2007/10/31

日記「CTマネーでお買い物 」

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■07/10/20(土) □ CTマネーでお買い物
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 タイヤを探しに Canadian Tire(カー用品&ハードウェア屋)に行くんだけどと萌に声をかけると、「あ、じゃこれを使って」と部屋中から Canadian Tire マネーというクーポンをかき集めてきた。んじゃ家中のCTマネーを全部探して数えて、それで萌が好きなものを買うってのはどうだと持ちかけると、大喜びであらゆるところからあの札を見つけ出してくる。CTマネーは買い物のたびにもらいたまるばかりで、俺も使ったことがないので、全部で 100 枚ほどもあり、計 $12.25 となった。じゃ、あそこはおもちゃはないけど、これでなんでも買っていいよ。

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 タイヤ選びはこれといったのが見つからず中止し(カナダは手に入る銘柄が日米よりも少ないのだと思う)、萌の買い物に移行。萌は大喜びでじっくりと時間をかけ、ハロウィーン用品を2点ゲットした。「12.25 マイナス $2 だから、あとまだ $10.25 もある!」と、お祭り時の子供状態で喜色満面。CTは他にこれといって子供向けのものはないのだが、キャンプ売り場、自転車売り場などを見た後、ふと思いついて「ガーデン用品にバードフィーダーが売ってるけど」と持ちかけると、そのアイデアがぴったしと当たる。バードフィーダーと鳥のえさをゲットして、合計 $10 少々のお買い上げとなった。

 帰ってバードフィーダーを軒先につるすと、1時間もしないうちに小鳥が見つけてやってきた。毎日大雨なので鳥もそんなに出歩いていないわけだが、晴れたらどんどん鳥がやってきて楽しめそう。よかったよかった。

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 夕方、最近ゲーム疲れしてるので萌のドラクエはよして、MKに録画しておいたもらったジャッキーチェン「酔拳2(94年)」を見る。これは見たことがなかったのだが、非常に面白かった。ストーリーは昔ながらのジャッキーチェンもので、香港的過剰さ(萌がうっと引いてしまうようなイタイシーン)も相変わらずあるのだが、ここまで時代が下がると映画としての質が80年代とは段違いに高く、役者が皆素晴らしい。特にお母さん役アニタ・ムイさんは、香港にはこんなに面白い女優がいたのかと驚くほどファニーな名優で、彼女の登場するシーンのすべてが面白い。俺も萌も彼女の魅力にイチコロであった。ところが調べると彼女はもう亡くなっているとのこと。残念。

 今日で6日連続の大雨なのだが、こんな天気でも週末ガーデン(あるいは窓を開けたままの屋内)パーティをやってる連中が近所にいる。夏と変わりのない胴間声が夜中まで続いていた。カナダ人のパーティ好きはこんな鬱陶しい雨にもへこたれないのです。

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■07/10/21(日) □ 大雨 Lougheed Hiway
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 雨雨雨、今日で7日目。大雨だと家に帰り飯を食うのも難儀なゆえか、うちのデッキの居候猫ティガーは俺が外に出ていくと心細さをさかんに訴える。

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 先月に続きバンクーバーアートギャラリーに行ったMK萌BRを迎えに、夕方大雨水浸しの Lougheed Hiway を走る。PoCo 4連コーナーに普通のペースで入っていき、1コーナーでグリップ感を確かめ問題ないなと思ったが、前の車がえらいスローダウンしていて2・3・4コーナーは攻められなかった。坂道ではなぜか坂の途中に水流ができるものだと気がつく。

 タイヤに溝がなかった頃のレガシィで強烈なハイドロプレーンを経験した水たまりのできる病院前では、横を走る車の水しぶきで前が見えず恐ろしい思いをしたが、さすがにこの状況では皆が 65km までスローダウンしていたので問題なし。あまり調子に乗り水を跳ね上げてエンジン部に水が入ったら嫌なので水たまりには気を使ったが、それ以後も 75km くらいで普通にコントロールを楽しみ走ることができた。これ以上悪いウェット路面状況はそうないわけで、やはり俺の「FFはフロントタイヤに溝があれば雨でもまあノープロブレム」説はさほど間違ってなさそうである。ここまで路面が悪いとやはりレガシィ&ウェット最強オールシーズンタイヤ時代の鬼グリップをなつかしく思うが、FF車のグリップでも実用上は問題ないという勉強になるランであった。

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■07/10/22(月) □ Falken Ziex ZE-912 に決定
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 最後の頼みのタイヤ専門店でも、エリオにサイズが合うなかで一番雨雪性能がよさそうな Kumho ASX は入荷不能と判明。残るは BF Goodrich だが、硬いうるさいというユーザー評が見つかりまくる。エリオはもともとうるさい車なのでタイヤノイズがどうこうと感じることはないものの、タイヤが明らかに硬くてハンドリングと乗り心地に悪影響があるので、柔らかいタイヤにしたいんだよなー。レガシィでも硬かった Proxes から柔らかい Kumho にしたことで、絶対的トラクションは弱くなったがコーナーに入るときのGがコントロールしやすくなり、走りが楽しくなったのである。

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 他にサイズが合うのはないのかと探していて、Falken Ziex ZE-912 というのが入手可能であると判明。Falken ってのはたしか日本製だよなと調べるとやはりオーツタイヤという日本メーカー(のタイ製)で、スポーツカー愛好者に好まれつつ快適性は高いレベルにあるらしい。ちなみにうちのエリオの 195/55R15 という珍しいタイヤサイズは、シトロエン・プジョー・セアトという欧州売れセン小型車と同一なのだと判明。なーるほど、あっちに合わせて設計されたわけね。

 ユーザー評を探すと、なんと天下の製品批評誌 Consumer Reports の今月号で Falken ZE-912 がオールシーズンタイヤの1位に輝いている。雨グリップが万全で快適でハンドリングもよく雪も無難にこなす。これだ。これに決めた。Kumho も BF Goodrich も 目じゃないぜ。さっそく発注、来週入荷。

 今日ガススタンドで、かわいい車ねとオバサンに声をかけられた。まことに。俺もMも萌もMKも、こいつのかわいさを気に入っているのだ。俺なんか赤・黒・青・白とコレクションしたくなるくらいエリオの形を気に入っている。現在町で走っている車で、俺がエリオと同等にかわいいと思うのは MINI と Echo ハッチとスマートくらいで、どれも家族居住性を思えば実用車ではないしな。

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■07/10/27(土) □ バラカララン&萌の怪我
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 Mがバラカラレイクの会議に行くついでにレイクを見に行かないかというので、エリオ初のワインディング走行をテストするために同行するも、そこのジムで遊んでいたら萌が橋から落ちて足を怪我してしまった。Mのプレゼンテーションもキャンセルし、がっくりして皆で帰宅。はあ。家に帰ると痛みも収まり大事ではないようでほっとしたが。

 はあ。俺は萌の病気怪我には、Mがいないと深刻度が判断できず、駄目な親だなあと落ち込む。岩場ではずっと手を離さず警戒してたし、萌の危険行動に関しては常に過保護で慎重な俺なのに、どうしてあの瞬間だけロープに萌の手が届かないということに気づかなかったのだろうと悔いが残りまくる。萌は大泣きしながら、「今日はあそこに行かなければよかった。時間を戻して、(ゲームのように)やり直せたらと思う」と何度も何度も言っていた。まったく同感である。

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 エリオのワインディングランは、普段コーナーで突っ込みすぎたときと同じくコーナー後半でGが高まるとオーバーステア傾向になり、姿勢とラインが乱れる。サスが沈む前と後で旋回力が変わるという感じ。帰りはこれを念頭に、萌の怪我もあり滑らかなスローインファストアウトに徹すると、思い通りきれいに曲がれるようになった。レガシィでもここの出口の見えないワインディングはまるでスピードと姿勢が決まらず、最後は逆にアンダーが出て苦戦していたわけだが、エリオはスローで入ってもコーナリングフォースはちゃんとあるので気持ちよく曲がれるのがよい。エンジンとATのレスポンスのよさもあり、総じてあそこの往復ではレガシィ時代よりも走りが楽しめた。

 コーナーでびしっと決まったときの快感の高さはレガシィやスポーティな車にかなわないが、こうしてみんながラクなゆるいペースで走りつつ運転手はスポーツ走行を楽しめるというのが俺のひそかな期待通りであって、やっぱりRZ250の再来だな :-)。まあRZは絶対コーナリング性能ももうチト高かったので、ニュータイヤでその辺が改善してくれることを期待しよう。

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■07/10/28(日) □ ドラクエデイ
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 萌の怪我は問題なかったようで、順調に回復し、本人はもう忘れてドラクエに没頭している。今日は雨のおだやかな休日。

 ドラクエ7は面白い。スーファミの5、6は共にフラグを立ててダンジョンでボスを倒すという手順の繰り返しで、他のRPGほどひどくはないがネットで答えを探さないと分からないフラグもままあり途中でバリバリに飽きていたのだが、7はその反省もあるのかストーリーの面白さがちゃんとあり、次に何をすればいいのかがガイドを見ずともちゃんと分かる。自然に進行するストーリーの中で、「熱い石に勇者が封印されている」といったヒントが出、「―――熱い石?.....ホンダラさんだ!」と、萌と俺が同時に答えをひらめくのが楽しい。

 ダンジョンも謎解きパズル要素が必ず込められていて楽しく、萌はマッピングの楽しさに夢中になりカリカリと細かく情報を紙に書き込んでいる。FF7以来エンディングまで進むヒットがなかった萌のゲームで、ついに出た大ヒットだわ。萌はドラクエのテーマを、キーボードでタッタター♪と弾きまくっています。メッセージ内の漢字も少しずつ覚えてるしね。

2007/10/21

日記「エリオ馬鹿デフロスターの改造」

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■07/10/10(水) □ カラテプロテクター
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 カラテ:先生はLSと萌もそろそろプロテクターをつける時期かもしれんという。これはスパーリングでダメージを受けないようにというより、小さい子はコントロールが悪くて技の打ちでも受けでも力を入れすぎ痛いので、それを防ぐためだとのこと。フリーのスパーリングなどはまだやる時期ではなくとも、プロテクターをつけることでパンチとキックの練習をより強く速いレベルに上げられるということらしい。なるほど。まあ本人がこの先のアグレッシブな世界に進みたいかどうかによるなー。萌はプロテクターをつけてみたいといっている。

 今日はLSの「型」試験を心配した空手名人お母さんが一緒に見ていたので、いろいろと空手のことを教えてもらいながら見れて楽しかった。彼女の流派はより実践的なので、このクラスの技のあれこれが「あれは私が習ったのと違うわ」と気にかかるらしい。しかしまあ萌なんかはほんとに強くなりたくてやってるわけじゃないので、体の美しい使い方を追求してるこの流派は向いてるんですよと話す。

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■07/10/14(日) □ 落ち葉かき
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萌と共に昨日に続き落ち葉かき。これでメジャーな落ち葉は終わり、次の雨上がり(時期まったく未定)が最後の仕上げになるだろう。LSを呼び、彼女が来る前に萌と大々的に落ち葉の迷路を作って盛り上がる。


