2009/12/27

日記「音楽的クリスマス」

「結局クリスマス行事全敗」「YAMAHA 購入決定」ほか。

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■09/12/16(水) □ 萌の体力回復に努める日
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 ストマックフルーが治った萌は一日静かにし、滋養のあるものを食べ過ごしたのだが、夜寝る間際になってまた少しお腹を痛がる。晩飯は普段のわずか 1/4 量で、ライス、魚の白身、納豆、蒸し野菜、アボカド一切れだったのだが、納豆は豆だからガスは発生するだろうとMはいう。しかし発酵してるのに?

 今回のストマックフルーでMも俺も無数の「消化にいいもの」ページを見まくったわけだが、科学的根拠を示した確実な情報ページというものはなぜか英日どこにもない。公共サイトかせめて企業サイトからの情報であれば研究に基づく信頼性が感じられるのだが、手に入るほとんどの情報は個人の経験や見解に基づいたものなのである。したがってあらゆる人々の言ってることが全然違う。正反対だったりする。納豆だっていいという人と悪いという人が両方いるのである。これには困るのである。

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■09/12/17(木) □ 結局クリスマス行事全敗
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 朝起きてきた萌は足に力が足りず、やっぱりスクールと老人ホーム慰問(くるみ割り人形ダンス)に行けないとしくしく泣き出した。ダンスだけでも行かせてやりたいと思ったのだが、踊れないのでは意味がない。せめて数日発病が前後にずれていてくれれば、今日か月曜の全校リハーサルには行けただろうに、行事ド真ん中にフルーがストライクしてしまったわけである。はあ。

 かわいそうなので夕方1年半ぶりにFF9を引っ張り出し、萌と久々にゲームを楽しんだ。RPGはバトルが面倒だ、それにFFシリーズはとにかくストーリーが分からないと痛感する。間を置きすぎたせいもあるけれど、セリフを読んでもまるっきり意味がわからず萌に意訳できないのだ。特に敵の親玉らしいクジャの言ってることは分からない。まあFF世界はセフィロスみたいな意味不明な奴が多いということで、セリフは読まずにどんどん進めていく。

 しかし実際ストーリーなんてどうでもいいんだよな、FFは。次の景色、めくるめくグラフィックを見たくて頑張ってしまう。それを楽しむゲームなんです。

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 明日から戻れるだろうと、Mが学校に行き休み中の課題などを持ち帰る。病気だったんだから別に課題などやる必要もないだろうと思ったが、持ち帰ったプリントやノートを見て萌が元気になった。金曜までこれをやってたんだよねーと俺に見せながら、課題のノートに取り掛かる。いや別にすぐにやらなくていいよというと、「やりたいの、I missed it(やりたくてたまらなかった)!」だそうだ。萌は本当に学校が好きだ。

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■09/12/18(金) □ 萌はついに学校へ
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 萌はついに学校へ。猛烈に照れてしまい、皆がどうしたのよ、クリスマスコンサートをミスしたじゃないと話しかけてくるのにロクロク返事もしない。まあとにかく無理しないようにと言い聞かせ、先生にもフルーは完治したがまだ体力がないと伝言して置いていく。今日は終業日なので実質クラスパーティのみらしい。最後のお楽しみだけは間に合ったわけだ。まだお菓子は食べられないのが心配だが、楽しくチャットはできるだろう。

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 ピックアップすると今日はやはり1日パーティだったそうで、食べられるものがないんじゃないかと心配してたのだが、「ベーコンとクリームを食べた」だって。えー! それでお腹は大丈夫なのかと聞けば平気とのことで、思ったよりも胃は回復してたようです。晩飯も量は少なめにしておいたが、ポークと野菜の普通の晩飯をしっかりと食べた。よかったよかった。

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■09/12/21(月) □ 独学キーボード
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 萌は一日俺とゲームをし、ピアノ(キーボード)を弾き、絵を描き、TVを見て順調に過ごし、生産的な冬休み1日目だったと思う。FF9ディスク3はほんとゲーム性が皆無で、かれこれ3時間のプレイ時間俺はひたすら萌のために会話テキストを読み上げている。喉が枯れまた咳が戻ってしまう。長い長いテキスト読み上げ→ムービー→シーン移動の繰り返しで、萌もムービーが出ると「またァ?」と呆れた声を出す。


この絵の説得力がゲーマーを動かす
 しかしたまーにキャラを動かし自由に探索できる普通のRPGシーンに切り替わると、1年前のプレイ時に行ったことがあるトレノやリンドブルムの町再訪などがあり、萌と共にうわあ懐かしいと声を上げてしまう。「RPGってさ、やっぱこういうところがいいよねえ」「ねー!」「こういう場所なんて本当はないんだけど、つまりファンタジーなんだけど、すごくリアリスティックに『前にここに来た』っていう気分になるよね。旅をしてる気分に」。―――やっぱりFFシリーズはストーリーはクソだが絵がとにかくいい。次の絵を見たい一心で俺たちはクソストーリーの中一生懸命ボタンを押しテキストを先送りし、強力な敵と戦っているのだ。

 萌ピアノはどこかで耳にした「エリーゼのために」を気に入り、右手でメロディを弾き、Am/E/Am/C/G/F/E というコード進行を自力で拾い左手で弾いている。えらい。最近はできるまで切れずに何度も練習するようになってきた。そうそう、止まらないこと、ミスをしないこと、スピードを上げることの順で上達していけばいいんだよ。

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■09/12/23(水) □ YAMAHA 購入決定
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 萌へのクリスマスプレゼントとしてワイヤレスマイクを買う。これで準備OKと思ったら、MKがイトコ3人で金を出して萌に何かを買ってやりたいという。だったら今萌が一番ほしいのはキーボードだよ、最近ピアノ熱がすごいんだと俺はサジェストし、とんとんと話が進み、大型電子ピアノにアップグレードしたHNたちが使ってないというあのヤマハ MIDI キーボード YAMAHA YPT-300 を廉価で買い取れることになった。あれはいい音である。あのキーボードがうちに来るのだと思うと俺もうれしい。

 調べてみると液晶スクリーンを使ったコードブックだとか右手左手を別々にトレーニングするメニューなんてのがプログラムされており、俺も習えるのかもしれない。日本の借家に置いてあったヤマハ・アップライトピアノに近い、というかあれをも超える人生最高のピアノ体験が得られるだろう。

 萌には今年はハワイ行きがあるからプレゼントはあまり期待するなと言ってあったのだが、Mの買った本その他の雑物、親戚や日本からのプレゼント、そしてワイヤレスマイクにキーボードと、萌人生最大の盛大なクリスマスプレゼント群となってしまった。まあクリスマス行事中病気でひどい目に遭ったのだから、クリスマスの神様がそれを埋め合わせてくれたのであろう。

 萌がこのキーボードを弾くのが楽しみなり。これほど楽しみなクリスマスは久しぶり。萌が小さな頃大きなドールハウスを買ってやって以来かもしれない。今日はクリスマスソング「グローリア」を萌が弾いていたが、明日からはこれが YAMAHA YPT-300 の美しいサウンドで聴けるのだ。

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■09/12/25(金) □ 音楽的クリスマス
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 クリスマスなので俺も珍しく8時に目が覚める。萌はストッキングに入っていたバードコールなどで朝から超盛り上がり。

 クリスマスは毎年思うが too much な行事で、MとBRの両方がクリスマスクッキーを焼き、高価なクリスマス専用缶クッキーまで買ってくるので家中がクッキーだらけになる。朝からこれをポリポリ食べるのが伝統というわけ。TVでは薪をくべた暖炉が映し出され、クリスマスキャロルが一日中流れる。まことにとことんクリスマスという趣向になる。


これがYAMAHA YPT-300だ!
 11:18 プレゼントを全部開き、萌と俺はニューキーボード YAMAHA YPT-300 を満喫した。最高。萌も当然狂喜しているが、俺のほうがこのキーボードの多機能を理解しているので狂喜度ははるかに大きい。リズム機能を試していて、伴奏がちゃんとマイナーコード&ベースをやってくれることが判明。これで1人でなんでも完璧に演奏ができるわけである。「While My Guitar」や「Telephon Line」を弾いて録音し悦に入る。

 萌はワイヤレスMKも当然喜び、家中を走り回り俺のギターアンプに電波を飛ばし歌ってます。目論見通りとてもミュージカルなクリスマスとなった。

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 しかし音は最高だが、この YAMAHA の操作系は意外や使いにくい。ボタン数も十分にあるのに、「こうしたい」と思ったときにまるで直感的に操作できない感じ。たとえばリズムマシンを鳴らすのに、左でオンにしてから真ん中の「Style(リズムをこう呼ぶこと自体不自然でなじめない)」ボタンを押してリズムパターンを選び、右の数字パッドを使ってテンポを決めるという実に使いにくい仕様になっている。なんで「リズム関係はこのあたり」というUIにしておかないのか。家庭でこうして困ってるようでは、人前で演奏するときなんかパニックになるだろう。

 KORG、YAMAHA、Roland あたりの老舗シンセメーカーはもうこのあたりは四半世紀も作っており完成してるのだろうと思ったが、電子楽器の世界ってこんなもんなのかしら。PCやゲームよりも相当にUIが遅れてる気がする。萌はバンドブラザーズの複雑なUIを完璧にマスターして自在に作曲していたが(考えてみればあれは作った任天堂も使いこなす萌のコンピュータ練度もすごいことだ)、このキーボード操作には非常に手こずるだろうな。

2009/12/16

日記「最も悲しい季節(ムスメのストマックフルー)」

「自己流ミュージシャンの生きる道」「ジンジャーブレッド・ハウス」ほか。


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■09/12/08(火) □ キビキビな娘
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 先週、先々週の宿題忘れ&レポート地獄騒ぎその他を経てどこかスイッチが入ったのか、萌が変わってきた。放課後クラスから真っ先に出てくるし、課題は授業時間内にしっかりと済ませ家に持ち帰らず、日本語学校では予習復習をざっとやるだけで2週連続漢字テスト100点を取り、ご飯もチャキチャキと食べる。

 今日は日本語学校から帰ると宿題を自ら済ませ、弁当箱をキッチンに返し、間に俺との遊びを挟みつつ掃除までやってしまった。素晴らしい集中力。もともと性質上行動がおっとりしている上にここ1年くらいは何事にも集中力がなくて惨憺たる有様だったわけだが、ものごとへの集中力がなぜか戻ったところに1年分の実務調整能力の成長が加味されたようで、素晴らしい大躍進だ。漢字テストのご褒美に、萌が毎年友達の家でうらやましがっていたジンジャーブレッドハウスを買ってきました。

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■09/12/09(水) □ 自己流ミュージシャンの生きる道
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 ALを久々を久々にうちへ呼ぶ。2人で二段ベッドに登り大騒ぎ。萌がウクレレが弾けるのをALに見せようとして、こないだ俺と合作した「レイニーデイズ」を弾き歌っていた。俺はウクレレは「You Really Got a Hold on Me」1曲しか教えてないのだが、それに出てくる C/Am/F/G/Dm という黄金コードセットが「レイニーデイズ」にも合うと自力で発見したらしい。そう、そのセットがあれば大抵のメジャー曲が弾けるのだよ。

 じゃ、TVでかかっていた Silent Night(きよしこの夜)をやってみなと弾かせてみると、俺が G だと思ったサビで萌は Dm に行き、それが正しかった。―――おお。「今萌は Dm だと一瞬に予測したじゃん。それがつまり、コードを拾うということなんだよ。つまり萌はウクレレで何かが弾けるというよりも、すでに『ウクレレが弾ける』というレベルにあるわけだ」。萌はうれしくて、お母さんのところへ行き弾いてみせました。萌は自己流ミュージシャンの生きる道を着実に進んでいる。

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■09/12/12(土) □ ジンジャーブレッド・ハウス
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 俺の風邪が悪化し、Mと萌が放っておいてくれないので頭痛がする。萌が楽しみにしていたジンジャーブレッド・ハウス(クリスマス用のお菓子の家)を作ったのだが、萌もやや風邪をひいてるので頭が働いておらず、俺の忠告を無視して気の利かないことを続け、あげくにビーズを1袋全部床にざーっとこぼす。とほほ。2人で盛り上がっていたのに、うまくいかないものだ。頭痛が止まらん (=_=)。


これで$9、お買い得です。
もう俺は頭痛がするので萌1人でジンジャーブレッド・ハウスを作らせていたが、午後見に行ってみるとなかなかすごいデキになっていた。萌はなんか俺が段取りをつけて論理的にきちんとやらせようとすると気が急いてダメらしく、自分で思うままにやればいい結果が出るようである。最近ピアノも自分でやっているしな。

 クリスマス前の週末にこれほどふさわしい時間の過ごし方もない。これだけ豪快な工作ブツを他の材料で作ったらお菓子でも粘土でも相当高価につくと思うが、クッキー・アイシング・キャンディのこのセットはわずか$9なのである。ありがたい&すばらしい。

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 アカヒレ稚魚がまた見つかった。賢いことに親たちがこない浅瀬の屋根下に隠れていた。底砂から掬い上げた卵から保護水槽内で生まれた1匹と合わせ、これで計4匹。小さいとはいえ 2mm ありこれだけくっきりと黒ければウィンドウ際や浅瀬にいれば見えるはずなので、これ以外は生まれてないか成魚に食べられてしまったのだと思う。シーモンキーみたいに透明で見つけにくいものを想像していたが、これなら知らぬ間に死なせてしまうということはそんなにないだろうな。無事大きくなってくれ。

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■09/12/13(日) □ 強烈なストマック・フルー
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 昨夜萌が腹痛を起こしたあげくに吐いてしまった。下痢もしているが熱はなく、強烈なストマック・フルー(嘔吐下痢症)らしい。えらいことになってしまった。とりあえず水分を取る以外にできることはないので、朝イチで電解質ドリンクを買ってくるが、まだ嘔吐が治まっていないのでほとんど飲めない。ストマック・フルーはたいがい一晩で症状がおさまるのだが、これはひどく長引いている。かわいそうとしか言いようがない。

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 午前中雪が5cmほど降る。今年も去年並みになるのかしら。萌の病状は終日まるで回復せず。これほどシックになったのは記憶にないほどだ。当然明日学校へはいけないが、あさってのクリスマスコンサートにはなんとしても行かせてやりたいものである。フルーはいつも学校のクリスマス行事の頃に流行り、萌はこれまで何度もクリスマスパーティを逃しているのだ。おそらく12月になるといろんなウィルスが本格的に活動を開始するんだろうなあ。萌のクラスの子の何人かがこんな週末を過ごしてるのかもしれない。

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■09/12/14(月) □ 最も悲しい季節
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 夜の間萌は一度も吐かず、下痢も治まったが、胃はまだ働いておらず食欲はなく、動く力もない。今日のリハーサルはもちろん明日のクリスマスコンサート本番もミスするかもしれないと本人も考え始めたようで、無茶苦茶落ち込んでいる。俺も実に悲しい。萌は年末から行くハワイ行きが中止になってもさして悲しまないだろうが、学校行事のクライマックスであるこのコンサートを逃すのは耐え難いだろう。家でも毎日演目の「くるみ割り人形」を練習しているのに。

 かわいそうで居ても立ってもいられず、萌の周りをうろうろとしている。なにかしてやりたいが、あまりにもシックで食べることも遊ぶこともできないのである。話しかけても憮然として反応がない。はあ。

 クリスマスソングに、「It's the most wonderful time of the year」というのがあり、西洋で育った人は実感としてそう感じるものらしいが(※)、病気の子供には悲しい季節である。寒さが本格化するこの季節に病気になる子供は、他の季節よりも多いだろう。
(※)スーパーで俺の後ろに並んだおじさんがクリスマスソングを歌いまくり、俺が愛想辞令的にリズムに乗ってるフリをしたらそれに喜び、クリスマスの話題をガンガン振ってきて超上機嫌だった。俺は娘が病気でそれどころじゃないんだけどなと思いつつ愛想笑い。

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 夜になりなんと熱が出てきた。せっかく嘔吐がなくなったというのに。もう一家全員泣きたい。しかし親が泣いてはいけない。いつかは出口が見える。

 あとから熱が出てくるというのは経験がなく嫌な感じなので、念のためにと病院のエマージェンシーへ。夜なので待ちはなかったが、それでも疲れ切った萌にはかわいそうの一語の中、問診、触診、検温、検脈、血中酸素濃度、反応検査などが手早く行われる。深刻度は低いといわれ、検尿・検便までは至らなかった。

 手早く問診を済ませたドクターが、「じゃあ究極のキッズテストをやろう、アイスキャンディ検査だ」と萌にアイスキャンディを食べさせる。「これを10分以内に半分食べられたらこのまま家に帰っていいよ」。その真意は測りかねたのだが、食欲とか甘いものへの反応とかスティックを落とさず長時間保持できるか(コーディネーション)が意識混濁の指標になるとか、そういうことかな。

