2023/05/07

【2023日本旅行】①故郷・この町を歩けば編(全文)


「吉祥寺散歩」「この町を歩けば」「日本の中古雑貨最強」「弟とジャムセッション」ほか

5年ぶりの帰国から東京~故郷の信州散歩。この町を歩けば、甦る16歳の憧れ。

■2023-04-06            成田到着

成田に着いた。やっぱり蒸すなー、なつかしい日本だ。

おとといまで台湾からのお客が殺到し、入国まで3~4時間待ちで崩壊していたという成田空港は空いていた。しかし日本に来るたびに思うが、外国旅客はいつも入国管理に長蛇の列で、日本旅客ゲートはガラガラスイスイというアンバランスさに腹が立つ。ゲート数を常時融通すればいいではないか。うちのように家族一人だけが日本人というケースだと先に抜けた日本国籍者が、混んだ外国ゲートを通る残り家族を待たされるのである。毎回。

飽和してたという【Visit Japan Web】のQRコード読み取り機は、今もかなりの列だった。しかし手前の「紙/QRコード列」はガラガラで、こっちだってQRコード表示一発で通れる。空港係員が機械的に「QRコードはこちら!」とマシン側に誘導するから長蛇になるのである。全ては融通利かないジャパン問題だと思う。

とにかく蒸すので、ゲートを出ると何よりもまず猛然と着替えた。そして無事着きましたよと母にWiFi電話。


南千住の宿に到着。初日のご飯は、とにかくこれをやりたかったのだという日本のジャンクなコンビニ飯です。おにぎりとアンパンとアイスコーヒーと。幸せだ :-)

コンビニご飯をいただいて一息つく。ふー。一人だし着いて寝るだけだからと安い宿を取ったのだが、すごい安宿だ。昔の男おいどん3畳学生下宿という感じで、こんなところに家族を連れてきたらヤバかった。

バンクーバー時間だともう4時だが、機内で途切れ途切れで眠れたのでそんなにグラグラでもない。しかしスカイライナー京成>JRの乗り換えが分からず5分も迷い、そのときは疲れた体と頭がクラクラした。結局駅員に聞いたが、京成の切符を入れてJRの料金を足し改札を通れって、そんなの知らなきゃわかるわけないよ。どうして外国旅行客も多いハブ駅にそれを明示しないんだろう。

TVをつけると、陸上自衛隊ヘリコプターのニュースばっかり延々やっていて奇妙な思いがした。事故なのに名誉の殉死であるかのように、亡くなった幹部の経歴など報じている。俺は『軍人の事故がナショナル重大ニュースになる国に来たんだな』と思った。外からくると、変化を肌に感じる。

  

下町は独特の景色があって、写真を撮るのが楽しい。いっぱい飲み屋だとか、提灯の店だとか。

この高架が連なる風景が日本ぽい。電車を降りて歩くとコートを着ている人がけっこう多く、蒸して暑いからと半袖なのは俺だけなので、俺も知らずしてカナダ型体感温度になってるんだなと思った。路上でもみんなマスクをしている。あとコンビニレジのお札投入というつまらんところだけ高度にIT化されていて、来日旅行者はすごく戸惑うw


2023-04-07            東京散歩


日本の夜中3時頃目が覚めてしまったが、疲れはなく宿を出る前にやりたいことは多いので起きてしまった。

誰もいない宿のロビーまで降りていって、カナダの家族とボイスチャットをした。フライトはどうだった、成田はどうだったと情報交換をする。ムスメはコンビニ飯の写真を見て、お父さんよかったねえよかったねえ言ってました。ありがとうありがとう😊

宿を取ったときは知らなかったのだが、ここは山谷だ。ここも元は日雇い向けの木賃宿だったのかもしれない。部屋は狭く布団は粗末でキツかったが、このロビーと共用キッチンはすてきだ。いなせな旅行者がタバコを吸っていた。

