2007/09/06

日記「カナダの新学期」

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■07/08/28(火) □ 帰国リハビリデイ
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 01:08 昨日は萌といっぱい遊んでやりたかったが、すでに日本時間朝9時くらいだったのでもー駄目であった。夕方寝て12時に起き、時差調整は完璧に失敗。お茶漬けを食べ、もう一度寝よう。

 OKOから、俺が残したこの夏の写真を眺めているよとメールが入っていた。須坂の写真をいまこうして俺も見ると、懐かしくノスタルジックに感じる。24度湿気なしというリゾート気候のカナダに帰ってきても30度ベタベタの須坂の空気が恋しいし、旅に疲れた胃で食べたくなるものもやっぱり日本のお茶漬けだったりする。日本で自分の葬式をするのはごめんだし、いろんな物価の高さというか避けられない出費のデカさにも参るが、やっぱ日本はいいな。

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もう5時間寝て、8時に萌とともに起きる。さっそく「鉄拳3」と「玉繭物語」をトライ。鉄拳は文句なく楽しく大正解。「玉繭物語」はやるまで知らなかったのだがボイスが入っており、キャラクターと声優が完璧にジブリアニメで(※)、ゲームとして面白いのかどうかまだわからんが声優の声を聞き画面を眺めていると非常に心地よい。やっぱ普通のゲームって、FFやドラクエでさえも絵(原画)の魅力はアニメにかなわないんだなあと改めて思った。
(※)作画が「ラピュタ」「トトロ」「魔女の宅急便」のアニメータ、声優が「キキ」と「パズー」の声の人!


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 萌は俺と遊びASと遊びKDとも遊びいい一日だったはずだが、夕方からベソベソにワイニーになってしまった。なんでかとMに尋ねると、ここ数日すごくエモーショナルになっていたから疲れてるのだろうとのこと。

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■07/08/29(水) □ エバーグリーンパーク
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 今日も静かな1日を過ごしていたのだが、萌が俺のお土産を持って近所を回りたがっているので、午後からKT家とエバーグリーンパークへ行った。萌も最近おかしくてすぐ泣くのだが、KT・HNも兄弟喧嘩ばかりして妙である。皆夏の終わりで疲れているのかな。

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■07/08/30(木) □ 寂寥のPNE
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 夏の終わりのPNE。今年は家族旅行がなかったので、これが最後でほぼメインの夏行事となる。萌は初めて小型ローラーコースターに乗り、俺は萌とともにあの巨大滑り台に乗ってみた。怖かった(^_^;;)。しかし萌が躁的なほど興奮しており、ファームエリアではありとあらゆる動物にえさをやりたくて草を口元に押し付けるなどして大変だった。



 今年の目玉である驚異の中国曲技団の会場でKT・HNたちと落ち合うことができ、水場で一緒に遊ぶ。あとは割合とじっくりと、例年通りマーケットに行ったりして遊んだ。昼間は腹が減りすぎて、夕方はもう疲れていたのでライドに十分に乗れず、長時間いたわりには遊びつくしたという感じがなかったのが残念。

 ライドにあまり乗らなかったせいもあるが、遊び足りなさはPNE自体の規模が縮小してるせいもあるなーと思う。地元少年少女のショーがカットされているし、同じく少年少女を大量雇用していたパレードも 1/2 くらいの長さに短縮されていたのでそう実感した。入場人数も減ってるようで、混雑が厳しいということももうないしなあ。なんで人気が落ちてるんだろうか。お金はかかるが、BCに住んでたらこれ以上楽しい夏のイベントなんてないと思うのだが。年に1つくらいは新しいライドを作ってくれんかねとは思うけれども。

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■07/08/31(金) □「私はただものじゃない」
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 俺が不在の間にメルのPCがおかしくなっており、それを半日修復する。それに時間をとられたが、後の時間は萌とゆっくり遊びすごした。PNEで買ってきた超かわいいチェスボードで、チェスごっこをやったのが楽しかった。

 夜はついに買ってきた少女マンガも読んでやる。1983/11~1984/01(烏山時代大学3年)にリアルタイムで読んだ「私はただものじゃない(桐島いつみ)」というコメディで、萌も爆笑。これはやはり正解だった。


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■07/09/01(土) □ 心理的ブレーキ
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 3時半に目が覚めてしまい、眠り直せず6時頃まで blog 日記を書いていた。もう須坂にいた日々が懐かしくて仕方がない。病院にいた時間ですらも懐かしく思う。

 自分のPCで Powershot A530 写真を見直してみると、 カナダの冬に合わせたままだったホワイトバランスが日本の夏の光では赤すぎたなと思う。いい写真が撮れ満足感が高いが、OKOのPCが使えたときによく色を確かめるべきであった。PNEの写真も赤すぎるようなので、WBを設定しなおしてしばらくポジモードで使ってみよう。

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 午後久々にSが来る。萌はこのところ毎日なにかまずいことをして叱られているのだが、今日はリビングでSと水遊びをし絨毯を濡らしてくれた。こんな駄目に決まってることをやってしまうところが、この頃の萌のおかしさである。全然反抗的なわけではないのだが、心理的なブレーキがかからない状態らしい。謎だ。

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■07/09/02(日) □ 家修繕再開
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 久々にドライウォールをやる。結局俺がいない間ほとんど作業は進んでなかったのであった。がっくし。ドライウォールは何度やってもめんどくさく楽しめない。このあとマディングとサンディングと塗装があり、棚をこしらえて床を張ってやっと終わるのだから、費用も期間も気が遠くなる。

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■07/09/03(月) □ 「玉繭物語」ナイス
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 風邪は抜けたがなんとなくつまらなそうにしている萌と、「玉繭物語」を進める。虫を捕まえ合成して名前をつけ自分のものにするというのが、萌にピッタリきて面白い。大技を出すときの時間がかかるアニメーションも、俺には邪魔なのだが萌には何度でもうれしいらしく、一緒に笛を吹いて踊っている。

 やることは1本道をたどっているだけだが、その分大きな面倒もなく進みお手軽でいい。バトルは時間がかかるが、普通のRPGほど経験値を稼ぐ必要はなさそうなので許す。森の中でどう考えても村の少年である奴がマスクをかぶりあの音声付きで登場し、萌は「これRじゃないの? Rだよ!」と大喜びであった。実にアニメっぽい展開でベリーナイス。

 そして日本で買ってきたたこ焼き器で初めてたこ焼きを作る。味はともあれ(外こんがり中ふんわりには作れなかった)これは作ること自体が楽しいので盛り上がる。夏休み最後の一日らしい過ごし方だと思う。

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■07/09/04(火) □ 帰国後初の買い出し
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 新学期、今日から萌は2年生。今日は登録だけで萌は即AL家に行った。俺はMを送迎し買い出しに行く。やはり主夫が一月いないと、ありとあらゆるものが切れているのである。

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 アジアカップUAE戦のDVDをもらって帰ってきたのでもう一度じっくり見ているのだが、やっぱ遅いパスがつながり点は取れても面白くはないというのが何度見ても正直な感想である。俺はスピードと意外性を見たいのであり、着実な遅いパスで時間をかけ崩しても感動できんということだろう。アジアでしか通じない、いやアジアでもサウジ韓国には通じなかった安全なパス回し。局面局面では、膝下が長く弾くボールの質がいいUAEの選手のプレイのほうが心地よいのだ。

 UAEがMFの高速ドリブル→スルーをワンタッチシュートという美しいゴールを決めたのだが、これが日本だったらうれしかったなあと思う。しかし中田なきあと、というか中田がパルマ時代以降は高速ドリブルと高速グラウンダーパスをできる選手はいないし、オシムになってからは美しいゴールを打てるFWも見られなくなってしまった。

 しかしカメルーン戦で攻撃も守備もちゃんとやってた大久保でさえも次の遠征にまた代表落ちしているし、松井という1対1では群を抜いている選手でさえも、「同じタイプの選手は多くいる」とオシムに言われたらしい。ドリブルの切れと個人技で勝負できる日本選手なんて、5指にも欠けるほどしかいないではないか。この超玄人監督の選手の見方、サッカー観というのはわからないものがある。

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■07/09/05(水) □ カナダの新学期
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 萌を学校に連れて行くと、マダムAがクラスの世話をしている。げげげと外に残っていた父兄と話すと、「まだ担任は決まってないらしいわよ」「マダムAなんですかね?」「そこが知りたいわよね」と皆不安一杯の表情。マダムAは2年前に半年教わっただけだが、無愛想でみなぐったりしていたのだ。新学期が始まったというのに担任が決まってないんだから(最終的にクラスの人数を検案して決めるらしい)、カナダの学校はのんきである。

 さ。帰って少し休み、今日は午後までドライウォールだ。

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 萌をピックアップしにいくと、教室には朝とは違う子供たちがいる。ありゃ。マダムAは朝と同じくそこにいたのだが、子供のクラスがどこに移動したのかわからず親が困っているということに気がつかないあたりが、どうして人間相手の公職を選んだのか不思議に思うような相変わらずさである。

 ともあれどうしようもないので彼女の手が空いたら聞こうと待っていると、校舎の裏のほうから出てきたらしい萌が俺を見つけてくれコトが済んだ。萌は俺が朝と同じところで待っているとわかっており、マダムAにはそれがわかっていなかったというわけである。

 萌が浮かぬ顔をしているので聞いてみると、萌が入ったのは去年とまったく別のクラスで、前から知ってる子は3人しかいないのだという。えー? そして先生がフレンチばかり喋る(フランス語科)ので何をやってるかよくわからないと暗い表情である。これはいったいどういうことかと帰ってからMに聞くと、萌は2年3年合同クラスに送られたのだと判明。あちゃー、そういうことか。それじゃ成績がいい子供のほうが気の毒ではないか。

 しかし仕方がないので、まあ知らない子ばかりということは新しい友達ができるということだよと慰める。はあ、しかし萌はシャイなのでなかなか友達たくさんだなんてうまくはいかないよなー。は~あ。がっくし。

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■07/09/06(木) □ 萌の新クラス
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 萌を送っていったMが、萌のクラスはそんなに悪くないと言ってきた。担任がアートと音楽のスペシャリストで大人気の先生なのだそうで、それを聞いた萌は突如張り切ったとのこと。前のクラスの子は少ないが2年前のキンダークラスの子がかなりいることもわかり、昨日よりは明るい表情で萌はクラスに向かったらしい。そうか、よかった。

 ピックアップ時に新しいクラスを訪ねてみると、キンダーのときに一緒だったNMとKNとJTがいた。ナイスな子たちである。いいではないか。それに教室にギターがある。先生が弾くらしい。その先生とも少し話したが明らかにいい人で(俺が日本人と知るとコンニチハと言ってくれた)、文句ないのではないかと思う。よかったよかった。

2007/08/29

日記「涙の帰国(日本滞在記4)」

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■07/08/18(土) □ 萌のメール
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 曇が出て雨が少し降り、真夏はついに去ったなと感じる日。今日はオフで、OKOのところでMと電話で1時間ほど話す。萌のメールも2件入っていた。非常にナイスである。MのPCからなので英語なのだが、なにしろ長文で驚く。

「お父さんへ。おじいちゃんが死んじゃったのね。悲しいわ、本当に悲しい。すんごく悲しい。悲しく思ってる人、おじいちゃんを好きだった人のみんながかわいそうだわ。あなたはすばらしいヘルパーだったと思う。早く会いたいです。ラブ。萌」

「お父さんへ。電話であなたの声を聞いたとき、これは誰かを恋しく思う人の声だと思い、胸が打たれる感じがしました。お疲れ様。ガンにならないよう気をつけて、パスポートカナダに電話して早く帰るチケットがないか聞いてください。早く会いたいです。ラブ。萌。」

 ああ早く帰りたいな。葬式後2週間もフライトを待たずに済むよう、キャンセル待ちにかけてみよう。

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 新聞の死亡広告を見た父さんの旧友AOちゃんが今日、「なんだすうんだ(どういうことなんだ)!? 治ったんじゃねえんか!?」と大声をあげて飛び込んできたらしい。父さんが自分で治ったと広言していたので、こうして寝耳に水の人々も多いのであろう。AOちゃんのその言い方がしみじみと良い。田舎に住むよさを感じさせる。

