドクアポついでに、これもMKがいつも行くというポートムーディのゲームストアへ。そこでお目当ての「カルカソンヌ」が一発で手に入ってしまった。なんていい町なんだポートムーディ。海と街並みが美しいだけじゃなくて、田舎町なのにゲーム文化まであるのか。

 飯を作りながら1人で2回テストプレイして、絵柄が合うように置き土地を所有する基本ルールがわかったところで萌とやってみる。ここに置けるよと何度かベーシックを教えると、あとは萌の方が手を見つけるのが早く(これはカルタなどと同じで視力の差だろう)、お互いに教え合いながら進むのが楽しい。大きな都市が完成するパネルを引いたときは、「出た!」と2人とも興奮する。

 結局22ポイントという最大の都市を作れた俺が4手差で勝ち、初回にして十分に楽しい勝負となった。プレイ時間も期待通りに短い。30分かからないし、スゴロク系と違い人数が増えてもシステム上プレイ時間は変わらない。萌も「楽しいねこれ!」と続けてやりたがり、2戦目は大都市を完成させた萌が取る。

 あちこち細かく点を取りつつメインの大きな都市づくりを目指すというのは非常に自然で心地のいい遊び方で、大人同士がよりコンペティティブになれば乗っ取りその他でこんなに牧歌的にはやってられないと思うが、協力と攻撃の両方ができるところがこのゲームの美点だな。クルーなんか協力も邪魔もできないし運の要素もほとんどないので、萌ら子供が勝てるわけがなく気の毒なのだ。スゴロクはフォーミュラDのように、どれほど複雑化しても逆に運だけすぎるし。

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 夜、1人で3色を動かしカルカソンヌ戦術研究をしていると(――俺が勝ちたくて研究してるのではなく、ベストな定石を見つけて伝え誰もがコンペティティブにプレイできるようにしたい――)、萌が横から加わり一番負けていた黄色を勝たせようと一緒に考えてくれた。こういうふうにひとり遊びでソリテアとしてやっても面白いし、隠す札などがないゆえ横から口を出せるところもカルカソンヌのよさである。やはりこれは大人になってからやったボードゲームで最高だな。

 俺はバンド時代ツアーに持っていき、移動の車内や宿でやっていたバックギャモンにノスタルジックな愛着を持っているのだが、あれはダブリングキューブと掛け金がないとゲーム性ががたっと落ちてしまう。たとえばMとやると彼女はダブリングキューブを使わず、常に効率のいい数学的最善手を打ち、俺が仕掛ける罠をさっさと飛び越えていく。そして俺のことを単にバックギャモンの下手な人だと思っている(+_+)。こうされるとバックギャモンというのは味気なく単調な遊びで、何度もやれるようなものではない。カルカソンヌには1人2役をやっても延々と思考の愉しみが得られるだけの面白さがある。

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■10/10/09(土) □ シャキーンの猛烈な高品質
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私がアップロードした「知るや君」は、1年で2万回もプレイされていた。
国民の愛唱歌として教科書に載せてください。
「シャキーン!ザ・ライブ」第2弾? を見る。声が低くオトナっぽいアメリカンアイドルに憧れる萌は、「あやめちゃん」のキンキンした声に代表される日本的子供番組にはもう興味をなくしており、シャキーンバンドの素晴らしい演奏がばんばん続くのに向こうから一緒に口ずさむだけで画面を見もしない。おいおい。しかし名曲「知るや君」ライブバージョンあたりからはさすがにこっちにやってきて、その後は釘付けであった。音楽の力なり。

 カナダで暮らす10歳ガールが TV Japan 番組の幼稚さを笑い無視するのは自然なことで、俺自身カナダに住んでるおかげでそういうものにあまり触れずに済むのはありがたいと思っているが(大人が子供風にたどたどしく喋る「ポチタマ」Tarako さんその他のナレーションからして、日本的幼稚TVは気色が悪い)、シャキーンに込められたイノセンスは幼稚さとは別物であり、混同してほしくないものである。

 しかし一度見て2度目はダビングするために好きな曲だけ見たのだが、前回見た時よりもさらにすごいコンサートである。ベースが女性で歌が無茶苦茶うまい。検索してみると外人部隊というバンドの人らしい。声を聞いただけでタダ者ではないと思うレベルのボーカルが、樹木となって顔も名前も見せずに歌ってるのだからこのバンドは意外性だらけだ。後半にはムッシュかまやつまで出てきて俺は意外性にひっくり返った。サイケなストリングスおやじもかっこいい。実にまったく猛烈な高品質のシャキーンコンサートでした。素晴らしい。

 こんなにすごい子供音楽はほんとに、カナダにもUSAにもないんだよ(※)。それが見れることの幸せを俺は萌に説き、ほらここにビートルズのコードが入ってて美しいと思わんかと解説してやるのだが、理詰めで好みは変えられんからなあ。
(※)ついでに「どれみふぁワンダーランド」も世界無二のすごい音楽番組である。毎週(隔週?)ほんとに楽しみなのだ。

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【追記】シャキーン・ザ・ライブ2010を Youtube にアーカイブしました。
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①ザ・シャキーンズのテーマ

メインボーカルの気弱さが歌詞のテーマにどんぴしゃ。そしてサビに入ってくるセカンドボーカルの声にぶっ飛びます。誰だこのベースはと調べてみると、外人部隊というユニットの ACKO という人らしい。なんてかっこいいんだ。


②かんじてごらん
楽 器の音色、コード、コーラスとすべてがビートルズで、歌詞は全部小1の学習漢字でできているというもう、傑作工芸品といえる曲であります。メインボーカル のテツロー、サイドのサキタの両者とも声量と技巧がないのが実にロック。エンディングのこの圧倒的なサイケ音を現場で浴びた親子は幸せものだ。


③知るや君
古典の教養がない私たちにも島崎藤村の美しさが分かる名曲、「知るや君」。この曲が音楽教科書に載り、作曲のサキタハヂメが毎月のお米代を終生もらってもいいくらいの曲だと思う。ノエ(熊本野映)さんの歌も素晴らしい。


④いっしょにいるから
弱 い心と体を持ち才能はあるがなかなか日の当たらない(ように見える)テツローを、お日様のようにつよく照らし、その温かさを知るノエ。JPOP は「あなたを信じてるそばにいる待っている」てな、いわば無条件サポートを謳う保証書みたいな歌ばっかりですが、この歌にはそれらとは違う、人という字は 支え合ってるのだという普遍的な善美があります。メンバー間でボーカルを回していくというクラシックなことをしてくれる二番にもほんとに泣ける。ここでも ベース ACKO 氏の声が突き抜けている。



⑤うた時計
御大ムッシュかまやつもくるみ割りソルジャーとなり登場。このコードとメロディの豊かさよ。この曲のアニメ版は3分で地球の歴史が学べておおおと勉強になるんだよね。どこかに残っていないものか。というわけで、後世になんとか伝えたいすばらしいコンサートでした。

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■10/10/10(日) □ カルカソンヌ中毒
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 俺は完全にカルカソンヌ中毒となり、毎夜TVを眺めつつソリテアとして1人でカルカソンヌをやっている。昨夜ついに奥さんもカルカソンヌに引き込んだ。彼女の好きなトランプのソリテアを対戦型にしたようなゲームなので、当然ながら即座にルールを理解しはまり、なんと5戦も連続でサシ対戦となった。このゲームのクイックさと面白さが十分に伝わったのは間違いない。奥さんもカルカソンヌ中毒。

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 午後久々にきたMKとゲームの話をすると、ポートムーディのあのボードゲームストアはやはりゲーマーであるMKの友達がやっており、「最近背の高い日本人が来なかったか」と店主に聞いたら「おお来た来た、カルカソンヌを買っていった」となり、「彼は僕の叔父さんだよ!」という会話で盛り上がったのだそうだ。

 あの若い店主は今なんと、日本の忍者スクールに行ってるとのこと。なんでカナダ人には忍者スクールがそんなに人気があるんだ(笑)。格闘技の一種と捉えられているのかな。

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■10/10/16(土) □ 草原ルールの悩み
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昨夜からイトコのSFがスリープオーバー。今日は萌とSFがクローゼットのドアに美しいリンゴの木を描いた。これは素晴らしい。話をしてみるとSFはアート全般に興味があるらしい。来年にはハイスクールを終えるわけだが、アートカレッジ等に進むのかな。

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 晩飯:MK家でバーベキュー。当然カルカソンヌを持ってきたのだが、ゲーマーMKは昔やったことがあるとのことでルールをほぼ把握していて、いきなり萌の都市に相乗り(強制的に自分の都市を相手の都市に連結し同スコアを得ること)してきた。これまでこのゲームでアタックされたことのない萌はルールを分かっておらず防御しなかったので、なんときれいに乗っ取られてしまう。なんてことをするんだお前はオニかと大盛り上がり。

 しかし幸いにもこの都市がでかくなりすぎたためにMKは完成できず、萌は別に中規模の都市を完成させて着実に点を取り2位。教会をきれいに2つ完成させたSFが1位、俺は特に何もできなかったが3位。そして最大タウンに固執しすぎて他の都市を開発しなかったMKが結局最下位で皆満足となる。グレイト :-)。4人ゲームはやはり使えるタイル数が2人時の半分になるのであっけなく終わるという感はあるが、その分大人数でにぎやかな楽しい勝負になる。

 草原ルールはポイントが大きすぎると感じるから1都市2点にしている(※)とMKに説明すると、その大きなポイントを熾烈に奪い合うのが面白いのではないかと奴がゲーマーらしいことを言う。まあ熱いゲーマー同士ならそうだろうが、萌もいるわけだし、1つの手が過剰に結果を左右するエレメントは俺の好みではないのである。しかしこうしてその家にあったローカルルールを考えて実施できるところが、ボードゲームの面白さだ。
(※)《都市に連なる草原を取ると接する1都市につき3点》の「草原ルール」というものがあって、これは下手するとコマ1手で8都市24点とかの巨大都市並みのスコアがぽんと取れてしまう。それまでの楽しい都市開発の趨勢とは見た目上まるで関係なく草原プレイヤーにどでかい点が入るので、Mも憮然としていたし俺もバランスが悪いと思っている。

 このあたりのルール調整はこれからも検討していきたいが、とりあえず初所有のボードゲームとしてカルカソンヌは非常に満足感が高い。「カタン」など傑作と評判の別ドイツゲームもやってみたいが、これよりも複雑で時間のかかるゲームをボードでやるのは面倒だという気がする。PCやDSで複雑なゲームをやるのは苦にならないが、それは自分のペースで断続的にやれるからで、人とやるゲームは次元の違う集中が必要だからなー。カルカソンヌに拡張セットを足しハウスルールを整備して、よりゲーム性を高めていこう。

2010/10/10

日記「Stars On ビートルズメドレー」

「『クールな子』とは」「Axim X51v に移行」「不思議なカナダのファストフード」ほか。

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■10/09/20(月) □ 「クールな子」とは
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 午後、新しい学校で最初にできた友達CHがやってきた。萌はボーイズやALと一緒だとバカをやって騒ぐだけなのだが、JDやCHのようなおしゃれな子と話すときは、かっこいいことを言おうと高揚してベラベラと喋りすぎる。まあそれがノーマルな10歳なんだろうけど。キュートではなくクールでありたいのだろう。

 学校でも「クールな子」とそうでない子は明確に分かれているらしく、萌が「そのときクールな子たちが言ったの―――」と学校での出来事を俺たちに報告することがよくある。萌は「クールじゃない子たち」に属すわけである。これは要は気が強く攻撃的な子が「クール」だということなんだよな。

 ちなみに萌に前の学校での「クールな子たち」とは誰かと聞いてみると、なるほどと思い当たるガールズの名前が並ぶ。それらクールキッズのお母さんもみな、見るからに癇癖の強さが漂ってくる人々だ。俺や萌と校庭ですれ違っても目を合わすこともなく、萌が自分の娘のクラスメートだと気づいてすらいないらしいお母さんがたである。