 ちょっとドクターのウケ狙いパフォーマンスもそこに感じたが(空腹の子供に冷たいものというのもなんだかなあと思う)、ともかく正常、心配することはない、48時間経っても改善しなければまた気軽に来なさいとのこと。必要もないのに病院に連れていかれた萌には悪かったが、これで余分な心配はなく治療に専念できるということで、おやすみなさい。

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■09/12/15(火) □ シック4日目でようやくトンネルを抜ける
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 病状は昨夜から変わらず、熱も下がらない。水分は十分取っているがものが全然食べられない。

 朝9時半時計を見た萌が、「あ、コンサートは? 雪で延期になった?」と聞く。いや雪は降らなかったと言われどわっと泣きそうになり、いやまだ木曜の老人ホーム慰問がある、あきらめるなとMが元気付ける。しかし現時点でまだ熱があり食べられないのだから、普通に考えてあと2日でバレエを披露できるところまで体力が戻るとは考えにくい。ものを食べられないほどのシックネスが3日あれば、回復にも最低でそのくらいの日数はかかるだろう。このまま金曜のスクールラストデイを迎えてしまう可能性の方が高いように思う。

 まったくもってつらい病気だ Stomach Flu。こんなものに原因不明で陥り、またかからないという保証もないのだと思うと恐ろしくなる。まめに手を洗い、学校で指をなめないようにと言い聞かせるしかできることはないのである。

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 夕方仕事から戻ったMに萌の容態は昨夜から進捗してないと伝えると、なんとしても食べさせなきゃ駄目だわと決然という。胃が動いてることはもう確かなんだから。そして帰るや萌とちゃっちゃと話し、スクランブルド・エッグなら食べたいと萌がいうのでミルク・バター抜きでさっと作り、ちゃっちゃと食べさせた。そんなに急に食べさせて大丈夫なのかとちょっと心配になるくらいの勢いだったが、やはり見込み通り萌の胃はもう準備ができていたようで、けろりと食べる。それを食べた後Mが本を読むと、萌がファニーなところで笑うなど生き生きとしてきた。おお。

 そして俺が自分の晩飯を用意していて豆腐を見つけ、豆腐なんか消化がいいに決まってるではないか―――というかすでに粉砕で消化されてるようなものではないかと気づき、萌に食べるかというと大喜びでこれもペロリと食べ「Oh food, glorious food!」と喜びの声を上げ、そしてジブリ映画を見ながらクロスワードを開始する。―――やっ・た。これでもう大丈夫だ。あとは時間の問題である。

 いやー、マザーの力は偉大である。解熱剤なしで1日過ごし熱が37度台まで下がっていたのもタイミングとしてよかったのだろうが、俺みたいに無理強いはせんと静かにしているだけでは回復はより遅くなっていたに違いない。やれやれです。

2009/12/06

日記「Google 日本語入力」

「パスタが突然水棲に」「日没さんを思う」「鹿島のにくらしさ」ほか。

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■09/11/29(日) □ パスタが突然水棲に
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イモリ給餌皿。これまで水に入ったことの
なかったパスタ君が右下水中に写ってます
 2匹のイモリに均等にエサをやる方法を思いつく。2つのエサ皿をつくり、2匹をそれぞれに入れてしまえばいいのであった。試してみると2匹とも自分の分をきれいに食べてくれ、完璧。2匹を捕まえるというひと手間があるが、どちらも通常は浅瀬にいるので簡単である。

 それをやっていると、拒食歴6ヶ月のパスタがいない。石の上にもシェルター屋根上にもいない。あれ? さっき掃除の時に外に石ごと出しちゃったかなと焦って水槽周りを探すと、なんと水槽の深場にいることに気がついた。えーっ! 彼が入水するのは、うちに来てから初めてのことだ。

 そしてそれからなんとパスタは完全に水棲となってしまったのです。水から上がらず、ガラス越しに俺の指にガンガン近寄ってくる。いったい奴に何が起きたのでしょうか。というかこうして普通に水に入れるならば、6ヶ月もぴくりとも動かず石の上にいたのは、いったいなんだったのでしょうか。イモリの健康と行動は本当に読めん(笑)。

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 夜、NHK「坂の上の雲」が放送される。日本のドラマというものは、萌が俺に「どうして日本のドラマは全部フェイク(わざとらしい、芝居ミエミエ)なの?」と聞くくらい常にスキだらけなのだが、これは完璧であった。この完璧さのためには、バカバカしい大河ドラマなど比較にならないくらいの努力が注ぎ込まれているのだろう。この物語は宝物だな。

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■09/11/30(月) □ 日没さんを思う
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 日曜からネットで各種競馬コラムを探してずっと読んでいる。カナダからの日本競馬鑑賞は20世紀末まで届いていた日没閉門さんの珠玉のコラムが頼りで、その後フォローする方法が見つからずにきたのだが、久しぶりに探してみたら柏木集保のレース評や面白い競馬ブログ (「Brain Squall」) が見つかり、ここ10年のチャンピオンホースたちについてだいぶ知ることができた。競馬を見始めた頃、過去の大レース勝ち馬とかをワクワクして勉強したのに似ている。ウオッカとすごいレースをしていたあのダイワスカーレットが、好きだったスカーレットブーケの子だと知って驚いた。

 現在日本の競馬は、サンデーの子供たちがドバイや香港で開いた世界へのドアがサンデーの死と共にまた閉まりかけているというところらしい。ここ2年はウオッカが海外へ挑戦し、まったく真価を発揮できなかったわけだし。サンデーの孫たちは国内レースで勝ちまくっているが、海外を目指すような大物は登場していないようだ。しかし今のリーディングサイヤー表を見ると驚いたことに上位は全部国内で走った近年のチャンピオンたち。俺が競馬場にいた頃は上位の半分以上は輸入種牡馬だったと思う。そういうところにも、日本競走馬の質が上がっていることが伺える。ドアなんていつか必ずぶち破れるだろう。

 日没さんはどうしているだろう。海外赴任したはずだが、日本の競馬は見ているのだろうか。サッカーのコラムでいい文章を書く人を見つけると、「ああサッカー界にも日没さんがいる」と感じたりする。ネットで日本競馬を見ることが可能になった今、また彼の書くものが読みたいのです。

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■09/12/02(水) □ 突如タイヤ交換
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 フロントタイヤのサイドに穴が空き、修理不能で突如フロント2本交換となる。しかも今日はMが車を使うので2時間でケリをつけなければならない。弱った。テンポラリタイヤを履いたまま急いで家に帰り全力で検索。

 うちのスズキエリオはいろいろ欠点のある車だが、タイヤが 55 と妙に扁平でスピードレートがVなのは特に腹立たしい。おかげでコーナリングがいい車じゃないのに高価なパフォーマンスタイヤしか合わないのだ。修理屋 Canadian Tire の親父も、「なんで V レート(240km/h 対応)なんだ、ワケがわからん」とつぶやいていた。まったくである。エリオの他にはホンダインテグラくらいしか履いてない珍サイズなのだ。それでなくてもカナダはタイヤが日米より高いのに。

 前回の調査結果を引っ張り出して、もう一度検索し各種情報を探すも状況はさほど変わってない。悩んでいると早くも時間切れ、結局あと1時間で確実にインストールが終わりMが乗っていけるのは Canadian Tire ブランドの Motomaster SE だけだ。これは毀誉褒貶あるのだが、パターン写真とユーザー評から見て雪に強いのは間違いない。冬に向けてそれが一番ほしい。これにしておこう。


冬タイヤのようなオールシーズン
 というわけでインストールが終わり走ってみると、ブロックの大きなパターンからの予想とは異なり乗り味がいい。ブロックタイヤっぽいパタパタパタという感触はなく、乗り心地がかなり上がった。これは安車にとってうれしいことである。

 リアに回した Falken Ziex ZE-912 より柔らかな分コーナリングの切れは悪いだろうが、うちのエリオの場合スポーティなタイヤを履いてもコーナリングの特性はよくならないと夏の旅行で思い知ったので、クリスプ感はさほど欲していない。冬タイヤに一番欲しいのはとにかく雪道での移動可能性で、この乗り味で雪に強いのであればうれしいのである。あと1年は乗れそうだった Yokohama Geolander の寿命が縮んだのは損失ではあるが、乗り心地と雪性能が上がれば禍転じて福となる。これで冬への準備は万全だ。

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■09/12/03(木) □ Google 日本語入力
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 「Google 日本語入力」というものが公開されたのでテスト中。予測変換といわれているが、Pocket PC の POBOX みたいに前の単語から文脈を読み次候補を出すという予測変換ではなく、膨大なデータベースから音が合うものを選ぶという補完入力だ。POBOX 型予測変換はPCじゃ版権かなにかで使えないんだろうか。

 今のところこの膨大な補完機能はあまりありがたみはないが、文節切りの精度が素晴らしい。これほどバリバリと打っていて、文節切りエラーが全く出てこない。おかげで俺は何もしてないのに初回使用から誤変換がめちゃくちゃ少ないのである。XP付属の MS-IME から7年分の日本語処理の進歩がひしひしと感じられる。

 MS-IME も新品XPの頃はもっとよかったと思うのだが、ここ数年明らかに性能が劣化してるのだ。

さいこうの → 再耕野
とてもおもえない → 録ても思えない
もえとめる → 燃えとめる


 こんな人を激昂させる誤変換は、前にはなかっただろう。単語登録や学習が増えると変換効率上おかしくなるエンジンなのだと思われる。これに辟易してちょうどATOKを真剣に考え始めた最中にこんなすごいものが出てきてくれるとは。ありがたい。

 予測変換がたとえ期待ほど働かなくても、この文節切りの正確さだけでも乗り換える価値はある。ローマ字の定義ができないなどの弱点はあるが、MS-IME の登録単語はほぼ問題なくインポートできたし、もう MS-IME に戻る気がしなくなってきた。なにか致命的なバグでもない限り決定的である。

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 俺は最初に買ったPCソフトウェアが、MS-DOS 時代 Dynabook の日本語入力 WX2 で、Microsoft がその後 WX2 を買収したため 16 年継続して同じ日本語入力を鍛え続けてきたわけだが、それをたった1日で上回る精度の入力環境が手に入ってしまった。Google は検索から言葉をデータベース化し、この精緻な日本語文節切りシステムをいきなり作ってしまったわけだ。Google の検索以外のサービスはどれもあまりピンとこないのだが(Picasa や Gmail なんかすごく使いにくいと思う)、この言葉の集積力と処理能力には恐れ入る。

 検索操作と検索情報が日本語変換に使えると気づいた時点で勝利の道は見えたのだろうが(いや日本語だけじゃなくどんな言語版も作れるはずだな)、それをこうしてエンドユーザーが使えるところまで実現したところに、Google に雇用された知性の凄味を感じるのだ。

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■09/12/04(金) □ 鹿島のにくらしさ
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 WCの組み分けが出た。【カメルーン、オランダ、デンマーク】。おー。カメルーンには勝ったことあり。オランダはこないだプレスが効いた。デンマークはガタイのいいベルギーだろう。ということは、2勝1分けを目標にできる。ベスト4など考えても仕方がないが、この目標は努力に値する。

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 【パスタ、餌を自力で食べる】水棲になり元気なパスタを捕まえエサ皿に入れ、赤ミミズを鼻先で振ってみる。前は水に入らなかったので給餌できなかったのだが(イモリは水中にあるものしか食べない)、ついにパクっと食べてくれた。6ヶ月にして初の自力捕食成功である。そのまま赤ミミズを数匹入れておくと、自分で拾って5匹完食。やっ・た。石の陸地から一切移動せず飯も食わず、こいつはいずれ死ぬんだろう仕方がないと思いながら半年強制給餌を続けてきたパスタが、こうして突如健康活発になり散歩し水槽ライフを謳歌してくれるとは本当にうれしいことである。

 3匹が健康になると、見るたびに誰か誰かが活動していて、見ていて飽きない。パスタなんか半年間3日置きに捕まえられ口に食べ物を詰め込まれていたので人間を嫌って当然だと思うのだが、なぜか愛想がよく指にガンガン近づいてくる。これまで体調を崩したことがなく、したがって強制給餌の経験もないノボリがなぜか一番俺を怖がり、近寄ってきてくれない。逆ではないか。イモリの気持ちは測りがたい(笑)。

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 【浦和・鹿島】J最終戦。今の鹿島に浦和が勝てるとは思えないが、ドローに持ち込むことは可能だろう。それで川崎には十分である。

 闘莉王は中東に行くのかなあ、もったいない。守備力はそこそこでも、あのパス能力とひらめきがあればどこのリーグだって行けそうなものを。マルキーニョスが怪我で完調ではないようだが、興梠が自信を持って闘莉王と勝負している。浦和は田中達也が珍しく出ており、原口・山田直輝とともに奮闘しているが、個々の判断で狭い場所をつないでいるうちに鹿島のきれいなプレスの網にかかってしまい、まったく前にボールを運べない。

 鹿島に何度も決定機が訪れるも決まらず、試合は案外淡々と進む。浦和は奪って達也が抜け出しクロスを入れるも中に通らずの繰り返しで、シュートにつながる気配もない。浦和は強かった頃もこうして球際勝負で勝ちワシントンに渡すというのが攻撃の核だったので、ワシントン、永井、相馬というAFC制覇の役者がいなくなれば弱くなるのも道理だ。この玉回しを見ればフィンケ監督の仕事がまるで実ってないのは明らかだが、所有戦力も実際低いと思う。永井なんかどうして出してしまったのか不思議だ。

 前半終了、ドローでは駄目なのに鹿島が余裕を持っているのが不気味である。最後には勝てると自信を持っているのか。後半、浦和は山田直輝に替えてポンテ。山田は怪我上がりなのか違いを生み出せなかった。―――うわ、興梠! ハーフボレーで完璧なダイビングヘッド。素晴らしい。興梠はいま止められないなー。

 鹿島がボールを回し残り時間をつぶす。ポンテが入って浦和がやや攻撃できるようになるが、あと10分。闘莉王が前線に上がる。ゴール前に放り込みが続き、接触で怪我人が出てロスタイムが伸びる。これを延々とやっていればいつか闘莉王の足元にボールはこぼれてくるわけで、鹿島にとって怖いのは闘莉王だけだなと実際思う。

 試合終了。浦和は試合前は「サポーターに恥ずかしいところは見せられない」なんてコメントが出ていたけど、鹿島に優勝させないという程度のモチベーションじゃ、やはり心底必死にはなれなかったなという印象を受ける。浦和サポーターだってホームで鹿島に抵抗できない自チームに目立って怒ってる様子もないので、ライバル関係なんてのも希薄なんだろう。

 鹿島は強くてにくらしいが、抵抗すべき浦和、ガンバが弱いのだから仕方がない。それににくらしい印象の大部分は柳澤・小笠原の陰気な表情に起因しているのかもしれない(笑)。鹿島に憲剛がいれば誰もが素直に応援するチームになるのかも。

 前節ガンバ戦とこの試合を見て、興梠は大物になりそうだと再認識した。代表クラスのFWの中でも際立っていそうなスピードと運動能力に加え、ボディバランスと強さしなやかさがあるので体を大きく使え、切り返してDFから距離を取りシュートが打てる。2度の海外挑戦で切れ味が鈍ってしまったらしい大久保よりも、今は興梠の方がWCで役立つだろうな。

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■09/12/06(日) □ 酷寒乗馬パーティ
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 【ホース・ライディング】ささ、寒いとしか言いようがない気温3度の風が吹き込む屋内馬場でのEMのバースデイ・パーティ。世話人4人は全部ティーンエイジガールズで、カナダの乗馬ってまったくガールズ趣味だなと思う。まあ純情ガールズじゃなきゃ日曜にこんな寒いランチで馬の世話なんかしてるわけないか。


おじいちゃんが喜ぶ
華麗なるライディング
 萌は白い年寄り馬に乗ったのだが、これがズブい馬で、調馬索(←こういう乗馬専門用語が当たり前に出てくるから Google 日本語入力はすごい)を持ったすごいキツい世話ガールがどやしつけ馬の腹をビシバシ叩き、やっともっさりもっさりと走り出す感じ。走り出すと萌はビッグスマイルを顔に浮かべっぱなしになる。

 膝で馬を押し出せるようもうちょっとアブミを短くしてくれないかなと思っていると、リーダーの子が声をかけて短くしてくれた。さすが乗れる年長者はわかっている。さっそうと輪を描き馬場を何度も回り嬉しそうな萌。「(乗馬の達人だった)おじいちゃん)が喜んでるよ!」と日本語で声を掛けると、「うん! 今ここにいるかな?!」と声が返ってきた。

 しかし冷えた。俺は1時間で退散したが帰ってからも震えが止まらず、萌は2時間半で心底冷えたとのこと。風邪をひきませんように。晴れて寒い日が続くBCである。

2009/11/30

日記「ホームスクーリング」

「WALL-E のロボット」「ニューブランズウィック州プロジェクト」ほか。

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■09/11/21(土) □ WALL-E のロボット
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 朝PCが起動せず、復帰に5時間かかった(後から電源タップの不良で電圧が足りてなかったのだと判明)。