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■07/08/19(日) □ おみやげ探し
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 今日は長野でパスポートその他用事を足す。欲しかったものもわりに首尾よく見つかる。松苗あけみのマンガをゲットしたのがヒットだったのだが、読んでみたら少女マンガではなく大人向けの内容であった。面白いが萌には無理。しかしもう4冊は少女コメディなので(これも80年代当時好きだった作家)、萌も楽しめるはず。昔アパートまで会いに行きサインをもらいマンガにも名前を登場させてもらった耕野裕子氏の本も、1冊ついに見つかった。

 おもちゃ関連はリモコンチョロQがなんと千円で買おうかと思ったが、電池コストがえらい高くつきそうなので断念。同じ廉価シリーズでヘリコプターや室内飛行機まであった。広い場所があるなら最高に楽しそうなのだが、うちのリビングでは無理だよなーという感じ。

 今日は先週までよりは気温は下がったが、それでもあちこち動いていると暑くてふうふうになる。

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 そしてあれこれと用足しを頼まれ走る。お経を読むお坊さんにはえらい金額が払われるだと判明。知りたくなかった。お経だけでなく寺の維持費も込みという考えなのだそうだが、真面目に一生懸命物事をやる気がしなくなる。

 帰る日取りが見えてきたので、あれこれせねば買わねばと気にかかる。結局2階にある俺の私物をカナダに送る段取りは今回もできなかったが(費用がかかりすぎる)、ざっと見たところ大半は捨てられるなという感じ。もう日本に住むという可能性も薄れているし、価値観も変じて、さすがに15年前のラップトップやモデムなんて捨てても惜しくもなんともない。再生できない 8mm やカセットをどうするか迷う程度。まだ急いで捨てなくていいと母さんは言うので、捨てられるものの仕分けだけとにかくきっちりやっておこう。

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■07/08/21(火) □ ようやくお葬式
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ようやく葬式。長かった。ふー。長い1日であった。葬式自体はしめやかさと華やかさがちょうどいい程度に配され、長さも適度でよかった。参列者は750人とのこと。さすがの人気者であった。俺が子供の頃うちにいた従業員のおばちゃんたちが小さく小さくなって来てくれ、みな泣いていた。俺の友達も何人か来てくれて驚く。

 大変だったのはその後で、「おとき」という100人規模のお礼の席があり、さらにその後親戚だけのお礼の席が設けてあるというネバーエンディングな一日なのであった。

 帰って飛行機会社に電話すると、27日のチケットが取れていた。助かった。

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■07/08/22(水) □ お寺参りと香典一覧
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初めて訪れた静かな朝。お寺にお礼参拝し、同時に延び延びになっていた送り盆も済ませ、これで行事はようやく終了。お墓に行くと、父さんがいた病院がそこからどーんとよく見える。ああ、そうだよなー。病院からもこのお寺がよく見えたもんなー。こんなちょっとしたことでまたしんみりとなる。

 行事は終わったが、しかし香典一覧を作るという大仕事があり、これがとんでもない面倒仕事である。コンピュータをうまく使えば労力は減らせると思うが、帳面となって残らないと母さんが困るというのでみな手作業で大変だ。

 俺は2階で荷物の整理。いつかまた日本に住めばと捨てずにおいた雑貨をバサバサと捨てていく。日本にいればまだ当たり前に使うものばかりなので、真面目に考えると悲しくなる。Mが使っていたタイのバッグなどが出てくると、地道に楽しく暮らしていた八幡時代の一部をここに置き去りにしたしたようで悲しくなる。悲しがり悲しがり8~9個の捨て荷物を作った。

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 【日本・カメルーン】前半はついに呼ばれた大久保と田中の突破からかなり楽しいゲームだったのだが、後半彼らが交替するとアジアカップと同じつまらないチームに戻り相手の個人技に耐えるだけで終わった。オシムはこのつまらなさを解消できるのかと疑う。

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■07/08/23(木) □ 香典返し表の入力
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 昨夜の大雨で23度まで下がり、秋風の一日となった。香典返し表のPC入力を命じられ、まる1日それに没頭する。

 1日で 400 件の大半を処理し、PC仕事をやるとさすが仕事柄集中がすごいなと母さんにびっくりされた。最初から合理化してあればPC利用の有無に関わらず労力は半分以下にできたのにと思う。葬儀屋もこの部分は自分ところの儲けにならないからノウハウを蓄積してないのか、世間ではいつまでにどれだけ返すかという相場をいうだけで、マニュアルやテンプレートは届いていないのだよなー。

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■07/08/25(土) □ 真夜中のギター
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 昨日も午後まで香典返し表の作成をやり、夜昔の仲間とのギター飲み会へ行った。

 朝3時までTNたちと小布施のハイウェイ公園でギターを弾く。IKもおり始まる前はずいぶん盛り上がったのだが、毎度のことTNは自分の内なる音世界に入り込んでしまい、全然ジャムセッションにはならなかった。IKもバンド時代から四半世紀も経つと覚えている曲はなく、昔一緒にやった曲を俺が思い出し弾いては散発的にジャムが始まるといった程度。しかし夜中の公園でギターを弾き歌っているのはやはり楽しく、3時までダラダラとやったのであった。TNもIKもAKも、何年経っても変わりなかったな。

 TNもIKもうちの父さんを知っていて、いつもニコニコと声をかけてくれたのだ、花火の時には役員で一緒だったのだと小さいながら思い出があり、それで葬式に来てくれたらしい。ありがたい。

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 今日はちゃんと荷造りして成田まで荷物を1つ送り、出国の準備を進める。夜は子供たち全員を連れてレストランへ。昨日あたりはよくよく疲れがきて母さんは気分がダウンしていたのだが、外に出る元気が戻ってきてよかった。

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■07/08/26(日) □ 百々川お別れバーベキュー
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 夕方百々川でお別れバーベキューをやる。涼しい風とうまい肉と花火。サイコーでした。しかし物寂しいバーベキューだった。父さんがいないからというのではなく、ただただ病院に通い葬儀に振り回され夏が終わってしまったという寂しさがある。

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■07/08/27(月) □ 涙の帰国
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 出発の朝。なにか形見をもらわねばならないと父さんの部屋を見渡し、最後の運転免許証とD・フランシスのカナダ競馬の本をカバンに放り込む。

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 ◆13:33 新幹線無事乗車。最後に母さんが泣くかと思ったが、こらえていた。ここまで長かったもんなあ。別れの切なさよりも、長い時間をかけ一緒にものごとをやり遂げた、ほっとする気持ちの方が強いのだ。

 上田あたりの好きな景色を窓から眺めながら、今回こそマジでどこにも行けなかったよなと考える。まあ事情が事情で当たり前だが。

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 ◆17:51 チェックイン修了、荷物2個計27kg もまったく問題なし。日本での最後に何を食べようか考え、今回食べてなかったウドンに決める。が、この空港価格の高価な讃岐ウドンがカップウドンに等しいほどうまくなかった。がっくし。まだ搭乗まで2時間。

 ◆22:27 定刻通り出発。

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 そしてカナダ時間 16:00 に帰宅。空港に迎えに来てくれた萌が、区切りのテープをくぐり抜けてすごい笑顔で走ってきて、そして途中で顔がくしゃくしゃになって泣いてしまった。それを見た俺も、父さんが亡くなったときと同じくらい泣いてしまった。

ふー。お疲れ様でした。1月ぶりのカナダや自分の町や家や愛用PCはどうということはないが(これほど使い込んだフル装備の自PCにもそんなに飢えてなかったんだなと実感する)、やはり萌とMに会えたのが本当にうれしい。あとMKと猫のティガーと。不調らしいBRは滞在先のBV家から電話してきて、俺が体を気遣うとトモこそ大変だったわねえといってくれるくらいしっかりしていた。気温は長野の30度から一気に24度湿気なし。家の中は21度になっており、寒いくらいだ。

 はー。お疲れ様でした。

2007/08/17

日記「葬式と不思議な気持ち(日本滞在記3)」

■07/08/15(水) □ 青白厚塗り

 なんと5時半に豪傑Hおじさんがまた来た。来るのはいいがこっちは看病明けの上にまだ4時間も寝てないのだから、カンベンしてくれよと寝たふりをするも出直してはくれず、結局起こされてしまった。やれやれ。

 目が覚めると母さんは猛然と段取り・連絡を再開する。超社交家だった父さんの交遊範囲をくまなく余人が把握できるはずもないので、各方面の代表人物を探しては連絡を回してもらう方式らしい。葬式に呼ぶ人一覧もないわけだしなあ。

 人によっては没前に自分で手回しを開始するそうだが、父さんは最後まで自分の死をどう考えていたのか謎だ。症状と苦痛を訴える以外、最後まで病気のことは何も話さなかったのである。症状の悪化とともにモルヒネが入り、考えがそこまで及ばなかったのだろうと皆はいうが、体調がまだよく選挙の投票その他の雑事をやりたがっていた時点でもその前日の苦痛は深刻だったわけで、自分の衰えから死を予感しないわけはないと思うのだが。

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 葬儀屋が来て段取りを続行している間に、業者が父さんに化粧をして仏さんにしてしまった。血色は悪くなく、自然な寝顔で落ち着くよう看護婦さんがしてくれいい感じになっていたのに、お化けみたいな青白でベタベタ厚塗りして行きやがった。

 なんだこれはと怒り多少は拭き取ったのだが、直せない。業者が乱暴に父さんの髪の毛を洗う様子が痛々しくて目をそらしていたのだが、こんなことになるなら監視しているべきであった。葬儀屋の親玉のいるところで俺が騒ぎたてたので後から業者は何か言われるだろうが、この厚塗りを全部落としてやり直してもらうのもまた怖いし、手遅れである。トホホ。

 しかし葬式は本当に大変だ。遠い親戚など冠婚葬祭しか会うこともない人々も、毎日のように来てもらわねばならない。こうした段取りにあまり関わらずに済む身の上のありがたさをつくづく感じる。

 来る客来る客異口同音に、Kさんほど幸せだった人もいない、好きなことをやらせてもらってと笑って帰ってくれる。まったくである。

■07/08/16(木) □ お通夜

 9時間寝た。夕方までは子供らと遊び、お通夜のために来長したKNさん一家と話す。Tおばさんも三たび来てくれ、俺の手を取り父さんの世話の礼を言うので、俺もまた泣けて頭が痛くなってしまった。


イトコKNちゃんの娘さんたちは、昔のKNちゃんが四半世紀を飛び越えそこにいるかのような不思議な気持ちにしてくれる。SくんもIDのおじさんに横顔がうり2つになってるしなあ。10年おきの親族の葬式は、不思議な気持ちに満ちている。


 親族が残ったお通夜の夜、父さんのイトコRじいさんの味のよさに感服し、こっそり写真とビデオを撮っていた。豊丘の山の中で牛の乳搾りに生涯を捧げたというこのおじいさんは、日本昔話のような空気を携えている。それにいま改めて見ると父さんに輪郭が似ていて、懐かしい気持ちにしてくれる。こうして葬式の時にしか会うことはないのだが、できることなら家に伺ってゆっくりと昔話など聞いてみたいなあと思う。

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 父さんのお棺に大事にしていた黒い鞄を入れてやろうと中を確かめると手帳があり、そこには大好きだった各種会合の予定とともに病状経過が書いてあった。ちょうど俺が来た日付のあたりから悪化で書けなくなり白く残っている。病気への不安を書いた行もあり、言わなかったけどやっぱりそうだったのかと胸がつまる。

■07/08/17(金) □ 出棺

 出棺が終わる。もう悲しみのピークは過ぎたと思い、納棺時には涙は出てこなかったのだが、焼き場で棺の窓が閉じられ炉に押し込まれていくと、もう会えないんだとつくづく感じ涙が止まらなくなってしまった。

休憩所から逃げ出し涙を流していると、悪ガキHKがやってきて泣いているのかと問う。いや鼻水が目に入って目が痛いのだとかなんとか答え、えーホントー? と顔をしげしげと覗き込まれているうちに、やっと息が整ってきた。子供の存在に大人は救われている。

2007/08/14

日記「長い3週間の静かな終焉(日本滞在記2)」

■07/07/30(月) □ 体調サイクルが上がらない

 おとといの外出からのダウンが戻らず、父さんの調子は低調なまま続いている。ここまでくると話を聞かせる以外何も父さんにしてやれることはないのだが、鎮痛剤が効いて眠るばかりでは話はできない。黙って半日病院で過ごすと、家に帰ってからも鬱な気持ちが続く。