 萌の友達のお母さんは例外なく、知り合いになる前から物腰が柔らかく挨拶を交わしていた人たちなわけで、クール(意地悪)とノン・クール(普通)は血統できっちり決まっているように思われる。

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■10/09/21(火) □ Axim X51v に移行
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 「クロスロードで iPhone に魂を売り渡した」というP氏が使わなくなった Pocket PC、DELL Axim X51v をついに譲り受けた。ありがとうございます。ハード的には予想以上にいい。これほどネット速度が速いとは思わなかった。そして手書き漢字認識の精度がすごい。現在校庭でお試し入力中。これは Pocket PC 史上最強の認識精度だろう。

 しかしある程度予想はしていたが、Pocket PC 2002 までのソフトウェアが1つも動作しない。そしてそれらのフリーウェアの Windows Mobile (Pocket PC 2005 相当のOS) 対応バージョンが全然ない。Windows Mobile 時代ともなると iPod その他に押され、Pocket PC の利用人口自体が減ったのだろうな。

 さらにこれは知らなかったのだが、Windows Mobile 5.0 というOS自体が不安定だ。明らかに Pocket PC 2002 よりもフリーズが多発している。アプリのフリーズから復帰できないのである。これも今時の OS としてなんなのかとため息が出る。

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■10/09/22(水) □ 文句ない担任
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 萌の新しい学校の先生紹介で、担任の先生と初めて会った。快活ですごくいい人で、「ペアレンツはフランス語がわからな(くて手伝えな)いんだから、宿題はできるだけ出さないよう心がけている。連絡もペアレンツにわかるよう英語でやる」と、若い人なのによくものが分かって気遣いがある。カナダの教師は物腰はフレンドリーだけどやることは我が道を行くという人が割合多いので、こういう気遣いをされると感心してしまう。生徒に自発性を持たせるようどうしているかといった説明も理にかなっており、文句ないな。ありがたい。

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 学校の施設は新しい割にあまりよくないのだが、冷水と温水が出る(つまり子供がカップラーメンが作れる)給水器、電子レンジなど田舎の学校にはなかったアメニティがあるところがなんとなく都会的だ。

 しかし都会だからなのかなんなのか、年上の男子に向かって「ルーザー(負け犬野郎)」と罵る2年生(7歳)なんてのがいるらしい。萌がそれを校庭で目撃し、「そこまで言うことないんじゃないの」と口をはさむと、「あんたは私のボスじゃないわよ!」とその2年生は反論したのだそうだ。

 この「you're not my boss」というのはうちの近所の子供も皆言う捨てゼリフなのだが、その親はいったいどういう躾をしてるのかと呆れるものがある。SMの父親は実際「俺がボスだ、俺のいうことを聞け」と娘を叱るのを見たことがあるので、まあそういう躾が相当に一般的なんだろうな。物ごとの正否と関係の上下なんて1つも関係ないではないか。馬鹿である。やれやれ。

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■10/09/24(金) □ 不思議なカナダのファストフード
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 3日間設定に苦闘していた Axim X51v は、フリーズの原因と対策がネットのユーザーフォーラムでわかり一山超えた。やはり Windows Mobile OS のせいだった。さまざまなバグつぶしとソフトウェアの構成に苦労しやっと実用ベースに乗ってきたけれど、ユーザーにここまでやらせる Pocket PC/Smartphone はもう、一般人が苦労もせずに使える(のだろう)iPhone とかの家電型端末にはかなわないなとつくづく思う。

 俺は要はキーボードを使わずに手のひらでラップトップと同じことをしたいわけで、Windows 的に自由度が高い Pocket PC はその用途では今でも最強だとは思うのだが、しかしそれも基本的にトラブルフリーで動いてくれたらの話である。先端的な Linux じゃないんだから苦労は望んでいないのだ。

 ともあれ Windows Mobile には問題が多々あるが、Axim X51v のハード性能は素晴らしい。美麗な画面、高速なアプリ動作、クリアなボイスレコーディング。管理に苦労はしても、もうカシオ E-2000 には戻れない。

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 ビアード・パパのシュークリームをお土産でもらう。数年前リッチモンドに開店したときに行列ができて話題になったが、もう10店舗もあるのだそうだ。文句なくうまいがこのレベルの菓子を作るのがさほど難しいとも思えず、なんでカナダのベーカリーでシュークリームがいまだに作られないのかワケがわからない。うちの近所で普通に買って食いたいのに。

 バンクーバーのダウンタウンでは「ジャパドッグ」というホットドッグスタンドがこれまた行列ものの人気で、これもやがて店舗を広げるのだろう。単に「ジャパン」が高級ファストフードのブランドになってきているっぽいが、これまたうまいホットドッグを作るのが日本の匠の技なはずがなく、普通にうまいものを作れば爆発的に売れるくらいまずいものばかり売っているということだろう。なんでカナダ人は塩化カリウムが多すぎるKFCやバサバサにドライなマクドナルドを文句も言わずに食っているんだ。ファストフードとはいえこんなものは食ってられんと無視していればもっとレベルは上がるはずだろう。ほんとカナダ人の食ビジネス感覚は不思議である。

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■10/09/28(火) □ 日本の秋のような日々
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 BRの指圧アポイントメントでポートムーディへ。秋にしては珍しく暖かく晴れている。週末は雨が降りながら20度もあって、まるで日本の秋のみたいで気持ちがいいなと思った。学校で会った日本のお母さんもほんと日本みたいよねと同じ感想をもらしており、そうだよな、日本の秋って幸せだよなと思う。

 放課後、萌を遊ばせに前の学校へ連れてくる。やっぱいつになってもこっちのほうが友達も多く楽しいよなー。しかし萌が「新しい学校にこれこれがある」と話したせいで、WLとALが「そうかよ、うちなんかこうだぜ」と口論になっていたので割って入る。くだらんことでケンカをせんでくれ(笑)。

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■10/10/01(金) □ 「最近のJ-POPの歌詞」
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> koji_hiyama 「最近のJ-POPの歌詞」
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> 翼広げ過ぎ
> 瞳閉じすぎ
> 君の名を呼び過ぎ
> 会いたくて会えなさ過ぎ
> 前髪切りすぎ
> 私弱すぎ
> 桜舞いすぎ
> 親感謝されすぎ
> 季節めぐりすぎ
> 君のこと考えすぎ
> もう一人じゃなさすぎ
> 大切な人居なくなくなりすぎ
> あの頃に戻りた過ぎ
> 一歩づつ歩いて行き過ぎ
>
> TeseBochum9がリツイート

 芝刈りをしつつ Axim でネットを読んでいると、チョンテセがこんなに素晴らしいつぶやきをリツイートしてくれていた。久々に何かを読んで爆笑したなー。外で仕事をしつつチョンテセのメッセージを読み、こんなすごいものを教えてもらえるという、幸福な Axim モバイル体験である。とにかく安定してほしい。1週間経ったがまだ安定性が完全ではない。

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■10/10/02(土) □ 日系ファーマーズマーケット
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小さな巨木!
 日系ファーマーズマーケットがあるのことでニッケイセンターに来る。ナスやカブなど日本の野菜があるだけで別にお祭り的なイベントではなく、各種習い事道場を見学し、まんじゅうとおはぎ(懐かしい!)を食べ野菜を買い、盆栽を見て帰る。この盆栽がすごかった。松の木などは見てもなんとも思わないが、この小さな巨木は本当に風格がある。これならほしいが、おそらく百万円とかするんだろうなあ。

 伝統あるここの日本語学校は優秀との定評があり、実際今日クラスにLSがいたが、週末半日潰してここに通うというのは難儀なことである。クラスから出てきたLSがわしらを見て「あれ?」と目を丸くしてるので、「今日はLSがちゃんと日本語を勉強してるのかチェックしにきたのだよ。ちゃんと勉強してくれよ。頼むよ」と言っておいた。

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■10/10/03(日) □ Stars On ビートルズメドレー
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 ST家のホームパーティ。ディナー後、みんなが欧州旅行写真を1時間以上も見ているのに待ちくたびれ、俺と萌は階下のミュージックルームで遊ぶ。萌にドラムを叩かせ No Reply から Stars On ビートルズメドレーにトライ。この Stars On メドレーは実に驚くべきデキのよさなのだが、自分でやってみると各曲歌い出しで音程が全部はずれる。それがおかしくて1曲ごとに爆笑のメドレーとなった。Stars On はあれは実はつなげて歌えるよう、全曲のキーを変えていたのだ。すごい職人技だ。

 今 Google して今はじめて知ったが、「Stars On 45 - The Beatles」はオランダのスタジオミュージシャンが作ったのだそうだ。意外なところに意外なビートルマニアの才人がいたというわけだ。

 久しぶりに大声でビートルズを歌うと気持ちがいい。萌の音程も素晴らしく、「Please Please Me」は2人が完璧にハモった上に俺のギターとパシパシという萌のドラムでビートにうねりが出て、素晴らしいグルーブが生まれ最高だった。萌、これがバンドだよ。すごいよね。萌もいつまでもビートルズを歌い育ってほしいものである。そのためにこの Stars On Beatles が役立ってくれるだろう。

2010/10/03

日記「萌の勉強部屋が完成」

「イモリの病気」「前の学校で遊ぶ」「ボードゲーム考」ほか。

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■10/09/10(金) □ イモリの病気
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 バンクーバーの秋らしい、今にも降り出しそうな空が毎日続く。BCの秋が悲しいのは爽やかな夏が終わると同時に雨季になり、あとは春まで延々と寒くジメジメなところにある。春、夏、雨季、冬しか季節がない。本格的な雨季が始まる前に、排水ポンプの非常用バックアップシステムを構築しなければ。

 イモリのパスタに皮膚の疾患ができてしまった。こいつはうちに来てから自力で餌を食べたことがなく、1年余ずっと俺が強制給餌を続けてきたほど弱いやつなのだが、本格的に病気になったのは初めてのことである。調べると特に薬などなく感染の可能性があるので、とにかく小さなプラ水槽を買ってきて隔離することにした。長期戦となりそうだ。

 はあ。元気な日本のアカハライモリ飼いがうらやましい。Youtube や飼い主ネットカメラで見るとアカハラの活発さは実際驚異的である。水面に浮いた金魚の餌を泳ぎながら食べたり、水面を流れる浮島にひょいっとよじ登るなんて映像を見ると、これはほんとにうちのシナイモリと同種の生き物なのかと思う。小亀並みの動きの速さと生命力だ。うちのシナに比べ体型的に頭が大きいので、脳神経系の発達具合がまったく違うんだろうな。

 ペットショップの兄ちゃんは日本イモリの発注も可能だと言ってるのだが、しかしカナダというのは店員の言ってることがものすごくいい加減なところなので、生き物の発注はこわいのである。何が届くかわからないのである(苦笑)。

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■10/09/15(水) □ パスタ死亡
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 隔離水槽のパスタの様子は今朝も変わりなく、それなりに元気で餌も食べられそうに見えるので、反応を見るために赤ミミズとドライフードを底に少量置く。で1時間半ほどしてから水槽に目をやると、なんと彼が水中に沈んでいた。えーっ!