 俺は裏の落ち葉コンポースターを掃除し、ふたを作って4杯ほど入れた。心地よい秋の一日であった。


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■07/10/15(月) □ ピアノ熱再開?
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 明日ピアノだよ、最近進歩してないからちょっとまじめに練習しておくれと萌に「ハウル」をやらせると、なぜか今日は必死に練習する。間違えるたびに最初からやり直すので一向にパートが進まず、フラストレーションをがんがんとためていくので途中で止めようとしたのだが、どういうわけかムキになっておりやめず、やがてベソをかいてしまった。ふー、やれやれ。これは本当のピアノ熱再開ではないよなー。

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 萌のドラクエ7は順調に楽しんでいる。時計で時が止まる町から謎のダンジョンに入っていき、一番底の文字盤のようなところの「謎」にたどり着いたとき、萌は「I know so much now(完全にわかったぞ)! これは時計の中なんだよ。だからこの謎は、時計の後ろから前へってことなんだよ!」と、完璧に謎を解いてみせた。素晴らしい。RPG謎解きの楽しみは、やはりFFよりもDQのほうにあるなあという旅が続く。

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■07/10/16(火) □ ピアノ習得のジレンマ
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 ピアノ:昨日の不可解な練習熱は一時的なものかと思ったら、今日も先生のところに着くや即「ハウル」を弾き出した。しかし熱意はこうして戻りかけても指がついてこないのが楽器習得のつらいところで、昨日あれだけやったのにその成果を思うほどには先生に聞かせられない。萌は先生に褒めてもらうことがモーティベーションになってるわけで、残念なり。

 やっぱ俺がギターを覚えた中学生くらいになれば長時間練習に集中することもでき、かけた努力が実力に直接つながるのだが、小さな子供には楽器習得は難しいことである。しかし小さなうちに始めなければピアノの習得は難しいというジレンマがある。

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■07/10/17(水) □ 空手スピード開眼
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 カラテ:萌が突然カラテにおけるスピードというものに開眼して、素晴らしい切れ味の「型」をできるようになってしまった。家に帰るやいなやMやBRにそれを見せ、喝采を受ける。素晴らしい。練習でサンドバッグなどを実際に蹴ると、距離をはかり蹴りに体重を乗せなければならないので、型とは違うタイミングとリズムが必要になりドタバタになってしまうのだが、型はほとんど完全無欠になってきたと思う。

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■07/10/18(木) □ エリオ馬鹿デフロスターの改造
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 大雨の中タイヤ探し。サイズが合う中でベストと思われる Kumho ASX を置く PoCo 裏の店に行ってみたが、いつ入荷するか見当もつかない状態だとのことで、注文も受けてくれなかった。残る候補は BF Goodrich。これにしようかな。ユーザー評をよく読んでみよう。

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 今日は本当に大雨で道もズブズブなのだが、こうして町中を用を足してあちこち走っていても、FFゆえの弱さだとか溝が 2mm 強まで減ってるリアタイヤへの不安は感じなかった。雨が降ればAWD感が高まりドライよりも気持ちよかったレガシィとはむろん違うが、FFはフロントに溝があれば普通に走れちゃうのかもしれない。

 この大雨の季節タイヤよりも難儀なのは、ACを入れないと取れないエリオのフロントウィンドウの曇りだ。今日みたいな横なぐりの雨ではサイドウィンドウにも水滴が大量について、視界が下がり危ないと思う。朝 Lougheed で大クラッシュしてパーツの破片を振り撒いた車があったしなあ。この季節は本当に気をつけないと。

 それにしてもまったく弱ったエリオのデフロスターシステムで、除湿なしで外気をフロントウィンドウに送り続けるという普通の選択肢がなく(※)、曇りを防ぐにはエアコンを常時使うほかない。結果この大雨の季節夏よりもはるかにエアコン稼動時間が長くなり、燃費に響いている。
(※)「足元」を選ぶと窓際に微弱な風が出るが、まったく風量が足りず曇りが取れない。「足元・窓」「窓」はオートでエアコンが入ってしまい、曇りは一瞬で取れるがそのまま走っては燃費にどえらい無駄が生じる。結局無駄を避けるためには、走っている間中延々と手動で「足元」「足元・窓」を切り替えるという、馬鹿ばかしく危険な方法しか他にテがないのである。

 弱ったなと窓曇り対策法を調べていたら、まさにこの「エリオ馬鹿デフロスターの改造法」が、英語エリオユーザーグループで見つかった。簡単単純安全なコネクターはずしをやるだけだ。

 狂喜してさっそく実行、これで望み通りというか普通の車と同様、外気取り入れ風を窓に送り曇りを防止し、それでも曇ったらACを入れるという使い方ができるようになった。もともとACは強力で曇りは一瞬で取れる車なので、これでようやく文句なし。やれやれである。スズキの設計は馬鹿でもユーザーグループはまこと最高であった。

2007/10/10

日記「ペルージャみたいな柏レイソル」

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■07/10/06(土) □ ペルージャみたいな柏レイソル
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 こないだ野球ばかり増やさないでJリーグ公式戦もやってくれと TV Japan にメールを送ったら、1月しないうちにプログラムに入れてくれた。ありがたい。これが柏・ガンバという非常に手の合うカードで、めちゃめちゃ面白い。休みの日に日本のサッカーが見れる幸せ。

 日本のサッカー人はガンバのようなパス組み立てサッカーをすごく褒めるのだが(実際ピッチコンディションがいいためか日本代表よりもパスが早く/速くきれいにつながっている)、DFが根性と対応力で守り、奪ったボールをエースに渡し、エースがドリブルで上がりながら前線にぱしーっとパスを通してシュートまで持っていってしまう柏のサッカーのほうが俺は興奮する。中田がいたときのペルージャみたい。フランサというのが非常にいい選手で、かつての中田の役割をやっている。しゅぱーっと糸を引くように美しい、長いグラウンダーのパス。素晴らしいミドルでゴールも決めてくれた。ベリーナイス。

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 そういえば現イタリー監督ドナドーニが、「ほぼ日」フランコさんに聞かれ、
「中田は良い選手でしたが、もっと偉大なチャンピオンになれたはずです。彼は身体も技術も知性も、全てに恵まれていました。でも彼がサッカーに捧げたのは人生の 40%くらいだったのではないかと、ぼくは思います。残りの 60%は、広告や宣伝やテレビ、インターネットその他に宛てていたように見えました。彼はサッカー選手というよりは、ひとつの企業体だったのかも知れません。もし中田がサッカーのことだけを考えていたら、世界最強選手のひとりになっていたでしょう。でも自身の 40%しかサッカーに捧げなかったら、その実現は難しいです。本当に勿体なかったと思います。彼自身にとっても、日本にとっても、偉大なチャンピオンを生む大きなチャンスを逃してしまったかなと思って‥‥」

 といったそうだ。こういう風に見ているプロもいるんだなあ。しかし中田がやってた芸能文化人生活には俺も興味はないが、ブラジルやイタリーのスターは「残りの 60%」をディスコと夜遊びに費やしてるのが普通なわけで、中田の生活&サッカー意識がブラジル人たちより低かったとは思えない。余暇を遊びじゃなくて金儲けに使ったから、外国人にはよりスキャンダラスに映っただけだろうと思う。「本当に勿体なかった」というのは涙が出そうなほど同感だが、中田の能力が20代後半落ちてしまった謎解きのヒントにはならない。

 結局イタリーのスター選手たちとの違いは、無駄に呼ばれた日本代表で奪われた時間と体力なのかもしれないな。オシム就任以降海外にいる日本人選手が皆いい仕事をしているのを見てみれば。中田が1年の旅でリフレッシュして9月からサッカーに戻ってくれたらと思ったのだが―――カタールでもMLSでもJリーグでもいいではないか―――、戻ってくれなかったなあ。日本でTVに出て、現役復帰はないと明言したらしいし。ため息。

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 後半柏が先制するもガンバが追いつき、逆転してしまう。この辺も上位チームに力及ばず最後はやられていたペルージャっぽいのであった。しかし面白かった。満足。

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■07/10/07(日) □ 毎日雨雨雨
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 毎日毎日雨雨雨。気欝な日々。フロントヤードのメイプルが大紅葉してるので写真を撮ってみたのだが、赤が飽和してしまって今ひとつであった。最近なんかピントがぴりっとしないような気もするんだよなー。日本で撮った風景写真なんかも、カキっというピント感はあまりなかったし。サチュレーション(濃さ)をいじってるせいで、色が飽和して輪郭線がぼやけて見えるというのもあるかもしれない。いろいろ色設定をいじってみて、【RGB+1、シャープ+1、曇りWB】で撮ったのがいい感じとなった。

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 今日はまる一日、ドラクエを中心に萌と遊びまくった。DQ7はまた悲しいエピソードが出てきて萌が泣いてしまう。その次の町でも「親が決めたいいなづけ」うんぬんで結ばれぬ恋なんてのが出てきて萌に説明のしようがないし、どうも7歳の純真な心には、ドラクエ流の少年漫画的サッドストーリーは悲しすぎるかもしれんなあと思う。

 その後も同様に助けたくても何もできないカタルシスの薄いエピソードが続き、旅の目的がぼやけて、萌は宝探し以外興味を払わなくなってしまった。もうこれは萌は飽きてるなと思い、奥の手として取ってあるFF9にいこうかとオファーしたのだが、萌はDQ7を続けたいという。

 それじゃ仕方ないかと次のダンジョンで萌にマッピング係をやらせ、「この階段は『ステアA』ね。これが次のフロアのどこにつながってるかを書いてくれ」と紙に書かせていると、なにかすごい冒険の充実感を感じたようで夢中になってマップを完成させる。どうやらドラクエ名物ダンジョンの楽しみが萌にも効くらしい。この「ダーマ」のダンジョンの奥には楽しいパズルもあり、ボスをやっつける手順だけではない楽しみが用意されているのもよかった。この調子ならば最後まで飽きずにいけるかも。

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■07/10/09(火) □ 過剰繊細反応
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 雪の季節になる前に車のリアタイヤを換えたいのであちこち電話して値段を聞いてみると、レガシィではいてたのと同じ Kumho タイヤで 1.5 倍の値段になっている。どうやら3年前よりもタイヤの値段が上がったとしか思えない。考えてみれば原油価格が上がればゴム製品の値段が上がって当たり前か。がっくー。こんなに出すならわざわざ韓国製を買う意味がないと思うが、しかしエリオは妙に扁平率の高いタイヤをはいてるので(ソフトなサスに硬いタイヤという変なバランスなのだ)、選択肢が少ないのである。まいるなー。あきらめずにいいタイヤを探したい。

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 夜萌をベッドに送ると、「マミーと寝たい」と突然泣き出した。最近「心臓の音がドキンドキンと響いて怖い」などとつまらぬことで夜アップセットしてるので、その続きである。「んなこといったって、今までドラクエでわーいって盛り上がってたのに、じゃ寝ようかといったら突然涙がぴしゅーっって、なんじゃそれは?」と軽口でからかうと萌も爆笑し、そのまま少しマンガを読んでやったら落ち着いた。やっぱこの頃の彼女のさまざまなな心のゆらぎを、まともに取り合うほうがかえって過剰繊細反応を助長するのかなと思う。つまらぬ動揺を俺たちがまともに聞いてやればやるほど、心の振幅は振れていく。