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 夜、萌がお勧めの「WALL-E(ウォーリー)」を借りてきて見る。始まってすぐに、こんな人間が見てかわいいと感じる動作、思考、行動だけで絶妙な塩梅に出来上がったロボットというのも、なんだかなあと違和感を感じる。やることなすこと全部かわいいのだが、いろんなペットや子供やアニメのかわいいところを掬い取って作った理想のキュート物という感じなのである。ロボットらしい行動が愛らしいというのとはぜんぜん違う。

 相方のイブも最初のうちは機械的な行動をするロボットだったが、数分のうちに怒って目を吊り上げものを破壊しまくる人情味あふれる存在になり、まるでロボットっぽくない。女の子のかわいいところを凝縮した理想の女の子マシンなのである。このロボットの造形? がどうにも解せず、普通に面白かったがまあねーという感じであった。「ニーモ」と同じだな。

 この登場ロボットに対するもやもやはなんだと「Wall-e ロボットではない」と検索してみて、「ラピュタ」のロボット兵との対比を書いている人が見つかった(「WALL-Eに感動し損なう」)。―――あ、それだ。シータに手を差し伸べながら死ぬロボット兵、人間が去った後もラピュタを守り永久に働き続けるロボット兵。その仕草にかすかに見える「心根のようなもの」に俺は胸を打たれたが、饒舌なハートにあふれた WALL-E はとても幸せで、それは見ていて楽しいけれど、しかし胸が震えることはないのである。

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■09/11/25(水) □ ニューブランズウィック州プロジェクト
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 萌が風邪の喉痛と頭痛で休。ちょうど週末のレポート宿題をやってなかったので、それに取り組むこととなる。

 しかしMがこれを見ていて、萌がここんとこずっと学校で取り組んでいたはずの課題ニューブランズウィック州に関するリサーチが、まるでお粗末であることが判明する。当人はサボろうという気があったわけじゃなく、子供向けの Wiki みたいなページでニューブランズウィック州の概要を1ページプリントし、それをまとめれば終わりと思っていたらしい。Mは小学校の教職免許を持っているので「グレード4でこんなレベルでは話にならない」と超厳しく指導され、萌は泣きながら全やり直しとなる。気の毒。

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■09/11/28(土) □ ホームスクーリング
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 先週に続き、レポート宿題。今週は萌が自ら選んだイモリについて。そりゃいいものが書けるに決まっていると俺も手伝おうとすると、萌の学校の指導があまりにヘボいと最近怒りがピークに達しているMが「もう教師の方針など関係ない、萌には私がバリっと有意義なレポートを書かせる」と陣頭指揮を取り、俺は除外されてしまった。俺が持つ豊富な知識をそのまま萌に与えてはリサーチにならぬそうである。とほほ。

 萌の学校は実際、よそに比べてレベルが低いといわざるを得ないようである。これまで5人の担任中3人は教育や子供に何の興味もなく単に仕事として教師をやってるのははっきりしており、それがカナダじゃ普通の教師像なのかと感じていたのだが、この学校は明らかに並以下らしい。

 今の担任は厳格で、これまでで一番教師っぽいが、「ニューブランズウィック人の暮らしや宗教なんて課題を出す時点で凡としか言いようがないわ。そんな誰も興味を持つわけないことを調べても意味がないし苦痛だし、しかも萌が1月で1ページしかリサーチしてないことに気づいてなかったということは、彼は授業中モニターしてないということじゃない」とMは憤慨する。その通りだよな。萌が泣きながら何時間もかけてやったニューブランズウィック・プロジェクトは、ほんとに意味がないと俺も気の毒に思った。ニューブランズウィックは寒い。フランス語人口がある。どこの国の人だって他県についてはこの程度しか知らんだろう。

 萌の課題を俺がヘルプできないのは、最終提出物がフランス語だからというのもある。萌は英語や算数の宿題は俺に聞いてくるが、フレンチは俺に手伝わさせない。課題を英語に翻訳し俺に説明すること自体を面倒に感じてるようだ。これは親としては味気ないことで、レポートを手伝えない俺は気分が落ち込む日だった。

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 浮かぬ顔の訳を夜Mに聞かれ、「インターナショナルスクールに子供をやる日本や韓国の親みたいな気分だよ」と説明する。外国語を習得できるのはありがたいことだが、子供が今どういう課題をやってどう答えているかは、子供自身にノートを全部翻訳でもさせない限りわからないわけである(Mだってさほどフランス語がわかるわけではない)。これが外国語教育ゆえの巨大な喪失でなくてなんなのか。

 ともあれ今さら学校を変えるのは無理なので、これからはMが家で平行して教育するという。ホームスクーリングだ。萌が最近注意散漫なのも学校のつまらぬ授業がヘビーに影響してるとMは見ており、たしかに家でしっかりと教育を与えるしか対処法はないだろう。しかしそれでこうして萌の自由時間が激減することには気の毒さを禁じえない。

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 【競馬ジャパンカップ】ウオッカ! 勝った? 同着か? ―――勝った! ふーっ。

 ウオッカはユタカが下手な乗り方をずっとしていたので(ネットでG1しか見てないのでわからないが、ああいう出し引きが裏目に出るところが近年の武豊の「スランプ」なのだろうか?)、フランスのジョッキーにきれいにロスなく乗ってもらえてよかった。距離が長いので残り 300m まで追い出しを我慢したと過去形が使えない下手な英語で彼は語っていたが、それでも抜け出したあと追いつかれるというこれまでにない展開だった。この走りを見ればやはり 2400 は距離が長い上に、能力的にはピークを過ぎてしまってるのだろう。それでも勝つんだからえらい馬だ。本当にこのレースを勝ててよかった。

 これでもうファンも思い残すことはないので、有馬記念など出ずにお疲れ様で引退してもらいたいです。海外の競馬ラバーにいい走りを見てもらえなかったのは残念だけれど、牝馬なのでそういう日本競馬のプライドみたいな役割は期待していない。オグリキャップ同様、世界で勝てなくても君が素晴らしかったことには何の変わりもない。ありがとうウオッカ。父さんが最後に愛した馬よ。

2009/11/20

日記「表層的子供イベント」

「短気なバカ親父」「JDスリープオーバー」「H1N1 ショット」ほか。

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■09/11/09(月) □ 短気なバカ親父
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 夕方つまらぬことで萌を叱ってしまい、俺は短気すぎるバカ親父なんだろうなと反省する。俺がカリカリしているのは萌が最近人の話に注意を払わないからなのだが、落ち着かない萌9歳はじっさい今、なにごとにつけ大きな変化の渦中にあるのだろう。生活態度や興味だけでなく作る絵も歌も物語もみんな変化している。萌が今作るものからは、TVで見るものや友達に「似てる」ということに強力に惹かれているのがわかる。

 ま、歌に関してはたとえTVポップスターに憧れていてもきっちりロック教育は施しているし(今は車でビートルズやポリスを聞かせ歌わせている)、絵も書き物もいずれまた素敵にオリジナルなものを作ってくれるだろう。親の期待通りになんて何事もいかないのだが、なにが俺を感動させるかっこいい音、楽しいもの、きれいなものなのかだけは、ブレることなく教えていこう。

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■09/11/11(水) □ リメンバランスデー
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 今日はリメンバランスデー(英連邦戦没者追悼日)で休日なのだが、今年は学校でカナダ戦史のプレゼンテーションなど大々的に行事をやったらしく(そういうところにも校長由縁の右傾化を感じる)、萌は昨日帰ってから「何百万人もが死んだのよ、ひどすぎるわ」と泣いていた。戦争反対の作文も書き、それがスクール・ニューズレターに載るそうである。元敵国出身者の俺は複雑な思いがする。日本とカナダが直接戦ったことはほとんどないだろうが。

 萌は学校で、「あなたは日系なのに中国系と仲がいいのね」と言われたことがある。そのときには日独伊が世界を支配しようとし、英米加欧中が戦ったというように第二次大戦概要を俺が簡略化して教えたのだが、将来詳細に触れてショックを受けることがあるかもしれない。心ない輩にからかわれたりしなければいいなと思う。

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■09/11/13(金) □ JDスリープオーバー
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大きなベッドで一緒に寝るの図
 萌が去年から熱望していた、JDを招いてのスリープオーバー(お泊り会)。お母さんのTVを奪い取って2人で映画「コーラライン」を見、お菓子をばくばく食べながら遊び、一緒のベッドで寝るといって大騒ぎしながら寝支度をしている。

 23:01 暗い寝室で2人はシンディ・ローパー「Girls Just Wanna Have Fun」を歌ってます(笑)。いい加減寝なさいよ君たち。まあ兄弟がいない萌がこうして狂乱の週末を過ごせて、よかったよかった。

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■09/11/14(土) □ 表層的子供イベント
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 ガールズは昨夜12時まで眠らず、今朝は7時に起きて騒いでいる。一緒にいる俺のほうが疲れる。

 ランチ後ちょっとギターを弾いて2人の好きなポップソングを歌わせてみたのだが、JDは長いことミュージカル&ボーカルレッスンを受けているというのに意外と歌は普通だなと思う。音程は悪くないが声量が出てないし(ボーカルレッスンって複式呼吸をやるんじゃないのか?)、コードやリズムの変わり目がわからないようで、俺のギター&ドラムマシンとタイミングがずれる。彼女がレッスンで習った持ち歌をカラオケ振り付け付きで上手にやるのを見たことがあるが、それがこうして音楽の力にはなっていないということである。

 JDの歌唱教師も他の習い事講師と同様に、適当な仕事をやってるのかもしれないな。習ったことはできるが応用ができないというところがこないだの萌のダンスレッスンと同じ。講師に物事の本質を伝える意欲がなければ、子供は表層しか覚えられないのだ。

 学校の行事にも同じことが言える。今年は誰の方針なのか、ハロウィーン・フェイスペイント、マッドサイエンスなど校外からゲストを招く有料イベントが毎月入ってくるのだが(突然通知がきて強制的に料金を徴収される)、あとから萌に内容を聞いてもそれこそ表層的でその場でだけ楽しいイベントで、子供の心に残る教育的要素なんて何もない。

 楽しいことなら各家庭でやっており、だいたい子供は学校で友達と一緒なら特別なことをしなくても十分楽しいわけで、そんなことに大金を費やさないでもらいたい。BC映画産業の有名特殊メイク・アーティストなんて人物を呼んでハロウィーンの血糊フェイスペイントなぞをやってもらい、総計500ドル近く払っているのだ。馬鹿げてるとしか言いようがない。イベントをやりたいなら実費・交通費だけでやってくれるボランティアを探してくれよ。

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■09/11/16(月) □ ストームシーズンに突入
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 今年最初の嵐、雨が続く。雨と停電が同時に来るとうちは排水ポンプが止まり困るのだが、今のところ風は強くなく停電の心配はなさそう。うちは過去8年間雨風で停電したことはないので、配電網がたまたま恵まれていて、電柱が1本倒れたらアウトみたいな地域には入っていないのだろう。今後とも大丈夫であることを願いたい。

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 夜、雨と風が強まる。夜の間に停電になったら弱るなあと思い、眠れず配水管修理時の07年日記を読んでしまった。あのときは本当に大変だった。あの07年春以降芝生に雨が浮くほど地中水位が上がったことはないわけだが、ストームシーズン3回目の今年は確率的にそろそろ大雨が来る頃合かもしれない。しかし停電さえなければどんな雨でも万全に排水できる自信はある。大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせて眠ろうと努めた。

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■09/11/17(火) □ アクアショップはたのし
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 久しぶりにコキットラムのペットショップに行く。前は開店したばかりで爬虫類と魚タンクは空だったのだが、相当な品揃えになっていた。金魚 $0.49 なんてのがきれいでかわいくほしくなるが、あれは実はベイビー緋鯉でデカくなっちゃうんだよなあ(調べたらやはり 30cm だって)。惜しい。他にはグッピーなどがやはり素晴らしい色で惚れ惚れする。やっぱ熱帯魚はすごい。アカヒレのオスが赤黒深化したなぞと喜んでいるのが馬鹿ばかしくなる。

 しかしどの水槽も水温26度なんだよなー。うちの水槽の17度でも死にはしないだろうが、活性が下がったり病気になりやすくなったりするらしい。俺は半年水槽を維持してみて魚を飼う自信は付いたが、それは超丈夫なアカヒレだったから問題なくいったのだという面も多分にあるはずで、グッピーだったらどうだかはわからない。やっぱうちは地味なアカヒレで我慢します。

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 買い物はポンプに入れるバイオ濾材というものを探しに来たのだが、ちょうどいいサイズが見つからなかった。しかし稚魚保護水槽とか水槽掃除ブラシとか、面白いものがいろいろ見つかる。保護水槽は母親を収納すると卵だけ下に落ちるという透明アクリルボックスで、小さくてこりゃいいなと手に取って見ていると、店の兄ちゃんが「そいつは駄目だ、問題だらけだよ」という。ネットのほうがはるかに成功しやすいとのこと。ふーむ。


稚魚保護ネット
 うちはメスの腹がでかいので、生むのかどうかはわからないが用意はしておきたいところ。で兄ちゃんが推奨するネット式を買ってきた。17x12x12cm、アクリル水槽のほぼ2倍ででかいといえばでかいが、これだけあれば稚魚が大きくなるまでここで育てるのはまったく問題なさそうである。その他必要なもの数点も安価で手に入り、うれしい買い物であった。貧乏アクエリアム趣味は楽しい。

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■09/11/19(木) □ H1N1 ショット
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 ◆12:05 萌をピックアップしてお医者へ。H1N1 ショットは初物なので俺はそれなりに緊張しているのだが、乳幼児はすでに済んで小学生という順番なので、安全性は万全なのだろう。久し振りに会った Dr.B はさすが萌のことをよく知っており、こういうところがやっぱファミリードクターはいいなと思う。

 H1N1 ショットはなんと「お父さんもやる?」と聞かれる。え。大人もOKなんですか。んー、じゃあお願いしますとやってもらうことになった。俺みたいにひ弱な奴がやってもらって大丈夫なのかなとも思ったが、まあ乳児が大丈夫なら大人も大丈夫なんだろう。発熱する可能性はあるので、帰りの飯屋や運転する道中で急激にシックになったら大変だなと思う。家に帰り静かにしていよう。

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 17:25 寿司屋で遅い昼を食べたせいと、多分 H1N1 ショットのせいで胃の働きが落ちており、腹が減ってこない。萌もブランケットにくるまってTVを見ており、揃ってどことなく体がだるい夕方を過ごす。しかし熱が出ずこれくらいの副反応で済むならありがたいことである。

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■09/11/20(金) □ 擬似病み上がり
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 腹が減って目が覚める。体調はいい。萌も問題なし。注射をした左肩が痛くて、そちら側を下に眠れなかった。

 冷え性で冷えるので家事前に体を温めようとエア縄跳び行ったのだが(縄跳びアクションが一番短時間で心拍が上がり手早く温まる)、これがやりすぎで、妙に体へのダメージとして残ってしまった。どうやらワクチン後の俺の体は病み上がりみたいな状態にあるようで、筋肉がやわになっており内臓がゆさぶられたらしく、腹筋あたりが痛い。大人になってから俺はインフルエンザの予防接種をしたことがないが、こうして短時間で擬似的に病後に移行することで免疫を作るものなのかもしれない。今日は静かにしているべきでした。ふー。

2009/11/07

日記「ネットスポーツ観戦のつらい秋」

「ボイスレコーダー」「彼を思い出す」「水槽新レイアウト」ほか。

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■09/11/02(月) □ ネットスポーツ観戦のつらい秋
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 【ナビスコカップ決勝】川崎は相手に引かれると点が取れないチームで、それは出す手がストレートすぎるからである。MFからFWにクサビを入れFWがなんとかするという最短手ばかり狙うので(上手さに自信を持つFW陣がそういう動きばかりする)、東京はFWを捕まえているだけで対処できる。たまにサイドに開けば崩せる気配は漂うのだが、チョンテセのヘッドは決まらず、ジュニーニョは競るFWじゃないのでボックスから遠ざけられ、最後までフリーでシュートを打てなかった。今野率いる東京守備ブロックの勝利である。

 東京は平山が素晴らしい働きっぷりで驚いた。彼は高校で過大評価→慢心腐敗の典型みたいな選手でいい心証を持つ人はいないと思うが、あれだけ体がある選手がちゃんと動くとものすごく役に立つ。ポストでは的が大きくリーチが長いので、後ろからアバウトに飛んでくるボールを簡単に足元に収められ、万全に保持して味方にさばける。プレスをかけにいけばこれまた面積がでかいので、川崎DFは普通の相手よりもワイドに交わさなければならず、次のプレーが狂う。クロスに走り込み素晴らしい点を取ったのも驚いたが、こんなに効果ありまくりのFWになっていたのか。