 今後ことによるとここで一生過ごすかもとサブ水槽を快適に整備していたのだが、隔離1週間で死んでしまうとは完全に予想外だった。金魚たちが死んだときのような予兆は全くなかった。むしろ隔離当初より水がきれいな今の方が体調はいいと思っていたのだが。まあもともと極端に弱い奴だったので、寿命だと考えるしかないだろう。はあ(合掌)。死人が出たので予定を変え全換水しよう。

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■10/09/16(木) □ 萌の勉強部屋が完成
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まさに夢の子供部屋。
 PCを組みデスクライトを設置して、萌の勉強部屋が完成。こっれは夢の子供部屋だなあ。萌は一人っ子で気の毒だが、兄弟がいる子はこれほどのスペースを1人では使えないだろうから、その点だけは恵まれている(ベッドとPCは親戚からのお下がりだし)。俺は大人になってからだってこんなにいい部屋に住んだことはないぞ。

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■10/09/17(金) □ 前の学校で遊ぶ
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石とプラ植木鉢で浅瀬と深場を仕切り、
悪食の魚をブロック
 水槽のレイアウト変えをした。最近ミノウ(金魚っぽい小魚)がイモリたちの餌を盗みに来て止められないので、魚が入れずイモリだけが石をよじ登り入れる浅瀬を作ったのだが、バカなのでイモリたちも深場から浅瀬に登れない ^_^;。どんなに頑張っても登れずパニックになりかけており、手を入れてガイドしてやるしかなかった。アカハラだったら簡単に登るだろうが、シナイモリの運動能力じゃ「泳いでグリップしてよじ登る」というアクションは無理なのかな。まあ明日から慣れてくれ。イモリだって少しは学習するだろう。

 広くなり快適そうな浅瀬でくつろぐノボリたちを見ていると、死んでしまったパスタにもこの浅瀬を味あわせてやりたかったなと思う。

 パスタが死んだことをイモリに興味のないMには特に報告しなかったのだが、「そんな大事なことを話さないなんて」と怒られてしまった。夫婦というものは実に難しい。

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 今日は放課後、萌を前の学校の校庭に連れて行った。「萌が来た、萌が来たよ!」とAL姉弟の熱狂ぶりがすごい。悪友WLは木登り中で、萌が登って行くと「お前かよ! 来るんじゃねえよ!」みたいに盛り上がっていた。

 しかし事情を知らない人にどうして学校を変わったのかと聞かれると答えにくい。しかも萌はALに誘われ前の担任に会いに行こうとする。ちょ、ちょっとそれは、転校の理由を原因本人に訊かれたらヤバいではないかと止めておいた。やっぱ前の担任の教育指導がごく低調だったとはいえ、萌は特に嫌いじゃなかったんだよなと申し訳なく思う。教師以外はこちらのほうが環境がいいし友達も全部いるわけで、週に一度くらいはこっちの校庭で遊ばせてやろう。

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■10/09/18(土) □ ボードゲーム考
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 うちでは最近ボードゲームが流行ってるのだが、MKが「フォーミュラD」という新しいやつを仕入れてきた。サイコロでサーキットを回るスゴロクなのだが、車の5段のギアによって振るサイコロが変わり、《高いギアは大きく進むがコーナーを曲がりきれずペナルティがつく》という法則がなかなか面白い。

 しかし要はそれだけのスゴロクなので、バックストレッチに入る頃にはもう勝負は決しており、皆の関心はサイの目が悪く大きく遅れた気の毒な萌をどうやって追いつかせるかだけとなった。最後にペナルティなどもう構わんから5速サイコロを振れといい、それで萌が2台ごぼう抜きしたときだけが盛り上がった。つまらなくはないが、雑誌の付録で数回やって終わりくらいのレベルのゲームだなあと思う。

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 家族でやるボードゲームはとても楽しいのだが、この前にやっていた「クルー(これは英語圏の家族は誰もやる古典らしい)」が典型的であるように、こっちのボードゲームはやたらに時間がかかる。「クルー」なんか面白いけれど下手すると1ゲームに1時間かかる。それに「クルー」もこの「フォーミュラD」もルールに工夫がなくて、逆転の可能性や子供(萌)が勝つチャンスがほとんどないのがいかがなものか。どちらも初回の途中ですでにこりゃルールが片手落ちだろうと思い、ゲームを楽しむより改善案を考えてしまう。

「フォーミュラD」は要はコーナーオーバーランのペナルティがボディへのダメージだからいかんのである。ダメージなどあっても1周のレースでは余裕で完走できてしまうから、どうやってもサイコロの目がいい奴が勝つに決まっている。欲をかいてオーバーランしたらコーナーの手前に戻してしまえばもっと僅差の勝負になるだろう。スゴロクなんだから一番痛いペナルティは戻されることなのだ。

 「クルー」は俺がサイコロを1個から2個にして移動時間だけは短縮できたのだが、証拠集めの効率の悪さはいかんともしがたい。15分くらいで1ゲームが終わり、どんどん次のターンに行けるゲームに改造したくなるし、萌とグランマにはハンデもあげたい。勝ってるやつの足を引っ張ったり、負けてる人を支援したりするという日本的なおせっかい&親切心が、「マリオカート」を筆頭とする任天堂ゲームに込められているんだろうな。

 俺が子供の頃やった「バンカーズ」や「騎兵隊ゲーム」はもっとずっと楽しかったと思うのだが、あれは単に子供だからだったのかな。バックギャモンやリバーシ並みに簡単なルールと戦略でぱっぱと1ゲームが終わるボードゲームがないものか、探してみよう。萌の友達が来たときにやれるくらい単純なものがいいよな。

2010/09/15

日記「都会の学校へ」

「楽器を探せ」「スティーブストンの紅鮭」「PNEの夫婦漫才」「フレンドシップフォーエバー」ほか。

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■10/08/30(月) □ 転校が決まる
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 夏前から問い合わせていた隣町の小学校の校長から連絡が入り、萌の転校が決まった。萌のフレンチクラスは若く意欲的な教師だそうである。決まってしまったかー。先生はそちらのほうが絶対いいだろうが、キンダーから5年間付き合った今の学校の友達とは会えなくなるわけで、よく萌が承知したものだと思う。新しい学校での体験と出会いの方に彼女の胸は今ときめいているとはいえ、気の毒で仕方がない。

 6月の終業時、問題ありまくりだった今年の担任が来年も残るのであれば、もうこのI小学校にはいられないとMが校長と話したのだが、結局何も変わらなかった。あの校長は生徒のために学校を運営してるわけじゃないのは、この2年明白だったしな。本当に最低限の義務しか果たさない校長と教師たちだけになってしまった。

 BCの短い夏の終わりを告げるかのごとき長雨。今年は30度を超える日が、全部合わせてもたぶん7日くらいだったよなあ。あとはどんどん冷え、長い長い雨季に向かっていく。寂しいものであります。

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■10/08/31(火) □ 楽器を探せ
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 長年世話になっているLDに最近いろいろと不運が続き、落ち込んでるからもてなしたいとMが企画し、超サプライズプレゼントとして彼女がほしがってるエレピを買って来いと言われ久々に楽器屋に行く。

 予算2百ドルならロクなエレピは買えんだろう、どうせ買っても忙しいLDがレッスンを取るとも思えず、だったらアコースティックギターのほうが置くだけになっても場所も取らずインテリアとして見た目麗しいのでいいのではないかと俺は思い、エレピはさておきその価格帯のギターを片っ端から弾いてみる。

 するとこれがまあ俺が子供の頃の2万円ギターとまるっきり同じ音がする。つまり全然よくないのである。電子楽器の値段は近年信じられないくらい下がっているが、ギターとかアンプとかのフィジカルな木製ブツの値段はまるで下がってないというか、安ものは音も安いままで水平推移しているようだ。俺が中学の時に最初に買ったヤマハ FG-200 もあったのだが、これが 30 年後もまったく同じ音とネックの握り具合で笑った。まあ安いのをいい音にしちゃったらいいギターを誰も買わないか。

 で結局 YAMAHA エレピの下位機種が予算内であり、これが十分にいい音で決定。ちなみに連れていった萌は、自分が弾ける数少ない曲を店のいろんなキーボードで弾いて悦に入っておりました。楽器屋で自分の腕前を披露したい気持ちは誰もが同じだ :-)。

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■10/09/01(水) □ スティーブストンの紅鮭
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 Mが港町スティーブストンへ1時間強かけてサーモンを買いに行く。今年は百年に一度のとんでもない大豊漁だそうだが、それが市場には出てこず、こうして個々人が車にクーラーを積んで買いに行かねばならないというところがカナダのよくわからんところである。

 野菜もそうで、スーパーマーケットの野菜はカリフォルニア産ばかりで、旬の地域産のものなど年間を通じ一度も出てこない。そういうものが食べたければファーマーズマーケットを探して消費者が車で買いに行くしかない。サステイナブルフードだの100マイルダイエットだのと理念はかまびすしいが、それを手に入れるには客が長駆車で買いに行かねばならない(使われる総体エナジーは増す)のは矛盾してるだろうといつも思う。カナダの流通は消費者の望むように働いてないのではないか。町内のスーパーでリーズナブルな価格と新鮮さで手に入るなら、誰だって地元のものを食べたいに決まっているのに。

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魚の捌きは全員ど素人
 午後到着したスティーブストンのサーモンを一家総出で捌き食す。うまい。当然うまいけれど、やっぱり素人捌きでやや身を崩し味を落としたかもしれない。3枚おろしはMがやり相当に頑張っていたけれど、身の半分以上は骨に残りスープ行きだし。実に難しい。釣り師の兄貴か弟に俺が習っておくべきであった。ぶつ切りで落とした頭の部分の身が一番うまかった。

 サーモンを捌く前に久々に砥石で包丁をきっちり研いでおいたのだが、これが全然切れず、義母BRが出してきた油紙に包まれた「特別にシャープなナイフ」に完敗してしまったのがショックであった。俺のもたいした包丁ではないとはいえ直前に砥石で研いだものが、まな板すら持っていない(木のカウンター上でなんでも切っている)英国老婆のナイフごときに負けるとは。ショック。

 何が違うのか比較してみると、俺の包丁は薄身で生肉や野菜をシャープにスライスするにはきれいに切れるのだが、BRのは厚みがあり、それがサーモンの骨や硬い皮をギコギコと断つような切り方に向いているようである。それに材質が昔俺が持っていたオピネルのキャンプナイフのような炭素鋼で(だから普通に扱うと簡単に錆びるので油紙に包んであるのだ)、それが吸いつくように切れるもうひとつの理由である。俺もああいう骨を断つようなナイフが1つほしい。オピネルのでかいのを買えばいいのかな。

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■10/09/02(木) □ PNEの夫婦漫才
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暗くなるまで遊びつくすPNE
 この夏最後のイベント、PNE(遊園地&農業祭的な夏の大イベント)。パーキングは去年からさらに5ドル上がり$25! 食べ物も去年から$1ずつ上がるというすさまじいインフレだが、Mに言われそれはもう考えないことにして気を取り直し、暗くなるまで存分にPNEを楽しんだ。

 しかし今年で百年だそうだが、こんなインフレ商売でこの後百年続くのかなと思う。数年前まで数百人数百メートルの大規模なものだったパレードは、今年はついに1団体による音楽ショーに変わってしまった。ドラムをフィーチャーしたこのショーは非常によかったが、「こ、これだけ?」という声があちこちから挙がってしまうのは否めない。

 演し物で一番印象に残ったのは Equilibrium Circus という男女2人組の大道芸人だった。芸は旦那?の肩の上で奥さんが倒立するといったごくシンプルなものだったが、トークと表情になんとも楽しい味があり素晴らしい。

 こういう人たちを見ると、英語人は喋るのが本当にうまいなと快感を禁じ得ず唸ってしまう。TVで見る米国カナダのコメディアンはラチもないピン芸人ばかりで実につまらないのだが―――親切な米加人はそれを実によく笑うのだが―――、英語スピーカーは掛け合いの会話が面白いんだから漫才をやればいいのにと思う。なんで「俺のマザーがそのときなんて言ったと思う!? ○○って言ったんだよ!!」みたいな超絶ぬるジョークで喜んでいるのか理解しがたい。

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■10/09/07(火) □ 新学期
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 新しいG小学校に行ったM萌が、第一印象は最高だと帰ってきた。前のI小学校の前校長だったP校長はもちろん、I小学校にいた司書もいて萌の名前を覚えており、複数の日本人お母さんも「あら萌ちゃん!」と駆け寄ってくるという大歓迎ムードだったそうだ。考えてみればコキットラムだから日本語学校で顔見知りの人々がたくさんいるのである。そうかそうか。これは楽しくなりそうである。うちのお母さんはいつも正しい。不発アイデアばかりでブラッターみたいだなんて言ってすいませんでした。