 しかしこの頃、子供の心にはいろいろと悩む。萌はカナダキッズ的きつさと日本キッズ的ソフトさを兼ね備えているのだが、俺がソフト面をずっと好んでいるのを彼女も気づいていて、それがプレッシャーとなってカナダガールとしての自然な振る舞いを阻害してるかなと最近感じ、俺は反省してるのだ。

 Mに対して超ソフトで甘々なことを萌がいうのも根は同じである。「Mよ、萌がああしてわざと超ナイスなことをいうのは、つまり『親を喜ばせようとしていいことをいう』というのは、実は子供の行動としてちょっと不自然ではなかろうか」と俺が言うと、Mもそれもそうだわねえ、手放しで喜んでもいられないわねえと同意していた。親の影響というのは子供にとって巨大すぎて、どれほど気をつけてもいい影響だけを与えていくことはできないのだと思う。

2007/10/06

日記「萌の各種習いごと状況」

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■07/09/22(土) □ M父夫妻来訪
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 朝からM父夫妻来訪。M父は酔うとライトウィング実業家の観点からレフトウィング理想家のMにカラむから始末に負えないのだが、酔っ払ってなければ問題はない。耳が遠いので俺のなまった英語は聞き取れずあまり話はできないが、日本での父さん母さんのことなどを少し話してやった。年齢的に明日はわが身かと思っているらしく、深刻な顔をして聞いていた。

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 夕方萌とドラクエ7を2イベントほど進めると、パズル要素が6以前よりも豊富で非常に楽しい。3Dポリゴンのせいで迷路が歩きにくい(自分の位置を脳内でマッピングしにくい)というのは依然感じるが。ストーリーはのっけからえらい悲しかったのだが、RPGにつきものの不条理には慣れた萌のハートには割合タッチしているようだ。

 しかしDQのかつての売りであったバトルのほうは盛り上がらない。FF的な派手なアニメーションが出ないのはDQだからいいのだが―――萌がそれに対して苦情をいうこともない―――、コマンド体系が一向に進化せずややこしいので、萌が自力で戦ってくれないのである。ターンごとに必要なコマンド入力数が他のRPGより多いので何をしたらいいのか分からないのだ。魔法名も英語で自明だったFFと違うしな。オートバトルも使いにくいしAIは大バカ。ドラクエはグラフィックだけじゃなく、ユーザーフレンドリーさという点で時代から大きく遅れてしまってるなあと感じる。あーコマンドをカスタマイズしたい!

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■07/09/24(月) □ 家修理でサッドサッドライフ
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 ドライウォールのサンディングをやっていたら、Mが手を出すなといった部分を俺が「まあ仕上げだけ残してラフにやっとく分にはいいだろう」と考えやってしまい、それが本当にやっちゃ駄目だったのであると判明した。またやり直しだといわれ、ほとほとと力が抜ける。本当にこの終わらない家直しには滅入る。

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 最近エリオがスポっと手の内に入った感覚が強く気持ちがよい。ポジションが完全に身体になじんだのか、あまり神経質にシート角度を合わせなくても、常にバイクのような自然な感覚でコーナーに入っていけるようになってきた。上体が安定し、コーナーに入ってからきゅーっとステアを絞ってクリッピングポイントを削り取っていくような走りが街中で楽しめる。家修理で落ち込むサッドサッドライフな俺には、PCや車の調子よさは救いだ。

 MとMKがエリオをどえらく気に入っていて、Mなんか何かの拍子に車のことが話題になるたびに、「うちのスズキエリオのキュートさにはかなわないわね」という。もともと車になんて一切興味がなく、レガシィだって快適でしっかりして安心感があるということ以外はなにも感想を持たなかった彼女なのだが、このサイズとスタイルと軽快さがよほど気に入ってるんだろう。

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 カラテ:夏休み後再開してからはなぜか基本スキルの繰り返しが非常に多く、早く上に行きたいボーイズたちはジリジリしてると思うが、萌は先週あたりから自分の技がきれいに決まっていることを自覚してすべてを気持ちよさそうにやっている。動きの切れと力強さが見ていてきれいで、先生もずっと萌の名前を呼んでほめ続けていた。

 萌は運動神経がいいとは思えないのだが、こうした所作の勘所をつかむのは天性のものがある。片膝をついて帯を締めなおす所作なども意識してやっており、何をやらせても決まっている。全然強くはなっていないが(笑)、空手が持つ美しさだけはどんどんと体がマスターしてる感じ。

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■07/09/25(火) □ ピアノで落ち込み
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 ピアノに行き、夏以来ずっと萌が主張していたピアノ中断の意を先生に伝える。先生愕然。こちらの希望通りいったん 3/5 まで弾けるようになった「ハウル」だけは完成させるというプランにしていただいたのだが、萌はそれもやる気なさげにしており、今回も駄目なレッスンであった。はあ(Sigh)。萌自身ももうやめたいのと、俺と先生がガッカリしていることの両方に落ち込んでいるので、帰路元気付けにと久々にドーナツを買って帰った。

 萌は才能に恵まれたいていのことは努力せずできるが(空手の型なんかまさにそう)、ピアノだけは一生懸命復習しないとできないので(or worse, いったんできるようになったことを忘れてしまう)、フラストレーションを感じてるのだろうとMはいう。フラストレーティングだからとなんでも中断してしまうのはよくないが嫌なものを続行させても仕方がないので、とにかくハウルだけは何ヶ月かかろうとマスターし、以後忘れないように家でしょっちゅう弾かせるという方針で行くしかないだろう。身に着けたスキルを自転車の乗り方のように忘れずにいけば、また再開したくなる日も来るかもしれない。

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■07/09/26(水) □ 空手昇格試験の通知
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 カラテ:萌は俺が知らぬうちに、動作の途中で一瞬間を取って体重と関節の方向をシフトする、きれいな横蹴りができるようになってしまった。すげえ、これは素人にはできないブルースリーの蹴りだ、美しいと感動していると、型の試演を先生に命じられる。これも先生に絶賛され、来週テストして試演をしっかりできたら帯に最初のラインを入れてもらうことになった(3本入ったら次がオレンジ帯で10「級」となる)。すごい。

 ピアノもこれくらい上達が早ければ、きっとやめないんだろうなあ。残念。夏前まではピアノもこうして毎週毎週上達していたので、俺の日本行きでレッスンを中断したのがつくづく失敗であった。

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■07/09/27(木) □ 漢字進歩
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 昨日の天ぷらの残りを昼に食べたら、油で胃もたれしてしまった。新しい揚げ油を使い、さらに衣に油を吸わせないよう短時間で揚げようと気を使ったのだが、うちの電気ストーブでは十分油温が上がらずどうしようもなかったのである。もう揚げ物をやるときはよくよく温度を気にして、ストーブの温度が上がらない場合は中止するくらいの覚悟でいかないといかんのかもしれない。まったくもってカナダの電気式厨房は駄目である。天ぷらのときは卓上ガスコンロを使おうかなーとも思うが、ガスが高いしなー。

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 日本語学校の帰りに今日どんな漢字をやったのと萌に聞くと、「風」と「読む」をやったとのこと。えー、小2ってそんな難しい漢字をやってるのかい? それで萌は覚えられたのと聞くと、大丈夫だよという。じゃあその調子でやっていけば、じきにドラクエとかのゲームの漢字もマンガも自分で読めるようになっちゃうよというと、萌はうれしそうに笑っていた。

 ゲームの漢字って小学何年生くらいのレベルなんだろうと家に帰ってから検索してみても、それらしき記事は見つからない。逆にゲームのせいで子供が漢字ができなくなるという記事ばかりが出てくるわけだが、うちの場合漢字ソースは週1の日本語学校と本とゲームしかないわけで、ゲームは強いモチベーションにもなるし、萌のこれまでの経緯を見ても役に立つのは間違いない。

 俺自身が手書きで字を書く機会なんてもうゼロで(Pocket PC もかな漢字変換だし)、小学生の漢字を全部書けといわれたらかなり間違えると思われ書くほうは萌にもあまり期待しないが、この調子でどんどん読めるようになってしまえば彼女の人生が楽しくなるだろう。

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 夜俺が1人でやってた「MOTHER2」終了。あー、久々にゲームでじーんときたなー。最後にトンズラブラザーズなど懐かしい人々が見れたのには、「旅」を感じてじーんときた。そして最後の最後の攻撃にもじーんときた。いいゲームであった。

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■07/09/29(土) □ エクササイズバイク
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前ほど散歩にいけなくなったBRと自分自身のために、Mがあのエクササイズバイクというものを中古で買ってきた。これがなんか一家に大好評で、萌もMKも俺もなにかといえばヒョイとまたがってフッフッとペダルをこいでいる。家にいながら、TVを見ながら、Pocket PC でネット記事を読みながら、萌と話をして遊んでやりながら運動できるというのは素晴らしい。翻訳で座り仕事をしていると血行が滞って手先から冷えてくるのだが、これを1分やればすぐに血が巡って暖かくなるしな。

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■07/09/30(日) □ カシマシ家族
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 朝から萌が日本語の宿題をやっているので(風という字をちゃんと書いていて驚いたが、読み方をまだ知らなかった・笑)、ついでに朝のうちにピアノもやっちゃおうぜと元気付ける。「ハウル」をやらせると忘れてしまった部分が苛立たしくて萌はすぐにカンシャクを起こすのだが、そこを笑わせて気分をほぐし1小節できるごとに紙にマークをつけていこうと励ますと、パート1を全部思い出して見事にすらすらっと弾けるようになる。俺は喜び萌もうれしそう。よしよし。やめたいのは仕方がないが、この曲だけはなにがなんでもマスターしよう。

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 ◆13:21 仕事終了、BV家へ。午前は大雨でハイドロプレーンの名所 Lougheed Hiway 通行を心配してたのだが(後ろタイヤにあまり溝がないしFFだし)、雨は小止みになってまったく大丈夫だった。初の5人乗りでもパワー的にはまったく問題なく爽快だったが、窓の曇りに閉口させられる。エアコンをオンにすると2秒で曇りは取れるのだが、オフにするとどうやっていても曇る。これがエリオ最大の弱点だ。

 しかし久々に家族全員1台で移動すると、車内はけたたましい。きつきつの後席でシートベルトのつけはずしが大変だとMがさわぐ。左右スペース自体は十分あるのだと俺が自分で座ってテストしてあるわけで、んなことくらい黙って我慢しれよお前。なんとやかましい家族と俺は住んでるのであろうかと思う。この環境にあって無口は尊い。喧騒にあきれ口を挟まず黙っている萌と俺が高貴に感じられる(^_^;;)。