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そして東京散歩開始。ほしいレンズがあるので中古カメラ屋を回りたいのだが、検索で出てくるのはライカなどクラシックカメラの店ばかりで、いくら調べてもマイクロ4/3レンズが豊富な店などわからない。とりあえず地下鉄秋葉原で降りると目の前にヨドバシがあったので入ってみる。これが素晴らしかった。中古カメラはあまりなかったが、電機、カメラ、アウトドア用品、旅行用品となんでもある。買い物天国ジャパンの粋みたいな店だ。

これかリコーGR、初めて見た。中国のカメラおじさんがウォーGR GRと同じように興奮していた。楽しい。楽しいがしかし、今頃になって眠くなってきた。結局出発前からほとんど寝てないもんなー。

疲れてきたのでちょっと食べて、友人宅に移動しよう。時差ボケがなければ俺はこの店で何時間でも遊んでいられるな。カナダにはこんなAmazonみたいな品揃えの店はないのだ。

家族を東京案内するといつもなにを見せるかと悩むが、一人なら独身時代と同じで楽しいなあ :-) 後日家族を連れて行く予定の中野ブロードウェイもチェックした。きっと楽しいと思う。

東京は色に溢れた街だが、LUMIX GX7mk2 自慢のライカ白黒で撮ると気持ちいいなとストリート写真を楽しんだ。新年度だからか子供のような若者たちがスーツで歩いている。自転車で小さな子を送迎するお母さんも、電車通学する子どもたちも、ストレス高い町で頑張っていて本当にえらい。




 
     ◇    ◇    ◇

そして友人宅で5年ぶりの談笑。彼が写真を撮ったフェルト手芸作家北原のり子さんの写真集に感動した。


「これは大変な傑作ですよ、お値打ちです」となんだか詐欺師のような顔で写っていますが、ほんとにすごい! 

そして猿がいるじゃん! 猿は知らなかったよ! 

この顔ー!! たまらないのであります北原のり子さん作品。

いやー本当にすごいな。彼女の動物たちからは、その気分や性格が伝わってくるからすごいのだ。どうしてフェルトでこんな天然のアイラインを描けるのか、俺には想像もつかない。

■2023-04-09               吉祥寺散歩

【日本3日め】弟と長いこと暮らした井の頭のアパートを訪ねた。春の新緑は最高だ。当時俺たちは特権階級だよなと弟とよく話した。これほどロケーションのいいアパートを格安で見つけ住めたのから。当時は持ってなかったいいカメラで、キラキラの木漏れ日を撮る。

昔から歩くのが嫌いで、吉祥寺駅から井の頭までって言うてもけっこう距離あるよなと思っていたのだが、目と鼻の先だった。どんだけ歩くのが嫌いだったんだ若き日の俺は。

井の頭は窪地なので音が中にこもり、花見の季節にはアパートからは聞こえないのに一歩公園内に降りるとやんやの大騒音という状態だった。

歩いている吉祥寺の上品なマダムが、木漏れ日によく似合う。走らされている若者たちも絵になるよ。いいなあ走れ走れ😊


井の頭の春はなにもかもが美しい。ここで猫とRZと弟と暮らした86-92年の、すべての記憶が愛おしい。

オリンパス広角9-18mmの写りがよかった。広角側は木々に包まれるフィーリングが撮れ、望遠側は標準画角で歪みなく、標準ズームよりかっちりよく写る。こんなによく写るレンズだったかとうれしい。

  ◇   ◇   ◇

夜、泊まってるHC家に友だちがたくさん会いに来てくれたのだが、時差ボケと疲れで眠くて顔を出したり休んだりで、早くに中座して寝てしまった。せっかく泊めてもらったのにHCには悪いことをしてしまった。月末また東京に戻っての来日ライブには万全なコンディションで臨みたい。


■2023-04-09                故郷へ

HCに新小平の駅まで送ってもらい、武蔵野線で大宮へ。東京から長野へ行くときは上野発の新幹線が定番だが、多摩地方からなら武蔵野線経由で大宮から新幹線に乗れる。田園風景を延々と進む良い電車だ。