 俺が来た日の外出は病院に戻っての点滴で体調が戻ったのだが、今回は体調サイクルのピークが上がってこないわけで、螺旋を描いて下に向かっていくのを実感する。苦痛はコントロールできる、できるだけ好きなことをやらせてやれとお医者は言っているが、こうなると外出など無理に決まっており、このまま何もいいことはさせてやれず残りの日々が終わってしまうのかと思うとせつない。

■07/08/01(水) □ 動物園

 時差ボケがなくなりだんだん朝起きられなくなってきた。朝あせって病院へ自転車を飛ばしたが、今日も父さんは眠るばかり。気分は昨日よりいいようだが。

 AおばさんとHおじさんがきてくれ、その間はだいぶ長い時間起きていられた。しかし話をするだけのエナジーはなし。親族きっての豪傑Hおじさんは、「兄貴、心配すんな。俺もすぐに行くからな!」とろくでもないことを言っていた(汗)。

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 そして猛暑の中ボーイズを連れて俺は須坂動物園へ。昔と違いずいぶん人気が出ていると聞いたが、前と特に変わりはなかった。ハッチというカンガルーが全国的に有名なのだそうだが、普通のカンガルー3匹がいるだけで、なぜ人気なのかは不明。巨大レンズの一眼で撮ってるカメラオヤジが2名いた。



 暑さにたまらず途中をスキップして日陰のある池側に脱出し、ボーイズにかき氷をおごってやった。今日は叔父さんのおごりだ。どんどん食べなさいウッハハというやつを初めて体験した。

■07/08/03(金) □ 親族大ドラマ

 昨夜風もなく無茶苦茶な暑さで眠れなかった。さすがに日本の夏は暑い。病院に来ると朝、父さんは起き上がって自分でお粥を食べていた。驚き。食べ終わり着替えをするとエナジーが尽きたが、食べないよりはよほどいい。昨日から小幅アップ。

 父さんは鎮痛剤のせいで、ずっと目を開いたまま半分眠っている。ときおり表情が変わり手を動かすことがあり、視界に入っていくと、はっと気付いたように目をつぶる。そうして見ている夢はなかなか楽しいものらしく、ニッと笑って目を覚ます。やはりというか当然か、馬の夢が多いようだ。今日は覆い馬場を造成し、お披露目のパレードの先頭を切って歩くというものだったそうだ。馬のカイバの中に落ちて手足を振り回すなんて夢も見て、「らっちょもない(埒もない)夢を見るもんだなあ」と笑っていた。

 しかし1週間を過ぎ、寝ている父さんに付き添い続けるのにだいぶ疲れてきた。病院内を散歩してみたりしても、もちろん何もない。ふう。ギターがあれば一番時間が紛れるのだが、ここに持ち込むわけにはいかんしなあ。

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 昼飯前、なんと数十年付き合いが絶えていたTおばさんが見舞いに来てくれた。顔を見るなり双方号泣。気をしっかり持たないと駄目だぞK、あたしよりずっと若いんだからな。うんうん、ありがとうありがとう。83にもなる老体でやってきてくれたのだから、心から頭が下がる。

■07/08/05(日) □ 俺のハートが痛い

 今日は声をかけても反応が鈍く眠りから覚めない。俺よりも母さんの顔を見た方が蘇生すると思われ、電話をして呼び出す。

 母さんが来ると一瞬覚醒し、痛いかと聞かれると父さんは、「ハートが痛い」と答えおった。全く病んでも変わらぬダンディKちゃんだわと感心させられる。今日はさすがに見れないが、ニッと笑う顔は実に魅力的だと思う。この顔があるから看病も苦にならないのである。

 ロレツが回らないのでどうしてほしいのか聞き取れず、聞き直すとカンシャクが炸裂する。これだけ具合悪ければ苛立って当たり前である。もはや個室に移り、面会謝絶とし残りを看取る段階だと思う。回りのまだ元気な患者さんへの影響も懸念されるし。あと何日かなんて分からないが。

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 交替し4時に様子を見にいくとだいぶラクになったようで、ずっと夢を見てはニッと笑っている。あとで話を聞くとやはり馬の夢、生まれ育ったこの町の他愛もない夢を見ていることが多い。小学校以来の友達だなんて人が父さんにはゴロゴロいるわけだし、小さな町で友達に愛された人生は楽しかったことだろう。

■07/08/07(火) □ 個室へ

 朝イチで個室に移る。移った途端に付き添いの俺たちはああ快適だと感じるほど、やはり環境が違う。さっそく来てくれたキッズが遊ぶさまを、父さんが首を持ち上げゆっくり眺めることもでき、ここでゆっくりできればいいかと思った。家に戻してやりたいとはつくづく思うが、ここで家族と子供たちに囲まれていれば、家にいるのと変わらないか。現実パジャマを替えるだけで体力が尽きる姿を見ると、やはり環境を変えるのは無理に決まってるといわざるを得ない。

 俺の不在で萌とMがかわいそうなので、Boowy の DVD を買ってきてカラテゲームと共に即日送る。萌の好きそうな絵柄で選び少女マンガ全7巻も買ったのだが、これは50点くらいであった。ブックオフでさんざ探しても俺が読んでいた70~80年代の作家のコミックス(※)はもはやなく、現代の少女マンガはTVドラマ程度のものばかりなのかもしれない。
(※)後日、あの頃俺が読んでた「ぶ~け」は黄金期だったというファンの掲示板を発見。『松苗あけみ、吉野朔実、耕野裕子、竹坂かほり、水樹和佳、内田善美―――丸ごと一冊、、豪華な花束。すごかったですよね』まったくだ。

■07/08/08(水) □ サマーランド

 今日は子供たちを引率してプールに行くのだが、それまで家にいても落ち着かないので病院へ。昨夜は問題なかったようだが、今日は寝てばかりで全く目を覚まさない。鎮痛剤の量が多目なのかもしれない。

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 サマーランドへ。やっぱ日本の夏最高! という感じ。山の緑は目を喜ばせ、水は暑さで適度にぬくまっているし、空気がドライなカナダと違い上がっても身体は全く冷えない(気化熱で体温が奪われない)。カナダよりUVが低いので、真夏の陽射しでも目が痛くならない。ボーイズも俺も楽しんで最高の夏の日だった。

 萌とMを連れて来たいなあ。Mだって日本の野外プールの快適さは知らないんじゃないかと思う。

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 午後から消灯まで病院へ。今日は父さんに痛みが出て厳しかった。長い一日だった。ふ~。

 もう面会謝絶の礼を貼ってあるのだが、それを押して夕方遅くに父さんの同級生が来てしまった。痛みのあとでグッタリした父さんは応答もできなかったのだが、76のおじいさんが汗をいっぱいかきながら「Kちゃん! 死んじゃ駄目だぞ!」と呼び掛けるさまには胸を打たれる。フレンドシップ・フォーエバー、それが全くKちゃんの人生であった。

■07/08/09(木) □ 看病疲れ

 朝イチで昨日話せなかった萌Mに電話。Mの話にあまり反応もできず、俺は疲れているなあと実感する。萌はこの頃習い事を拒否したりつまらない嘘をつくなど態度がおかしいそうで、separation anxiety(近しい人の不在で子供が不安定になる)の一種だろうとMはいう。電話だと俺も萌との話が弾まず――俺は病院通いで話題がまるでないし――、会って話していれば楽しいのになあと悲しくなる。

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 夕方シフトは今日も大変であった。22:32 鎮痛剤が効いて落ち着いたのを1時間ほど確認して帰宅。疲れた。

■07/08/10(金) □ 最後の1葉

 9時近くに起床。夜番になってから疲れている。

 11時に一度顔を出す。今日は眠りっぷりが激しく、姉のMおばさんが来てくれてもほとんど目が覚めなかった。体力の低下が甚だしい。

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◆17:00 酸素吸入器が取り付けられる。日に日に終わりが近付いている。ここから先がまだ長いのかもしれないが、このまま鎮痛剤が効いて眠ったまま行けるなら、それがありがたい。

 しかし母さんの介護と献身には感動させられる。これがおそらく意識のある父さんとの最後の1枚になるだろうと、母さんが語りかけている写真をそっと撮っておいた。

■07/08/11(土) □ 「解散」の一声

 夕方、これはいよいよと母さんを呼び、母さんが家族全員に連絡する。しかし孫たちが来ると父さんは意外や目を覚まし、一族が揃っていることに気持ちが昂揚し意識がバキっと戻ってしまった。「起こせ」を連呼してべッドを上げてもらうと、皆に声をかけられニコニコになる。いや驚いた。

 そして自らの「解散」の一声で散会、俺一人残る。もう会うべき人々には皆今宵別れを告げることができたわけで、最後の瞬間は最悪俺一人でも仕方ないなと思う。無論母さんだけはなんとしても間に合わせたいが。

■07/08/12(日) □ 夏祭コンサートの歌声

 ◆04:30 起床。というか、病院のソファではきつくてこれ以上寝ていられない。父さんは1時半に姿勢を直してから一度も起きずに寝てくれた。05:52 交代。寝る。

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 ◆11:33 起床、フラフラだ。電話すると痛みがあるので鎮痛剤をレベル4に上げ、父さんは熟睡中とのこと。呼吸は安定しているそうである。

 今日はOKOも診てくれたので、午後遅くから病院入り。今日は病院そばの広場で夏祭コンサートをやっている。ここからよく聞こえ心地よい。父さんに聞こえていたら喜んだろうなとOKOと話す。見に行きたいが、さすがに無理。

 ところが兄貴が来てくれたのでちょっとだけ見にいくと、「カンガルーのハッチ」の歌を歌う地元アマチュアなのであった。がっくし。まあこの地元アマチュアのオリジナルカンガルーソングとNHKポップジャムで聞くヒット曲に大差はないわけで、日本の大衆音楽レベルはこのあたりなのだということである。

 ◆23:01 眠る支度。父さんの寝息が落ち着いたので、今日はしっかり寝よう。病院泊も2日目になると、旅行して酔っぱらった父さんとビジネスホテルに泊まってるみたいな気分もしてきた。昔父さんと一緒に行った、北海道の旅を思い出しながら寝た。

■07/08/13(月) □ 2度目の危篤報

 1時半に寝て朝6時に目が覚め、あれ父さんの寝息が浅いな、えーとと考えているとMKさんが来てくれ、父さんをチェックするとやはり息が浅い。それに熱い。あ、熱が出ているんだ。驚いて看護婦さんに聞くと、5時くらいから発熱し、血圧も下がっていることが判明した。MKさんが母さんを呼びに走り俺は兄貴とOKOに連絡する。

 母さんが声をかけると父さんはまだ目が開き、熱もやがて下がったのだが、痛みなのか息が苦しいのかもう一度落ち着いて眠ることができない。もうこの朝終わるかと俺はしばらく残ったのだが、変化がないので家に戻りしばし休む。お盆でうちに来ているご先祖様。どうか父さんを連れていってやってください。もういいですからと祈る。

■07/08/14(火) □ 長い3週間の静かな終焉

 ◆12:10 血圧が低下との知らせに病院に急行。手足が冷たくなっている。

 ◆15:41 最後は徐々に呼吸が少なく浅くなり、そして止まった。最後は苦しまず静かに父さんは亡くなりました。長い3週間であった。

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 店に電話で知らせるも、もう俺は声が出なかった。駆けつけたみなの顔を見、泣きじゃくる孫KSの肩を叩いているうちにやっと落ち着く。看護婦さんが父さんの居住まいを直してくれ、霊柩車で母さんとともに父さんは家に帰る。俺はえらい早さで駆けつけてくれたKHと共に病室を空にする。

 しかし俺の仕事はここまでなのだが、葬式が終わるまで母さんは全力疾走の実務が続くわけで、この部分は俺は全く力になれんし実に気の毒に思う。

 今日すでに、死去のその瞬間から退院、親戚への連絡、身内の仮通夜、御坊さんを交えて葬式の段取りと母さんは全く休みなしであり、親族みなが力になってはくれるもののこれほどハードな行事もないものである。

 豪傑Hおじさんが、俺が看病を明るくよくやってくれたと泣き、それで俺もまた泣く。日本にいる間に俺の白髪が増えたとおじさんはいう。俺も病院で鏡を見て白髪を気にしていたのだが、滞在中に増えたのか。実際個室に移ってからは毎日がハードだったからなー。ふう。

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 全て段取りがついた真夜中過ぎ、カナダに電話する。その少し前に死去の知らせを入れておいたので、萌はすでにべそべそに泣いていた。そんなに泣かないでおくれ。お父さんも泣いたけどもう大丈夫だから。でも、おじいちゃん死んじゃって、お父さんとおばあちゃん、かわいそう。そうだね。ありがとう。サッドニュースでごめん。――萌と話していると、いつでも胸が洗われる。