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 BV家では俺はBT@ベース弾きとちょっとジャムしたり、ゲームを見せてもらったりした程度で、あとは親戚といてハッピーな萌を眺めていた。BV家のボーイズはBTを筆頭に、大きくなってもみなヒネてなくてナイスだ。しかし義弟ST@ドラマーがもう全然音楽に乗ってこなくなったなあと思う。俺とBTがセッションしていても、下で萌がドラムを叩いても加わってこないでM父やSCとオヤジ話をしているのであった。もうドラマー魂はたぎってないのだろうか。

 帰路車の中でBRが、「(M父と)離婚して本当によかったわ。一緒にいると本当に疲れるのよ。彼はナイスにしてくれるんだけど、どうしようもなく疲れるの」といっていた。たしかにM父といると、ただ声の大きさだけで疲れるよなー。カシマシ家族のルーツは彼にあるわけである。

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■07/10/03(水) □ カラテ昇格試験
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カラテ:ついに萌の昇格試験。おとといは先生が病欠でテストがなく、しかし実は慢心練習不足でたとえテストがあってもヘロヘロだったであろう萌だが、俺にそういわれてショックを受け昨日きちんと練習してきた結果、家でやるよりうまくできて一発クリア。先生はその場で帯にラインを入れて、パシっと打ち鳴らす武道っぽい儀式をちゃんとやってくれた。おめでとう。

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 夜仕事を中止し、TV Japan で見た米米クラブがすごかった。あのボーカルの人はもともと美声で、そのきれいすぎる声が非ロックで俺は好きじゃなかったのだが、年を取って恰幅がややよくなったからかドス(ノイズ)が入ってきて、昔よりも断然かっこよくなっている。ここしばらくでTVを見ていて一番笑った。後でビデオを見せたら萌にも超ウケた。Boowy に次いで今度は米米クラブが好きになるかもしれぬ。

2007/09/23

日記「反日レストラン」

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■07/09/14(金) □ 激安激良電動歯ブラシ「ハピカ」
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 仕事疲れか目覚ましにも気づかず 10 時まで寝る。今日はオフ。ふー。

 ハピカという日本製はヘッドが振動するだけという単純機構ながら、素晴らしく清浄効果が高く気持ちよい。歯がいつもつるつるで、前歯のシミも気がつけば取れてしまった。これは本当に大当たりであった。
日本で買ってきた激安電動歯ブラシで、毎日歯磨きを快適にやっている。昔大枚をはたいたブラウンが1年で充電不良になりトサカに来て、以後こっちのスーパーで安いものを買い不満がありつつも使っていたのだが、この

 ヘッドが回転するタイプは手を動かさずに磨けるのでラクだが、どこの製品もメカニズムが内蔵されたネック部が太い。そのため磨いているうちに口の端からヨダレだらだらになり非常に不快なのだが(一番細いブラウンでもヨダレは出る)、こいつはヘッド部がただのブラシなので、ネックが細く磨きやすいのがまずえらい。今まで電動歯ブラシを常用しなかった萌も「こどもハピカ」を気に入り使っているのは、この快適さが大きいと思う。それに加え磨き自体は普通のブラシと同じ往復運動が必要なので、手抜きはできず子供の歯磨きスキルが損なわれることもない。さらに

◆ヘッド部がただのブラシなので替えが安い
◆音も機構上非常に静か(ヘッド部のメカノイズがない)
◆ブラシの材質がよいため汚れがよく落ち、かつ長期間ヘタれない
◆電池も単3ひとつで1月半使ってまだ終わらない
◆電池交換部の防水機構が非常によくできている

 と、単純メカのよいことづくめなり。弱小メーカー製ながら本当にえらい製品です。

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 「玉繭物語」はもう萌がモンスター合成と名前付け以外なにもやらず俺が進めるだけになってしまい、やることも単調になってきたのでさっさと終わらせちまおうと思ったのだが、1日育てても最後の敵を倒すほど強くなれなかった。自モンスターは十分に強力にできるのだが主人公のHPがまるで低いままで、どんなに戦況が有利でも主人公を狙われるとそこでオシマイなのである。回避法はなく運次第なので、これはかなり腹が立つ。

 もうやめちまおうかと思いつつ、夕方ようやくクリア。クリア後のストーリーが萌が見たら絶対に喜ぶ大団円だったので、萌が帰ったあともう一度クリアして、エンディングを見せてやった。大変だが終わってよかったよかった。次はこの夏日本で買ってきたRPG第2弾・ドラクエ7である。楽しみ。

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■07/09/16(日) □ ドラクエ7の3D世界はいかに
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 萌はMKBRに連れられてバンクーバー美術館へ。俺は掃除。

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 玉繭が終わったので夕方萌とドラクエ7のさわりだけ見てみると、3Dで作られたドラクエ世界はかなり期待を下回るものであった。解像度が低く見づらいファイナルファンタジータクティクスという感じ。こういう完全3Dレンダリング世界というのはファイナルファンタジーにもないので、くるくる視点を変えながらいろいろできるのは楽しいが、効率よく歩くのは難しい。

 まあこれは慣れればいいが、一番がっかりしたのはキャラクター絵がスーファミ時代からまったく進歩してないことで、3Dマップ上をにゅーっとスライドしていくのはポリゴンではなくドット絵なのである。しかもあまりにもしょぼい。SFのタクティクスオウガみたいにきっちり描き込まれきれいに動くなら(あるいは逆に Mother2 みたいに単純な線画ならば)、ポリゴンじゃなくてもフィギュア的な愛着を感じ楽しいのだが、解像度が低すぎてメインの少女が出てきても他のザコと区別がつかない。Playstation なだけにこれにはガックリくる。FF社とDQ社ではこれほど技術力が違うのかとびっくりした。まあDQは絵ではない。ゲーム内容に期待しよう。

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■07/09/17(月) □ 健康が大事
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 週末ARがうちの父さんの焼香にきてくれたのだそうだ。そうかー。病院で父さんにもあいつの話をしてたんだよな。きてくれるなら、父さんの存命中は無理でも俺がいるうちに長野に呼べばよかったな。

 なにかの拍子に父さんがもういないということを思うと、いまだに胸にざーっと雨が降る感じがする。年寄りだから死んでも悲しみが少ないということはないんだとつくづく思う。無論若いほどその人が亡くなったときに周りの悲しみは増すに違いないが。俺はM萌のために長生きせねばいかんと思うが、生活を振り返ると反省することばかりなり。

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■07/09/18(火) □ 反日レストラン
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 雨が戻ってしまった。外は14度、ささ寒い。ヒーターの効きが悪いのであれーと思っていると、修繕中の1階で作業の弾みにヒーターパイプがはずれているのだと判明し、MKとつなぎ直す。やれやれ。うちは本当に壊れている。こつこつ直しているのだがいつまで経っても終わらない。

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 火曜はMがいないので萌が外食したがり、最近よくなったらしいわよとMに勧められて PoCo こっち側唯一の日本食屋K屋にトライする。ここは韓国人経営で、むかーし刺身をトライしたときはサイコロ状の噛み切れない生魚を出されぎゃふんと言わされたのだが、今回天丼を頼むと浅い皿のパサパサ韓国ライスに油の悪いてんぷらが乗り、スーパーで売ってる北米製大甘テリヤキソースみたいなものがどろりとかけられたものが出てきた。こりゃモールのスチロール皿に乗ったジャンクの「ジャパニーズフード」だよ。最低予想ラインを3目盛り下回るひどさに食べ残す。萌もてんぷら盛り合わせを半分以上残してしまった。

 韓国人はなぜか日本食レストランをやりたがり、小さな PoCo の町だけで2軒の韓日レストランがあるのだが(コキットラムにもまずい中国系日本レストランがある)、どちらもこうしてひどい偽日本食を出して PoCo における日本食の世評を落としている。これじゃ文化的テロ行為じゃないか.....あそうか、反日レストランなのか?

 んなことはないだろうが、こうして明らかに自分がちゃんと食ったことがないものを適当に作って客に出すという、その了見がわからない。日本食なんてシンプルレシピなのであり、本物を知って普通に作ればこれほどまずくなるわけがない。カナダには日本人がやってる韓国料理屋もおそらくあるだろうが、そこで出すものが本当の韓国料理と違うことはありえても、これほど激しくマズイなんてことはありえないだろう。俺はちょっと仏頂面になり萌に心配されてしまった。

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 ドラクエ7を夕方萌と本格開始する。相棒のキーファというのが少年マンガ的熱血キャラクターで、彼の熱いセリフに引っ張られ胸わくわくとストーリーが進み楽しい。

 しかしドラクエはセーブできるところが限られすぎて、限られた時間でちょっとだけやるということが全然できないのが問題だ。今日なんか1時間以上やってセーブ場所に行き着けず、萌が寝る時間になりその日の努力が全部パーになってしまった。のっけからこれでは先が思いやられる。これだけ時間のかかるゲームで、教会でしかセーブができないなんてシステム自体が、いまどき不親切でしかないと思う。

 こういう馬鹿なところがあると気持ちが冷めるが、しかしこの旅は楽しそうだ。ドラクエ的無口な主人公が、強引なキーファとマルベルに引っ張りまわされる様子が目に浮かぶ。

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■07/09/22(土) □ ロジック原理主義文化
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 M萌は昨日ノバスコシアから来訪したM父たちに会いにSH家へ行き、俺とMKは家の修繕とM父来訪に備えた徹底掃除をした。

 シンクの水流れが悪いのでジェット水流が出る掃除カンをトライしたのだが、こういう米国カナダ製品の説明書の分かりにくさには毎度悩まされる。英語圏説明書はなんでこんなに意味が分からんのかなあと真剣に考えてみると、説明文化が違うのだと思われる。

 たとえば「アダプタを排水口に押し当てる」とあるのだが、「ん? アダプタってどのパーツだ?」とそこで詰まり、別途そのパーツが何かを図を探して調べなければならない。この場合は説明書にはパーツ名はなく、外箱裏面に書いてあった。その裏面には「カンにプリントされた注意書きを見ろ」と書いてある。説明書と外箱とカンを3つ相互参照してようやく使い方の全貌が分かるわけである。

 日本の企業でこんな説明書きを作ったらバカかお前はと上役が担当者にやり直させると思うが、英語書き物文化では「いったんステート(宣言)した用語は以後自明のものと見なす」という前提了解があり(昔 TOEFL の英文読解をやったときにこれでうんざりさせられた)、箱に用語が書いてあればそれで義務は果たされ、理解できないほうが悪いというロジックになる。いま日常で何の説明書を読んでいても、翻訳をやっていても学校の通知を見てもこの、全体として整合が取れていれば文句はないというロジック原理主義的文化を感じる。ロジックと親切は別だと思うのだが。

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 M父とさっそくけんかになったMが、ぐったりしながら夜帰ってきた。明日は彼らがうちに来るわけで、ふーと思いやられる。SH家とST家は引っ越し中だし、BVとは折り合いが悪いらしいしうちはまだ洪水修理が片付いてないから泊まるところはないし、とにかく最悪に間が悪いからM父にそういってこの秋の来訪を延期してもらえばいいだろうと俺はいったのだが、そんなことをしたらどれほどバツが悪く怒られるか....とかなんとか。なんか日本は葬式のしきたりが大変だったが、カナダにもいろいろ家族のわずらわしいしきたりがあるじゃねえかよと思います。