大宮で新幹線。新幹線はやっぱり良いなあ。高いけど。

しかし北陸新幹線のアナウンス前に流れるジングルはひどいな。なにか北陸ゆかりの演歌だと思うが、他に候補はなかったのか。旅行気分が消沈する湿っぽさ。

(調べると谷村新司の書き下ろし曲だそう。頼んで作ってもらったもんだから、谷村さんそのメロディはあまりにもありがちと言えなかったんだろうなJR。あとで乗ったカナダの家族も、なにこの歌😐とそのダウナーさを指摘していた)

12:45、長野到着。長野寒いな! カナダなみだ。そして乗り換えた長電電車はなんと成田エクスプレスだった。あのキャリーオンラゲッジの収納庫がそのままついている。


外国人旅客がとても多く、乗客の半分くらいが外国人だった。スノーモンキーと命名されたこの電車で、みんなお猿の温泉を見に行くんだろう。三編みの女の子が飯縄山を眺めていた。きれいだった。


  

線路脇でカメラおたくたちが三脚を立て、俺が乗る成田エクスプレスを撮っていた。名車に乗ってるんだなーと思いました。千曲川の鉄橋だ。


見えた故郷の町!

おかあたまのご飯うまい(泣)。量はいつも2人分出てきちゃう。そこのコントロールはできないのが昔ながらのお母さん。

春に帰ったのは20年ぶりなので忘れていたが、春の長野はまだ寒く、火の気のない部屋にはいられない。そして遠くに望む雪山がほんと美しいのであります。高台からは輝く戸隠連峰も見える。山の景色がいい町なのだ。


■2023-04-10                     この町を歩けば

【自転車散歩】帰郷の昨日は寒かったが、今日はポカポカのいい天気。よしと母のママチャリを借りて、高校の頃よく行った思い出の公園へ走った。いやー行ってよかった。東京の桜は間に合わなかったけど信州のはまだ半分ほど残っておりました。

よく残っていてくれた故郷の桜、壮観。散りかけの桜の花弁をしずしずとかき分けて進むボートという風情もまたいい。(そこに忍び寄る不気味な黒い影は巨大コイ)。きゃーコイだよー逃げて逃げてーと子供が必死にこいでいる(コイは餌をくれと大口を開けて寄ってくるのでまじでグロい・笑)。

 

高1のとき湖上のボートでナンパして、この茶店で女の子たちとおでんを一緒に食べた。一人だけ連絡先を教えてくれたのは同じ高校の卒業生で、つまり3つも年上の美人さんだった。ドキドキしたなー。何も変わっていない。本当になにも変わっていない。この町を歩けば、甦る16歳。


そしてああ! 北信五岳の黒姫と妙高がここから見えたのだったか! 若き日の俺はそんなことは知ったこっちゃない軟派なフールだったので覚えてなかった! 美しすぎる。絵に描いたようだ。

若いのに俺と同じ画を映像に収めている、俺とは志の違う映画部学生風の青年たちがいた。君たちはどんな青春映画を撮っているのだろう。がんばれ。


突然でっかいカエルが飛び出してきた。桜まみれで怖いw ――映画部学生風は、カエルも熱く撮っていた。

春の故郷の公園は、なにもかも記憶のまんまだった。なんにも変わりがない。いい。

池の茶店でおでんを一緒にいただいた美人さんはそのあと二度ほど会ってくれたが、俺には楽しく会話をする力もなく、やがて会ってくれとも言いづらくなってしまった。あるとき彼女が高校の美術部OBとしてさっそうと現れ、美術部が盛り上がってるのを見て、ああやっぱりほんときれいだったなと思った。あの記憶の写真がほしい。

だからそういう映画をこの池で撮ってくれ、映画部の青年たちよ。

「ねえねえお姉さんたち、上がったらオデン食べない? おごるから(←谷口くん)」
「おごるからー(←俺)」
「えーキミたちとー?笑笑」
「…(クスリと微笑む美人)」