2007/08/03

日記「そんなにすぐに止めらんない(日本滞在記1)」

■07/07/18(水) □ 日本行き決定

朝イチで萌に日本行きの事情を話す。おじいちゃんが病気で、お父さんはしばらく日本にいなきゃならないんだ。萌はしばし泣いたものの、聞き訳よく納得してくれた。ふー。


 夕方OKOから、誕生日とお祭りのために病院から一時帰宅した父さんの写真が届く。元気そうに笑ってるじゃないか。うれしくなって即電話。あまり喋るとつらそうだったので、すぐに帰るからね、元気出してよと早口に伝える。

 今帰れる身でよかった。まだ笑い顔が見られるうちに間に合ってよかったとほんと思う。

■07/07/24(火) □「そんなにすぐに止めらんない」

◆13:45 日本行きフライトのゲートに向かう。ゲートで見送る萌が泣き、かわいそうなのでゲート内に入ってからセルフォンに電話する。車の中で電話をとった萌は、「お父さん!? うわー」とボロ泣き状態。

 あんまり泣かないでくれというと、「そんなにすぐに(涙を)止めらんない」と答える。なんて美しい言葉を使い気持ちを伝えてくれる子なのかと感動する。「そうか、じゃあマミーをハグして泣けばいいよ」「はい」「そうすればそのうち元気が出るよ」「はい」「すぐにまた電話するからね」「はい」。

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 ◆1525: 15分遅れで離陸。萌の席は空いたままだった。ここにうちが $300(キャンセル料) 払っているので、足を伸ばすために使わせてもらう。おかげでだいぶラクだ。

 ◆20:16 映画を2本見ているうちに順調に時間は経っていく。あと4時間。映画は老いた母親が亡くなる「東京タワー」というやつで、病院で俺を待つ父さんとあまりにも似通い憂鬱になる。

 もう1本は整形美女が人気者になりながら良心の呵責に耐えかねてステージで告白するという韓国映画で、女優がかわいくて面白い(※)。整形なんて恐ろしいテーマをよくこんなふうに持ってこれるなあとお国柄の違いが面白い。

(※)「美女はつらいよ」キム・アジュン

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 乗り換えがうまくいき1本早い電車で成田を出る。気温は高くないが湿気が強烈。そして日本は夏草がすごい。熱帯。いい感じで連なる成田の丘が、雑草と竹にこんもりと埋もれているのが美しい。そして日本の列車はオヤジのビールとサキイカくさい(笑)。全て総合して、アジアにきたなあという喜びが湧いてくる。

 ◆03:18 新幹線。さすがに疲れが出てきたのだが、弟OKOは忙しくて長野まで迎えにこれないとのこと。成田→上野→長野→須坂が全自走というえらいハードな移動となってしまった。まあ仕方がない。

 上野で地上に出たとき、夏の夕暮れの東京の混沌がよかったなー。2人乗りのスクーターや自転車や小さな車がガード下をくるくると走り回り、轟音を立てて電車が駆け抜け人々が交錯していて。

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 ようやく須坂にたどり着き、店に寄って「お前はるばるカナダからきた兄を迎えに来てくれんとはどういう冷血な弟だ」とイヤミを言ってから母さんのところに向かうと、なんと父さんが帰ってきていた。えーっ! 病院だとばかり思っていたよ、父さんのお気に入りの息子が帰って来ましたよと抱き締めると、父さんはありがとうありがとうとうれし涙をこぼすのであった。

 顔を見た瞬間は衰えが見て取れたが、話を始めるとどんどん顔色がよく表情にキラキラと精気を戻る。そして嬉しさに話が止まらず、競馬雑誌なんかをさっそく引っ張り出してくる。そうやって調子に乗るからあとでどっと疲れちゃうんだよと母さんに止められたが、いや本当に元気でびっくりした。

 アジアカップを見ながら母さんに話を聞くと、今はもう痛みを抑えるのだけが医師の仕事なので、できる限り家でいい時間を過ごしてくださいということなのだそうだ。なるほど、そうだね。俺はできるだけ一緒にいてあげよう。

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 【アジアカップサウジ戦】は、俊輔が入ってさえも「相手の方がうまい」という去年のサウジ戦からの印象は変わらず、というか相手は去年よりうまくなり戦術もよくなっている。日本の攻めをしっかりバランスをとったマーク網でつぶし、角度のある1・2で1対1を作りブラジルのように個人技勝負を仕掛けてくる。ブラジル人ぽい監督が映っているが、この人が明らかにいい仕事をしている。2点目3点目は取られ方も決定的で、素晴らしいとしかいいようがない。

 2点までは根性のセットプレーで取り返したが、足の遅いパサーばかりゆえつないでスキを狙う以外守備ブロックを崩す方法がない(相手はラストパスの受け手を予測し間合いを詰めるだけで余裕で対処できる)という日本の特徴がもろに出、そして1対1を作られるともろいという弱点もうまく引き出されてしまって、個人能力とチーム力両面での完敗であった。

 ジーコへのアンチテーゼがこのチームのはずだったのに、結局連れて行ったのは今回もみなパサーだったというオシムのチーム戦略ミスでもある。しかし田中達也・大久保・玉田らスピード型FWのフルポテンシャルがどういう理由か出ていないという現状では、どうしようもなかったのだろうか。

■07/07/26(木) □ 意外や元気→急転直下

 ◆05:26 もの音でほとんど眠れず時差で4時半に目が覚めてしまい、そっと起き出すと父さんも起きていて声をかけてきた。朝の涼しい縁台に座ってゆっくりと話をする。こんなに元気だとはほんとに驚いたよ。嬉しくなって調子に乗り、話しすぎて疲れさせないよう気をつけねば。

 長野はまだ梅雨が明けてないそうで、朝は涼しく気持ちいい。母さんを起こしたくないのでコンビニまで歩きオニギリと缶コーヒーを買ってくる。やっぱ日本はいいなあ (^-^)。

 父さんは長い時間は眠れないのか、目を覚ましてはチョコチョコなにかをしてまたすぐ眠っている。朝飯を自分で用意したのだが食べずにまた寝てしまった。あまり世話を焼くとかえって対応に疲れてしまうだろうから、俺は目を配るだけにしておく。

 8時頃M萌に電話。もう空港で別れてから向こうは1日半が経過しており、色々と報告を受けた。

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 ◆11:31 昼寝しようとしてどうも眠れず、腹が減ったので昼飯にしていただく。うまい。食べていくほどに食欲が増していく。父さんは朝飯を食べて話をしているあいだに体調が下がったようで、顔色が変わり横になってしまった。それを見ると、やはりこっちが現実なのだと実感する。

 そんなこんなで、夜病院へ。

■07/07/27(金) □ 須坂の魅力再発見

 よく寝て時差ボケは1時間ほど解消した。とにかく朝飯をしっかりと食べ、活動して体調を上げていこう。買い物に出たがまだどこも開いてなかった。仕方がないのでまたコンビニ。まこと日本は便利な国だ。今日はついに晴れて真夏日。

 こういう田舎町の狭い道には軽自動車が最強で、交差点をしゅっといい感じの速さで曲がってくる小さなかわいい車を見れば、運転しているのはみな普通のお母さんなので驚いてしまう。小さいからライン取りに余裕がありけっこうな速さでコーナーを抜けてくる。その光景が、資源だけではなく【路上占有スペースX時間】的にも無駄がない軽自動車の効率のよさを示している。

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  交代のため病院に来ると、昨夜病院でぐっすり眠れたと父さんが絶好調になっていた。ちょうど見舞い客もあり、大いに語り盛り上がりおやきなど食べ、またバタリと寝てしまった。よかったよかった。



この病院は見晴らしが素晴らしい。北の雁田山、東の臥竜山、西の長野市と飯縄、町屋や寺の屋根、見える景色の全てが懐かしく、高校時代を思い出す。上からだけ見ると須坂は驚くほど美しい。何枚も写真を撮った。


 しかし看護婦さんというのは実に尊敬すベき人々で、人の家族構成など興味もなかろうに年寄りの長話を遮ることなく根気よく聞き、世話をしてくださる。皆さん20代なのに普段使うわけがない須坂の地言葉でじいさま方に接して、気易く話しやすい雰囲気を作ってくれる。本当に頭が下がる。

 昼寝から覚めた父さんが退屈そうにしてるので、炎天下メガネと本を取りに帰る。日なたを歩けばふうと息をつきたくなるが、冷夏で予想よりも暑さはなくラクである。UVの強いカナダの方が日なたはキツイし、俺は湿気が好きだしな。

 しかしメガネはあっても父さんは集中力が続かないようで、本も長く読んではいられない。母さんの交代が来るまで俺がずっと話してやった。競馬、一緒に競馬に行ってたARたちのこと、大学時代の退屈さ、青春時代の充実について。父さん母さんのおかげで、わりあいに後悔の少ない人生だよと。父さんも昔のことをみんな覚えている。一緒に行った北海道名馬訪問の旅のことやバンクーバー競馬場のことを、いい思い出だと笑った。

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 夕方、カードで持ってきた写真を父さんと母さんのためにプリントする。軽自動車もいいが、さらに自転車でもこうして簡単に用が済む小さな町の魅力にしびれた。須坂の魅力再発見の日々というか。独身で身動きが取りやすいからだろうな。

■07/07/28(土) □ ITさんと焼き肉

 3時半に目が覚めてしまったのだが、水分を取りもう3時間寝直す。今日は IT さんが川崎から来てくださるので、母さんは支度をし俺が朝イチで父さんの世話をする。昨日同様調子はよさそうで食欲も盛ん。よしよし。

 そのうちに何か考えてるなと思うと、「トモ、行きたいところがあるから車を持ってきてくれ」と言い出した。そんな行きたいって、点滴ついてる重病人が何言ってんのよ。先生と母さんと相談しなきゃ駄目に決まってるでしょと答えたのだが、本人の思い通りにさせているとすぐさまこうして無理をしてしまいそうだ。


 相談の上準備を整え夕方一時退院し、見舞いに来てくれたITさんたちとうちの店で食事。この時点でまだタン塩を食べられるということに皆が驚くと、「食道ガンは抑えられてるんだ。リンパの方がまだあるから、そっちを治療しているのよ」と父さんは説明する。実際はもう治療なんかしてなくて点滴は水分と栄養補給だけで、本人もそれはわかってるだろうに、父さんはどういう気持ちなんだろうかと俺は考えていた。

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 【アジア杯日韓戦】:サウジ戦と同じく、現時点の日本にはスピードとアイデアとスキル、つまりフィジカル最弱の我が国が頼りうる全ての要素が足りないことを示す試合であった。日本の誇るはずの中盤は、1トップで数的に有利なのにスピードがないため(足もシンキングもプレーもパスも全てが遅い)相手を1人も崩せず、横パスと密集地域へのショートクロスしか出せない。これで点が取れるわけないと思う。スピード的に相手と勝負できるのは駒野だけで、左サイドバックの彼がずっとゲームメーカーとなっていた。

 中村はWC時と大差ないデキ、遠藤は「オシム【スロー】ジャパン」のシンボル的プレーぶり、中村けんごウはインターナショナルレベルで活躍するだけの経験を欠く。オシムはサウジ戦の負けを主力の疲れからであると答えていたが、彼らに替える選手を全く連れて行かず6試合通したのだから、疲労も監督の責任である。この納得しがたい選手選考と、あれほどまでに機能しない攻撃をサウジ韓国戦と2試合全く修正できなかったことで(毎試合1本惜しいシュートを打つ羽生の投入を「修正だ」とオシムは言うだろうが、あそこに大久保を最初から入れておけば済むことだろう)、オシムへの期待も低くなった。DVDで見た去年の試合に比べ、この1年でむしろジーコ時代に近付いてしまったと感じる。

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 しかしもう10年以上も会ってなかったイトコのYMちゃんがサッカー好きだったのには驚いた。「(そこだ! なにやってんだよ!)と常に小声でヤジを送っているのである。サイコー。こうしてサッカーを一緒に見れてよかった。

2007/07/19

日記「4年ぶりのバンクーバーアクエリアム 」

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■07/07/13(金) □ 家の修繕に助手を得る
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 昨日よりはだいぶ気温が下がる。外のサンプパンプの結線も自力でやらねばならなくなったので資材を買い出しに行く。まったくいつまで経ってもこの家散財は止まらない。