2007/09/14

日記「座業環境を改善しなければ」

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■07/09/07(金) □ 座業環境を改善しなければ
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 日本お葬式日記に、共犯新聞読者という思わぬところからすばらしいコメントがつき、その返事を書くついでに Bloggers の諸機能を見直し、記事一覧・コメント一覧などがオートできれいに表示されるようにした。時間がかかったが、見やすくすっきりである。

 しかし俺の机に向かい座布団でPC仕事をこうして集中してやると、やはり日本では出なかった腰痛が出ることも明らかになった。猫背になり腰が曲がりすぎるらしい。翻訳仕事を再開する前に、座業環境を直さねばならない。

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 新しいクラスには2日で慣れたようで、萌は元気に学校から帰る。あの先生いい人っぽいよねと聞くと、うんそうだよと明るく答える。昨日俺がクラスに顔を出すと2~3人の知らない子が俺と萌に興味を示して近寄って話しかけてきたから、あの感じでは友達もすぐにできそうだよな。よしよし。

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■07/09/08(土) □ ガレージセールの楽しみ
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 2軒隣のSRの家でガレージセールの用意をしているのを萌が窓から発見して興奮し、5ドルもらって1時間もかけて組み立ておもちゃ Ello ほか4点を買ってきた。Ello とブックスタンド以外は使えないものだが、この頃なんか萌は買い物の楽しみに燃えているので、ちょうどよかった。超ハッピーであります。

 しかしSRは萌と遊んでた頃はガリガリの小学4年生だったのだが、ぷりぷりのティーンエイジャーになっていた。子供の成長は早く、カナダの子は横にも育つなり。

 俺は別になにも探してなかったのだが、なんと日本の母さんのところで愛用していたビーンバッグチェアを発見。これで腰痛は解決ではないかと興奮して5ドルで買ってくると、そんなもの中古で買ったらホコリがひどいわよとMに叱られる。たしかにその通りでありやや後悔。ともあれ外で100回ほど叩いてから持ち込み座ってみると、やはりどう座ってもフィットしてこれ以上座業に向いた椅子はないと思う。座業環境改善がこれで進みそうだ。

MとMKが俺の誕生日に「シシおどし」というあの竹が水をつたうやつを買ってきて、メーカーの工作精度が低すぎ組み立て不能で長いこと放ってあったのだが、今日何時間もかけてついに完成させてしまった。フロントのレインポンプが納まるサンプをこれで覆ってしまうというアイデアで、企画倒れに終わるだろうと俺は懐疑的だったのだが、見事なできばえ。見栄えと安全性を両立している。えらい。

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 「玉繭」はメインの4地図を終わらせ、短いゲームだということなのでこれで終わるのかな、ストーリーは宮崎アニメ的で面白いが、やることが繰り返しになってきたのでまあこれで終わってもいいなと思ったら、同じ4面を別モンスターを相手に戦うことになるらしい。うーん、ちと手抜きか。萌はモンスター合成と名前付けを楽しんでいるのだが、俺はちょっと飽きかけている。

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■07/09/11(火) □ ピアノ頑張ってくれ
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 掃除をしていると突然仕事が入る。さっそく座業改善ビーンバッグの出番だ。頑張ろう。

 しかしこの仕事は巨大 PowerPoint ファイルの編集で、内容は楽勝なのだがファイルが 30MB とでかすぎるため、レイアウトが崩れないように翻訳編集する専用ツールが動かない。仕上げに時間がかかりそうな悪い予感。

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 萌2ヶ月ぶりのピアノ。あまりやる気がなく、というか夏の間にピアノ自体に熱意をなくし気味であったのを説得して連れてきたのだが、やはり全部忘れているし態度はレイジーだし駄目駄目であった。

 うーんこりゃ駄目だなと思ったのだが、終わると本人が「まあまあだった」とか言う。俺と先生が思ったほど無気力ではないらしい。そうなのか。じゃあまあ元のような情熱が戻るかどうか分からないが、行けるところまで頑張らせてみよう。

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■07/09/12(水) □ 普通の代表チーム
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 PowerPoint ファイルが翻訳ツールで開けないまま放置しておくと最後の DTP 作業がえらいことになるので(数百もの翻訳文を手でいちいち貼ってレイアウトを直さなければならない)、訳を中断して朝エラーの原因を調べる。検索で、Unicode の不正なフォントが入っているとエラーが出るらしいとわかり、これを参考に XML に変換しエディター上でフォントを強制的に置き換え、さらにエラーが出る場所を特定してその箇所のタグを削り、これでやっとツール上で安全に翻訳できるようになった。これで仕上げは最小限の DTP ワークだけで終わる。ふー。俺のコンピュータトラブル対処歴は本当に年季が入っている。こんなバグを回避できる翻訳者が他にいるだろうか。

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 日本代表スイス戦後半のダイジェストを見れた。松井の突破の切れ、稲本の躊躇ないボレーシュートなど、やっと格の高い選手がカリスマ監督に怒られることを気にせずインスピレーションを発揮する、普通の代表チームになってきたのかなという感じ。PKボックス内にいる選手の動きがパスを呼ぶので、中村遠藤のパス出しタイミングもパスのスピードも、パス角による快感度(意表をつく度合い)も全部2倍になっている。これでなきゃ見てらんないよ。アジアカップだってこうして力で相手と勝負できる選手を連れて行ってくれれば―――つまり「スターに依存しない組織」によるパス回しだけで勝負するなんて意固地なことをしないでくれれば、つまらぬ思いをせずに済んだのに。頑固な親爺さまである。

 しかし稲本がゲーム全体でどうだったのかわからないが、あのボレーシュートはよかったなー。稲本が完全に復活すれば昔のような長距離ドリブルをどかどかと見せてくれるかもしれない。そう思うと、中田を失いさびしい気持ちが慰められる。

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■07/09/13(木) □ 新しい日本語学校
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 翻訳&DTP 終了。土曜から使い始めたビーズクッションは最初に思ったほど快適とは感じていないのだが(サイズがでかすぎて、座るにはいいが背もたれには場所をとりすぎる)、気がつけば仕事中腰が痛くなっていない。体重のサポートとしては効いてるのかもしれない。

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 萌の新しい日本語学校へ。先生も開放的な教室の感じも非常によくて(オフィスから子供たちが見える)、絵入り自己紹介カードを書かせるなど、子供が楽しいことを先生たちがいくつも思いついては実行しているのが好ましい。萌を置いて道を渡れば日本風調理パンが買える(※)けどあまり行く機会がないチャイニーズモールだし、非常によろしい。うれしくてカレーパンを4個も買いました。毎週買いにこよう。
(※)店のチャイニーズのおばちゃんは日本に 20 年住んでたそうで、やはりあのカレーパンは日本で覚えたものだと思われる。

2007/09/06

日記「カナダの新学期」

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■07/08/28(火) □ 帰国リハビリデイ
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 01:08 昨日は萌といっぱい遊んでやりたかったが、すでに日本時間朝9時くらいだったのでもー駄目であった。夕方寝て12時に起き、時差調整は完璧に失敗。お茶漬けを食べ、もう一度寝よう。

 OKOから、俺が残したこの夏の写真を眺めているよとメールが入っていた。須坂の写真をいまこうして俺も見ると、懐かしくノスタルジックに感じる。24度湿気なしというリゾート気候のカナダに帰ってきても30度ベタベタの須坂の空気が恋しいし、旅に疲れた胃で食べたくなるものもやっぱり日本のお茶漬けだったりする。日本で自分の葬式をするのはごめんだし、いろんな物価の高さというか避けられない出費のデカさにも参るが、やっぱ日本はいいな。

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もう5時間寝て、8時に萌とともに起きる。さっそく「鉄拳3」と「玉繭物語」をトライ。鉄拳は文句なく楽しく大正解。「玉繭物語」はやるまで知らなかったのだがボイスが入っており、キャラクターと声優が完璧にジブリアニメで(※)、ゲームとして面白いのかどうかまだわからんが声優の声を聞き画面を眺めていると非常に心地よい。やっぱ普通のゲームって、FFやドラクエでさえも絵(原画)の魅力はアニメにかなわないんだなあと改めて思った。
(※)作画が「ラピュタ」「トトロ」「魔女の宅急便」のアニメータ、声優が「キキ」と「パズー」の声の人!


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 萌は俺と遊びASと遊びKDとも遊びいい一日だったはずだが、夕方からベソベソにワイニーになってしまった。なんでかとMに尋ねると、ここ数日すごくエモーショナルになっていたから疲れてるのだろうとのこと。

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■07/08/29(水) □ エバーグリーンパーク
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 今日も静かな1日を過ごしていたのだが、萌が俺のお土産を持って近所を回りたがっているので、午後からKT家とエバーグリーンパークへ行った。萌も最近おかしくてすぐ泣くのだが、KT・HNも兄弟喧嘩ばかりして妙である。皆夏の終わりで疲れているのかな。

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■07/08/30(木) □ 寂寥のPNE
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 夏の終わりのPNE。今年は家族旅行がなかったので、これが最後でほぼメインの夏行事となる。萌は初めて小型ローラーコースターに乗り、俺は萌とともにあの巨大滑り台に乗ってみた。怖かった(^_^;;)。しかし萌が躁的なほど興奮しており、ファームエリアではありとあらゆる動物にえさをやりたくて草を口元に押し付けるなどして大変だった。



 今年の目玉である驚異の中国曲技団の会場でKT・HNたちと落ち合うことができ、水場で一緒に遊ぶ。あとは割合とじっくりと、例年通りマーケットに行ったりして遊んだ。昼間は腹が減りすぎて、夕方はもう疲れていたのでライドに十分に乗れず、長時間いたわりには遊びつくしたという感じがなかったのが残念。

 ライドにあまり乗らなかったせいもあるが、遊び足りなさはPNE自体の規模が縮小してるせいもあるなーと思う。地元少年少女のショーがカットされているし、同じく少年少女を大量雇用していたパレードも 1/2 くらいの長さに短縮されていたのでそう実感した。入場人数も減ってるようで、混雑が厳しいということももうないしなあ。なんで人気が落ちてるんだろうか。お金はかかるが、BCに住んでたらこれ以上楽しい夏のイベントなんてないと思うのだが。年に1つくらいは新しいライドを作ってくれんかねとは思うけれども。

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■07/08/31(金) □「私はただものじゃない」
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 俺が不在の間にメルのPCがおかしくなっており、それを半日修復する。それに時間をとられたが、後の時間は萌とゆっくり遊びすごした。PNEで買ってきた超かわいいチェスボードで、チェスごっこをやったのが楽しかった。

 夜はついに買ってきた少女マンガも読んでやる。1983/11~1984/01(烏山時代大学3年)にリアルタイムで読んだ「私はただものじゃない(桐島いつみ)」というコメディで、萌も爆笑。これはやはり正解だった。


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■07/09/01(土) □ 心理的ブレーキ
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 3時半に目が覚めてしまい、眠り直せず6時頃まで blog 日記を書いていた。もう須坂にいた日々が懐かしくて仕方がない。病院にいた時間ですらも懐かしく思う。