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■10/09/08(水) □ 都会の学校へ
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やや殺風景な校舎と背景
 萌の新しい学校に初めて行ってみた。コキットラムの背の高いアパート群に囲まれた、外見は味気のない兵舎風カマボコビルディングだが、中は明るく機能性にあふれた近代的な図書館といった趣き。P校長が今日もチアフルに萌の世話をしてくれる。

 彼は自ら萌をクラスまで連れて行き、「萌は自分が2年前までいた前任校の生徒だったんだ、彼女は最高だよ」と紹介してくれたのだそうだ。昔は誰にでもウルトラ愛想がいいところが政治家っぽくてちょっとと感じていたのだが、親がいないところでこういうことがすっとできるところがたいしたものである。Mも言うとおり彼は「生まれながらの政治家だが、いい政治家」なんだな。彼がいなくなったI小学校がすべてにわたり味気なくなった分、こっちの学校が快活になっているのだろう。

 入り口が吹き抜けを抜ける空中渡り廊下になっている。おおかっこいいと俺と萌は興奮。今までは田舎の丘の中腹にある自然豊かな学校だったので、たかだか隣町なのだがえらい都会の学校に来たなと気圧される。こういう必要性を超えたかっこいい作りが象徴するように、必要最低限だった前の学校よりやる気のある教育が受けられるはずというのが転校の理由なのである。

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■10/09/09(木) □ フレンドシップフォーエバー
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 【萌新学校3日目】やはり明るく楽しい先生がいいようで、クラスは楽しいの一語らしい。すでにクラスで友達もできたという。しかし放課後校庭で遊ばせていると、遊具がごく小さい子向けに揃えられており、5年生の萌ほど大きな子供はまったく遊んでいないとわかる。この辺は木々と芝生とスペースだらけの前の田舎の学校のほうがよかった。

 萌も遊んでいてあまり盛り上がらず、「そうだ、この後前の学校の友達と遊んでいい?」と聞く。そうだな、どうせ帰り道だからALんとこに寄ってみようかと寄り道すると、ちょうど彼女も帰ったところで、路上で俺たちを発見し、「萌! 萌よ!」と姉弟がきゃーっと奇声を挙げ萌に駆け寄ってきた。失われたと思ったフレンドシップがなくなってなんかいなくてALはうれしかったのだとお母さんがいう。そうだよねえ。前の学校の子たちとはこうして放課後できるだけ遊ばせてやろう。

2010/09/01

日記「島縦貫ワインディングロード」

「Twitter への無理解」「ブレインキャンディ」「アニメ監督のご苦労」ほか。

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■10/08/20(金) □ Twitter への無理解
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 午後から晴れたが気温は20度ちょうどくらいで、秋の気配。昨日に続き庭の枝落としとフェンスの修繕をする。昨日買ってきた釘でフェンスを直していると、前居候MKの手を借りぬ完全自前修理なのでうれしくなる。今まではハンマーも釘も全部奴のツールボックスから借りてやってたからな。彼も俺も同時に自立したみたいで悪くない。この釘から始めて、自前ツールを揃えていくべし。

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 俺が Twitter を使ってると今日知ったMに、「えーっ!『スターバックスなう』とか書いてるわけ!?」と猛烈な拒否反応を示された。いや俺はそんなことはさすがに書いてないんだが、でもたいしたことは書いてないので、「リアルタイムでつぶやくことになんの価値があるの」と詰問されるとうーむと詰まってしまう。でも今感じていることをつぶやきたくなっちゃうんだよ、こんな風に。

 Mのブログや Twitter へのこの無理解無関心は、彼女が私小説、純文学、小津的な日本映画などを苦手とするところにも通じているんだろうな。彼女は実生活でもつぶやきという行為自体が苦手で、対話を最も愛しているわけだし。

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■10/08/21(土) □ ブレインキャンディ
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まあこういう感じです
 泊まりに行ったJD家から疲れて帰った萌が、すぐさまディズニー子供チャンネルをつけぼーっと延々見ている。ディズニーといってもアニメはなく、ティーン役者のコメディ芝居が終日延々やっているというもの。俺はこの夏休みこんなものばかり見るなと毎日ガミガミ言っていて我ながら嫌になっているのだが、Mも言う通りこういうのは「ブレインキャンディ」であり、栄養は何もないのだ。そして虫歯になるのだ。

 俺も子供の頃は夏休みに「サンダーバード」「フリッパーズ」といった英米製子供番組を見ていたけれど、カナダで人気のこれら米製子供番組はどれもストーリーがない、つまり30分ゲラゲラと笑って終わる「シットコム」だ。まったくもって学芸会である。

 ああいう「誰がスクールクイーンなのかの争い」みたいな幼稚な定形スクリプトを売文家が職業的技術で莫大な量生産し、ペアレンツのイライラと子供の豊かな情操を犠牲にハリウッド大金持ちが太っていくシステムから、なんとか抜け出したいものである。

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■10/08/24(火) □ アニメ監督のご苦労
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 俺が唯一新品DVDを買ったアニメ「千年女優」の監督、今敏が亡くなった。こないだジブリの若手監督のドキュメンタリーをやっていたが、あんなストレスと仕事量を与えられたら、アニメ監督はみな早死して当然かもしれぬ。宮崎駿はその点でも鉄人だ。タバコ吸ってるのに元気そうだしなー。俺も宮崎監督みたいにあの歳になってもあんなに元気だったら、またタバコを吸いたい。

 その「ジブリ 創作のヒミツ 宮崎駿と新人監督」という番組を見て思ったのだが、ジブリという会社にはこの新人監督を支援する体制は本当にあるのかねと疑わしい。宮崎監督が年でもう大量に描けないから、その仕事を若い才能に丸投げしたというふうにしか見えない。唯一無二の才能である宮崎駿と同じ仕事を普通の才人ができるわけないではないか。「それが宮崎とジブリの《流儀》なのだ」みたいなトーンなわけだが、非効率的すぎて、近年の宮崎アニメの後半同様破綻しているなと思う。宮崎アニメは破綻していても見たいけど、宮崎亡き後のジブリアニメはどうなのだろうか。

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■10/08/26(木) □ ソルトスプリングアイランド
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 今日からこの夏最後にして唯一の旅行だが、そぼそぼ雨です。予報を見て覚悟はしていたのだが、雲ひとつない昨日の夕焼け空が一夜でこうなるんだから、BCの天気は激変しすぎて、夕焼け小焼けの天候観測的な情緒が欠落している。気温があまり下がりませんように。目指すソルトスプリングアイランドの予報は20度ときどき雨といったところ。

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 道がどこもかしこも工事で遅れ、できるだけ飛ばして10分遅れでフェリーターミナルに着。乗ったのは思いもよらず小さなボートで(だから途中停泊なしで済むのだろう、去年のでかいボートは途中2港に止まった)、定時よりもやや早く 14:25 出発。順調である。

 そしてわずか1時間半で島に着き、ゆるやかな気持ちいい峠を越えコテージ着。島の天気はメインランドよりもはるかにいい。道の曲がりくねりとアップダウンがいかにも島にいるという風情を感じさせてくれ、そこがとてもナイスです。

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 そのままレストランで夕食。これに2時間近くかかった。うち1時間強は料理とデザートの出待ちである。座って10分以内に出てきて文句なくうまいものが食える日本のラーメン屋、どんぶり飯屋、定食屋が恋しい。

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■10/08/27(金) □ レイクスイム
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 Mが朝からバリバリ活動したがり、他に誰も行きたがらないので、俺とMだけで登山ドライブに出かける。しかしこれがえらい急坂砂利道で、途中まで頑張ったが、一度止まったらホイールが空転して発進できなくなりそうなほどの急坂が目の前に立ちはだかり、これは無理なりと車を止めて、あたりを散歩するにとどめておいた。鹿がたくさんいる。

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 昼寝をし気がつけば気温もそこそこ上がっているので、ラップトップとお茶を持って湖畔に出る。あー快適。

 レイクスイムにも少しだけトライした。こないだの海水浴よりこのレイクの水の方が少しだけ温かいのは事実だが、やっぱ気温が20度そこそこでは水になど入っていられない。10分ほどで退散する。やはり夏の海の方がいいよ。この気温水温でヘーキなみなさんは、やっぱさすがはカナダ人である。

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■10/08/28(土) □ 土曜のマーケット
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 土曜のマーケットへ。車を停めて歩くと後ろから懐かしい音がする。YAMAHA RZ250 だ。生産が終わってもう 30 年も経っているだろうに、こんなはるかな島に生き残っているとは。本当に軽く澄んだいい音だ。


 萌はイトコSFと一緒にマーケットを巡る。親から離れ自分の財布を持ちうれしそうである。萌が蜂に刺されるというアクシデントはあったがすぐに痛みは消え、皆を待ちながら俺とMは公園の日陰でのんびりと横たわる。最高のバケーション日和。

 不動産屋でMがこの島の家の値段をチェックする。「今の家を売ってローンを組めば買えないことはないわ。地元の学校に仕事があったらここに住みたいわ」。出かける先々でMはこう言うのであまり相手にしないのだが、こののどかな島に住めばそりゃ気持ちいいかもなあと俺も思わないでもない。天気は最高で気温もごく快適な20度のこの島を眺めているとパラダイスである。冬はどうなのかわからないが。

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■10/08/29(日) □ 島縦貫ワインディングロード
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 宿をあとにし、島の突端の Beaver Point Park へ向かう(地図上 G-I-A-B のルート)。この狭いワインディングロードが最高だった。スズキ・エリオは高速だとヨレヨレになるが低速コーナーはくるりと決まる。道幅をきっちり使いアウトぎりぎりからコーナーに進入し、最小限の舵角を与え外輪に荷重を乗せコーナーを切っていく。曲がり終わるとすぐさまS字があったりして、もーサイコー、ウホホと声をあげながらクイクイと曲がっていく。速度は 50km くらいだし無理なロールもさせてないのでパッセンジャーへの横Gやショックはまったくない。この低速でもスポーツ走行が楽しめるのが小さい車の利点である。


Beaver Point
 Beaver Point Park はノバスコシアのペギーズコーブにも似た岩場と眺望が開けた気持ちのいい場所。しかし島の 2/3 を一気に縦貫して 30 分なんだからほんとうに小さい島だ。メルはこの島をもう絶賛しているが、きれいな島ではあるけれどこの狭さでは実際に住んだら退屈するだろうと思う。まあ外出しない俺はこの島で暮らしても生活にたいして変わりはないけれど、買い物その他にはさぞや不自由するだろうし、家族友人に会えなくなるMはもっとつらいんじゃないかな。と思いつつ、俺は帰り道も嬉々としてワインディングを攻め込んでいたのだった。この道だけメインランドに持ち帰りたい。

2010/08/20

日記「真夏の Barnet Marine Park」

「ネットブックで仕事」「イモリ水槽の冷却」ほか。

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■10/08/10(火) X 萌はサマーキャンプ
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 昨日から萌はS大学でのキッズサマーデイキャンプ。俺は朝からコツコツ仕事。萌のキャンプは一度見に行きたいので、ネットブックに簡易仕事環境を構築して持ち出せるようにしよう。今日明日中に訳を終わらせて大学でプルーフリーディング(校正)だけやれればベストだが。

 仕事で詰まると水槽が慰めになるのだが、イモリたちはシェルターが減ってもやはり浅瀬から動かない。前のようにイモリたちが泳ぐところもたまにはみたいなあと思うし、仕事が終わったらレイアウトを変えてみよう。

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■10/08/12(木) X イモリ水槽模様替え
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 09:29 我慢できず仕事前にイモリ水槽の全換水&レイアウト変え、42 日ぶり。イモリたちを深場に招き寄せ運動させるために、フロントが大きく開いた植木鉢システムを復活させた。この槽模様替えは成功で、最近出不精だったノボリがパスタと並んでフロントに顔をのぞかせている。ノボリがこんなに愛想がいいのは久々で、彼にとってはフロントに深場があり、浅瀬が背後にある状態がなにか落ち着くのかもしれない。