 憲剛と関塚監督にはビッグゲーム運がないのだろうなという気がつくづくする試合だった。天皇賞に続き期待がかなわず、ネットスポーツ観戦のつらい秋が続く。

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■09/11/03(火) □ ボイスレコーダー
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 【CLミラン・レアル】戦を見ながら掃除。不動の布陣が年を取り運動量が落ちるばかりのミランは中盤ではレアルに(というかたぶんどこの強豪にも)勝てないので、とにかく手数をかけずに前に飛ばし、若く元気なパトになんとかしてもらうというしょうもないが効果がないこともないサッカーを延々とやっている。が、ロナウジーニョのパス精度がひどい。フィニッシュを狙う中距離パスで3mはズレてる感じ。彼は上体が強く腕力で敵を押しのけボールを守れるので取られることは少ないが、あれでミランの攻撃が機能するわけがない。

 ロナウジーニョは衰えたなあ。この落差が中田英寿みたいだ。じっさい能力と価値の暴落っぷりにおいて、中田とロナウジーニョは近年双璧なんじゃないだろうか。他に世界的選手で、大きな怪我もないのに若くしてこんなに力が落ちた例は思いつかないのである。

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 Mの学業用にボイスレコーダーを買ってくれといわれネットで軽く調べると、いまどきのハイエンド・ボイスレコーダーはPCM録音だとか4チャンネル録音だとか、昔の生ロクデッキやDAT愛用者を満足させるような仕様になっている。ライブハウスでの録音なんか素晴らしい音で録れるんじゃないだろうか。エレキギターをつないで録音できる機種もあるらしく、いまどきのミュージシャンはそうしてデモテープを作ってるんだろう。なるほどねー。

 むろんうちはそういう高級機種は必要なく、店でソニー、パナソニック、オリンパスなどのベーシック機種6種くらいをじっくり比較する。しかしいつも買い物時に思うが、カナダの電気製品パッケージは情報が少ない。事前のリサーチでほしい機能をリストアップして行ったのだが、箱を見てもそれが備わっているかどうかわからないのだ。店員はもちろん客以上に知らないので(客はネットで事前調査しているが、店員はボイスレコーダーなんて見るのも初めてだろう)、万全を期すならば売ってる機種名を調べて、いったん帰って調査しなければならない。面倒なことである。


ICD-PX720 (1GB、$80)
 俺は結局ソニーのものにした。昔ながらのソニーらしい黒筺体でデザインはいいのだが、家でいじってみると機能が全部メニューボタンからの呼び出しで使いにくい。パナソニックは操作性を重視してゴツゴツといかついボタンがたくさんついていたので、あっちにすればよかったかと後悔する。

 しかしわかりにくい設定を済ませて録音してみると、録音音質のよさにぶったまげた。キッチンでテストしてリビングのTVの音がちゃんと録音されている。補聴器並みの感度だ。昔初めてテープレコーダを買ったとき、ダイナミックマイクよりはるかに感度が高いコンデンサマイクがついてるといったことに家電少年は興奮したわけだが、この機械の高感度コンデンサマイク+メカノイズ皆無という組み合わせは、体験したことがない桁違いのクリーンな録音体験を味あわせてくれる。

 これは面白い。Pocket PC にもセルフォンにもボイスレコーダは付いているので日常的に使っているが、これほど音がいいとなると別物である。とりあえずはギターを弾き萌を歌わせるくらいしか用途は思いつかないが、いろいろと活用していこう。

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■09/11/04(水) □ 彼を思い出す
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 【CLディナモ・キエフ vs インテル】シェフチェンコが今も最高級の選手であることを証明する素晴らしいプレイで、少ないチャンスで点も取ってみせたのだが、インテルが最後はとにかく圧力をかけ続けどうにか逆転したという試合。インテルは年棒総額はすごそうだがスターが一人もいないという妙な地味チームで、エトーも走れど走れどほしいところにパスは来ず空しそうだった。昨日のミランもひどいサッカーを延々やっていたが、セリエAの日の出は遠いという感じである。

 それはともあれキエフにいいMFがいて、カウンターになると彼が高速ドリブルで一気にボールを持ち上がり、シェフチェンコにしゅぱーっとスルーを通し何度も危険なシーンを作る。背筋を伸ばし視野が広そうなその姿が、これがどう見ても中田英寿(!)。アナウンサーの呼ぶ名前がまるで聞き取れず、試合を見ながらネットで検索しても名前がわからなかった。あれは誰でどういう選手なんだろう。もし彼がまだ若い選手で、これから有名になってくれたりしたらなんとなくうれしいけれど......。とまあ昨日も今日も欧州サッカーを見るたびに、俺は彼を思い出してしまうのです。

 中田がすごかったのはこのキエフMFよりもさらに高速で強く、一瞬でスタジアムの空気が変わり敵守備ブロックが慌てふためくほどのドリブルで持ち上がる力があったからで、パルマ3年目 (0304?) あたりから輝きが薄れたのはそれがなくなったからである。スピードが落ち、ドリブルもなぜか足に吸い付かなくなった―――いや、ボールが足に吸い付かなくなったから高速ドリブルや華麗なパスができなくなり、ボールを取られる前に簡単に味方につなぐ無難なプレースタイルに変わってしまったのかもしれない。

 今スペインにいる俊輔は、CLマンU戦や今年のWC予選を見て想像したように「プレッシャーのない後方スペースから長いパスを送っても跳ね返される」というプレーしかできないようで、ガゼッタ氏によればボールをもらっても「前を向くなりドリブルするなりしない」ゆえ、出番を失ってきているらしい。日本代表ですら前にボールを運べず無難なプレーばかりして俺をイライラさせるのだから、スペインで出番が得られないのも道理。

 出番が減ってきたので結局1月に横浜に戻るなんて噂も出始めているが、いくらなんでも半年で見切りをつけられるような選手ではないだろう。パス能力と足技ならば俊輔は今も一級品なはずで、危険なところにラストパスを送るにはとにかくもっと前で、味方攻撃陣&敵守備陣に近いところでボールを持ち勝負しなければならない。それを追求し実現してほしい。スペインでそれができないならWC日本代表でもできないに決まっているのだ。

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 最近あまり食欲がなくドライフードを拒否していたイモリ2匹にエサを差し出してみると、今日は久々に2匹とも元気に食べてくれた。ノボリなぞジムシーに給餌している俺の手元まで来てもっとくれという。おお。


エサ皿に入ったノボリ君
 うちのイモリたちはエサ皿(エサが散って水が汚れないようヨーグルトのカップを切ったもの)に置いたエサを一向に見つけ食べてくれないのだが、今日は可能性ありと見てエサ皿に赤ミミズをに置いてみた。そして放置すること数分、ノボリが臭いをかぎつけ自分で入り、ついに食べてくれた。自力でカップのエサを見つけたのは初めてで、これはうれしい。これで教育効果が進めば給餌が楽になる。

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■09/11/05(木) □ 水槽新レイアウト
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ハウスから右が水深2cmのイモリエリア、
左が15cmのアカヒレエリア
 昨日久々に高栄養ドライフードを食べたのが効いて、今日は2匹とも活動量が上がっている。3週間ぶりの全換水。掃除ついでに、どう見ても抱卵しているのに一向に産卵してくれない雌アカヒレ用シェルターとして、昔一時使っていたカエルハウスの置物を置いてみる。イモリエリア陸地の崩落を防ぐと共に、中空になった内部が産卵床になればという狙い。

 イモリたちは上から覗き込まれるとギクっとすることが多いので、黒いプラスチックをカットし屋根型シェルターも作ってみた。屋根の下は 1cm 弱の空間があり、イモリたちはここに隠れたまま息ができる。イモリたちはすぐに屋根下に落ち着き、魚たちもカエルハウス内を軽くチェックしている。総体的にいい感じである。

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■09/11/08(日) □ 川崎あやうし
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 【川崎・千葉】フロンターレは憲剛を筆頭にプレーがぶれ切れがない。疲れているんだろう。憲剛はガーナ戦直後はすごかったそうだが、敵をズバっと抜いてフィニッシュするイメージはあっても体が動かないんだろうと思う。パスもトラップもずれシュートは空振りしている(最後はひどく脚を吊らせタンカで交代)。それに加えナビスコ杯同様ブラジル人2名が持ちすぎチームのチャンスを浪費している。うまいんだから判断を早くすれば効くのだが、うまい分取られず長時間持ってしまい、中を固められるの繰り返し。3日前の煮え湯につながったこの欠点を修正できない監督も情けない。守備も詰めが甘く、降格間際のジェフに簡単にシュートを打たれ失点している。この試合はたとえ勝てても優勝は難しそうだ。

 後半残り3分、ジェフが追いつく。ジェフはドローでも降格なわけだが、クールに燃えてシンプルにえぐり、川崎よりいいサッカーをしている。川崎はこれで2pt落として優勝はなしだろう。―――と思ったら勝たねばならず上がっていたジェフの裏をジュニーニョがシンプルにえぐり折り返し、レナチーニョが決め再度突き放す。しかし降格はしたが、今日に限って言えばジェフのほうがいいサッカーであった。川崎は残り3戦勝ち切れるかどうか。憲剛はまた代表遠征があるわけだし。

2009/10/28

日記「ハロウィーンで気もそぞろ」

「夢見るポップスター」「萌ダンスの今後」ほか。

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■09/10/25(日) □ 夢見るポップスター
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 萌の新しい二段ベッドを見にJDが来訪、前回イモリの活動をあまり見せてやれなかったので、ノボリをフロントに追い出して散歩を見せてやる。ノボリは期待通りフロントでかわいさを披露してくれJDは大喜び。


水中二段ベッドの上下に
収まった2匹。キュート!
 最近水槽に2段に石を積んだ石段を作ってやったのだが、これが大ヒットで魚もイモリもさかんに入ってくれる。ノボリはそこを基点に石段を上下したり、葉っぱに泳ぎ移り休んだり、ゆっくりゆっくり移動してはガラス越しにこっちを見ている。もーなんというか、かわいいとしか言いようがない。日によってはまったく活動しないこともあるイモリたちだが、動いていてくれると部屋の中にナマケモノとかそういう動物がいるのに近いくらいの楽しみがある。爬虫類はどうかわからないが、亀やカエルには圧勝だと思う。

 イモリが活動的なこういう日は写真を撮りまくりたいのだが、デジカメのレンズって映り込みにすごく弱いようで、昼間はどう撮っても水槽ガラスに外光が映り込み、中がきれいに撮れない。小動物に至近距離からフラッシュはあまり炊きたくないので、なかなかいい写真が撮れないのです。

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♪Somebody call 911
 萌とJDはこの夏の大ヒット「911」や「Wizards of Waverly Place」の歌など歌って盛り上がっている。まことそういう、ポップスターに憧れまくる年頃なんだろうなー。自分がポップスターになるというのもリアルにイメージできるだろうし。JDなんかシング&ダンスを昔からやっているわけで、すでに芸能路線をまい進しているわけである。

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■09/10/26(月) □ 萌ダンスの今後
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 萌の初心者ヒップホップダンス全6回の最終レッスン。風邪が流行ってるのか半分もの生徒が欠席し、先生も代理になっていた。代理先生は当然何を習ってるのか知らないので、生徒たちから課題の「911」のステップを教わりながらレッスンが進む。

 萌はすべての振りを完全に覚えているのだが、空手をやっていたときのようなエレガントさがまだ身についていない。1つ1つの振りがぶるんぶるんとブレている。これを直したいのだが、俺自身シロートでありどうすればいいのかわからない。休憩のとき「あまり体がバウンスしないように、先生みたいに抑え目に踊るといいかも」と声をかけてみたが、改善効果はなかった。

 今後ダンスをするなら、ボディバランスを高め体のブレを消す方向に進めたいわけだが、このコミュニティセンターの初級コースじゃ次も同じこと(下手をするとフルリセットでステップを最初から全部やり直すという可能性すらある)をやるだろうし、空手と違い個々人の指導は一切ないので上達は望み薄である。

 やはり独立ダンススタジオに行くしかないだろうが、萌が5歳のときに入れたバレエスタジオは最悪だったんだよな。親に一度もレッスンを見させてくれず、その挙句リサイタルがあるからチケットを売れと言ってきたので呆れてやめたのだが、ダンスやバレエはどこもそんな調子らしい。この先生たちが派遣されてるところを調べてみてもやはり、高いし規則がうるさく高飛車で、「親の入場は教師の許可次第」と明記してある。こういう人たちは、ダンスレッスンは教育であってサービス業ではないと思ってるのだろうが、親が見てたら集中できないなんてことはないだろう。レッスンを見れる保障がないという1点でこっちはやる気をなくすのである。日々の進歩を見れなくては、子供に習い事をやらせる甲斐がない。

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■09/10/30(金) □ スクール・ハロウィーン
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これが恐ろしい「偽マザー」

そしてそのコスチューム
 スクールのハロウィーンパレード。例年通りキッズはペアレンツの前を一瞬で通り抜けていき、わざわざ行く甲斐もない行事である。誰か先生が一人ジムに常駐し、「次は誰それのクラスです!」とアナウンスし、みなが見れるよう観衆の前でいったん足止めしてくれるだけで盛り上がりもキッズのうれしさも5倍だと思うのだが、誰も思いつかず毎年こうして変わりもせずやってるんだから、カナダの教務者にそういうサービス精神はないようである。

 萌が今年扮したのは映画「コーラライン (Coraline)」の怖い偽マザーで、目がボタンになり、指先は銀紙の触覚になっている。なかなかインパクトがあると思う。

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 夕方MKの誘いで、町内にオープンしたモンゴリアンレストランというところに行く。日本で言うジンギスカンラムだろうと思ったらぜんぜん違い、肉と野菜とソースを客が選んでボウルに盛り、巨大な丸鉄板グリルで待つ兄ちゃんのところへ持っていって焼いてもらうシステムになっており、これをカナダではモンゴル料理というのだそうだ。


五右衛門風呂風
モンゴリアングリル
 食材はありふれたもので、肉なんかコリアン肉屋の冷凍薄切り(冷凍のままスライスしてる時点で組織が壊れている)を解凍もせず焼くんだからうまいわけないのだが、しかし野菜がうまい。鉄板の火力が強力なのでカラっと素晴らしくクランチーなままきちんと火が通った野菜炒めができるのである。俺はたまたま中華焼きそば麺を選んでいたので、期せずして焚き火鉄板焼きそばみたいになってうまかった。こんなチープな店でこれほど見事な炒め物ができるんだから、やっぱ炒め物は火力と熱面の面積が命なんだなあと改めて思う。

 うーん、こういうのが家では作れないんだよと俺がぼやくと、IHヒーターでバーベキュー用の鉄板を使ってみたらどうかという。IHヒーターなら大きな鉄板全体がちゃんと熱くなるものなんだろうか。あの一見五右衛門風呂風のモンゴリアングリルがほしい。

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■09/10/31(土) □ ハロウィーンで気もそぞろ
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 ハロウィーンに興奮した萌はここ数日上の空かルード(非礼)かで態度がまったくよくないのだが、本番となる今日はもー朝から駄目駄目で、コスチュームの着付け等をめぐり俺とケンカになる。今日はSFU大学の化学・物理教室が「化学のハロウィーンショー」みたいなのをやるということでJDも誘い来たのだが、気持ちが高ぶった萌は常にJDに話しかけまくり、ステージをまったく見やしない。せっかくスペシャルなイベントに連れてきてやったのにとこれでMも怒ってしまい、興奮を制御できない娘と怒った親2名という嘆息のハロウィーンになってしまった。

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ドライアイスの煙漂う
トリックorトリート
 今年はMが萌をトリック or トリートに連れて行き、俺は玄関で子供の応対をしたが、うちの近辺は年々小さな子供が減っているのが明らかで、今年は応対が計10回、50名に満たなかったと思う。今年もキャンディがたっぷりと残ってしまった。去年の経験から、残ったら俺と萌が食べられるシンプルなチョコレートとキャラメルにしておいたのだが、それにしてもまるまる1袋以上残ってしまったのだから消費は大変である。

 うちのこの通りは隣のJKのように孫がある家が多く、PoCo では古い住宅地なのだろう。萌たちが行ったWL家近辺はここ10年くらいにできた住宅地なので若い家族が多く、町中を子供が練り歩き大盛況だったらしい。俺とMは終日げんなりだったのだが、萌は記録的な量のチョコレートをもらってきて俺とMとBRに分配もし、これだからハロウィーンはやめられないとご機嫌であった。

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 【天皇賞ネット観戦】ウオッカのほかに俺が知ってるような有名馬がいない。これは名馬が負けるパターンだなあと最初から感じる。ウオッカの様子はいいので体調は万全だろうが。