 自分のPCで Powershot A530 写真を見直してみると、 カナダの冬に合わせたままだったホワイトバランスが日本の夏の光では赤すぎたなと思う。いい写真が撮れ満足感が高いが、OKOのPCが使えたときによく色を確かめるべきであった。PNEの写真も赤すぎるようなので、WBを設定しなおしてしばらくポジモードで使ってみよう。

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 午後久々にSが来る。萌はこのところ毎日なにかまずいことをして叱られているのだが、今日はリビングでSと水遊びをし絨毯を濡らしてくれた。こんな駄目に決まってることをやってしまうところが、この頃の萌のおかしさである。全然反抗的なわけではないのだが、心理的なブレーキがかからない状態らしい。謎だ。

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■07/09/02(日) □ 家修繕再開
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 久々にドライウォールをやる。結局俺がいない間ほとんど作業は進んでなかったのであった。がっくし。ドライウォールは何度やってもめんどくさく楽しめない。このあとマディングとサンディングと塗装があり、棚をこしらえて床を張ってやっと終わるのだから、費用も期間も気が遠くなる。

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■07/09/03(月) □ 「玉繭物語」ナイス
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 風邪は抜けたがなんとなくつまらなそうにしている萌と、「玉繭物語」を進める。虫を捕まえ合成して名前をつけ自分のものにするというのが、萌にピッタリきて面白い。大技を出すときの時間がかかるアニメーションも、俺には邪魔なのだが萌には何度でもうれしいらしく、一緒に笛を吹いて踊っている。

 やることは1本道をたどっているだけだが、その分大きな面倒もなく進みお手軽でいい。バトルは時間がかかるが、普通のRPGほど経験値を稼ぐ必要はなさそうなので許す。森の中でどう考えても村の少年である奴がマスクをかぶりあの音声付きで登場し、萌は「これRじゃないの? Rだよ!」と大喜びであった。実にアニメっぽい展開でベリーナイス。

 そして日本で買ってきたたこ焼き器で初めてたこ焼きを作る。味はともあれ(外こんがり中ふんわりには作れなかった)これは作ること自体が楽しいので盛り上がる。夏休み最後の一日らしい過ごし方だと思う。

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■07/09/04(火) □ 帰国後初の買い出し
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 新学期、今日から萌は2年生。今日は登録だけで萌は即AL家に行った。俺はMを送迎し買い出しに行く。やはり主夫が一月いないと、ありとあらゆるものが切れているのである。

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 アジアカップUAE戦のDVDをもらって帰ってきたのでもう一度じっくり見ているのだが、やっぱ遅いパスがつながり点は取れても面白くはないというのが何度見ても正直な感想である。俺はスピードと意外性を見たいのであり、着実な遅いパスで時間をかけ崩しても感動できんということだろう。アジアでしか通じない、いやアジアでもサウジ韓国には通じなかった安全なパス回し。局面局面では、膝下が長く弾くボールの質がいいUAEの選手のプレイのほうが心地よいのだ。

 UAEがMFの高速ドリブル→スルーをワンタッチシュートという美しいゴールを決めたのだが、これが日本だったらうれしかったなあと思う。しかし中田なきあと、というか中田がパルマ時代以降は高速ドリブルと高速グラウンダーパスをできる選手はいないし、オシムになってからは美しいゴールを打てるFWも見られなくなってしまった。

 しかしカメルーン戦で攻撃も守備もちゃんとやってた大久保でさえも次の遠征にまた代表落ちしているし、松井という1対1では群を抜いている選手でさえも、「同じタイプの選手は多くいる」とオシムに言われたらしい。ドリブルの切れと個人技で勝負できる日本選手なんて、5指にも欠けるほどしかいないではないか。この超玄人監督の選手の見方、サッカー観というのはわからないものがある。

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■07/09/05(水) □ カナダの新学期
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 萌を学校に連れて行くと、マダムAがクラスの世話をしている。げげげと外に残っていた父兄と話すと、「まだ担任は決まってないらしいわよ」「マダムAなんですかね?」「そこが知りたいわよね」と皆不安一杯の表情。マダムAは2年前に半年教わっただけだが、無愛想でみなぐったりしていたのだ。新学期が始まったというのに担任が決まってないんだから(最終的にクラスの人数を検案して決めるらしい)、カナダの学校はのんきである。

 さ。帰って少し休み、今日は午後までドライウォールだ。

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 萌をピックアップしにいくと、教室には朝とは違う子供たちがいる。ありゃ。マダムAは朝と同じくそこにいたのだが、子供のクラスがどこに移動したのかわからず親が困っているということに気がつかないあたりが、どうして人間相手の公職を選んだのか不思議に思うような相変わらずさである。

 ともあれどうしようもないので彼女の手が空いたら聞こうと待っていると、校舎の裏のほうから出てきたらしい萌が俺を見つけてくれコトが済んだ。萌は俺が朝と同じところで待っているとわかっており、マダムAにはそれがわかっていなかったというわけである。

 萌が浮かぬ顔をしているので聞いてみると、萌が入ったのは去年とまったく別のクラスで、前から知ってる子は3人しかいないのだという。えー? そして先生がフレンチばかり喋る(フランス語科)ので何をやってるかよくわからないと暗い表情である。これはいったいどういうことかと帰ってからMに聞くと、萌は2年3年合同クラスに送られたのだと判明。あちゃー、そういうことか。それじゃ成績がいい子供のほうが気の毒ではないか。

 しかし仕方がないので、まあ知らない子ばかりということは新しい友達ができるということだよと慰める。はあ、しかし萌はシャイなのでなかなか友達たくさんだなんてうまくはいかないよなー。は~あ。がっくし。

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■07/09/06(木) □ 萌の新クラス
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 萌を送っていったMが、萌のクラスはそんなに悪くないと言ってきた。担任がアートと音楽のスペシャリストで大人気の先生なのだそうで、それを聞いた萌は突如張り切ったとのこと。前のクラスの子は少ないが2年前のキンダークラスの子がかなりいることもわかり、昨日よりは明るい表情で萌はクラスに向かったらしい。そうか、よかった。

 ピックアップ時に新しいクラスを訪ねてみると、キンダーのときに一緒だったNMとKNとJTがいた。ナイスな子たちである。いいではないか。それに教室にギターがある。先生が弾くらしい。その先生とも少し話したが明らかにいい人で(俺が日本人と知るとコンニチハと言ってくれた)、文句ないのではないかと思う。よかったよかった。

2007/08/29

日記「涙の帰国(日本滞在記4)」

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■07/08/18(土) □ 萌のメール
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 曇が出て雨が少し降り、真夏はついに去ったなと感じる日。今日はオフで、OKOのところでMと電話で1時間ほど話す。萌のメールも2件入っていた。非常にナイスである。MのPCからなので英語なのだが、なにしろ長文で驚く。

「お父さんへ。おじいちゃんが死んじゃったのね。悲しいわ、本当に悲しい。すんごく悲しい。悲しく思ってる人、おじいちゃんを好きだった人のみんながかわいそうだわ。あなたはすばらしいヘルパーだったと思う。早く会いたいです。ラブ。萌」

「お父さんへ。電話であなたの声を聞いたとき、これは誰かを恋しく思う人の声だと思い、胸が打たれる感じがしました。お疲れ様。ガンにならないよう気をつけて、パスポートカナダに電話して早く帰るチケットがないか聞いてください。早く会いたいです。ラブ。萌。」

 ああ早く帰りたいな。葬式後2週間もフライトを待たずに済むよう、キャンセル待ちにかけてみよう。

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 新聞の死亡広告を見た父さんの旧友AOちゃんが今日、「なんだすうんだ(どういうことなんだ)!? 治ったんじゃねえんか!?」と大声をあげて飛び込んできたらしい。父さんが自分で治ったと広言していたので、こうして寝耳に水の人々も多いのであろう。AOちゃんのその言い方がしみじみと良い。田舎に住むよさを感じさせる。

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■07/08/19(日) □ おみやげ探し
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 今日は長野でパスポートその他用事を足す。欲しかったものもわりに首尾よく見つかる。松苗あけみのマンガをゲットしたのがヒットだったのだが、読んでみたら少女マンガではなく大人向けの内容であった。面白いが萌には無理。しかしもう4冊は少女コメディなので(これも80年代当時好きだった作家)、萌も楽しめるはず。昔アパートまで会いに行きサインをもらいマンガにも名前を登場させてもらった耕野裕子氏の本も、1冊ついに見つかった。

 おもちゃ関連はリモコンチョロQがなんと千円で買おうかと思ったが、電池コストがえらい高くつきそうなので断念。同じ廉価シリーズでヘリコプターや室内飛行機まであった。広い場所があるなら最高に楽しそうなのだが、うちのリビングでは無理だよなーという感じ。

 今日は先週までよりは気温は下がったが、それでもあちこち動いていると暑くてふうふうになる。

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 そしてあれこれと用足しを頼まれ走る。お経を読むお坊さんにはえらい金額が払われるだと判明。知りたくなかった。お経だけでなく寺の維持費も込みという考えなのだそうだが、真面目に一生懸命物事をやる気がしなくなる。

 帰る日取りが見えてきたので、あれこれせねば買わねばと気にかかる。結局2階にある俺の私物をカナダに送る段取りは今回もできなかったが(費用がかかりすぎる)、ざっと見たところ大半は捨てられるなという感じ。もう日本に住むという可能性も薄れているし、価値観も変じて、さすがに15年前のラップトップやモデムなんて捨てても惜しくもなんともない。再生できない 8mm やカセットをどうするか迷う程度。まだ急いで捨てなくていいと母さんは言うので、捨てられるものの仕分けだけとにかくきっちりやっておこう。

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■07/08/21(火) □ ようやくお葬式
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ようやく葬式。長かった。ふー。長い1日であった。葬式自体はしめやかさと華やかさがちょうどいい程度に配され、長さも適度でよかった。参列者は750人とのこと。さすがの人気者であった。俺が子供の頃うちにいた従業員のおばちゃんたちが小さく小さくなって来てくれ、みな泣いていた。俺の友達も何人か来てくれて驚く。

 大変だったのはその後で、「おとき」という100人規模のお礼の席があり、さらにその後親戚だけのお礼の席が設けてあるというネバーエンディングな一日なのであった。

 帰って飛行機会社に電話すると、27日のチケットが取れていた。助かった。

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■07/08/22(水) □ お寺参りと香典一覧
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初めて訪れた静かな朝。お寺にお礼参拝し、同時に延び延びになっていた送り盆も済ませ、これで行事はようやく終了。お墓に行くと、父さんがいた病院がそこからどーんとよく見える。ああ、そうだよなー。病院からもこのお寺がよく見えたもんなー。こんなちょっとしたことでまたしんみりとなる。

 行事は終わったが、しかし香典一覧を作るという大仕事があり、これがとんでもない面倒仕事である。コンピュータをうまく使えば労力は減らせると思うが、帳面となって残らないと母さんが困るというのでみな手作業で大変だ。