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 夕方パスタやノボリがフロント葉っぱ登り&こっちへ何事かをアピールを繰り返すのを見て、イモリは動いてるとほんとかわいいなと久々ににやけてしまった。ジムシーはなぜだか後方の枝のえらい高いところに登ってるし、去年のイモリの楽しさが戻った感じである。

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■10/08/13(金) X ネットブックで仕事
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 S大学構内にラップトップを持ち込み、萌のサマーキャンププールサイドで仕事をする。しかしキーボードがあまりにも悪すぎ、しかも膝の上で打っているのでなかなか入力が進まない。こういう机のない不安定な状況では Pocket PC のほうがやっぱり役に立つなあと思う。

 このサマーキャンプには萌のスイムだけではなくバスケットボールとかラクロスとかいろんなコースがあり、ボランティアの高校生大学生らしき女の子たちが多くいるのだが、アジア人の女の子がみな背が高く足が長いので驚いた。萌の隣のプールを見てる子なんか童顔で小顔で細くて足が長く、まるでアニメのようである。あんな子は日本じゃ見たこともないので、やっぱりカナダに住んでると食生活的に背と脚が伸びる傾向があるのかしら。アジア系ボーイズは胸板厚くなりすぎやや暑苦しい奴が多いが (^-^;。


スキューバダイビングは沈むのが
難しいとのこと
これはカヌーやらスキューバダイビングやらと普段体験できないイベントがいくつも入り、町主催のサマーキャンプの3倍もの料金を取るスーパーキャンプなのだが、しかしイベント時以外は子供らがプールで遊ぶのをボランティアが見ているだけなようだ。教職課程の学生が子供の指導法を学ぶためにやるとかそういうことかと思ったが、全然違う。大学でやってるからイメージ的にかっこいいだけで(お揃いの大学ロゴ入りTシャツをもらって子供らは喜んでいる)、内実は高校生が小遣い稼ぎにやってる地元のサマーキャンプと変わりはないな。体験イベントはまあ楽しいだろうけど。
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 見ていてもさほど面白くないので、半時間ほどしてMの事務所に行き、そこで机を借りて本格的に仕事を開始する。今時のこの「ネットブック」って、その名の通りネット専用端末みたいな設計なんだろうな。Home/End/PgUp/PgDn というカーソル移動の超重要キーがなく、ストロークが短いせいで誤入力出まくりのこんなぺらぺらキーボードでものを書いたり編集するのは、果てしなきイライラとの戦いである。出先でネットが繋がり今最注目の Twitter も含めなんでも使えるという夢に見たような環境が手に入っているのに、このキーボードが悪すぎるせいでうれしさも中くらいなのである。

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 夜仕事を終わらせてから、「猫まねき」というユーティリティを見つけネットブックのキー配列を設定し直した。Win キーなどを殺して Home/End/PgUp/PgDn に割り振るわけである。

 さらにタイプ中タッチパッドに親指が触れカーソルが飛び実に邪魔だったので(カーソル移動系キーを省くのと共々、こんな常時指が触れる位置にタッチパッドを置く馬鹿デザインがなんで定着したのかワケがわからない)一時停止できないかと調べてみると、ドライバが対応してないと出来ないと判明。仕方がないので厚紙を貼って対処した。これで完成。ポインティングは小さなマウスを持って行き使えばよし。これで次にこのネットブックを使うときにはもっと快適に使えるだろう。

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■10/08/14(土) X イモリ水槽の冷却
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 仕事とサマーキャンプが終わり一家そろってリラックスする日、外は32度で紫外線が強く暴力的な暑さになっている。Mが先日誕生日だった母BRをどこかへ連れていきたいというが、日中は年寄りは移動自体やめておいたほうが賢明だろう。

 うちはベースメントが常時冷えているので、その空気を扇風機でガンガン2階に送り、今のところ余裕で耐えられる程度の温度を保っている。去年は2階にはいられないくらい暑かったけど、今年はそれほどでもないな。

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定格の12Vでは風が強すぎるので
AC6Vを使用、これで十分効果あり
循環リサイクルしていた階下の冷気も夕方ついにぬるみ切って、現在室温は29度。暑いのが苦手なうちのシナイモリはぐったりしているが、PCファンを改造し風を当てているイモリ水槽の水温は23度をキープしている。気化熱放熱効果は意外なほど高い。一旦上がった水温を下げるのは難しいが、朝から回していれば1日で水位が1cm下がるほど気化してひんやりを維持できる。イモリたちが植木鉢上にいるのもあれは、素焼きの植木鉢が水を吸い上げては気化させ、他の場所よりも涼しいのだと思われる。

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■10/08/16(月) X 真夏の Barnet Marine Park
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(見よこの黄金の砂浜を)

週末せっかく真夏が戻ったのに、友達と一緒でないと萌がどこにも行きたがらないせいで家にいたのだが、今日はようやく隣町ポートムーディの木陰満載の海浜公園 (Barnet Marine Park) に連れ出した。萌はツレが父親だけだとまるでやる気を出さないのだが、バーネットの砂浜を見て4~5年前に来たことを突然思い出したようで、「あーここだったのね! 来たくないなんていってごめーん!」と興奮する。当たり前だよ。木陰のサンドビーチだぞ。暑い日にこれ以上の場所が他にあるわけないだろう。


しかしいやー最高だった。やっぱ砂浜の海は気持ちいい。水は冷たく一瞬しか泳げないのだが、水で冷えた体を熱い砂に寝転がし暖めるという黄金パターンがほんとに最高である。萌はこれまで本格サンドビーチで遊んだことがないので、至福の砂盛り体験だった。「来たくないなんて言っててごめんねえ」と大喜び。

 遠浅だが海藻だらけのホワイトロックやバンクーバーアイランドの海よりも、俺や萌にはこっちのほうが楽しい。そういえばバンクーバーがなんとナショナルジオグラフィックの「世界のビーチシティベスト10」というものに選ばれていたが、あのキッツアラノは子供が遊ぶビーチではなく、景色として見て眺め、若者が肌を焼くだけのビーチだからな。まあ北米の人々にとってビーチの主用途はその2点なのかもしれない。このビーチでも水で遊び日陰で休むのは子供連れだけで、若者たちはイヤというほど全身を焼いている。ああいう日焼けした白人は中年以降肌が痛々しくなるのに、それでヘーキなんだろうかと不思議だ。

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■10/08/17(火) X 2日続けて砂浜ビーチ
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昨日は最高だった、夏も終わりだから今日も行こうと、友達のALをピックアップして2日続けて Barnet Marine Park へ。昨日父親と行くときは出発前全然盛り上がってなかったくせに、今日は朝8時半から水着を着てバックパックを整え万全の準備をしておる。出かけるのは11時なのに。

 2日連続なのだが、昨日と今日はだいぶ違う。海流というものは日によって大きく変わるものらしく、昨日より多めの海藻類がビーチに漂着しており、昨日は数えるほどしか見かけなかったクラゲも数倍いる。5cmほどのこのクラゲを子供らが素手で捕まえていた。「おいおい刺さないのか」と聞いても平気だよとのこと。ほんとかな。刺さないクラゲなんているのか(あとで調べたらいるのでした)?

今日は町場で28度と昨日より気温が下がり、このビーチでは日向でも23度くらいにしかならない。前面が海背後が森という素晴らしいロケーションなので、やはり気温が絶対的に上がらないんだなと実感した。気持ちはいいのだがこの気温では寒がりの俺は泳げない。萌とALも泳ぐより砂遊びやカニ探しで大いに盛り上がった。

ここはバンクーバーの入り江の奥の奥にある海水浴場なので波はほとんどないのだが、沖をボートが通り過ぎるたびに波ができ、これがやはりなかなか面白い。大型トラックほどの巨大なクルーザーが通った時が最大の波で、1mに達し子供らは大興奮だった。やっぱ波はある程度あったほうがいいよね。

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 この夏おそらく最後の海をたっぷりと堪能し、ALを送っていく。ALの家のドアの前で、萌は一瞬躊躇しながら彼をハグした。そして車の中で、「いまハグしたのよ、これが2回目だと思う。へんな感じじゃなくてナチュラルなフレンドシップな感じで! すごい!」と感動していた。へへ。今日あいつを誘ってよかったよな。

2010/08/10

日記「クリーンな線と声を取り戻せ」

「スポーツコーチ的ジレンマ」「衝撃の Wii フィジックス」「昔 Twitter があったなら」ほか。

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■10/07/29(木) □ スポーツコーチ的ジレンマ
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 BCは8月を前にはや涼しくなってしまった。きれいに晴れているのに25度の爽やかさ。もう外で水に入ったら寒そうだ。昨日のウォーターパークがこの冷夏最後の真夏日だったかもしれない。

 涼しいので久々に萌にローラーブレードをやらせる。手頃な木の枝をスキーのストックよろしく使うと非常に安定し、安全で転びようがないのだと俺がスピンターンまでやってみせたのだが、「もし転んだら...」という萌の恐怖が克服できない。15分ほどトライしても補助なしでは滑ってくれず、今日も終了。

 萌の運動神経のにぶさは問題で、こないだはクライミングジムでマット上に落下し、腕を変に着いて怪我をしてしまった。瞬間的な反応と力の出し入れがなってないのだ。その反射をローラーブレードで鍛えていきたいと俺は思っているのだが、どうしても恐怖で体が動かない。

 俺と柔道ごっこをするときは力強さと勇気がバリバリに出ているが、「あれはベッドの上で転んでも痛くないから」だという。だから転んだら大変だから転ばないよう慎重に慎重に上手になろうとしているわけだが、体がこわばっていてはうまくなれないのだよ。うーむ、スポーツコーチのジレンマだ。

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■10/08/01(日) □ 衝撃の Wii フィジックス
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このぬいぐるみに自分のキャラ顔が
入るのがまたオツ
 夕方萌MKのところで Wii Fit Plus 体重計を初体験。体重とその分散バランスだけでフラフープ、ヘディングなどいろんなゲームを作るアイデアが任天堂はすごいわけだが、中でも空飛ぶチキンゲーム(「パタパタ飛行」)は衝撃的だった。鳥のぬいぐるみを着て、体のバランスと腕の振りだけでほんとに空を飛べるのである。

 絶対安全パラグライダーというか、なかなか思い通りにいかないところも含め自分に翼がついた感覚が味わえる。ひとは空を飛ぶ夢を見ると非常な幸福感を感じるが、あれをいつでもインスタントにやれるのである。羽ばたく姿が恥ずかしいのと気持ちよすぎてヤバいので1回しかできなかったが、ほんとにセンセーショナルな体験だった。

 任天堂は3D映像の細密化レースを早々に脱し、DS、Wii とそこそこな絵で新たなフィジックス(物理)体験を掘り起こしている。えらい会社である。周辺機器でお金がかかる Wii はうちでは買えないけども、MK家では張り切って周辺機器をどんどん導入していただきたい :-)。

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 夜今野雄二が亡くなったと聞いてブライアン・フェリーの「Tokyo Joe」を思い出し、Youtube でロキシーミュージックはしごをしてしまった。あの頃のテープやレコードはもう見つからないけれど、聞きたい曲はなんでも Youtube にあるみたいだ。

 さらにその流れで Japan、土屋昌巳などを見て昨夜夜更かししてしまったのだが、「Visions of China」に「こういうのを聞くと、現代の音楽はどうなっちまったんだと絶望する」みたいな英語コメントがあって笑ってしまった。同感。ロキシーやジャパンが80年代を代表する音楽ではないが、ああしたいい音は現代カナダにいるとほんとに聞こえてこない。