 
帰りに通った母校の小学校の桜は、ほぼ散っていた。しかしなつかしい風景だ。子供の頃の思い出が、なにやらきれいな青い幕で包まれておりました。おしまい。

■23-04-10               日本の狭い話題

日本に来てから昨夜初めて晩飯時にTVを見たが、どこのチャンネルを回してもバラエティばかりだった。芸人/ジャニーズがどこかを訪ね、別の芸人/芸能人たちがワイプで笑うみたいなものばっかり。「日本のくだらないTVなつかしいよね」と娘とよく話していたが、毎旅ごとに劣化してる気がw

昼のワイドショーではMLB大谷さんの話題ばかりやっている。野球の枠を超え、生ける超人伝説として愛されてるんだろうな。その後は延々とJアラートと黄砂。俺は実家についてからいろんな人に黄砂が黄砂がと言われた。星新一のSFのようだった。長野には黄砂など来やしなかった。日本のTVが扱う話題はとにかく狭いなと感じる。人の話題も狭めている。


4月11日                    日本の中古雑貨最強                 

本日は神社を通り買い出しへ。ひと気のないローカル神社でも驚くような杜があるな。神社尊い。

母の家には俺たちカナダ家族が長期滞在するには足りないものがいろいろとあるので、それを買いに来た。筆頭はカナダUSのコンセントがささるテーブルタップである。日本のと微妙に穴が違うのだ。ママチャリは漕いでもまるで前に進まないがカゴは便利ですなあ。自転車最高。 

日本の中古雑貨の品質と値付けはトンデモで、テーブルタップは新品だがあの品質で300円ですよ。子供の電気屋さんか。◆ちなみにこれが俺の実家PC環境。机がほしい。座椅子とザブトンは最強。


4月12日                日本のスーパーはすごい

車を借りられたのでなにか買ってくるものある? と母に声をかけると、もう食料は十分あるけどちょっと一緒に行こうかねとついて来て、あんたこれ好きよね、ムスメちゃんあれ好きだったわねとこんなに買ってしまった(下の方に刺し身とかあります)。食べきれないって、食べきれないってーwww 

しかし日本のスーパーの食材豊富さには毎度驚くな。日本中の名物が信州で売っている。そこまで揃えずともよかろうにとも思うし、うまそうだなとうらやましくもある。売ってる品目数でいえば、カナダは1/10くらいなんではないだろうか。物価はカナダより高いものも安いものもあった。

それと温めればすぐ美味しい惣菜がとにかく豊富で、忙しい人たちの夕食の友だよなあ。そういうものはカナダのスーパーにはまるごとローストチキンくらいしかない。スーパーの裏で調理してる人たちのおかげなのだろう。

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毎日3食うまいものが2人分出てくるので、楽しみにしていた日本のお菓子も食べる余地なく来てるのだが、頼んでやっと1食1人分にしてもらい、 今日は憧れのコーヒーゼリーをデザートで食べられた。

余裕が出てきてTVもたまに眺める。娘と俺は日本旅行の夜に流し見る「日本のsilly(くだらない)TV」が好きなのだ。特にCMがたまらない。なんの宣伝かすら娘にはわからないただただポジティブなものが、延々流れていくことが日本旅行気分を盛り上げてくれるわけです。彼女と母ももうじき到着。



■23-04-13               弟とジャムセッション

弟の家でジャムセッションをする。彼がこの家に住み始めた1998年頃にはなかった山桜が咲いて、それは素敵なお庭の景色となっていた。これはちょっとすごいな、こんな美しい庭木はなかなかないぞ。

甲子園を目指していた甥の野球少年がいつのまにかロック少年となって、俺のレコードを壁一面に貼っていた。おーなつかしい俺のLPだー。一番好きだったのは「ダブル・ファンタジー」かな。一番忘れてたのはウルトラヴォックス!



弟の家はギターと楽器に埋もれていた。無口な弟が黙ってリフを弾き、俺がコードを合わせていく。E/Bm/Bm/E ――スライダーズの「エンジェルダスター」って2コードだったのか! なんというカッコよさ。エンジェルダスター、ベイビー・ドンクラーイ。

お前とバンドをやってたのはお互い結婚前だった。いろいろあるよな。エンジェルダスター、ベイビー・ドンクラーイ。



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