 レースは回線が途切れて4コーナーからしか見れなかったのだが、ウオッカは普通に能力通り走った感じで3着であった。勝ったカンパニーの走りが素晴らしかったので、これはディープインパクトがハーツクライに敗れた有馬記念などと同じで、力のある敵がパーフェクトなレースをしたら、いくら天才馬でも普通の走りじゃ勝てないということだろう。残念というしかないが、普通の走りでも3着は楽に確保できるのだから、まだウオッカは終わったわけじゃないはずだ。

 勝ったのは横山ノリだった。秋の天皇賞は初勝利だそうである。うーん、そうか。メジロアルダンでの2着から19年、そんなにも長いことこのレースを勝たずにいたのかノリよと、ダービーのときとまったく同じ感慨に打たれる。初めてのG1ウィニングランなのか大歓声におびえたカンパニーが暴走しそうになるのを、ノリは笑いながら手綱とひざを使い御していく。若い頃から変わらない運動神経と馬乗りのうまさを見せびらかしながらの凱旋だ。

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 あとで Youtube の映像を見ると、スタート後ユタカがつーっと下げて、ゴール前ではまたも隙間がないところにはまってしまっていた。カンパニーたちが抜け出してやっとスペースができ一瞬しゅっといい脚を見せたが、最後は同じ脚色になってしまっていた。これは安田記念に続きユタカが下手で、あそこから勝てば再びミラクルだが、競馬は馬に奇跡を見せてもらうショーではなくスポーツなのである。33 秒で上がる馬を追いかけて交わすなんてことは物理的に不可能なのだ。新聞には「引退も」なんていう調教師の言葉が出ているが、下手なレースをして負けて引退なんて悲しいではないか。有馬記念はいらないが、もう一度府中を走ってほしい。一月後のジャパンカップで。

2009/10/23

日記「非仏教的体験」

「メロディ・フェア」「ホームページ引っ越し」ほか。

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■09/10/18(日) □ 非仏教的体験
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 Mが昔から興味のある仏教のメディテーションクラスに萌を連れて行くというので、どんなものかと興味があり俺も参加した。インドっぽい曼陀羅が飾られた祭壇で、日本の仏教とだいぶ違う儀式様式は面白いのだが、先生は一般の、それもかなり初心者に近い信者のようで、あまり言葉に重みは感じられない。

 お釈迦様に水と米(白い砂利)を備えてから、仏教とは何か、釈迦とはどういう人なのかみたいなこの宗派の子供向け教本を先生が読んだのだが、この内容がなんかすごく非仏教的であった。釈迦は世界を愛で救う素晴らしい方であり、どんな存在よりも愛の力が強く云々.....。こんな釈迦崇拝思想なんて、これまで聞いたことがない。外に出てから、「なんかこれはキリスト教の教義のジーザスをシャカに変えただけじゃないの」とMにいうと、「(そうよねえ!)」と小声で強く同意する。

 ここは子供向け瞑想レッスンがあるということでわざわざバンクーバーまで来たのだが、呼吸法やら心の持っていきかたみたいな技術系の話は何も出ず、萌も俺たちもただ座って静かに目をつぶっているだけで、得るものなくレッスンは時間は終わってしまった。

 別室の大人のメディテーションルームではチャントをやっていたのだが、これには西洋音階がついている。お経っぽい韻律を西洋人がつけやすくするためなのだろうが、西洋音階なので賛美歌に聞こえてしまう。歌詞カードを見ながら聞いていたのだが、この歌詞もやはり世界人類が平和でありますように、お釈迦様は祈っていますみたいな内容で、ほんとに賛美歌みたいであった。

 「仏教というのは、自己を研鑽し欲望を克服してより高い存在になるみたいな思想だと思うのだが」「それがゼン仏教よね、私もそういうのを期待したのよ。ここはだいぶ違うわねー」ということで、興味深くはあったが非常に非仏教的体験だったのです。

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 続いてインドのお祭り、バンクーバー・ディワリ・フェスティバルへ。ディワリなんて聞いたことがなかったのだが、インド最大のお祭りで、チャイニーズニューイヤーのようなものらしい(※)。バンクーバーの市長がお祝いを述べに来ており首相の電報まで入っていたので、インド系人口が多いBCではそれなりの行事なのだろう。
(※)後で調べて知ったが、ヒンドゥ教の神の帰還を祝うお祭りだそうです。

 あまりうまくない屋台のインドカレーを食べながら催し物を見る。シタールを持ったインド楽団が最初に出てきたのでおおと興奮するも、シタール奏者だけなぜか白人女性で、彼女が下手なのかまったくマイクで音を拾ってなくて聞こえなかった。残念。

しかしタブラというインドのボンゴが最高で、これを生で聞けただけでも快感であった。左手でドスっとバスドラ的にリズムを入れ、右手は全部の指を使いタッタカタッタカと細かいリズムを刻み、立ち上がりの鋭い音で素晴らしいリズムが出る。おー気持ちいい。

 しかし楽器の音色は最高だが、歌は例のあの他世界から隔絶した独特なインド歌謡で、どう聴いても他国人には面白いとは思えないエグく単調なメロディなので、1曲聴けばもうたくさんという気分になってしまう。俺だったらシタールをもっと強調しタブラをタッタカ鳴らして「Paint It Black」でもやって盛り上げるけどなあなどと考えつつ、2曲で飽きて萌とともに場内を散歩した。

フェスティバルが行われたラウンドハウスというこの建物は、昔の鉄道車庫を改装したコミュニティセンターで、機関車を回転させるアレがそのまま残っており、車庫はそのままホールとなり、汽車も1両保存されているなかなか鉄道的にすごいところだった。こういうところが残ってるんだから、やっぱり都会はすごいな。

 その後インディアンダンスが何人も出ていたが、トラディショナルな民族舞踊というものもやはりさほど面白いものではない。日本舞踊と同程度の興味しか感じない。音楽はなんでもライブで見れば楽器の音が気持ちいいので気持ちが高ぶるが、ダンスはよほどよくないと俺は興味を保てないようである。

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■09/10/21(水) □ メロディ・フェア
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 萌が二度目のランチタイム・モニターをする(昼食どき、上級生が先生の代わりに下級生のクラスを監督すること)。下級生に命令を下すというポジションに高揚したWL小僧がえばるのを、ちょっとあんたエバらないでよといさめてやさしいお姉さんとなっているらしい。

WLとASが喧嘩しているときに萌が無視され腹を立て、「まるで私が目に入らないのよ!」だとか言ってたのだが、今日その話をしたら好きなALに「僕の目はいつだって君を見ているよ」といわれたという。―――くー! なんちうスイートでいい奴なんだあいつは。この子はこないだも萌に、「僕は学校が好きさ。君に会えたからね」などと言ったそうである。萌はもうドギマギになり、「なにそれ、何を言ってるのかよくわかんない」などというおばかな応答しかできなかったそうだ。頭の中でビージーズの「メロディ・フェア」が鳴りそうなかわいさである。


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■09/10/23(金) □ ホームページ引っ越し
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 クボの「共犯新聞」サーバーのアカウントが削除されてしまった件をヘルプしていて、96年から13年にわたり存続してきた Geocities 上のわが古文集積サイトも10月末で廃止されることが判明し、朝いっぱいかけて引っ越しをした。リンク直しがほぼすべての作業でけっこう大変だったが、すっきりである。tomosakata.hp2.jp、短く気分のいい URL が取れてうれしい。

 あそこに置いてあった書き物は古くは93年からのものがあり、今読むとけっこうイタイ(パーソナルすぎて人に見せる価値がない)ものも多い。徐々に整理していこう。

2009/10/17

日記「馬鹿教科書の謎」

「イモリ水棲に戻る」「夢の二段ベッド」「前庭に墓場」ほか。

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■09/10/06(火) □ 馬鹿教科書の謎
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 週末に続き、今日も萌が数学の宿題に1時間半かかる。フランス語がわかる天才数学青年MKのヘルプを得てなお、である。なんなんだこれは馬鹿ばかしい。明日先生と談判しよう。

 だいたいこの教科書からして馬鹿なのだ。巨大な百科辞典みたいな重い教科書で、先生に常識があれば「机で開けばノートを置く場所がなくなる教科書」というモノ自体馬鹿げてるとわかるはずだし、こんな重いものを子供のバックパックに入れ家と学校を毎日往復させる不毛さに気づくはずだが(最初期のラップトップコンピュータより重くでかい)、その物理的馬鹿さに加え設問がひどい。ほとんどすべての設問が答えを文章で書くようになっている。

 たとえば今日は公約数・公倍数をやっていたのだが、「この図は何を意味するか述べよ」という設問になっており、

「左の丸には3の倍数が入っており、右の丸には4の倍数が入っており、オーバーラップする真ん中には3と4の両方で割れる数が入っている」

と書かなければならないのである。そんなことは一度説明されれば子供はわかるわけだが、疲れた夕方に定義を【文章化】しそれを(フランス語で)書くというのは、はなはだしく時間がかかる作業になる。これだけで萌はMKがヘルプに来るまで30分くらいひっかかっていた(※)。
(※)萌が設問を英語に翻訳できれば俺でもヘルプできるが、文章の意味はわかってもそれを他人にわかるように翻訳することは子供にはなかなかできない。理解と翻訳は別のスキルなのである。翻訳者の俺が言うのだから間違いない。

 「ただ答えを書くのではなく、こうすることで子供はより深く理解できるのだ」という教科書メーカーの意図は明らかだが、子供の労力と自由時間を犠牲にして「深い深い」と悦に入るところが馬鹿だといいたい。従来と同じ所要時間で理解を深くしてもらいたい。そもそも公約数・公倍数にそれほど深く理解するほどの深さがあるのか。この馬鹿教科書と、それを無造作に大量に宿題に出す教師のせいで、子供は毎晩泣いているのである。馬鹿ばかしい。

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■09/10/07(水) □ 馬鹿教科書の謎が解ける
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 放課後、萌の宿題が終わらない問題を先生と話す。結局2Pのうち半分はクラスでやっており、残りを家でやるとのことで、「2Pなんて与えていない」と彼はいう。「しかし今の数学は昔と違って、文章を書いて答えるようになってるじゃないですか。だから時間が余計かかるわけですよね」と、遠まわしに1ページでもぜんぜん多すぎると訴えると、「この教科書は学校が選んで買ったもので、宿題は復習としてやらせてるだけで、やるかどうかは親次第だ。別に翌日答え合わせもしていないし」という。

 なんだか意味がよくわからないのだが、続いて「これが今日の宿題だよ、これが私の教え方だ」と彼が見せたプリントは、同じ公約数、公倍数という主題をより簡潔に、チャートの空白部分に数字を入れていくといった作業を主体に済ませるものであった。あ、これはいいですね。ずっといい。―――しかしこうして簡潔に教えたいならば、自分が気に入らない教科書のページなど宿題に出さなければいいではないかと、結局不満が解消しないミーティングとなった。

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 後からMの持つ情報と合わせ考えてみると、この馬鹿教科書は学校が選んで買い子供にレンタルしてるのだそうで、やっと全部がつながりわかってきた。

 萌は週末の宿題の設問と図を全部ノートに書き写すという馬鹿げたことをし、「先生にそういわれたのだ」と言っていたのだが、それはおそらく先生が「教科書はレンタルだから書き込んじゃ駄目だぞ、ノートに書くんだ」とか言ったのを曲解して、全部書き写したのではないか。

 もちろん萌の勘違いなわけだが、ノートを見れば書き写したのは図に書き込みをする必要を感じたせいもあるのだとわかる。つまり教科書貸与という仕組み自体が、書き込みができないという形で子供らにもう1層の負荷を与えているのだ。重量体積の物理的負荷、設問による長時間負荷、そしてレンタル不便さ負荷の三重苦である。

 ここまで考え、これはあの規律と体育重視、自由と知育軽視のカタブツ校長が噛んでいるのではないかと思えてきた。こんな重くでかい教科書を現場で教える教師が選ぶほうが不自然であり、内容だって親が見ても教師が見てもよくないから今日からプリント宿題に切り替わったわけだ。丈夫で長持ちするハードカバー教科書をレンタルで使えば長期にはコストが削減できるみたいな教科書メーカーのトークにだまされ校長が導入を推進したのだと思えば、すべて辻褄が合う。馬鹿げた重さも彼女ならばスポ根的に受け入れやすいだろうし。

 俺がこの推論をMに話すと、たとえ校長が教科書を選んだとしても、教師はそれを使う義務なんか教育法上ないんだから、この先生の資質を疑うわという。俺も同感である。今日の宿題には文句はないが、今後もあの馬鹿教科書に縛られ毎日宿題が来るのであれば、彼を心から信頼することはできないな。

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■09/10/09(金) □ イモリ水棲に戻る
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最近イモリのジムシーが顔を水につけても嫌がらない様子が見えるので(体調が悪いと呼吸が苦しくなるのか、拒食が始まってからは水に顔がつかるとパニックになっていた)、午後深いところにそっと降ろして水中散歩テストしてみる。するとやはり植木鉢に潜り込み5分も探索し―――これほど長期に水上生活をしていても、肺活量は落ちてないらしい―――、水草を伝って水面で息をしてからまた潜っていくという、調子のいいイモリのような行動をしている。実に 47 日ぶりの水中活動なり。うれしい。

 そしてその後ジムシーはなんと水上に上がらず、ホーム岩陰の浅瀬水中に落ち着いてくれた。散歩を機に完全に水棲生活に戻ったのである。やっ・た\(^o^)/。これはいずれ自力でまた捕食もできるようになるだろう。無用なストレスや病因を与えぬよう気をつけよう。ノボリはもう寒さにも慣れて常時絶好調だし、イモリを飼う喜びが十分に味わえているこの頃だ。

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■09/10/10(土) □ 夢の二段ベッド
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SFがいらなくなった2段ベッドを萌がもらい、今日ADが持ってきてくれたのだが、これがすごいベッドだ。IKEA なんかで子供ならば誰もが登ってしまうようなすごいやつ。ラッキー萌。

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 水槽を軽く掃除。それをやってる間ノイズを嫌がり水に逃げ込んだノボリとジムシーが、なんと連れ立って水中散歩を始めた。ノボリが先導し、47 日間水中散歩をしたことがなく土地勘のないジムシーはそれについて行ったのだろう。か、かわいーと萌と俺は大喜び。2匹が活動してると2倍楽しい。

 「やっぱりペットってイイよねえ」と萌はいう。「なんかやってあげて、ペットがそれを使うとうれしいし」。ああ、それは工夫っていうんだ。You try something and it makes things better ってこと。工夫してやってそれでペットがハッピーになると、ほんとうれしいよね。萌が生まれたばかりのときに、ベイビーの世話は小さなもの言わぬものたちの世話と同じ喜びがあると日記に書いたが、まったくそれがペット飼いの喜びだよな。

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 夕方、浅瀬にいるジムシーにエサをそっと差し出してみる。―――食べた! やっ・た、カムループスから 54 日ぶり、強制給餌開始から3週間余。長かった。感動(泣)。

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■09/10/12(月) □ 前庭に墓場
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夜の墓場で

サンクスギビング。うちは特に行事はなく、萌に宿題をやらせたり庭掃除を手伝わせたりする。夕方、萌の案で前庭にハロウィーンっぽい墓場を作成。なかなかいい感じにできました。

 コスチュームは夏に萌がはまっていた「コーラライン」の目がボタンになったキャラクターで、マイクが厚紙を切り抜いて大きなボタンを作ってくれ、これに黒いケープを合わせる予定。目がボタンというのは映画でもそうだったがなかなか不気味である。

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 その後宿題は、わずかな量になっている。まったくない日もあり、先生が言った通りしっかり集中すれば学校で済ませられるだけの分量なのだろう。萌もペースが掴めてきて、家に持ち帰る必要がないのだと思う。やれやれ。

2009/10/03

日記「カナダの九九問題」

「ロック親父苦悩」「英語式九九」「相撲と格闘技」ほか。

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■09/09/22(火) □ ロック親父苦悩
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 萌のカーCDを久々に作り、彼女が最近がっぷりはまっているティーンポップのうち俺が聞いて耐えられるものに昔のダンスポップみたいのを加えて入れてみたのだが、バナナラマ「Cruel Summer」をかけてるときに、「お父さん、本当に悪いんだけど、私もうそういう昔の音楽は聴きたくないの。なんか、スローだし」と言われてしまった。がくー。俺だって特に好きでバナナラマを入れたわけじゃないのだが。

 これは現代ポップ以外は聴きたくないという萌のオフィシャルな表明である。まあ仕方がないので、「お父さんはああいうの(ティーンポップ)は我慢できんから、これからは萌のためのカーCDは作らんよ。ああいうのはCDプレイヤーでヘッドフォンで聴きなさい」という。

 じゃあ「Boom Boom Pow (Black Eyed Peas)」というのを入れてと、Youtube で俺に聞かせる。これがあまりにもひどいのでもうほんとにがっくりきた。車にスーパーウーファを積んで周り中の車の窓まで奮わせる馬鹿が鳴らすようなアレである。

 「萌さ、これは音楽ですらないノイズだよ。こんなものを聞いてたら頭がバカになるよ。いくらなんでもこれはダメなり」と諭す。「でも学校でみんな歌ってるんだよ!」。これはもう、カナダの小学校にいる限りクソポップ音楽からは逃れられないということなんだろう。もちろん日本の小学校にいればクソJPOPに俺は同じくらい悩まされるだろうが。

 萌には小さい頃から日英ロック・ポップの古典をさんざ聞かせてきたのだが、この夏9歳にして音楽趣味はガタガタっと俗化してしまった。結局「音楽趣味のいい子供」なんてのはあり得ないんだろうな。子供は社会性の生き物で、友達が好きなものはすべて好きになってしまい、それはTVに出てくる高刺激性のものなのだ。最近萌が集中力ないのも、実はこの脳と耳神経を破壊する Boom Boom 嗜好と関係あるのかもなと思えてきた。

 Mにこの俺のロック親父苦悩を話すと、親がどうしようと子供はポップにはまる時期があるのよ、いずれまたいい音楽がわかるわよとのこと。それはそうなんですが。とほほ。

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■09/09/23(水) □ カナダの九九問題
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 萌の風邪が治り明日から学校に戻るのに、週末の宿題が終わってないことにMが気づき、目を通していて萌が掛け算を忘れていると判明してやり直しをさせる。英語には九九がないので大変なのは知っていたが、Mの教え方が 3、6、9、12...と答えだけ暗誦させるというものなので、後であのさあと話をする。3x5 の答えを出すのに 3、6、9、12、15 とやっていては遅くて実用にならんではないか。これがカナダ式なのかね?