 MKと仲のいいイトコBTが来て家修理を手伝ってくれている。いまやってるのは電気配線をもう1つ通して洗濯機を独立配線にするという仕事で、そっちは楽しくやってる彼らに任せ、俺は外のポンプ配線に取り組んでいた。あと10日で俺は日本なので、なるたけ進めておきたい。

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■07/07/14(土) □ 萌初のスリープオーバー
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 MKとBTは引き続き中の配線、俺はサンプパンプのワイヤーを保護パイプに通しきれいに埋めた。ふー。萌は夜だけNRさん宅で初めてのスリープオーバーに行けることになった。

 午後からMKたちがBRの天井全体も壊し始め、なぜ方針が変わったのだと監督Mに聞くと、親戚のオフィス内装屋が「(配線修理のため)穴の開いた2箇所だけきれいに直すより、全体を張り替えたほうが手っ取り早い」とかいったらしい。そんな、来て見もせず電話一本で気軽に言ってくれるなよと思う。あんたにとっても義理の母親の部屋を俺たちは直しているんだぜ。ったく。

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 夜、スペイン・チェコ戦を見た。チェコは日本戦と同様のつまらないサッカーをやっており、スペインでさえも思い通りにゲームを動かせていない。結局PK戦でチェコが勝つ。スペインと日本だったら面白いゲームになったことだろうが(今回もボコボコにやられた可能性も高いが)、このチェコチームは相手の決定的なことを阻止し自らはじわじわと攻め上げ、どんな相手とでも僅差のゲームを作るだけの地力があるということなのだろう。

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 夕方萌をスリープオーバーに連れて行く。すでに時間はけっこう遅かったのだが、着いてしばらく遊ぶともうパジャマに着替えて、「ムービーナイト」だということでガールズ3人がTV前に陣取り盛り上がっていた。そのうれしそうな萌の顔たるや。カメラを持っていくべきであった。

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■07/07/15(日) □ 新潟長野で大地震
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 萌は夜12時まで起きて、朝は6時に起きたそうである。興奮しすぎたといいながら帰ってきた。興奮が過ぎるとさすがに疲れているようである。

 MKたちは朝から天井のパネル(ドライウォール)張り。俺も仕事にジョインしたが、結局MKのスキル頼りなのでメインの仕事はMKとBTに任せ、俺は釘抜きなど雑事を進めていく。

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 9時頃まで働いてドライウォールが終わり、PCに戻るとなんと新潟長野で震度6の大地震の知らせ。隣町の中野で5強というのでたまげて電話をする。しかし須坂は2年前の中越に比べたらそんなに揺れなかったのだとのこと。ふー。しかし新潟柏崎では家が倒壊し電車が脱線し怪我人も多く出ている。「あと1週間は高い余震の可能性がある」などといわれると、これからそこへ行くのになあとびびる。

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■07/07/16(月) □ エリオ初の遠乗り
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 今日はMKと電気関係を推し進め、かなり進んだという手応えを得られた。サンプパンプ自力配線も完了。着実に進んでいる。

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 ディナー後、週末ずっと手伝ってくれていたBTを家に送りホワイトロックへ。スズキ購入以後初めての高速多人数乗車だったのだが、普段ひょこひょこ感のある車が Lougheed Hiway に乗るとビシッと、まるでレガシィのごとくフラットに安定し動きに芯が詰まるのでちょっとびっくりした。これはフロントに強めに駆動がかかりトラクションがかかってるんだな。レガシィは雨が降るとリアに駆動力がかかって普段よりもトラクションが強烈になり気持ちよかったのだが、それと同じである。巨大男3人乗り(家族3人時比で +100kg くらい?)で加速はやや落ちているが、車体の動きの鈍さはまったく感じない。

 Surrey を抜ける道はいつでも混んでいて、延々と続く直線なのにクルーズコントロールが使えない。クルージング自体レガシィに比べると気持ちよくはないので、途中からは積極的に車線をスパスパ変え加速して軽快に他車を抜き進んでいった。

 帰りは道に迷い、「USに向かってるよ」とMKに言われさらに迷い(ホワイトロックはカナダ米国国境にある)、結局えらい遠回りになってしまった。しかしレガシィでアンダーが出ていたいろんなコーナーで、常に思い通りに向きが変わって気持ちいい。コーナリング速度を上げていけばやがてグリップ王者のレガに限界速度で負けるわけだが、コーナリング楽しい領域が下にずっと広い。つまり飛ばさなくてもコーナーが楽しいのである。

 PoCo 高速S字を今回もしゅぱーっと軽快に抜け、「この道は曲がり具合が気持ちいいんだよねー」とMKに話しつつ帰宅。車に興味のないMKにも I like this car とほめられた。よしよし。

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■07/07/17(火) □ 4年ぶり? のバンクーバーアクエリアム
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 昨日の帰り道あれほどすごい夕焼けをハイウェイから見たのに、雨になってしまった。BCの天気は本当に天気予報でしか知ることができない。

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ノバスコシアからはるばる訪問しているHSとともに、アクエリアムを2時間ほどで駆け抜ける。昔来たときよりも萌は成長したので動物や巨大魚を見てけっこう楽しんでいたが、やっぱ水生動物だけを見ていてもやや飽きるなと思った。前と何も変わってないしな。昔キラーホエールがいた頃は本当にすごかったけど。

 HSたちをパーキングまで見送って、スタンレー裏のビーチで萌を遊ばせ、もう一度入場してBCセクションに入る。まあBCの魚といえばサーモンくらいのものだろうと期待してなかったのだが、ここがなんと人知れずクラゲ館になっていた。す、すっげーとMトモ萌絶叫。

水族館で見るクラゲが美しいというのはよく聞くが、たしかにこれは素晴らしい。どんな熱帯魚もかなわない色を持つ不思議な生物なのであった。メイン展示は日本のクラゲでありました。


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 エリオ初の大都会&ファミリーランは、完璧に期待通りであった。4人乗りでもエンジンレスポンスは良好でステアが軽くクイックなので、混んだ道で思ったときに即加速し、さっと動いて車線のいい位置を取れる。とにかく楽で気持ちがよい。町走りに関してはやはりレガに勝っていると正味思う。

 帰りはヘイスティングスからバーネットを通ったのだが、エンジンもハンドリングも非常に気持ちよかった。バーネットの超高速ツイスティでは、ガシっとオンザレール感はありつつもアンダーが出ていたレガシィに対し、エリはトラクションは物足りないものののアンダーが全然出ないので、かなり攻めていってもまったく緊張しない。ガチっとタイヤがグリップするオンロードバイクと、ずりずり滑りながらもコントロールできるオフロードバイクのような性格の違いがある。

 乗員はフラットで揺れないレガのほうが楽だろうと思うが、わずかな車体の揺れ方の違いに注意を払う者は俺以外いないし、シートの快適さで相殺されているようでもある。エリオのキャビンは空間に余裕がありどう座っても快適で、常時足や体を動かしていられるのがありがたい。トールカーゆえ視界は最強だし、移動空間として非常に快適だ。朝から長時間活動しての帰りなのに運転していて疲れはなく、これはやっぱりスペースの快適性とコントロールの軽さのおかげだろう。

 エアコンはよく効き、Mと萌は楽しく会話を続け、BRはシートポケットに自分のものを収納して快適に本を読んでおり、俺は運転が楽しく全然疲れず、大成功のファミリーランなのであった。うーんやっぱこの車はえらい。バンクーバーでもエリオを見つけては、萌と「あ、スズーキだよ」と喜ぶほど形を気に入っているしな。

2007/07/13

日記「労働者には恵まれたチームだったが」

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■07/07/09(月) □ カナダサッカー大災厄物語
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 【カナダ最終戦対コンゴ】前の試合と同じくカナダはもう切れていて、雨の中相手をたたき伏せるレイトタックルの嵐である。これじゃ相手も気の毒なり。カナダのサッカーは駄目だなあという印象だけが強く残るトーナメントとなってしまった。

 とにかく怪我人だけは出さないでほしいと思っていると、後半0-2からカナダGKがハンドで退場。すでにカナダは3人交代しており、フィールドプレイヤーがゴールマウスに入る。「ああいつまでチームカナダのこの苦しみは続くのでしょうか」とアナウンサーがうめいている。

 ところが彼がFKを止め、難しいシュートも止めて、場内大歓声となった。こうなるともはやカナダサッカー大災厄物語というコメディの領域に入ってきており、やけくそながら場内のムードは盛り上がる。ああこのままこれ以上悪いことが起きずに試合を終わらせてください神様。

 そしてこの急造GKが何度もすばらしいセーブを見せ、夏の終わりの花火のようにこの場を盛り上げ、カナダの U-20 が終わった。参加国の無得点敗退は史上初だそうである。何も言うことはない。

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■07/07/10(火) □ やっとこブレーキ修理
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 エリオのブレーキパルスをようやく直しに行く。これを直させてから買うべきだったのに、往復の手間を惜しんだゆえに自費で直す羽目になり、俺は本当に馬鹿である。

 仕事は1時間でさっと済んで乗ってみると、パルスは当然消えた。ローターはきれいにリサーフェイスされ(厚みは見てわかるほど減っていない)パッドも新品でフラットなわけで、これでこの車の寿命の間ブレーキに関して問題は出ないだろう。やれやれ。Mさんはお金に鷹揚なのでこういうときに俺みたいに動揺しないのがありがたい(汗)。

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 灼熱の真夏日、萌を連れ今年最初のアウトドアスイミングへ。非常に気持ちよかったが、水から上がると風でどわーっと体熱が奪われ、耐えられないほど冷える。やっぱ日差しはインクレディブルに熱いが風がドライだから、ものすごい気化熱が発生するようだ。あわてて車に駆け込んでシートをフラットにし、中で着替えてそこでキャンプとした。やっぱ小さくてもワゴンはよい。

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■07/07/11(水) □ 労働者には恵まれたチームだったが
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 12:13 外気36度。ふー。まだ家の中は普通にすごせる温度だが、夕方からきつそうだ。日本行きチケットとホテルの手配が終了。これから本格的に荷造りその他の用足しだ。

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 カラテ:今日は人数が少なかったので、先生が萌に時間を割いていろんなテクニックを教えてくれた。初めて上級の子と組み手(2つの技に限定して動きながら打ち込んでもらい、萌がブロックして返すという簡易組み手)もやらせてもらったし、盛りだくさんな内容だった。

 萌と組んだMGという女の子は、まだグレード3くらいに見えるが3年で紫だそうで、バランスがよく明らかに武道の才があり、同じ紫の子の中でも技の切れはほれぼれするものがある。型を重んじるこの流派にとどまったらどうかわからないが、より実践的な流派だったら大会に出るような選手になるだろう。パーキングで萌に声をかけてきてくれたので、「前から君はすごいと思っていたんだよ。かっこいいね」というと、うれしそうに笑っていた。お母さんが「いくらもしないうちにあなたの娘もこうなるわよ」といっていたが、萌はプロテクターをつけても寸止めから先は行けないだろうと思うなあ。性格的にソフトなので、打たれたらひるんでしまうと思う。

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 【◆日本-チェコ】よおおし。西日で気温はウルトラ高いままだが頑張れ。メンバーは初戦と同じ、全員休んでフレッシュである。チェコの状態はわからんがアナウンサーはなんともいってないので、入れ替えはあっても少数であろう。

 意外にチェコがつながず浮かせてくるなという感じの出だし。日本は落ち着いて対処しているが、チェコはこういうシンプルなつなぎで来るプランなのかな。裏を割られてまずシュート、返して梅崎が突破を仕掛け足をかけられる。GKに弾かれるも、練習したというセットプレーはなかなかいい感じだった。この梅崎の突破とセットプレーで、これは崩せるという手ごたえをすでに感じる。

 ワンタッチのすばらしいつなぎでの崩しに場内が沸く。全員自信ありげで、メンタル面も含め非常にコンディションがいい。ポジションに戻る駆け足の速さがチェコとは違う。

 10分、セットピースから日本が波状攻撃、相手を押し込む。無理は何もしていないがすでにワンサイドゲームになってきている。チェコは中盤で戦うチームとの評判だったが、足が動いていないので日本のプレスにかかりまくる。最初から疲れてるんではないかと見える。