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■10/08/04(水) □ 昔 Twitter があったなら
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 今日は真夏の日差しと暑さが戻ったけれど、空気が霞んでいる。今夏も徹底してドライなBCは、今年計400回の山火事(カミナリ由来)が起きてるとのことで、その煙でこんなにヘイジーになっているらしい。

 午後、久しぶりにHNを誘い、初めて Shaughnessy 沿いのアウトドアプールに行ってみる。25mプールに小さな滑り台とジャンピングボードが備え付けてあるだけでどうということはないのだが、真夏にアウトドアプールはやっぱり気持ちがいい。

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 Twitter を本家から Seesmic に切り替えてから検索ワードのセットが楽しいと気づき、日本のイモリ飼い主衆のつぶやきを眺めている。イモリが脱走したとかエサを争い戦うとかいう話を読んでいると、もともとうちのシナイモリは日本のアカハライモリよりずっとおとなしいのは確かだが(大きさも 2/3 程度だし、肌もすべすべで日本産よりか弱い感じ)、やっぱうちのはあまりにも活性が低すぎるよなあと思う。そこでイモリ水槽のレイアウトを変えてみた。浅瀬にシェルターを多く作りすぎてイモリたちがそこに落ち着き、最近全然活動してくれなかったのである。

 隠れ家を浅瀬と深場に分散し様子を見ていると、夕方3匹が一斉に散歩を開始した。やった :-)。萌も久しぶりにイモリを観察して喜ぶ。イモリは活動してさえくれればそのスローさと不器用さが本当にかわいい生き物で、今でも俺たちはきゃあきゃあ言って喜んでしまう。よしよし。イモリ飼育のキモは、シェルターの分散だ。

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 高橋源一郎のアカウントが見つかり追ってみると、夜中にゴソゴソ起きだしマンガを読んだりしている。イメージ通りの生活だ(笑)。こんな昔から知ってる作家のつぶやきがリアルタイムで見られるというのは不思議な感覚だ。

 吉祥寺のアパートで夜中にゴソゴソ高橋源一郎を読んでいた頃、中山のスタンドを見上げ彼の姿を探していた頃にこんなメディアがあったなら、彼にガンガン直接メッセージを送っていただろうなー。フロッピーディスクのワープロ+モデムで Nifty Serve まではすでにあったんですけどね。

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■10/08/06(金) □ クリーンな線と声を取り戻せ
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 22 度とめっちゃ涼しくなった気持ちのいい日、SFが久々に今夜泊まりに来ることになり萌は張り切って家中を片付けている。昨日は久しぶりに何もイベントがなく家にいる日で、遊び相手が見つからぬ萌に俺が終日バグ(まとわりつく)されて大変だったので、SFが来てくれるのは超ありがたい。

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 ディズニーチャンネルでかかるポップソングを毎日歌いまくり俺をゲンナリさせている萌は、いつかTVの子供オーディションショーに出たいと言い出した。超シャイでスピーチもできないくらいなんだから無理だろうと思うが、もしどうしても出たい、そのためにボイストレーニングをやりたいだのなんだの言い出したらロック的には難儀なことである。

 ああいうオーディションをやってる人々の価値観ではビヨンセ等が頂点にくるわけで、オーディションで合格する子供もボイストレーニングでのコントロール習得ぶりが評価される。それは演歌民謡のちりめんビブラート同様「体技・芸」でしかない。表現ではないのである。

 萌10歳はいま歌も絵も技巧に傾きすぎており、イノセントなよさがかき消えてしまっている。5歳の時に描いた天才的な絵がちょうど見つかったので、ほらと萌にこれを見せ俺の思うところを説いた。慎重に、傷つけぬように。


Tomo the Rock Star(萌5歳)
 「―――この頃の萌は、お父さんが『かっこつけてるロック親父』だというのをこのシンプルな線一発で描けたわけ。これがすごかったんだけど、今はディテイルを描きすぎてるからクリーンな線がなくなってしまっているのよ。歌も同じで、今は喉を絞ってスキルをやりすぎて、それは萌の声というよりもTVのコピーなんだよね。まあ今はやりたいんだからそれでいいけど、大人になったらわかるよ」。

 大人とは言わずあと3年のティーンエイジャーくらいで、自分のクリーンな線と声を取り戻してもらいたいものである。

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■10/08/07(土) □ この夏初めての雨
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 今日はこの夏初めての雨。前に降ったのは7月1日のカナダデイだと思う。36日ぶりか、やれやれ。明け方は音に驚き目が覚めるほどのどしゃ降りだったので、これでBCの山火事が少しは収まるのではないだろうか。

 泊まりに来ているSFと萌が子供?映画を見たいというので連れていき、俺とMは久しぶりに2人きりで IKEA に行く。子供を置いてデートで IKEA なんてほんとオジサンオバサンよねとMは笑う。ふむ。「日本にいた頃(30 歳くらい)も、よくホームセンターD2に行ってたわよね」。こういうつましい買い物で夢が膨らむ場所へ来ることが、俺たちは昔から好きなのだということだ。

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 俺はここんとこずっと Twitter 環境構築にはまっているわけだが、どうしても決定版の Web クライアントが見つからない。俺がほしいのは、

◆1)1画面に2列以上のリストを選択表示
◆2) PgDn/PgUp でスクロール(マウスでスクロール式は疲れる)
◆3) どこまで読んだかわかる(未読管理)


 の3点なのだが、10種近く試してこの全部を満たすものは皆無だった。結局 2) 3) をあきらめて、メッセージ表示部がやや狭いが2列の見やすさその他の便利機能から Seesmic を使っている。

 検索タブはいま「イモリ、須坂、カナダ」の3つをセットしてるのだが、イモリ話はやはり興味があり楽しいし、故郷「須坂」には意外にも多くの観光客が訪れ Twit してるという驚きがあり(我が宗石亭で焼肉中というありがたい人もいた)、真夏の須坂の光景が目に浮かび気分がいい。

 カナダはやはり旅行者やワーホリ希望者に人気があり、日本の夜中でもガンガン検索ヒットしてくる。俺は周りにそういう人々がいないので、カナダがかくも人気のある国だということがなかなか実感としてわからないのだが、この発言量やそこに込められた人々の思いを眺めていると、なるほどとうなづかされる。面白い。

2010/07/30

日記「カナダの小学メンタリティ」

「ペットショップで寂しい思い」「サプライズ結婚パーティ」「キッズのしつけ」ほか。

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■10/07/14(水) □ ペットショップで寂しい思い
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 BRを送ったあと買い物に行こうとすると、萌がスーパーの横にあるペットショップに行きたいという。ティガーを失った悲しみをペットで補いたいが、ほとんど動かぬうちのイモリじゃなあと俺もぼんやり思っていたので行ってみる。

 しかしショップに入ると、猫を見るだけでもうどうにも悲しくなってしまう。仕方がないので俺は猫エリアから目を背け、ハムスターや鳥だけを見ていた。萌はドワーフハムスターが欲しいーとうめき声を上げる。しかしうちは皆ダストアレルギー性で、羽根や毛のある屋内ペットは難しい。珍しい野外猫だったティガーは、だからこそ理想的だったのだ。

 魚を見に行くと、前にはいなかった「エサ用ミノウ(小魚)$0.18」というのがいる。アカヒレとは違う薄赤がなかなかよい。金魚は2度トライして全滅したが、ミノウならばアカヒレの近親なので元気に暮らしてくれるだろうと、安い取引で申し訳ないと店員に謝りつつ5匹ゲット。$1.01。

 水合わせをし合流させてみると、アカヒレとは色だけではなく体型もぜんぜん違う。泳ぎも下手だしボディバランスも悪く、底砂や石のコケを延々と突っついて食べてるし、フンは長く垂れ下がっている。こりゃ金魚だな。アカヒレ近親というよりも金魚の近親だろう。まあ餌への反応はアカヒレにさほど劣らないので、金魚ほど弱くはないだろうと期待できるけど。


上方2匹が1cmの稚魚。
手前が赤メダカ的不詳魚4cm。
 そしてすでに十分大きく育っていた稚魚1cmx2匹(推定年齢6ヶ月)も隔離ネットからメイン水槽に合流させる。しばらく成魚4cmに追いかけられまずいかなと心配するも、親魚のほうがチェック後興味をなくすと無事なじみました。アカヒレは成魚同士ですごい喧嘩をすることがあるので心配してたのだが、大きいものが小さいものをいじめるといった性向はないようだ。

 小さくてもきれいな魚の形をした稚魚、ミノウの赤、まるまる太ったアカヒレの黒と、水槽を覗き込む楽しみが増している。

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 オグリキャップが亡くなったのか。あれほど感動させてくれた馬は他にいなかった。あの最後の有馬記念ほどの感動は、他のどんなスポーツでも味わったことがないかもしれない。

 高橋源一郎の Twit が見つかった。『オグリキャップが亡くなったそうです。ラストランの有馬記念からもう 20 年。日本競馬史上もっとも人気のあった馬でした。有馬記念での奇跡的な激走の後の競馬場の異様な雰囲気はよく覚えています。馬が勝つところを見て、あんなに人間が泣くのを見たのは最初で最後です。さようなら、オグリキャップ。』

 引退後北海道の牧場にオグリキャップを訪ね、お前には本当に世話になったよと柵越しに蹄に触ったのであった。お前のレースが見れるなら明日を楽しみに生きていけると思ったときもあった。さようなら、オグリキャップ。

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■10/07/18(日) □ サプライズ結婚パーティ
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 うちから先月引っ越したMK青年が、ハウスウォーミングパーティをやるから一族みんな来てくれとなにか妙にはしゃいでるのでさてはと思っていると、やはりパーティ中に公式立会人が来て突然の結婚発表&その場で手続きという段取りになっていた。こういう発表の仕方をして、サプラーイズとかいってるところが全くいつまで経ってもガキであると大人は全員どよーんとしていたが(※)、萌たちキッズは大喜びであった。まあともかく本人たちは幸せの絶頂であります。
(※)MKの父と弟は、「お前なんだよこの発表は、言ってくれれば俺はもっと立派なお祝いをしてやりたかったのによォ」とかなり怒っていた(汗)。


中央、私の横がうれしげな新郎。
ご成婚おめでとう
 お相手は中国深セン出身の温和な娘さんで、雑誌「ノンノ」を愛読するという日本の女子大生みたいなお方だ。俺は日本でも「ノンノ」を読むお嬢さんなど、80年代の大学のクラスでしか見たことがない。なにかと愚かな甥ですが、楽しくやってくだされ。俺がカナダに来たときマイクはまだひょろひょろした中学生だったが、恰幅がよくなっちゃったし、えらい年月が経ったものである。

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■10/07/19(月) □ カナダ人の夏の旅とは
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 うちの前で隣家のMTと久しぶりに顔を合わせたので、「ティガーの件を萌に伝え、しばらくみんなで泣いたよ」と話すと、「実際君らのほうがうちよりずっとティガーと仲よかったからなあ、わかるよ」と同情してくれた。まあほんと、その通りなんです。

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 清水国明のバイクツーリング番組東北編があった。いいなあ、日本の夏とバイク。山は麗しく、里は優しい。細くくねった道を移りゆく景色を楽しみつつとろとろと移動し、いいカーブがあったら全速に加速してその曲がり具合をおいしく味わい、どこにでも人が住み商店があるから疲れたら適当に止まってイカ焼きなどを買い、道端で食べる。最高だ。

 うちの近所3軒がこの夏こぞって、こないだうちも行きどうということもなく帰ってきたオカナガン湖に長期滞在していることを知り、あんなところがそこまで定番の旅先なのかと驚いたのだが、ああした殺風景な中をがーっと高速長距離移動し目的地で長期滞在するという旅は、ツーリングというよりエンデューロ、つまり耐久レースである。

 ああいう耐久レース的な旅はつまらんとMに話すと、カナダ人は日常・家・仕事・雑踏・ひと気から完全に切り離される旅を好むのだとのこと。そりゃなるほどねとは思うが、あそこまで延々と距離を稼がなくても日常なんて切り離せるだろう。やっぱりよくわからないのです。