 Mは自分はこうして覚えたが、なにが萌にベストな方法かなんてわからない、文句があるならどうしたらいいのか言ってくれという。―――いや、日本じゃ「九九」という表があって歌みたいに覚えるんだが、萌が掛け算を始めた去年紹介しても食いついてこなかったのだよ。英語で覚えてるところに日本語の九九を入れても混乱するっていって。

 するとMは数字は万国共通で混乱などせんと九九導入を命じ、明日から俺が九九係となってしまった。日本の皆が思うとおり九九が本当に優れているのか、頑張って証明せねばならない。

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 しかしカナダではグレード4からは学業がそれまでとは桁違いの厳しさとなるな。これまで宿題ほぼゼロだったのだが、いきなり1時間以上もかかるものになるとは。ヘルプしてやりたいのだが、フレンチエマージョンだと半分以上は設問もフレンチなので、親も意味がわからずお手上げだ。

 俺が子供の頃、こんなに遊びに支障が出るほど宿題なんかなかったぞ。カナダでも日本でもこの宿題の嵐は近年のことなのだそうだが、これじゃ子供が学校嫌い....にはならんだろうが課題嫌いになりそうだし、この宿題量に加えて九九と漢字練習なんて酷でやらせられん。学校はこうだし、音楽その他の趣味は完全にTVに操作されてしまうようになり、この夏を境に萌の生活は激変している。萌はハッピーなままだが俺はあんまりうれしくないのである。

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■09/09/24(木) □ 英語式九九
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 夜、萌に九九を教えようとしてみる。しかし萌は半端ながらも英語ですでに覚えているので、「さざんが?」と聞いても「(3 times 3 is....) 九!」と英語で考えて答えてしまう。九九のメリットは語呂をよくして口で覚えることにあるわけで、これではまるで意味なし。余計な手間が増えるだけである。

 それではと、「Three times Three is Nine」じゃリズムが悪すぎて口が回らない、発音に集中しないとちゃんと言えないからそっちにブレインパワーが使われ答えが覚えられないんだよと説明し、九九は発音が超簡単だから覚えやすいのだとメリットを教え、「Three Three is Nine」と times を省略させることにした。times をスキップすれば語呂が飛躍的によくなる。萌がはまっているヒップホップ風に、

「♪Three Three is Nine, oh yeah, don't you know, Three Four is Twelve, oh yeah, can't you see?」

といったバカ節を作り歌うこともできる。この英語式九九で覚えてくれ。

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■09/09/26(土) □ 相撲と格闘技
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 萌がスーパーショートヘアにカット。かわいいといえばかわいいが、前はナチュラルにかわいかったのが作為的にかわいくなったわけで、なんか無用なことだと思う。まあそれがファッションというものか。ロングヘアが似合うかわいい女の子はみんなショートヘアにする傾向があるといえる。

 萌がヘアカットしている間CTでキャンプ用具を見る。この冬親戚揃ってハワイに行くという話があるのだが、そんな金を使うなら日本に置いてきてしまったすべてのキャンプ用品を買い直し、コット(キャンプ用ベッド)なども揃え豪華快適なキャンプ旅行が5年はできるんではないかと考えてしまう。海外旅行やらホテル滞在やらで金が瞬時に消費されていくのは悲しい。

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 大相撲千秋楽、白鵬が負け単独首位になったあたりから「てめえらふざけんなよ、俺を誰だと思ってるんだ」的な気を発散し、ピークは過ぎても大関陣の2倍は強いというところを見せまくっていた朝青龍が、これまた怪我(?)があっても地力に加え技術の切れもすさまじくなってきた白鵬とすごい相撲を取り優勝。前回の優勝決定戦同様、自分の力を相手よりも下と覚悟して白鵬の力を封じ切った朝青龍もすごければ、一度も有利な体勢を取れないのに押し出されず残し、朝青龍の体をこじり起こし体勢を入れ替えようとした白鵬もすごかった。

 しかし解説の2人が、「白鵬が勝ってほしい、稽古してない朝青龍が勝ったら相撲がダメになる」みたいなアンチ朝青龍論を毎場所連呼していて、つくづく辟易させられる。あんたたちが相撲のしきたりをどれほど愛そうと勝手だが、格闘技の面白さ、アスリートの輝きを見る喜び、天才同士の戦いを味わえる幸運を味わっているその瞬間に、リアルタイムでケチをつけないでもらいたい。相撲を見ているのはしきたり愛好者だけではないのである。

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■09/09/28(月) □ 近所の火事!
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 寒い一日だった。朝は外で息が白く、室温も終日20度から上がらずじまい。もうじきヒーターもキックインするだろう。

 水槽は朝18度だったが、アカヒレとイモリにはまったく問題ないようである。イモリ2匹は動きがないので寒そうに見えるのだが、これはもともとこうだからどう感じているのかまったくわからない。

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 夜、消防車がうちのブロックにウイーと入ってきて、窓から見ると1ブロック向こうの家が燃えている。オーマイゴ。木の向こう側にチラチラと見える炎がどんどん大きく明るくなっていく。早く早く、早く火を消してやってくれ、気の毒すぎる!

 じりじりしていると3分ほど経ってようやく放水が始まり、するとみるみるうちに火が消えていった。残ったのは膨大な煙のみ。はー、よかったー。あれほど簡単に消えたところを見ると、燃えていたのはガレージかなにかだったのだろう。うちからはかなり遠いのでほとんど煙さは感じないが、近所数件はひどいことになっていそうだ。

 火事は恐ろしい。恐怖と興奮で涙を浮かべる萌と、今日燃えたのは多分ガレージで、ガレージにあるものなんて全部お金で買い直すことができるからいいけれど、家が燃えたら最悪だよねと話す。火事が起きたら何を持ち出すか。まず全員分のPC。アルバム。各種書類。ビデオ.....と考え始めると、やはり家の中で金で取り返しがつくものなんてほとんど何もない。家事は本当に恐ろしい。

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■09/09/30(水) □ DSで学習
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 買い出しとみなの送迎で一日が過ぎる。萌がやっと宿題のペースをつかんだようで、今日はすでに学校で終えていた。もともとクラスでやる課題の残りを宿題として持って帰らされているのだそうで、授業のほうに萌のペースが合ってきたのだろう。

 萌の宿題苦労や授業の様子などをMが新しい先生に尋ねたところ、意外や萌は授業中しっかり集中してやってるそうである。家では最近集中力皆無で、いろんな場面で俺はうんざりさせらているのだが、学校では違うのね。疑ってすまなかった。

 おかげでようやく時間ができたので、ここんとこご無沙汰になっていたDSの「漢字なぞって」と掛け算30マスをやらせる。答え合わせがリアルタイムのDSペン学習はテンポがいいので気持ちよく、時間が無駄にならなくていい。漢字はすでに大半を忘れていそうな2年生レベルをやらせてるのだが、思い出せない字もヒントとしてヘンとかツクリを書いてやると萌もやはりおぼろげに形は覚えており、それ風な字を書く。「漢字なぞって」は判定エンジンがすばらしくユルいので、かなり崩れた「それ風な字」でも正解としてくれモチベーションが上がる。コンピュータに読める程度の字なら逆に人間は文脈も合わせ強力に類推できるわけで、漢字力としては実用に近いものが萌の身についているともいえる。

 30マス掛け算はまだ完璧ではないが、70% 台から 80% 台へと正解率が上がっている。毎日の繰り返しでじっくりと 100% を目指そう。

2009/09/18

日記「ヒップホップ・ダンスレッスン」

「DSの中のペット」「Sonny With a Chance」ほか。

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■09/09/09(水) □ DSの中のペット
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 朝、ガーナ・日本戦を Youtube で見る。3点取られたのでこれはあかんと思ったが(俺が Football Manager 2008 でほれ込んでいたギャンが中澤を翻弄していた。1対1になれば当然の事態である)、憲剛、岡崎、玉田、稲本でアララの逆転となった。最後は相手の足が止まっていたのだろうが、岡田日本が追及する小兵の動きで3点、最後にただ1人残った「黄金世代」が格で締めて1点と、試合は楽しかったようである。

 稲本のゴールは昔小野が英国相手に決めたような、ためて狙い澄ましてコースに決める本当に別格なシュートだった。詰めていたのはあのエシエンだそうで、まったく稲本のポテンシャルは天井知らずである。なのに10年間どこのクラブに行っても花が咲かなかったのがなんとも悲しい。プレミア時代に何度か見たが、彼はボールが来ないと様子見になってしまい仕事量が激減するんだよな。その部分であれほどの才能がありながら活躍が限られるのだろう。才能でいえばパクチソンよりずっとあるだろうに。

 しかしやはり思うのだが、走れ走れで全員がエネルギー切れまで奮闘するのではなく(―――だいたい90分プレスを持たせるったって、相手の強さや天候で消費エネルギーは激変するのに、こちらの注文通りになんか試合が進むわけがないではないか―――)、こうして日本が誇る名手たちが技巧とアイデアで強い敵を攻略するところをWCでは見たいものである。06年にやり残したことはそれだろう。走りで「世界を驚かす」のは北朝鮮と韓国がやったことであり、日本はそれとは別な強みを持っていると示したいではないか。実際日本と韓国がやれば、日本の持ち味は走力にはないわけだし。

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KT・HNを呼んで「トモダチコレクション」パーティを行う。2人は一発でのめり込む。やっぱ Wii で Mii を一度でも作ったことがある人ならば、それが喋り世話ができるということがエキサイティングなのは当然だよな。奪い合いでケンカになり大変だ。

 実際作るキャラのネタは尽きたが、俺も萌も世話を楽しんでいる。やることは減らず増えすぎずいい塩梅だ。名作「どうぶつの森」は毎日のルーティンワークが義務化してきて最後は面倒になったのだが、こっちは何もせずともいいし、お金は十分にたまるし、住人の要望を無視してもペナルティはないので気楽だ。

 お気に入りのキャラには似合う服を見つけ買ってやりたいし、歌とキメ台詞を教えたくなる。宮崎監督が目を開けたまま床に寝転がりもの思いにふけっていたりするとすごくリアルに感じるし、ムスカが部屋の中を神経質そうに歩くのもかわいい。動きを遅く設定したカオナシが、虚空を眺めぼーっとしてるのを見ると幸せな気分になる :-)。これはまさしくペットである。

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 夜ゴミを出しに行くと、なんと体長5cm幅2cmの大きなカエルがドライブウェイにいた。市内でカエルを見たのは初めてである。一番近い小川でも 500m はあるのに、どうやってここまでたどり着いたのか。俺は今や両生類飼育のエキスパートで、スペアのビンと塩素が抜けた水とエサその他必要なものはなんでも揃ってるので、ちょっと捕まえてビンに入れ観察してみる。Columbia Spotted Frog という種らしい。

ところが同じ両生類でもイモリとカエルは大違いで、すさまじい筋力ジャンプ力で、ビンの中をずったんばったんと跳ねまくる。はなからイモリ水槽に入れるつもりはないが、もし一緒にしたらイモリと魚たちは大パニックになるだろう。朝までキープして萌に見せてやろうと思ったのだが、この様子では怪我をし弱ってしまうかもしれないので断念し、写真だけ撮って逃がしてやった。いやー、カエルはすごい。ワイルドすぎてペットにならん。イモリのほうが全然かわいいのである (^-^;。

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■09/09/11(金) □ Sonny With a Chance
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 夕方、萌がまた近所のイジワル娘SMとケンカしアップセットして帰ってくる。SMが俺の悪口を言ったという。俺はSMの行動には干渉してないのになんで悪口を言われるんだ?

 話を聞くと、SMがやりたい危険な遊びに萌が加わるのをいつも俺が許さないので、「萌のダッドは strict(厳しい)だ」と、さもそれがひどいことであるかのように言っているらしい。厳しいなんて悪口じゃないのだが、SMの価値観では子供の自由を妨げる厳格な人は悪なのだろう。

 今日はSMが三輪車に乗った2歳のCSを自転車で先導し町内 500mを1周するというスリルイベントを企画し、「車が危険だということすらわかってない2歳の子を子供だけで、歩いて随行するならともかく自転車で先導して安全なわけがないだろう」と萌には同行させなかったのだが(――これをOKするCSとSMの親の考えが俺とMには理解できん――)、それがSMのカンに触ったらしい。

 彼女は小さいときから人間関係の価値観がずれていて、前になんだったか問題行動を俺が叱ったときに、「あんたなんかあたしのボスじゃないわ、あたしのダッドがボスなのよ」と口答えされたことがある。「ボスか否か」「自由(味方)か制限(敵)か」という軸でしか人間関係が捉えられないのである。彼女の親父が典型的レッドネックなので、そういう家長的価値観を持った家庭なのだろう。

 そうしたことを萌にきちんと説明してやった。俺がSMに干渉したらあの親父とケンカになるだけなので、彼女がなにをしようが俺は何も言わないが、萌にやらせるわけにはいかないのだよ。

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 話が終わり、萌を元気付けるために録画しておいたお気に入りのショー、「Sonny With a Chance」を一緒に見る。これはカムループスの退屈なホテルで初回を見、面白くて以後2人で毎週見ているのだが、田舎からハリウッドに出て芸能人になった明るくやさしいティーンエイジャーがイジワル芸能キッズに囲まれ奮闘するというコメディで、少女マンガ的で非常に楽しい。俺がカナダに来て以降唯一毎回見たコメディ「Friends」に通ずるものがある。

 これを作ってるのは、ティーンエイジャー向けのコメディばかりやってるディズニー Family チャンネルという局で、ここがアメリカのティーンエイジ・アイドルを量産しているようである。ジャニーズ事務所がTV局を持っているようなものか。この「Sonny~」の子はすごくいいのだが、この局一番のスターと思われるハナ・モンタナなんてどこがいいのかさっぱりわからない。トイショップには彼女のグッズが並びまくっているが、それを見ればわかる通り全然かわいくないのである。

 そのハナ・モンタナショーをちょっと見ると、彼女は明るく気が強く声がダミ声で健康そうで歌とダンスが得意。アヴリル・ラヴィーンっぽい。やっぱアメリカ/カナダじゃこういうチアリーダーみたいな子が学校の華なのかねという感じ。俺はげんなりさせられる。そういえば「Friends」のレイチェルが高校時代は高飛車な人気チアリーダーで、学校中の地味な男女から呪われていたという設定になってたから、ハナ・モンタナ的な「陽」に辟易するセンスは北米でも普遍的なものなんだよな。

 このチャンネルではアジア系はたいてい台詞もない脇役で、しかも女の子は全員北米アジア系ガールに典型的な、目をくまどるきついメイクをしたヤマンバ的な人々である。かわいく美しいアジア系少年少女はハリウッド芸能界には入らないのであろうか? 別にどうでもいいのだが。

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■09/09/12(土) □ ダンスレッスンに登録
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 昨日今日と夏が戻ったかのように暑い。BCは日差しが強すぎて、日の当たり加減で気温が15度も変わってしまう。萌はこの夏中、遊ぶかTVを見るかゲームかであまりに生活がレイジーなので、この頃俺が意識して勉強と歌とピアノをやらせている。