 17分、やっとチェコも体が動いてきたが、右からの突破をFWとフェアに戦い福元がボールを奪う。相手のFWはすでにイラついている。個々のテクニックは東欧ゆえなめては怖い目に遭うだろうが、チームの状態はこりゃちょっとスコットランドと大差ないなという感じ。

 柏木が前の2試合よりもいいボールを出している。前はあまり見れなかった彼がボールを持つシーンを見ると、前園に似た選手なのであった。―――その柏木のコーナーから牧野のヘッド、完璧! これは予想外にイージーなゲームになったが、ここはノックアウトステージ、休まず2点3点と行こう。どうも林が無意味に極限までプレイを遅らせる癖があり(相手のFWが近づくギリギリまでキャッチしないなんていうあの仕草に意味はないではないか)、昔のようにオーバータイムを取られそうで怖い。

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 30分、日本が延々とボールをまわし崩しどころを探る。梅崎らの勝負パスに狂いがありフィニッシュにつながらない。相手のプレスが特に厳しいわけでもないので、この辺はまだA代表の天才たちには及ばないなと思う。プレス守備は本当にすばらしい選手たちなのだが。

 36分、田中、柏木とPKボックスに入るもシュートを打たず、なぜ打たないのだといらいらしたところで安田が打つ。いいシュート。田中も柏木もあそこまで入っておきながら最初からシュートを打つ気がないのが前園や俊輔とは違う。

 南米レフが常に体の小さい日本寄りにコンタクトを取るのでブーイングが起きる。41分、PKエリアで安田が後ろからボールを奪い相手を倒すが許される。よくないムードである。どんどんレフに対するプレッシャーが高まっていく。

 チェコが体格差を生かしたボールキープでPKエリア付近にとどまり攻める時間が続きハーフ。日本は攻めていたわりにはシュート数が全然足りず、初戦のような爽快感はない。勝てば文句はないとは言えるが、これだけ相手が弱いのだから(なんと支配率 62%-38%)、もっとシュートを打って楽しいゲームにできんのかというフラストレーションを感じる前半であった。カザフスタンあたりとのアジア予選を見てるみたいな盛り上がらない試合である。

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 後半最初のアタックでいきなりPK。確かにリプレイを見れば田中は押されているが、さっきの安田PKなしがあるので日本に有利すぎて禍根を残しそうな判定である。チェコが切れてラフなゲームに突入しそうな予感。

 また安田が後ろから足をかけ倒すもPKではなくFK。嫌な雰囲気。このあとブーイングに負けて、レフの判定に反動が来るような気がする。爽快な点を取って文句なく決めてしまいたい。梅崎の鋭いミドル、弾かれる。よしよし、こういう風に攻めてくれんと。

 相手のCK、チェコが大挙して上がり林が完全に空振るも森島が戻り弾き出す。このオシムにも評価されているという林ってのは非常に当てにならん。ここまでシュートストップ能力はほとんどまったく試されていないが、ゴールキックは下手だし手で扱えるボールを迷って足で扱う癖もあるし、ヘボGKが持つ空気を発散している。この試合はまだしも、この先とんでもないことをしてくれそうな気がする。

 15分、チェコが浮き球とFKで攻める時間がしばらく続く。林のミスも延々と続く。そろそろ日本もペースを握り返さないとまずいのだが押し返せず。この辺は重く大きいだけではなく、さすがに中盤のプレスもうまく足技もあり、キープされてしまう。

 チェコにPK! 軽いコンタクトだがさっきのと併せ技で1本という感じ。日本はまったく押し返せなくなっているので、これを決められるともう結果はわからない。決まった。さて日本はどうするか。

 うわ、またPK。これは福元がボールに行ってから相手の足に当たったのであって、あれを取られてはDFは気の毒だろう。「チェコFWが大仰にダイブしレフがそれを買った(言い分を採った)」とアナウンサーは言う。やっぱ前半妙に日本寄りの判定を続けていたせいでプレッシャーが高まり、今その反動が来ているような判定である。

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 ま、2-0のまま勝っていても後味が悪かったので、ここからまたスタートすればよし。日本は疲れて押し込まれているわけではないのだ、落ち着いて力を出せばまだ戦える。35分、ようやく日本が息を吹き返しオープンな打ち合いになる。あれだけ猛攻したのだからチェコも疲れているだろう。延長前に決めたい。

 相手FWがイエロー2枚で退場。チェコはレイトタックルで日本の中盤を何度も倒しており、その合計が彼に来たという感じ。もっとはるか前に止めて別の選手にイエローを出すべきだったので、ここにもこの審判の判定の揺らぎを感じる。悪い判定をしてからあとで別件で補うのはやめてほしい。

 1人減ったチェコがゴール前に固まってしまい、日本の攻めが遅くまったくシュートを打てないまま延長へ。後半は驚くほどの形勢大逆転であった。日本に疲れが来ているとも思えないので、チェコは前半のうちに日本に慣れ、守り方と攻め方をアジャストしたのだろうか。攻撃に関してチェコは、体格差を生かし足元に収めれば、日本選手の届かないところでキープし必ずシュートに持っていけると見切った感がある。ナイジェリアは間をおいて足元の技術で勝負してくれたので1対1でも対処できたのだが、チェコは手足と背中を使って日本選手に体重をかけ動きを止めて自ボールにし、1発の大きなフェイントでDFをずらしボールを通してしまう。嫌らしいというか、さすがサッカー先進国という感じ。

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 【延長】どうしたらフィニッシュに持っていけるのか。チェコは縦パス1本と個人技でPKエリアに入っていけるのに日本は攻めが遅すぎる。後ろで延々とまわしては前に飛ばして失う、ジーコジャパンみたいになってしまった。何をやっているんだ安田、無駄球を前に飛ばすなよ。

 9分、ようやく柏木がドリブル突破、コーナーを取り波状攻撃。やっぱこれしか相手を崩す方法はない。サッカーはドリブルだ。チェコだってドリブルで日本DFを苦しめているのである。

 日本が効果のないアーリークロス攻撃をやめ、サイドからのドリブル攻撃に切り替えてファウルを誘う。直接FKを柏木がはずす。この辺が上の世代のスターたちに一歩及ばない。延長戦ハーフ。

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 攻められるが攻めきれず厳しい反撃を受ける。シドニーで黄金世代がPK戦でアメリカに負けたのにそっくりなムードになってきた。あのときは疲れ切った高原に換えまだ本山が使えたのに、トルシエが硬直して負けたという印象があったのだが、今回はハーフナーを出しても仕方がないしなあ。PK戦に備えGKを武田に換えてくれまいか。

 最後の5分日本の猛攻、人数をかけ速いパスをつなげ崩し何度もシュートまで行くも、相手が耐え続ける。これを続けていれば必ず点は入るが、延長の残り5分までできないのでは遅すぎた。延長開始から力尽きるまでこれをやるべきだったのである。

 そしてシドニーと同じように負けた。はあ。前半支配率 62% から負けるとは。サッカーは難しい。

 シドニー黄金世代の負けとどちらが残念かというと、これはやはり才能を余して負けた 2000 年のほうが悔しかった。今回も勝てる相手だったが、後半まるで押し返せなかったのは事実なので、力不足であった。中盤の守備はとにかくすばらしいチームであったが―――つまりオシムいうところの労働者には恵まれたチームだったが、ゲームを決めるインスピレーションにほんの少し不足するチームだったということなのだろう。残念。安田は北京で頑張りたまえ。

2007/07/08

日記「ワールドユースざんまい」

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■07/07/02(月) □ この夏初のウォーターパーク
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 この夏初めてウォーターパークへ。もうプールも開いていたが、泳ぐとすぐに冷えてしまいそうなので噴水だけにしておいた。噴水でも濡れると風が涼しすぎ、一度濡れるともう水に入る気はせず日向で遊ぶ。こうして夏、萌と遊んでやれることは幸せなことだ。

 ワールドユースを見てサッカーに対する気持ちが再燃し、Youtube で 1999 ワールドユースの映像を見てしまった。あのときは本当に楽しかった。本山のウルグアイ戦奇跡の突破などの映像が残っている。本山がその後、オリンピック代表ですら出番のない代表人生を過ごすとは思わなかった(まあまだ現役なのだが)。中田も同様に20代中盤から切れがなくなってしまったし、今のユースを見ていてもアジア人はとにかく若いうちは無茶苦茶速いのだが、その後伸び悩むのはアジリティが落ちるからなんじゃないかという気がする。中村がいま最盛期を迎えているのは、元々アジリティで勝負するタイプではなく、技術に加え運動量を上げているかららしい。

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■07/07/04(水) □ 日本・コスタリカ戦
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 ワールドユースを見るために $2.5 でチャンネルを購入。さっそく Czech vs. N. Korea、Brazil vs. South Korea をざっと見た。チェコが北朝鮮に苦慮するさまを見て、ユース世代ではスピードでアジアが優位と思ったのだが逆に、「欧州白人系がユース世代では完成が遅い」ということなのかもしれないなと思う。南米はやはり圧倒的にアジアより上なわけで。

 韓国と日本を比較すると、アジリティでは同等だが日本選手のほうが落ち着いてボールをさばいている。もちろんスコットランドとブラジルでは強さが段違いなわけだが、直線的にガーッと突進していく韓国よりも日本選手のほうが多くの選択肢を備えているように思える。

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 【◆日本・コスタリカ】さあ始まる。今日はビクトリアも PoCo 同様に暑そうなり。日本のスタメンは変更なさそう。

 暑さもあってか静かな立ち上がり。コスタリカは中米らしく細かくつないでくる。フィジカル的な差はない。初戦勝っている日本が落ち着いており、コスタリカよりゆっくり目に正確に攻めていく。格上っぽくて悪くない。

 お互い攻め手を探り合う攻防から15分、浮き球の処理で相手にボールを奪われシュートを打たれる。あやうく枠をはずれ助かった。コスタリカはDFがさっと数を揃えて守り、奪うとアーリーフィードを前線に送り込んでFWがルーズボールをなんとかするというのが攻撃のメインで、戦術も技術も中東的である。ああしたアクシデントを除けば脅威は感じないが、FWの能力は高くその事故の確率は相当に高い。初戦の失点もDFのカバー不足だったのでセーフめにいってほしいと思う。

 25分、なかなか日本のペースが上がってこない。ボール回しは安定していて相手にも攻めさせてはいないのだが、初戦ほどの速さがないので相手の守備ブロックがすぐに対応してしまい崩せない。このチームは中盤に特徴のよく似た攻守共できる選手が揃っているのが強みなわけだが、こうしてペースに乗れないときは個人勝負に出て皆を引っ張るタイプがほしいと思う。柏木・梅崎あたりは個人技もあるとのことなので、勝負して崩しを狙うべきだろう。とにかくペースが初戦よりも遅すぎ、そうこうしているうちに失点でもしたらまずいことになる。

 35分、やっと縦のクサビからシュートまで行くが河原がDFを交わせずブロック。これでペースが上がるかと思ったらカウンターでシュートを打たれる。うーん、乗っていけないなあ。これは中2日の疲れと暑さのせいだろう(※)。サブに水野みたいなドリブラーがいればいいのだが。
(※)あとで選手のインタビューを読むと、「下手に中盤にボールを当てようとすると、相手はリトリートをおとりにして、前に一気に出てきてボールを奪うことを狙っていた」という展開を警戒していたらしい。監督は相手が狡猾で前からはプレスがかからないので、「ある程度引いて、自分のゾーンに入ってきたらプレスを掛けるように、0-0でいい」と指示していたとのこと。

 実に静かで盛り上がらぬ前半が終わったところで、現地レポーターのP氏に電話。―――声を出せばピッチに届きそうですか? じゃあ、「仕掛けろー!」と叫んでくだされ! このまま事故的にコスタリカが得点してしまったらアウトである。その前にペースを上げ点を取るのだ。

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 ◆後半:立ち上がりに変化なし。コスタリカはFWペレスの勝負に賭け続ける。日本は後半逆光なので、浮き球勝負を何度も仕掛けられると事故の確率はどんどん上がっていく。攻めろ。

 10分、やや中盤がオープンになってきて、右に張った河原(?)からのチャンスメイクで柏木がミドル。よし、これでいい。やっとゲームが動いてきた。オープンな打ち合いに持ち込めば中盤の能力で勝てる。

 20分、相手の圧力が落ちたのか日本が遅攻からていねいにつないで狭いところを通しチャンスを作り始める。相手も疲れていてクリアするだけになり、そのボールを拾い波状攻撃。3度目あたりできれいに崩し、梅崎のクロスから多人数が飛び込み田中が決めた。完璧。よし。こうしてきちんと怠らず攻めれば、どんな相手でも崩す力は十分にある。