 だいたい夏なのにみんな暑さを求めて内陸オカナガンに行くというのも妙な感覚なのだが、まあBCは涼を求めて旅するには高原気候すぎるんだよな。快適すぎて、避暑に行く必要がないのだ。

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■10/07/24(木) □ 昔夢に見たようなライト
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夢のキャンピングランタン
Energizer Weather Ready
 ハードウェアストアを久々にぶらついて、素晴らしいLEDライトを見つけてしまった。単3x4本で100時間! しかもランタンにもなり(45時間)、小さな豆球の常夜灯まで備わっている。夜になって試してみるとライト部は昔の単1x4本の防災ライトレベルの明るさがあり、ランタンにすればテント内で十分に本が読める照度がある。単3でこれはほんとに驚異的な明るさだ。

 停電の夜があっても、これが2つほどあれば家族全員ラクラクと読書やボードゲームで過ごせる。明るく電池が超長持ちというこれは、キャンプをしていたまさに昔に夢見たライトである。ついに技術はここまで来たかと感慨深い。

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■10/07/23(金) □ カナダの小学メンタリティ
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 スリープオーバー(お泊り)のAL家から帰りまだ興奮が残る萌が、日本語をまったく喋らず、俺への態度もぞんざいなのでカチンときて、「萌はもうまったくカナダの幼稚な小学生だな」と俺が言ってしまい、これで萌がアップセットしてしまった。萌にしてみれば友達と同じように振舞うと父親が嫌がるのだからかなわんことだろうと反省し、すまん私が悪かったとあとで謝った。

 萌のこの態度の何が嫌なのかと考えてみれば、結局「ハナモンタナ(ディズニーのティーン向け愚劣コメディ)」等のコピーになってるからなんだよな。「OH YEAH!!?? HOW ABOUT.....(そうかよ、じゃあこれはどうだ)!!」と早口で切り返し相手を言い負かすことがクールだという、このノースアメリカン幼稚性にどっぷりはまっているわけである。まことに不愉快ではあるがしかし、繰り返しになるが萌は友達と同じようにしてるだけなわけで、いちいち俺がトゲトゲしていてはやっていけない。

 萌には生まれ育った日本の子っぽい優しさは完全に備わっており、俺やMの指示に「はい」と答えるときの素直さには俺は軽い感動すら覚える。「Yeah」と「はい」とではやはり何かが違うのだ。「Yeah」は能動的で、OKわかったという気持ちと嫌だなあという反抗が両方含まれている。「はい」はよりフラットな、物事の道理にただ従うというナチュラルな美しさがある。言われたからやるのではなく、やるのが当たり前だからやるのだというナチュラルさ。まあこれが「はーい」だと、「Yeah」と同じになるけれど。

 萌からこれが失われることはないだろうから、俺としてはカンに触るところは注意する程度で適当に受け流していくしかないだろう。

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■10/07/24(土) □ ホワイトロック訪問
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 昨日の俺と萌のケンカを心配したMが、共同読書&日本メンタリティ養成用に萌がハマっている「ハリーポッター」日本語版をリッチモンドの日本書店で買い、ついでに日本食を買い込んでホワイトロックに行きBV家で誘って食べると突如宣言する。ハリーポッター本なぞいらんしBVのところに日本食など持って行っても喜ばれるわけもなし、豊富にアイデアが湧いてくるがハズレが多い FIFA のブラッター会長みたいなうちのお母さんである。

 ハリーポッター本なんかほんと必要ないので、日本書店にあった本の中から俺が子供のときに好きだった「ファーブル昆虫記(ルビ付き)」を購入しておく。萌は全然興味なさそうだが、あれは面白い本なので読めば楽しめるだろう。ファーブル(フランス人だった)はカナダじゃ誰も知らないとMがいうので驚いた。こういうものを全国民が知るほどに取り込んだ昔の日本人の知識欲はすごいよな、ほんと。

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 ホワイトロックは、BV家近辺は何の特徴もない金持ちハウスが立ち並ぶエリアなのだが(どの家も巨大で新しく、New Westminster のように見て美しい家などはない)、水辺は建っている家の作りからして平屋のリゾート風になっており、水着の人々がそぞろ歩き、ハワイとか湘南みたいで気持ちが浮き立ってくる。しかし水辺に出てみるとBCはどこも同じく遠浅の海藻ビーチで、泳げるような海ではない。みんな水着を着て肌を焼いてるだけなのかな。


カニを踏まぬよう気をつけて歩こう
 それでもお湯のように暖かな水の中を歩けば、カニがわらわらと逃げ惑い、潮がスーっと驚くほどの速さで流れていて気持ちがいい。15分ほど海中散歩を楽しんでいると、あれ岸が遠くなってないかと気づく。―――あ、潮が満ちているんだと大慌てで浅瀬を探り岸へ戻る。けっこう焦った。まあ最悪でもおしりが水に浸かるくらいのことではあるが、やっぱ海は気をつけないと怖いな。

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■10/07/28(水) □ キッズのしつけ
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BCの盛夏はこの日までだったかも
 ウォーターパークへ萌とAL姉弟を連れて行く。覚悟はしていたが姉弟が俺の言うことを聞いてくれず疲れる。MCなんかピクニックシートで休みつつ写真を撮っている俺に向かってガンガン水鉄砲を撃ってくる。荷物があるしカメラも持ってるんだやめろと大声で言ってもわからない。悪気はないのだが、興奮していると人に言われていることの意味が分からないようである。彼はもう7歳なのだが、まだ言語中枢と行動中枢が密接につながってないという感じなのかな。

 で帰って夕方萌が下のプレイルームでSPと遊んでいると、隣家の孫たちも加わってきた。みなまだ小さいので念のため俺も降りていって萌と共にケアをする。世の中はMC同様モノがわかってない子が多く、その扱いはまったく大変である。「人の話を聞け、人の顔を叩くな」レベルのことを大声で言わないとすぐケンカが始まり、泣く子が続出する。これがカナダ中産階級のスタンダードなのかもしれないが、こういう子らの親はちゃんと言葉を尽くして子供らに働きかけているんだろうかと疑問だ。ふー。

 今はダブルカルチャー問題でやや悩んでいるが、萌には小さい時からこんなベーシックなしつけで苦労したことがないので、やっぱ俺たちは恵まれた親なのだと痛感します。

2010/07/17

日記「老猫ティガーの行方」

「『アバター』の古さ」「どうして猫はいなくなるのか」ほか。

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■10/07/11(日) □ 老猫ティガーの行方
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 萌のパーティ後迎えに来てくれたペアレンツたちと話していて、前庭に大量のティガーの毛が散乱しているのをMが発見する。ああ。これはいかん......。実家である隣家に行って尋ねるとやはり帰っていないとのこと。コヨーテにやられた可能性が高いなと隣家のMTが言う。

 襲ってきたのがアライグマならば、ティガーが逃げながらも盛大に威嚇大声を上げるので俺が必ず気づくし、実際毎年数回襲われて怪我に至ったこともないのだが、コヨーテほど体格差があると声も出せないうちに事態が決してしまうのだろうか。なんてことだ。Mも俺も泣きそうになる。萌にはとてもこのことは知らせられない。彼女に見つからないうちに毛を片付ける。

 最近本当に年を取り階段がきつかったようで、この夏ティガーは定位置であるうちの2階デッキで寝ていなかった。夜もああして身を守るものがない下の草むらで寝ていて、それで災難に遭ったのかもしれない。なんてことだ。

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 WCの決勝が終わるとテントを乾して畳み、なにかティガーの手がかりがないかと自転車に乗って町内を回ってみる。もちろん何も見つからない。まあ何かが見つかったらそれはおそらく最悪な事態なわけだが、怪我をして動けずじっと路地裏でうずくまっているところを発見みたいな都合のいいことになっていてはくれまいかと必死に祈る。自分でも驚くほど動揺している。皆がティガーを心から愛していたのだ。


 窓から何度も、デッキに出て何度も、裏庭に回って何度もティガーの姿を探し、小さな声で呼んでみる。帰ってきてくれ。俺たちが外に出るたび、どんなときでも擦り寄ってきたティガーともう会えなくなるなんて、ほんとに信じられない。おととい暑い日に、うちの前でアスファルトにへたり込むあいつの写真を撮ったばかりだった。俺は打ちのめされている。普段ティガーとは遊ばないMも意外なほど落ち込んでいる。萌になんと話したらいいのかもわからない。

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■10/07/12(月) □「アバター」の古さ
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 風の強い日。庭で片付けをしていると、風の音がにゃあと聞こえて振り向いてしまう。隣家のALにも、萌にはこちらから機を見て話すので、当面何も言わないでほしいと伝えておく。萌がどれほどティガーをかわいがっていたかALも当然分かっており、「I know, of course」と思いやってくれていた。

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 夕方、Mが昨日のパーティ用に借りてきた「アバター」を見る。「こういう原住民をアメリカンヒーローが率いて悪と戦うって映画は、俺はもう何度見たかわからんよ。いくらなんでも今時どうなの?」とMにこぼすと彼女はそれはそうだけどと笑い、これは映像を楽しむものなのよという。しかし原住民の生活様態や儀式もあまりにも類型的な「白人が見た原住民社会」だし、英語を喋れる美しい酋長の娘っつーのからしてインディアン映画の昔から定番だよな。

 まあ水を泳ぐ映像なんかははっとするほどきれいだが、森はファイナルファンタジーその他の3Dゲームでゲーマーがすでに楽しんでいた仮想風景をハリウッドの金と人材で拡張したものだし、森との心の交信はナウシカの腐海+オームだし、飛行シーンも同ナウシカ、浮島はラピュタ、動物と共に戦うのはもののけ姫、飛行機に飛び乗り墜落させるのはコナンからの借用である。つまりインディアン映画+宮崎アニメですべてができていると言え(※)、何も新しいものはない。加えて動物や飛行機メカのデザインには、宮崎駿のような天才性が何も感じられない。デザイン学生が描いたたみたいなつまらないモンスターばかりが出てくる。
(※)「J・キャメロン監督、実は宮崎駿ファンだった!」という記事もやはりあった。

 3Dメガネをかけてみれば飛行シーンなど気持ちいいのだろうが、それは遊園地の乗り物の楽しさであって映像美ではない。これが映画表現の革新みたいに言われるところがまことにハリウッド過大評価世界である。俺は手描きアニメの緻密に描き込まれた絵を見ると絵が上手な人の才能を味わう喜びを強く感じるが、こういうCG映画を見ても Playstation 2 以上の感慨は湧いてこない。技術の発展で美しさではなくデータ量だけが増していく。「3Dゲームのすごいやつ」としか感じられないのである。


典型的北米アニメ:Phineas and Ferb
 最近はたまにしか読めないのでマンガでもこの、「絵を見る喜び」を痛感する。NHK「ゲゲゲの女房」にチラリと出てくる水木しげるの絵などにシビレるのだ。水木の描く線に反応できるようなマンガ素養がないアメリカカナダの作家がCG映像を作っても、いかんせんイメージの元となる「絵」が貧しいのだろう。なんせカナダじゃ一番人気の子供アニメが↑このレベルなんですから。喋りと歌は面白いが、この画力をなんといわんや........。

 ナウシカは戦争を止め、アシタカは止められず謝るのだが、この映画はべトナムとイラクでの米国の行為をあからさまに模し批判しながら、結局全面戦争へとすべてを駆り立てていく。これじゃ勝っても負けても多数の命と森が無茶苦茶ではないか。自国が戦場になったことがない国の人間には、その心地悪さがわからないのだろうか。

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■10/07/13(火) □ どうして猫はいなくなるのか
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 夕方、ついに萌にティガーのことを告げることになる。「あのさ、ティガーがさ、帰ってないんだって。もう3日」。これで萌はことを理解し、号泣してしまう。「何が起こったかわからないんだ」。「かなり年だったから、その時を悟って自分で身を隠したんだと思うわ」と、コヨーテの可能性は伏せMが話す。