 夏休み後半彼女はずっと歌とダンスをフリフリとやっており、「実は私最近ロックスターじゃなくてポップスターになりたいのよね」という。なんか Family チャンネルの影響を感じる(笑)。そんなものになってほしくもないが、しかし萌よ、そのために必要なスキルは何かわかるかね―――と、萌を入れてやろうと考えMと相談していたコミュニティセンターの「Jazz & Hip Hop Dance」というレッスンを紹介する。萌は文字通り躍り上がって喜び、即登録。どんな歌をやるのかなと始まる前からめちゃくちゃ盛り上がる。I Got A Feeling みたいな流行歌を使ったダンスだったらいいねえ。

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■09/09/14(月) □ ヒップホップ・ダンスレッスン
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友だちのJDとダンス
 【ヒップホップダンス】待ちに待ったダンスレッスンは予想を超えた10人以上の大クラス。パーキングでダンスの服装をした太った女の人を見かけたのだが、その人が講師だった。太った運動講師は自分の息がしんどいからクラスの運動量を減らす傾向があるのでうーんな感じ。萌の昔の体操講師なんかひどかったからな。

 まずは長々と自己紹介がありアクションはなかなか始まらず。やっと始まると曲は「ハイスクールミュージカル」というアレ(子供向けミュージカルTVショー?)だった。なんとまあイモな。Hip Hop といいながら16ビートですらないではないか。ここまでイモだとは予想外だが、考えてみればこの講師が所属する田舎のダンススタジオでやるのなんて、こういう趣味が悪いミュージカルが定番なのかもしれない。萌に入っていってほしくない世界である。

 しかしアクションが始まってしまえば子供はうれしくて仕方がなく、萌の笑顔が弾ける。こういうのは空手をやめて以来久しぶりだ。ダレていた夏休み後半からの憂さを忘れさせる笑顔だ。よかった。


 座談とストレッチで半分以上つぶれたので正味ダンスは20分ほどだったが、リズム感のない子供にクラップとジャンプを使って16ビートのリズムの取り方を教える課目もあり、なかなか悪くなかった。体型から想像したようなレイジーな人ではないようである。人数が多すぎ、そのほとんどのキッズはダンスが好きというより体を動かしに来てるだけに見え、萌みたいにうまくなりたいと熱心な子がどれだけ上達できるかは怪しいが、とりあえず楽しい6回のレッスンになりそう。

2009/09/11

日記「夏休みが終わる」

「アカヒレでなごむ」「ファーム・バイクライド」「トモダチコレクション」ほか。

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■09/08/29(土) □ M父夫妻にカレーパーティ
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 来週フロリダに発つM父夫妻を迎えカレーパーティをする。うちで採れたズッキーニを入れたカレーは皆に大好評だったが、カナダの人はカレーはそんなにバクバク食わないようで、苦労していつもの倍作ったのにだいぶ残ってしまった。日本に来たときにあらゆる食べ物をビクビク食べていたGLなんかはカレーも苦手らしく、超小盛りだった。カナダの子供や田舎の人って本当に食べられるものの種類が少ない。カナダ食文化情けなし。

 M父夫妻は今回の訪問で、うちの家族と4回も会えた。これはまれなことで、M父も年を取り無闇にMに口論をふっかけるようなところがなくなったゆえ、Mが機会を多く設け穏やかに過ごせたのだと思う。PNEでも1日一緒にいてケンカしなかったもんな。萌とも長い時間過ごせて2人はうれしかったことだろう。

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■09/08/30(日) □ アカヒレでなごむ
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 1時に仕事終了。久々に馬鹿文書を翻訳して脳がはなはだしく疲弊し、昼寝した。窓を閉めて昼寝をしてももう暑くない。夕方大きなトンボが飛んできた。秋が近い。長かった萌の夏休みもあと1週。

 夏以後イモリたちはずっと食欲がなく、2匹は拒食状態になり困っている。環境(水質)を改善したりエサを変えたり、ビタミンと電解質を補うという爬虫類両生類用薬浴剤にまで入れてやり努力をしているのだが、なにをやっても変化がないのである。たとえ1月食べなくても死ぬことはないとはいえ、ペットが食べてくれないと気分が滅入る。

たくましいアカヒレたちのほうはもう何があってもとことん元気。尾が大きくなり、ボディはダークな中に赤っぽく色がついてきた。最近はケンカもスポーツ的なマイルドなものに落ち着いており、仕事の合間にアカヒレを見ていると心が和む。もっとゆっくり泳いでくれないかとは相変わらず思うが、やっぱ小回りが利きまくる Minnows (コイ科小魚) はいいなと思う。狭いところを自在にくぐり抜けていく姿が気持ちいい。これが金魚のように巨大化したりヒレがばたついたりじゃ興ざめなのだ。
 この魚の魅力はこの小ささと、水が汚れようと一気に換水しようと水槽に入れたままレイアウトをがちゃがちゃ変えようと、何があってもストレス&ダメージ皆無というところにある。ほんとに丈夫でいつでもハッピーで、飼ってて気が休まる。うちはイモリたちがみな神経質なので、アカヒレが図太いことに気が休まるのである。

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■09/09/01(火) □ ファーム・バイクライド
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 Mは萌を連れて大学へ。Mが仕事の間、萌は1歳上のM同僚の娘と学内を2人だけで歩いてるそうで、9歳の子にそれはたまらなくエキサイティングだろう。財布を持っていって買い食いしなされと薦めておいた。この夏、萌の遊びの必要上から俺とMは大幅に彼女の自由を認め―――というか過保護の俺たちの心配性を必死に抑えて、萌が大人の立ち合いや許可なしでやれることを増やしているのです。

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午後、Mが前から行きたかったというコキットラムリバー沿いのファーム・バイクライドへ。自転車に乗るならあんな草ボーボーの河原よりうちの近所の森のほうが気持ちがいいと思うが、Mのレジャー感覚というのは独特で、どこかへ出かけひと手間かけないと特別なイベントとは感じられないらしい。彼女は忙しがって町内の公園にも川にも行ったことがないのである。

 で行って見た感じはピットリバーの土手と似た感じの乾いた土手だったが、洪水退避用の広い遊水地なので川はいろいろ入り組んでいてなかなかきれいだった。保護禁猟区域には亀(アカミミの仲間)もいるそうだが、沼は柵からはるか彼方で何も見えず。しかしバイクトレールとしてはうちの市内の川の森のほうがはるかにいい道である。3台のバイクを川沿いまで運ぶ方法があればぜひともMを連れて行ってやりたい。

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■09/09/03(木) □ アカヒレのホバリング
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 掃除をしていると、アカヒレが2匹並んでふわーっとホバリング(その場垂直上昇)をしているのに気がついた。お互いフィンを広げ、ポンプは止まってるのに上昇水流に乗ったようにふわーっと並んで浮いていき、水面近くでクライマックスに達しバチンとファイトして下に戻るを繰り返す。これはフィン自慢合戦だ。強い奴がフィンを広げて弱い奴を蹴散らすのはさんざ見たが、こうして完全に遊びとしてフィンを見せ合い比べ合うのは初めて見た。かわいー。

 萌も呼んで見せると、ラピュタのドーラ兄弟みたいだねと大笑い。たしかに、力コブ自慢だよなあこれは。エサ台を取り除き遊泳スペースがほぼ倍増したので、こういう行動の違いが出てきたのだろう。それにうちに来て一月でフィンが大きく育ったので、見せ合いっこも熱が入るのかも。

 不調イモリたちは環境改善が効いたか、食べてない2匹は相変わらずだがノボリの体調がぐっと上がってきた。今日は水槽の掃除後さっそく散歩に出て、フロントで愛嬌を振りまいてから新しくなったレイアウトを探検し、水底でゆっくりとリラックスしてくれた。彼がうちに来てからのベストな体調だろう。よし。

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 夏休み終盤、向かいの家のMYがおばあちゃんのところに行ったきり2週間も不在で、萌が無聊をかこっていてかわいそうなので久しぶりに新ゲームを導入した。「トモダチコレクション」という、Wiiのあの人形を生活させるというもので、「どうぶつの森」にちょっと感じが似ている。萌はこういうのが間違いなく好きである。さっそく自分と近所のキッズを入力し大笑いしている。これは当たりだ。

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■09/09/05(土) □「トモダチコレクション」
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 【トモダチコレクション】近所キッズを次々に入力している萌は、なんとSMも作成した。えー? たしかに近所キッズだがなんでわざわざあんな意地悪な子を入れるのかと思うと、ちゃんとイジワル顔になっている。ギャハハ。こ、これは絶対にキッズには見せないようにね。まあ日本語ゲームだから仔細はわからぬと思うが。

 こうして嫌いな子を入力して遊ぶというのは、検索してみると誰もがやりがちなことらしい。まあ住民に対し特にイジワルはできない仕様なので笑って済ませていると、世話をされないこのSMが腹を立てて人相がどんどん悪くなっていく。まる1日経つと「誰コレ!?」と驚くほどの形相となり、これは怖すぎると削除。実在の人物だけにマジで怖かった。たぶん行動や言葉の強さを全部フルにした極端な性格設定が働き、非常に直情的なキャラになり、世話の欠如にああいう強烈な反応をするんだろう。今後実在の問題人物は入力しないよう気をつけねば。

この Mii 作りというのは似顔絵作りと同じで、絵がうまい人は限られたパーツで実によく似たキャラを作れる。絵の才能のない俺は自分を作っても全然似なかったのだが、こいつの目を別なパーツに切り替えて見ていたら突然わが弟そっくりになり、これに弟のニックネームと性格を与えてやるとめちゃ愛着の湧く住人となった。Wii で Mii が野球をやってるのを見たときにも、3D馬鹿リアリズムに行かない任天堂はセンスがいいなあと感心したのだが、ここにきて Mii たちをペットみたいに世話できるのだから(この世話感は完全に Nintendogs と同じ)、これはまた新たな到達点だろう。

 惜しいのは「どうぶつの森」に比べたら島やアパートの部屋が単純すぎることで、「どうぶつ」の役場前広場みたいなところを多数の住人がうろうろする町感がほしかった。部屋も、いろんな家具を置いてやれる「どうぶつ」のほうがやはり楽しい。しかしまあ傑作「どうぶつ」も最後にはやることがなくなり飽きてしまったので、この手の生活ゲームは消費型の遊びであり、新しくいいものが出てくれればそれだけで実にうれしいのである。

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 向かいのMY姉妹がついに帰ってきた。この日を2週間待ち続けた萌とスペンサーが大興奮で、ランチを済ますのを待ちきれず何度も何度もドアまで迎えに行き、それから夜まで思う存分遊ぶ。夏休みはもうあと3日しかないが、なるたけ遊んでちょうだい。

 しかし遊びから戻った萌がアップセットしており、話を聞くとMYが引っ越すのだという。えー!? ということは2ヶ月だけのトライアウトだったのか? これは萌ががっくしするのは当たり前である。やっと友達が入ってきたというのにわずか2月でアウトとは。

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■09/09/06(日) □ MY家はひと夏の夢だったのか
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 MYのところへ朝遊びに行った萌が、またもやアップセットして帰ってくる。MY家がこの朝から1週間の旅行に行くという。そ、それはないだろう。2週間の旅行から昨日帰ってきて今日からまた旅行で、それで永遠にオサラバだなんて、子供たちの気持ちの行き場がない。バツが悪そうな顔をしてMYたちが車に乗っていくと、萌は大泣きとなった。嘆息。MY家はひと夏の夢だったのか。

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 代表オランダ戦ダイジェストを見ると、強敵を相手にした日本は可能性がない遠目から打つか、外を回して遠目からのクロスにマークが薄いファーで誰かが走り込むの2つしかフィニッシュする方法がないというのがよくわかる。岡崎のシュートが典型的で、走って走ってボールを刈り、ボールは取れたが敵ゴールは遠くというパターンの繰り返しなのだろう。俊輔が打ちまくっていたミドルも、これ以上ゴールに近づけばDFに刈り取られるという距離から打っており、あれがいいところに行く可能性は低い。自力で相手を交わし打てるのはやはり玉田だけ......まあジャストミートしてなかったけど(※)。
(※)「清水:それにしても玉田はあまり評価されないですね。僕は好きなんですけど。今日もいいプレーだったし」「西部:別に今までと違ったプレーはしてないけど、玉田はこのレベルの相手にも同じプレーができるっていうのはあるよね」と、玉田を評価する記事が1つだけ見つかった。やっぱ玉田の能力は日本の宝なのであり、それを本人も含めて生かす方法を見出せてないのがもどかしい。

 しかし近年ナカータとなり嫌味をいい続ける俊輔は走れ本田とそればかり言っており、監督も60分まで走れたから通用した、これを90分に伸ばすなんていっている。むしろどれだけ必死にやってもプレスだけでは絶対最後まで持たないし、前に人を送らないと点も取れないことを考え抜いてもらいたいものである。

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■09/09/07(月) □ 夏休みが終わる
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 夏休み最後の日。明日から日本語学校も始まるので、1ページだけの「夏休みの日記」宿題を書かせたのだが、萌が夏休み最大の思い出として書いたのは意外にもイモリのことだった。イモリはかわいいと気に入ってはいても萌にとってそんな大きなトピックではないはずで、本当はMYが来たことが最大のトピックだったわけだが、その彼女が最後は引っ越していくことになってしまい、悲しくて書けないのだろう。


追憶のレモネードスタンド
夏休み初日のはじめてのMTBから始まり、近所キッズとの激遊び、KT・HN・WLと行ったウォーターパーク、スイムレッスン、WL・ALとのMTB、歯医者、イモリ、ポニョ、BRとPNE、「河童のクゥと夏休み」、BC史上最暑デイズ、そしてMYと開いたレモネードスタンドと、前半は暑さも遊びも絶好調で萌の人生最高の夏だったと思う。がカムループス以後はMYが完全に不在となり、6歳のSPとは遊べていたけれど彼は幼いしボーイなので趣味もあまり合わず、低調であったのは否めない。

 寝るとき萌は、素敵な夏休みをどうもありがとうと俺にいう。いやー、俺は何にもしなかったよ。もっといろいろ遊ばせてやろうと思っていたのに駄目だった。自己嫌悪を感じるくらいなのだ。すまんです。また来年ね。

2009/09/04

日記「高いが楽しいPNE」

「脱皮だ!」「魚が1匹足りない!?」ほか。

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■09/08/19(水) □ 脱皮だ!
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 午後、仕事を終え旅行中の日記を書いていると、イモリのジムシーが葉っぱの下でなにかもがいている。なんだと見ると体をくの字に折り曲げ、自分の尻尾に噛み付いている。――あ、脱皮だ! すごい、ほんとに皮を噛んでむいている。

 萌も呼んで興奮しつつ観察する。ネットで読んだ通り、最後は脱いだこんぶのような皮をパクパクと食べてしまった。すごいー! さっき水中に杉の枝みたいなものがあり魚たちが突っついていたのだが、あれはジムシーの手の皮だったのである。すごいー。なんかすごいな。このタンクの中でイモリたちの成長が起きていることに感動してしまった。

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■09/08/22(土) □ 魚が1匹足りない!?
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 今日は晴れているのだが風が冷たい。夏はもう終わりだな。

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 最近食欲がないイモリたちが食べ残した赤ミミズを魚たちに与えていて、1匹足りないことに気がついた。げ。シェルターをひっくり返してもいない。あちこち探しどこにもいない。まさか昼間の水槽掃除&レイアウト変更時に閉じ込めてしまったかとイモリのエサ台などを取り除くも見つからず。その砂利の下にもいない。まったく原因がわからない。疲れた。これがうちの水槽で最初の犠牲者か。いなくなったのはあの尾がないケンカ好き野郎で、個体としては一番気に入っていなかった奴ではあるが、それにしても気分はよくないのである。はあ。ケンカも落ち着いたところだったのになあ....。

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■09/08/23(日) □ 水槽レイアウトは要注意
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 朝アカヒレを確認すると、あれ!? 5匹いるじゃん。エサを投入、あ、やはり尾なしがいる。いったいお前は昨夜から今までどこにいたんだ? まさかイモリの陸として入れた植木鉢に入れる隙間があるのか?