 25分、相手も疲れているのでここでサブでも入れて畳み掛けてほしいのだが、双方特に何も起こせず時間が流れる。あ、河原に代わり青木、初戦と同じか。中盤にいいサブはいないんだろうか。

 35分、コスタリカ攻撃陣が必死に攻める。ミドルが何本か際どいところに飛ぶ。日本GKはなんか見た目サエない選手なのだが、足が攣っている。試合結果に影響がなければいいが。

 残り5分、これに負けたら終わりのコスタリカ最後の猛攻。コスタリカが上がっているのでカウンターを狙えるが、日本にも足が残っていない。う、5分もロスタイムとは。まあ仕方がない。耐えるというほど厳しく攻められているわけではない、我慢が必要なだけだ。

 最後のコーナー、敵のヘッドがヒット! おお、なんかさっきから再三ゴールキックをミスったりして駄目男っぽいGKが、初めてファインセーブをした。よし、ここで遅延行為のファウルなど取られるなよ。すぐに行け。―――よし、無事 2nd 進出決定。点を取ったシーン以外は初戦のような輝きはなかったが、明らかに双方疲れと暑さにやられた中辛抱強く戦い実力通りの結果を出せたのはえらかった。これで次の試合はサブを出し、主力を休ませることもできるだろう。

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■07/07/05(木) □ 気の毒なカナダ vol2
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 ◆【カナダ第2戦-オーストリア】:さすがに初戦とは違って、普通に攻防があり試合が進む。テクニックが足りないカナダは肉弾戦を仕掛けており、フィールドのあちこちで痛そうなコンタクトが起きている。

 その後短くつないでチャンスメイクするシーンなどもあって、初戦とはたしかに段違いによいチームになっていたが、テクニック的にオーストリアに劣っており、相手は少ないチャンスから危険なシュートまで持ってくるのに、こちらはフィニッシュに持っていけない。

 その後コーナーから失点し、後はヤケになりラフなファウルを連発するカナダであった。日本は負け試合でもラフになることはないので、そういうところは誇れる国民性だなと思う。そのまま何事もなく終了。このカナダチームはフレンドリーでアルゼンチンなどすごい面々といい勝負をしており非常に期待されていたのだが(おかげでこの大会も盛り上がり、チケット売り上げはカナダスポーツイベント史上最高とのこと)、やはり初戦があまりにも、自分も悪ければ相手も悪かった。あんなスタートをしてあと2試合でいい結果を出せたチームはないだろう。

 ゴールにはならなかったがカナダの最大のチャンスは皮肉にも、結局ビルドアップなど無関係なDFからの縦ポンであった。カナダより技術的に上回るオーストリアでさえも縦ポンをずっとやっていて、日本は世界でも珍しいつなぐサッカーをやってるんだなあと思う。まあ日本が縦ポンでFWが競っても勝てるわけないが、つなぐサッカーを楽しめる日本サッカーファンは昨日のような美しいゴールが見れてラッキーだ。

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■07/07/06(金) □ USA・ブラジル戦
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 晩飯を作りながら横目で【USA・ブラジル戦】を見ていて、USA はどの年代もいいチームを送ってくるがブラジルが案外で、これなら日本も勝てるなあと思っていたら、なんと知らない間に USA が先制していた(※)。
(※)このワールドユースカナダ放送はスコアと時間表示がなぜかハーフに2度くらいしか表示されないので、ずーっと見てアナウンサーの言うことに耳を傾けていないと試合の流れがさっぱりわからない。カナダのサッカー放送はこれがたまにあるが、いくら文字より音声を好む国民性とはいえなんでこんな不便な仕様にしてるのか。

 必死に追うブラジル、押し返す USA、非常に面白い試合。まるでWCのフランス・ブラジル戦みたいで、USA の大きな黒人選手がリーチの長さでブラジル選手に思い通りにプレイさせないのである。そして USA には有名なアドゥという選手がおり、これがたしかにピッチで一番すごい選手であり、追いつかれた後の2点目を彼がドリブル突破で生み出してしまった。すばらしい。

 このままでは1勝で敗退のブラジルが最後まで必死に攻め込むも敗退。実に面白い試合であった。カナダ国営放送のアナウンサーが「こんな試合が見れるなら、カナダでもホッケーよりフットボールが人気になるだろう」とまで言っていた。

 しかし日本が次にあたる可能性があるチェコもたいしたことないし、日本はベスト8の力は優にあるな。

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 Dグループ2位を決める【ポーランド・韓国戦】。ポーランドはスコットランドにも劣る巨人系スローチームで(このチームがブラジルにどうやって勝ったんだ?)、大声援に乗った韓国に攻めまくられている。これはチョコマカ系韓国にとっては最適な相手で、余裕だろう。しかしなんでBCならともかくモントリオールにこんなに韓国系観衆がいるんだろう。カナダ中から集まってるんだろうか。

 ポーランドの大型FWが非常に効いている以外は韓国の完璧なワンサイドゲームとなる。この韓国と日本は五分の戦績だろうが、細かいステップのボール運びで韓国が上回り、速いパスの組み立てでは日本が上回る。しかしドリブル勝負で組み立てる韓国サッカーはWCのときも効くなあと思ったし、やっぱり日本にもドリブラーはほしい。―――うわ、ポーランドFWヤンチュクが桁違いの能力でほとんど何もないところから1点取ってしまった。ポーランドのルーニーと呼ばれるこの選手は、確かに天才的な得点だった。大物になるだろう。平山もこれくらいすごければ騒がれても納得するが、背丈以外はものが違う。

 後半ポーランドはさらにべったりと引く。パスの精度と戦術眼は今ひとつな韓国は攻めあぐねている。決定的なボールを出し敵を崩すMFのタレントの有無で日本に及ばないかと思う。結局1点は返し追いつきその後も攻め続けたが、ベタ引きのポーランドから必要なもう1点は取れず敗退。まあ世界大会で日本が韓国を上回るのはいつものこと、君たちは米国・ブラジルとクジ運も悪かったし、FW以外はベタベタのポーランドに勝てないのだから実力も足りなかった。ここから先は任せておいてくれ。

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■07/07/07(土) □ 腹痛でサエない誕生日
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 朝腹痛を感じて何度か目を覚ました。うー。だがこれは昨日までの風邪系腹痛ではなく、消化不良のような気がする。昨夜スナックとして煮干しを食べたのが失敗だったか。うー。掃除などして少し体を動かそう。



 午後、萌に浴衣を着せて新しい日本語学校のオープニングイベントへ。浴衣を着てたのは先生たちと萌だけで、お母さん方の注目を浴び萌はシャイアタックを発し最初は大変だったが、3つほどゲームも用意してあって先生方の意気込みが感じられ、小ぶりながら快適でよい学校となりそうであった。頑張ってくだされ。

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 さあ【日本・ナイジェリア戦】だとTV前に準備をすると、濃紺のユニフォームが出てきた。―――あああ! やられた。スコットランド・コスタリカに放送差し替えである。カナダのスポーツ番組ではしょっちゅうこれがある。まさかグループ1位決定戦を最下位決定戦と差し替えるとは。どういう了見なのか。とほほ。サエない誕生日となった。

 そして風呂に入っている間に地上波で放送されてしまった。あっと気がついたときにはすでに後半終了間際。どうして一言7時から地上波に差し替えと言ってくれないのかカナダ国営放送(泣)。その後半はナイジェリアが疲れているのか日本ペースでいい試合だったが、前半はかなり日本が攻められたらしい。あとで放送があることを期待しよう。

 しかし最後に入った稲本モドキ安田が、モノが違う活躍ぶりであった。普段左サイドの彼が今日はセンターMFとして入ったのだが(元々攻撃的ポジションも得意らしい)、「黄金世代」の選手たちに劣らぬ才能を感じるボールさばきとボール出し、ゲームの読みとボールの呼び込みであった。前評判の高い柏木の技はまだ見れていないが、梅崎と安田にはすごみがある。彼らがいることが韓国との違いといえるだろう。

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■07/07/08(日) □ 日本・ナイジェリア戦
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 やっと【◆日本・ナイジェリア戦】を録画で見れた。スタメンの2トップと青木はJリーグサブのレベルだなと思っていたが、1トップのハーフナーは開始2分で2回ボールをタッチして失い、3回目にショートパスを通すと「今回は失わなかった」とアナウンサーに指摘されるほど下手なのであった。藤田がいきなりヘッド、ナイジェリアはスロースターターなのか序盤は日本がらくらくと攻めている。

 5分:ハーフナーが反転シュート、ミートせず。梅崎のクロス、ハーフナー空振り! やっぱ、あと3年くらいたって筋力が十分につけばいいかもしれんが、現時点ではいかんせんという感じ。しかし本当に日本が圧倒的に攻めており、ここまでは8人がサブという感じはしない展開である。

 20 分:一進一退の膠着状態、ナイジェリアが日本ゴール前でアフリカらしい細かいステップでチャンスを狙うが打てない。梅崎のクロスをハーフナーがまたもミス! これかー。まあ仕方がない、あれは柳沢も「急にボールが来たので」といって当然ミスしたであろう。ああいうコースが変わる速いクロスに反応してきちっと入れられるすごいFWがいれば、どの年代も苦労せんのである。

 22 分:ナイジェリアシュートを武田が好セーブ。GKは林よりも彼のほうが明らかに機敏でいい選手に見える。ここまでは日本の保持率のほうが高いと思うが、だんだんナイジェリアのエンジンがかかってきた感じ。

 25 分:細かいステップとつなぎでチャンスを伺い続けるナイジェリア。日本は当然人数を揃えてしっかり守るが、こんなところからでも美しい反転でシュートを打てるのがアフリカ選手の楽しさだわ。そのシュートコースを細かく切って対応する日本の動きも心地よい。お互い持ち味が出て面白い試合になっている。

 28 分:ナイジェリアカウンターからシュート、武田好セーブ。この辺からナイジェリアのアタックが続き押し込まれる。日本のつなぎが非常に不正確になっており、別にプレスは厳しくないのだからゆっくりつなげばいいのにと思う。何度もシュートまで持っていかれて心理的に押され攻め急いでいるんだろうか。

 その後ハーフまでは打たれて拾ってつなげずまた打たれるの繰り返し。必ずシュートまで持っていくナイジェリアはさすがに前回準優勝といえるが、コスタリカみたいに浮き球で事故を狙われたほうが日本にとってはずっときつく危険なので(WCだってそれで豪にやられたのだ)、こうして技術で勝負してくれるのはありがたい。技術で負けるなら負けても相手を尊敬できる。日本はとにもかくにも奪ったボールをつないで相手の攻撃頻度を下げればいいだけのことなのに、なぜつなげないのか。それがサブ組ゆえのこなれてなさなんだろうか。

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 後半ナイジェリアの圧力が落ち、日本も攻撃を再開する。しかし藤田と梅崎がサイドでボールをもらい折り返し、中には誰もいないというシーンが続く。香川が胸トラップからシュートを決めるがハンドの判定。ユニフォームの袖がかすったかどうかという程度でハンドにされてしまった。この審判は何事も厳しく取りすぎで試合をつまらなくしている。まあこの後平重がわざとゆっくり交代してカードをもらったのは非常に正しいと思ったが。

 そしてこの後は昨日見れたわけだが、安田はセンターをやらせたら梅崎以上にいいMFだと思う。梅崎はスピードで相手を抜いてクロスを入れる選手だが、安田はコース取りで相手をかわし、いいポジションを取って何度もボールを呼び込むなど、ゲームの読みで中田的なセンスがある。シュートを恐れずどんどん打つ度胸もいい。柳川か香川で守備力が足りるなら左SBは彼らに任せ、攻撃的ポジションで安田を使いたいなあと思う。まあそんなことは準備段階で何度も試しての現在のフォーメーションなのだろうか。

 というわけで試合結果はよし。ハーフナーは現時点では戦力にならんことはこの試合でわかったが、ほかのFWだって力量的に大差はなく、主力を1試合休ませることができただけでも彼は仕事をしたといえる。あの力量の選手に1トップをやらせたのだから、監督も多くは期待してなかっただろう。それと藤田がこのレベルでは相手を抜けずフィニッシュにつなげる力がないと感じた程度で、サブ組はよく頑張ってくれた。総論として、北朝鮮相手に決定的な差を見せられなかったチェコには絶対勝てる。シュートさえ入れば(ここが難しい)。