 俺は2階で荷物の整理。いつかまた日本に住めばと捨てずにおいた雑貨をバサバサと捨てていく。日本にいればまだ当たり前に使うものばかりなので、真面目に考えると悲しくなる。Mが使っていたタイのバッグなどが出てくると、地道に楽しく暮らしていた八幡時代の一部をここに置き去りにしたしたようで悲しくなる。悲しがり悲しがり8~9個の捨て荷物を作った。

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 【日本・カメルーン】前半はついに呼ばれた大久保と田中の突破からかなり楽しいゲームだったのだが、後半彼らが交替するとアジアカップと同じつまらないチームに戻り相手の個人技に耐えるだけで終わった。オシムはこのつまらなさを解消できるのかと疑う。

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■07/08/23(木) □ 香典返し表の入力
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 昨夜の大雨で23度まで下がり、秋風の一日となった。香典返し表のPC入力を命じられ、まる1日それに没頭する。

 1日で 400 件の大半を処理し、PC仕事をやるとさすが仕事柄集中がすごいなと母さんにびっくりされた。最初から合理化してあればPC利用の有無に関わらず労力は半分以下にできたのにと思う。葬儀屋もこの部分は自分ところの儲けにならないからノウハウを蓄積してないのか、世間ではいつまでにどれだけ返すかという相場をいうだけで、マニュアルやテンプレートは届いていないのだよなー。

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■07/08/25(土) □ 真夜中のギター
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 昨日も午後まで香典返し表の作成をやり、夜昔の仲間とのギター飲み会へ行った。

 朝3時までTNたちと小布施のハイウェイ公園でギターを弾く。IKもおり始まる前はずいぶん盛り上がったのだが、毎度のことTNは自分の内なる音世界に入り込んでしまい、全然ジャムセッションにはならなかった。IKもバンド時代から四半世紀も経つと覚えている曲はなく、昔一緒にやった曲を俺が思い出し弾いては散発的にジャムが始まるといった程度。しかし夜中の公園でギターを弾き歌っているのはやはり楽しく、3時までダラダラとやったのであった。TNもIKもAKも、何年経っても変わりなかったな。

 TNもIKもうちの父さんを知っていて、いつもニコニコと声をかけてくれたのだ、花火の時には役員で一緒だったのだと小さいながら思い出があり、それで葬式に来てくれたらしい。ありがたい。

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 今日はちゃんと荷造りして成田まで荷物を1つ送り、出国の準備を進める。夜は子供たち全員を連れてレストランへ。昨日あたりはよくよく疲れがきて母さんは気分がダウンしていたのだが、外に出る元気が戻ってきてよかった。

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■07/08/26(日) □ 百々川お別れバーベキュー
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 夕方百々川でお別れバーベキューをやる。涼しい風とうまい肉と花火。サイコーでした。しかし物寂しいバーベキューだった。父さんがいないからというのではなく、ただただ病院に通い葬儀に振り回され夏が終わってしまったという寂しさがある。

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■07/08/27(月) □ 涙の帰国
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 出発の朝。なにか形見をもらわねばならないと父さんの部屋を見渡し、最後の運転免許証とD・フランシスのカナダ競馬の本をカバンに放り込む。

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 ◆13:33 新幹線無事乗車。最後に母さんが泣くかと思ったが、こらえていた。ここまで長かったもんなあ。別れの切なさよりも、長い時間をかけ一緒にものごとをやり遂げた、ほっとする気持ちの方が強いのだ。

 上田あたりの好きな景色を窓から眺めながら、今回こそマジでどこにも行けなかったよなと考える。まあ事情が事情で当たり前だが。

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 ◆17:51 チェックイン修了、荷物2個計27kg もまったく問題なし。日本での最後に何を食べようか考え、今回食べてなかったウドンに決める。が、この空港価格の高価な讃岐ウドンがカップウドンに等しいほどうまくなかった。がっくし。まだ搭乗まで2時間。

 ◆22:27 定刻通り出発。

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 そしてカナダ時間 16:00 に帰宅。空港に迎えに来てくれた萌が、区切りのテープをくぐり抜けてすごい笑顔で走ってきて、そして途中で顔がくしゃくしゃになって泣いてしまった。それを見た俺も、父さんが亡くなったときと同じくらい泣いてしまった。

ふー。お疲れ様でした。1月ぶりのカナダや自分の町や家や愛用PCはどうということはないが(これほど使い込んだフル装備の自PCにもそんなに飢えてなかったんだなと実感する)、やはり萌とMに会えたのが本当にうれしい。あとMKと猫のティガーと。不調らしいBRは滞在先のBV家から電話してきて、俺が体を気遣うとトモこそ大変だったわねえといってくれるくらいしっかりしていた。気温は長野の30度から一気に24度湿気なし。家の中は21度になっており、寒いくらいだ。

 はー。お疲れ様でした。

2007/08/17

日記「葬式と不思議な気持ち(日本滞在記3)」

■07/08/15(水) □ 青白厚塗り

 なんと5時半に豪傑Hおじさんがまた来た。来るのはいいがこっちは看病明けの上にまだ4時間も寝てないのだから、カンベンしてくれよと寝たふりをするも出直してはくれず、結局起こされてしまった。やれやれ。

 目が覚めると母さんは猛然と段取り・連絡を再開する。超社交家だった父さんの交遊範囲をくまなく余人が把握できるはずもないので、各方面の代表人物を探しては連絡を回してもらう方式らしい。葬式に呼ぶ人一覧もないわけだしなあ。

 人によっては没前に自分で手回しを開始するそうだが、父さんは最後まで自分の死をどう考えていたのか謎だ。症状と苦痛を訴える以外、最後まで病気のことは何も話さなかったのである。症状の悪化とともにモルヒネが入り、考えがそこまで及ばなかったのだろうと皆はいうが、体調がまだよく選挙の投票その他の雑事をやりたがっていた時点でもその前日の苦痛は深刻だったわけで、自分の衰えから死を予感しないわけはないと思うのだが。

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 葬儀屋が来て段取りを続行している間に、業者が父さんに化粧をして仏さんにしてしまった。血色は悪くなく、自然な寝顔で落ち着くよう看護婦さんがしてくれいい感じになっていたのに、お化けみたいな青白でベタベタ厚塗りして行きやがった。

 なんだこれはと怒り多少は拭き取ったのだが、直せない。業者が乱暴に父さんの髪の毛を洗う様子が痛々しくて目をそらしていたのだが、こんなことになるなら監視しているべきであった。葬儀屋の親玉のいるところで俺が騒ぎたてたので後から業者は何か言われるだろうが、この厚塗りを全部落としてやり直してもらうのもまた怖いし、手遅れである。トホホ。

 しかし葬式は本当に大変だ。遠い親戚など冠婚葬祭しか会うこともない人々も、毎日のように来てもらわねばならない。こうした段取りにあまり関わらずに済む身の上のありがたさをつくづく感じる。

 来る客来る客異口同音に、Kさんほど幸せだった人もいない、好きなことをやらせてもらってと笑って帰ってくれる。まったくである。

■07/08/16(木) □ お通夜

 9時間寝た。夕方までは子供らと遊び、お通夜のために来長したKNさん一家と話す。Tおばさんも三たび来てくれ、俺の手を取り父さんの世話の礼を言うので、俺もまた泣けて頭が痛くなってしまった。


イトコKNちゃんの娘さんたちは、昔のKNちゃんが四半世紀を飛び越えそこにいるかのような不思議な気持ちにしてくれる。SくんもIDのおじさんに横顔がうり2つになってるしなあ。10年おきの親族の葬式は、不思議な気持ちに満ちている。


 親族が残ったお通夜の夜、父さんのイトコRじいさんの味のよさに感服し、こっそり写真とビデオを撮っていた。豊丘の山の中で牛の乳搾りに生涯を捧げたというこのおじいさんは、日本昔話のような空気を携えている。それにいま改めて見ると父さんに輪郭が似ていて、懐かしい気持ちにしてくれる。こうして葬式の時にしか会うことはないのだが、できることなら家に伺ってゆっくりと昔話など聞いてみたいなあと思う。

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 父さんのお棺に大事にしていた黒い鞄を入れてやろうと中を確かめると手帳があり、そこには大好きだった各種会合の予定とともに病状経過が書いてあった。ちょうど俺が来た日付のあたりから悪化で書けなくなり白く残っている。病気への不安を書いた行もあり、言わなかったけどやっぱりそうだったのかと胸がつまる。

■07/08/17(金) □ 出棺

 出棺が終わる。もう悲しみのピークは過ぎたと思い、納棺時には涙は出てこなかったのだが、焼き場で棺の窓が閉じられ炉に押し込まれていくと、もう会えないんだとつくづく感じ涙が止まらなくなってしまった。

休憩所から逃げ出し涙を流していると、悪ガキHKがやってきて泣いているのかと問う。いや鼻水が目に入って目が痛いのだとかなんとか答え、えーホントー? と顔をしげしげと覗き込まれているうちに、やっと息が整ってきた。子供の存在に大人は救われている。

2007/08/14

日記「長い3週間の静かな終焉(日本滞在記2)」

■07/07/30(月) □ 体調サイクルが上がらない

 おとといの外出からのダウンが戻らず、父さんの調子は低調なまま続いている。ここまでくると話を聞かせる以外何も父さんにしてやれることはないのだが、鎮痛剤が効いて眠るばかりでは話はできない。黙って半日病院で過ごすと、家に帰ってからも鬱な気持ちが続く。

 俺が来た日の外出は病院に戻っての点滴で体調が戻ったのだが、今回は体調サイクルのピークが上がってこないわけで、螺旋を描いて下に向かっていくのを実感する。苦痛はコントロールできる、できるだけ好きなことをやらせてやれとお医者は言っているが、こうなると外出など無理に決まっており、このまま何もいいことはさせてやれず残りの日々が終わってしまうのかと思うとせつない。

■07/08/01(水) □ 動物園

 時差ボケがなくなりだんだん朝起きられなくなってきた。朝あせって病院へ自転車を飛ばしたが、今日も父さんは眠るばかり。気分は昨日よりいいようだが。

 AおばさんとHおじさんがきてくれ、その間はだいぶ長い時間起きていられた。しかし話をするだけのエナジーはなし。親族きっての豪傑Hおじさんは、「兄貴、心配すんな。俺もすぐに行くからな!」とろくでもないことを言っていた(汗)。

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 そして猛暑の中ボーイズを連れて俺は須坂動物園へ。昔と違いずいぶん人気が出ていると聞いたが、前と特に変わりはなかった。ハッチというカンガルーが全国的に有名なのだそうだが、普通のカンガルー3匹がいるだけで、なぜ人気なのかは不明。巨大レンズの一眼で撮ってるカメラオヤジが2名いた。



 暑さにたまらず途中をスキップして日陰のある池側に脱出し、ボーイズにかき氷をおごってやった。今日は叔父さんのおごりだ。どんどん食べなさいウッハハというやつを初めて体験した。

■07/08/03(金) □ 親族大ドラマ

 昨夜風もなく無茶苦茶な暑さで眠れなかった。さすがに日本の夏は暑い。病院に来ると朝、父さんは起き上がって自分でお粥を食べていた。驚き。食べ終わり着替えをするとエナジーが尽きたが、食べないよりはよほどいい。昨日から小幅アップ。