 ―――ん? ぐわ、今度はイモリのノボリがいない! またもやシェルター裏を探し、エサ場の裏を探し、まさか脱走かと水槽の周りを探し見つからない。残る可能性はやはりあの植木鉢の中だ。まさかと思いつつ全員を別水槽に避難させ、そっと植木鉢を開けてみるとなんと、ノボリはそこにいたのであった。生きてる。ほーっ (=_=)。

 水中にほんのわずかな、箸の先も入らないような隙間が開いていたようで、そこからどうやってか入り込んだらしい。昨日アカヒレの尾なしもここにいたのだろう。植木鉢の中は1cmほどエアがあるのでノボリは助かったが、そうでなかったらと思うとぞっとする。脱走とこうした事故による水死がイモリの2大死因だそうなので、何か新しいレイアウトをするときは本当に注意しなければならない。

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■09/08/26(水) □ 高いが楽しいPNE
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 毎夏恒例PNEプレイランド、今年はM父夫妻と一緒。しかしいよいよ費用が暴騰している。パーキングがついに$20に達し(5年位前は$12だった)、その時点でもうこれは今年で打ち止めにしとこうかなとのっけから思う。

 萌と俺が2人でウォータースプラッシュに乗り$10、萌単独で空中ブランコ滑り台その他で各$4、観覧車に一緒に乗ってまた$10。高い。$40ほどがほとんど一瞬で消えた。他の遊園地には行ったことがないが(ディズニーワールドはMが全部手配したので、いくらだったのか俺は知らない)、PNEは世界有数の高い遊園地なのではないだろうかと思う。ランチでチキンが1つ$5、わたあめとアップルキャンディが各$5、コーヒーが$2.50。PNE自体は大好きだし入場料は安いのだが、ライドと食べ物の高さは我慢の限界に達している。








バンクーバーオリンピックの
雪映像に写真を合成するブース
まあそれはともあれ、萌とわあわあ言いながら乗るライドは楽しかった。ウォータースプラッシュは乗ってみて初めて1個1個が切り離されたボートなのだと知り、するとレールでコントロールされず自分が重力だけで動いていることに恐怖がじわじわっとやってくる。

そして2回あるうちの小さいスライドダウンは楽しかったのだが、でかい方(←)は昔行った西武園以来20年ぶりの恐怖であった。はあはあ。

 観覧車は普通ゆっくりと周るカーゴに動いてる間に乗る(観覧車自体は止まらない)ものだと思うが、カナダ式は2個ずつ移動してカーゴに客を乗せ、全部埋まったらぐわーと高速で回すという、これまたライドが何でも速すぎるカナダらしい乗り物になっていた。せっかく高いところからの眺めがすばらしいのに、あわただしく回るので写真を取りMたちに手を振りあたりを見渡しと、全然景色を楽しむ時間がない。

 最後にまた2カーゴずつ客を降ろすときにやっと高いところでしばらく静止し景色をじっくりと眺められたが(なつかしいヘイスティングス競馬場の眺めが最高)、あんな早回しをしたら意味ないではないか。観覧車ではなく高架式回転微弱スリルライドという感じである。



 ランチを食べ、ファームエリアで家畜を眺めホースショーへ。今年のホースショーはミニチュアホースという、大型犬くらいの大きさの馬のショーだった。ああいう人が乗れない馬は単に見てかわいさや毛並みを楽しむペットなのかと思ったら、障害物を飛ばせたり、後ろや横に歩かせたり、地面の棒を規定の歩幅で駆け抜けるなど一般的な馬場馬術の課題を【手綱を持ったトレーナーが横を一緒になって走ることで行う】という馬術をやる動物なのだった。知らなかった。まさにドッグショーの犬のごとし。これを見れたのはとても面白かった。

 年々減る出し物、今年はアイリッシュダンスだったが、時間が合わず見れず。しかしまあインドコミュニティの若者たちのダンスが見れたので、そっちのほうが多分アイリッシュよりもよかった。生きる喜びみたいなものをてらいもなくひたすら追求する若者たちの笑顔がまぶしく心地よい。

マーケットや砂の彫刻コンテストや各種テントを覗きながら帰路へつく。PNEはお金がかかり疲れるが、やっぱり楽しい。ディズニーランドのフロリダから来てるM父たちも、ライドのチンケさと費用には腹が立ったろうが、それ以外のPNEのあれこれには満足してくれたと思う。なにもかもクソ高いと腹を立てながら、俺たちは来年もまた来るだろう。

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 M父夫妻を乗せてSHとADのオフィス近辺まで行きディナーをいただく。グルメのADがなじみにしてるというこのレストランがまた例によって、メニューが読みにくく食べ物に何が入ってるかわからないくらい真っ暗。俺は寝るとき以外はこんな暗いところにはいないわけで、ここにいるだけで何もかもしっかりと見えないことに強いストレスを感じる。雨の日にヘッドライトの暗い車に乗るかのようだ。

 俺が食べたのは店が自慢するシーフードラザニアだったのだが、暗くて具が見えないし、焦げ目のつき方もわからない。サラダに入っていたスクワッシュも、食べてみるまでなんなのかわからなかった。まさに闇なべ状態であり、こんな暗いところで物を食べるのは馬鹿げたことである。食は目で味わうなんてスカしたことをいいたいのではなく、食べ物を見るというのは大きな楽しみではないか。何を食べてるのかわからん状態で食ってうまいわけがないではないか。味も暗さに比例してなのか凡庸だったが、この暗さではたとえうまかったとしても喜び半減である。

 日本じゃバーだってこんなに暗くはないんだけどドイツはどうなのと聞くとADは、どうかな、気にしたことはないがあまりカナダと変わらないと思うとのこと。じゃ西洋人はみんなこれでOKなのかね。

2009/08/24

日記「ドライ谷の憂鬱」

「『ポニョ』の評判」「化石掘り」「気持ち悪いコーナーの謎」ほか。

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■09/08/09(日) □ 「ポニョ」の評判
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 午後ファミリーパーティでST家へ。アニメ好きのBTに見せたいとMが「ポニョ」DVDを持っていく。Mに見せたときは「Hm....cute」くらいの薄い反応だったので、やっぱ宮崎信者でないとストーリーの矛盾にあれあれという感じなのかなと思ったのだが、実はMも楽しんでいたのか。

 時間がないのでBTにはオープニングと波乗りシーンだけを見せてやったのだが、AVマニアのSTの液晶巨大TVで見るとものすごい絵のクオリティだった。というかうちのTVだとこんなにいい色が全然出てなかったのかと驚いた(笑)。

 BTは波乗りシーンを見て、「This is cool I wanna see it」という。今すぐシアターに行ってくれ行ってくれ。

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 NHK「リミット 刑事の現場2」が終わる。出演者全員がハナミズが出るくらいの熱演をするすごいドラマであった。「武田鉄矢は日本のクリント・イーストウッドだ」という評を見つけたが、それはまったく大げさではない。ダーティな大人を演じる彼を俺は初めて見たが、顔のしわ1本1本までが芝居をしておりすごいの一語。若い刑事のクライマックスの言葉は論理的でもなく説得力もないが、しかしそれはとても感動的で、老武田刑事と視聴者の心を動かしたのであった。

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■09/08/14(金) □ 爽快 Trans Canada ラン
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夏の旅行。行くのはカムループス近くの Savona という町だと昨日判明し調べてみると、なんと 364.9 キロ。東京から名古屋 (386km) に近い。くくく(泣)。ノンストップで4時間、普通に休んで5時間半くらいかなー。やれやれ。

 イモリとアカヒレの世話はMKに頼む。うちのイモリ樣たちはエサを食べなかったり引きこもったりで手がかかるのだが、まあ4日くらい食べなくても体調に変化はなかろうから心配はするなということで。アカヒレはケンカさえ収まれば手間いらずで、だんだん色がついて美しくなってきた。

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●Trans Canada ラン
 11:45 Hope 着、ランチ。ここまでは 120km くらいで流れる高速ワインディング。スズキエリオは高速が得意な車ではないが、Trans Canada(カナダ横断道路)を楽しむのに十分な直進性と安定性はある。



 Hope を過ぎた頃からエンジンの吹けがよくなり、登坂車線の追い越しで 3rd-4000rpm がストレスなく使えるようになった。絶好調。普段のスロー走行でたまったカーボンが燃え本来のエンジン性能が出た感がある。これからは普段もっと高回転を使ってやろう。

 最近雨のタイトコーナーで突っ込みすぎ前輪をズリっと滑らせてしまい反省し、もっと前後輪を均等に使い腰を入れたコーナリングをしようと練習しているのだが、今日の Trans Canada ランではどのコーナーも最小の舵角でいいトラクションが得られ気持ちよくターンできた。ガチっとした強大なトラクションとフラットさはないが、高い回頭性と軽快なエンジンパワーでレガシィでの山岳ランよりも楽しい。Hope 後のタイトなセクションでは会心のS字切り返しがビシバシ決まり顔が笑い、Mに気づかれてしまった。

●乾燥谷へ
 Lytton で小休止。3時間運転してさすがに疲れを感じたので、ちょっと後ろで休もうとMに運転を代わってもらう。Hope 以北は昔見た乾燥谷が延々と続く。何時間も続くので正直ウンザリするが、来たからにはホントにすげえなと見てしまう。

途中 middle of nowhere、まさになんにもない砂山の谷で小1時間事故による通交止めに遭うという不運もあり時間がかかったが(薄曇りで風のある日でよかったが、暑い日だったら大変だったろう。)、想像したほどは疲れず 364.9km を無事走破。お疲れさまでした。着いたカムループスレイクは殺風景なところ。砂漠の山の裂け目にどこから来るのか水がたまっている。Hope 以北はずっとこういう景色である。



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■09/08/15(土) □ 化石掘り
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 朝暑くなる前に、今回のメインイベント化石掘りへ。サイトはグランドキャニオンみたいなすごいところで、石を割っての宝探しは楽しかった。


この石版群のほぼすべてに植物の化石が含まれている
ここは5千万年前(恐竜後、哺乳類が出てきた時代)の地層だそうで、出るものは主に葉っぱ、たまに出るお宝が小魚の骨と羽虫くらい。割る前からそこら中の石の表面に葉っぱの化石は見えているのだが、割って何かが出ればやはり自分で発見したという喜びはある。俺はシダがきれいに残ったやつが気に入り小さなものを数個だけゲットしたが、萌はメルたちにもはやし立てられ片っぱしから袋に詰め、2袋 50 個以上ものお持ち帰りとなった。そんなにいらんというのに。

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 夕方買い出しに 30 分かっ飛ばしカムループスへ。こんなドライ谷に巨大な町があるのでえーっとたまげた。Save On スーパーなんか PoCo よりも大きい。こんなところまではるばるハイウェイを5時間かけて商品を持ってくるのか。なおかつ PoCo と品物の価格が同じ。Save On の価格が高いのは、こんな僻地での商売をカバーするためなのだろう。

 車内でMとSFが、「興味深いところだけど住みたくはないわね」と言う。「なんか気分が落ち込むよね」と俺は答える。カムループスが大都市だった以外は15年前に見た通りの土地だ。しかしなんでこんなところにこんなにたくさんの人々が住んでいるんだ? 農業も林業もできないだろう?  謎である。みんな何をしてるんだろう(ADは鉱業が盛んなんだろうと言っていたが)。

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 カムループス往復は強烈な高速ワインディングだったのだが、Rが半端にゆるいせいで Trans Canada のようには楽しめなかった。こういうオーバー 100km コーナーというのはトラクションをコントロールして万全に曲がってはいても、手の平のちょっとした動きで車体が大きく反応するので飛ばしすぎだとMがぶーぶーいうし、この道はガードレールもあまりないので、操作ミスがあったら大変なことになるという緊張も常にあり疲れる。実際こういう田舎の超高速は危険で、路肩から落ちた車を2日で2台見てぞっとさせられている。

 こういうシビアな高速域で普通の車とグッドハンドリングマシンとの差が出るわけで、安いファミリーカーであるエリオはガチっと安定しないから緊張を感じ、並んで走ったADの BMW 330 みたいな車なら無緊張でいけるのだろう。タイトなセクションに入り制限速度が 70 くらいに下がると俺はほっとするし、そういうところではより能動的 (大きく) に荷重をコントロールでき楽しいのである。燃費は強いアップダウンを全力疾走しながら 13km/L 強と良好。

 この湖畔に住んでるのはほとんどコテージ所有者だと思うが、緑のないこの景色が好きなのかな。水は湧かさないと飲めず、たかだか買い出しにも命の危険がある 30 分の全力疾走なんだから、僻地に住むというのは消耗なことだ。こんなところまで電気その他インフラを引くことすら壮大な無駄だと感じる。

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■09/08/16(日) □ ドライ谷の憂鬱
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 6時前にMが起き、俺も頭痛と共に目が覚める。俺の頭痛は起きれば治るのだが、Mは終日不調で、この谷のドライな空気がアレルギー性の鼻を直撃しているようだ。

萌も6時半に起き、7時半にはもう退屈で爆発しそうになる。一緒に散歩はしたが、天気も悪くもうすることがない。周り中すべて砂漠山で何もないからなあ。大人は本があればなんとかなるが。今日はみんな疲れており、アクティビティはボートと散歩くらい。散歩をしたら見知らぬ犬が萌についてきて楽しかった。

 毎年旅行のたびに思うことだが、BCは海も山も単調だ。住むには文句なく、アウトドアピープルやモーターボートを駆るパワーレクリエーション家族(日本のバイク人口並みにモーターボート所有人口があるのではないか)には遊びのネタが尽きないドリームランドだと思うが、普通に旅行をするだけではどこへ行ってもあまり変わらない。遠くへ行くことは旅行というより人口の少ないところを求めての移動となり、着いたところはこうして人がいないのも当然みたいな土地になる。旅情を味わいたくば、ソルトスプリングのような特徴のある小さな島に行くのがいいのだろう。

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■09/08/17(月) □ 1人旅のように
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この貨車の長さ!
朝軽くハイク。高いところから湖や珍しい岩を見下ろす。何十輌編成なのか信じられないほど長い汽車が、とんでもなくゆっくりと行き過ぎるのがナイス。ランチ後初めて水に入る。予想通り泳ぐには冷た過ぎたが気持ちよかった。

 夕方みんなはカムループスの動物園へ行ったのだが、俺はホテルに残って1人でいることにする。もうなんか、何をやるにもついて回る殺風景長距離移動がしんどい。4日ぶりの1人はすごい解放感であった。うあーと喜びの声が出てしまう。俺はバイクでのキャンプツーリングみたいな気ままな1人旅が本来一番好きなんだろうな。

 みな夜遅くにクタクタに疲れて帰宿。しかし動物園はすごくよかったとのこと。よかったよかった。

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■09/08/18(火) □ 気持ち悪いコーナーの謎
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●コカハラハイウェイ急勾配
 ようやく帰宅日。帰りは行きの Trans Canada より早いというコカハラハイウェイから。コカハラはステアの保持だけが仕事の退屈なハイウェイだが、その分たしかに速く Hope まであっという間だった。それに景色は Trans Canada よりもいいかもしれない。カムループスから最初の山を越えた途端に砂漠景色が終わり、普通の緑の高原道路になったのには驚いた。俺たちの目はほとほと砂にうんざりしてたので、このBC/長野的平凡な風景が見えただけでわあと声が出てしまった。Hope 近辺のすさまじい岩山景色もすばらしい。人間の目は砂には感動できないが、岩には心底畏怖と感嘆が湧き上がるようである。

 しかしコカハラハイウェイの勾配はあれはなんだ。全線 110km 制限なのだが、あの急勾配を 110km で延々と登っていける車なんて5L級の SUV だけだろう。一般的乗用車で 90km くらい、トラックなんか 50km くらいしか出ていない。こんな勾配をつけたなら 110km 均一なんて無茶を言わず、登りは 90km くらいで流れるようにしとけば燃費もいいし事故も減るだろうに(コカハラは冬の事故で有名)。

●気持ち悪いコーナーの謎
 Hope で近辺まで来るとコーナーのRがちょうどよくなり、100km 近辺で気持ちよく車体をコントロールできるようになる。うおー気持ちいいとまた笑ってしまう。カムループス峠/コカハラの怖く気持ち悪い「オーバー 100km コーナー」とこことの違いはなんなのかシカとはわからんのだが、「オーバー 100」ロードは速度が落ちないようコーナーのRをゆるくしてあるためタイヤにトラクション(路面を蹴る反力)が発生せず、それでいながら速度は高いので外に行ってしまいそうな錯覚が起き緊張を招くのではないだろうか。むろん普通に走れば危険はないのだが、危険がすぐそこにあることは視覚と車体の揺れから体感できてしまうので、横に乗るMも緊張するわけである。

 これはエリオに限ったことではなく、レガシィでバンクーバーアイランドを走ったときも、コーナーがゆるく速過ぎて外輪にうまく荷重が乗っていかず気持ち悪かった。日本でいえば軽井沢の碓井バイパスとか箱根ターンパイクがこんな感じで、バイクで走っても楽しくなかった記憶がある。こういうRでトラクションをがちっとかけるには制限を越えて攻め込んでいかねばならず、家族連れでそんなことはできないのである。ADもカムループス峠でスピードを落とせとずっと家族に怒鳴られてたそうなので、BMW でもああした道での不快さはあるのかもしれない。

 速いコカハラに加えこないだ開通したばかりの Golden Ears Bridge を通ることでさらに 30 分時間を短縮し、なんとランチブレーク込み4時間半で帰宅。行きは渋滞に休憩2回に事故通行止めまであって計7時間くらいかかったので、えらい違いである。ふー。お疲れ様でした。

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 夜、NHK で清水國明の瀬戸内バイクツーリングの番組を見た。やっぱ俺はこういうスローな道をくねくね曲がり、道端で弁当を食べ缶コーヒーを飲みながら里をちびちび巡る旅がいいよ。ハイウェイで一気に 350km の移動なんて旅だとは感じないのである。