2007/07/04

甦るサッカーへの情熱@ワールドユース

【ビクトリアで日本代表を現地応援する偉大なP氏】: 最後に気合いを見せましたねぇ>韓国。もうちょっと時間があればタイしたかも
【自宅で少ない放送枠にいらだつサカタ】: 放送ありませんでした。追いかけて2点取ったと? それは根性あるなー。
サカ: 韓国は毎度ながらえらい。わが国も続けアジアの曙。U-21 の最近の日韓戦をイトコが DVD でくれたんですが、やっぱ韓国は延々と強いなあと改めて思いましたよ。日本はパス回しがいいので実力は五分と思いますが、FWの一瞬の切れと集中力は負けますね。

サカ: ああ今の日本ユースにいいFWがいればなあ。高原くらい点が取れる奴がいれば、99年の夢をもう一度なのに。大久保みたいな天才がいれば最高。
P氏: えなりかずき・・・・そっくりが取り柄なFWですからねぇ。。。

サカ: 僕のサッカーへの情熱は中田と共に去った状態が1年続いてたんですが、スコットランド戦を見て完全によみがえりました。やっぱ日本はこんなにいいサッカーができるんだぜと。
サカ: だからナカータも現役復帰してほしい。
サカ: 最近チャリティマッチに出まくってるらしいし、
サカ: MLSに入るのではないかという噂をまいてる評論家もいるし。
サカ: ナカータがバンクーバーホワイトソックスに入ってほしい。
P氏: ホワイトキャップスですぅ!!!
サカ: そうか(^_^;;)。
サカ: とにかく、オシム監督も現役復帰すれば代表に入れると明言してるらしいし、ナカータの前途は開けているのです。
P氏: ですです
サカ: 旅はもう、やめろ。

2007/07/02

日記「ワールドユース 2007 開幕」

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■07/06/27(水) □ 空手昇格試験を見学
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 今日は空手で萌のクラスメイト5名が白に黒線3本からオレンジベルトへの昇格試験を受けた。みな緊張しており、1時間にわたる長い試験なので途中混乱して技を忘れる子もいてハラハラしたが、全部終わり、先生が論評の後で「ではみな白帯をはずして」と告げると、全員合格であることがわかり拍手喝さい。こういうのを見たのは初めてだが、誰もが心から拍手をし笑顔が広がり感動的であった。

 先生は萌が型をすでにある程度できることから、これを全部覚えたら白帯にラインが1本入るよと昇格の話をし始めている。LSと一緒に頑張れば近い将来昇格となるんではないだろうか。しかし萌が今日の女の子のように2年後にプロテクターをつけてボーイズと打ち合うなんてことはあまり考えられず、萌のベルトの色はオレンジにはならないかもしれないな。組手なしで昇格させてくれたらいいんだけど、そうもいかんだろう。

 今日はハイドクリークセンターまで初めてバイクで行ったのだが、気持ちよかった。こんないい季節は自転車に限る。

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 夜Mを迎えに初のエリオナイトラン。昼はあんま思わんのだが、夜はデジタルメーターが鮮やかかつカラフルでよい(光量もちょうどよく調節できる)。暗い国道にぼんやり浮かぶ街灯みたいな普通のアナログメーターに比べ、明るいネオンのようで気分が明るくなる。

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■07/06/29(金) □ パーキング内移動の楽しみ
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 夏休みに入った萌が朝から友達に電話してくれとうるさく、家の修理もせねばならずふーな1日。とりあえず買い出し。

 買い物に行くたびに、パーキングでの移動のあまりのイージーさにひそかに快感を覚える。レガシィはスピードが乗ってしまえば最高の車だったが、こうした微速ではステアのスローさと回転半径の大きさとパーキングのバンプでのショックのきつさに、いささかうんざりしていた。それらが解消されたことで、サスはスポーティじゃなくてもスズーキに乗るのは楽しい。小さな車はパーキング内移動が楽しいのです。MTBに初めて乗ったときに、それまでのスポーツバイクの究極コーナリング追求とはまったく違った地平の楽しみが現れて俺たちはみな夢中になったのだが、それとちょっと似ている。

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■07/07/01(日) □ ワールドユース 2007 開幕
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 カナダデーセレブレーションに萌をつれて行く。前に2度行って退屈だったのだが、まあ晴れて暑くもなくいい天気なので、せっかくだから。がやっぱり退屈で、1時間待たされあげくに音楽は始まらず地元エアロビックの演技となったので、あきらめて帰ってきた。まあ天気はよかった、ほんと。

 この手の催しには商売熱心なテコンドーの演武がつきものなのだが、こないだ萌のクラスで白帯からオレンジに合格したキッズ程度の力量と見える子供がみな緑、青、赤といった濃い色の帯をつけており、中学生くらいの女の子がすでに黒帯を巻いている。空手や柔道で黒帯といったらよほどのことなので(萌のレッスンの師範代ですらブラウンなのだ)、やはりテコンドーの帯システムはどう考えても他の武道よりインフレが激しい。萌の同級生が赤ベルトで板を割ることもできるとこないだ聞いて、小1で色つきベルト? と妙に思っていたのである。

 ざっと調べてみると、直接比較はできないがテコンドーは白帯期間が短く、萌の流派での「白に2本線」が黄色となり、オレンジが緑となり、その後も2級ずつどんどん色が変わっていく。まあ単なる帯の重みの違いなわけだが、こうした演武でやる技も板割とかジャンプして敵のキックをよけるとか子供が喜ぶ派手なものばかりだし、どうもテコンドーは武道らしい重みが薄い。

 ちょうど萌の空手メイトのVC兄弟@オレンジベルトが見ていたので話しかけると、「さっき板を割って手を切って血を流してる人がいたよ」と俺に一大事のように言う。うわー、血は嫌だねと答えると、「うん、僕らのセンセイはああいうの(板割)をやらないと思うな」と彼は言い、この演武にはあまり感銘を受けていないようであった。よろしい。萌の流派は実戦空手ではないが、型が美しいのでよいと思う。

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◆ユースWC第1戦:スコットランド

 10年ぶりに見るワールドユース。楽しみ。小野たちのときの記憶から、日本はイングランド系と手が合うのでこの試合はまず勝てるだろうと思われる。

 ちなみに萌と濃い血縁関係にあるイトコのNK君がアメリカ U-20 メンバー表にないのであわてて調べてみると、彼はまだ U-18 カテゴリーにいるらしい。見つかったサイトに U-18 メンバー表というものは存在しなかったが、ナショナルキャンプ的なものに呼ばれているのは確認できた。次の U-20 WCに期待しよう。

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 出だしから完全に日本がゲームを支配。日本にあまり際立って才能を感じる選手は見当たらないが、アジリティと技術でいいようにやっている。この辺はやっぱ若年層でのアジアの優位で、ガタイの大きなスコッチボーイズはこの年代体の大きさに筋力が及んでいないのだろう。これだけ優位があるうちに勝てないのでは将来も勝てないので、余裕を持って勝ちたいところ。

 しかし日本はうまいなみんなほんと。アイデアや相手の読みもなかなかいい。フィニッシュはみなボックス内で待ち受けるスコッチDFの足に止められているが、そこまでの組み立てアイデアや精度は十分に高い。2トップがどう見てもJリーグのサブレベルで高原、永井、坂田あたりより甚だしく落ちるのが残念だが、中盤以降のレベルは揃っており、パス回しと守備の質は非常に高い。特に中盤の動きが攻守とも素晴らしく、小野時代の酒井のような技巧的ハードワーカーが並んでいるという感じ。

 中盤、スコッチが日本の速さに慣れてきた。手足の長さを利してイーブンボールをコントロールできるようになり、こうなると細かな組み立てはなくとも個人の動きの大きさでシュートできるところ(日本選手の足の届かないところ)にボールを持っていかれてしまうので、いいパスを出されないよう気をつけねばならない。

 スコッチの押し返しをしばし耐えてまたペースを取り戻し、DFのミスからラッキーゴール。まあこれまで作ったチャンスの数とフィニッシュの質から見て、45分で1点は妥当なところ。日本選手は、細かく速く組み立てながらも最後はゆっくり強く打つことができないと、きちんとミートせず点が取れないのだろうなー。この程度ではまだまだワールドクラスのチームとは戦えぬ。後半はもっと頑張っていただきたい。

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 後半、まるでボールを持てないスコッチが苛立ちかなりラフになってきて、イエローが出始める。カードのたびに観客が判定に対してブーイングをする。日本の応援観光客のほうが多いかと思ったが意外―――と思ったらとたんに雄雄しくバグパイプが聞こえてきた。あそうか、カナダにはスコッチ系移民が山ほどいるのだ。なるほど。

 しかしそうした場内の雰囲気を意にも介せず梅崎が完璧なミドルを突き刺す。こういうレベルの違う技が見たいのだよ、よしよし。スコッチDFはバイタルエリアでずるずる下がるばかりなので、こういうシュートが打てて当たり前である。解説は、ナイジェリアがこのグループの本命かと思ったが、これは日本になっても不思議はないと言いはじめた。

 あとは怪我なく怠らず戦い、もう1点くらいは取りたい。―――うわ、こう着状態の中田中選手のファンタスティックなロングフィードから完全に抜け出した森島が(この抜け出しはまるで先輩森島のようだった)、これは入らんという自信なげなぎこちない持ち込みからヘボなシュートを止められる。うーむ、本当に他にFWはいないのか(※)。しかし中盤以降は素晴らしい選手が揃い、ボランチの青山がGKの手を弾いて超ロングシュートをきめた。見事。日本はミドルシュートが弱いと昔から言われていたのだが、最近は U-23 もこの世代もすごいシュートを打つなと驚く。これは中村などの影響なのだろうか。
(※)浦和のアルゼンチン系帰化選手が期待されていたのだが、結局入らなかったらしい。森本は怪我か。

 と思ったらスコッチが一矢を報いる。中盤からのスルー一発で崩され(やはり「個人の動きの大きさ」でやられた)、GKが弾いたボールを押し込まれた。DFが十分な数戻ってなかったのは一体なぜだ。3点差で気を抜いたのだろうか。これでスコッチと応援団が押せ押せになる。この締めの悪さを拭うためにもう1点取って能力差を見せつけるべし。....と思ったが、残り5分以上あるのに敵コーナーフラッグでボールをスクリーンして時間つぶしに入る日本。なんかボールの奪い方や試合運びに、南米的というか妙に老練なところがあるチームである。まあアジリティがありつつ慌てていないところがえらい。

 そしてそのまま終了。大ミスはあの失点の1つだけだったのでチーム全体はよしだが、FWが相当に弱いなあ。U-23 のカレンみたいに、せめて自分はつぶれてもボールを引き出し中盤にボールを落とすというFWがいればと思う。昔WCで城と中山が「大会で最もレベルが低いFW」と海外メディアに言われたが、森島、河原、青木はあのレベルにも遠く及ばない。今日出なかったハーフナーという選手に期待したい。

 しかし、名も知らぬ日本人監督に率いられこれだけいいサッカーをする U-20 日本代表を見るにつけても、去年の夏の悲しさが思い起こされる。プロ監督でさえあればほとんど誰が率いていても、日本サッカー黄金世代があんな風に幕を閉じることはなかったのである。

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 夕方録画した【◆カナダ・チリ戦】を見る。カナダの中盤でのプレスがえらい弱くて、フリーでどんどん危険なロングフィードを打たせている。この辺は厳しい試合の経験が低いんだろうか。チリが強いのは当然だろうに(全員サラスみたいな屈強でバランスがよく戦う選手ばっかり)、カナダは地元のなのになんでこんな強いチームと初戦なのだと気の毒になる。このカナダユースへの期待は高いらしいが、このチリはブラジル・アルゼンチン級ではないか。ホストカントリーなのにこんなチームと初戦というのは、いくらなんでもひどすぎる。どうやったって勝ちようがないではないか。普通ホスト国にはニュージーランド・北朝鮮くらいの、地の利と実力を発揮すれば勝負になる相手を置くだろうよ。なにを考えてるのだ FIFA。ため息。

 1点目が入ってからはもう見ているのがつらくて早送りしていたが、後半は苛立つカナダにイエローが出まくり観客もブーイング以外することなく、無残な0-3であった。建国記念日でTVラジオが盛り上げる中、カナダサッカー史に残る大ミスマッチを演出してくれたわ FIFA。まったく、スコットランドをカナダに分けてあげたかったくらいである。