 父さんは鎮痛剤のせいで、ずっと目を開いたまま半分眠っている。ときおり表情が変わり手を動かすことがあり、視界に入っていくと、はっと気付いたように目をつぶる。そうして見ている夢はなかなか楽しいものらしく、ニッと笑って目を覚ます。やはりというか当然か、馬の夢が多いようだ。今日は覆い馬場を造成し、お披露目のパレードの先頭を切って歩くというものだったそうだ。馬のカイバの中に落ちて手足を振り回すなんて夢も見て、「らっちょもない(埒もない)夢を見るもんだなあ」と笑っていた。

 しかし1週間を過ぎ、寝ている父さんに付き添い続けるのにだいぶ疲れてきた。病院内を散歩してみたりしても、もちろん何もない。ふう。ギターがあれば一番時間が紛れるのだが、ここに持ち込むわけにはいかんしなあ。

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 昼飯前、なんと数十年付き合いが絶えていたTおばさんが見舞いに来てくれた。顔を見るなり双方号泣。気をしっかり持たないと駄目だぞK、あたしよりずっと若いんだからな。うんうん、ありがとうありがとう。83にもなる老体でやってきてくれたのだから、心から頭が下がる。

■07/08/05(日) □ 俺のハートが痛い

 今日は声をかけても反応が鈍く眠りから覚めない。俺よりも母さんの顔を見た方が蘇生すると思われ、電話をして呼び出す。

 母さんが来ると一瞬覚醒し、痛いかと聞かれると父さんは、「ハートが痛い」と答えおった。全く病んでも変わらぬダンディKちゃんだわと感心させられる。今日はさすがに見れないが、ニッと笑う顔は実に魅力的だと思う。この顔があるから看病も苦にならないのである。

 ロレツが回らないのでどうしてほしいのか聞き取れず、聞き直すとカンシャクが炸裂する。これだけ具合悪ければ苛立って当たり前である。もはや個室に移り、面会謝絶とし残りを看取る段階だと思う。回りのまだ元気な患者さんへの影響も懸念されるし。あと何日かなんて分からないが。

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 交替し4時に様子を見にいくとだいぶラクになったようで、ずっと夢を見てはニッと笑っている。あとで話を聞くとやはり馬の夢、生まれ育ったこの町の他愛もない夢を見ていることが多い。小学校以来の友達だなんて人が父さんにはゴロゴロいるわけだし、小さな町で友達に愛された人生は楽しかったことだろう。

■07/08/07(火) □ 個室へ

 朝イチで個室に移る。移った途端に付き添いの俺たちはああ快適だと感じるほど、やはり環境が違う。さっそく来てくれたキッズが遊ぶさまを、父さんが首を持ち上げゆっくり眺めることもでき、ここでゆっくりできればいいかと思った。家に戻してやりたいとはつくづく思うが、ここで家族と子供たちに囲まれていれば、家にいるのと変わらないか。現実パジャマを替えるだけで体力が尽きる姿を見ると、やはり環境を変えるのは無理に決まってるといわざるを得ない。

 俺の不在で萌とMがかわいそうなので、Boowy の DVD を買ってきてカラテゲームと共に即日送る。萌の好きそうな絵柄で選び少女マンガ全7巻も買ったのだが、これは50点くらいであった。ブックオフでさんざ探しても俺が読んでいた70~80年代の作家のコミックス(※)はもはやなく、現代の少女マンガはTVドラマ程度のものばかりなのかもしれない。
(※)後日、あの頃俺が読んでた「ぶ~け」は黄金期だったというファンの掲示板を発見。『松苗あけみ、吉野朔実、耕野裕子、竹坂かほり、水樹和佳、内田善美―――丸ごと一冊、、豪華な花束。すごかったですよね』まったくだ。

■07/08/08(水) □ サマーランド

 今日は子供たちを引率してプールに行くのだが、それまで家にいても落ち着かないので病院へ。昨夜は問題なかったようだが、今日は寝てばかりで全く目を覚まさない。鎮痛剤の量が多目なのかもしれない。

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 サマーランドへ。やっぱ日本の夏最高! という感じ。山の緑は目を喜ばせ、水は暑さで適度にぬくまっているし、空気がドライなカナダと違い上がっても身体は全く冷えない(気化熱で体温が奪われない)。カナダよりUVが低いので、真夏の陽射しでも目が痛くならない。ボーイズも俺も楽しんで最高の夏の日だった。

 萌とMを連れて来たいなあ。Mだって日本の野外プールの快適さは知らないんじゃないかと思う。

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 午後から消灯まで病院へ。今日は父さんに痛みが出て厳しかった。長い一日だった。ふ~。

 もう面会謝絶の礼を貼ってあるのだが、それを押して夕方遅くに父さんの同級生が来てしまった。痛みのあとでグッタリした父さんは応答もできなかったのだが、76のおじいさんが汗をいっぱいかきながら「Kちゃん! 死んじゃ駄目だぞ!」と呼び掛けるさまには胸を打たれる。フレンドシップ・フォーエバー、それが全くKちゃんの人生であった。

■07/08/09(木) □ 看病疲れ

 朝イチで昨日話せなかった萌Mに電話。Mの話にあまり反応もできず、俺は疲れているなあと実感する。萌はこの頃習い事を拒否したりつまらない嘘をつくなど態度がおかしいそうで、separation anxiety(近しい人の不在で子供が不安定になる)の一種だろうとMはいう。電話だと俺も萌との話が弾まず――俺は病院通いで話題がまるでないし――、会って話していれば楽しいのになあと悲しくなる。

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 夕方シフトは今日も大変であった。22:32 鎮痛剤が効いて落ち着いたのを1時間ほど確認して帰宅。疲れた。

■07/08/10(金) □ 最後の1葉

 9時近くに起床。夜番になってから疲れている。

 11時に一度顔を出す。今日は眠りっぷりが激しく、姉のMおばさんが来てくれてもほとんど目が覚めなかった。体力の低下が甚だしい。

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◆17:00 酸素吸入器が取り付けられる。日に日に終わりが近付いている。ここから先がまだ長いのかもしれないが、このまま鎮痛剤が効いて眠ったまま行けるなら、それがありがたい。

 しかし母さんの介護と献身には感動させられる。これがおそらく意識のある父さんとの最後の1枚になるだろうと、母さんが語りかけている写真をそっと撮っておいた。

■07/08/11(土) □ 「解散」の一声

 夕方、これはいよいよと母さんを呼び、母さんが家族全員に連絡する。しかし孫たちが来ると父さんは意外や目を覚まし、一族が揃っていることに気持ちが昂揚し意識がバキっと戻ってしまった。「起こせ」を連呼してべッドを上げてもらうと、皆に声をかけられニコニコになる。いや驚いた。

 そして自らの「解散」の一声で散会、俺一人残る。もう会うべき人々には皆今宵別れを告げることができたわけで、最後の瞬間は最悪俺一人でも仕方ないなと思う。無論母さんだけはなんとしても間に合わせたいが。

■07/08/12(日) □ 夏祭コンサートの歌声

 ◆04:30 起床。というか、病院のソファではきつくてこれ以上寝ていられない。父さんは1時半に姿勢を直してから一度も起きずに寝てくれた。05:52 交代。寝る。

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 ◆11:33 起床、フラフラだ。電話すると痛みがあるので鎮痛剤をレベル4に上げ、父さんは熟睡中とのこと。呼吸は安定しているそうである。

 今日はOKOも診てくれたので、午後遅くから病院入り。今日は病院そばの広場で夏祭コンサートをやっている。ここからよく聞こえ心地よい。父さんに聞こえていたら喜んだろうなとOKOと話す。見に行きたいが、さすがに無理。

 ところが兄貴が来てくれたのでちょっとだけ見にいくと、「カンガルーのハッチ」の歌を歌う地元アマチュアなのであった。がっくし。まあこの地元アマチュアのオリジナルカンガルーソングとNHKポップジャムで聞くヒット曲に大差はないわけで、日本の大衆音楽レベルはこのあたりなのだということである。

 ◆23:01 眠る支度。父さんの寝息が落ち着いたので、今日はしっかり寝よう。病院泊も2日目になると、旅行して酔っぱらった父さんとビジネスホテルに泊まってるみたいな気分もしてきた。昔父さんと一緒に行った、北海道の旅を思い出しながら寝た。

■07/08/13(月) □ 2度目の危篤報

 1時半に寝て朝6時に目が覚め、あれ父さんの寝息が浅いな、えーとと考えているとMKさんが来てくれ、父さんをチェックするとやはり息が浅い。それに熱い。あ、熱が出ているんだ。驚いて看護婦さんに聞くと、5時くらいから発熱し、血圧も下がっていることが判明した。MKさんが母さんを呼びに走り俺は兄貴とOKOに連絡する。

 母さんが声をかけると父さんはまだ目が開き、熱もやがて下がったのだが、痛みなのか息が苦しいのかもう一度落ち着いて眠ることができない。もうこの朝終わるかと俺はしばらく残ったのだが、変化がないので家に戻りしばし休む。お盆でうちに来ているご先祖様。どうか父さんを連れていってやってください。もういいですからと祈る。

■07/08/14(火) □ 長い3週間の静かな終焉

 ◆12:10 血圧が低下との知らせに病院に急行。手足が冷たくなっている。

 ◆15:41 最後は徐々に呼吸が少なく浅くなり、そして止まった。最後は苦しまず静かに父さんは亡くなりました。長い3週間であった。

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 店に電話で知らせるも、もう俺は声が出なかった。駆けつけたみなの顔を見、泣きじゃくる孫KSの肩を叩いているうちにやっと落ち着く。看護婦さんが父さんの居住まいを直してくれ、霊柩車で母さんとともに父さんは家に帰る。俺はえらい早さで駆けつけてくれたKHと共に病室を空にする。

 しかし俺の仕事はここまでなのだが、葬式が終わるまで母さんは全力疾走の実務が続くわけで、この部分は俺は全く力になれんし実に気の毒に思う。

 今日すでに、死去のその瞬間から退院、親戚への連絡、身内の仮通夜、御坊さんを交えて葬式の段取りと母さんは全く休みなしであり、親族みなが力になってはくれるもののこれほどハードな行事もないものである。

 豪傑Hおじさんが、俺が看病を明るくよくやってくれたと泣き、それで俺もまた泣く。日本にいる間に俺の白髪が増えたとおじさんはいう。俺も病院で鏡を見て白髪を気にしていたのだが、滞在中に増えたのか。実際個室に移ってからは毎日がハードだったからなー。ふう。

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 全て段取りがついた真夜中過ぎ、カナダに電話する。その少し前に死去の知らせを入れておいたので、萌はすでにべそべそに泣いていた。そんなに泣かないでおくれ。お父さんも泣いたけどもう大丈夫だから。でも、おじいちゃん死んじゃって、お父さんとおばあちゃん、かわいそう。そうだね。ありがとう。サッドニュースでごめん。――萌と話していると、いつでも胸が洗われる。