 これは寝るまで止まらないだろうと思ったが、意外やしばらく号泣すると顔を上げ、「今頃ティガーはずっと入りたかったこの家の中に入れて、ああこういう家だったのかって思ってるかも。あ、天国で(日本で俺が昔飼っていた猫)チビちゃんと会ってるかも!」と涙をこぼしながら笑い出した。そうか。そうだね。子供は大人よりもはるかに立ち直りが早い。俺はもうティガーがいないんだといまだ一日中ため息をついているというのに。子供には取り返しの付かないことを嘆き繰り言を言うというような精神回路がないんだろうな。常に現在と未来を向いているのだろう。

 どうして猫は死ぬときにいなくなるのと聞かれると、俺にもMにもわからない。「体の異変や痛みに動転して、誰もいないところに身を隠し、やがてそのまま息絶える」という説に一番説得力を感じる。ティガーが怪我をしてどこかでじっとして、帰ってきてくれないかと俺はいつまでもいつまでも考えてしまう。「ティガーがもし帰ってきたら、私また泣いちゃうな」と萌はいう。まったくだ。その通りだよ。ティガー。

2010/07/12

日記「テントでお泊りパーティ」

「駒野、お前のために」「北米キッズカルチャー」「夏服を着た女たち」ほか。

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■10/07/02(金) □ ドゥンガ怒りすぎ
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 【ブラジル・オランダ】ロッベンをハンドルできないブラジルが、後半フラストレーションで自壊していった。監督ドゥンガの仕事はチームを落ち着かせ反攻することにあるのに、ファウルが取られるたびにチームで一番大仰に怒りを表しているのだから、チームがまともに戦えるわけがない。それにこのチームはやっぱ地味で、ベンチも含めスターが少なすぎた。

 しかしグループリーグ時カメルーンは絶不調だったしロッベンは怪我でいなかったのだから、ほんとこのWCの日本には神風が吹いていたとしか言いようがない。ロッベンがいたら、長友と大久保が退場になっていたであろう。

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■10/07/03(土) □ 駒野、お前のために
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 【ドイツ・アルゼンチン】最初の猛ラッシュでアルゼンチンのミスを呼びドイツが簡単に先制し、その後も攻められてはカウンターで、とうとう信じがたい大差をつけてしまう。相手がここまで強くなると個人の才覚だけで攻め守るアルゼンチンには手に負えなくなるようだ。

 ドイツはほんとに高性能フットボールマシーンである。全員がよく走り走ったところにボールが通り、見事な機能性の塊となって突き進む。サッカーファンは天才のきらめきがすべてを変えるみたいな奇跡を見たいと願っており(それこそ股抜きスルーの一発でド劣勢をひっくり返したマラドーナのように)、WCでだけえげつなく無駄に点をたくさん取るクローゼのような選手がフル活動するマシーンが敵をなぎ倒していくシーンはそんなに見たくはないのだが、このチームを止められるチームはもう南アにはいないだろう。

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 【パラグアイ・スペイン】バルデスが走る。打つ。駒野、お前のためにと叫びながら(夢想)。日本中がお前を応援しているぞ。パラグアイはほんとに頑張っている。いい試合です。

 バルデスの交代時、監督が「よく頑張った。駒野も健闘に喜んでおるぞ」と耳打ちし、奴はニヤリと笑いました。パラグアイが素晴らしいプレスサッカーでスペインを苦しめ、実に面白いゲームだった。パラグアイは日本とやったときはしょぼいチームだったが、まあうちとやったことでいろいろと学んだのであろう。素晴らしかった。日本はこんなにいいチームと互角にやったのである。気分よし。まあパラグアイにとっては似た戦術の日本より、がんがん攻めてくるスペインの方がプレスをかけボールを絡めとり戦いやすかったのだろうが。

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■10/07/05(月) □ 北米キッズカルチャー
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 久しぶりに晴れ気温がようやく20度を超える。気持ちいいので萌を誘い自転車でハイドクリーク沿いを走る。萌が昨日グランマのバスルームを掃除しお小遣いをもらったので、帰路そのお金でアカウントが切れていた Webkinz を買わせてやる。これでこの夏休み、インドア用の楽しみは足りるだろう。

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 「子供を食い物にし、貧困国の国家予算並みの金をロクでもない子供向けポップガラクタの消費に使わせている北米カルチャー」というドキュメンタリーをMが借りてきて、俺と萌もチラ見していると、萌がハマっているディズニーチャンネルの、あまりにも馬鹿なので俺が見るのを禁じた「スイートライフ」というショーがどんぴしゃで紹介されていて笑ってしまった。たかがコメディとはいえこうした子供向けショーは、「自己中でキツく子供らしさを否定する」という、大人が望まぬ子供性向のモデルとなっていると。その通りである。

 萌はここ1~2年くらい典型的カナダ小学高学年ガールへと変化しており、こうした番組ばかり見て TV Japan などまったく見なくなっている。NHK 中心の TVJ には10歳の子供が面白い番組などほとんどないというのもあるが、最初は気に入っていた「シャキーン」すら見なくなってしまったのにはがっかりしている。上記ショーでも解析されていたがカナダ(北米)の子供は、カラフルなものが画面上をダイナミックに動き「わーわー」「ぎゃーぎゃー」と早口で丁々発止をやるという高刺激番組を浴びるがごとく消費しており、それに比べ日本の番組はテンポがスローで静かすぎるのだろう。

 まあそんなくだらんものを見てはいても萌の優しく明るい性格に変わりはないのだが、早くもっといいものが分かるようになってもらいたいものである。音楽も最近は小学生向けポップ一辺倒だしなあ。ため息。

 ちなみに Webkinz もこのドキュメンタリーでポップガラクタ消費財に挙げられており、今日それを買った萌と買わせた俺は叱られました。

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■10/07/07(水) □ 夏服を着た女たち
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 【オランダ・ウルグアイ】このカードが決まった時点ではどちらかというと万年優勝候補のオランダ贔屓だったのだが、試合が始まるとオランダのサッカーがつまらないのでウルグアイに気持ちが傾く。オランダのうまい巨人たちが思いつめたような顔で高圧サッカーをやるのはなんか、しばらく前の愛されないドイツ代表みたいである。ブラジル戦同様ロッベンの被ファウルでこつこつ陣地を削っていくのも、相手が格下なのでつまらん感じがする。ロッベンは絶好調ならば抜けるのだろうが、抜けないから引っ掛けられ転んでるのだろう。全員が必死でカバーニとフォルランを走らせるウルグアイのほうが思い入れできる。

 後半ダッチの猛攻が来て、スナイデル、ロッベンと立て続けにゴール。あそこまで連続アタックが来るとどこのDFもたまらんだろう。この時間帯のダッチは強かった。ウルグアイの猛プレスをゴリゴリと交わし前に進み、3点取ってもまだ点を取りかねない勢いだった。

 しかしその後のウルグアイもこれまたすごかった。こんなもう完敗という状況でも、守備も反撃力もぜんぜん落ちないあの根性はなんでしょうか。恐れ入る。韓国にいったん押し込まれたりハンドがあったりでいいイメージはなかったのだが、このチームもほんとに素晴らしいチームだったな。

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 今日はついに真夏日となり、31度を超えた。萌は久々にMとSFUへ。カフェのTVでスペイン・ドイツ戦が放送され、得点シーンでものすごい大騒ぎになったと興奮して電話してきた。カナダじゃスペインがそれほど人気なのか。独製フットボールマシーンが起動せず、つまらない試合だったのだが。

 猛暑の中ふうふう言いながら買い出しに行くと、ほとんど水着という格好をしたガールズが町を歩き買い物をしている。眼福をありがとう君たちはほんとに素敵だとお礼を言いたくなって困る、夏服を着た女たち。

 今日は俺の誕生日、お祝いに何でも食べたいものを買ってきてやると妻子に言われ、よくよく考えてうちが普段全く行かないマクドナルドからビッグマックを買ってきてもらった。しかし日本のビッグマックと違いカナダのはバサバサなのである。がっくし。昔ジョニーロットンが「日本のビッグマックはなんでこんなにうまいんだ?」とインタビューで喋っていたが、これがその違いか。KFCも日本とカナダじゃ味つけも油も大違いだしなあ。カナダのケンタッキーは油と塩化ナトリウムがきつすぎて、うちの家族は誰も2本完食できないのです。

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■10/07/10(土) □ テントでお泊りパーティ
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水合戦用ウォーターバルーン
 ついに夏が来たので、夏待ちで延期していた萌のバースデイパーティを挙行する。キッズ7人を招き庭に張った3つのテントでスリープオーバーという超エキサイティングなイベントで、俺はもうここ3日、掃除と準備にかかりきりだった。朝は曇っていたが雲も切れ、気温も順調に上がってきた。水合戦用ウォーターバルーンを萌と作成しつつ、キッズの来訪を待つ。

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こないだまでうちに住んでたMK30歳、
水玉が尽きるとじょうろを使い
子供を追い回しています
 そしてウォーターファイトからパーティの幕開き。こういうことが心から好きなMK青年を呼んどいたので大盛り上がりの大水合戦となった。子供らが戦っている間に俺とMはバーベキューとサラダ類を準備し、テントの回りでディナーとマシュマロ焼き。パジャマに着替えて屋内に入りゲームその他。ボンバーマンは実に偉大なゲームで、初めてやったガールズでもすぐにルールがわかりバトルし盛り上がれる。


ディナーはお手軽ホットドッグ
 そしてケーキを食べプレゼントをもらいあとはフリーとここまでは絶好調だったのだが、このあたりから誰と誰がどのテントなのか、誰と誰は仲が悪く嫌がっているといった予定外の問題が生じてくる。萌と個々の子は当然仲がいいわけだが、ゲスト同士は必ずしもそうではないわけだ。


日本式スイカ割りも盛り上がりました
 望みのテントに入れず泣き出すものも数名現れ、友達を全員呼んでのスリープオーバーは萌の夢だったわけだが、本人もいろいろ仲介に苦労し泣いていた。結局2名は屋内で眠り、5名がテントで眠るという玉虫色の妥協で決着した模様。そういうガールズ政治は複雑すぎて私にはわからず(男子は1名だけだったので専用テントで問題なし)、もうお母さんに任せました。彼女は先生なので、やっぱり人を叱り動かす手際が違う。俺は子供らを叱りつけていると頭の中で「トカトントン」と聞こえてきてしまい、すっと語気が抜けてしまう。カナダの子供は主張が激しいので、そういう弱腰じゃ全然動いてくれないのである。

 ま、いったんテントに入ってしまえばあとはもう、どのテントもお喋りで大盛り上がりであった。うるさくて眠れん。

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■10/07/11(日) □ さよならWC2010
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 萌たちテント組は2時まで庭に張ったテントでゲラゲラと高笑いを続けて寝ず、7時からまた大騒ぎを始めた。Mも俺もぐったりである。お迎えを11時としたのが間違いだった、早く迎えに来てくれキッズのペアレンツ衆(泣)。

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 【WC決勝】ダッチは全員カード1枚分のフィジカルな当たりをあらかじめ戦力として勘定に入れたような泥臭い試合に持ち込み、力を尽くし手応えのある面白いゲームにしてくれた。スペインを応援してた人々はあのファウル攻撃に腹を立てただろうが、あれはファイトである。退場になったDFハイティンハなんか見た目からしてK1ファイターのような悪役顔だったが、本当にギリギリのところで守っていて感動させられた。独のようにタックルもせずスペインに自由にやらせるより、ファイトしてくれたほうが中立ファンにはずっと楽しいのである。ただ、大久保並みに守備をしていたカイトにもっと攻撃させてやりたかったな。

 Mが親友であるノバスコシアのダッチ一家に電話すると息子さんが出て、「俺たちはいつもこうなんだ。もう慣れっこだよ」と吐き捨てるように言ってたそうです(笑)。ともあれ終わった。さよならWC2010。観戦お疲れ様でした。